わんだふるはうすcuisine francaise JJに行く
シャリオ・ドゥ・デセール編

フレンチ・レストランでのランチのしめくくりは、Chariot de dessert(シャリオ・ドゥ・デセール)。「デザートは、ワゴンからお好きなものをお好きなだけお選び下さい」。 たくさんあるお菓子の中からどれにしようか迷うこの一時は、至福の時です(^Q^)\ 2008年9月、東京ミッドタウンにあるジョエル・ブリュアンさんのお店「cuisine francaise JJ キュイジーヌ・フランセーズ・ジェイジェイ」をワンダフルハウスが訪ね、シャリオ・ドゥ・デセールを堪能してきました。メニューの数々を順番に紹介いたします。

「こんにちは!(^O^)/…おおっ!?あれは!?(^O^)\」
ランチタイムのワゴンデザート
(ワゴンよりお好きなデザートをお好きなだけお選び下さい)
Le chariot de desserts
4200円のコースに含まれています
7350円のコースに含まれています
10500円のコースに含まれています
アラカルトの場合は1800円
+サービス料10%
「ワゴン・デザートです!\(^○^)/」

レストランでの食事の最後の締めくくりとして度々登場するのが「シャリオ・ドゥ・デセール」。デザート・ワゴンがテーブルのお客様の周りを囲み、「シャリオ(ワゴン)の中から、お好きなデセール(デザート)を、お好きなだけお選び下さい」。いかにデザートは別腹とはいえ、オードブルから魚料理や肉料理のメインディシュを召し上がった状態で、お腹もかなりいっぱいです。ですから、あれもこれも頂けないのですが、少しづつ種類の違うものを頂けるのが魅力。また、その雰囲気があまりにゴージャスで、目移り心移りしてしまいそうなほど、ワゴン・デザートには種類があります。

