剱岳から雄山へ
 

別山乗越から剱岳

 

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黒部から室堂     

 

室堂からの立山 

 

1日目(8月26日) 忘れ物で1.5時間の時間ロス。時間短縮の為コンビニで朝食を購入する。食べながら景色を楽しむ。稲穂が黄色く色付き、そばの花が真白に咲いている。9時50分、中央高速蓼科ICから大町の扇沢までの北アパノラマロードを走る。ここはルートが分かりやすかった。そして、11時に扇沢駅を出発するが、立山黒部アルペンルートの待ち合わせ時間の長いのに閉口する。 -1-

更に二度目だとトローリバスの警笛が頻繁で、かつ甲高くこのルートに似合っていないと感じた。車中の登山グループが持ってきたリュックの重量 を自己申告で言い、10kg以上だと課金されるトローリーバスの運賃に不満を言う。水も持参してきたようだ。私は室堂ターミナル前で給水をするのでリュックは 室堂まで幾分軽い。大観峰ロープウェイ下にヤナギランが可憐に咲いていた。 -2-

 

血の池とリンドウ池

 

別山乗越に向う

12時30分に室堂到着。立ち食いソバを食べて少し歩き出すと*黄色い葉が花のように部分部分で広がり綺麗だった。二年振りに来た室堂、あの時は紅葉が進み、立山ホテルの料理に大満足した事を思い出した。

*黄色い葉はイワイチョウ(イチョウの葉に似ている)-3-

前を行く山慣れたグループは地獄谷方向に、私は別山乗越の登り口に近い事と、花の多い事を理由にリンドウ池方向から進んだ。楽だと思ったこのルートはアップダウンが2箇所程あった。

僅か数メートルの登りだがなんだかおかしい。息が切れた。変だ!!雷鳥平に着いた時、先ほどのグループはだいぶ先で小さく見えた。 -4-

称名川

今年のはじめに苦しい思いをした不整脈も、このところ全く発生していなかった。また、体重も順調に増えていた。そこで減量も出来る比較的有名な山に登りたかった。 北穂高も行ってないし、南アルプスも行きたいところがあった。しかし、今回の旅は新田次郎の『剱岳(点の記)』が決定付けた。 途中まで読んで車の中でそのままになっていた小説のしおりの部分を開けたとき立山行きを決めた。『剱岳は地獄の針の山、登ってはならない山、登る事の出来ない山』 と書かれていた。-5-

 

チングルマと雄山 

 

別山乗越から

13時25分、石の橋脚を渡り別山乗越に向う。身体に変調があるのでいつもより歩幅を更に小さくした。私より高年齢者のグループに抜かれた。息が続かない。不整脈か高山病か?標高差で僅か300m程度 、早々に着いて今日中に剱岳を終らせて明日は雄山、真砂岳などと考えていたが進まない。-6-

休む間隔が1時間、次は30分と時間が短くなる。 空が暗くなり雹が降って来た。遅々として進まず、運動で発する熱が僅かになり、冷気が勝ってきた。リュックからジャケットを出して着る。すれ違う下山者はシャッツ1枚である。-7-

 

別山と剱八峰

 

美味しいトマトと朝焼け

15時15分、やっと別山乗越に到着した。地図ではここからキャンプ場まで40分である。剱御前小屋前、ここは分岐が四つもあった。 先を行くグループに従い、真中のルートを歩いていると思った。近くに見えたキャンプ場が段々と遠くになった。道を間違えて剱山荘へ下りてしまった。後で分かったが剱御前小屋の脇に道 がありそれを下るのが正しかった。

遠くなった剱沢小屋の下にも小屋が見え、テントがいく張りかあった。あの小屋に行ってキャンプの許可を得ようと横方向に進んだ。16時20分、あとわずかな距離となった時に地図を見ると、その小屋は文部省登山研修所と書かれていた。キャンプ場は更に上である。もう登る体力はなかった。リュックを置いて歩いて向うが、呼吸が続かない。小屋から50m(標高)下の平坦な場所で、テントを張った。-8-

過去のテント泊まりは、荷を少しでも軽くしようと食事も出来るだけ簡単に軽い物を選んだ。その結果はアルファ米で、軽くてお湯を注いで15分で出来上がる。そしてインスタントラーメンをスープ代わりにし、ソーセージを入れて完了である。しかし、”腹に入れば良い”と言う考えから、”一食一食を楽しく味わいたい”に考えが変わり、今回は食材を多く持参した。

写真のトマトやラーメン等に使う野菜を容器に入れて、おでんパックも購入し、お米も”サトウ”のお湯で温めるもの持参した。また、油の処理で困る缶詰も持参。これらをいつもより1日多い3日分リュックに詰め込んでいた。そしてサブバッグや軽アイゼン等があり、重量はいつもより3〜4kg位は 重かった。これもバテた原因だった。お陰で小屋までビールを買いに行けず何年ぶりの禁酒となった。 -9-

禁酒の為か極度の疲労の為か心臓の早い鼓動がいつまでも納まらない。

2日目 日をまたいでやっと落ち着き3時位まで2時間の睡眠 、食事等の準備をし、午前6時に睡眠不足で頭が痛いが出発。無理だったら引き返すつもりだった。-10-

剱岳に挑む?

