ビート購入指南
      <作成日:2004年10月31日(ビート購入1周年)>


こでは、私がビート購入前〜購入後に調べた知識と経験を、
 ビートの購入を検討している方へ知って頂こうと、作成しました。
 これからビートを購入するという 奇特な 方などは、
 購入への判断材料として頂ければ幸いです。


ずは、買ってから「こんなハズでは・・・」と後悔しない為に、
 ビートの弱点(&対策?)を軽く知っておきましょう。


遅い

・「MR車だから」「軽いから」と思っていると、期待を裏切られます。
もしも「頭文字D」に登場したら、間違いなく瞬殺されるでしょう(笑)。
グランツーリスモ2&4や、首都高バトル2でビートを使ってみて、
ガッカリした経験がある方もいるのでは?元のエンジンがトゥデイや
アクティ(軽トラ)ですので、どうしてもパワー不足を感じます。

・某誌で新車時のデータとして、筑波サーキットのタイムが掲載されていましたが、
当時の記録は1分21秒でした。同期の軽スポーツ車であるAZ−1は1分17秒、
カプチーノは1分16秒。ビートはNA、AZ−1とカプチーノがターボという事もありますけれども・・・
じつは、カラクリがあります。ビートのギアはクロスレシオなので、すぐに125km/hの
リミッター発動まで吹き上がってしまい、1分21秒までしか詰められない、のです。
ちなみに、グランツーリスモ4プロローグ版にて、筑波をビート(AT・リミッターカット・
チューン無し・ノーマルタイヤ)でタイムアタックしたら、1分15秒台が出ました。
潜在能力はあるんですね。

・それでも、遅いんです。カタログ値では馬力64ps、トルクが6.1kg-mしかないのですが、
年式が古いという事もあり、ほとんどのビートは実測50ps以下、5kg-m以下になっています。
実例を挙げれば、峠の登りでヴィッツに煽られるし、平地でも60km/hから追い越しの為の加速は
正直キツイです。あ、峠の下りはコーナーだけ「ちょびっと」速いです。でもストレートが遅いので、
よほど相手が下手か、自分が凄腕でなければ、峠での競争は厳しいものがあります。
(私のドラテクが未熟という点もありますが・・・)

・峠の下りを速く走りたいのなら、タイヤ、足回り、ボディ、ブレーキの強化プラン。
その他のステージならば、プラス吸排気、エンジン、ECUチューン、かな?
可能なら、車・ドライバーの軽量化(車重800kg、ドライバー80kg、50馬力と過程して、
パワーウェイト・レシオは17.6。車かドライバー10kg軽量ごとに、レシオ0.2減)。

・でも、乗っちゃえば速さなんて問題にしないくらいに面白い車です(笑)。
実際のスピードよりも体感速度が速いので、安全な速度でも十分満足感を味わえます。
よく言われる、「パワーを使い切る楽しさ」がビートの特徴の1つとも言えるでしょう。


狭い

・当時の軽自動車規格の為、車幅が1.4m弱(!)しかありません。慣れないと狭いです。
実例を挙げれば、運転席のバケットシートに座ってシートベルトをしていても、手を伸ばせば
助手席のドアのロックを解除できます(笑)。ビートに集中ドアロックが付いていない理由、
体験して納得しました。トランクは極端に狭いですので、三角表示板や工具等だけで
一杯になります。荷物置き場は「シート背面」「シート裏エンジンルーム上」「助手席シート上・足元」
だけです。その気になれば、ボンネット内に荷物箱の設置も可能ですが、汚れます(体験済)。

・「ペダル配置の間隔が狭い」という意見がよくありますが、慣れれば純正ペダルでも
ヒール&トゥが簡単にできるので、個人的には気に入っています。社外ペダルカバーを
買う手間が省けますね。あと、左足のかかと床に着けたままクラッチもブレーキも踏めますので、
楽々左足ブレーキができます。ビートはコーナーでアンダーが出やすいので、
FF車の時以上に左足ブレーキを多様してアンダーを殺しています。いいトレーニングです。

・所帯持ちには厳しい車ですので、独身(@俺)・恋人無し(@俺)でなければセカンド・カー
としての運用をお勧めします。逆に、ビートをメインとして使う場合は覚悟が必要です。
最低限の携行道具さえ吟味すれば普段は何とかなりますが、家電量販店で21インチTVを買うとか、
そういった用途では幌を開けても完全にアウトです。助手席にPSXを積んで一杯でしたから(体験済)。


低い

・ノーマルでも最低地上高は11cmしかありません。ダウンサスで2cmダウンした時点で、
車検パスは怪しいです。「低重心」というのも強い武器なのですが、
対向車のヘッドライトがほとんどハイビームに見えて眩しいです。敵は、トラックとRV車。

