わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

フィーユ・ドートンヌ&デリス non・no 1982

1979(昭和54)年、代官山・旧山手通り沿いに建ち並ぶ代官山集合住居「ヒルサイド・テラス」にデンマーク大使館完成。同年、当時39歳のマルグレーテ2世・デンマーク女王陛下が来日し、アンドレ・ルコントさんと島田進さんが作ったルコントの料理とお菓子がデンマーク大使館にケータリングされ、デンマーク女王に献上されました。女王は「ルコント」の味を堪能(^Q^) 島田シェフ製作のお菓子「デリス」を、ことのほかお気に召していただいたそうです。そして同じ1979年、ヒルサイド・テラス内にBIGI本社ビル完成。翌1980年NICOLEグループからBIGIグループに移籍した金子功さんのピンクハウスがBIGI本社ビル内に入居します。ピンクハウスがブームになり始めた1982年、雑誌ノンノ10月20日号「ノンノ屈指のケーキ好きが舌で探した必殺の66軒 ”教えてあげる! とっておきのケーキ屋さん”」にルコントのケーキ「フィーユ・ドートンヌ(秋の落葉)」と「デリス」が掲載されました。秋の落ち葉が舞い散り始めた2007年11月のある日、ルコントでもパティシエ・シマでも廃番になってしまった2つのアントルメをパティシエ・シマ」の島田シェフに完全復刻していただきました。

11月も中旬になり、秋の落ち葉が道を覆い始めました。今日は島田シェフのルコント時代の創作アントルメ「フィーユ・ドートンヌ」と「デリス」を復刻してもらうのです。「こんにちは!(^O^)/ 予約していたケーキを受け取りに来ました
ウィンドーに並ぶ色とりどりのフランス菓子。そのどれもに作る人の心が込められています。
おおっ!デリスのプチ・ガトーがあります!(゚O゚)\ 色がグリーンっぽい…ノンノに載っていたのはベージュっぽかったので、このデリスとは全くの別物です。「アンブルとデリスと…」 「ミルフィーユ・オ・フレーズとシシリーと…」
「みやびをください!」 注文したプチ・ガトーがラトリエ・ド・シマに運ばれてきました。おっ!(^O^)\ 一番向こうのテーブルに「予約席」の札が…一体どんなお客様がいらっしゃるのでしょうか?
プチ・ガトーをダージリンティーを飲みながらいただきます。 「ダージリンティー」(420円)ヒマラヤ山系の高地で作られたインドのダージリン紅茶。スリランカのウバ紅茶、中国のキームン(祁門)紅茶と共に世界三大紅茶の一つです。高貴で洗練された香り、後味にキレがあります(^Q^)
「デリス Delice」(472円)デリス=フランス語で「美味しい食べ物」という名のケーキです。
ピスタチオの淡いグリーンの上に生のフランボワーズが1粒トッピング。
ピスタチオ pistachio (nuts)」は、古代トルコ、ペルシャなどの地中海沿岸地方の砂漠に自生していたものを食用に栽培するようになったもので、オレイン酸、リノール酸などの不飽和脂肪酸が豊富に含まれているほか、食物繊維やビタミンB1、カリウム、鉄、銅なども多く、味覚、風昧共に“ナッツの女王”と言われ、高級品として親しまれています。
美しいケーキですね(^‐^)\
底から、ビスキュイ↑ピスタチオのムース↑ビスキュイ↑フランボワーズのジュレ↑フランボワーズのムース。ピスタチオの香ばしさとフランボワーズの甘酸っぱさが絶妙にマッチして、まさに大人の味わいです(^Q^)
「アンブル Ambre」(420円)フランス語で「琥珀(コハク)色」といった意味を持つケーキです。
おおっ!(^O^)\ 綺麗です! 琥珀色に輝いています!\(^O^)/
プラリネとチョコレートのムース、細かいクルミの入ったココアゼノワーズの構成。ナッツ好きには堪らない逸品です(^Q^)
 
