『忍法甲州路』は、にくい。
悪役の目線で進行し、思わず悪役に感情移入しながら読んでしまう、にくい作りの短編忍法帖だ。
『忍法帖シリーズ』 山田風太郎の私設ファンコーナー12です。
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んで、12回目の今回は、
********* 『忍法関ヶ原』 ********* .
短編集なので、目次の紹介をします。
忍法関ヶ原 74p
忍法天草灘 72p
忍法甲州路 70p
忍法小塚ッ原 72p
忍法聖千姫 52p
忍法ガラシヤの棺 39p
忍法幻羅吊り 70p
忍法瞳録 28p
忍法死のうは一定 63p の9編です。
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講談社文庫 800円 表紙:天野喜孝
541p
解説:高橋克彦 忍法帖雑学講座12:日下三蔵
それでは、『忍法関ヶ原』の第一話です。
* 『忍法関ヶ原』 74p * .
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煮ても焼いても食えぬしぶとい根性の鉄砲作りの天才技術者四人衆を、味方になびかせるた
め、悪戦苦闘の心理攻防戦、『忍法関ヶ原』。
銃身作りの天才、蟇(がま)みたいな顔、デブで好色漢、国友鋤右衛門(くにとも すきえもん)を、味方
になびかせようと、伊賀くノ一お眉は、交合の快感で男に2倍3倍の射精をさせ、肉体はよろけ、
頭脳は半呆け状態にする、忍法「穴よろけ」で挑むが……。
好色漢の国友鋤右衛門は、精力の衰えを感じて、京のあぶれ公卿(くげ)から教わったという、
医心方房篇(いしんほうぼうへん)「還精の術」(かんせいのじゅつ)で対抗する……。
これは、いったん放出した精液を口で吸い取り、精力を取り戻す、という術で……。
っつースケベシーンあり、残虐凄惨シーンあり、ぶ男天才技術者たちの心理描写があざやかで、
ぶ男心理に共感するオレの大好きな短編忍法帖だ。
風雲急を告ぐ、慶長五(1600)年六月。
鉄砲鍛冶ばかり七十三軒の国友村。
石田三成統治の国友村を、
家康の味方にせよ。
味方の証しに、大砲十五挺を密かに作らせ運び出せ。
期日は九月半ば。
鉄砲を制する者は天下を制す。
鉄砲作りの天才技術者四人衆。
煮ても焼いても食えぬしぶとい根性の鉄匠四人衆。
国友村争奪戦。
影の天下分け目の関ヶ原。
伊賀十忍衆よ、
鉄砲鍛冶天才四人衆の、
心を盗め!
『忍法関ヶ原』
***
(
注:*は手裏剣のつもり
(^ ^; )
(これがいわゆる、”少年摩羅人アルク・コーガン”の
『失笑・スピロヘータネッチョリ目線:流し目波状攻撃』part26
っつーこと? あ、ごくろうさんpart26)
天才技術者争奪の心理攻防戦、『忍法関ヶ原』をどう読んだかな、明智君、むはははは。
◆オレのオモシロ度(初読)=★★★★ (★5つが最高。)
◇ボクのオモシロ度(再読)=☆☆☆☆

*
ボクの「忍法関ヶ原」データ * .
