第12回MM−1グランプリ






THE FINAL ROUND!!












X子:はいどうもー!
   決勝戦の司会を務めます「乙女の方程式」です!
   それではさっそく1組目の方にネタを披露していただきましょう。

Y美:早すぎるよ!!2010年のR−1か!!

   …えー、まぁ行きましょうか。
   トップバッターはこのコンビです、どうぞ!

長く苦しんだ準決勝の壁をついに超え、悲願の決勝進出で波に乗る。
努力を重ね一段と進化した天才たちを阻むものはない。MM-1を笑いで包みこめ!
エントリーNo.024 「新世代の夜明け」
優しい朝の光に包まれて
無として存在する話
木下:はい、どうも優しい朝の光に包まれてですお願いします!
   さてMM-1グランプリということで、ビシっとスーツ決めてやってきましたよ!

山田:あの、ですね木下さん。
   今日はちょっと大事な話…がありまして。

木下:なんですか、いきなりそんな深刻そうな。
   まだスーツの話しかしてないんですよ、もっとこう、野球選手のインタビュアーに憧れてるって話とかをしたくt…

山田:そのこと、なんです。
   木下さんが、今日スーツでビシっと決めてることに関して…大事な話があるんです!

木下:スーツで決めることに関しての話…?
   どういうことですか。

山田:その、まぁあの…この際ハッキリ言わせていただきますと…
   木下さんには、そのー…スーツは不正解、というかですね。
   不正解…いや、まぁ三角で部分点あげても…いや、不正解、不正解ですね。
   …不正解なんですよ!

木下:何回不正解言うんですか!
   そんなに似合ってませんか!?
   いや、まぁでもそういうのって客観的に見てもらってしか分からないことですからね、次からはちゃんと普通の服で来ますから今日は我慢してくださいよ。

山田:いや、そうじゃないんですよ!
   あのね、落ち着いて聞いてください木下さん。

木下:さっきから、比較的落ち着いて聞いてるつもりですけど。

山田:木下さんに対して、服は不正解なんです!!!

木下:…え、服を全否定されてる今!?

山田:落ち着いて聞いてくださいって言ったでしょう!?

木下:これが落ち着いてられるかい!!
   なに、僕に似合う服はこの世にないってことですか!?

山田:似合わないっていうか、不正解なんです!
   木下さんが服を着るっていうそのこと自体がもう不正解なんですよ!!
   木下さんは、解無しなんです。解無し顔なんですよ!!

木下:解無し顔ってなんですか!?
   僕そんなに変な顔ですか!?

山田:そういう話じゃないんです!!
   木下さんが、人より劣った顔をしてるとか、そういうことじゃないんです!!
   でも、そこに、答えが無いんです!答えのない顔、それすなわち解無し顔なんです!!

木下:じゃあなんですか!?
   僕は今から、全裸になって漫才をしろってんですか!?

山田:そういうわけでも無いんです木下さん!!!
   いいですか!!
   木下さんは、皮膚も不正解なんです!!

木下:皮 膚 も ! ?
   皮膚も不正解って、じゃあどうしたらいいんですか!
   全裸になった上に皮膚剥いで神経剥き出しで漫才をしろってか!?
   そんなもん誰が笑うんじゃい!!

山田:わかってください木下さん!!!
   神経も不正解なんです!!!

木下:神 経 も ! ?
   どんどん体が軽くなっていくんですけど、これ神経剥いで肉でとか言い出しても…

山田:当然肉も不正解なんです!!
   骨も、臓器も、全部不正解なんですよ!!!

木下:詰んじゃったよ!!!
   じゃあなに、今から僕は首から下全部無くして、生首がフワフワ浮いてる状態で漫才をしなきゃいけないってことですか!?

山田:まだ、わからないんですか!?
   あなたには、なにもかもが不正解なんです!!

木下:これ以上何が不正解なんですか!!
   もう顔から下には何も残ってない、いわば「無」の状態ですよ!?

山田:木下さんには!「無」が!!不正解なんです!!!

木下:「無」も!?
   …え、「無」も!?
   「有」が全部不正解なのに「無」も全部不正解!?
   正解はどこ!?僕の顔から下の正解は、一体どこにあるの!!?
   
山田:木下さん!!!
   まだ!!あるんです!!!

木下:「無」に何かまだ用があるんですか!?
   これ以上何を否定するというんですか!?

山田:木下さんには、髪が不正解なんです!!

木下:いよいよ、上も行ったか!?
   ってことはなんだ、スキンヘッドにでもしろってか!?

山田:もう分かるでしょう!?
   スキンヘッドも不正解なんです!!

木下:どんどん自分が無くなっていくよ!!?

山田:つまり、正解の髪型は存在しないんです!
   だから、顔すらも邪魔になってくるんです!!
   顔があることが、それ自体が不正解なんです!!

木下:これ以上自分から自分を持っていくなぁああああ!!!
   顔は、最後に残された要素なんだよ!持っていくなああ!!!!

山田:顔から下も、髪型も、顔も、全部が不正解なんですよ!!!!

木下:じゃあなんですか、僕は完全に「無」の状態になればいいんですか!?
   ただ概念としてそこに存在することになってはいるけども、実体のない「無」としての木下ですか!?

山田:何を言ってるんですか、落ち着いてください!!

木下:もう、もう分からんよ!!
   なにも分からんよ!!

山田:木下さんにとっては「完全なる無の状態」も不正解なんですよ!!!

木下:えええええぇぇぇぇ!!!!?
   めっちゃ大きい声出してごめんだけど、えええええぇぇぇぇぇ!?
   それは、何を持って何がどう「不正解」なのさ!?

山田:「木下」という概念がそこに存在する以上、それが纏う空間そのものが不正解なんです!!
   木下さんには、空間が不正解なんです!!!

木下:空間が!!?
   空間の中にある以上何をどうあがいても不正解なの!?

山田:分かって、頂けましたか…?

木下:なんにも理解できないわ!!
   とりあえずこれから僕の人生はどうしたらいいんですか!?

山田:例えば「思念体」として生活する、というのが一つです。
   実体を持たず、空間を纏わない、思念体としての生活。
   それこそが、木下さんに残された唯一の希望です。

木下:スーツを着てきただけで思念体としての生活を勧められるとは思いませんでしたわ!!
   思念体としての生活ってどんなことすればいいんですか!

山田:思念体なわけですから人に話しかけるときは脳に直接、ですね。

木下:脳に直接!?

山田:例えば、先ほど冒頭で言っていた野球選手のインタビュアーに憧れるっていう場合も
   脳に直接インタビューする、シネンタインタビュアーにならなければいけないわけです。

木下:何だその気色悪すぎる職業は!!

山田:じゃあ試しにやってみましょうか。
   僕が逆転サヨナラ満塁ホームランを打ってヒーローインタビューを受ける野球選手をやりますから
   木下さんはそれにインタビューをするシネンタインタビュアーをお願いします。

木下:シネンタインタビュアーのちょっと気持ちいい語感が腹立つわ。

   (放送席…放送席…本日は見事9回裏、逆転サヨナラ満塁ホームランを打ちました山田選手の脳内に来ていますー)

山田:ちょっと!?
   僕の脳内で何をしてるんですか!?

木下:(申し遅れました、私他人の脳内に寄生してインタビューをする、シネンタインタビュアーこと思念体の木下です)

山田:気色悪っ!!!
   なにそれ気色悪っ!!
   え、ちょっと吐きそうなんですけど僕の脳に寄生するのやめてくれませんか!?

木下:(それは出来ません、私にもインタビュアーとしての使命がありますから 終わったら出ていきますよ)

山田:じゃあもう、早くインタビュー終わらせてくださいよ!!

