戸切地(へきりち )陣屋
北海道上磯郡上磯町字野崎にある。安政2年(1855)6月着工され、同年10月に完成
した。安政元(1854)年の日米和親条約締結により横浜・函館の開港が決定され、幕
府は蝦夷地を直轄地とすることを決め、函館奉行所が開設された。蝦夷地の領主で
ある松前家の領地は、蝦夷地の一部と、そのほかの地域を支給し、それまでの家格1
万石を3万石に加増された。加えて、松前家に対して函館から木古内までの間を警備地
として指定したきたので、松前家は、戸切地に陣屋を設けることになった。設計者は、松
前家家臣、藤原主馬であると言われている。万延2(1861)年の記録によると、大砲37門
鉄砲59丁を配備していたようである。全体的に正方形の形を呈しており、東側の角に稜
堡を備え、砲眼が6つあけられている。その他の角は、本堤に角度をつけることによる、
疑似稜堡を設けるにとどまっている。なお、戸切地陣屋は、函館戦争の折り建物等はす
べて焼失して残っていない。国指定の史跡になっており、空堀・土塁がよく残っている。
戸切地陣屋
戸切地陣屋の図
稜堡内部
戸切地陣屋案内図