ツツジの花が見えなくなるまで(2006年)

06年6月1日7時過ぎ、一本早い西丹沢行きのバス時刻に間に合った。今日中に蛭ヶ岳に到着できるかもしれない。乗客全員が座り、若干空席もある。平日の木曜日、客数は意外と多い。バス内はグループが少ない為か空気が穏やかだ。玄倉バス停に着くと、小学生達が乗ってきた。いつもと違い好きな座席確保が難しいのか、乗り口で立ち止まって相談する。三人位が座るとまた、次のグループが立ち止まる。   -1-

運転手が『学校に遅刻するぞ』と声を掛けると、乗客が笑い車内は更に和んだ。10人位の子供達は夫々に腰掛ける。そして、彼らは空席があるのを確認すると安心した。次のバス停で低学年の子が一人乗り込んできた。"この子の為に皆が相談していたのか"と嬉しくなった。 学校が近くなる。柔らかな小さな手が下車ボタンを押す。自分の疲れた手を見つめる。      -2-

西丹沢の駐車場は車で一杯だった。今日は例年通り、神奈川で一番高い場所でツツジを楽しもうと、小屋泊まりの予定で出かけた。 年々衰える体力、増え続ける体重にパワーウエイトレシオは大きくなる一方で、ダンプの車体に軽自動車のエンジンを付けたような身体になり、今は歩くのは嫌だ。   -3-

子供の頃は歩かないと得るものが少なかったので、それは苦にはならなかった。しかし、今この登りの苦しい事、2年前から止めようやめようと思いながらも続けている。 そして、今日も次々と年配者に抜かれる。ここは昔と同じで歩かないと何も得られない     -4-

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