木下:(ちなみにこの声はあなたの脳にのみ届けているので、今独り言を言ってる感じになってますよ)

山田:え!? あ、違います皆さん!!嬉しすぎて情緒不安定になったとかそんなんじゃないんです!!
   今、僕の脳に木下がいるんです!!シネンタインタビュアーがいるんです!!
   このシネンタインタビュアーというのはどうやら思念体のインタビュアーらしくて…

木下:(山田さん、言えば言うほど気色悪いですよ)

山田:気色悪すぎる存在に気色悪い言われた!!
   皆さん、気色悪い存在に気色悪いって言われましたよ!!
   っていうかじゃあさっき放送席に呼びかけてたのはなんなんですか!?

木下:(あれはほら、雰囲気を出そうと思って)

山田:気持ちはわかるけどさ!!
   自分の脳に対して気持ちがわかるってそれはそれで気色悪いけど仕方ないよね!!
   仕方ないですよね、皆さん!!?

木下:(ちなみに、今日はあらかじめ他の選手の脳内にもお邪魔させて頂いたので、皆さんの胸に秘めたる思いから、あなたの知りたくなかった情報までを仕入れています)

山田:なにしてんだてめぇ!!
   自由自在かよてめぇ!!!

木下:(なのでまずはいきなりですが、あなたの絶対に聞きたくなかった情報を、絶対に聞こえる脳に直接お届けします)

山田:やめろぉおおおおお!!!
   絶対聞きたくない!!聞きたくないけど、耳を塞いでも絶対に聞こえる!!
   やめろ!!やめろぉおおおお!!

木下:(あなたはチームメイトから陰で「泥ウナギ」と呼ばれています)

山田:やめろっつったろうがぁああ!!!
   なんだよ、泥ウナギって!!どこらへんが泥でどこら辺がウナギなんだよ!!

木下:(ちなみにこの情報は脳の一番深いところ、いわゆる深層心理から取り出したものなので相当ガチです)

山田:信憑性持たすのやめろぉおおおお!!!
   知りたくなかった情報を独特のソースで持ってきて勝手に送りつけるのやめろぉおおおお!!

木下:(理由としては「なんかヌルヌルしてる時が多い」「黒い」「なんかヌルヌルしてる時が多い」「なんかヌルヌルしてる時が多い」「黒い」「黒い」「黒い」「黒い」など様々でした)

山田:2個しかないじゃねぇか!!
   ヌルヌルしてる時が多いか黒いってか!!
   おい、これを見てるファンの皆!俺そんなに黒いか!?そんなにヌルヌルしてるか!?

木下:(会場から大きな拍手が上がりましたね)

山田:なんの拍手だお前らぁあああ!!!
   さてはお前ら俺のファンでは無いな!?

木下:(会場の拍手がより大きくなりましたね)

山田:やっぱりかお前ら!!!!
   なんだよ!脳に直接届いた情報が一番きついかと思ったけど、視覚と聴覚に来てる今が一番しんどいわ!!
   逆転サヨナラ満塁ホームラン打った日になんでこんな思いせんといかんのや!!
   っていうか、そうだよ!!ヒーローインタビューせえよ!!!ただヒーローを傷つけに来ただけってなんだよ!!

木下:(そう言われてみればそうでした 本日は彼女さんも見にいらっしゃってるということで)

山田:そうだよ!!今日彼女が見に来てんだよ!!
   なんでそんな場でこんな事にならなきゃいけないんだよ!!!
   めっちゃ活躍したから今日の夜に色々と始まるかもってワクワクしてたはずなんだよ!!
   こんなやつと何が起きるって言うんだよ畜生!!!

木下:(…………)

山田:…おい!!…おい!!?
   急にいなくなったよ、なんだこれ!!!
   いなくなったってことはこれでインタビュー終了か!?
   なんだよこれ!!なんの時間だったんだよ!!

木下:(ただいま)

山田:帰ってくんなぁあ!!
   こんな腹立つただいまは初めてだ!!!
   ってかお前どこ行ってたんだよ!!

木下:(ちょっと彼女さんの脳にお邪魔させていただきました)

山田:お前本当に自由自在だなこの野郎!!?

木下:(はい、ここでお待ちかね!知りたくなかった情報を産地直送のコーナー!)

山田:やめてくれえええええ!!!!
   一番知りたくない!!本当に一番知りたくないやつだから!!!

木下:(「明日から私も泥ウナギって呼ぼうかしら」と考えていまいたよ)

山田:泥ウナギィィィイイイ!!
   なんで彼女に泥ウナギって呼ばれなきゃいかんのや!!
   …っていうか彼氏がこれだけ一人で取り乱してる割に結構冷静だな彼女!!
   彼女ぉ!!おぉい!!彼女ぉ!!!

木下:(というわけで大体目的は果たしたので、私はこれで帰ります お邪魔しましたー)

山田:本当にただただ傷つけに来ただけかよ!!
   なんだこれ!!活躍した日に!!なんだこれ!!
   畜生ぉぉぉおお!!!!


   …みたいなね、こんな感じになります。

木下:悲劇的すぎるわぁああ!!!
   いや、僕の演じ方にも悪意はあったかもしれないけど!!!!

山田:とにかく、これからの木下さんはこれが正解です。

木下:絶対そんなはず無いわ!!


X子:ありがとうございました。

Y美:では今回も、さっそく審査員の方々からのコメントをいただきたいと思います。
   まず、今回初めて審査員を務めていただいた星野流人さん、いかがでしょうか?

 
・なんだこの新しい概念としての漫才は。
 前半後半とでネタの主軸をぶらすことなく、まったく違った味わいを出すことに成功しております。大変お見事です。
 特に前半のやり口では100行読み手の興味を惹き付けるのには厳しいものがあると思われる為、方向性の切り替えは英断だったといえるでしょう。
 前半は笑いどころがぼやけた感じがありつつも、要所で決めるべきポイントを決めてきた感じがしました。
 後半は優しい朝の光らしい、馬鹿馬鹿しさ全開の素晴らしい作品に仕上がっていました。


X子:なるほど。ありがとうございます。

Y美:続きまして、今回でラストの審査員となる夏草さんはいかがでしょう?

 
・2つの大きな展開でこれだけ満足させられる手腕は凄い。
 ただ2つ目のシネンタインタビューのくだりはベタすぎて勿体ない。もっと色んな試みが出来たはず。


X子:ほほう。これは点数も気になるところですね。

Y美:それでは最後に、ご本人のステーヴンV世さん、いかがでしょうか?

 
・審査をしている今でこそ思うんですが、
 普通に山田がシネンタインタビュアーをやる展開でよかったなーと思ってしまっています。
 まぁ、吉報を待ちましょう。


X子:ありがとうございました。果たして吉報となったのでしょうか!?



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、2組目はこの方たちです!


第7回MM-1優勝の栄光――それ以降は肩の力を抜いたかのような戦いが続いたが、今回の彼らは目の色が違った。
遊びは終わりだ。本気になった英雄たちが二度目の王座へ挑む!
エントリーNo.030 「英雄の帰還」
サンザンヒーローズ
梵天
B:どうもサンザンヒーローズです

A:略してサザンで覚えてください

B:某歌手とかぶるだろ!ってことで

A:自分の家の耳かきって、綿毛のポワポワが付いてるタイプなんですよ

B:のっけからどうでもいい情報ありがとう

A:あの綿毛のポワポワって使い方知ってますか?
  綿棒とか使ってる方は綿毛のポワポワの存在すら知らないと思うんですが、
  綿毛のポワポワあなどれないですよ綿毛のポワポワ良いですよね鼻毛のポワポワって

B:ポワポワうっせぇよ!!最後鼻毛になってたし!イヤだわ鼻毛で構成されたポワポワ!

A:これからも綿毛のポワポワが出てくるので以降はポワレと呼びます

B:フランスの調理法出てきちゃったよ!

