第14回MM−1グランプリ





THE FINAL ROUND!!











X子:はいどうもー!
   決勝戦の司会を務めます「乙女の方程式」です!
   それではさっそく1組目の方にネタを披露していただきましょう。

Y美:こんな大事な場面で前回と全く同じ台詞ってどうなの!?
   とりあえず以降のページは手抜きじゃないですよってことだけはお伝えしたうえで…
   トップバッターは、MM−1初参戦のこのコンビです、どうぞ!

形式やキャラクターに縛られない衝撃のフリースタイル漫才で決勝に殴りこんだ。
さあ、刮目せよ。過去二組の王者を輩出した名門から、今宵、最強の漫才師が生まれる!
エントリーNo.044 「問答無用のバーリトゥーダー」
ヒコーキ
最強の象
A:どうもー、ヒコーキです。でかい亀の上からよろしくお願いします。

B:頑張っていきましょう。

A:最強の象の話なんだが。

B:前置きとか特に無いのはお前の最悪なところ。

A:俺、動物園が好きでさ。

B:好きなものがあると人生が豊かになるよね。

A:あまりにも動物園が好きだからずっとZOO KEEPERやってるよ。

B:動物園のパズルゲームだな。

A:もう日がな一日動物を並べては消してますよ。

B:並べて消すって聞くと、イスラム過激派の処刑みたいで物々しいけどね。

A:だから昨日も行ってきたんですよ、築地に。

B:そういうトリッキーなところ直せって再三言ったよね。

A:そう、魚市場ですよ〜〜〜!

B:心踊るタイミングがおかしいと思え。

A:その日のセリの目玉は海のダイヤとも呼ばれる、クロマグロですよ。

B:クロマグロは、1匹何百万とするよね。

A:俺もセリに参加しましたよ。

B:何百万とするって言ったばかりなんだが?

A:だから、払えもしないのにガンガン高値をつけて釣り上げて行ったんですよ。1000万! 1000万と5円! 8000万! 8000万と5円!

B:5円刻みで食らいついてるやつ誰なんだよ。

A:弟だよ。

B:家族ぐるみの狂気かよ。身内で払えもしない金額に釣り上げてどうすんだ。

A:俺と弟のデッドヒートはどんどん続いていく。15億! 15億と2円! 60億! 60億と1円!

B:弟ちょっと怖気付いてきてんじゃねえか。

A:そこを最強の象が500兆円で競り落としたんだよ。

B:ここで象登場かよ! ……いやここで象登場なのかよ!

A:そう、これは……高角度から最強の象が現れるという全く新しい漫才なんですよ!

B:全部言うとかお前いかれてんのかよ。

A:しかし、500兆円……! 払えない……!

B:お前はずっと払えないマンだったよ。

A:だけど、そこで俺は思ったんだ。いかに最強の象と言えど、たかが動物が500兆円も用意できるはずがない。バカめ! そこが畜生の浅ましさよ!

B:お前勝ち誇れる立場にないだろ。

A:だけどその反面、俺は怖かったんだ。最強の象が、もしも500兆円持ってたらどうしようって。

B:まあ分からないけど、気持ち分かるよ。

A:いや、だが待て。そんなはずはない。そんなバカな事は起こり得ない。そして、万に一つそんな事が起きたら、俺と弟は最強の象の奴隷になっても構わないと、固く決意したよ。

B:お前弟を自分の持ち物か何かだと思ってんだろ。

A:すると最強の象は、その大きな耳から札束をばっさばっさ出してきたんだ……!

B:何そのボーナスステージみたいな光景。

A:その札束は明らかに500兆円ぴったりだった。一目でわかったよ。

B:なんで一目でわかるんだよ。

A:500兆枚綴りだったからだよ!

B:例えそんな回数券みたいになっても分かんねえよ。耳の中に造幣局でも建ててんのかそいつ。

A:まあ、とにかく。俺と弟の人生は、ここで終わりを告げたよ。

B:象の奴隷だもんな。

A:俺と弟は、象の奴隷強制収容所へと連れて行かれることとなった。

B:何だその怖すぎる施設。

A:そこには、俺達と同じ象の奴隷が沢山いたよ……。

B:なんで沢山いるんだよ。俺が知らないだけで、意外と象の奴隷メジャーなのかよ。

A:象の奴隷が自由気ままに楽しく過ごしてたよ。

B:強制収容施設じゃないのかよ。何だその楽園みたいなの。

A:象の奴隷は、象の奴隷でいることが最上の幸せになるように精神を書き換えられるんだよ。

B:人としての尊厳奪われてるじゃねえか。それが幸せに見えるとか、目でも腐ってるのかよ。

A:でも俺精神書き換えられてるし。

B:ちゃんと人生終わってんのかよ。象ってとんでもない生き物だな。

A:まあ、そんなわけでやたら鼻の長いスフィンクス、通称パオンクスを建てる作業をしながら楽しく日々を過ごしていたよ。

B:しっかり奴隷してるんだな。

A:やがて、でかい石を引きながら俺は考えた。あれ、俺はなぜこんな事をしているんだろう。おしっこしたい。俺の幸せはこんな事だったっけ。おしっこしたい。

B:尿意に意識が半ば支配されてるじゃねえか。

A:最強の象はそんな俺を見て、「おしっこをやめろ」と言ったよ。

B:尿に完全敗北するなよ。

A:そして俺は思った。お漏らしをしたのは象のせいだ。象を倒そう。象をやっつけよう。……俺は、戦うことを誓ったよ。

B:確かに、理由はどれだけみすぼらしくても、人間が馬鹿にされるのは嫌だよな。

A:最強の象の倒し方、最強の象の倒し方……。一日中考えた。一日中、弟の引っ張る石の上で考えたよ。

B:お前、本当に弟を何だと思ってるんだよ。

A:二親等。

B:聞いていない事を言う天才だなお前は。

A:そして、閃いたよ! 俺の頭の上で、電球が大爆発した!

B:そこはせめて発光に留めておけよ。

A:最強の象を倒すには……最強の象を、並べて消せばいい!!

B:出ましたゲーム脳。

A:そう、ZOO KEEPERのように、象を並べて、アサルトライフルで並べて消せば良いんだ!

