インテリ忍者とくれば、ぶ男でスケベ
                      と決まってるんです。               「医心方房内篇」
             むずかしいのなんの。  
甲賀くノ一七人vs伊賀忍者七人、性技の死闘、『秘戯書争奪』


 忍法帖シリーズ 山田風太郎の私設ファンコーナー29です。

        ★山田風太郎の忍法帖シリーズを是非ぜひゼヒ読んでネ★

 んで、29回目の今回は、


         ***** 秘戯書争奪 *****         .
                   


 「あなたにお教えしておくが、
  およそ人間、語学に関するかぎり、   
  艶本以上の師はござらぬ」

  インテリ忍者=ぶ男でスケベ
                  と決まってるんです。 
角川文庫 540円 408p 表紙:佐伯俊男 解説:中島河太郎

 
 
 第13代将軍徳川家定、31歳、お世継ぎがいない。
 性欲復活の秘伝書「医心方(いしんぼう)房内篇(ぼうないへん)」の争奪戦、『秘戯書争奪』。
 狙うは陽馬と七人の甲賀くノ一vs守るは雪羽(ゆきは)七人の伊賀忍者
 江戸城奥医師多紀楽真院法印と朝廷に仕える典薬頭
(てんやくのかみ)半井出雲守広明との
確執。その甥と娘は恋仲
、陽馬と雪羽、ロミオとジュリエット。
 家宝「医心方房内篇」を守るジュリエット
雪羽の苦悩、ロミオ陽馬を殺さずにすむ方法はな
いか?
 「医心方房内篇」を守りながら、その内容を敵の
陽馬と公儀くノ一に伝える、という苦肉の策。
 かくして甲賀くノ一七人と伊賀忍者七人との「医心方房内篇」の秘戯実演、体技による伝授、
という落花狼藉、百花繚乱、奇想天外、忍法対決の始まりぃ!

 オレが感動したのが、
雲水姿の伊賀忍者木ノ目軍記、漢文・性科学のインテリ。

 ここで、ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド又の名を
忍法いつもの丸写しシリーズその48だよん。 (^ ^;

 「おわかりかな」
 
雪羽は茫乎としていた。わかって茫乎としたのではない。全然わからないといえばうそにな
る。しかし、正直いまの軍記の読みながしてゆく声を理解するより──ただ、彼女は呆れてい
た。この伊賀者の学力に対してである。
 「
青蓮院の宮(しょうれんいんのみや)さまに御教授申しあげたほどの拙僧でござる」
 痩せた
僧形の男の頬に、ちょっと得意の色があった。
 「わしに師はない。独学でござる。伊賀の山中にあって、いかにしてひとりこの軍記がこれ
ほどの学問を体得したか、といえば、そのもとは春書で
ござる。古今東西の艶本ござる。あ
なたにお教えしておくが、およそ人間、語学に関するかぎり、
艶本以上の師はござらぬ」
                                            (丸写しオシマイ)
 
ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド又の名を
忍法いつもの丸写しシリーズその48』でした。(バカだねえ)

 そっかぁ!「艶本以上の師はござらぬ」かぁ……ジーンとしちゃったねぇ。この言葉にオレは
救われた。読んでてよかった、忍法帖。生きててよかった、ジブンイレブンいい気分♪
 オレの忍法帖狂いも全く無意味じゃないんじゃないかも知んないなぁ。
 こうして、インテリ
伊賀忍者木ノ目軍記は、オレの師匠になったのだ。メデタシメデタシ。

 えー、月日は流れ、ボクも大人になったかな?
(^ ^;
 いや、大人になってませんでした。
『秘戯書争奪』に出て来る「医心方房内篇」のむずかし
いのなんの。いまだに、よぉわからん!ですよ、トホホホホ。(バカだねえ)
 インテリ
伊賀忍者木ノ目軍記、恐るべし!
 木ノ目軍記、もちろんぶ男です、スケベです、しつっこいです、卑劣です、残忍です。
 インテリ忍者とくれば、ぶ男でスケベと決まってるんです、これ、忍法帖のジョーシキ!
 ボク”トホホの遁兵衛”は、忍法『馬鹿にされたい症候群・ぶ男心理コレクター篇』に、また一つ
コレクションしながら、ニンマリとほくそ笑むのでしたpart2。(やだねぇ)

  将軍家定、31歳、お世継ぎがいない
    奥医師多紀法印の提案
  
    性生活の秘伝書「医心方(いしんぼう)房内篇(ぼうないへん)
  