「おっ!(^O^)\ セミ・ドライ・タイプのイチジクをふんだんに使った贅沢なタルト“Tarte aux figues タルト・オー・フィッグ”(イチジクのタルト)です!」
「艶出しのためにコンフィチュール・アブリコ(アプリコット・ジャム)が塗ってあり、タルトが飴色に輝いています!」
「おっ、完璧な長方形、黒く輝く表面の光沢、上品に添えられた金箔、エレガントでシャープ…コーヒーとチョコレートが奏でる絶妙な風味と味わい(^Q^)…私の大好物オペラです!\(^O^)/」
「Gateau opera ガトー・オペラ」は、コーヒー・シロップをアンビバージュしたビスキュイ・ジョコンド(アーモンド風味の別立てスポンジ生地)に、チョコレート・ガナッシュとクレーム・オ・ブール・キャフェ(コーヒーのバター・クリーム)を何段にも塗り重ね、一番上にグラサージュ・ショコラ(チョコレートの上がけ)して、表面に金箔を添えたガトー・ショコラ(チョコレート・ケーキ)です。
「アンビバージュ imbibage」とは、焼き上がった生地にシロップなどを塗って染み込ませること。アンビベ(imbiber)するとも言います。
「おっ、バリっと強めに焼き上げたタイヤの形のシュー生地にプラリネクリームをはさんだ…パリ・ブレストです!(^O^)\」
「クリームが緑色です!(゚O゚)\ プラリネ・クリームにピスタチオ・ペーストを混ぜた“Pari-Brest a la pistache パリ-ブレスト・ア・ラ・ピスターシュ”」です!
「フランボワーズがズラリと並んだ、このケーキの正体は?」
「ピスタチオのムースの中に、甘酸っぱい“Coulis de framboise クーリ・ドゥ・フランボワーズ”(フランボワーズのクーリ)が入っています!」
フランボワーズのクーリは、ボウルの中に生のフランボワーズとグラニュー糖を入れて軽く混ぜ合わせ、果汁が出てきたら、木ベラで丁寧に潰して作ります。
「おおっ!(^O^)\ スライスしたブリオッシュがシロップに浸かってる…これはサヴァランです!」
サヴァランは、美食王として名高いポーランド王スタニスラス・レクチンスキー(ルイ15世妃マリー・レクチンスキーの父)が1704年に発明しました。スタニスラス王は、いつも食べ慣れているクグロフというお菓子に飽きてしまい、砂糖とラム酒をふりかけて火を点けたのでした。すると、どうでしょう…クグロフは思いもよらぬ美味しい味になりました\(^Q^)/ 王様は千夜一夜物語(アラビアンナイト)の英雄アリババがお気に入りだったので、このケーキに「アリババ」と命名。その後、スタニスラス王は継承戦争に破れて1736年に退位。ポーランドから追放され、フランス・ロレーヌ地方の領主となりました。それをきっかけにフランスにもババが広まったのです。19世紀初めに、ロレーヌ生まれのパティシエ ストーレーがパリのモントルグイユ通りに店を構えて名物としたところ、センセーションを巻き起こし、呼び名は短く「ババ」と呼ばれるようになりました。最初はハケでシロップを塗るだけだったのを、ラム酒入りシロップに浸す方法になり、1840年頃、ストーレーで修行していたオーギュスト・ジュリアンというパティシエが生地に干しぶどうを加えない「ブリア・サバラン」を作り、後にただ短く「サバラン」となったのでした。ちなみにサバランという名前は「ブリア・サヴァラン」に敬意を表して付けられた名前。「君の食するところを言い給え。君がどんな人物かを言い当てよう」の名言で知られる19世紀フランスの美食評論家です。
「ワンダフルハウス様、お皿には、このようにサーブしております」
「おっ(^-^)\ サラダ・フリュイです!」
「ワンダフルハウス様、サラダ・フリュイは、このようにサーブしております」
「Salade de fruits サラッド・ドゥ・フリュイ」(フルーツ・サラダ)。色々な果物の果汁、溶けた砂糖とリキュールが混ざり合って、魔法のシロップになります。底にたまったシロップをグイッと飲み干すのが、最後のお楽しみです(^Q^)
「こちらは、チョコレート・ソースとアングレーズ・ソースでございます」
「これは巨峰を使ったデセールですか?(^-^)\」「巨峰のクレーム・アンジュでございます」
「巨峰のクレーム・アンジュ!(゚O゚)\」
「おおっ!(:゚O゚:)\まるで砂浜に落としてしまったようなカスタード・プディングです!ヴァニラ・ビーンズたっぷりで、芳しい香りがします!〜(:^Q^:)」
「おっ、焼きプリンです!(^O^)\」「ワンダフルハウス様、こちらは、ジョエルのおばあちゃんのルセットで作りましたバナナとプラムのクラフティでございます。今、カットして断面をお見せします」
「クラフティ clafoutis」は、「詰め込む」から由来していて、もともとはフランスのリムーザン地方の伝統的な家庭菓子。田舎のおばあちゃんが庭にできた季節の果物を材料に、孫たちのお茶の時間のために焼くといった、もったいぶらない、でも、心あたたまるお菓子なのです。一般的にはタルト生地の中に、サクランボなどを並べ、卵、牛乳、生クリーム、砂糖を混ぜたものを加えて焼き上げた家庭的で素朴なお菓子です。
「おっ(^-^)\中身はプリンのようなアパレイユ生地を流し込んであります。そして、ものすごい量のバナナとプラムが詰まっていますね…あーっ!思い出した!(゚O゚)\ これは先週ディナーで食べました!

Amuse bouche

「ワンダフルハウス様の御要望通り、本日はイチジクをふんだんに使った特別コースを組みました。まずは、アミューズの“Figue et au jambon de Parme”でございます」
Figue et au jambon de Parme
フィッグ・エ・オー・ジャンボン・ドゥ・パルム
イチジクとパルマ産生ハム
秋の味覚を代表するフルーツであり、フランス人の大好物である無花果の登場です。
イチジク生ハムと組み合わせたオードブル「Figue et au jambon」(イチジクと生ハム)は、生ハムの塩味とイチジクの独特な甘味があいまって抜群に相性が良いのです。
「新鮮でよく熟れたイチジクです!(^O^)\」
「ほぅ、これがジャンボン・ド・パルム(パルマ産生ハム)ですか(^-^)\」

イタリアでもっとも有名な生ハム、「ジャンボン・ド・パルム」の登場です。パルマは生ハムの熟成に特に適した気候風土を持っています。栄養価が高く、かぐわしい香りをもったパルマ産生ハムは、デリケートな味わい、低い塩分、すぐれた風味と芳香が特色です。イチジクやメロンなどの果物はもちろん、どのような種類のパンに合わせても美味しくいただけます。

