Nゲージ蒸気機関車2018年のメモ>2018.6.16

ネルソン6250形のテンダー動力

15年前に発売された6250形のテンダードライブ動力が、さっぱりまともに動かなくなっていまして(最近多い…)、バラして調べました。
フレームの歪み等が原因だったらしく、車輪を引き抜いて車輪座を修正し、組み直しました。


2003年の製品です。第24回日本鉄道模型ショー記念特製品として日本鉄道模型連合会(現:日本鉄道模型協会)が発売したものです。
ネット注文も受け付けられ、全国で容易に買えました。

6250形

NEILSON 6250
空制化後 塗装済完成品
(拡大写真)

箱や説明書には書かれていませんが、明らかにワールド工芸の作りです。当時公表されていたかもしれませんが覚えていません。
製品は小さい3軸テンダーにモーターを積み、テンダードライブとされています。このような形の機関車ですので、エンジンドライブにしてもテンダードライブにしても実現が難しそうです。
私は何度も、これを自分で作るにはどうすればいいかと考えては、そのつど自分には無理だとあきらめて現在に至ります。

テンダー

モーターの高さが、天面ほぼいっぱいまで達しているので、大きな増炭枠をその上に積んで石炭兼ウェイトにしています。

側面の左上のあたり、少し塗装に荒れが出てきているので、生地が腐食してきたのかもしれません。まあ金属製なので、シンナーでラッカーを落として磨き直し、再塗装することは容易だと思います。

テンダー内部

中身です。組み立てた方の指紋も残っとります…。
車輪は一般的なテンダー車輪と同じ直径のもので、軸距離は実物よりやや広い10.5mm程度になっています。このへんは当時の現実的な解だったのだと思います。

テンダー下部

下から見たところです。前方2軸が駆動し、1軸目はゴムタイヤ付きになっています。
集電は主に2・3軸目から行われており、集電ブラシも付いています。

下側のフレーム(車輪座)に歪みが出ています。これが不調の原因かしら…。ただこれは完成品で、当初はちゃんと走っていたと思うのですよね。

テンダー上方

上方からです。絶縁材でできたベースプレートに左右の車輪座を取り付け、車輪を圧入して組み込む構造です。
この翌年に発売される、南薩鉄道5号機もこれによく似た構造なので、その原型といえそうです。南薩5号機はさらに3軸目もギヤ連動します。

モーターは当時使われ出した携帯モーター風の8V品です(コアレスではありません)。鉄道模型用として最適というわけではないと思いますが、大手モーターメーカーへの特注品だそうで、これのおかげでワールド工芸からは数々の小型機が発売されました。

車輪座の上面もちょっと腐食してきていますね。まあこれは今回の不調には関係ないと思います。

集電ブラシ

第2・第3軸には集電ブラシが接触しています。
車輪座から引き起こされた下向きのフックに、集電ブラシの中央部の穴が引っ掛けられていて、2つの車軸と中央のフック部でブラシにテンションがかかるようになっています。

組み立ての際は、ただブラシをはめて車輪を差し込めばよいので楽です。ただ、車輪は一度圧入すると外せない構造なので、あとで集電ブラシを調整したり、脱着したりするのはそれなりに面倒です。
構造上はブラシがなくても車軸だけで集電されるのですが、何しろ車輪が外せないので、軸受けが汚れるとその集電経路はアウツです。そのため集電ブラシも付加して補っているものと思います。

通電テスト

さて、不調の原因を確かめます。

モーター端子に直接通電してみると、この時点ですでにガタガタ、ろくに回転しません。
これは集電ではなくギヤの伝達経路などの回転部分か、モーターの故障かですね…。

仕方がないので、車輪をギヤ軸から引き抜いて分離し、それらを調べていくことにしました。
車輪を引き抜くと、プラ製のギヤ軸がダメージを受けて使用不可能になるので(ギヤ軸がちぎれることもあります)、再組立ての際には新しいギヤ軸が必要です。幸い、これは通常のワールド工芸のギヤ軸と同じものでした。ワールド工芸のキットには、1本くらい予備が付いているので、たくさん手元にありました。

モーター

モーターを少し浮かせてウォームのかみ合わせを外し、通電してみると、モーター自体は正常に回りました。一安心です。
ギヤの回転やかみ合わせも問題ないようですが、気になるのはやはり車輪座の歪みです。このころは、柔らかい真鍮板1枚でできていました。

車輪座はベースプレートの枠を貫通し、上部が外側に直角に折り曲げられていますが、一度組み立てられたあとでは外せないようです。
ギヤをうまく外すことができれば何とかなるのかもしれませんが、取り付けたままヤットコで少しずつ曲げ直し、できるだけ歪みを取ってみました。

ギヤ伝達図

ちなみにギヤの連動はこんなふうになっています。何とか全体の高さを抑えつつ、前後にモーターがはみ出ないように検討されています。
図のギヤの直径などはデタラメですのでご勘弁…。

軸穴の調整

軸穴にも、2.5mmの丸ヤスリを通して整え直しておきました。軸受け自体は非常にきれいでした。

元通り、車輪を1軸ずつ圧入して、調子を調べます。

第1軸の取り付け

うまく回りました。やはり軸受け付近のフレームの歪みだったようです。

第2軸の取り付け

第2軸も圧入しました。
このモーター特有の、ショリショリいう振動の手ごたえがありますが、よく回っています。

第3軸の取り付け

最後に集電ブラシと第3軸を取り付けました。
集電ブラシはそのままだと少し当たりが強いので、調整を始めた途端にハマってしまい(車輪を付けたあとではブラシが付けにくい)、取り付け調整に30分くらいかかってしまいました。集電ブラシ、嫌い(笑)。

集電が2軸のみで(カーブではゴムタイヤ車輪のフランジも効くでしょうが)、その軸距離も短いので、ポイントの無電区間などはやや辛いです。
牽引力を犠牲にして、第1軸も集電車輪にしたほうが、全体的には快適になるかもしれない〜とも思いましたが、そんなことはメーカーではとっくにテスト済みだったでしょうね。

完了

完了しました。うまく動くようになって一安心です。

薄いキャブの屋根や細い柱など繊細な部分も多く、金属の良さがよく出た模型だと思います。ただ、プラや紙、3Dプリントなどで挑戦するのも面白いに違いありません。
発売されてから年月も経っているので、そろそろワールド工芸からリニューアル製品が出ないかな〜などと思ってみます。プラ量産品ではまず出ないでしょうから結構喜ばれるのではないでしょうか。 シリーズとして5500形なども展開できそうですし、東武鉄道に渡って使われた例もありますし…。

C11と

この6250形の動輪はプラの汎用品ではなく、金属の専用品で、カウンターウェイトも三日月形です。
ちなみにC11と大体同じ動輪径なのですね。


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