      朝廷に仕える典薬頭(てんやくのかみ)半井出雲守が秘蔵
  
        老中阿部伊勢守の指令
            「医心方房内篇」を密かに盗め
              狙うは陽馬と七人の甲賀くノ一
  
              守るは半井出雲守の娘雪羽と七人の伊賀忍者
  
                陽馬と雪羽、ロミオとジュリエット
  
                  甲賀くノ一七人vs伊賀忍者七人
 
                     「医心方房内篇」の体技による伝授
                        秘戯熱演、落花蹂躙、百花淫乱
  
                        性技の死闘、犯してから殺せ!
                            性生活の知恵
                              『秘戯書争奪
                                ***
  
                                ( 注:手裏剣のつもり (^ ^; )

(これがいわゆる、”少年摩羅人アルク・コーガン”の
 『失笑・スピロヘータネッチョリ目線:流し目波状攻撃』part79
 っつーこと? あ、ごくろうさんpart79)

 性技の死闘、『秘戯書争奪を読みたまえ、ボケット小僧君、むはははは。

◆オレのオモシロ度(初読)=★★★★ (★5つが最高。)
◇ボクのオモシロ度(再読)=☆☆☆
                        2004.08.05.(また読者が減っちゃったかな)



 
 ***** ボク「秘戯書争奪」データ ***** 


 えー、これはボクの個人的趣味です。
忍法名とか脇役陣とか時代とかをExcelで並べ替えして遊ぼっかな、っつーつもり。

忍法帖長編第21作目
初連載誌:週刊新潮1968年2月23日〜10月12日号「秘書」改題
                               (山田風太郎46歳:執筆時)
時代設定:安政元年春〜安政4年8月28日(1854〜1857)
登場人物
@丹波 陽馬(たんば ようま)漢方医多紀楽真院法印の甥。蘭医伊東玄朴の弟子。
       伊庭(いば)心形(しんぎょう)刀流免許皆伝。当時25歳。
A雪羽(ゆきは)蘭医伊東玄朴の弟子。半井出雲守広明の娘。
甲賀忍者
@甲賀 豆翁(こうが とうおう)公儀忍び組甲賀組首領。:忍法名使用せず&不明
甲賀くノ一
@お遊(おゆう)武家娘姿。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)(男女の髪2本をより合わせて琴
       のように張りつめて、こすりあわせると、一里以内の仲間が持っている男女の髪2
       本に共鳴し、連絡できる。)
       :忍法仕込み鞭(しこみむち)(細い竹の杖に1.5メートルほどの鋼の鞭を仕込んで、
       刀のように敵を斬る。)
Aお扇(おせん)鳥追い姿。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法甲賀の髪縄(こうがのかみなわ)(髪の毛を編んだ細い縄を自在に操る)
Bお茅(おかや)巫女(いちこ)別名梓巫女(あずさみこ)姿。男性恐怖症。
       :忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法ながれ鞠(ながれまり)(二個の鞠の上に足を乗せ、ローラー・スケートみたい
       に超スピードで走り、宙を舞う。鞠の中に膠のような液体があり、つぶして相手の
       顔にかけると眼をふさぎ見えなくする。)
Cお篠(おしの)風車売りの姿。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法紅涙鏡(こうるいきょう)(涙を相手の両目に垂らすと、鏡の像のように左右逆
       転して見えてしまう。『つばくろ試合』の忍法と同じ。)
