わんだふるはうす、パティシエ・シマに行く

レジェ・ペシェ

桃のリキュール「Creme de Peche クレーム・ド・ぺシェ」が良く飲まれるようになってからはまだ日が浅く、1980年代半ばのことです。オランダのデ・カイパー社が発売した「ピーチツリー」がアメリカで爆発的な人気を得たことをきっかけとして、世界中で桃のリキュールが飲まれるようになり、世界各国のリキュールメーカーもこぞってそれまで影の薄かった桃を原料にした製品を出すようになりました。日本でも、もちろん桃のリキュールは人気があり、缶入りのカクテルや居酒屋のメニューなどにも使われ、すっかりおなじみの存在となっています。「南仏の陽光をいっぱいに浴びた桃で作ったピーチリキュールを使った桃のケーキを創ってください!(^O^)/」 2007年8月のある日、日本におけるフランス菓子の情報発信塔であり、日仏の菓子情報に常に敏感で、日夜研究を欠かすことがないパティシエ・島田進さんのお店「パティシエ・シマ」をワンダフルハウスが訪ね、桃の創作アントルメ「レジェ・ペシェ」を創っていただきました。

8月に入ってから関東では真夏日が続いています。「la peche?(^O^)/ 予約していたケーキを受け取りに来ましたいや〜、今日も暑いですね(^-^;A」
「la peche? ラ・ペッシュ?」は、フランス語で「桃?」っていう意味もありますが、「元気〜?」って意味もあるのです。「la banane? ラ・バナーヌ?」=「バナナ?」って言うのも同じく「元気〜?」って意味です。フランス語では「avoir la peche アボワール・ラ・ペッシュ」で「元気いっぱい」 という意味が存在します。これは、直訳すると「桃を持っている」という意味です。
今日は51種類のプチ・ガトーが並んでいます。ワンダフルハウスのように繰り返し訪れる客でも、どれを買おうか迷ってしまうほどです…おおっ!(^O^)\
今日はムースフレーズのアントルメがあります。「これもください!」  こちらは、アントルメをカットしたものです。
夏向きのカップデザートが全部出揃ったって感じですね。
「おおっ! このフィッグとは?(^O^)\」「いちじくのコンポートでございます」「いちじくといえば金子系フルーツです!\(^○^)/」
”いちじく”といえば、金子功さんの大好物。1987年秋のクロワッサンに掲載された京都旅行ロケでは、錦小路で京都・城陽市産のいちじくを箱ごと(4パック入り)購入して、満面の笑顔で、このように語っています。「ふぐ、はも、いちじくが私にとっての三大美味です(^Q^) いちじくは京都のものが最高! 私は自分だけこっそりものを食べる人間じゃないけど、いちじくだけは別。これは私ひとりで食べますと言って冷蔵庫にしまっちゃう」「いちじくは胃を洗うといって体にもいいらしいです」と金子さん。温室ものは7月初めから9月末までありますが、甘くて艶のいい城陽ものは8月初めから9月半ばまで。
「ワンダフルハウス様、いちじくのタルト”タルト・セゾン”もございます」「それもください!」 「それから、タルト・アブリコも!」
注文したタルトとコンポートがラトリエ・ド・シマに運ばれてきました。 「アイスコーヒー Cafe Glace」(525円)アイスコーヒーをブラックで飲みながらお菓子をいただきます。苦味とコクが強いので、ケーキの甘味を和らげてくれます。
「カフェグラス Cafe Glace」ことアイスコーヒーは、フランスではなかなかお目にかかることがありません。2004年にパリのオペラ座近くにスタバが開店して以来、徐々にアイスコーヒーも市民権を獲得しつつありますが、町のカフェではほとんどのお店に置いていません。
「タルト・セゾン」(472円)日本で「saisons セゾン」と言えば、某巨大デパートグループを想像するかもしれませんが、これはフランス語で「季節」を意味する名詞です。つまり「季節のタルト」という意味ですね。ちなみに四季のことは「quatre saisons キャトル・セゾン」と言います。これはそのまま「4つの季節」という意味です。
正式名称は「いちじくのタルト Tarte aux figues」 いちじくはフランス語で「Figue」、英語で「Fig」。日本名の「いちじく」は、1日に1果づつ熟するから「一熟」と言ったものがなまったとされる説が有名です。「花の無い果」と書くように花を咲かせずに実をつけるように見えますが、果実の中の赤い細かい突起が花で、果実そのものが花なのです。いちじくの木には雄と雌があり、花を咲かせるのは雌ですが、日本のいちじくは圧倒的に雌の木が多いのです。いちじくは紀元前2000年以上前から栽培されていたとされ、アダムとイヴがいちじくの葉で肌を隠したことは有名です。日本には江戸時代に渡ってきたとされていますが、実の中に花があるため、ほとんど品種改良がなされず、現在でも栽培されているのは8割が「桝井ドーフィン」、2割が昔から日本にあるとされている「蓮菜柿(ほうらいし)」です。最近では外来の新品種も数多くなってきました。いちじくは昔から民間医療薬としてもよく知られ、整腸作用、酔い覚ましや、痔に良いとされ、血液をきれいにするとも言われます。食物繊維、ミネラルが豊富で、最近よく知られるようになったアントシアニン、ポリフェノールも含みます。