・車高が低い利点としては、自転車に乗っている女子高生のスカートの中が・・・。


弱い

・「弱い」と言っても、ココでは物理的に耐久性が弱い部分の説明ですので、決して
「遅くて他の車と比べて立場が弱い」って話じゃありませんので、あしからず(笑)。
ミッドシップ・エンジンという事で、どうしてもエンジンルームに風が入ってきません。
つまり、エンジンルームの熱が原因で、寿命が短くなる部品が出てきます。
代表的なのが、タイミングベルト。ビートの場合は、5万kmで交換です。
大体6万〜7万kmが寿命みたいです。タイベル以外にも、ウォーターポンプ、デスビも
エンジンルーム内の熱により耐久性が弱くなっています。この3点セットは、
5万kmごとに問答無用で交換。もちろん、中古車を買った時も、整備記録が
ハッキリとしていなければ、即交換。いつ壊れても不思議じゃないですから。
タイベルはアクティ4WD純正の流用で耐久性少し向上、デスビはライフダンク純正の
ダイレクトイグニッション流用でデスビレス化という手もあります。

・ボディも年相応にヘタッてきています。段差を超えると、あちこちから「ピヨピヨ」という
ヒヨコの泣き声が聞こえてきます(笑)。これは、Aピラー周りの内装を剥がせば
音が収まったりもします(強く引っ張るだけで簡単に剥がれるけど、車検に通るか微妙)。
ボディ補強でシャキッとしたフェーリングを復活!というのもありますが、それ以上に
安全性の面からもロールバーが欲しいところです。シート後方に取り付ける
ファッションバーの事を「ロールバー」と説明する人もいますが、岩の上に横転したり、
対向車の荷物が落ちてきた時の事を考えたら、やはりAピラーまで繋がった
ロールバーは必須、というのも過言ではありません。

・宮城県民で、覚えている人もいるかもしれません。1999年の事故です。ミヤギテレビの
女子アナウンサーが運転する赤いビートに、対向車線を走っていたトラックの荷物が落下、
直撃して亡くなった事故がありました。稀な事故かもしれませんが、もしかすると自分も
同じ状況に遭遇して、ロールバーの有無(形式の違い)が生死を分けるのかもしれません。

・「ビートはすぐ壊れる」と言われる部分は、エンジンルーム内の部品ぐらいでして、
あとは他車と同じ程度のライフサイクルです。10万kmも走れば、どの車だって
油圧ブレーキのシリンダーも、油圧クラッチのシリンダーも、ミッションのシンクロも、
ドライブシャフトも、キャリパーも、ローターも、クラッチも、オルタネーターも不具合が
出てくるものです。ですから、壊れる前に先手を打って交換、というのが理想的です。
そして、「どうせ交換するなら純正以上を取り付ける」ぐらいの気持ちでいましょう。


湿る

・オープンカー乗り、特に幌付きの車ですと、どうしても雨漏りしてきます。ビートの場合、
たとえウェザーストリップと幌を新品に交換しても、年月を重ねると共に幌が縮んできて
雨漏りが発生します。極端な話、ハードトップに交換しない限り必ず雨漏りはします。

・一番辛いには、雨上がりの朝にシートへ座ってみたら、シートがずぶ濡れだった時。
一度体験すると、「雨漏りしないように、どう対策したらいいんだろう」と考えてしまいますが、
発想の転換で「雨漏りしてもシートに座れる方法」を考え、実践してみました。
雨漏りする場所は分かっていますので、そこにタオルを置いて、雨水がシートまで侵食する
時間を稼ぐ、シート上にビニールを敷く、等が有効です。私の場合は、オートバックスで
防水シートカバー(素材がウェットスーツと一緒のやつ)を買ってきて、それを敷いています。

・雨の朝の儀式。まず、ドアを開けると、防水シートカバーに水溜まりができています(本当)。
その水を車外の外に捨て、シートカバーをめくってシート座ります。もちろん、濡れていません。
そして、エンジンを回して出発する時、雨漏りポイントにタオルを押し付けながら、
急発進&急停止!すると、幌に溜まっていた水がタオルに落ちてきます。
これで、走行中に雨水が滝のように落ちてくるのが防げますので、ビートオーナーはお試しを。


重い

・残念ながら、ビートにパワステはありません。フロントに155タイヤを付けている時よりも、
165タイヤを付けている時の方がステアは重いですので、女性は安易にインチアップ
(155/65R13→165/60R13)しないほうが得策です。走行中はステアの重さは
気にならないけれども、バックでの車庫入れなどは、意外と大変です。腕が。
まぁ、運転しながら腕力も鍛えられるという利点もありますけど(笑)。


暗い

・ビート最終限定版の「バージョンZ」以外、暗い所でビートのメーターは読みにくいです。
特に、3連メーターの一番右にある速度計と走行距離計は暗くて、一瞬では読み取りにくいです。
スピードメーターは針の傾きで分かりますが、トリップメーターは全然見えません。
速度計が見えにくい点に我慢できない方は車外メーター(ビート用3連メーター)か
フロントガラスに速度等を投影する機器の購入を検討してみては?