Dお琴(おこと)女飴売り姿。軽やかな色っぽい丸顔の美女。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法妖虫耳切り虫(ようちゅうみみきりむし)(かみきり虫を飼い慣らし、敵の鼓膜を
       食い破り、三半規管を破戒し、平衡感覚を失わせる。)
       :忍法皮つるみ(かわつるみ)(皮膚が吸盤のように男の肌に吸い付き、耐えられぬ
       快感を与え、硬直させる。)
Eお藍(おあい)巡礼姿。半白痴美女。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法くノ一血膠(くのいちちにかわ)(月経時の血を半刻干して、ゼリーのような膠の
       ようなものを相手の皮膚に付けると、皮膚と皮膚が貼り付いて離れなくなる。)
Fお筆(おふで)人形つかいの姿。:忍法甲賀の毛琴(こうがのけごと)
       :忍法飛び鞘(とびざや)(仕込み杖の刀の鍔が鋭利なカミソリのようになっていて旋
       回しながら敵を襲い、間髪を入れずに刀で敵を斬る。)
伊賀忍者
@狩川 仁右衛門(かりかわ にえもん)韮山笠の中年の武士姿。二刀流の達人。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)(男女の恥骨のかけらをこすり合わせて音波を
       発し、一里以内の仲間が持っている恥骨のかけらに共鳴し、連絡できる。)
A木ノ目 軍記(きのめ ぐんき)雲水姿。漢文・性科学の学者風。淫学坊とも呼ばれる。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法名不明(たんぽぽの毛のような細い針を吹きつける。又、たたみ針のような太
       い針を敵の喉に吹きつけ殺す。)
       :忍法通鬼交(つうきこう)(三日も不眠状態にし、夢遊病者のようにして、相手の夢に
       忍び込み夢の中で交合し、自在に操る。但し未完成。)
B麻打 助十郎(あさうち すけじゅうろう)伊賀忍者。六部姿、間のびした色男。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法指姦(しかん)(指で女の肌に触れると、耐えられぬ快感を与える。)
       :忍法伊賀の陰ノ網(いがのいんのあみ)(男女の髪数万本で霞網か投網のように
       相手を捕らえ、自在に締め付け、刀でも切れない。)
C釜戸 朱膳(かまど しゅぜん)巨漢の山伏姿。:忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法伊賀の手刀槍(いがのしゅとうそう)(指で刀や槍のように斬る。)
D山寺 杏兵衛(やまでら きょうべえ)ぼてぼてと肥った浪人姿。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法浦波(うらなみ)(背中の筋肉を自在に波立たせ、背中に触れた女体を快感
       の渦に溺れさせる。)
       :忍法浦波の秘剣(うらなみのひけん)(背中に眼があるごとく、敵に背を向けたまま
       斬る。)
E烏頭坂 天八(うずざか てんぱち)おんぎょうというはだしの願人坊主姿。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法名不明(ふめい)(猿のように身が軽く、10メートル以上落下しても怪我もしな
       い。)
       :忍法逆さ斬り(さかさぎり)(左手の人差し指1本で逆立ちし、独楽のように回転しつ
       つ右手で下から斬り上げる。又足の裏がタコの吸盤のようになっていて相手の刀
       を真剣白刃取りで奪い取る。)
F俎 墨之介(まないた すみのすけ)手ぐるま売り姿の美少年。女性恐怖症。
       :忍法伊賀の骨笛(いがのほねぶえ)
       :忍法扇鋏(おうぎばさみ)(鉄針でできた扇で刀も受け止め、投げて足や手をはさ
       み、動けなくする。)
脇役陣
@富士川 遊(ふじかわ ゆう)「日本医学史」を著す。
A森 鴎外(もり おうがい)明治の文豪。「澁江抽斎」「雁」「阿部一族」「舞姫」などを著す。
B阿部 伊勢守 正弘(あべ いせのかみ まさひろ)幕府老中。当時36歳。
