お正月2

金子流のお正月の花は枝ものを中心とした自由な流派

ほんとうは、人がいけた花を見るのが大好き。「ミセス」に掲載された白洲正子さんの花はすばらしかった。そのページを頭の中に描きつつ、最初はみんな下手なんだから、下手は下手なりにがんばればいいか、とこのテーマを引き受けちゃったけれど、ほんとうのことを言うと、とても疲れました! 以前は、お正月といえば、大きなかめに若松100本、というのが好きだったのですが、捨てるときに大変なので、今はやめてしまった……。松をいけるのは、門松の代り。玄関先が狭いので、家の中に松を飾ります。基本的には花よりも枝ものや草が好きですね。いつもは草専門。道端に生えている草を摘んできては、日本の器にいけています。ぺんぺん草、猫じゃらし、昼顔なんかは次々と花が咲いて、かわいい。もうおしまいと思うと庭に捨てるでしょ、そうすると自然に根がついて生き返る、それがかわいくてまたいける……、という繰り返しです。今回はお正月なので、松と笹(竹)と梅の代りに南天を使っておめでたく。花器にするのは、もちろん日本の器。伊万里の壷や備前焼の小鉢を使います。四苦八苦のすえの金子流お正月のいけ花、いかがなものでしょうか……。

松竹梅の柄の大きな壷に、松、笹、南天

おめでたい松竹梅の柄の大きな壷に、松、笹、南天を投げ入れた飾りつけ。両脇にはお対の燭台にろうそくをともし、ドラマティックに演出。「こんな大がかりなことは初めて!」と言っていた金子さんですが、その手さばきは、モデルが着た服をチェックするときの手際のよさに似ていて、鮮やか!

備前や織部に、松、笹、南天

備前や織部などの器に、松、笹、南天の小さな飾りつけ。松はツリーのように縦長にし、笹は扇状に動きをつけて、南天はかわいらしく……、それぞれの表情を生かします。

装苑1995年1月号「金子功の和ンダフル」より
撮影・藤井英男

百科事典に戻る