B:ZOO KEEPERそんな物騒なゲームだったのかよ。KITERETSUの極みだな。

A:そして俺は、収容所を抜け出して旅に出た……。弟の引っ張るでかい石に乗って……!

B:弟を正気に戻すほうが先では?

A:俺は世界を回った……。しかし、地球を5周したところで、とんでもない問題に気がついたのだ……。

B:第三者的意見を言わせてもらえれば、パスポート持ってないお前が地球を5周したことが問題。

A:俺は気づかなかった。最強は、唯一無二のものなんだ。最強が並ぶ事なんか、無い。

B:まあ日本語的解釈をすればな。

A:俺は絶望した。絶望の海に深く沈んでいった。……気付けば弟は既に石と同化して石人間になっていたよ。

B:何でお前を運ぶ事にのみ特化した生き物になってるんだ。

A:しかし、そこで、俺はもう一度閃いた! 俺の頭の上で、電球が超新星爆発を起こした!

B:お前の電球どうかしてんじゃねえか?

A:象になろう。俺が最強の象になって、見返してやろう。

B:何その面倒臭い女みたいな発想。

A:そこから俺の象になる修業が始まった……。

B:努力の方向性やばくね?

A:そして、俺は……最強の象になった。

B:過程とか無いのかよ。

A:……最強の象に並んだ。築地で金とか出してた最強の象、俺、そしてお前……三頭の最強の象が、遂に並んだ。

B:いや、まあ確かに俺、やけにでかい象だけどさ。

A:石になった半球状の弟を、最強の象と俺とお前で背中に乗せて、でかい亀の上にいる……まさかこれって……。

B:「地球」……?

A:そう俺達は……古代インド世界観における、地球を作っていたんだよ!

B:マジかよ……!?

最強の象:パオーン!?

A:そう、これが、地球!!

B:これが、地球!! と言う事で、これは古代インドの世界観の話でした!! いい加減にパオーン!!

A:MM−1グランプリ予選審査員の皆様、お疲れパオーン!! 100点つけてください!!

最強の象:パオング。

(この後、象が三匹並んで消滅したので、地上を支えるものが無くなって普通に世界が終わった)


X子:ありがとうございました。いやはや、トップからすごいのがきましたね!

Y美:では今回もさっそく、審査員の方々からのコメントをいただきたいと思います。
   前回王者であり今回初めて審査員を務めますマグネッツさん、いかがでしょうか?

 
・最強の象って存在がもう面白いのに、その後の話が全部面白い。
 本当に100点付けてもいいやって思うぐらいのネタでしたが、
 ネタ内容に引っ張られるのもアレなのでそのくだりは考慮せず点を付けました。
 

X子:おお、いきなり「100点」というワードが飛び出しましたよ!

Y美:前回から審査員を務めていただいている藍殿TTさん、いかがでしょうか?

 
・終盤 一気に好きな感じのネタになって笑いました。古代インド世界観における地球ってw
 ワードセンスだけで攻めるネタかなと思いこみかけていた頃なので壮大過ぎて最高ですね。
 やり取りがちょっと変なところがあるのがもどかしい点です。
 

X子:ありがとうございます。ほんと、壮大なネタでしたね!

Y美:過去2回優勝で今回久々に審査員を務めていただきましたゆーたさん、いかがでしょうか?

 
・僕これ好きです。
 

X子:おお、シンプルなコメント。これは高得点が期待できるのではないでしょうか!?



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、2組目はこの方たちです!


惨劇的な寸劇で快進撃を続け三回連続の決勝進出。
どこまでも自由にどこまでも奔放に。勢いを増した暴走と巧みなコントロールで新たな伝説を作る!
エントリーNo.021 「狂想×狂騒×二重奏」
PARTY NOISE
Hand×Talked×Bartend
竹林鳴子:私はソムリエが憎いです。

神崎 駿:はいどーもPARTY NOISEですよろしくお願いしまーす! 僕は無関与でーす!

鳴子:ソムリエなんて一人残らず悪い魔女にミートパイにされちゃえばいいんです。

神崎:繰り返しますが鳴子ちゃんの主張に僕の意志は含まれておりませーん!
   全国のソムリエの皆様ごめんなさーい! ワインオープナーを投げつけるのは勘弁してくださーい!!

鳴子:いやー、それにしてもねー。そろそろワインセラーを爆破したくなる時期じゃないですかー。

神崎:話題が狂ってるよー。最序盤から意思の疎通が図れないよー。

鳴子:10月でこんなに爆破したくなるんなら、4月はどれだけ爆破したくなるんでしょうねー。

神崎:そんなん無いぜー? 爆破は季節の風物詩じゃ無いぜー?
   どうしたの鳴子ちゃん、ソムリエに何されたの? 今後ソムリエ絡みの仕事やりにくくなるよー?

鳴子:……私の実家は、現在悪いソムリエの溜まり場になってるんです……。

神崎:どういうことだよー。何の一味に目をつけられてるんだよー。

鳴子:悪いソムリエの手によって……仏間はワインセラーに改装されてしまいました……!!

神崎:そいつは悪いなー。ご先祖様も周囲ワインまみれじゃ落ち着かないだろうにねー。

鳴子:それだけじゃありません……私は悪いソムリエによって、腹話術師の夢を断たれたのです……!!

神崎:何その因縁、まず鳴子ちゃんが腹話術師志してたことが初耳なんだけどー。人に歴史ありだねー。

鳴子:もし大会前にソムリエに人形を盗まれなければ、今頃私はいっこく鳴子として世界を揺るがしていたはずなのに……!!

神崎:見通しが甘いよー。あとなんで「堂」のところに個人名付けちゃったんだよー。

鳴子:だから私はソムリエが憎いんです!
   ソムリエなんて一人残らず悪い魔女にスープにされちゃえばいいんです!!(ぷんすか)

神崎:知らんぞー。善良なソムリエに訴えられても知らんぞ、断じて証人席には立たんぞー。

鳴子:それにしてもね、そろそろロマネコンティをドブに捨てたくなる季節じゃないですかー。

神崎:絶対訴えられるよー。原告席にブドウ農家も追加されるよー。
   そんな話はどうでもいいよ、ちょっと鳴子ちゃんに聞いてほしい話があるんだけど。

鳴子:『あら、どうしたミギテ? 神崎君の実家が悪いホストの溜まり場になった話ミギテ?』(右手をパクパク)

神崎:どうしたどうしたどうしたー? ソムリエへの怒りで脳細胞がやられたかー?