「切りたての生ハムは香りが違います!〜(^Q^)」
「バルサミコ酢ソースの爽やかな酸味が、生ハムの塩味を引き締めています!(^Q^)」
皮の色は黒紫ですね。フランス人は、皮つきのままを4個も5個も食べるそうです。フルーツとして生で食べるのはもちろん、タルトやコンポート、ジャムにしたり、乾燥したものをパンやパウンドケーキに盛り込んだり、鴨や豚肉、ウサギと煮込んだイチジクの料理もあります。肉とフルーツの煮込みは、果物の酵素で肉が柔らかくなる効果があるのです。
「プツプツとした食感…そして、品の良い甘さがふんわり広がります!(^Q^)」
「イチジクに生ハムを巻いて、一緒にいただきましょう。このように、生ハムを半分に細く切って巻くのが本格的な巻き方なのです。」
「ジューシーで美味です!(^Q^) 不思議な組み合わせですが、生ハムとイチジクを一緒に食べると、イチジクの青臭さが気にならず、甘味も増し、生ハムの塩味も和らぎます。栄養学的に見ても、この食べ合わせは理に適っているそうです」

Soupe

「ワンダフルハウス様、本日のスープ“Potage creme de mais glacee”でございます」
Potage creme de mais glacee
ポタージュ・クレーム・ドゥ・マイス・グラッセ
とうもろこしの冷製スープ
「とうもろこしの冷製スープでございます」
「おっ(^-^)\具が入ってますね。枝豆と…」「白いのは冬瓜(とうがん)でございます」
「冬」という名がつきますが、れっきとした夏野菜の冬瓜(とうがん)。保存に適し、まるごと冷暗所に置いておけば、冬まで貯蔵できることに由来しています。キュウリと同じウリ科の植物で、さわやかな味わいが特徴。水分が豊富で、体熱を下げる効果もあります。夏バテしがちなこの季節(9月初旬)にピッタリの野菜です。
「おおっ!これは!?(゚O゚)\」「“Mousse de foie gras froide ムース・ドゥ・フォア・グラ・フロワッド”フォアグラの冷たいムースでございます」「なめらかに練り上げたフォアグラの冷たいムース…コクがあって美味です!(^Q^)」
「とうもろこしの自然な甘みと、フォアグラのムースの滑らかな舌触りが絶品です!(^Q^)」

トウモロコシは、フランス語では「mais(マイス)」。フランスでは結構高く、2本で3ユーロ(約450円)くらいします。スープ売場にコーンスープは見当たらないので、フランス人はあまりトウモロコシを食べないようです。

Poisson

「ワンダフルハウス様、“St.Pierre poele sauce champagne サン・ピエール・ポワレ ソース・シャンパーニュ”的鯛のポワレでございます」
St.Pierre poele sauce champagne
サン・ピエール・ポワレ ソース・シャンパーニュ
マトウダイのポワレ シャンパン・ソース
「うわーっ!(゚O゚)\ ソースが泡だらけです!」
「こんなソースは初めて見ました!(゚O゚)\」
シャンパン・ソース、または“Cappuccino”(カプチーノ仕立て)と呼ばれる泡のソースの登場です。1960年代までの料理人は、漉したり表面の泡をすくったりして、ソースやスープから泡を完璧に消し去ろうと苦心してきました。1970年代初頭から始まったヌーベル・キュイジーヌの流れを受けて、時代は料理を軽く仕上げる方向に向かいます。ソースはより軽く濃度の少ないものになり、それまでタブーとされていた泡を、あえてソースやスープに入れるようになります。そして1980年頃、アラン・シャペルがハンドミキサーで泡立てたスープに「カプチーノ」という名前を付け、泡のソースやスープが登場したのです。
「おーっ!(゚Q゚)\…軽い口当たりで美味です!\(^Q^)/」
シャンパンを煮詰めて、生クリームを入れてさらに少し煮詰めて、塩胡椒で調味してから、サービスの直前にハンドミキサーで泡立てたソースです。