A:で、どうやってポワレを使うかというと、耳かきをした後に中の産毛とかに残る細かな耳くそが残ったとき、
  ポワレをスポスポとピストン形式で突っ込むことによって残った耳くそを一網打尽にするわけです。
  この過程を「ディメンションコットンスパーク」と言います

B:何その中二病っぽい技名!?初耳だけど!

A:これからもディメンションコットンスパークが出てくるので以降は略してメンコと呼びます

B:一気にダサくなった!古き良き時代のかほりが!

A:で、自分はこのメンコをするのが非常に気持ち良くて好きなんですよ。
  家にいるときは大抵メンコしてるし、外出先などでも隙をみてはメンコしてます

B:どんだけメンコに見せられてるんだよ

A:このネタ中も既に58回しました

B:いつの間に!?お前その俊敏さを他に活かせよ!

A:いや自分なんかまだまだ遅いほうですよ。まだポワレメンコ検定3級だから

B:資格あるの!?何でも資格を作りゃいいってもんじゃねえぞ!

A:1級を持っている内藤さんになると、あまりにも早すぎてポワレが虹色に見えるもんね

B:光の屈折すら折り曲げるほどの速度!?

A:自分も早くメンケリストになりたいなと

B:なんか人の心理読み取れそうな呼び名になってる!!

A:まぁそんなメンコライフを過ごしているわけですが、やはり常日頃メンコばっかりやってたらいずれ飽きると思うんです

B:そう言う割りには今も58回してたくせに

A:あ、もう237回です

B:さらに記録伸ばしてた!?

A:だから飽きない為にも日々の生活にメリハリをつけようと。
  例えば今日はウケたな〜ってときにはいつものポワレじゃなくて新品のポワレを使うことができるとか

B:なるほど、自分へのご褒美なわけね

A:逆にスベったら自分にも厳しく。綿毛が一本しかないポワレでメンコします

B:何その波平スタイルな耳かき!?ただの棒と変わらないだろそれ!

A:まったく耳の中でポワポワしてくれないです。ヤケになってかき回したら血が出ました

B:やさぐれすぎだろ!そのまま鼓膜破れちまえよもう!

A:幸いその次の仕事がウケて、嬉々として新品のポワレでメンコしたら、かさぶたが出来ててポワポワ感を感じることが出来なかった!

B:いやケガしてる時点でメンコやめとけよ!

A:これを「ダメージブラッドシールドでノーフィーリングの悲劇」と呼んでいます

B:長い上にクソダサいタイトルつけてんじゃねえよ!直訳の猛威がハンパ無ぇ!

A:この話を1級の内藤さんに話したら「そう・・・」って

B:あしらわれてんじゃねえか!お前メンコ界で浮いてんじゃねえの!?

A:そんなワケでこのメンコライフを楽しんではいるんですが、一時期メンコに疎遠だった時期があるんですよ

B:その話長くなる?

A:あれは4年前・・・お金がまったく無くとてもひもじい生活をしていた頃、いつものようにメンコをしていたんです

B:ねえその話長くなる?

A:しかし、金欠で買い換える暇も無くどんどん使い込んでいったポワレは、新品のポワポワの姿からゴワゴワで薄汚れた姿に変わってしまった

B:まぁそりゃね。汚した原因お前だけどな

A:そんな毎日が続き、とうとう我慢ならずキレてしまった「お前はもうポワレじゃねえ!ゴワレだ!」

B:急にゴツい感じになったなオイ!九州男児が漂う感じになっちゃった!

A:そう捨て台詞を吐いて家を飛び出し、放浪の旅に出掛けた・・・

B:旅!?ただ耳の中掻けるだけの木の棒相手に啖呵切ったのお前くらいだよ!

A:色んな場所を旅してゴワレを忘れようとした。でも目を閉じると、あのゴワレが目に浮かんでは消えていった

B:ねぇ気づいて!お前の脳裏にあるものただのきたねぇ綿毛だよ!?

A:そんな5月のある日、とある河川敷で寝転んでボーっとしてたとき、ふとポワレに似た物を見つけた

B:ポワレに似たもの?

A:綿状になった、たんぽぽであった・・・!

B:アンタまさかそれを

A:「見つけた!」と気付いてから時間はかからなかった。おもむろにたんぽぽを引きちぎり、すぐさま耳につっこんだ

B:「ママー、あそこに変な人がいるー」「しっ!あれは時空のひずみから生まれてきた世紀末なのよ」

A:「こ、これは・・・あのポワレに似たポワポワ感!ついに、ついに見つけたんだ!!」

B:何であの時言ってくれなかった俺が新品の買ってやったのに!そして縁を切っていたのに!

A:もう嬉し過ぎてたんぽぽをぶんぶん回して「お前は今日からポワポワしたタンポポ、略してポポポポだ!」とか言いつつ帰宅した

B:ドラクエで失敗した名前かよ!お前の省略するセンス、ラーメン二郎の注文並みに独特すぎるって!

A:しかし帰宅してたんぽぽを見てみたら、いつの間にかあのポワポワは無くなっていた・・・

B:ぶんぶん振り回すからだろ!!お前はポポポポの気持ちわかってねえんだよ!!

A:悲劇はそれだけでは終わらなかった。あれから数日後、耳が何かで塞がっているようで、内藤さんのメンコ資格講座もまったく聞き取れなくなった

B:不意に出てくるな内藤さん!てか師弟関係だったのね!

A:不審に思い、鏡で耳の穴を見てみたら植物の芽が顔を覗かしていた

B:たんぽぽ発芽したのかよ!最悪な苗床に着いちまったな!

A:そんな経験を経て、やはり人工で作ったポワポワでないとメンコはできないと気付いた

B:地球を一周するほどの遠回りをしないと気付かなかったか

A:そしてそんな事を教えてくれたゴワレ、これだけは特別にずっと使っていこうと決心した

B:はぁ・・・

A:そして4年後、ゴワレは綿毛一本となりました

B:それ罰ゲームとして使ってるやつ!!もういいよ!

A:あ、今10000回目のメンコ終えたわ

B:もうカンストするまでやっとけ!!

2:どうもありがとうございました


X子:ありがとうございました。

Y美:では、今回初めて審査員を務めていただいたとれいんさん、いかがでしょうか?

 
・いいですねえ。心地いいくらい馬鹿ですねえ。
 内藤さんの扱い方が絶妙です。
 この手のネタってワードが1つでも滑ると
 芋づる式にグダグダになってしまうものなんですけど
 1つ1つ「ポワレ」「メンコ」「ポポポポ」などなど提示の仕方に
 微妙に変化をつけて1本調子にならずにきっちり決めてきましたね。
 お見事です。


X子:おお、「いいですねえ」が出ましたよ。

Y美:続きまして、ステーヴンV世さんはいかがでしょう?

 
・面白っ!!
 全体を通してずっと笑いっぱなしだったのですが「ゴワレ」で思わず吹き出しました。
 そこからも笑いまくって「時空のひずみから生まれてきた世紀末」でノックアウトされました。
 最高でした。


X子:おお、「最高」という言葉が出ました!

Y美:それでは最後に、2度目の審査員となるFANさん、いかがでしょうか?

 
・とても面白かったです。題材のアホさと、ちょっとひねったツッコミがとてもよかったです。
 ○光の屈折すら折り曲げるほどの速度!?


X子:おお!こちらも得点が期待の出来るコメントですね。



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、3組目はこの方たちです!


常に爆発力のなさを指摘され続けたこの九年間。
爆発がなくても小手先の技術を寄せ集めれば優勝できることを証明し、積もりに積もった悔しさを晴らしたい。
エントリーNo.049 「鈍く燻ぶる燻し銀」
言霊連盟
栃城光策の挨拶
槍沢:はいどうも、言霊連盟です。よろしくお願いします。

栃城:ちょっと悩みがあるんですけど聴いてもらえますか? 
   実は仲良くさせてもらってる女性の方がいて、
   それで彼女からの強い希望でお互いの関係を一段ステップアップしようか……ってことで彼女の家に挨拶に行くことになりまして……。

槍沢:なにそれ、なにそれ! 栃城さん彼女いるの!? 初めて知りましたよ!
   それでなに、一段ステップアップって! ちょっとおしゃれに言っちゃって!
   え、じゃあ言うわけ? 娘さんを! 僕に! くださ……的な!?