鳴子:おっとすいません、腹話術師の血が騒いで時々右手が喋り出すんです。

神崎:何その血ー。ただただ薄気味悪いから出来るだけ落ち着かせといてねー。

鳴子:『悪いホストには爆竹を投げつけるミギテ! ぐわーっつって逃げ出すミギテ!』(右手をパクパク)

鳴子:黙らせとけって言ったじゃんよー。コイツのキャラ生理的に受け付けないよー。

鳴子:『10月に神崎くん家にホストが集まるなら、4月はどれだけ集まるんでしょうねミギテー』(右手をパクパク)

神崎:右手が漫才進めんじゃないよー。僕は鳴子ちゃん本体に話があるんだよ、聞いてよ本体。

鳴子:……っは! すいません、らっこのこと考えてました……。

神崎:なにゆえだよー。相方を右手に任せてボーッとしてんじゃないよー。

鳴子:えーと、何の話でしたっけ? 神崎君がただただ無力感を噛み締める話でしたっけ?

神崎:そんなネガティブな話題なんざ提起しちゃいないよー。
   それより聞いて? 実はね、僕、バーテンダーに憧れてるんだよ。

鳴子:バーテンダー!? バーテンダーと言ったら、ソムリエの腰巾着じゃないですか!!

神崎:んなこたぁないよー。アルコール職種に対する偏見が酷いったらないよー。

鳴子:バーテンダーなんて一人残らず悪い魔女にビスケットにされちゃえばいいんです!(ぷんすか)

神崎:敵を増やさないでよー。最高裁だよ、原告席がお祭り騒ぎだよー。

鳴子:『だいたいなんでバーテンダーに憧れてるミギテ! そんなんだから悪いホストのカモになるミギテ!!』

神崎:黙れ右手ー。お前嫌いだ、何でホストの話しかしないんだー。
   いや、バーって色んなお客さんが集まるじゃん。それこそ色んな悩みを抱えたお客さんが。
   そんなお客さんの悩みを、美味しいカクテルと素敵なアドバイスで解決する。そんなバーテンダーって格好いいなと思って。

鳴子:確かに超かっちょいいですね!!(きらきら)

神崎:マジかこの子ー。変わり身の速さがコンコルドすら凌駕してるよー。

鳴子:『確かにカッコいいヒダリテー。でも関ジャニの方がもっとカッコいいヒダリテー』(左手をパクパク)

神崎:左手出てくんなよー。右手をまだ攻略しきれてないのに新キャラ出すなよー。

鳴子:すいませんホンタイ、どうやらバーテンダーに失礼なことを言ってしまったようですホンタイ。

神崎:その語尾いらなくなーい? 本体が両手にキャラ引っ張られちゃダメじゃなーい?

鳴子:でもソムリエは一人残らず悪い魔女にグラタンにされちゃえばいいんです。

神崎:そこはかたくななんだー。もう一生ソムリエロケとか出来ないなこりゃー。
   だからさ、バーテンダーの気分味わいたいからさ。ちょっとここでやらせてくれない?

鳴子:構いませんよ。では私はちょっとお花を摘んできます。

神崎:一人でやりたいわけじゃないんだー。トイレ休憩挟む漫才とか前代未聞だよー。

鳴子:『一人じゃないカンザキノミギテ、君にはボクがいるカンザキノミギテ!』(神崎の右手を掴んでパクパク)

神崎:しゃらくさいわー。人の右手に勝手に命を吹き込まないでよしゃらくさいわー。
   僕バーテンダーやるから、鳴子ちゃんは悩めるお客さんとして来店してきてくれない?

鳴子:……っは! すいません、今来世はらっこになりたいって考えてました……。

神崎:しっかりしてよ本体ー。現時点で両手の方がキャラ立ちしてきてるよー。

鳴子:らっこに生まれ変わったら、前世がソムリエのホタテをガン、ガン、ガン……!!

神崎:どんだけ恨んでんだよー。転生先では許してあげてよー。
   とにかくお客さんとして来てね? 僕はかっこよくシェイカー振ってるから。

鳴子:承知しました。ちゃんと過去にダンサーに20万貢いだバーテンダーをやってくださいね?

神崎:勝手に設定ふっかけてこないでよー……。

   シャカシャカシャカ……ジャズの流れるモダンな店内でシャカシャカシャカ……。

鳴子:ガチャッ、カランカランカラン。
   『マスター、こんばんはミギテ……』(右手をパクパク)

神崎:帰れこの野郎ー。何となく来るとは思ってたよ、パーツは出禁だ帰れこの野郎ー。

鳴子:『相変わらず素敵なお店ねミギテ……とりあえず、ジントニックもらえるミギテ?』(右手を気だるげにパクパク)

神崎:何ちょっといい女みたいな雰囲気出してんだよー。右手が飲み物飲めんのかよー。
   ごめん右手、本体呼んできてくれる? ウチの店は本体専門店なんだわ。

鳴子:『本体は悪いソムリエと戦うために実家に帰ったミギテ』(右手をパクパク)

神崎:何やってんだよ本体ー。てことはお前本体から独立して来てんの? 何その不気味な世界観。

鳴子:『今頃本体はソムリエに殴りかかろうにも右手がいないからあたふたしてるミギテ』(右手をパクパク)

神崎:バカッタレじゃーん。てかならばお前本体についてってあげなよ、何を一杯引っ掛けようとしてんだよー。

鳴子:『ちなみに左手は金魚泥棒で逮捕されたミギテ』(右手をパクパク)

神崎:クソッタレじゃーん。てことは鳴子ちゃん腕無いじゃん、絶対勝てないよ負け戦だよー。

鳴子:『そんなことより聞いてちょうだいミギテ……私、今悩んでるのミギテ……』(右手を悩ましげにパクパク)

神崎:そんなことってお前ー。本体がソムリエにタコ殴りにされようとしてるってのにお前ー。

鳴子:『実はミギテ、行きつけの執事喫茶の店員に恋をしたミギテ……』(右手をパクパク)

神崎:そこはホストじゃないのかよー。散々話題に出してきたホストじゃないのかよー。

鳴子:『ただの客のくせして、勝手に好きになってさ……ハハ、何やってんだろ、ミギテ……』(右手を自嘲気味にパクパク)

神崎:マジで何やってんだよー。バーで右手が何を語ってんだよ、どっから声出てんだよー。

鳴子:『彼にとって私はただの客、それは絶対に揺るがない、なのに好きになっちゃって……!!
    好きで好きで、どうしようもなくなっちゃって……バカみたいだよね、私……!!』(右手をプルプル)

神崎:ていうか相談内容はめっちゃいいじゃーん! 右手のクセしてめっちゃ恋に悩んでんじゃーん!!
   出来ればその悩みを本体から聞きたかったなー! 何やってんだよ本体ー!