「ミルフィーユ・オ・フレーズ Millefeuille aux fraises」(472円)サクサクのパイでカスタードクリームと大粒いちごをサンドした苺のミルフィーユ。上のフィユタージュ(パイ生地)が3等分にカットしてあって食べやすいのです。
パティシエ・シマでは、3種類の大きさ(S・M・L)の苺を使い分けていて、Mサイズはミルフィユの上に置いてある飾りに、Lサイズはカットしてミルフィユの中に入れるそうです。
酸味と甘味が凝縮されたSサイズは「タルト・オ・フレーズ」に使用しているそうです。
ある時、島田シェフがミルフィーユの苺を上に飾らず、中にはさむだけにしてみたところ、途端に注目度が急降下してしまったそうです。目に見える飾りの1粒がとても重要なのだということを痛感したとのことです。 ここで、ワンダフルハウス図書館所蔵の「女性自身1982年7月29日号」を紹介いたします。ケーキ特集のページに、島田シェフが総製菓長だった頃のルコント六本木店が掲載されていて、プチ・ガトーのサンプルトレイの中に苺が乗ってないミルフィーユ・オ・フレーズを発見しました。右から2番目の列、(こちらから見て)3番目がそうです。なるほど、これでは目立ちませんね。日本人の苺好きは、昔も今も変わらず、実に顕著です。
「シシリー Sicily」(472円)シシリー産の香ばしいピスタチオを使用したケーキの登場です。
中央にガナッシュをコルネで絞り、金箔とピスタチオのクリームで飾りつけてあります。表面を覆っている粉状のチョコレートは「ピストレ・ショコラ」といって、チョコレートとカカオバターを細かく刻み、45〜50度の湯煎で溶かしたものをスプレーガンで噴射したものです。
形はオクタゴン(八角形)。風水で八角形(オクタゴン)は中間の形。八角形は8つの方向に広がる形…つまり宇宙の形であると言われています。八方位に気を配り、エネルギーを引き寄せ、守りを置いて身を守ることができると言われています。日本でも昔から八は末広がりで縁起がよいと言われてきました。キリスト教の教義では、8は霊魂の再生、復活を表す数字とされてきます。いずれの場合も、8という数字は古今東西を問わず縁起が良い数字のようです。
ピスタチオ・グリーンが美しい! 底から、ビスキュイ・ダマンド・ショコラ↑ムース・ショコラ↑ビスキュイ・ピスターシュ↑ムース・ピスターシュ↑ピストレ・ショコラ。中心部にフランボワーズのクーリーが隠されています。シシリー産のピスタチオは2年に1度しか収穫を行わないため、風味が非常に強く、生産量が少ないことから希少価値が高く、極めて高品質。色鮮やかさとローストした際に増す風味の良さは格別で、他国産に比べ油脂分が多いのも特徴の一つです。
…ここで、お客様が2名いらっしゃいました…そして、島田シェフの登場…
この3人は凄い!(゚O゚)\ 左から島田進さん。フランス菓子研究家の大森由紀子さん。クリストフル・ジャパンのCEOイヴ・アルマーニさん。「おおっ!(^O^)\ 渋いオレンジ色のヘリンボーン・ツイード・ジャケットに、濃ピンク色のパンツを合わせるとは…アルマーニさんは、ただものではない!」「ワンダフルハウスさん、アルマーニさんはKENZOの社長だったのよ」と大森さん。「す…凄過ぎる(@_@) KENZOさんの友人である金子功さんをご存知ですか?」「もちろん、知っています」とアルマーニさん。「す…素晴らしい!\(^○^)/」
大森由紀子さんが編集長をつとめる雑誌「スイーツ王国」3号のインフォメーションに掲載されている島田シェフのクリストフル・フェーブペンダント付きガレット・デ・ロワの打ち合わせのため、ラトリエ・ド・シマに来店されたのでした
大森由紀子さんは、フランス菓子・料理研究家。東京都生まれ。学習院大学フランス文学科卒業。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルトンブルー、リッツ・エスコフィエ料理学校で料理とお菓子を学んだ後、パリのパティスリー、レストランで研修。現在は、フランス菓子とお惣菜の教室「エートル・パティス・キュイジーヌ Etre-Patisse-Cuisine」を主宰。フランスの魅力が沢山詰まった地方の伝統菓子や料理に魅せられ、その文化的背景と共にTV・雑誌・書籍を通して紹介しています。毎年フランス地方をめぐるツアーも企画。リッツ・エスコフィエ日本窓口、島田シェフが会長を務めるクラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの理事も務め、フランス伝統菓子の普及にも尽くしています。フランスの家庭料理、お菓子の著書多数。詳しいプロフィールは、こちらでどうぞ。
ワンダフルハウスは、パンフレットを見せていただきました。
「おおっ!(^O^)\ これが大森由紀子さんが毎年プロデュースしてらっしゃる”クリストフル・ペンダントフェーブ付ガレット・デ・ロワ”ですか?」「ワンダフルハウスさん、2008年は、私が理事を務めているクラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワの会長である、パティシエ・シマの島田シェフのものです。ルコントで長年シェフを勤められていた島田シェフのガレット・デ・ロワは、フランスのエスプリを反映した、日本一美しく美味しいガレットです。ぜひ、この機会に召し上がってみてください。ちなみに、2008年のクリストフルのフェーブは、アネモネをモチーフにしたものです」「これは欲しい! 予約します!(^O^)/」 詳しくは、こちらでどうぞ。
「みやび」(420円)抹茶づくしのプチ・ガトーの登場です。
抹茶は、島田シェフが以前から手がけてみたかった材料だそうです。場所柄、京都の洋菓子界では昔から使われていたそうですが、全国的に流行したのは最近になってからのこと。まず、パリで注目を集め、逆輸入という形で全国的に一気に広がりました。一番人気は抹茶ロールですが、このようにフランス菓子らしく仕立てられました。流行のおかげで、香りが飛びにくく、色も変わりにくい製菓用の抹茶も現われたそうです。
上に乗ってるのは、抹茶の焼きメレンゲ、抹茶入り生クリーム、カシスのシロップ煮。
底と側面は抹茶のビスキュイで覆われ、その中にカシスのシロップ煮が入った抹茶ムース。さらにその中にクレーム・ブリュレ。
それでは、舞台を代官山に移しましょう。旧山手通り・デンマーク大使館交差点の横にある小さな広場でフィーユ・ドートンヌを披露いたします。
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