栃城:まあね。それで、彼女のお父さんに「娘さんのペットになります」って上手く言えるか不安なんですよ。

槍沢:ちょっと待って? ペット?

栃城:別にペットっていっても変な関係じゃないよ。
   性的にどうの……って言うような大きな声じゃ言えないようなことじゃなくて、わかりやすく言えばヒモよヒモ。

槍沢:十分変だわ! 十分変だし十分大きな声じゃ言えないことだわ! 彼女のペットってなんなんですその関係!

栃城:ペットはペットだよ。彼女の家に住まわせてもらって、彼女が納得づくで俺に生活費を渡して一日三食出してくれる。そんな関係よ。

槍沢:一回整理させてください。栃城さんたちは恋人同士なんですよね?

栃城:彼女の方は俺のことを好きだけれど、俺はお金をくれるから仲良くしてるだけで恋愛感情はないよ。
   それなのに結婚してくれとか言いだすから、結婚はできないけれど、家賃も浮くしペットだったらなっていいよって答えたんだよ。

槍沢:ただただクズだな! なんなんですその妥協点は! ていうか、一方的に貢ぐって彼女はそれでいいんですか!?

栃城:いいのよ、いいのよ。今までも駆け出しのミュージシャンとか劇団員の卵でろくにバイトもしない生活力のない男と知り合っては、
   「私が支えてあげないとこの人がダメになる!」って使命感で貢ぐことに喜びを感じるタイプだから。
   彼女は好きな相手を支える喜びと健気な恋愛をしている自分、さらに将来の大物を育てている優越感に酔えるし、俺は働かなくても生活できるしwin-winの関係よ。

槍沢:ツッコミとか関係なしに一発ぶん殴っていいですか? いくらなんでも彼女がかわいそうすぎるだろ!

栃城:そうは言うけれど、こっちも頑張ってペットらしくしてるんだよ!
   本当はバイトして自活できるのに全くできないふりっていう芸をしたりさ!

槍沢:女性特有の庇護欲をくすぐってんじゃないよ! そう言うのを芸とは呼ばないよ!

栃城:最近は意識して金にだらしなくなったし!

槍沢:なんの努力ですか!

栃城:ちょっとやそっとじゃ返せない額の借金も作ったさ!

槍沢:なにしてくれてるんだよ! なにちょっとやそっとじゃ返せない額って!

栃城:具体的に言うと、一千万……

槍沢:はあ!? どうするの、一千万の借金って!

栃城:いや、あくまでも生活力のないダメ男のふりをしているわけだから、実際はちゃんと考えてるわけよ。

槍沢:もう、ふりで済む次元じゃねえよ! 正真正銘のダメ男でしょ!

栃城:ちゃんと彼女に土日にバイト行かせたから大丈夫だよ。

槍沢:結局、彼女頼みか! 養うために頑張ってるだろうに、土日ぐらい休ませてやれよ! もうお前に敬語使うのやめるわ!

栃城:そういうわけで彼女のペットになるわけだけれど、彼女が実家暮らしだからお父さんとお母さんに挨拶はしておこうって思ってね。
   いまからシミュレーションするんでなにかアドバイスくださいよ。

槍沢:したかねえわそんな非人道的な漫才! あるとしたら、人生を見つめ直せ!

栃城:まず、シミュレーションの前に彼女の両親について説明すると職業は……

槍沢:そういう説明とかもいらないよ。シミュレーションって言うけれど、お父さんの行動なんて暴力沙汰一択だわ!
   自分に娘がいるとして、お前みたいな人がやってきたら湧きあがる破壊衝動を抑えられるわけがないわ。

栃城:なるほど……。殴られるのか……。ボクシングジムに通うことにするわ。

槍沢:なに、お父さん返り討ちにしようとしてるんだよ!
   そのボクシングジムの月謝も彼女持ちだろ? なに、彼女に自分のお父さん殴らせるための金を出させてるんだよ!

栃城:用心するに越したことはないでしょ。
   ……まあ、でも心配する必要はないと思うけれどね。僕のシミュレーションだと違う反応するはずだし。

槍沢:あんたの考えだと違う対応をすると。じゃあ、お父さんはなんて言うと思ってるわけ?

栃城:「…………因果なもんだな」

槍沢:……なにが? なんの因果があるの?

栃城:彼女のお父さんがペットショップを経営していて、
   今まで散々ペットを売ってきたら、最後には自分の娘がペットを飼うとは因果なものだな……。って言うと思って。

槍沢:言うわけないだろ! ウィットのある感慨にふける余裕ないわ!

栃城:で、彼女のお母さんが「二つの意味でアイガンね」って。

槍沢:なにが二つの意味なんだよ?

栃城:彼女のお母さんが愛眼に勤めていて、それで愛玩動物の愛玩と合わせて二つの意味でアイガンってことで。

槍沢:なんで、お前のシミュレーションだと彼女の両親は職業に掛けた上手いことを言うんだよ!

栃城:それをわかってもらうために職業から説明しようとしたのにお前が遮るから……。

槍沢:そんな風に繋がるなんて思わないもん! 
   でもって、両親の職業説明されてもこのシミュレーションを納得できるわけがないわ!

栃城:そして、それを見ていたおばあちゃんは「こんなに必死に頼むとは。二つの意味でアイガンね」。
   そこに現れたおじいちゃんは「…………因果なもんだな」。
   妹は妹で「♪Butterfly 今日は いままでの」
   小学生の弟は「この戦闘ロボはNASAが十億円掛けて作ったんだ! 強いんだぞ!」
   一方その頃、冒険家である俺の父親は南米はペルーで……

槍沢:いや、なんだよこのシミュレーション!
   まず、おばあちゃんが言ってるお母さんこと被っちゃったよ! 必死に頼み込む哀願と掛ってるわけね。
   で、おじいちゃんも言ってること被ってる! なんだこの似たもの家族!
   そして気が早いな妹! なんで結婚式ソング歌ってるんだよ!
   小学生の弟はなにも関係なくおもちゃか何かで遊んでいるだけでしょ。
   そしてトリッキーな仕事をしているお前の親父は関係ないだろ! 出してくるな余計な人間を!
   ……とにかく、絶対こんな会話ならないわ!

栃城:うーん……。生活のためになんとかペットとして家に置いてもらうことを認めてもらいたいんだけれどな……。

槍沢:じゃあ、まずペットになるっていう性根を直せ。
   ……どうしてもって言うんなら、今は仕事もしないで彼女の世話になっているけれど、本当は立派な青年なんですよって伝えるしかないんじゃない?

栃城:ああ、だったら大丈夫、大丈夫。俺、地元に銅像建ってるもん。

槍沢:どんな嘘だよ! ……というか、嘘が雑すぎだろ! 小学生でも言わないわ、銅像って!

栃城:本当だって! 一千万で銅像建てたもん!

槍沢:借金の使い道それかよ! なにに無駄遣いしてるんだよ!
   というか、そもそもお前が勝手に建てたんでだから、それを持って立派な人間だと証明する証拠にはならないよ。

栃城:そうか……。ま、いいや。彼女がフォローしてくれるだろうし。

槍沢:フォローって言うけど、限度ってものが……

栃城:「おとん、おかん。安心してえな。この人はウチが支えたるさかい」って。

槍沢:彼女関西人なの?

