フランス菓子 Maison Wenikoの四季

ストラスブールのパン屋の娘Mlle Pernyさんが1979年夏に焼いた
伝説のガレット・ア・ラ・フランジパーヌ
(ガレット・デ・ロワ・アルザシエンヌ)

タルト・リンゼル クリスティーヌ・フェルベール風
PART

2011年8月第2週

わんだふるはうす、メゾン・ベニコへ行く

PART1はこちらでどうぞ
ストラスブールのパン屋の娘Mlle Pernyさんが
1979年夏に焼いた
伝説のガレット・ア・ラ・フランジパーヌ
(ガレット・デ・ロワ・アルザシエンヌ)

佐渡バター100%使用
特注品
製作 Weniko

「ところで、ガレット・ア・ラ・フランジパーヌのフランジパーヌとは?(゚-゚)\「1970年代のフランスでは、既にこのフランジパーヌというクレームがあまり使われなくなっていたのです。フランス人の中でもクレーム・ダマンドと間違える人もいたくらいです」

「アマンドの入る点では、確かに両方共同じですが、クレーム・フランジパーヌとクレーム・ダマンドは全く違うクレームなのです」

「ルネッサンス時代にはフランジパーヌ風手袋、フランジパーヌ風香水などという言葉も流行したそうです。この語の起源は、ローマの名家フランジパニ(Frrangipani)家に由来している、と言われています。異説では、ハンガリアにも同名の名家があり、ここから名付けられたのだ、とも言われています」

Galette des rois Sado-Alsace
ガレット・デ・ロワ 佐渡=アルザス

佐渡バター100%とストラスブールのパン屋の娘Mlle Pernyさんの1970年代のルセットを使用
特注品
製作 Weniko

「たった今閃いたのですが、私はこのガレット・ア・ラ・フランジパーヌを『ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス』と名付けることにしました。また一つ、古い文献から新しいガレット・デ・ロワを創造したのです!\(^○^)/」

Mlle Pernyさんのルセットの通り、パート・フィユテに400g、フランジパーヌに250gの無塩バターを使用。4箱もの佐渡バターをふんだんに使用したオートクチュールタイプのガレット・デ・ロワがカットされました」

何だこれは!? クリームが茶色っぽい!(゚O゚)\

ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス
メゾン・ベニコ
特注品
ガレット・デ・ロワ(やきいもペースト入)
メゾン・ベニコ

「文献的な考証を別にすると、誰でも考えつくことでございますが、フランジパーヌとはフランジパニエ(Frangipanier 赤ソケイ=ジャスミンの一種)の実で作ったクレームだから、こう呼ぶのではないのか、ということです」「フランジパニエ?(゚-゚)\」「フランジパニエとはジャスミン系のとてもいい匂いのする花で、プルメリアともいいます。花には毒性はございませんが、枝や葉を折ると白い液が出てきて、その液は猛毒なのでございます」

ガレット・デ・ロワ
パティシエ・シマ
ガレット・デ・ロワ
ビゴの店 鷺沼店
ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス
メゾン・ベニコ
特注品

「ローマの名家説を裏付ける証拠としては、1533年、カトリーヌ・ド・メディシスとアンリ2世の結婚式に、彼女の料理人が作ったクレームの記載のある献立表で、この時からフランジパーヌと呼ばれたようでございます」

「その時の配合は、赤砂糖4オンス、粉4オンスを鍋に入れてから、卵3個を入れ、スパテラでかき混ぜ、その中に塩一つまみ、苦味アマンド粉、牛乳少量を火にかけて煮ます。煮えたら2オンスのブール・ノワゼット(焦がしバター)を入れる、というものでございました」
「また、1730年の書物によるフランジパーヌは、スープ匙1杯(約15ml)の粉、卵1個、塩少々を火にかけながら混ぜます。この時、気をつけることは、クレーム・フランジパーヌがくっついてはならず、焦がしてはいけないということでございます。冷えたら、オレンジの花の香料、プラリネ、アマンド、それに苦味アマンド少量、さらにマカロンを砕いたものを入れてとろみをつける、とあります」「このクリームの茶色っぽさの謎はプラリネ?…まさか、マカロンを砕いて入れた?(゚O゚)\

「クレームが茶色いのは、Mademoiselle Pernyが皮付きアマンドプードルを使用していたからでございます」

ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス
メゾン・ベニコ
特注品
ガレット・デ・ロワ・オー・ほしいも(やきいもペースト入)
メゾン・ベニコ
特注品
柿のコンフィチュール入りガレット・デ・ロワ(やきいもペースト入)
メゾン・ベニコ
特注品

