わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

アナナス・フランボワーズ

フランス語でパイナップルのことを「Anana アナナ」といいます。1492年、コロンブスの航海によって、パイナップルが西欧人の知るところになりました。その当時パイナップルは、中部アメリカ・西インド諸島に伝わっており、新大陸の発見後は広く世界へと紹介されました。16世紀に入ると、アフリカ・インド・南洋諸島に分布し、17世紀にはヨーロッパ貴族の温室で品種育成も試みられ、18世紀には、南北緯度30度以内の熱帯・亜熱帯地域で広く栽培されるようになりました。この怒涛のような広がり方を見ると、パイナップルは当時人気のフルーツだったと考えられます。しかし、輸送や貯蔵に弱いパイナップルは世界への輸出が困難でした。そこで、スムースカイエン種という品種改良されたパイナップルを1819年フランス領ギアナからフランス本国へとようやく伝播することに成功しました。これをきっかけに世界各地でパイナップルが栽培されるようになり、いま私たちが食べている(^Q^)というわけです。「アナナとフランボワーズのムースのケーキを創ってください!(^O^)/」 2007年7月のある日、日本におけるフランス菓子の情報発信塔であり、日仏の菓子情報に常に敏感で、日夜研究を欠かすことがないパティシエ・島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、「パイナップルとフランボワーズのムース Mousse al'ananas et aux framboises」を創っていただきました。

「こんにちは!(^O^)/ 予約していたケーキを受け取りに来ました
今日はタルト・プリンセスとグリオッティーヌをラトリエでいただいていきましょう。
おっ!(^O^)\ このケーキは時々見かけますが、前から気になっていました。「パヴェ・ダマンドもください!」 注文したケーキがラトリエ・ド・シマに運ばれてきました。
「アイスティー(ジャルダンブルー)」420円。「ジャルダンブルー Jardin bleu」とは、「青い庭園」という意味。木苺の甘酸っぱい香りに矢車菊とひまわりの花を散りばめたフレーバーティー。
「タルト・プリンセス」(420円)何種類ものフルーツを飾った可愛くて上品なケーキです。フルーツは季節ごとに変わるそうです。トップに苺、両サイドにブルーベリー、左の緑色のはキウイ、中央に苺、右にオレンジ。ひっくり返して裏側を見てみましょう(^O^)\
真ん中のベージュ色はバナナですね。 なめらかなクリーム(^Q^) 土台はダックワーズです。
「グリオッティーヌ」(420円)「グリオッテーヌ Griottine」とは、アルザスで製菓用に開発された洋酒漬けのチェリーのこと。このケーキは、アルザスの代表的な郷土菓子「フォレ・ノワール Foret-noire」を島田シェフがアレンジしたものなのです。「フォレ・ノワール」は、チョコレートのスポンジ+生クリーム+チェリーの組み合わせですが、キルシュのムース+ガナッシュに変えて改良してあります。 下からビスキュイ・ダマンド・ショコラ↑半割りにしたグリオットチェリーを入れたキルシュのムース↑ダックワーズ↑ガナッシュ↑ビスキュイ・ジョコンド↑赤く染めたナパージュ↑螺旋状のチョコレート。
ワンダフルハウスは、ルコント青山本店にフォレ・ノワールを見に来ました。「おおっ!(^O^)\ ケーキの上に松ぼっくりが乗ってます!\(^○^)/」 カット売りのものは、切ってから松ぼっくりを乗せるそうです。
「フォレ・ノワール Foret-noire」(アントルメ5250円 カット630円)フォレ・ノワールとは「黒い森」という意味で、ドイツ生まれのお菓子ですが、アルザス地方でもよく作られます。ドイツ名「Schwarzwalder-Kirschtorte シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ(黒い森のさくらんぼのお菓子)」。ドイツのシュヴァルツヴァルト地方には、針葉樹林帯が広がっていて、遠くから見るとまるで「黒い森」に見え、さくらんぼの産地としても有名なことから、黒い森とさくらんぼのイメージで生まれたケーキです。
チョコレートのコポー(削ったもの)をビッシリと貼り付けてあります。まさに“黒い森”という名にふさわしいデコレーションです。
島田シェフによると、アルザス地方特産のグリオッティーヌは、もともとはキルシュを作るためのさくらんぼで、食用ではありませんでしたが、食べられるように洋酒に漬け込まれ、現在では人気の製菓材料になったそうです。
カットして断面を拝見(^0_0^)\ 底からココアのビスキュイ↑グリオッティーヌが入ったチョコレートクリーム↑ココアのビスキュイ↑クレームシャンティ↑ココアのビスキュイ↑クレームシャンティ↑松ぼっくり。
フォレ・ノワールは、大人向けに作ったショートケーキという感じがします。
キルシュ(さくらんぼのリキュール)が効いてます!(^Q^) ブラッスリー・ルコントで、一度だけ、松ぼっくりの乗ってないフォレ・ノワールを見たことがあります。
続きましては、パティシエ・シマの「パヴェ・ダマンド」と、島田シェフの創作ケーキ「アナナス・フランボワーズ」の登場です。おっ!(^O^)\ 見比べてみるとパヴェ・ダマンドは軽装備ですね。日持ちするので、保冷用の”銀紙”は必要ないみたいです。
「パヴェ・ダマンド Paves d'amandes」(2625円)パヴェとは「敷石」という意味。アーモンドスライスを敷石のごとく敷きつめたケーキです。
スライスアーモンドは、焼く前に型に貼り付けたものです。焼きあがったスポンジ台にナパージュ・ヌートルをたっぷりと塗ってあります。
綺麗な花です!\(^○^)/ 中央に赤いドレンチェリーを乗せ、その上に黄色いミモザの砂糖漬けを置いて、周りを白いスライスアーモンドで花びらのように飾りつけてあります。
切り分けて中を見てみましょう。 おおっ!これは日持ちしそうな焼菓子です。パウンドケーキのフランス版ですね。
ん?前にどこかで見たことがあるような… 5月下旬の聖霊降臨祭のために作っていただいた創作ケーキ「コロンビエ」に似ています!
小麦粉を使わず、アーモンドパウダーだけで作った焼菓子なので、しっとりした味わいです(^Q^)

「パイナップルとフランボワーズのムース Mousse al'ananas et aux framboises」(特注品)略して「Ananas Framboises アナナス・フランボワーズ)」。両方とも酸っぱいフルーツを組み合わせた夏向きのケーキです。
粉糖をふりかけた渦巻き状のビスキュイ・ダマンド(@_@) 側面には生クリームを塗り、菱形に切った飾り用のチョコレートを貼り付けてあります。
いつもとは違うお洒落な切り方を披露いたしますφ(^0_0^)
底からビスキュイ・ダマンド↑アナナのムース↑フランボワーズのムース↑ビスキュイ・ダマンド。
アナナのムースの作り方は、アナナをミキサーにかけて裏漉し、3分の1は火にかけてゼラチンを溶かし込み、戻して混ぜ合わせます。生クリームを加えて手早く合わせて出来上がり中に入っているアナナも缶詰で、6等分したアナナとグラニュー糖を鍋に入れて炒め、キルシュを加えて香りづけしてあります。
ワンダフルハウスはアナナのムースを初めて食べました(^Q^) ビスキュイは甘めで、ムースの酸味との調和を計っています。アナナは酵素の働きでゼラチンが固まらないため、ムースにはしずらいフルーツだそうですが、缶詰を利用することで問題が解決するそうです。

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