栃城:ああ、言ってなかったな。
   じゃあ、彼女の説明をすると定職には就いていなくて、芸能人で言うと安藤サクラに似てて……

槍沢:ちょっと待て! ちょっと待て! ちょっと待て!

栃城:どうしたの急に食いついて? 安藤サクラ好き? 言っておくけど、紹介はしないからな!

槍沢:そこじゃないわ! ある映画でブスでバカでワキガな女を演じた女優に似ているって言われても惹かれないわ!
   そうじゃなくてさ、……彼女働いてないの!? じゃあ、彼女はどうやって生活してるの!?

栃城:親からのお小遣いだね。

槍沢:クズじゃねえかよ! なんだよそれ、彼女も親のペットみたいなもんじゃん!

栃城:おい、ペットってことはないだろ! ちゃんとパチンコやパチスロで収入を増やそうと頑張ってるんだぞ!

槍沢:余計クズじゃねえかよ! なんだよ、じゃあお前の彼女はパチプロなのか?

栃城:プロってほどではないね。収益でるのは十回に一回ぐらいだし。

槍沢:ただのカモじゃねえかよ! ただただ店の利益に貢献しているだけだろ! 働けよちゃんと!
   ……ああ、でも最近はお前の借金返すためにバイト始めたんだっけ?

栃城:ああ、さっきも言ったように土日はバイトを始めたよ。

槍沢:もっと働けるだろ! 平日も働けよ!

栃城:これまで平日しか打ってなかったパチンコとパチスロを土日にもやるようになったんだよ!

槍沢:仕事じゃねえだろ! 余計、深みにはまっただけだろ! 

栃城:本当は週末ぐらいは休みたいところをグッとこらえてバイトに出かけてるのよ。

槍沢:平日も休んでるだろ! 365連休しておいて週末を特別視するなよな!
   とにかく、ペットなんて絶対ダメだろ! 彼女も働いていないのにさらに初対面の男がペットにしてくださいって、僕が親なら彼女も含めて暴力沙汰だわ。

栃城:そうか……。じゃあ、彼女と一緒にボクシングジムに通うか。

槍沢:だから返り討ちにしようとするなよ! ていうか、彼女経由で彼女のお父さんからもらった金を彼女のお父さんを痛めつけるのに使うなよ。

栃城:……ペットを認めてもらうにはどうしたものか。まあでも、なんだかんだで孫の顔を観れば全部許すか。

槍沢:お前、いよいよ性根が腐り果てたな!

栃城:違うよ、俺のアイディアじゃないよ。彼女が勧めてくるんだよ。お父さんもそれでうまく行ったから大丈夫だよって。

槍沢:ちょっと、ちょっと、どういうこと!?

栃城:彼女のお父さんも、ペットショップの一人娘だったお母さんのヒモで結婚したかったんだけれど認めてもらえなくて、
   だったら孫の顔を見たら納得するしかないだろうって、彼女を産ませて認めてもらったことがあるんだって。

槍沢:彼女のお父さんもクズじゃねえかよ! なんだよ、この登場人物全員に感情移入できない話!

栃城:だから彼女のおじいちゃんは「…………因果なもんだな」って言うかなと。

槍沢:さっきのセリフそういう意味だったのかよ!
   でも、いくら子供ができても借金抱えてるような男を婿には入れないだろ。

栃城:そうだよな……借金をなんとかしないと。よし! 彼女の妹に頼むか。

槍沢:なに、彼女の妹まで巻き込んでるんだよ! ていうか、彼女の妹も一千万どうこうできるわけないだろ。

栃城:大丈夫だと思うよ。彼女の妹、木村カエラだし。

槍沢:本当かよ!? え、だからシミュレーションで唐突にButterfly歌ってたの!?

栃城:そうだよ。まあ、でも木村カエラって言っても、あっちよ。ものまねパブで営業回ってる方の木村カエラよ。

槍沢:じゃ、木村カエラじゃねえよ! ものまねパブの人じゃん! どうせ木村カポエイラとかそんな名前なんだろ!

栃城:惜しい! 木村ポルシェ・カレラGT

槍沢:どうでもいいわ! ものまねパブの人の芸名どうでもいいわ!
   ポルシェが先に来ちゃってるからあんまり掛ってる感じがしないのも含めてどうでもいいわ!

栃城:それに、最悪の場合は銅像使って脅せばいいし。

槍沢:脅すのが最低なのは置いておくとしても、銅像ってあなたが借金して作ったやつでしょ。どうやって脅せるんだよ?

栃城:俺の銅像は一見するとただの銅像なんだけれど、実はNASAが開発した戦闘ロボでロケット砲とかミサイルとか搭載してあるのよ。で、それで……

槍沢:ちょっと待て、ちょっ待て。まさかと思うが、さっきのシミュレーションで彼女の弟が遊んでた? でも、あれ十億って……。

栃城:ああ、俺の借金の一千万って一千万「ドル」の方よ。

槍沢:ドル!? ドル!? お前どうするんだよ本当に!? 何十回生まれ変わっても返せない額だろ!
   そしてお前は十億円をいちものまねパブの出演者木村ポルシェ・カレラGTになんとかしてもらおうとしたのかよ!

栃城:まあでも、俺の親父が遺跡のなかで数十億はする古代文明の財宝を発見してくれるからなんとかなるよ。
   それで財宝をを見つけた親父が言うわけよ。「この財宝、インカのものだな」

槍沢:やかましいわ! 都合のいい妄想も、因果とインカのダジャレもやかましいわ!

栃城:とにかくこういう風に挨拶したいんだけれど上手くいくかな?

槍沢:真面目に生きろ! いい加減にしろ!

二人:ありがとうございました。


X子:ありがとうございました。

Y美:では、久々の審査員となる利根川さん、いかがでしょうか?

 
・ネタの作りの上手さとボケの馬鹿馬鹿しさがいい塩梅で面白かったです。
 木村ポルシェ・カレラGTとかバカかよって思いました。
 中盤の彼女の親族たちがまいた伏線が終盤にボケとして収束していく様は読んでいて一種の快感すら感じました。

 ちょっと意地悪な見方をすると、前半の栃城の「貢ぐ女と貢がれる男」っていうスタンスは笑えるんだけど、
 後半の彼女と彼女の親父のクズっぷりはちょっとエグくて笑いづらいかな。
 あと一千万のくだりは単位をつけてない時点で意地の悪い読み手は後々の伏線になっていると勘ぐってしまう。
 ただインカまで繋げてくるあたりは流石の手腕。

 全体的によく書けているし、それに見合った笑いを伴っているネタだったと思います。


X子:ふむふむ。比較的高得点が期待できそうですね。

Y美:続きまして、FANさんはいかがでしょう?

 
・お母さんが愛眼に勤めているの、めっちゃ笑った…
 あと木村カポエイラもめっちゃ笑った…
 今大会のネタで一番ちゃんと(声を上げて)笑いました。
 最初ゲスいというか笑いにくい題材だなと思ったんですが全然そんなことなかった。


X子:おお、これは大ウケしてそうな感じですね。

Y美:それでは最後にけうけげんさん、いかがでしょうか?


・清々しいほどのクズという言葉はありますが、クズネタで清々しくなったのは初体験です。
 これは凄い。何が凄いって次から次へと明かされるクズのラッシュが物凄い。
 ボケ一つ一つがパンチ効いてますし、それらがオチに向かってどんどん収束していく様が気持ちいい。
 「木村ポルシェカレラGT」「因果なものだな」などのキラーワードにもハズレが無く、オチも無難ながらスムーズ。
 多少伏線を狙いすぎて外したボケもありましたが、文句なしのクオリティーでした。
 今回の中で一番面白いと思ったため、最高得点をつけさせていただきます。


X子:おお!「最高得点」という言葉が出ましたよ!



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、4組目はこの方たちです!