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えー、これはボクの個人的趣味です。
忍法名とか脇役陣とか時代とかをExcelで並べ替えして遊ぼっかな、っつーつもり。
今回は笑っちゃいましたね。『「今昔物語集」の忍者』で外術(幻術)「摩羅おとしの術」が登
場したと思ったら、今度は医心方房篇「還精の術」ですよ。
忍法『馬鹿にされたい症候群・ボクの忍法帖データExcel篇』は、とどまる所を知りませんモ
ードですね。
忍法帖第?作目
初連載誌:オール読物1969年4月号 (山田風太郎47歳:執筆時)
時代設定:天文年間~慶長5年6月~9月15日(1532頃~1600)
登場人物
伊賀忍者
①服部 源左衛門 正就(はっとり げんざえもん まさなり)二代目服部半蔵。初代服部半蔵の
長男。のち慶長10(1605)年)部下の叛乱に逢い逐電。:忍法名使用せず&不明
②秋篠 内記(あきしの ないき)服部半蔵配下の伊賀忍者。:忍法名使用せず&不明
③川枯 兵之介(かわかれ ひょうのすけ)服部半蔵配下の伊賀忍者。20歳。美青年。
:忍法名使用せず&不明
④服部半蔵配下の伊賀忍者3人
:忍法蠅達磨(はえだるま)(糞臭の汗をかき何万もの蠅を人型に集め、影分身をいくつ
も作り、攻撃をかわす。)
⑤服部半蔵配下の伊賀忍者の別の3人
:忍法枯葉だたみ(かれはだたみ)(全身から水分をぬき、小さくなって潜入し、水を飲ん
で元の大きさの人間に戻る。「忍者帷子万助」の「忍法枯葉だたみ」と同じ。)
伊賀くノ一
①お眉(おまゆ)服部半蔵配下の伊賀くノ一。秋篠内記の妻。
:忍法穴よろけ(あなよろけ)(交合の快感で、男に2倍3倍の射精をさせ、肉体はよろけ、
頭脳は半呆け状態にする。)
②お墨(おすみ)服部半蔵配下の伊賀くノ一。川枯兵之介の恋人。:忍法名使用せず&不明
甲賀忍者
①石田三成に仕える甲賀忍者10人
:忍法名不明(布だけ残して攻撃をかわす、布分身。)
近江国坂田郡国友村(鉄砲鍛冶ばかり73軒)の新家四人衆。
①国友 鎌太夫(くにとも かまだゆう)大砲作りの天才。50年輩。口をへの字に曲げた頑固爺。
②国友 鉄算(くにとも てつさん)新家四人衆のリーダー格。頭脳明晰、勘に頼らず計算で鉄
砲を生産・調整する。痩せて色黒で鴉みたいな顔。
③国友 鍋三郎(くにとも なべさぶろう)螺旋のネジ作りの天才。色白でぽってりと肥った男。
同性愛者でかつ醜女に犯される趣味。
④国友 鋤右衛門(くにとも すきえもん)銃身作りの天才。蟇みたいな顔のでぶで好色漢。
:医心方房篇(いしんほうぼうへん)「還精の術」(かんせいのじゅつ)(いったん放出した
精液を口で吸い取り、精力を取り戻す。京のあぶれ公卿(くげ)から教わる。)
脇役陣
①足利 義晴(あしかが よしはる)天文年間(1532~1555)の将軍。種子島から鉄砲を献上され
る。
②善兵衛(ぜんべえ)近江国坂田郡国友村の鉄匠。天文年間、将軍足利義晴から鉄砲を下賜
され、半年後二挺の日本製鉄砲を作る。
③藤九左衛門(とうくざえもん)近江国坂田郡国友村の鉄匠。天文年間、将軍足利義晴から鉄
砲を下賜され、半年後二挺の日本製鉄砲を作る。
④兵衛四郎(ひょうえしろう)近江国坂田郡国友村の鉄匠。天文年間、将軍足利義晴から鉄砲
を下賜され、半年後二挺の日本製鉄砲を作る。
⑤助太夫(すけだゆう)近江国坂田郡国友村の鉄匠。天文年間、将軍足利義晴から鉄砲を下
賜され、半年後二挺の日本製鉄砲を作る。
⑥羽柴 筑前守 藤吉郎 秀吉(はしば ちくぜんのかみ とうきちろう ひでよし)
天正2(1574)年8月当時近江国長浜の領主。のちの豊臣秀吉。すでに死亡。
⑦織田 信長(おだ のぶなが)戦国武将。すでに死亡。
⑧石田 治部少輔 三成(いしだ じぶしょうゆう みつなり)
慶長5(1600)年6月当時近江国坂田郡佐和山の城主。
⑨徳川 家康(とくがわ いえやす)慶長5(1600)年6月当時59歳。
⑩上杉 景勝(うえすぎ かげかつ)会津の戦国武将。慶長5(1600)年6月謀反を起こす。
