Nゲージ蒸気機関車>メモ>2019.6.21
1970年前後の数年間発売されていた、N&Bブロック(任天堂ブロック/エヌビーブロック)の汽車セットです。
何かの折に譲っていただいたものです。ふと、まだ動くかなと思って引っ張り出しました。ちゃんと動きました。
N&Bブロックは当時かなりメジャーな製品で、デパートの玩具売り場のショーケースには必ずありましたし、テレビCMもたくさん放映されていました。
アラカン以上の方ならよく記憶されていると思います。
まだレゴが国内では大々的に発売されていなかった時期で、カワダのダイヤブロックとともに、N&Bブロックはブロック玩具の双璧をなしていたように思います。
色刷りのわかりやすい説明書が入っています。
N&Bブロック(以下NBブロック)には多数の製品がありますが、概ね初期のシリーズは簡素な説明で(「この写真を見て組み立てましょう」程度)、追ってこのように組み立て手順が詳しく記載されるようになりました。
電動汽車セットは、レゴはもちろんダイヤブロックにもNBブロックにもありまして、ブロック玩具の高級セットとしては人気がありました。
構造はこの絵のとおりで、電動式の機関車に電池ボックスのテンダーを連結し、プラ製のレールを走らせるものです。
ところどころにある「ATS装置」というのが気になるものですが、このセットの特長である自動逆転機構です。
NBブロックをご存じない方のためにちょっと書きますと、基本ブロックはレゴと同寸法で、互いに組み合わせが可能です。もちろんそんなことは一切表明されていません。
裏面のパターンがちょっと違います。また、レゴは表の突起部すべてに「LEGO」と刻印されていますが、NBブロックでは「NB」と刻印されています。
ブロックの高さもレゴと同一ですが、レゴにある高さ1/3の薄いブロックは、NBブロックにはありませんでした。しかしレゴにはなかったユニークな形状のブロックもNBブロックにはたくさんありました。
これはトレーンセットの専用パーツ「ATS装置」です。
枕木を兼ねた白いブロックの端に、半円形の黄色い板が差し込まれており、これは左右90度ずつ首を振るようになっています。
中心から2方向に丸いマグネットが飛び出しており、これが汽車のマグネットに吸引されて向きが変わります。
円盤の角の2箇所には細い突起がありますが、この突起に汽車の逆転レバーが引っかかって動き、進行方向を変える仕組みです。あとで下手な動画を置きます。
土台の白いブロックには丸い磁石が一つ仕掛けられています。黄色い回転盤の裏側にも3個の磁石があり、-90度・0度・90度の位置に軽く定位するように工夫されています。
車輪ブロックです。機関車の動輪はゴムタイヤ付きです。
車輪にはゴムタイヤをはめる溝があるわけではないので、走行中にゴム輪が外側にずれて外れることがあります。一度外れるようになると、直してもまたすぐ外れてしまうので、これは両面テープで留めています。
機関車の組み立ては簡単です。ただブロック玩具はみなそうですが、最初はブロックの組み合わせが固いので、子供の力ではきちんとはめられないことがあったかもしれません。
また、はめることはできても、きつくて外せなくなったりするんですよね。そのつど大人が呼ばれて外す羽目になりますが、大人でも苦労します。
円形のブロックを重ねてボイラーを作ります。NBブロックは、こういう丸型のブロックが得意で、ロケットやジェット機などに色々応用されていました。
中央に丸穴が開いている四角いブロックは、本来は自動車などの軸受けに使う部品です(真上にある小さい切り欠きの穴が軸受け)。ここでは、煙突の取り付け用にこのパーツが利用されています。
ボイラーを動力ユニットに取り付けたところです(左側が前)。大きな逆転スイッチが横から出ています。これはごく軽く左右に動きます。
キャブの側板が付きました。開放キャブですね。窓ガラスの部分は、ちゃんとクリアパーツになっています。
前方に付いている黒い部品はデフです。
これは汽車の脇に付ける磁石ブロックです。ATS車上子です(笑)。
線路脇に置いたATS装置がこれに吸引されます。
磁石ブロックを取り付け、車輪をはめ込んだところです。
前後ともゴムタイヤ付きですが、駆動するのは前方の1軸です。
丸いブロックと円錐ブロックを組み合わせて煙突を作り、シャフトを取り付けてボイラーに差し込みます。
機関車はこれで完成です。
テンダーは電池ボックスになっていて、単2電池を2本直列にします。手前の小さいプラグブロックを機関車につないで通電します。
前方には機関車と連結するドローバーを付けます。ドローバーは、前後の赤いブロックと組み付け済になっています。この部品は説明書と少し違うので、ロットによって複数のタイプがあったのかもしれません。
素組み?完成です。
N&Bトレーン号。
レールは枕木ブロックに1本ずつはめ込んでいきます。
レイアウトサイズは、右側のATS装置を除いて約900×600mmです。
これが、ちょうどよいスピードで、安定して走るんですよ。
とても楽しくて、しばらく遊びましたワ…。
ごく短時間ですが、ATS装置が作動して逆転する様子を動画にしました。
MP4形式のみです。作り方が悪いため、再生できなかったらごめんなさい。
1周目で、機関車がATS装置の横を通過し、ATS装置の向きが変わります。ここでATS装置の角のピンが線路側に近づきます。
2周目で、機関車の逆転スイッチがそのピンに引っかかって作動し、機関車は逆進します。
動画では省略しましたが、逆方向の場合も同様で、ATS装置が反対側に動き、反対側のピンに逆転スイッチが引っかかって前進に切り替わります。
私こういうもの大好きなんですヨ。Nゲージの機関車も、鉄道プラモデルも、こういうモーター動力玩具も、私にとって楽しさは同じでして。半世紀近く経っても正常に動力が駆動し、磁石類もきちんと作動してゴムタイヤも弾力を保ったままなのですから、品質的にはきちんとしたものが作られていたのですね。
このセットには客車や貨車などのトレーラーがなく、またポイントなどの拡張セットも発売されなかったと思います。
このあと1年ほどで、あれだけ積極的に販売されていたNBブロックは店頭やCMから忽然と姿を消してしまい、ちょうど入れ替わるようにして国内でもレゴが本格的に販売され出したように思います。