一服剱,前剱,平蔵コル,平蔵の頭,源治郎へ

 

 

一服剱からの眺望

 

剱岳からの眺望(後ろ立山)

上の右写真の黒いのは日傘で、それを差して登るおばさんが居てビックリした。私はサブバック に昼食用のコンビーフと水、ゼリー式の栄養補給飲料を入れて登った。-11-

9時40分頂上に到着した。眺望の良さ抜群、 残念ながら後ろ立山は陽が反対側で綺麗には見えなかった。別グループが、仙人ヒュッテで待合わせをしていた友人がここで遭難した話をされていた。 -12-

別山、剱御前

 

富山湾と奥大日岳

 

剱御前と鹿島槍

頭痛は途中でおさまったが食欲は無かった。持参したコカコーラの『朝バナナ 』が美味しかったが、さすがにコンビーフは残した。-13-

10時、下りは特に石を落とさないように注意深く歩いた。11時、前剱でもうバテバテ。-14-

鹿島槍

 

チングルマと八方尾根

 

池とイチゴ

12時、剱山荘まで下山し、ビールで一人乾杯 。生ビールも置いてあったが缶の350mlで我慢した。この山荘で汲んだ2Lの水を最後まで飲料用として使った。(キャンプ場の水は煮沸が必要) -15-

13時にテント前に到着。少し頑張れば16時の最終バスで今日中に帰宅できる。 昔だったら無理をして今日帰る方を選んだが、1時間で乗越まで行く体力も無く、ゆっくり時間を楽しむ方を選んだ。 -16-

 

キャンプ場と夕日の別山

 

剱に漂う雲と沢山の星

昨日の反動で大酒を飲んだ 。最初はビール、後でチューハイ3缶。同じように酔っ払った他グループが小屋前のデッキで大声をだす。 キャンプをしている人全員にそのくだらない話が流れる。寂しい人たちだった。

しかし、ここの山小屋はサービス(応対)の良い小屋だった 。一万円札しか無かった私にもこころよく応対し、別の人々にもその事で評判がよかった。午後2時、ゆっくりした時間が流れる。  -17-

テレビもパソコンも無い、万年床のようにテントがあるだけ。周りの景色だけが映像で、小さな手帳に記録が残っていく。感動的な夕焼けを期待したが少し外れた。

午後6時に爆睡、夜11時に目が覚める。別山乗越の上におぼろ月が見えた。目をこらすと山の所々で青い火が点滅する。ヒトダマか? 午前3時、雲がとれて今日も星が綺麗だった。(右写真縮小しすぎてよく見えなくのですが満天の星でした)-18-

真砂岳

 

朝焼けの剱御前と剱岳

 

真砂岳と雄山

3日目 3時に朝食の準備、テントの撤収にまたまた時間が掛る。5時出発、別山と乗越の分岐に神戸の遭難者の碑、昨夜の青い火はこれが原因か?先に別山に登っ っている2名が『ラーク』『ラーク(落石)』と下の私に注意を促す 。その都度真横に逃げる。二人はハイマツの中の道に気が付かず間違えてガレ場を登り続けたようだ。-19

登りきったところの分岐から真砂岳が見えた。左には別山。舞台のカーテン越しに見るように左右の山なみの間に、青い空と白い雲それに浮かぶ山々が見えた。

6時15分、重い荷を降ろして別山に向った。-20-

 

別山から見た景色

 

別山と、頂に向う登山者

後で分かったがここには日本で一番高所の鏡ヶ池があるらしく、社の左側に一抱え程の大きさで存在するとの事だ。社のある所が別山と思ったが、取りあえず、100m先のピークまで歩くとそこが別山だった。 もう二度と来る事はない剱岳を正面に眺めて下った。 -21-

別山から真砂ロッジに向うルートは急峻 で細い道だった。又、社脇から真砂岳に向うことも出来たが、意外と急な下りだった。分岐でリュックを下ろしたことは、一旦戻る事になるが体力の無い私には正しい選択となった。   -22-

真砂岳の雪渓と花々

 

別山を振り返って見る

 

別山と真砂に向うルート

7時、別山からの道と合流する地点まで道が少し細いので注意 した。真砂岳までは緩やかな登りが続いた。-23-

真砂岳に向うこのトレールは気持ちが良い 。振り返ってみた別山の稜線を団体グループが隊をなして進んでいた。 -24-

 

真砂岳頂上と内蔵助山カール

 