て、ビートを選んで、悪いことばかりではありません。
   次はビートの素晴らしき世界を教えましょう


安い

・車検時の重量税、軽自動車ですから安いです。以前乗っていたインテグラでは、
2年分で37800円(1t〜1.5t)。それが、軽自動車だと2年分8800円です!
その差、29000円です。自賠責保険についても、自家用乗用車が24ヶ月で
27630円なのに対し、軽自動車は22540円で、その差、5090円となります。

・タイヤについても、ブリジストンのポテンザGIIIを購入するという仮定ですと、
インテグラの195/55R15は1本10200円、ビートの純正リアである
165/60R14は1本7900円、純正フロントの155/65R13は1本6000円です。
つまり、1台分のタイヤを揃えるのに、インテグラで40800円掛かるのに対し、
ビートは27800円、その差13000円です。
ただ、ビートは前後タイヤのローテーションができませんけど、走り方によって
前後同じような消耗させれば、交換サイクルはインテグラよりも長いはずです。軽いし。

・つまり、2年でタイヤを交換すると仮定した場合、タイヤ代と重量税と自賠責保険だけでも
47090円も得する計算になります。4年で94180円、意外と大きいです。

・任意保険についても、安く済みます。保険会社とドライバーの条件によって
大きく変わりますが、私の例でも。

<年齢条件>26歳以上
<家族条件>家族の運転のみ
<使用目的>日常・レジャー
<車両保険>30万円
<対人・対物賠償>無制限
<人身障害>3000万円
<特約>対物超過費用・弁護士費用・日常生活賠償

上記の内容で、1ヶ月5200円です(車両保険なしで3400円)。
「3年間無事故で5万円戻ってくる」という内容ですので、等級は関係なし。
ちなみに、当方9年間無事故のゴールド免許です(2004年12月現在)。
あと、来年30歳ですので、年齢条件を30歳以上にすれば、更に安くなります。


回る

・小さいボディですので、狭い所でもラクラク曲がれます。駐車場なんかは、
狭い場所でも余裕で入れますが、車が小さすぎて買い物後に駐車場でロストする事も(笑)。
国道バイパスでのUターンなんかは、一発で曲がれますので、精神的負担も軽いです。
峠なんかでも、ステアの反応が早いので「人馬一体」感を楽しめます。

・MR車という事もあり、回頭性はアンダー発生さえ注意すれば小気味良く回ってくれます。
雪道で走行中、FF車の癖でコーナー侵入時にサイドブレーキを引いたら、
一瞬でスピンモードに入ってしまい、慌てて立て直した事もあります(笑)。
F1やカートを想像してみて下さい。あんな感じでスピンしますが、限界を超えるまでは
他の駆動車では味わえないワクワク感が体感できます。


酔う

・自己陶酔に陥ります(笑)。「こんな楽しい車、たまんねぇ!」
とか、様々な想いが交錯しながらも、背中から聴こえるエンジン音でウットリ。
あぁ、この車を買って、本当に良かった、と。

・素直なハンドリングもそうですが、アクセルレスポンスが0.1秒というのも
刺激的な要因の1つです。アクセルワークで自由に荷重移動できた時、
そこにビートの世界が見えてきます。

・「走り」以外でも、「軽でスポーツオープン」というコンセプトは色あせていません。
発売以来ダイハツ・コペンがバカ売れなのも、潜在的な需要があったからでしょう。
信号待ちで、ふと上を見上げると、そこに蒼い空が見える。オープンカーなんだから
当然かもしれませんが、車のシートに座って空を見上げるなんて行為は今まで
した事が無かったので、ここでまた自分に酔います。あぁ、この車を(以下同文)。

・ビート開発陣のトップは「イリさん」こと(当時)ホンダのプリンス、入交氏。
ゲーム好きには、サターン〜ドリームキャスト時代のセガ社長と言った方が早いかな?
なるほど、遊び心を持った人の元で生まれた車、楽しくて当然ですね。
セガ社長時代の話ですが、プールに突き落とされても決して怒らずに笑っていた事で、
突き落とした当人が「いい人だ。この人に付いて行こう」と決心。後に、「サクラ大戦」
シリーズをセガのハードへ生み出して現在もシリーズを展開中、なのです。
もし、「プロジェクトX」に「サクラ大戦を作った男たち」というタイトルがあったら、
入交氏は必ず登場するでしょう。もちろん、プールに突き落とされて。
すいません。ゲーム好きなもので、この手の話が長くなってしまいました。



だまだ教えたい事はありますが、それは購入後の「ビート維持指南」にて。