今なお消えない二回戦敗退の屈辱――彼らにとってはそれすらも頂点へ立つための布石でしかない。
リベンジを誓う大舞台。名コンダクターの元で騒と躁の二重奏が鳴り響く!
エントリーNo.026 「華やかなる漫才の饗宴」
PARTY NOISE
movie×future×crasher
鳴子:我々は未来から来た漫才師です。

神崎:はいどーもPARTY NOISEでーす! よろしくお願いしまーす! 現代人でーす!

鳴子:アサヒビール本社の屋上にウンコみたいなヤツあるでしょう? あれがタイムマシンです。

神崎:アサヒビールの関係者の皆様ごめんなさーい! あとでクリアアサヒ箱で買うんで許してくださーい!

鳴子:さぁ頑張っていきましょうね神崎君!
   独裁者によって娯楽のない管理国家になったネオ日本を笑いで救うために漫才頑張りましょうね!

神崎:巻き込まないでよー。そんなB級SFみたいな宿命背負ってしゃべくってないよー。

鳴子:それにしても、この時代の人々はまだ腕が2本しか無いんですね?

神崎:未来が怖いよー。日本はどんなもののけ国家になっちゃってるんだよー。
   鳴子ちゃん、そういうたわごとは帰りの電車で聞くからさ。ちゃんと漫才しよう。

鳴子:そうですね、それではギャルの投げ飛ばし方の話でもしましょうか。

神崎:興味も需要もありゃしないよー。そういうのじゃなくて、もっと皆さんが興味のある話をしないと。

鳴子:ギャルは下手に掴むとパネェパネェわめきますからね、まずは打撃で弱らせて……。

神崎:ちょっとは取り合ってよー。ギャルを何だと思ってるのさー。

鳴子:1、2本目の腕で打撃、3、4本目の腕でガードをして、5、6本目の腕でガシッと掴んで……。

神崎:2本しかないよー。残念ながらこの時代の人々の腕は2本しかないよー。

鳴子:なっ……だったら皆さん、四方を洗濯物に囲まれた時はどう対処するんですか!?

神崎:1個ずつたたむよー。未来の主婦も相変わらず家業に追われてるんだねー。もういいよ、僕が話すよ。

鳴子:おっと、もしや神崎君のすべらない話、「みかんかと思ったら不発弾だった話」ですか?

神崎:そんな珍エピソード持ち合わせてないよー。
   あのね、僕映画館で映画を見るのが好きなんだけどさ。

鳴子:わぁ奇遇ですね。私も映画館で騒ぐ子どもたちにポップコーン投げつけるの好きです。

神崎:仲間面しないでよー。楽しみ方が光年単位でかけ離れてるよー。
   まぁ映画見るの好きなんだけど、ひとつ要らないなと思うものがあってね。

鳴子:要らないもの? 何ですか、鼻とかですか?

神崎:要るよー。身体のパーツはだいたい要るよー。

鳴子:鼻なんて顔面床に叩きつけられた時に真っ先に折れちゃうから要らないですよね?

神崎:それで「あるあるー!」とか言う界隈無いよー。どんな緊急事態を想定してるんだよー。

鳴子:そんな鼻はこうバッと取ってですね、ギャルにピュッと投げつけてですね! 怯んだすきにガシッ、ビターン!!

神崎:ギャルいいよー。みんな鼻は取れないしギャルとも戦わないんだよー。

鳴子:「ちょ、鼻投げるとかパネェ! マジヤヴァくね!? ゲロゲロゲロゲロ!」

神崎:投げられたギャルやらなくていいよー。色んな世代が入り混じるギャルやらなくていいよー。
   そうじゃなくてさ、僕が要らないと思ってるのは、本編の前の長い予告編ね。

鳴子:よこくへん!? 何それパナくねさげポヨでゲロゲロゲロゲロ!!

神崎:帰ってきてよー。いつものエキセントリックな鳴子ちゃんに戻ってちょうだいよー。

鳴子:ハッ! す、すいませんナルコ、我を忘れていたナルコ……!!

神崎:そんなキャラだったっけー。そんな語尾だけで個性を表すキャラだったっけー。

鳴子:まあ、話はだいたいわかりましたよ。昔映画泥棒に親戚一同寝取られたって話でしょう?

神崎:わかってないよー。そんな事案発生してたら僕は映画館を爆破して回るテロリストになってるよー。
   そうじゃなくて、映画の前の長い予告編は要らないんじゃないかって話。

鳴子:何言ってるんですか、予告編が無かったら何を映画館で見ろと言うのですか!!

神崎:本編見なよー。メインディッシュが残ってるよー。

鳴子:あの予告編の時間があるから、本編が始まる前に騒ぎそうな子どもに目星をつけられるんじゃないですか!

神崎:その活用法は鳴子ちゃん独自だよー。ロックオンのために予告編は垂れ流されてないんだよー。
   だってさ、映画見る前に興味無い予告編見せられたら、本編始まる前に眠くなっちゃわない?

鳴子:な、何言ってるんですか! 映画館で寝るとか逮捕されるじゃないですか!

神崎:どこの法律だよー。鳴子ちゃんを取り巻くルールは僕とは違うのかなー。

鳴子:映画館で寝たら3年以下の懲役もしくは10万円以下の罰金って、2年前の2026年に定められたじゃないですか!

神崎:そういや僕達未来人だっけー。意外と近い未来だったんだねー。

鳴子:映画上映中に少しでもウトウトしようものなら、すぐさま未来警察がジープに乗ってしょっぴきに来ますよ!

神崎:何に税金使ってんだよ2028年ー。そんな世界があと10年ちょいで到来とかホラーだよー。

鳴子:そんな世界を変えるため、我々はウンコに乗ってこの時代に来たんでしょう!?

神崎:アサヒさん本当にすいませーん! ストロングレフルでブッ飛ばされても文句言いませーん!

鳴子:それにしても、この時代の人々はまだアゴが1つしか無いんですね?

神崎:話戻そっかー。一旦その未来予想図は破り捨てておこうかー。

鳴子:おっとすいません……えっと、ピクサーの電気スタンドに親戚一同寝取られた話でしたっけ?

神崎:何でいちいち映画の前のヤツに親戚一同寝取らせるんだよー。予告編の話だから。

鳴子:ハッ、そうでした! 予告編をないがしろにするなんて、お天道様が許してもお竹林鳴子が許しませんよ!!

神崎:話聞く限りじゃ鳴子ちゃんもろくに予告編見てなかったけどー。ただただ子どもたちを凝視してただけだけどー。

鳴子:こうなったら神崎君、私と一緒に映画館に行きましょう! 
   神崎君が予告編で寝そうになったら、私が叩き起こしてくれてやりますよ! バチコーンと!

神崎:えー、やだよー。だって鳴子ちゃん上映中にポップコーンぶちまけるんでしょー?

鳴子:安心してください。私の技術なら神崎君をかわしてポップコーンを投げることなど造作もないこと。

神崎:まずポップコーン投げないでほしいんだけどー。当たる当たらないが問題じゃないんだけどー。

鳴子:とにかく行きましょうよ! 断られたら私はショックで白目剥いて死にますよ!?

神崎:どんだけメンタル弱いんだよー。わかったよ、じゃあ一緒に映画館を見に来たってことで、今からやってみよう。

鳴子:合点承知ですとも。あ、何を見に来たことにします? ナウシカ?

神崎:今映画館でやってないよー。ナウシカ見たけりゃ金曜ロードショーで間に合うよー。
   映画のチョイスは鳴子ちゃんに任せるから。それじゃ始めようか。

鳴子:了解です。さぁ、楽しい漫才コントのスタートです! 見てなさいよ未来独裁者ポコポコ太郎!

神崎:未来はずいぶんひょうきんなやつに独裁されてんだねー。





鳴子:いやはや神崎君、そろそろ「みかんかと思ったら不発弾だった話 〜THE MOVIE〜」が始まりますね!