的鯛(サン・ピエール)の旬は冬ですが、ヒラメのように夏場でも味が落ちることなく、フランスの高級レストランでも通年使用されることの多い素材です。

「おっ!キャビアです!(^O^)\」
フォアグラやトリュフと並ぶ世界三大珍味の一つ「caviar キャビア」の登場です。チョウザメ(鮫の仲間ではありません)の卵を塩漬けにしたもので、プチプチした食感と濃厚な風味が特徴です。
「ワンダフルハウス様、カスピ海産“Caviar ossetra オセトラ・キャビア”でございます」

カスピ海で獲れたイラン産オセトラ・キャビアです。キャビアには粒の大きさにより種類があり、最も大きなものは「Beluga ベルーガ」といいます。ベルーガは大粒で、色は灰色で濃淡があり、一番良いものは色が薄いものといわれています。粒の皮は柔らかく、刺激が少なく、口当たりがとても良く、味わいはマイルドです。世界で最も希少価値のあるのものはホワイト・ベルーガと呼ばれるもので、年間3〜5kg程度しか獲れません。こちらの「Ossetra オセトラ」は、中粒で、ベルーガの味わいより濃厚です。ヘーゼルナッツのような風味があります。色は茶色がかった灰色からゴールドまで様々。「Sevruga セブルーガ」は、一番小粒で、味わいは繊細で独特の風味があります。一番クリーミーかつ濃厚な味。最もきめが細かく、色は暗灰色です。

「サン・ピエールをいただきましょう…」
「淡白な肉質です!(^Q^)」
「おっ、サン・ピエールの下にネギが…(^-^)\これは薬味ですか?」「ワンダフルハウス様、そちらはポロネギでございます」
日本では、とても高価なポロネギは、フランスでは「poireau ポワロー」といいます。日本のネギとの違って、肉厚で、ぬめり、辛み、においがありません。このように軟らかくなったポロネギの食感は、ホワイトアスパラガスにも似て、とても美味しいのです(^Q^)
ポロネギは香りが高く、生で食べるとピリリときますが、よく加熱すると非常にまろやかな甘味が出ます。昔、ヨーロッパでは、ポロネギの粘液と繊維素が気管の炎症を緩和し、出なくなった声を取り戻す効果があると考えられており、「歌手の草」と呼ばれていたそうです。
「的鯛の生に近い食感が、シャンパン・ソースとよく合います!(^Q^)」

Avant dessert

「ワンダフルハウス様、“Compote de figue au vin rouge コンポート・ドゥ・フィグ・オ・ヴァン・ルージュ”イチジクの赤ワイン煮でございます」
Compote de figue au vin rouge
コンポート・ドゥ・フィグ・オ・ヴァン・ルージュ
イチジクの赤ワイン煮
「おーっ!これは!?(゚O゚)\」
パティシエ・シマ
Compote de figue au vin rouge
コンポート・ドゥ・フィグ・オ・ヴァン・ルージュ
472円
ルコント
Compote de figue au vin rouge
コンポート・ドゥ・フィグ・オ・ヴァン・ルージュ
630円
「パティシエ・シマとルコントで見たことがあります!」
イチジクのコンポートはレストランのデザートとしてはお馴染みのものですが、煮汁にゼラチンを入れてゼリー仕立にして、カップに入れることによってテイクアウトが可能となりました。
フィグ・オ・ヴァン・ルージュは、このようにグラス・デザートとして食べるのが本格的なのです。

夏の終わりから、秋にかけて美味しい旬の無花果を赤ワイン入りのシロップで煮込んだお洒落な一品。豪華で美しいデザートです。

「中に生クリームが!\(^O^)/」
作り方は、イチジクの後ろの穴に箸をさして回して穴を開け、赤ワイン+グラニュー糖+バニラビーンズ+シナモンスティックで煮て、一晩置いたものに、キルシュ風味の生クリームを後ろの穴から絞り入れて出来上がり。
複雑で芳醇…香り良く大人の味です!(^Q^)

