初冬の定山渓天狗岳 1,145m
熊の沢の急登で一汗。難路の最後はルンゼの攀じ登り
2001年11月10日
春の「ジョウテン」はこちらから⇒クリック
「ジョーテン(定天)」。いつの頃からだろうか「定山渓天狗岳」を略して呼ぶようになったのは。山登りを始めた頃は略して呼ぶことがなぜか不遜で、畏れ多いことのように感じていたものだった。それがいつの間にか「ジョーテン」と呼ぶようになった。一端の「山ヤ」になったつもりなのだろうか。おじさんは春にアイヌネギ(別名・行者ニンニク、ヒトビロ)を採りに登り(この山は山頂直下にアイヌネギが群生するため別名・ヒトビロ岳とも呼ばれている)、秋は紅葉を楽しむために登っている。熊の沢コースは悪路と言うよりも沢を詰める難路と言った方がピッタリする。数ある札幌近郊の山の中でもでも難易度は高いほうである。1峰(本峰)、2峰、3峰の岩塔が立ち並ぶ岩襖のような姿は札幌近郊でも稀有な存在である。最近は熊が頻繁に出没するというので大形のカウベルを下げて登ってみた。
登り・2時間5分(登山口AM10:10〜山頂PM0:15) 下り・1時間40分(山頂PM1:15〜登山口PM2:55)
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定山渓温泉から豊羽鉱山へ車を走らせると、右手に圧倒的な姿で聳える1峰(本峰)が現れる。そのまま進み、白井二股近くまで来ると1峰(本峰)、2峰、3峰の岩塔が並んで見えるようになる。
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白井二股の橋を渡ると「天狗小屋」がある。林道ゲートを直進すると余市岳・白井川ルートへ、定天へは白井川の左岸に沿ってつけられた林道を進む。
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定山渓天狗岳登山口。林道ゲートが閉まっている時はここまで30分ほど歩かなければならない。昔はここまで白井川をわらじを履いて渡ってきたものだった。周りにはドイツトウヒの林があり、他とは違った樹林景観を作っている。
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熊の沢を左下に見ながら林間を歩いていると、やがては沢と合流し徒渉(飛び石伝いで渡れる)を繰り返すことになる。小さな滝も現れるので、高巻いて登ることになる。ある程度の注意が必要。
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沢沿いに付けられた登山道を進むと右手に岩壁が現われ、沢も段々と狭まってくる。おじさんはこの辺りで見られる炎に包まれたような紅葉が大好きなのだ。春先にはスノーブリッジが連続するところだ。熊の沢最大の滝は右岸を急登して高巻く。この滝を過ぎたあたりで熊の沢本流と別れ、右の小沢に入る。水量はほとんど無くなり、大きな岩がごろごろしてくる。
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沢の大岩に根を張る木。この辺りから樹林越しに2峰、3峰の岩壁が見ええてくる。涸れ沢を登る登山道はあまり明確ではなく、最初の頃は不安になったものだが、今は赤テープが適所に付けられているので安心して登ることができる。とにかく沢を詰める感じでぐんぐん登る。この日は雪が張り付き、凍結していたのでよく滑った。
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涸れ沢を登り切ると突然視界が開け、左奥に雪化粧をした余市岳が白く輝いて見える。振り返ると白鯨のような無意根山がいつもと違ったスマートな姿で目を楽しませてくれる。
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お花畑の上部に覆い被さるような1峰の岩壁。脆い岩質のせいか、ここでロック・クライミングを楽しむ人はいないようだ。基部に広がるお花畑は札幌近郊でも屈指で、その数も多く、固有種も多いらしい。おじさんはこの程度です。
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このコース一番の難所である「ルンゼ」。1峰と2峰の間を回り込むように草付きの急斜面を上り詰めると「ルンゼ」に行き当たる。日当たりも悪いことから凍結していて、滑落の危険性もあった。「ルンゼ」には1本のロープが下がっている。普段はあまり頼らずに登るのだが、さすがにこの日はロープが頼りだった。
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「ルンゼ」上部から草付きの急斜面を見下ろす。前方は2峰の岩壁。いつもこの「ルンゼ」の回り込みで方向感覚を失い、登り切った前方に無意根山が見えるのに「あれっ」と驚く。「ルンゼ」を登り切った後は、痩せ尾根伝いに頂上へ登る。いつもは簡単な痩せ尾根もこの日は凍結のため慎重に登る。
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山頂から見下ろす「定山渓ダム」。その向こうには左から「百松沢山」「烏帽子岳」「神威岳」等が並ぶ。振り返ると「余市岳」「白井岳」「朝里岳」が間近に見える。
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無意根山の右奥には端正な姿をした「羊蹄山」が見える。その右手にも「ニセコ連峰」がくっきりと見えた。誰もいなくなった山頂でゆっくりと昼食を食べながら、今年最後の眺望を心行くまで楽しんだおじさんでした。
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山頂に着いた時には60過ぎと思われるおばさん2人とおじさん1人が帰り支度をしているところだった。よくあの凍結した「ルンゼ」を登ってきたものだと感心する。どこの山でも思うことだが、山登りをしている年配者はみな元気だ。とりわけおばさん達は元気でうるさい。これは無論、良いことであるのだろう。
帰りは黄金湯温泉「まつの湯」で汗を流す。ここは内湯と外湯の2槽のみ。サウナとかジャグニーとか余計な物が無い。良質な温泉はこれで良い。湯に浸かりながら外をポケッと眺めていれば、浮世の憂さもさらりと忘れるのである。
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