鳴子:一方その頃鳴子ちゃん本体は。
   「くそっソムリエ共め、ひいばあちゃんの位牌を勝手にワインボトルに改造するなんて……!!」

神崎:何やってんだよ本体ー。右手が甘酸っぱい恋してる一方何やってんだよ本体ー。

鳴子:「でも、アンタ達は私が絶対に追い出してやる!!
    喰らいなさい! 悪い魔女直伝、チェリーパイパンチ!! ……………あっ、右手無かった!!」

神崎:もう見てらんないよー。袋叩きだよ、恥さらしだよー。

鳴子:一方その頃左手は。
   「ちょっと看守ー、アイツのスープのが私より具多いんじゃないヒダリテー?」(左手をパクパク)

神崎:クソだよー。コイツはただのクソだよー。罪を償えー。

鳴子:『ねぇマスター、ミギテ、どうすればいいのかなぁ……!! ミギテ、諦めた方がいいのかなぁ……!!』(右手を震わせながらパクパク)

神崎:おっとシーンが戻ってきた! 相変わらず右手の演技力はピカイチだ!!

鳴子:『辛いよ、こんなに辛いなら、恋心なんて知りたくなかった……!!
    ねぇ、どうすればいいの……!? 傷つきたくない、でも抑えきれない………!! ……あっ、ミギテ……!!』(右手をパクパク)

神崎:もう語尾も忘れちゃってるじゃーん。一個人として成り立っちゃったじゃーん。
   うーん……相談に乗ってあげたいのはやまやまなんだけど、如何せん右手の気持ちわかんないからなぁ……どうしよ……。

鳴子:『……そんなに大切な恋ならば、自分の気持ちに正直になるべきですカンザキノミギテ』(神崎の右手をパクパク)

神崎:僕の右手ぇぇぇーーーーーっ!!! 僕の右手が独立してアドバイスをぉぉぉーーーーーっ!!!

鳴子:『その通り。ったく、悩んでるくらいならさっさと好きっていっちまえよカンザキノヒダリテ』(神崎の左手をパクパク)

神崎:僕の左手ぇぇぇーーーーーっ!!! そんなオラオラ系だったのか左手ぇぇぇーーーーーっ!!!

鳴子:『恋愛に正解はありません。叶うかどうかなんて神様だって知りません。
    だからこそ、悩んで悩んで、女性は美しくなるんですカンザキノミギテ……』(神崎の右手をパクパク)
   『……………マスター……………っ!!!』(右手をパクパク)

神崎:マスター僕僕ー。そいつ僕の一部ー。マスターは僕ー、ただいるだけの僕ー。

鳴子:『ありがとうマスター、私、マスターに相談してよかった……』(右手をパクパク)
   『それはよかった……お待たせしました、ジントニックでございます』(神崎の右手をパクパク)
   『これと一緒に、臆病な自分も飲み干しちまえよ?』(神崎の左手をパクパク)
   『あはははは………』(みんなパクパク)

神崎:えー、何これ何これー……本体の介入が一切合切無いまま何この大団円ー……。

鳴子:一方その頃鳴子ちゃんの本体は。
   「いや、マジですいませんでした……もう一生ワインしか飲みません、悪い魔女にマカロンにされてきます……」

神崎:ろくでなしだよー。本体双方ともに役立たずのでくのぼうだよー。
   ちょっと鳴子ちゃん、何これ。パーツがめっちゃいい仕事してる横で僕ら何これ。

鳴子:いやー、ソムリエって最高ですねー! 来世はボジョレーヌーボーになりたいです!

神崎:変わり身がえげつないよー。さっきまで恨み倒してた対象によくそんなに媚びへつらえるねー。

鳴子:いやー、10月にこんなにワインが美味しいなら、4月はどれだけ美味しいんでしょうねー。
   あっ、ワインは年がら年中美味しいか! あっはっはっは!!

神崎:無様だよー。みっともなさの究極系ここにありだよー。
   鳴子ちゃん、全然バーテンダー出来なかったよ。何にも出来なかったよ。

鳴子:だから、神崎君がただただ無力感を噛み締める話ですよね?

神崎:クソッタレーっ!!


X子:ありがとうございましたエックスコノクチ。

Y美:なんというそのまんま…!

   今回は決勝審査員として審査してくださったFANさん、いかがでしょうか?

 
・平仮名表記のらっこ、すげぇ面白いですね。なんでだろう。
 飛んでるようで手と本体というとこから王道を行ってて、そこの軸があったので良かったです面白かったです。
 最初情報が多くてしんどかったかな。
 

X子:ふむふむ。「らっこ」に目を付けるとはなかなかマニアックな視点ですね…

Y美:マグネッツさん、いかがでしょうか?

 
・一方その頃本体がめちゃくちゃ面白いです。
 オチも素晴らしい。最近のPARTY NOISEはアポロを食えるコンビになってますね。
 

X子:実際アポロを超えてきちゃいましたね。果たしてどれだけ差をつけたのかも気になるところです。

Y美:では、そんな御本人のけうけげんさん、いかがでしょうか?

 
・ゴチャゴチャしてんなオイ。我ながらよく100行に収まったものです。
 ソムリエとパティシエどっちを憎ませようか悩んだんですが、僅差でソムリエに軍配が上がりました。
 そして今回のネタから神崎君の口癖が「クソだよー」に決定致しました。なんだこいつ。
 

X子:神崎さんのキャラもだんだんと立ってきましたね!