神崎:そうだねー。まさか僕のすべらない話が映画化されるとは思わなかったなー。

鳴子:私もビックリですよ、まさか宮崎駿の最新作が神崎君のすべらない話だとは。

神崎:しかもまさかのジブリアニメかー。そんでもって宮崎監督案の定引退しなかったんだー。

鳴子:そんなことよりそろそろ始まりますよ。ちゃんとポップコーン3袋買ってきましたか?

神崎:どんだけ投げつけるつもりなんだよー。何が君の原動力なんだよー。

鳴子:ふっふっふ……あの坊主の子とか、ポップコーン当たったらいい声で鳴きそうですねぇ……ジュルリ……。

神崎:早速品定め始めたよー。おや、そうこうしてるうちに予告編が始まった。
   うわっ、外国のつまんなそうなラブストーリーの予告編だー。眠いよー、助けて鳴子ちゃーん。

鳴子:えへへ、あのメガネの女の子も当てがいがありそうですねぇ……!!
  その後ろの襟足長い男の子も……あっ、ダメだ、隣の父親にタトゥー入ってる……!!

神崎:何しに来たんだこの子ー。叩き起こしてくれんじゃないのかよー。ウトウト……。

鳴子:もうこれはポップコーンじゃ足りない! 神崎君、農家から取れたてのトウモロコシを……ちょっ、何やってんですか!?

神崎:こっちのセリフだよー。何やってんだよ、眠い僕をほったらかして何やろうとしてんだよー。

鳴子:映画館で寝るとか、神崎君には常識が無いんですか!?

神崎:こっちのセリフだってー。ポップコーンテロリストに常識語られたくないってー。

鳴子:そんなことしてたら、未来警察が神崎君を捕らえに!
   「バーン! 睡眠者を探知した、これより捕縛を開始する」
   くっ、来たわね、ポコポコ太郎の手先めが!!

神崎:あれこれ何が起きてんのー? いつの間に僕は未来の世界にやって来たのー?

鳴子:「映画見てる最中に寝るなんてパネェ!! マジでヤヴァくねゲロゲロゲロゲロ!!」

神崎:何で未来警察ギャルなんだよー。未来の採用基準なんなんだよー。

鳴子:気をつけてください! 未来警察に捕まったら顔面床に叩きつけられて鼻折られますよ!

神崎:だから鼻不要説唱えてたんだー。どんどん点と点が線になってゆくー。

鳴子:させません、神崎君は私が守る! ハーッ、ニョキニョキっ!! ニョキニョキニョキニョキっ!!

神崎:うわっ、鳴子ちゃんの身体中から無数の腕が! なんてポップコーンをばらまきやすそうなんだ!!

鳴子:「上等!! ポコポコ太郎様に歯向かう者は鼻をへし折ってゲロゲロゲロゲロ!!」(バッ)
   かかってきなさいナルコ、へし折られる前に鼻もぎ取ってやるナルコナルコナルコナルコ!!(ダッ)

神崎:なっ、鳴子ちゃん!? 鳴子ちゃぁぁぁーーーーーん!!!

鳴子:―――――こうして始まった、未来政府との戦い――――

、   ―――――神崎と鳴子は、果たしてポコポコ太郎を打倒し、未来を変えられるのか―――――

   ―――――そして東映の波しぶきに寝取られた神崎の親戚一同は帰ってくるのか―――――



 「 み か ん か と 思 っ た ら 不 発 弾 だ っ た 話  〜THE MOVIE〜 」

     ―――― coming soon ――――



神崎:え、これ全部予告編だったの!? 僕のすべらない話ってこんな壮大だったの!?

鳴子:今劇場に来れば、もれなく鳴子の鼻ストラップ貰えるよ!

神崎:ほとばしるほど要らないよー。何の集客効果も見込めないよー。

鳴子:おやおや、さっきと言ってることが変わってますよ……? 鼻は要るんじゃなかったんですか……!?(にやーり)

神崎:してやったりみたいな雰囲気出すなよー。めっちゃムカつくよー。

鳴子:さぁ神崎君、これでわかったでしょう? 予告編の素晴らしさ、そして鼻の不要性が!! ばばーん!!

神崎:ばばーんじゃないよー。伝わってこないよー、鳴子ちゃんの突飛っぷりしか伝わってこなかったよー。

鳴子:つ、伝わらないですって……!? あっ、あばばばば……!!!(白目)

神崎:メンタルの弱さが出てるよー。急にこっちが加害者にされちゃったよー。
   もういいよ、とりあえず謝ろう? さんざんふざけ散らかしたことを皆さんに謝ろう?

鳴子:わかりました……皆様、屋上のオブジェをウンコとか言ってすいませんでした!

神崎:今更アサヒビールに謝んのかよー! いいかげんにしちゃってよー。

2人:どーもありがとーございましたー。


X子:ありがとうございました。

Y美:まず夏草さん、いかがでしょうか?

 
・ボケの方向性がアポロと似てなくもないけど、少なくともこのツッコミが必要性を持っている漫才になっている。
 パーソナリティの確立のさせ方が見事。


X子:なるほど。これは褒めてると言えるのではないでしょうか。

Y美:続きまして、星野流人さんはいかがでしょう?

 
・おもしろかったけど、なんか素直に高得点のつけにくい漫才だったな……。
 鳴子さんの暴走しがちなボケを神崎さんがうまく操縦しているようで操縦しきれておらず、ところどころでポカンとしてしまいました。
 鳴子さんたちは未来から来た(と自称している)のに、腕が2本でアゴが2つなのはなぜでしょうか。(神崎さんのツッコミより、ちゃんと人間が漫才してると想定しています)
 刹那的にボケているように見えて、クライマックスでいくつかのボケが繋がっていくのには構成の上手さを感じました。
 まぁ、話が脱線しまくりだった分、クライマックスでちょっとまとめたくらいではもう手遅れなレベルの支離滅裂な漫才になっていたんですがね……
 しかしそんな細かい話を全部吹っ飛ばすほど個々のボケがおもしろかったので、なんかもうしゃーないな、ここまで強引に寄り切られたら高得点つけざるを得ないわな、って感じでした
 

X子:おおー。なんだかんだで超高得点が付いてそうな雰囲気ですね。

Y美:それでは最後に御当人のけうけげんさん、いかがでしょうか?

・前回の悪夢を振り払うことだけを目標に送り込みました。
 これでダメなら、またツイッターでシンドロームすることになります。
 そしてまた一辺さんと利根川さんに弄ばれるのです。あの性欲チェーンソーが。


X子:そんな利根川さんが決勝審査員となりましたが、果たしてどうなったでしょうか…



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:5組目はこの方たちです!


余剰なしの不条理なやりとりが笑いを巻き起こし決勝に初進出。
さあ、見届けよう。灯風の影に隠れた最強の伏兵が、主役の座に躍り出る瞬間を!
エントリーNo.039 「空転するパラドックスショータイム」
前髪
鉛筆の持ち方
 樹木:どうもー前髪です!よろしくお願いします!

五月雨:お願いしまーす。

 樹木:いやー突然ですけど、最近悩んでいることがあるんですよ。

五月雨:なんでしょう。

 樹木:俺、鉛筆の持ち方がヘンってよく言われれるんですよね。

五月雨:なるほど。そう思って、今夜は鉛筆の持ち方に大変お詳しい五月雨知さんにお越しいただきました。

 樹木:なにそのクローズアップ現代みたいの!…でもまあ、鉛筆の正しい持ち方は知りたいんで教えて下さいよ。

五月雨:で、樹木さんはどっちの流派なの?

 樹木:…は!?流派って何!?

五月雨:鉛筆の持ち方には2つの流派があるんだよ、え、知らないの!?今までどうやって鉛筆かじってきたの!?

 樹木:かじってはねえよ。小学校だとそんな奴いたけど。…その2つの流派ってなんです?

