マイクロエースの1号機関車A1クラス(木箱セット)です。先日久々に動かそうとしたところ、走りが非常にぎこちなくなっていました。
マイクロエースの蒸機の中では特殊な構造ですが、分解自体は簡単です。
この模型は上廻りも下廻りフレームもダイキャストでできています。
もしやダイキャストが劣化して歪んだのではと恐れましたが、それは大丈夫でした。上廻り・下廻りともまっすぐで、合わせ目も一直線でした。
木箱セットの木箱は歪んでいましたけど…。
モーターやギヤボックスが古くなった油で固まったか、動かしていなかったため通電部分が酸化したのだと予想しました。
車体の上下は、5箇所のネジで留められています。
これらを緩めるだけで、上廻りがまっすぐ取り外せます。
しかし。
ネジの頭だけ取れてきた(笑)
1本だけですけど…どうも、最初からねじ切れていたような感じで、何の抵抗もなく頭だけ取れました。
ねじ切れた残りの部分がネジ穴に詰まったままですが、どうすることもできないので、この1本はそのままです。
他に4本もネジがあるので固定は支障ありません。
この模型には、当時のマイクロエースのモーター(右下)とは異なる、特殊なモーターが使われていました。
サイコロ状で、通常のモーターよりも前後に5ミリほど短い大きさです。
長時間の運転や高速運転をすると発熱の恐れがある、と説明書にあります。まあNゲージの蒸気機関車として常識的な使い方をするなら、あまり心配する必要もないかと思います。
ギヤに松ヤニのような油が固着しています。
ただこの程度は古くなればよくあることで、これだけで動きがひどくぎこちなくなるとは思えないです。
ちなみに上下の合わせ目まで油が浸み渡っていました。
反対側は、配線のリード線が床板に固形油でべっとり埋まっています。
油ではなく配線固定用の接着剤にも見えましたが、とりあえずここは動きに関係なさそうなので、あまりきちんと突き止めていません(笑)。
ところでこの配線が何なのかといいますと、前方が床板の穴から下側に回っていまして、
…車体右側の集電ブラシにつながっています。
左右分割式の動力ユニットではないので、車輪は片側絶縁になっており、右側の車輪からは集電ブラシで集電しています。
最近の模型なら、トーマモデルワークスの日車Cタンクの初回品(昨年)も同様です。
集電ブラシが当たっているのは先輪と第1動輪です。
こちらは左側です。こちら側には集電ブラシはありません。車軸を通して車体からモーターに通電されています。
フレームの外側にある平ギヤにより、第2動輪が回転するようになっています。第1動輪へはロッドで連動されています。
ギヤがむき出しなので、ちょっとホコリが絡みやすいかもしれませんね。
とりあえず、モーターに直接通電してみました。
よく回転します。そして、昔のホンコン製の模型のような、油が焦げるような臭いが…。
いやこれは、この模型の場合正常でしょう…。
回転は実に滑らかで音も静か、指に伝わってくる振動もほとんどありません。金属キットでこういうテストをすると、何かしら指にコツコツ振動が伝わったり、シャカシャカと駆動部の音がするものですが、それらがとても穏やかで安定しています。
駆動部は問題なさそうなので、どうも車輪からの集電の問題のようですね。
底板を外したところです。左右分割式ではないので底板も金属製です。
集電に使われている車軸がグリスに埋没しているので、これでいいのか不安ではありますが、少なくとも購入時はスムーズに走っていました。
第2動輪はゴムタイヤ付きで、片側に集電ブラシもないので、集電はほとんどされていないと思います。先輪と第1動輪が主な集電車輪ですが、第1動輪の車軸は油だらけですから(導電性グリスなのかもしれませんが)、先輪からの集電がかなり大切そうです。
その先輪ですが、車軸部分に小さいコイルばねが接触していて、集電の向上を図っているようです。下手すればこの1軸が集電上の最後の砦ですからね…。
(この写真は集電ブラシがずれていますが、本当は車輪の内側にブラシが入ります)
さて、どこかが大きく壊れているということはないようなので、清掃ぐらいしかできることがありません。
通電部分を綿棒で掃除して、集電ブラシのゴミなどを取り除いておきました。あとは慣らし運転で調子が上がることを期待します。
何周か走らせている間に、しだいに滑らかに動くようになり、ほぼ回復しました。
集電はやはり少々弱くて、ポイントの無電区間で引っかかることがありますが、それ以外は安定しています。音も静かでするする走ります。
牽引力の都合上、客車は4両までとされています。セット内の客車も4両です。
ともあれ、何とか回復してよかったです。ネジの頭がモゲましたけど…。
私のレイアウトではあまり常用できる機関車ではありませんが、割と気に入っていますヨ。なおこの機関車は縮尺1/120とされています。