Y美:さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、3組目はこの方たちです!


個性が色づく漫才が好評を博し前回は準優勝。悲願の初優勝へ驚愕の奇策で挑む。
人の勝利を讃えるのは終わりだ。今こそ自らの手で勝者の歴史に名を刻め!
エントリーNo.040 「繚乱で織りなすキャラクターショー」
あかつき
Mission Motherland
宇都宮:突然ですが、私、宇都宮玲嘉より皆様にご報告がございます。
    私事で申し訳ないんですが……今朝、第一子を出産しました。

 水戸:おめでとうございます!

 前橋:おー、おめでとー! これで宇都宮もママだね…………って、え? 今朝!? え、朝子ども産んでもう漫才できるの!?

宇都宮:できるわよ。だって私O型だし。

 前橋:血液型の問題なのかな!?

宇都宮:それで、子どもが出来ると妊娠中から色々な価値観が変わってね。
    特に一番変わったのがアレよ、「はじめてのおつかい」。

 水戸:はじめてのとむらい? 

 前橋:はじめてのおつかい。誰供養すんの。

宇都宮:私の子にもいつかこういう時がくると考えたら、感慨深くなってしまってね。
    だから、今から来るべき日に備えておきたいのよ。
    我が子にはじめてのおつかいをさせるお母さんとしての心構えをね。

 水戸:え、宇都宮さんもなの?

宇都宮:何? 水戸も?

 水戸:うん。あたしも前々からその「マフィアとのオフ会」ってのに備えておきたかったんだ!

 前橋:そんな犯罪臭いオフ会はないよ!! んで備えたいわりに「はじめてのおつかい」って全然言えてないよね!!

宇都宮:あらそうなの? じゃあ私がお母さん役と端役やるから、水戸はナレーター役でもいい?

 水戸:いいよー。ちょうど考えてたナレーションあるしー。

 前橋:うん? ってことは、ウチが子ども役かな?

宇都宮:違うわ。子ども役は”子ども”にやらせるつもりよ。

 前橋:は?


赤ちゃん:だぁー。


 前橋:!?!?!?

宇都宮:紹介が遅れたわ。娘のかずさよ。まだ生後10時間くらいだけど、よろしくね。

 水戸:よろしくー。

 前橋:いやいやいやいや! 赤ちゃん抱っこして舞台に立つ漫才師なんて聞いた事ないよ!!

宇都宮:仕方ないじゃない。だってまだへその緒で繋がってるんだから。

 前橋:じゃ切ってからこいやあぁ!! つーかなんでウチも言われるまで気付かなかったし。

宇都宮:あーもうわかったわよ。この子を戻せばいいんでしょ?
    待ってて、生まれて間もないからまだ入る気がする。

 前橋:やめてやめて!! ああ!赤ちゃんをスカートの中に突っ込まないで!!

宇都宮:……あ、足から入れたらたぶんいけるわコレ。

 前橋:抱いたままでいいから漫才をお願いしまーーーす!!










水戸:アーーー↑アーーー↑アーーー↑アーーー↑(ドレミファドレミファ♪ドッドドレミファ♪)
   だーれにもーなーいしょで おーでーかーけーなーのよー
   どーこーにーいーこーおかーなー?(オーケイ ユゲッラー!!)

   『今回おつかいに行くのは、栃木県宇都宮市に住んでいる宇都宮かずさちゃん。5歳。
    今日はママの代わりに、国際指名手配中のパパから機密情報の入ったUSBメモリを回収するように頼まれました!
    うまくできるかな〜?』

 前橋:でえぇりゃああああああああーーーーーーー!!!

 水戸:え……な、何、どうしたの…? せっかくこのプロローグから壮大なおつかいアクションサスペンスが始まるのに…。

 前橋:始まらんでいい!始まらんでいい!
    国際指名手配中とか機密情報とか、何このおつかいらしさゼロの単語!スパイ映画じゃないんだよ!?
    あと初っ端からノッリノリだね! どんだけやりたかったんだよって感じだね!!

 水戸:えー……何もそこまでゲボカスに言わなくても……。

宇都宮:そうよ、水戸のナレーションは素晴らしかったじゃない。
    私はね、自分の子どもには難易度の高いミッションも遂行出来る行動力のある大人に育って欲しいと思ってるの。

 前橋:どーゆー教育方針だよ。
    水戸ちゃんさー、ゲボカスに言うつもりは全くないけど、せめてもう少しおつかいっぽさ入れて。
    晩ご飯の材料を買いに行くよー、みたいな?

 水戸:うん、わかった。おつかいっぽさを入れればいいんだね!



    『今回おつかいに行くのは、栃木県宇都宮市に住んでいる宇都宮かずさちゃん。5歳。
     今日はママの代わりに、国際指名手配中のお魚屋さんから機密情報の入ったサンマを買ってくるように頼まれました!
     うまくできるかな〜?』

 前橋:なぜそこを残したあああああーーーーー!!

 水戸:何で……? 晩ご飯の材料を買うおつかい要素は出したのに……。

 前橋:出てたけどスパイっぽい要素も綺麗に残ってんだよねーーー!!

宇都宮:かずさちゃん、ママちょっと手が離せないから、おつかい頼んでもいいかしら?

 前橋:うわ、強引にコントに入りやがった。不自然極まりねえ!

宇都宮:ちょっとお魚屋さんでサンマ買ってきて欲しいんだけど、できるかな?

 前橋:聞いたって赤ちゃんが喋れるワケ…


かずさ:御意。ママ殿の御用命、確と承りました。


 前橋:かずさちゃん!? え、この子コントでは5歳って設定だけど、実際は0歳だよね!?
    言語能力発達し過ぎじゃね!?過ぎじゃね!?

かずさ:不肖宇都宮かずさ。必ずや御期待に添えますよう一意専心努める決意でございます。

 前橋:……ダメだ!おつかいの返事としても十分おかしいけど、生後まもなく舞台で堂々立ち回る赤ちゃんにツッコまざるをえないよ!!
    いくら漫才師の娘だからってこうも即戦力になるの!?