⑪鳥居 元忠(とりい もとただ)徳川家康の家臣。伏見城を管理。
⑫本多 佐渡守(ほんだ さどのかみ)徳川家康の家臣。
⑬島 左近 勝猛(しま さこん かつたけ)石田治部少輔三成の家老。
かつて二万石だった三成が一万石で召し抱えた。
⑭阿国(おくに)10年程前から、京の四条河原で「念仏踊り」「歌舞伎踊り」という新しい群舞を始
める。
⑮国友 善兵衛(くにとも ぜんべえ)近江国坂田郡国友村(鉄砲鍛冶ばかり73軒)の年寄。
先祖の名を継ぐ。
⑯国友 藤九左衛門(くにとも とうくざえもん)近江国坂田郡国友村(鉄砲鍛冶ばかり73軒)の
年寄。先祖の名を継ぐ。
⑰国友 兵衛四郎(くにとも ひょうえしろう)近江国坂田郡国友村(鉄砲鍛冶ばかり73軒)の年
寄。先祖の名を継ぐ。
⑱国友 助太夫(くにとも すけだゆう)近江国坂田郡国友村(鉄砲鍛冶ばかり73軒)の年寄。
先祖の名を継ぐ。
⑲洞 富雄(ほら とみお)「種子島銃」の著者。現代の人。
⑳おくら(おくら)後家。醜女。国友鍋三郎を精神的に支配している。
21成瀬 隼人正(なるせ はやとのしょう)徳川家康の家臣。
* ボクの「忍法関ヶ原」データ おしまい*
ではでは、出羽の守、大変長らくお待たせいたしました。
今週のメイン・イベント (^ ^; あんまし期待しないでね。 (^ ^;
『ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド』又の名を
『忍法いつもの丸写しシリーズその22』だよん。 (^ ^;

『声に出して読めたらエライ禁断の忍法関ヶ原』 (^ ^; .
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忍法穴よろけ。……それは交合に於いて、男をして常態の二倍三倍もの量を不可抗力的に
射精させる術であった。
従って男女はそれに比例する強烈な快感を味わうことになるが、男の場合当然その消耗度
は甚大で、みるみるうちに憔悴し、やがて肉体はよろけ、頭脳は半呆け状態となる。
お眉はこれを試みた。
わたしの狂態をゆるせ、と彼女はいったが、これまでの体験を超えて秋篠内記は、なお眼
を覆わんばかりであった。女体そのものが意志を超えて一匹の女獣、どころか淫靡なる粥状
物質となるかと見えたからであった。
しかし効果はやがて現れた。さしもの国友鋤右衛門のあぶらぎった顔もつやを失い、がに股
の足もよろけ出した。
ところが……彼もおのれの肉体の異変に気づいたらしい。ふつうの男なら、気づいてもまさ
かそれが特別の忍法とは思わず、思ってもその魔魅の快楽の誘惑にどうすることも出来ない
はずであったが、鋤右衛門は突如として妙なことをいい出したのである。
「おお、そうじゃ。いつか村にきた京のあぶれ公卿(くげ)が教えてくれた……医心方房篇とやら
の還精の術!」
それは、いったん放出したおのれの精をふたたび口にとることであった。のみならず……
鋤右衛門は、思いついたその術に、自分の着想、勘定高い強欲な彼の頭脳でなければ決して
湧いて来ない怪奇なるアイデアを加え、らんらんと眼をひからせて内記を見すえ、世にもうれし
げに吼えたのである。
「おれが放出したあと、おまえもやれ。……いいか、主命のためだぞ。あとはおれが二人分
吸う!」
……かくて秋篠内記はいよいよやつれて、国友鋤右衛門はいよいよあぶらぎった。
(丸写しオシマイ)
『ボクの忍法ローリング・スクラッチ・ホールド』又の名を
『忍法いつもの丸写しシリーズその22』でした。(バカだねえ)
何だこりゃ?っつー肩すかし、だったら、ごめんネ。でも久しぶりの登場にビックリしたでしょ。
『声に出して読めたらエライ禁断の忍法関ヶ原』
(^ ^; でした。
◆オレのゴックン度(初読)=★ (★5つが最高)
◇ボクのゴックン度(再読)=☆
* 「忍法関ヶ原」の巻 おしまい *
2003.11.24.(更に読者が減っちゃったかな?)
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