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セクシュアルハラスメント
1.セクシュアルハラスメントって?
「セクシュアルハラスメント」という現象自体は、昔からどこででも起きていました。
それでも「セクシュアルハラスメント」という言葉と概念は、ある程度新しいものです。
日本では、80年代から少しずつこの概念が広がってきました。
「セクシュアルハラスメント」という言葉ができたことによって、
今まで漠然と感じていた不快感を、言葉を使って説明できるようになったのです。
また、そのように説明をする言葉があるために、現実がはっきりと見えてきました。
1999年4月から施行された男女雇用機会均等法では、
「セクシュアルハラスメントによって、女性労働者が労働条件に不利益を受けたり、
就労環境が害されることのないよう、雇用管理上必要な配慮をしなければならない」と
定められています。
つまり、加害者のみでなく、事業主(学校側)にも責任があるのです。
その視点を持つことが大切だと思います。
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セクシュアルハラスメントを考えるときには、次の3つの点を押さえる必要があります。
@社会的な権力関係が存在すること
職場の上司と部下、教育の場の教師と学生、職場やサークル、
ゼミでの先輩と後輩の関係、そしてジェンダーも、社会的な権力関係に含まれます。
A社会的な権力関係の上の者から下の者への、性的な言動であること
B社会的な権力関係の下の者が、その言動に対して不快感や屈辱感を抱くこと
ここで言う「性的な言動」とは、
性的な内容の発言
(性的な事実関係を尋ねることや、性的な内容の情報を意図的に流すこと
なども含みます)や、
性的な行動
(必要なく身体に触ることや、わいせつな図画を配布することなども含みます)、
また、ジェンダーハラスメントと呼ばれる、性別による差別的な言動などのことです。
職場内で発生した場合はもちろんですが、出張先や勤務時間外、
たとえば飲み会や接待の場所などで発生した場合でも、
職場での上下関係や人間関係が存続する場合にはその対象になります。
また、被害者は女性のことが圧倒的に多いのですが、
男性が被害者になることもありますし、
異性間だけではなく、同性間でのセクシュアルハラスメントもあります。
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ひとつ押さえておきたい大切なことは、セクシュアルハラスメントは
「性的な関係」ではなく、権力を濫用した「人権侵害」だということです。
セクシュアルハラスメントは、被害者の「性的自己決定権」を侵害しますし、
労働の場では「労働権」を、そして教育の場では「学習権」を侵害します。
しかも、セクシュアルハラスメントには、単純にそれらの権利を侵害するもの
というだけではない、非常に理不尽な構造があります。
セクシュアルハラスメントが起きると、被害者は「性的自己決定権」を守るか、
「労働権」や「学習権」を守るかの、二者択一を迫られてしまいます。
それらの権利は、本来、独立してどちらも存在するはずのものです。
それなのに被害者は、その2つの権利を天秤にかけるよう迫られ、
どちらか一方しか選べない、
またはどちらも侵害されてしまう状況に追い込まれてしまうのです。
しかも強制によって無理やりあきらめさせられたほうは、
被害者が自主的に自分の意志で手放したのだと言われてしまいます。
つまり、不快な性的言動を受け入れたら「合意だった」と言われ、
職場や学校を辞めたら「自主的に辞めた」と言われてしまうのです。
そこが、セクシュアルハラスメントの、非常に腹が立つところです。
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