 水戸:『ママから頼まれた物はちゃんとわかったかなー?
     1500ccのカワサキ・バルカンに跨って、お魚屋さんまでひとっ走りだ!』

かずさ:ぶんぶん!(バイクを運転するポーズ)

 前橋:えぇえぇえぇえぇえ!?!?!? 激動過ぎてウチのツッコミ処理能力じゃ追いつかないよおおおおお!!

 水戸:『国道4号線を颯爽と走るかずさちゃん。流れる風とエンジンの鼓動を体で感じてとっても気持ち良さそう!』

 前橋:一旦落ち着こう。目の前のボケ一つ一つ片付けていこう…………。
    さも当然のように乗りこなしてるけど、よゆーで無免許運転だよねコレ!

 水戸:『(ファンファンファン…) あれあれ? 何か音がするね。 後ろから何か近づいてくるよ…………
     大変だー! パトカーが追い掛けてくるよ! 捕まったらママに怒られちゃう!』

 前橋:そーゆー問題なの!? 親に怒られるレベルで済むのかなコレ!

かずさ:ぶんぶ〜ん!(自立して、右へ左へ車体を傾けるポーズ)

 水戸:『裏道や細い路地を使って警察の追跡を振ろうとするかずさちゃん。
     だけど逃げても逃げてもパトカーが追ってくるよ! どうしよう〜!?』

 前橋:子どもがバイク乗ってパトカーに追われるシナリオ用意する水戸ちゃんも大概だよね!
    子どもがヘンだしナレーションもヘンだし、救いようがないね!

かずさ:おじちゃん。くるま、ちょーだい。 ぶんぶ〜ん!

 水戸:『すごいね、かずさちゃん! 道行く人から次々車やバイクを奪っては乗り換えて、見事に警察を撒いたよ!』

 前橋:すごいね、じゃねーよ!! 可愛い顔してグランド・セフト・オートみたいな極悪所業してんじゃん!! 

 水戸:『そんなこんなでお魚屋さんに到着。ママから頼まれた魚、覚えてるよね〜?』

かずさ:おばちゃん。サンマ、ちょーだい。

 前橋:そこ車奪うのと同じテンションなんだね。

宇都宮:おやおや、おつかいかい? 偉いねぇ。残念だけどサンマは売り切れちゃったのよ。ごめんなさいね。

 前橋:お、ここに来てやっとおつかいらしいハプニング発生。どーするのかなー?

かずさ:おばちゃん。サンマ、ちょーだい。(拳銃を構えるポーズ)

 前橋:いやいやいやいや!

宇都宮:お、お嬢ちゃん……? う、売り切れって言ったでしょ? ほら、隣のマックスバリューさんに行けばあるわよ。

かずさ:ばきゅーん。

 前橋:ええーーーーー!?!?

かずさ:おばちゃん。サンマ、ちょーだい。

 前橋:何なのこの子! バイク乗りまわすわ拳銃ぶっぱなつわ、それでいて淡々とサンマを買い求めるわ!
    幼女なのにハードボイルドが過ぎるよ!

宇都宮:う、ぐっ……。サンマは……本当に、無いわよ。お嬢ちゃんが来る前に…買っていった人がいるからね…。

かずさ:やっぱり……。機密情報をねらう人が、ほかにも…

 前橋:その設定まだ生きてんの!?  

宇都宮:ふふ……やっぱり、悪い事した人は…いい死に方をしないものね……。
    ま……私は…、死刑確実な国際指名手配犯だから……。死ぬのが、少し早まっただけのことよ……。

 前橋:世界的に追われる魚屋ってなんだよもう…。

宇都宮:オバマ大統領に腹パンしなかったら、普通の人生を歩めたのかしらね……。

 前橋:マジで何やってんだよこの魚屋は!! それで死刑確実ってのも司法の暴力が酷いよ!

宇都宮:サンマを買ったのは……アメリカのニューヨークを拠点とする、濃厚魚介系マフィア「サルヴァトーレ・ファミリー」の構成員よ。

 前橋:なんかつけ麺っぽいよ!

かずさ:わかったよ。かずさ、そのマフィアからサンマ買ってくる!

 前橋:ここに来て「はじめてのおつかい」じゃなくて「マフィアとのオフ会」が始まりそう。

宇都宮:急ぎなさい……。奴らは……サンマで、世界経済を……、壊……、……。

かずさ:お魚屋さん!

宇都宮:…………。

かずさ:お魚……屋さん…………。…………。(黙祷のポーズ)

 前橋:ここに来て「はじめてのとむらい」まで始まった!

かずさ:くそぅ…………。誰が……誰がお魚屋さんにこんな酷い事を……!!

 前橋:お め ー だ よ ! ! !
    おめーが出会って3行で鉛弾ぶち込んだ結果じゃねーかよぉ!!

かずさ:シルバニア・ファミリーめ……!!

 前橋:違う違う! ウサ耳生えたマフィアとか、それこそオフ会してみたいよ!

 水戸:『お魚屋さんは死んじゃったけど、機密情報の入ったサンマの手掛かりを教えてもらったよ!
     ママのおつかいを果たすため、ニューヨーク目指して走れかずさちゃん!』










 水戸:どうだったかな? 今のがオチだったんだけど……。

かずさ:だぁー。

宇都宮:「最高」だって。私もいい感じだったと思うわ。

 前橋:うん、ウチもやってよかったと思うなー……。

宇都宮:あら驚いた。あれだけ声荒げてたのにうちの子を褒めてくれるなんて。

 前橋:だって…………、





    練習しなかったら死人が出てたからね!
    もう二度とおつかいなんかさせんじゃねーよゲボカス!!!!


X子:ありがとうございました。と…とりあえず宇都宮さんとかずさちゃん、お大事に…!

Y美:FANさん、いかがでしたでしょうか?

 
・面白いっす。4人居てちゃんと想像出来る、すごい。
 ある意味出落ちの赤ちゃんがボコスカ場を乱していてよかった。
 でもオバマ大統領に腹パンしてんのが一番おもしろかったです。
 

X子:いやはや、本当「4人目」の登場には驚いたわよね!

Y美:けうけげんさん、いかがでしょうか?