C多紀 楽真院 法印(たき らくしんいん ほういん)江戸城奥医師。当時59歳。
Dペルリ(ぺるり)五隻の黒船で初めて浦賀に来たアメリカ人提督。
E徳川 慶喜(とくがわ よしのぶ)水戸の若殿。のちの第15代将軍。
F徳川 慶福(とくがわ よしとみ)紀州の若殿。
G徳川 家定(とくがわ いえさだ)第13代将軍。当時31歳。
H徳川 家重(とくがわ いえしげ)第9代将軍。
I丹波 康頼(たんばの やすより)平安時代の鍼(しん)博士。永観2(984)年、隋・唐の医学
       を集大成した全30巻の「医心方(いしんぼう)」を完成させた。
J円融 天皇(えんゆう てんのう)平安時代の天皇。丹波康頼より永観2(984)年、「医心方(い
       しんぼう)」を贈られる。
K正親町 天皇(おおぎまち てんのう)戦国時代の天皇。
L半井 通仙院 瑞策(なからい つうせんいん ずいさく)戦国時代の朝廷に仕える典薬頭(て
       んやくのかみ)。正親町天皇から全30巻の「医心方(いしんぼう)」を下賜された。
M和気 清麻呂(わけの きよまろ)奈良時代の人。道鏡の陰謀を崩した。
N和気 時雨(わけの ときふる)和気清麻呂の曾孫。医道を以て仕える。朝廷に仕える典薬頭
       (てんやくのかみ)となる。
O半井 春爛軒 明親(なからい しゅんらんけん あきちか)和気時雨の子孫。半井通仙院瑞
       策の親。
P後柏原 天皇(ごかしわばら てんのう)室町時代の天皇。
Q織田 右府(おだ うふ)織田信長。
R豊臣 太閤(とよとみ たいこう)豊臣秀吉。
S半井 出雲守 広明(なからい いずものかみ ひろあき)朝廷に仕える典薬頭(てんやくの
       かみ)。
21丹波 施薬院 全宗(たんばの せやくいん ぜんそう)漢方医。
22丹波 宗伯(たんばの そうはく)漢方医。大御所家康に仕える。
23大御所(おおごしょ)徳川家康。
24伊東 玄朴(いとう げんぼく)町医者。蘭医。若き日シーボルトに学ぶ。日本で初めて種痘
       を行う。当時55歳。
25遠藤 但馬守 胤統(えんどう たじまのかみ たねのり)幕府若年寄。
26シーボルト(しーぼると)オランダ人医師。博物学者。
27フーフェランド(ふーふぇらんど)「牛痘種法篇」を著す。
28緒方 洪庵(おがた こうあん)大阪に適々斎塾を開く蘭医。
29楠本 いね(くすもと いね)シーボルトの娘。女医。
30青蓮院の宮 尊融 法親王(しょうれんいんのみや そんゆう ほうしんのう)宮家。伏見の
       宮邦家親王の第四王子。興福寺別当。
31鴉丸(からすまる)青蓮院の宮の下僕の童子。
32伏見の宮 邦家 親王(ふしみのみや くにいえ しんのう)宮家。
33世古 格太郎(せこ かくたろう)当時の志士。「倡義見聞録(しょうぎけんもんろく)」を著す。
34奈良一乗院 尊常 法親王(ならいちじょういん そんじょう ほうしんのう)興福寺別当。青蓮
       院の宮尊融法親王の伯父。
35井伊 直弼(いい なおすけ)幕府大老。
36孝明 天皇(こうめい てんのう)当時の天皇。
37西郷 隆盛(さいごう たかもり)のちに江戸城無血開城をなした勤皇の志士。
38月照(げっしょう)のちに西郷隆盛と心中をはかった僧侶。
39信海(しんかい)月照の弟の僧侶。
40如雲(じょうん)石清水八幡宮の僧侶。
41島津 斉彬(しまづ なりあきら)薩摩藩主。
42篤姫(とくひめ)島津斉彬の養女。
43伊庭 軍兵衛(いば ぐんべえ)江戸御徒町の道場主。旗本。
44伊庭 是水軒(いば ぜすいけん)元禄年間に心形(しんぎょう)刀流を編み出した剣客。旗
       本。
45水野 越前守(みずの えちぜんのかみ)幕府老中。
46松尾 芭蕉(まつお ばしょう)俳人。元禄2(1689)年7月12日市振の宿で「一家(ひとつや)
       に遊女も寝たり萩と月」という句を詠んだ。
47松平 日向守(まつだいら ひゅうがのかみ)1万3千石城主。
48渡辺 三太平(わたなべ さんたへい)幕府公用人。
49多紀 安良 法眼(たき やすよし ほうげん)江戸城奥医師。
50澁江 抽斎(しぶえ ちゅうさい)江戸城奥医師。
51五百(いお)澁江抽斎の妻もしくは娘。

