南暑寒岳  標高1,296m

 

2014922日 雨のち晴れ

 

 

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GPSトラックログ

 

登り・4時間10分(休憩時間含む)

下り・3時間05分(休憩時間含む)

 

 

 

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 南暑寒荘の管理棟で協力金500円の支払いと入山届を書いてからスタートする。管理人さんの話だと、前日の日曜日は70人ほどが入ったそうで、天気も最高に良かったようだ。

 それに比べて今日はこの天気。上空はどんよりとして小さい雨粒がポツリポツリと落ちて来る。やはり昨日来るべきだったと嘆いても後の祭りだ。ここは文句を言わずに登ってみよう。

 

 

 

 

 

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 第一の吊り橋を渡った辺りから段々と雨粒が大きくなり、ついには本降りになってしまった。カッパを着込み、ザックカバーを付けてから木の下で待機するが、雨は止みそうもない。

 このまま引き返そうかとも思ったが、札幌から100キロ以上走って来たのに、ここで戻るのは勿体ない。雨の雨竜沼もたぶん乙な風景に違いないと勝手に想像して、湿原入り口の休憩所までは登ろうと決意する。

 

 

 

 

 

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 少しだけ周りが色付いて来た「白竜の滝」。10月に入れば鮮やかな秋色に染まり、白い瀑布がより一層輝きを見せるに違いない。

 第二の吊り橋を渡った辺りから雨脚が弱まり、上空に少しづつ青空が見え始めた。どうやら西から流れて来た雨雲が通り過ぎたようだ。

 

 

 

 

 

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 湿原入り口にある休憩所に着いた頃には、上空は雨上がり特有の澄み切った青空に変わっていた。遠くに見える暑寒別岳(右奥)、南暑寒岳(左)もすっきりと見える。

 湿原は黄金色に色付き、まるで「雲上の稲田」。これが本当の稲なら大豊作だろう。

 管理人さんの話だと先に3人登っていると言っていたが、湿原には人影が見えない。かなり出発に時間差があったのだろう。黄金色に染まった湿原の独り占めは最高のぜいたくだ。

 

 

 

 

 

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 手前に青空を映す碧い池塘。中央に黄金色の湿原。遠くに緑の山並み。そして上空には青い空。時が止まったような静かな時間とこの風景。陳腐な表現だが、至福のひと時としか言いようがない。

 

 

 

 

 

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 湿原の端から入り口方向を見る。右の木道は歩いて来た道。帰りは左側の木道を歩く。狭い木道は時計回りに一方通行になっている。

 

 

 

 

 

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 湿原展望台から黄金色に染まった湿原を見下ろす。展望台で今日初めて登山者と出会った。年輩の男性は「湿原はもっと紅くなるのですか」と聞いて来たが、あまり詳しくない自分は「多分このぐらいの色合いと思います。雨で濡れているので、乾くともっときれいな黄金色になるのでは」と答えたのだが、逆光を浴びた帰りの湿原はもっと紅みを帯びて見えた。なるほど、男性はこの逆光の光景の写真を何かで見て、もっと紅くなるに違いないと思ったのだろう。

 

 

 

 

 

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 展望台から南暑寒岳までは約3キロ、1時間以上の歩きとなる。チシマザサがきれいに刈り分けられた緩い登山道が延々と続く。以前よりも刈分けの幅が広くなって明るくなったようだ。

 途中にあるダケカンバが「アヒル」の頭に見えて来るのは疲労のせいだろうか。まったく自然の造形は思い掛けなく頭を混乱させてくれる。この後も曲がりくねったダケカンバを見る度に色んな物を想像してしまった。

 

 

 

 

 

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 ハイマツが現れ始めた辺りから振り返って雨竜沼を見る。これだけ晴れているとクマの恐怖も薄らぐ。もっとも、まだ二人の登山者が上にいる筈だという思いが安心感を強くしているのだろう。

 

 

 

 

 

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 笹原に覆われた南暑寒岳の山頂が近くなって来る。山頂直下で出会った水戸から来たという登山者と少しの時間談笑する。車で全道の山々を回っていると話してくれた。この日は暑寒別岳を4時間半で登ったとの事。その健脚ぶりに驚いたばかりなのに、先日はあの難易度の高さで有名な日高のカムエクをテントなしで日帰りし、この後は十勝のオプタテシケをこれまた日帰りで登る予定だと話してくれた。
 自分とそう違わない年齢だと思うのだが、その凄さにただただ呆れるばかりだった。

 

 

 

 

 

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 十数年ぶりの南暑寒岳。懐かしい記憶がよみがえって来る。山頂標識の向こうに鋭い山容の群別岳、その左に奥徳富岳。その左奥に小さく黄金山が姿を見せている。

 

 

 

 

 

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 山頂から暑寒別岳を見る。山頂付近は早くも秋色に染まっているようだ。左下に南暑寒岳から延びる縦走路が一本の糸のように確認出来る。

 アップダウンで疲れた記憶も、クマが怖かった記憶も薄れて来ているが、歩いた記憶だけは鮮明に残っている。一生忘れない山行だった

 

 

 

 

 

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 山頂から尾根越しに湿原を見る。湿原側から見た南暑寒岳はたおやかな山容に見えるが、その裏側は鋭く沢に切れ落ちている。

 山頂での昼食を楽しみにしてガスコンロ等の台所セットを担いで来たのだが、時間的なことも考えて明るい内に雨竜沼入口まで戻ることにした。やはり食事は落ち着いて食べたいのだ。

 

 

 

 

 

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 湿原まで下って、端の分岐から左側を進む。様々な形の池塘を楽しみながらゆっくりと歩く。ザックにぶら下げたクマ除けの鈴だけが湿原に鳴り響く。

 

 

 

 

 

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 いよいよ湿原歩きもフィナーレに近付く。雨からスタートした今回の山歩きは最高の天候で終わった。これも普段の心掛けのおかげだろうか・・・と自己満足。

 入り口展望台に上がって、やっと遅い昼食。たった一人の「雲上レストラン」でのメニューはコンビニのおにぎり2個をお湯で温めた即席のお茶漬け。何とも寂しいメニューだが、これが堪らなく美味い! 疲れて固形物が喉を通らない時には最適だ。注意するのは多少、塩気のあるおにぎりを選ぶこと。そうでない場合は永谷園の「お茶漬け」ふりかけを用意すると良い。付いている海苔は最後にモミ海苔にして入れた方が見た目はきれいだ。

 

 

 

 

 

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 帰りは大きな総合施設内にある「新十津川温泉」で汗を洗い流した。ゆっくり浸かりたい位の立派な温泉だが、帰宅が遅くなるので少しの温まりで施設を後にした。

 帰りに田園風景の真っただ中から黄金色に輝く雲を眺める。なかなか都会では見られない光景に心を奪われる。自然の美しさを楽しむ余裕をいつまでも持ち続けたいものだ。

 

 

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