飴色に輝き、瑞々しい…島田シェフが厳選した旬の無花果をふんだんに乗せた贅沢なタルトです! おおっ! 中に生クリームが!(^Q^)\
イチジクに含まれるタンパク質を分解する酵素プロチアーゼとペクチンの腸をきれいにする働きがコレステロールの吸収を抑えます。食物繊維を多く含んでおり、健康的な優しい甘さとねっとりした食感は絶品です(^Q^)
「いちじくのコンポート Compote de figue au vin rouge」(472円)ワンダフルハウスの大好物を紹介いたします。赤ワインで煮たイチジクがまるごと1個。周りは赤ワインのゼリー。底の白い部分はビスキュイ。 イチジクをお皿の上に出してみましょう。
こうすれば、レストランのデザートのようになります。
おっ!?φ(^O^)  中にホイップクリームが!\(^○^)/
フルーツのコンポートはレストランのデザートとしてはお馴染みのものですが、菓子店では珍しいですね。作り方は、いちじくの後ろの穴に箸をさして回して穴を開け、赤ワイン+グラニュー糖+バニラビーンズ+シナモンスティックで煮て、一晩置いたものに、キルシュ風味の生クリームを後ろの穴から絞り入れて出来上がり。
シロップがびっしょり染み込んだ白いビスキュイ。 ルコントでは、6月最終週に「フィグ・オ・ヴァン・ルージュ」が発売されました。たぶん、8月最終週までの季節商品です。
「いちじくのコンポート Compote de figue au vin rouge」(630円)パティシエ・シマのと似てますね。ルコントのゼリーはクラッシュしたものです。
イチジクのコンポートをお皿に出してみました。ルコントのは、中のゼリーがジュレ状で一緒に出てきました。
生クリームです!\(^Q^)/ カップの底には白いビスキュイ。
ワンダフルハウスは、キャンティにイチジクを見に行くことにしました。「こんばんは!(^O^)/ 無花果はありますか?」 「旬の季節ですので、もちろんございます。ワンダフルハウス様、そのままお召し上がりになられますか? それとも…」
「生ハムと一緒に…」「おっ!(^O^)\ もちろん生ハムと一緒にいただきます!」
いよいよイチジクの美味しい季節の到来です。イタリアン定番のアンティパスト「生ハムといちじく Prosciutto crudo e fichi」(2400円)プロシュート・クルード・エ・フィッキの登場です。
Prosciutto」=「ハム」。「crudo」=「生の」。つまり「プロシュート・クルード」とは「生ハム」を意味します。イタリア人はメロンと一緒に食べますが(Prosciutto crudo e melone プロシュート・クルード・エ・メローネ)、無花果が出回る時期はイチジクと一緒に食べています。
こちらが完熟の採りたての皮をむいた無花果でございます。なぜ“花の無い果実”と書くのでしょうか? イチジクの実を縦に切ってみましょう。おおっ!果皮から内側に向かって無数の花が咲いています(^O^)\ このように果実の中に花が咲く…つまり外側からは花が見えないことから“無花果”というわけです。イチジクは、アラビア地方を原産地とするクワ科の落葉樹で、江戸時代の寛永年間(1624−1644)に日本に入ってきました。かつては畑や庭に植えられて、晩夏から晩秋(8〜11月)にかけて実を熟させる旬の果物として親しまれてきましたが、最近はそれほど身近な果物ではなくなりました。イチジクには消化促進効果があるので、消化不良や便秘でお悩みの方にお勧めします。イチジクの果肉に豊富に含まれている「ペクチン」という食物繊維が腸を通過している間に機能を発揮するのです。保水性に富む食物繊維は腸内で水分を含んで膨張し、これにより排便を促進するので便秘を改善することになります。食物繊維の効用はこれだけではありません。腸内に入ってきたコレステロールのうち、余計な分を吸着して便と共に排泄するので、コレステロール値を下げ、動脈硬化や高血圧をも予防します。イチジクが豊富に含んでいるペクチンは水溶性食物繊維の一種で、これは数ある食物繊維の中で最もコレステロール値を下げる作用が高いものです。また、肉料理を食べる時に、イチジクを一緒に食べると消化を良くしてくれます。イチジク特有の特殊成分である「フィシン」というたんぱく質分解酵素の効果が、たんぱく質である肉を分解するからなのです。このフィシンは肉眼で確認できますが、店頭で売られている果実ではだめで、イチジクの木になっている実を切り取ってみると、切り口から白い乳液が出てきます。これがフィシンの正体です(^0_0^)