ガスってしまった富士ノ折立

7時50分、小さなピークに到着したが標識が無く真砂岳の頂か分からなかった。30mほど下ったところの道標に先ほどのピークが真砂岳と書かれていた。 -25-

ミクリガ池の水面は緑色をしていた。段々とガスが広がり視界が悪くなった。内蔵助カールを過ぎると、一転急坂でザレ場に変わる、見えないのであとどれくらいで頂上か分からない。-26-

雄山神社に咲くリンドウ

 

大汝山々頂とみくりが池 

 

雄山神社と御前沢カール

8時50分、最大の急坂を登りきった。富士ノ折立に登っている人がいたガスが無ければ見晴らしはよさそうである。大汝山の小屋が見えた、ここが雄山より高い場所とは知らなかった。9時、大汝を出発。-27-

9時30分、アップダウンを繰り返しやっと雄山に到着 した。浅い積雪時には岩で滑って危険なところである。神社ではもう下るだけだが500円を払いお祓いを受ける。またまたビールで一人乾杯。 -28-

イワイチョウの黄色と岩

 

一ノ越からの登りと下り

 

思い出が沢山の立山

10時半、下山開始、 傾斜は急でガレ場である。小さい子も登って来ている。11時、一ノ越山荘に到着。このルートは本当に人が多い。 でも一息いれているとアサギマダラが舞ってきた。急いでシャッターを切ろうとしたが反応が遅く、子供達の方に登って行った。 -29-

一ノ越からの下りは舗装され平坦で歩き易かった。 暑いですねと登って来た登山者が言葉をかけてきた。こちらが返事をすると、帽子を脱いでいたので 、『かぶって歩いたほうがいい』と返ってきた。どうも最初からその事を言いたくて声を掛けたようだった。-30-

下り終わって真砂岳、大汝、雄山を振り返る

玉殿岩屋を見てからは、ひたすら帰りを急いだ。12時、待ち時間で昼食を取ろうと思っても”そば”ばかりでうどんが なかった。サービスエリアでうどんを食おうと思った。しかし時間待ちが多く、土曜で反対方向なのに車中は満員。おまけに黒部ダムの駅舎の階段は長かった。バリアフリーを取り入れて欲しいと思った。15時頃に扇沢駅到着。17時10分相模湖IC到着。

剱岳に関して言えば、余り楽しめる山だとは思わなかった。その理由は、槍ヶ岳と違い景色が殆ど同じで別山を軸にした、往復の山行である事。ガレ場が多く花も少なく、ただ頂を目指す山歩きになってしまう事である。言ってみれば独立峰の宿命でも有るかもしれない。また、久しぶりに山用品を購入した。前回、鳳凰三山で寒い体験をしたので3シーズン用のシュラフを2万円で購入。二日目の夜は外気温14度で汗をかくぐらい暖かかった。余り着ないでシュラフにもぐりこむのが良いみたいだった。

今回、剱岳へ行くのにあたりデーターを集めていた時、黒部の”水平道”を見つけそれに興味が湧いた。小さい頃の漫画や映画で見た仙人が住む場所に行く道の景色だった。行きたいと思ったし、やはり黒部は秘境だとも 思った。

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<交通> 

中央高速に入り諏訪湖を過ぎて、岡谷JC(ジャンクション)で長野自動車を走り蓼科ICを出る。蓼科ICを出て真直ぐ大町に向う。1kmも走ると標識があり右折する。川沿いに走ると途中で道の駅がある。さらに直進する。T字路になりそこを右折する。少し走り蓮華大橋を渡り、大町温泉郷の案内があるので左折する。道なりに走ると扇沢駐車場に着く。

<コンビニ>

蓼科ICを出てから大町温泉までの間に何軒かあります。大町温泉郷を過ぎると全くありません。

<経路>

1日目(26日)

 中央高速(蓼科)〜扇沢駐車場(11:00)〜室堂(12:30)〜雷平(13:25)〜別山乗越(15:15)〜剱山荘(16:20)〜文部省登山研究所近く(17:00)

2日目(27日)

文部省登山研究所近く〜剱山荘〜一服剱〜前剱〜平蔵のコル〜剱岳〜前剱〜一服剱〜剱山荘〜文部省登山研究所近く〜剱沢小屋

3日目(28日)

剱沢小屋〜別山〜真砂岳〜富士ノ折立〜大汝山〜雄山〜一ノ越〜室堂平〜扇沢駐車場〜中央高速(蓼科)

<費用>

 

扇沢駐車場  1000円/日*3日=3000円

高速料金   4100*2(往復)=8200円

燃料代    3000円

アルペンルート乗車券 8500円(往復)

幕営代     500円*2日

ビール・チューハイ  500円*6本=3000円

雄山お祓い  500円

ソバ(昼食)  700円

コンビニ(朝食)600円

合計       28500円

室堂詳細