なるほど…茶色いのはアーモンドの皮の色でしたか。今までのガレット・デ・ロワは、皮むきアーモンドパウダーを使っていたからクリームが黄色っぽいのですね(^-^)

「ペルニーさんのルセットを見ると、もう一つ、アルザスのガレット・デ・ロワの特異な点がありますね

フランジパーヌに、Eau de vie d'abricot(オー・ド・ヴィー・ダブリコ)を加えている点でございます。今回は、完熟したアルザス特産のアブリコ(アプリコット、杏)を時間を掛けて蒸留し、アブリコ独特の芳醇な完熟風味を見事に再現したヴォルフベルジェール社のこだわりのオー・ド・ヴィー・ダブリコを使用しました。 新鮮なアブリコの浸漬、蒸留による柔らかい自然の風味がございます
「ビール工場の他に食品工場も多い街コルマール(Colmar)は、フルーツも豊富にあり、多くのフルーツ缶詰、お酒ではオー・ド・ヴィー(Eau de Vie)というフルーツ・ブランデーを製造しております。キルシュ(kirsch)という黒サクランボの透明な蒸留酒オー・ド・ヴィー・スリーズは特に有名でございます。ヴォルフベルジェール社の蒸留所もコルマールにあります。伝統の技に裏打ちされたオー・ド・ヴィーの製造過程を簡単にご紹介しましょう。収穫された新鮮な果実は、種を除き破砕してすぐにマッシュにされ、20℃に保たれたステンレスの発酵樽で発酵させます。4日から10日置くと、果皮に付いている天然の酵母が糖分をゆっくりとアルコールに変えていきます。これを蒸留釜に入れて蒸留するのですが、 ヴォルフベルジェール社ではポットスチルを用いた蒸留法とコラムスチルを用いた近代的蒸留法を独自に組み合わせていることが特徴です。伝統的蒸留法では、2日間に渡る長い加熱時間により強い香りが抽出され、持続性があり、ふくよかなオー・ド・ヴィーが生まれます。 近代的蒸留法では、蒸留時間が短いため、新鮮で果実本来の華やかさを持つオー・ド・ヴィーとなります。こうして2種類の方法で蒸留したものをそれぞれ数年間に渡って熟成させ、巧みにブレンドし、強く長い香りと洗練されたフルーティさを合わせ持つ製品に仕上げていくのです」
「アプリコットのオードヴィーが強く香り立っています! ~(゚Q゚)」「このアブリコの他にもミルティユ(ブルーベリー)、キルシュ(自社所有農園の65ヘクタール、22000本の桜より収穫された黒サクランボ)、ソヴァージュ・フランボワーズ(野生のフランボワーズ)、ポワール・ウィリアム(ポワールの最高の産地であるアルザス・オート・アルプス、ヴァレー・デュローヌ地方より収穫されたウィリアム種の洋梨)、ミラベル(アルザス・ロレーヌ地方特産のフランス最高のミラベル)、クエッチ(西洋スモモ)、カシス、マール・ゲヴルツトラミネール(ゲブルツトラミネール種のブドウ)、そしてホップ(ビール)…これらのオー・ド・ヴィーは全てアルザスの大地とヴォルフベルジェール社の技によって生み出された逸品なのでございます」

「何という香ばしさでしょう! 佐渡バターが沸き立っています! ~(゚Q゚)

「皮付きアマンドプードルは、皮なしタイプよりコクがあります!(^Q^)」「皮付きアマンド・プードルは、皮なしのアマンド・プードルよりも香り高く、食物繊維も豊富なのです。ギャレット・デ・ロアのような焼菓子に使えば、より味わい深い仕上がりになるのでございます」


もっとアルザス色を強く、フェルベール色を強く出してみたい。私は『ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス』に、エグランティーヌ(野バラの実)のコンフィチュールを組み合わせてみることにしました」

Confiture d'eglantines
コンフィチュール・デグランティーヌ
参考商品

「エグランティーヌのコンフィチュールの味を一言で言うと、『私達日本人が今まで食べたことのない味。何にも似ていない味。しかし、美味』

ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス エグランティーヌのコンフィチュール添え
Maison Weniko
ガレット・デ・ロワ 特注品
コンフィチュール 参考商品

「たった今、水戸の地にヌーヴェル・ガレット・デ・ロワが誕生しました」

この『ガレット・デ・ロワ 佐渡-アルザス』は試作品で、晩秋には佐渡の柿を組み込んだガレット・デ・ロワが製作されます」

続く

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