ワンダフルハウスが巻くと見栄えが悪くなってしまうので、シェフに巻いてもらいましょう。「おおっ!さすがプロ!巻き方が上手です!(^O^)\」 このように、生ハムを半分に細く切って巻くのが本格的な巻き方なのです。
ジューシーで美味です!(^Q^) 不思議な組み合わせですが、生ハムとイチジクを一緒に食べると、イチジクの青臭さが気にならず、甘味も増し、生ハムの塩味も和らぎます。栄養学的に見ても、この食べ合わせは理に適っているそうです。 
「キャンティにイチジクを使ったケーキはありますか? おっ!手前の方が夏の新作ですね」
この7個のうち、タルト・シトロンは春からありました。「夏の新作ケーキを6個全部ください!(^O^)/」 ん? 一番奥にあるガラス鉢に入ったデザートは何でしょう?(^‐^)\
「ワンダフルハウス様、こちらはレストランの今夜のデザートで、巨峰のババロア”Bavarese di Uva バヴァレーゼ・ディ・ウーヴァ”と、果物をシロップ漬けにしたイタリア版フルーツポンチ”Macedonia マチェドニア”でございます」「おおっ!(^O^)\ これは2年前に”わんだふるはうす、キャンティ飯倉本店に行く”で、ドコモ嬢が食べたものと同じです。両方ください!」
「Bavarese di Uva バヴァレーゼ・ディ・ウーヴァ」とは? 「bavarese」は「ババロア」、「uva」は「葡萄」、つまり「ブドウのババロア」を意味します。イチジクは北イタリアでは採れないので、南イタリアで多く食べられます。その他にも、南イタリアでは巨峰タイプのブドウが9月頃採れるので、このように生のブドウをそのまま、もしくはムースにして食べます。
注文したドルチェが全て出揃いました。ここは、パティシエ・シマのコーナーなので、イチジクを使ったドルチェだけ紹介いたします。 「季節のタルト Tarto Fruits」(600円)キャンティ版”タルト・セゾン”の登場です。
手前から1列目左から「ピスターシュ Pistache」(550円)、「季節のタルト Tarto Fruits」(600円)。2列目左から「宮崎マンゴープリン Creme de Mangue」(600円)、「パンナコッタ Pannacotta」(470円)、「パッションとココナッツのプリン Creme Coco et Passion」(470円)。3列目中央「えだまめ Edamame Pudding」(480円)。キャンティのケーキの価格は全て税抜。テイクアウトの場合は+消費税5%、イートインの場合は+サービス料10%+さらにその価格に消費税5%が加算されます。
イチジクが乗ってました!\(^O^)/ 苺、レッドカラント、巨峰、キウイ、ラズベリー、ブルーベリー、マンゴーも…凄い豪華なタルトですね。
それでは、いただきます!
ついに無花果の皮を見ることができました。いや〜勉強になりましたφ(..)メモメモ
おっ!タルト台の中にグリオットチェリーが隠されていました。 続きましては、バヴァレーゼ・ディ・ウーヴァ」(800円)と「マチェドニア」の登場です。
「マチェドニア Macedonia」(800円)具はメロン、梨、マンゴー、巨峰…おっ!イチジクも入っていました。かなりお酒が効いています(@_@) 白ワインやマラスキーノ(チェリーのリキュール)やキルシュ(チェリーの蒸留酒)が入っていて、大人好みのマチェドニアです。
「タルト・オ・アブリコ Tarte aux Abricot」(368円)杏はフランス語で「Abricot アブリコ」。最後の子音のtは発音しません。
おおっ! これは日本では珍しい生の杏を使ったタルトです!\(^○^)/ 酸味の強い生のアブリコをクレーム・ダマンドに乗せて焼き上げたシンプルなタルト。コンフィチュール・アブリコを塗って甘味をプラスしています。この時季にパティシエ・シマに来て、フィッグやアブリコを使ったお菓子を食べられたのはラッキーです!
杏は、南仏のプロヴァンス地方で採れる6月下旬〜8月が旬の果物です。日本ではドライの杏がほとんどですが、フランスでは、完熟したもぎたての生の杏がマルシェや街の果物屋さんでよく見られます。
フィッグ→アブリコの次はフレーズ(苺)。ムース・フレーズの登場です。
PART2に続く

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