Chariot de dessert

「おっ!ケーキがカットされました!(^O^)\」
「いよいよ運ばれて来ますよ!(^Q^)\」
ランチタイムのワゴンデザート
(ワゴンよりお好きなデザートをお好きなだけお選び下さい)
Le chariot de desserts
4200円のコースに含まれています
7350円のコースに含まれています
10500円のコースに含まれています
アラカルトの場合は1800円
+サービス料10%
「ワンダフルハウス様、“Sorbet au pomme verte ソルべ・オ・ポンム・ヴェール”青リンゴのソルべも一緒にどうぞ」
「おっ、サクサクのメレンゲまで付いてますね(^-^)\」

爽やかで清涼感があります!(^Q^)

グラニー・スミス Granny Smith」は、19世紀にオーストラリアのマリア・スミス夫人によって育成された品種です。欧米で料理や製菓用の青リンゴとして有名ですが、日本ではあまり売られていません。酸味が強いですが、いやな酸味ではなく、気分までリフレッシュ出来るようなさっぱりとした酸味です。
シャリオから選んだデセールが、プレートに綺麗に盛り付けられました。
それでは、オペラからいただきましょう。
フランス菓子を代表するチョコレートケーキ「ガトー・オペラ」。パリの高級菓子店「Dalloyau ダロワイヨ」が1955年に生み出したケーキです。ナディーヌ・ベルナルデ(現パリ・ダロワイヨ社長)の母、アンドレ・ガヴィヨンは、オペラ座の舞台から、このチョコレートとカフェの繊細な組合わせを思いつき、表面を飾る金箔が、オペラ座のドームの上にあるアポロンの掲げる黄金の琴のように輝いて見えたことから「オペラ」とネーミングされました。1982年、東京・自由が丘にダロワイヨが初出店して以来、現在はフランス菓子の定番となり、どこのパティスリーでも似たようなオペラが作られています。日本では1970年代に既にダロワイヨ仕込みの本格的なオペラが発売されていました。
オペラを持つアンドレ・ルコント氏
(1977年)
オペラ
(パティシエ・シマ)
特注品
それは「ルコント」です。ルコントで3年間修業した島田進さんが1971年にフランスへ渡り、ダロワイヨで修行し、帰国後、ルコントに戻ってからオペラを作り始めたのです…ここで、ジョエル・ブリュアンさんが登場…「オー!ルコントサン!(^O^)\ ボクノ オハカ ルコントサンノ オハカノ トナリニ アリマス」…なんとジョエルさんは横浜・山手の外人墓地にあるルコントさんのお墓の隣にお墓を作ったそうです。
オペラ
(パティシエ・シマ)
特注品

島田進シェフが特別に手をかけた、現在の日本で見ることのできる最高のオペラは、全く乱れの無い完璧な10層構成でした
↓上から下に↓
グラッサージュ・ショコラ
(チョコレートの上がけ)
クレーム・オ・ブール・モカ
(コーヒー味のバタークリーム)
ビスキュイ・ジョコンド
(コーヒーシロップを染み込ませたスポンジ)
ガナッシュ
(生チョコレートクリーム)
ビスキュイ・ジョコンド
クレーム・オ・ブール・モカ
ビスキュイ・ジョコンド
ガナッシュ
クレーム・オ・ブール・モカ
ビスキュイ・ジョコンド

島田進さんは1968年、六本木「ルコント」に入店。1971年フランスへ渡り、「ブッタ」「ダロワイヨ」などで修業を積む。帰国後、銀座「マキシム・ド・パリ」、青山「ルコント」、市ヶ谷「シェ・シーマ」で総製菓長をつとめる。1998年オーナーシェフとして麹町に「パティシエ・シマ」を開店。
オペラ
(パティシエ・シマ)
420円

こちらはプティ・ガトー・タイプです。

パティシエ・シマ
島田進シェフ作
cuisine francaise JJ
宮本亜希子シェフ作

パティシエ・シマで3年間、アルザスのメゾン・フェルベールで2年間修業を積んだcuisine francaise JJ のシェフ・パティシエール宮本亜希子さん。オペラの師弟対決です!