 
・あかつきのネタって毎回パターン違うんですが、そのどれもが確実に頭おかしいですよね。
 新生児喋りだした時のインパクトたるや。いや餅とかカマキリが喋る大会ではあるんですが。
 さて、何気に珍しい4人漫才なんですが、全くゴチャつかずにボケをスムーズに伝える技術がブラボー。
 それぞれのキャラが明確に差別化されているため、展開がスムーズで非常に読みやすかったです。
 ワードに関しても良質な物が多かったし、「はじめてのとむらい」「マフィアとのオフ会」の回収もお見事。
 設定の非現実性が最初飲み込みづらかったことと、「ゲボカス」等の流れに合わない過激な言葉遣いで若干マイナスしましたが、
 多人数の個性的キャラの動かし方の模範例として教科書に載せたいくらいのネタでした。
 

X子:おお、「教科書に載せたいくらい」とのコメントが出ましたね!

Y美:では御本人の銀沙灘さん、いかがでしょうか?

 
・ライバルはプラネット・コミュニティさんです。
 スキマ産業の女性トリオ枠は譲らんぞぉ!
 

X子:女性トリオ…うちらももう1人加えようかしら……?

Y美:えっ…!?





   さて、どんどん参りましょう。

X子:続いて、4組目はこの方たちです!


ストロングスタイルのバカバカしさを武器に宮崎から決勝に初名乗りを上げた。
群羊を駆りて攻めるはMM-1。たいまつぎょうれつに続く栄冠を視界に捉えた!
エントリーNo.023 「スリーカウントアサシン」
メリースリー
一寸タビュー
ケイ:どうもー!メリースリーです!よろしくお願いします!

キミ:昔話をもっと楽しんでもらおうという使命を果たしに来ました。

シン:はい、さっそく舞台袖に頭のねじを落としましたね。

キミ:いや、俺思うんだよ。昔話っていい話が多いけど、もっと伝え方を工夫したほうがより楽しめるんじゃないかって。

ケイ:あー、はいはい!私もさっき楽屋でメイクさんの道具盗みながらそう思ってた!

シン:戻ったら返せよ。

キミ:そこでだ。普通に朗読するだけじゃなく、インタビュー形式で展開させていくといいと思うんだよ。

シン:どういうことだよ。

キミ:見てみればわかるよ。そうだなー、一寸法師で試してみようか。
   じゃあ、俺がインタビュアーをやるからケイちゃんは一寸法師役をやってくれ。

ケイ:わーい!私、芸人になって一寸法師役を振られるの夢だったんだ!

シン:そんなピンポイントな夢があるとはな。

キミ:じゃあいくぞ。『一寸法師さん、今日はよろしくお願いします。』

ケイ:「よろしくお願いします。」

キミ:『早速ですが名前と年齢、スリーサイズといつ初体験をしたかをお願いします。』

シン:AVだよねこれ。行為の前のインタビューみたいになってるよね。

ケイ:「はい、本名は西村智子23歳です。」

シン:一寸法師男だからね。早速設定ねじ曲がってるよ。

ケイ:「この世界に入るまでは、大きいサイズ専門のセレクトショップで働いてました。」

シン:場違いだよね。一寸の子が馴染める職場じゃないよね。

ケイ:「スリーサイズは、上から80・80・80です。」

シン:一寸の子がそのサイズだったらバーベルのプレートだよね。

ケイ:「はじめてお買い物をしたのは4歳です。大根とから揚げ粉を買いました。」

シン:その正直さと純真さは嫌いじゃないよ。

キミ:『なるほど。では一寸法師さん、さっそくセレクトショップについてお伺いしますが、メンズですか?』

ケイ:「はい、メンズです。」

シン:至極どうでもいいところだね。一寸法師のストーリーを描いてください。

キミ:一寸法師ちゃんの採寸の仕方とか興味ない?

シン:ちょっとあるけど、そこ膨らましたら話進まない。

ケイ:「メンズ物のビックサイズのジーンズは年々需要が高くなっていまして、アメリカでは…。」

シン:展開さすな。一寸法師がアメリカとか言うな。

キミ:『では早速お伺いしますが、一寸法師さんはどのような功績を果たしたのでしょうか?」

ケイ:「臓物の中で暴れまわり、サミングをした後に結婚しました。」

シン:ざっくりすぎるんだよ。その通りなんだけどよ。

キミ:『何でも、鬼を倒すためにそういった行動をとられたそうですが、鬼に個人的な恨みがあったんでしょうか?』

ケイ:「そうですね。私がお守りしていた姫をさらっていこうとしましたので、そうはさせるかと懲らしめたわけです。」

シン:そういう話だったなぁ。

ケイ:「やはり、人に怖がられる鬼とはいえそのような行動をとるというのは、人々の住む里や町の脅威になりますからね。
    安心して人の住める地域と、鬼の住処となる地域をしっかりと分けていかないといけません。
    最近桃太郎総理が『モモノミクス』とか言って、鬼から金品を巻き上げて謝らせる政策を発動させようとしています。
    しかし、力だけの政治ではこの里や町は変わらないのです。
    今こそ、人間とそうでない者との心の交流、心の対話が求められているのではないでしょうか。」

シン:これ、政見放送じゃないからね。

キミ:(手話)

シン:配慮の心。

キミ:『一寸法師さんは小さな体をしていますが、移動の際は大変だったのではないでしょうか。』

ケイ:「はい、普通に歩いていったら疲れて疲れて大変です。ですから、お椀を舟にして、箸で漕ぎながら川を渡っていったんです。」

シン:一寸法師の一番特徴的なシーンだな。

キミ:『お椀で川を渡るとは、冒険心にあふれていますね。普段からお椀は使い慣れていたのでしょうか?」

ケイ:「いえ、私サーファーなので波や水の流れの扱いは慣れているんです。」

シン:冷める冷める。チャラ要素いらない。

ケイ:「ちなみにこれが私が使っているボード、justiceのFLEXFLY HyBrid(BULLETモデル)ですね。
    テイクオフが速くて、その後も安定して波に乗ることができるので気に入ってますね。」