五月雨:「鉛筆持つ派」と「鉛筆持たない派」だよ。

 樹木:クソかよ。

五月雨:で、樹木さんはどっち?

 樹木:鉛筆持つ派に決まってるだろ!!

五月雨:なるほど〜、そういうやり方もあるよね。

 樹木:いやそれしかねえだろ!?鉛筆の持ち方っつってんのにその2択なんなんだよ!?

五月雨:持たない派に転向する?

 樹木:しねえよ!しねぇっつぅか原理的に出来ねえよ!!持つ派のやつ教えてくださいよ!!

五月雨:あー持つ派の持ち方ね。

 樹木:“持つ派の持ち方”の時点でいろいろ破綻してるけどな。

五月雨:ただね、持つ派の中でも派閥が分かれてるんだよ。

 樹木:また分かれてんのかよ!

五月雨:持つ派は人が多いから、また細分化されてるんだよ。

 樹木:まず持たない派っているの?…で、今度はどう分かれてるんだよ。

五月雨:「鉛筆持つ派」と「鉛筆持たない派」だよ。

 樹木:クソかよ。…いやクソでもねえよどゆこと!?え!?

五月雨:で、樹木さんは?

 樹木:持つ派だよ!!持つ派でしかねえよ!!

五月雨:そっちか〜、樹木さんらしいや。

 樹木:らしさとかいう問題じゃねえよ!根本!!
    …あのさ、最初「鉛筆持つ派」と「鉛筆持たない派」で分かれてたわけでしょ?
    その「鉛筆持つ派」が、また「鉛筆持つ派」と「鉛筆持たない派」に分かれてるってどういうことだよ!?
    「鉛筆持つ派」には「鉛筆持つ派」しかいないはずだろ!?だから

五月雨:でその「鉛筆持つ派」の中でもまた派閥が分かれててね。

 樹木:聞けよ!!しっかり論理的にツッコんでるとこだよ今は!!

五月雨:「鉛筆持つ派」と「その他」なんだけど。

 樹木:その他!?その他って何だよ!?

五月雨:樹木さんは「その他」ですかね?

 樹木:持つ派だよ!!3回目だよ覚えろよ!!

五月雨:えー、「その他」は最大派閥なのに。

 樹木:「その他」が一番多いのもどうなんだよ。…いやそこだけじゃねえよ!
    「鉛筆持つ派」「鉛筆持たない派」で100パー説明できるんだよ!なんでわざわざ「その他」にしちゃったんだよ!!
    「鉛筆持つ派」以外は「鉛筆持たない派」でしかないからその「その他」は「鉛筆持たない派」でしかないよ!!
    いいことと言えば文字数がガッツリ減ったぐらいだよ!!…なんだそれ!!

五月雨:それでね、「その他」もまた派閥が分かれててね。

 樹木:なんで「その他」前提になってんだよ!!持つ派っつっただろ!!
    ……そもそも「その他」がまた分かれるんだったら最初から分けとけよ!!

五月雨:「YES」or「NO」なんだけどね。

 樹木:何の!?何のYESと何のNOなの!?

五月雨:樹木さんは当然「NO」ですよね。

 樹木:何で!?当然の意味がわかんねえんだよ!!

五月雨:え、じゃあ「YES」なんですか!?

 樹木:……持つ派だよ!!YESとかNOとかじゃなくて持つ派だよ!!
    いやその「YES」とか「NO」って何なんだよ!前提となる質問があって、「YES」と「NO」ならわかるよ?
    でも質問もなしに「YES」とか「NO」はおかしいだろ!?…「YES」と「NO」は一人じゃ生きていけねえんだよ!!

五月雨:前問で「YES」と答えた方に質問です。

 樹木:アンケートみたいになってる!!

五月雨:「YES」or「YEAH」。

 樹木:「YEAH」って何だよ!!ノリの良さしかねえよこの選択肢!!
    てかそもそも「YES」と答えた人なんだから皆「YES」だろうが!!
    ……いやまず俺は「YES」とも答えてねえよ!!……そして何に対してYESなんだよ!!

五月雨:残念ながら「YES」と答えた方はご着席くださいー。

 樹木:クイズ番組!?そして「YES」は不正解側なの?

五月雨:……着席してくつろいで頂いた上で次の質問です。

 樹木:そういう配慮なのかよ。

五月雨:モンゴル人と肌布団を取り合ったことがありますか?

 樹木:急にどうしたんだよ!!

五月雨:「YES」or「YEAH」。

 樹木:「NO」ねえのかよ!!「YEAH」の奴は何なんだよ取り合って楽しかったのかよ!!

五月雨:「YEAH」と答えた方に質問です。

 樹木:だから答えてねえよ!

五月雨:……それそんなに楽しいの?

 樹木:知らねえよ!!なぜなら、やったことがないから!!

五月雨:……はいわかりました。以上の質問からなにがわかるかというと……

 樹木:心理テストになってるじゃねえか!!しかも何も答えてないって!!

五月雨:あなたは……「鉛筆持つ派」ですね。

 樹木:最初からそう言ってるだろ!!最初から!!

五月雨:「持たないよりの持つ派」ですね。

 樹木:持たないよりって何だよ!!持つんだよ!!

五月雨:もはや「持たない派」ですね。

 樹木:違ぇよ!!暴論ですり替えんなよ!!

五月雨:なるほど〜、樹木さん「鉛筆持たない派」なんですね。

 樹木:だから違うって!!んで持たない派はさらに分かれてたりしないのかよ!
    …そもそも、鉛筆持たない派の鉛筆の使い方ってどんなんなんだよ?いろいろ矛盾してるんだよ!

五月雨:では、「鉛筆持たない派」の鉛筆の正しい持ち方を教えてあげましょう。

 樹木:おう教えてくれ!

五月雨:まず、鉛筆を持ちます。

 樹木:持ってんじゃねえかバカ!!いいかげんにしろ!!

お二人:ありがとうございました。


X子:ありがとうございました。

Y美:ステーヴンV世さん、いかがでしょうか?

 
・「発想の勝利」って言葉があったりしますけど、このネタがまさしくそれだと思います。
 この発想が出てきた時点でもうかなりの物だと思うんですが、ネタ運びもすごく面白いです。
 ずーっと笑って笑って、オチがバシっと決まっていたので読後感も凄く良かったです。
 一番笑いました。


X子:おお、「一番笑いました」頂きました!

Y美:続きまして、利根川さんはいかがでしょう?

 
・「樹木:クソかよ。」でクソ笑ってしまいました。
 ボケが(直訳的な意味ではなくて)クソだなと思ってたところを端的に表現してくれて僕はこのネタの一気に引きこまれました
 なんか上手く要点を捉えられてない気もしないでもないけど感覚的に読んでて面白かったです。

 持つ派の持たない派からのYEAHまでの展開のフレキシブルなところも良かったです
 オチの心地よさは今回のネタの中でもトップだと思います。久々に良いバカが見れました。


X子:おお、こちらも「トップクラス」という言葉が出ましたよ!

Y美:続きまして、星野流人さんはいかがでしょう?

 
・なんだそら笑うわ。
 細かな技術もなんもあったもんじゃなく、力業で強引に笑わされたような印象ですね。(褒)
 持つ持たないだけの話で100行費やせるとか、どんだけ奇抜な視点を持ってるんでしょうか。
 オチまで含めて、実に綺麗に仕上げられた作品でした。
 ほぼ似たようなことを繰り返すだけでここまですごいネタができるか。
 大変楽しく拝見させていただきました。


X子:こちらもかなりの高評価のようですね!

Y美:せっかくなので、ご本人のFANさんにもコメントを頂きましょう。

 
・---


X子:ってこれ、自分のネタだからコメント入れなかったやつーーーーー!!



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、6組目はこの方たちです!

後半戦に続く