   目 次
  将軍萎
(な)
  千年前の房術書
  陽馬と雪羽
(ゆきは)
  彼と七人のくノ一
  妖
(よう)の宮
  彼女と七人の伊賀者
  最初の接触
  前戯
  山に蝉泣き猿笑う
  網うち心形
(しんぎょう)刀流
  杉に蝶舞い蚕巻く
  うらなみ心形(
しんぎょう)刀流
  可笑
(おか)しい地獄
  扇鋏
(おうぎばさみ)にながれ鞠
  破れ扇心形
(しんぎょう)刀流
  海に馬駆け鴎
(かもめ)飛ぶ
  断臂
(だんぴ)心形(しんぎょう)刀流
  忍びの君子・忍びの苦行者
  短い足を切った章魚
(たこ)
  堕天の夏
  十字止め心形(しんぎょう)刀流
  河に猿泣き馬揺らぐ
  二河白道(にがびゃくどう)
  (ゆうべ)に死すとも可なり
  足淫(そくいん)
  断鬼交
  異次元同志
  夢のかよい路(じ)
  幻闘
  秘書献上始末

    ボク「秘戯書争奪」データ おしまい
                          2004.08.05.(まだ読者が残っているかな?)

 
 
ではでは、出羽の守、大変長らくお待たせいたしました。
今週のメイン・イベント
(^ ^;  あんまし期待しないでね(^ ^;
 
ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド又の名を
忍法いつもの丸写しシリーズその49だよん。 (^ ^;


 「ありきたりは面白うない。九法の第三、猿縛(えんばく)というやつを見せてもらおう。猿が木の枝をかつぐ姿。──わしの命名によれば、椅座位(きざい)というやつにあたる」
 声に出して読めたらエライ禁断の秘戯書争奪 (^ ^; .

 敵が何を意図していようと、必ず彼らを逆にかかえこんでしまう。そして最後には食べてや
る。
──彼女には女蜘蛛(めぐも)の自信があった。
 「淫学坊」
 と、助十郎が呼びかけた。草むらのうす闇には、すでに肉の厚い白い花がひらきゆらいでい
る。
 「どうするのじゃ?」
 まことにばかげた質問のようだが、それが決してそうでなかったことは、向こうから聞こえて来
た返答でわかった。
 「ありきたりは面白うない。九法の第三、猿縛
(えんばく)というやつを見せてもらおう。猿が木の
枝をかつぐ姿。
──わしの命名によれば、椅座位(きざい)というやつにあたる」
 「そういわれてもわからん」
 「仰臥
(ぎょうが)せしめ、その足をかつぎ。……」
 「よし!」
 「待て。法のほかに九状六勢というものがある。動作と緩急じゃ。九状のうち、その六をやっ
てくれ。すなわち、或いはゆるやかに立ち、遅く押し、凍えたる蛇の穴に入るがごときはその
六なり。六勢のうち、その五をやってもらおう。すなわち、或いは陽峰を以て来往し……いや、
これはそのまま唱えても、おまえにはわからん」
 木ノ目軍記はこちらを向いて立っているが、手には何も持っていない。この性科学の泰斗
(たいと)は、房内篇(ぼうないへん)詰所を、すでに暗記しているらしい。
 「つまり、百姓が稲を刈りとるように動くのじゃ。……」
 助十郎は開始した。
 数分か、数十分か。
──その時もわからぬ。ついにお琴の口から決して技巧ではない声が
もれ出した。
お琴ばかりではない。助十郎の口からも、同じようなあえぎが吐かれ出した。
 猿縛
(えんばく)──おのれに課せられた奇怪な姿勢のゆえばかりではない。その運動の
緩慢さから、
お琴は生まれてはじめてのたえがたい感覚にあわや失神しようとした。
 
──壁に打った球がいつまでも返って来ないようないらだたしさ、期待する時間とずれて、
やっと返って来た球が、こんどはじっくりと溶けて、髄までしみこむほど密着している。
 
──それでいて、決して弛緩した感を与えられないのは、やはりこの奇怪ではあるが緊張
した姿勢のゆえであったろう。
 助十郎も、感覚が糊みたいになった。これは猿縛
(えんばく)ラーゲや、アクション、リズム
のせいのみでなく、おのれに乗せられた両足のためであった。ふとももの裏側とふくらはぎと
にはさまれて、そこから熱い蜜のような凄まじい快美感がながれ、したたり、波打ってゆく。む
べなり、彼は大々的な皮つるみの洗礼を両肩から浴びたのだ。
 やがて麻打助十郎はぐにゃりとへたりこみ、前につっ伏した。
──そしてお琴も、だらんと
助十郎のわきに投げ出されていた。
                    
(丸写しオシマイ)
 
ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド又の名を
忍法いつもの丸写しシリーズその49』でした。(バカだねえ)

 何だこりゃ?っつー肩すかし、だったら、ごめんネ。
 『声に出して読めたらエライ禁断の秘戯書争奪』
(^ ^; でした。

オレのゴックン度(初読)=★★★ (5つが最高)
ボクのゴックン度(再読)=☆☆

     
***** 「秘戯書争奪」の巻 おしまい *****
                         2004.08.05.(またまた読者が減っちゃったかな)

 
     
 

 山に蝉泣き猿笑う!                                       ご愛読 感謝!  忍法紅涙鏡                 河に猿泣き馬揺らぐ!                             ps.イラストは、H野Uらら画伯に描いてもらいました。                感 謝!  忍法通鬼交

 
 



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(貴重なほんのわずかな読者の方々&明智君&小林少年君&ボケット小僧君へ)
目次の掲示板に、ご意見、ご批判、おたよりなどお待ちしています。


 
 


忍者黒白草紙


30回配本は「忍者黒白草紙」です。

 

 「つまり、百姓が稲を刈りとるように動くのじゃ。……」                         by 『秘戯書争奪』

 トップページに戻ります。                                                                   ♪古ギャグを温ねて新オチを知る♪