ユニ石狩岳1,745m

 

ガスのため十石峠で撤退

 

2011727 由仁石狩川コース

 

夏の大雪山山歩き2日目は未踏の山「ユニ石狩岳」。12年前、音更山から石狩岳を縦走した時に十石峠を踏んでいるが、その時はユニ石狩岳を登らずに通過している。

今回は北大雪や東大雪の眺望を楽しみ、運が良ければナキウサギとのご対面も出来るかもと、勝手に都合良く考えて選んだ山だった。ただ天気予報では曇りのち雨と少々不安な情報が出されていた。それでもユニ石狩岳方向の空の明るいのを信じて登山口に向かった。

 

登り(休憩時間含む)登山口〜30分〜鳴兎園〜1時間05分〜十石峠

下り(休憩時間含む)十石峠〜50分〜鳴兎園〜35分〜登山口

 

 

 

 

 

 

 

大雪湖ダムから国道273号線を帯広方向に進み、大雪湖上部にある「三国橋」の手前を右折するとすぐに施錠されたゲートに行き当たる。4桁の鍵ナンバーは前日、上川中部森林管理署・上川事務所(01658-2-2001)に聞いてあったので、開錠して車を林道に入れる。

林道では早朝だというのに昆虫アミを持った人が数人いた(帰りに聞いたところ、『大一文字』というチョウを捕るために、じっと同じ場所で何時間もチョウの降りてくるのを待っているとのこと。何とも根気の要る作業で、マニアとはそういうものかと感心した次第だった)。

 

 

 

 

登山口の駐車場に車を置き、各ポイントまでの距離が書かれた案内板の手前にある登山届出ポストで記帳する。ポスト横にあった監視小屋はもう取り壊されて跡地が残っているだけである。

届出帳を見る限りでは先行している登山者は誰もいないようで、少々不安。ポストから少し入った所に標識があり、その右手には由仁石狩川に架かる丸木橋が見える。案内板ではここからユニ石狩岳までは3.5kmとなっている。さほどの距離ではないようだ。

 

 

 

 

たぶん背丈ほどの高さがあったであろう登山道脇の蕗(フキ)がきれいに刈り取られている。おかげで不安感もなく、明るい状況で登山道を歩くことが出来た。感謝・感謝である。行く手にはユニ石狩岳の山頂が見える。この右手前には音更山から派生する尾根のコブが高度感のある姿を見せている。雲は多いが、時おり青空が広がる。このままの天気が続いて欲しいと願いながら歩く。

 

 

 

 

陽の当たらない樹林帯を抜けると、まるで日本庭園を模したような地形が表れる。そこは「鳴兎園」と名付けられている。文字通り苔むした岩石帯にはナキウサギが棲んでいそうな穴が無数にある。帰りにじっくり観察しようと歩みを進める。

 

 

 

 

沢が大きく開けて明るくなってくると、ユニ石狩岳の山頂からまるで雪崩跡のような崩壊地が現れる。「大崩れ」と呼ばれているからそうなのであろうが、おびただしい大きな岩石が本当に崩れてきた光景は、にわかには想像出来ない。

 

 

 

 

 今回、由仁石狩川の沢を埋めていた雪渓はひとつだけ。どうやら左岸の沢から雪崩れてきた雪が堆積して出来た雪渓のようだ。下部には大きな空洞が出来て沢水が勢いよく流れ出ている。

この辺りから段々と青空が失われ、上空にガスが流れ始める。

 

 

 

 

「小崩れ」と呼ばれる崩壊地を通過する。岩がきれいに整地され歩き易くなっている。どれ程の人気の山かは分からないが、手入れの行き届いた登山道には驚いてしまう。感謝・感謝である。右の沢は「ブヨ沢」出合い。

 

 

 

 

十石峠への登りとなるハイマツ帯の斜面から、登ってきた由仁石狩川の沢を見下ろす。右手斜面に「小崩れ」が見える。下のほうはまだ明るく、天候も崩れていないようだった。

 

 

 

 

十石峠手前のコルにあるユニ石狩岳の登り口。ここから約700mで山頂だが、三国峠側から流れてくる雲が地表を離れず、濃いガスとなって山頂部を覆っている。

 手前のハイマツ帯でも薄々感じていたが、風に乗って強烈なケモノ臭が漂って来るのにはびびってしまった。たぶん林道でも多く見かけた鹿だろうと思いながらも、“もしや”の気持ちを払拭することが出来なかった。

 

 

 

 

ガスやケモノ臭、そして12年前の思い出。色んなことを考えながら十石峠まで上がる。そして出した結論は「ここで撤退」。ガスが切れる見込みがないことから、楽しみにしていた石狩岳や二ペソツの眺望が得られないこと。そして未踏のままにしておけば、再訪する意欲も出てくるだろうという考え。そしてケモノ臭。もう撤退に迷いはなかった。

 

12年前十石峠 クリック

 

 

 

    

 

キャワイイ !

 

    

 

下山時、「鳴兎園」で対面したナキウサギちゃん。目の前を何かが横切ったと感じたので、少し通り過ごしてから静かに観察。すると可愛いナキウサギちゃんが穴から出てきて、枯れ葉をほおばり始めた。時おりこっちを向いてニッコリと微笑んでくれた(たぶん)。山頂に立てなかったせめてもの慰めにしては大きなプレゼントだった。

 

 

 

 

登山口の案内板の裏側には「大変ご苦労様でした」と書かれていた。なかなか粋な計らいであると、失意半分の管理人はうれしかった。

 このあと時間が余ったので、三国峠へ向かった。峠の茶屋でうどんを食べていると、大きな雨雲がかなりの雨を降らせて通り過ぎていった。頑張って山頂に向かっていればこの雨に降られたのだろう。少し溜飲が下がった思いだった。

このあと十勝三股でアイスコーヒーを飲み、糠平湖では水没寸前の「タウシュベツ橋」を見てから「鉄道記念館」を見学した。

 帰りには「幌加温泉・鹿の谷」で汗を流した。泉質の違う3種の温泉が大きな浴槽に溢れ出ている。もちろん“源泉掛け流し”の名湯。少し老朽化しているのが残念だが、街のスーパー銭湯に客が流れる時代では致し方ないか。

管理しているおばあちゃんが、テレビを見ながら「私は地デジ難民なの」嘆いていた。どうやら今回の地デジ化でテレビが映らなくなり、スカパーをつないだらしい。テレビが楽しみなお年寄りに、なんとも罪作りなことをする政策だと感じた現実だった。