宮本シェフのは、ダロワイヨのオリジナルに近い7層構成です。
グラッサージュショコラ
ガナッシュ
ビスキュイ・ジョコンド
クレーム・オ・ブール・カフェ
ビスキュイジョコンド
ガナッシュ
ビスキュイ・ジョコンド

コーヒーとチョコレートが奏でる絶妙な味のハーモニー♪美味です!(^Q^)
オペラ
(ルコント)
473円
現在のルコント総製菓長 前田秀幸シェフのオペラもお見せしましょう。
オペラ
(ルコント)
473円
11層構成です。
グラッサージュ・ショコラ
クレーム・オ・ブール・モカ
ビスキュイ・ジョコンド
ガナッシュ
ビスキュイ・ジョコンド
クレーム・オ・ブール・モカ
ビスキュイ・ジョコンド
ガナッシュ
ビスキュイ・ジョコンド
クレーム・オ・ブール・モカ
ビスキュイ・ジョコンド
次は「Tarte aux figues タルト・オー・フィグ」(イチジクのタルト)をいただきましょう。甘味のある生地にクレーム・ダマンド(アーモンド・クリーム)を詰め、アマレット(杏子の種で造られたイタリアの伝統的なリキュール)に漬けた乾燥イチジクを並べて焼き込んだタルトです。
タルト・セゾン
(パティシエ・シマ)
472円
パティシエ・シマにもタルト・オー・フィグがありますが、これはフレッシュ・タイプなので構造が違い過ぎます。
Tarte aux Abricot
タルト・オー・ザブリコ
(パティシエ・シマ)
2625円
Tarte aux figues
タルト・オー・フィッグ
cuisine francaise JJ)
同じタイプのタルトがありました。「タルト・オー・ザブリコ」。アプリコットのタルトです。

リキュールに漬け込んだセミ・ドライ・タイプのフルーツを並べて焼き込んだタルト。

タルト生地は、両方とも“Pate a sucree パート・シュクレ”ですね。
甘いタイプのタルト生地で、クレーム・ダマンドと組み合わせて使われることが多いです。
バターの量が多く、ホロホロした生地に仕上がります。
フィリングとサックリした生地が口中で一体化して織り成すハーモニー♪(^Q^)…これこそタルトの醍醐味です!
乾燥したイチジクは甘味が濃厚!(^Q^) 種のプチプチした歯ざわりとアマレットの甘い香りが印象的です。
Tarte aux fruits
タルト・オー・フリュイ
(ルコント)
このタイプのタルトの最高のものは、1968年のルコント開店当初から発売している「タルト・オー・フリュイ」といえます。通称“タルト・ミックス”。高倉健さん御用達品です。最近は店頭では見かけませんが、注文すれば作ってくれます。キルシュに漬けた6種類のフルーツを使ったタルトで、上から時計周りにスリーズ、アブリコ、ネクタリン、オランジュ、プラム、ポワール。
この生地は「Pate Sableeパート・サブレ」です。パート・シュクレよりサクサクとしてもろい、クッキーのような生地です。
Paris-Brest
パリ・ブレスト
(パティシエ・シマ)
Paris-Brest
パリ・ブレスト
(cuisine francaise JJ)

リング状のパータ・シュー(シュー生地)を使った「パリ・ブレスト Paris-Brest」の登場です。お菓子の形は自転車の車輪がモチーフ。パリ=ブレスト間の有名な自転車レースにちなんで名付けられました。フランス人は自転車レースがとても好きです。毎年7月に行われるフランス最大の自転車レース「Tour de France (ツール・ド・フランス)」は、20数日間にも及び、全行程を区間に分けて、タイムを競います。その存在は単なる自転車競技の枠にとどまらず、オリンピック、サッカーのワールドカップと共に世界3大スポーツイベントの1つに数えられています。 ツール・ド・フランスの第1回開催は1903年。その12年前の1891年、第1回パリ=ブレスト間の自転車レースが行われ、これを記念して作られたのが「パリ・ブレスト」なのです。沿道のメゾン「ラフィット」の職人、ルイ・デュランの作とされ、自転車の車輪を連想して、大きなリング型のシュー生地にプラリネクリーム、表面にはスライスアーモンドという形で出来上がりました。日本では、島田シェフの師匠であるアンドレ・ルコント氏が、1963年に来日してホテル・オークラで働いていた時に最初に紹介しました。

「ほぅ(^-^)\ 外見はなかなかよくできていますね」
クリームは、基本的にはプラリネですが、宮本シェフはピスターシュを使って、新しさを出してきました。
「カットしてみると、両方とも中に赤ちゃんシュークリームが!(^O^)\」
この赤ちゃんシュークリームは「勾玉(まがたま)」といいます。大きなアントルメサイズはプラリネクリームの量が多いので、勾玉形のプティ・シューを支えに挟むのです。
「おっ、宮本シェフの勾玉にはシャンティが入っていません」
アマンド、プラリネ、ピスターシュ…パリ・ブレストを見ていると、フランス菓子においてナッツの使い方は、とても重要であると感じさせます。

スライスしたアマンドがビッシリと貼り付いています!