シン:ガッチガチのボード愛用してんじゃねえよ。なんで一寸法師に合うのが売ってんだよ。

キミ:『なぜ、そのボードを川を渡る際に使わなかったんですか?』

ケイ:「いやいや、針の刀でボードちゃん傷つくでしょ(笑)」

シン:だいぶウザい方に属するサーファーだな。

キミ:『そうですか(洗)』

シン:何洗ったんだ仕事中に。

キミ:『お姫様をお守りしたとおっしゃってましたが、お姫様とはどのようにして出会ったんでしょうか。』

ケイ:「私が都にある大きな家を訪ねた際に出会い、そこでお守り役として働くこととなったのです。」

シン:お前さっきセレクトショップって口走ってただろ。

ケイ:「お守りだけだと時間が空くということで、家の中にあるセレクトショップでも働きました。」

シン:どこに出店してんだ。店長出てこい。

ケイ:「人気のセレクトショップだったので連日客が絶えません。入り口の前にある姫の部屋には毎日行列ができます。」

シン:店長は姫に恨みでもあんのか。

ケイ:「最近は店の前に焼鳥屋の移動販売が来ます。」

シン:プライバシーを真上から侵害してるよね。

ケイ:「姫のお気に入りはボンボチとトリカワ(塩)です。」

シン:利用してんじゃねえか。微妙に通ぶったチョイスしやがって。

キミ:『いやー、焼き鳥の話を聞いたらよだれが止まんなくなりましたよ(滝)』

シン:ばっちいから止めろ。滝を生み出すな。

キミ:『一寸法師さんといえばその小さな体ですが、何か体に関する悩みなどはありますか?」

シン:まあ、これは色々あるだろうな。小さい体は不便だろうし。

ケイ:「最近、鼻の頭の黒ずみが気になりはじめまして…。いい鼻パックが見つからないんですよ。」

シン:西村智子としての悩みじゃねえか。一寸だからひたすらに目立たねえよ。安心しなさい。

ケイ:「後は、小さいから通行人に踏まれそうになることが多いですね。」

シン:あー、ありそうだな。

キミ:『奇遇ですね。僕も小さなビルの2階で女の人に踏まれることが多いですよ。』

シン:一緒にすんな。

ケイ:「夜寝ているときも姫の隣にいなければいけないんですが、姫の寝相に潰されそうになることもあります。」

キミ:『わかります。僕も女王様のヒップアタックで潰されるの大好物です。』

シン:だから一緒にすんな。

ケイ:「湯呑みも私に合うサイズが少なくて。大きすぎて飲みにくかったりしますね。たまに頭からお茶かぶっちゃったり。」

キミ:『僕も女王様にパワードコーヒーで頭皮をしっかり洗われた時は、これは感じどころを探す必要があるプレイなんだなと思いました!』

シン:お前インタビュアーとしての自覚あんのか。あと、そのプレイする店教えろ。俺が取材するから。

キミ:『では、あなたにとって栗拾いとは?』

ケイ:「串刺しです。」

シン:恐ろしい締め方やめてやれ。

キミ:『では、インタビューは以上になりますが、最後に一寸法師としてやりたいことがあるそうですね。』

ケイ:「はい。パチンコの余り玉との引き換えで手に入れたこの打ち出の小槌で、私の長年の夢をかなえたいと思っています。」

シン:鬼が落としたんじゃねえのかよ。なんだそのハッピーターンの小袋並の扱いは。

ケイ:「ではインタビュアーさん、この打ち出の小槌で『背出ろ、背出ろ』と言いながら振ってもらえませんか。」

シン:そうすることで普通の人と同じくらいに大きくなるんだよな。インタビュアーに頼むことじゃないんだけどな。

キミ:『分かりました。せーでろ!せーでろ!』

ケイ:「…………。」

キミ:『あれ?変化ありませんね。』

ケイ:「うおおおおおおおおおお!!!興奮してきたああああああああああ!!!!体が、カッカいたしまっせ!!!!!!
    これは、同じ欲を抱く人間を襲わねばなるまい!!!!!そう、性欲の天に立つべく、食らわねばならぬのだぁぁぁぁぁ!!!!!!」

シン:なんだなんだ、ここにきて頭のねじが全部すっ飛んだか。

キミ:『どうやら私、間違えて「精出ろ」とお願いしてしまったようです。
    インタビュー後、彼女は治まらない精を治めるための旅に出たそうです。旅に出た直後、姫をはじめとする家の者がどうなったか。
    それは、皆様の想像に任せることとしましょう。ちなみに全員衣服が乱れて気絶していましたとさ。めでたしめでたし。スタジオにお返しします。』

シン:想像するまでもなくバッドエンドだよ。つーか中継繋いでたのかよ。




ケイ:性欲の覇王となった一寸法師、西村智子は戦う。己の性欲を、天へと届かせるために。長渕の東京ドーム公演の観客動員数ほどの家族を作るために――――。


   勇次、あの時の下半身を忘れちゃいないかい 勇次、エネルギッシュなお前が欲しい

   マジで欲しい、いやマジで欲しい、くださいくださいエネルギッシュな奴をください

   エネルギッシュというのは股にあるあのb(ピーピーピー、ピーピーピー、ピーピーピー、ピーピーピー)


キミ:〜〜〜♪(ハーモニカで奏でる、長渕剛「勇次」)









シン:どんな昔話だよ、いい加減にしろ。長渕剛さん、僕ら3人はあなたの大ファンですからいやマジで。


X子:ありがとうございました。……斬新なネタでしたが、まさか長渕で締めるとは!

Y美:ゆーたさん、いかがでしょうか?

 
・なんだかわかんないけど、「あなたにとって栗拾いとは?」で死ぬほど笑った。全体的に頭おかしいと思います。
 

X子:おお、これまた高得点が期待できそうなコメントですね!

Y美:FANさん、いかがでしょうか?

 
・まず3人の使い方が上手い。漫才見やすい位置にちゃんと居るなあと。
 そして大きいボケをボンボン撃ってくるのですごい。面白かったです。
 

X子:ふむふむ。こちらも高得点が期待できるコメント!

Y美:藍殿TTさん、いかがでしょうか?

 
・バカで面白いです。特に下ネタ方面の威力が高かった。
 最後なんて何をしてくれてるんだという感じですね。
 所々、面白さが途切れるところがあったように感じられたのが少々ネックかと。
 

X子:いやはや、強力なネタでしたね。果たして結果はどうなっているのか!?


次の4組へ