クレーム・プラリネとクレーム・ピスターシュが、たっぷりと絞られています!
プラリネ(Praline) は、砂糖を熱してカラメル状にし、ローストしたアーモンドやヘーゼルナッツを混ぜ合わせ、すりつぶしてペースト状にしたものです。
「クレーム・ピスターシュはナッティで、まろやかなコクがあります!(^Q^)」
Creme d'Ange
クレーム・ダンジュ
クレーム・アンジュ
(パティシエ・シマ)
577円
Creme d'Ange de raisins “Kyoho”
クレーム・ダンジュ・ドゥ・レザン“キョホウ”
巨峰のクレーム・アンジュ
(cuisine francaise JJ)
最後にクレーム・アンジュ対決です。
まず最初に、日本におけるクレーム・アンジュの歴史を振り返ってみましょう。1978年に発行された雑誌の中に「今、評判の甘くないお菓子屋さん」という特集がありました。 おっ!ジョエル・ブリュアンさんです!(^O^)\ 左の写真がレンガ屋銀座店のデザートで、作ったのは、ポール・ボキューズとベルナションで修業した日本人調理長 中村通武さん(現在は横浜シェ・ナカ オーナー・シェフ)です。
右側のページ、一番下を御覧ください。 日本の雑誌に初めてクレーム・アンジュが載った瞬間…それは、アンジュ地方出身のセルジュ・フリボーさんが作りました
クレーム・ド・アンジュ
(メゾン・ド・フランス・セルジュ)
1979年
「昔はクリームチーズかカッテージチーズぐらいしかなくて、みんな苦労していましたよ。クレーム・アンジュも、1970年代にメゾン・ド・フランスのセルジュ・フリボー氏が作っていた頃はカッテージチーズの裏漉しで代用していました」と語る島田シェフ。低カロリーでヨーグルトに似ているフロマージュ・ブランは、当時まだ日本国内に輸入されていませんでした。1970年代後半になると、チーズケーキがブームになり、あちこちのケーキ屋でレアチーズケーキやベイクドチーズケーキが発売されました。メゾン・ド・フランスでクレーム・アンジュを初めて食べた日本人客は、フワフワの泡のような食感のチーズケーキに意表を突かれ、それまで食べてきたチーズケーキに対する概念や常識を覆されるぐらいの衝撃を受けたのです。1988年、シェ・シーマ開店の際に、島田シェフがココットに入れてテイクアウトできるようにして販売し、2000年代に入って、銀のぶどうから「かご盛り白らら」が発売されて、一般大衆にもブレイクしました。
パティシエ・シマのクレーム・アンジュは、フランス・アンジュ地方の家庭菓子に島田シェフがアレンジを加えた逸品。フロマージュ・ブランに泡立てた卵白と生クリーム、砂糖を合わせただけの単純明快なお菓子です。ポイントは卵白と生クリームをしっかり泡立てて、水気をよく切ることだそうです。 島田シェフ直伝のクレーム・アンジュに日本生まれの高級ぶどう品種「巨峰」を贅沢に使用。さらにクリステーヌ・フェルベール直伝の艶やかなジュレは、。巨峰の皮の内側にある果実本来のペクチンを充分に引き出したもの。まさに、プレミアム・クレーム・アンジュです。
フワッと泡のように軽くクリーミーな舌触り(^Q^) フランボワーズ・ソースのキュンとくる酸味が新鮮です。 巨峰のリキュールの香りがしてきます!(^Q^) 味は「クレーム・ド・巨峰」と言うだけあって濃いめ。クレーム・ド・カシスと同じ位と思ってもらえばイメージできるでしょうか。

フルーティーでリッチな味わいが楽しめます(^Q^)

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