2002年 秋の映画祭
2002/10/30 (水)
「東京国際映画祭 アジアの風 大酔侠」 渋谷ジョイシネマ
PM:12:30
本編は土曜日に見たので、内容は割愛。
また何で同じ映画を2回も見るのかと言うと、
今日は主役の鄭佩佩(チェン・ペイペイ)の舞台挨拶があるのだよ。
平日だったのが、実に残念!
もっと大きなホールで、たくさんのお客さんに来ていただきたかった!

お美しい!鄭佩佩(チェン・ペイペイ)と、愛娘のマーシャさん。(左)
本編は土曜日に見たので、内容は割愛。
上映終了後、ペイペイさんのご登場!
いやぁ〜ホントにキレイ!
娘のマーシャさんとご一緒に舞台へ上がられる。
開口一番、「ワタクシはチェン・ペイペイです。ワタクシは日本語、少しわかります。」とご挨拶。
司会進行の宇田川幸洋さんのもと、ティーチ・インが始められる。
(以下、Q=会場からの質問 A=ペイペイさんが広東語で返答)
Q:アクションを演じる上で、どういったご苦労があったのかを教えて下さい。
A:この映画は、私のアクション映画、初出演作品です。キン・フー監督にとっても、初のアクション映画であります。
当時、私は19歳でしたので、特に苦労したと言うことはありませんでした。
ですが、キン・フー監督はアクション映画は初めてでしたので、製作理念の面で、またどうやって撮って行くのか
ディスカッションしながら撮影して行きました。こんなところでしょうか。
Q:この作品は、京劇の影響を受けた演出が盛り込まれているとお聞きしました。
それは「立ち回りの面」に力点が置かれているのか、また使われている「効果音の面」にあるのか、どちらでしょうか?
A:恐らく、中国のアクション映画は、どの作品にも京劇の影響を受けていると思います。
特にキン・フー監督の場合はこの作品に関して言えば、「音楽の面」で京劇の音を使っていて、またそれを使うことによって、
アクションの「緊張感」を高める効果があるのではないかと、キン・フー監督がおっしゃっておりました。
ただ、京劇をそのまま取り入れると言うよりも、京劇の美しさを一部では取り入れながら、
京劇そのものから抜け出そうと言う、試みがあったのではないかと思います。
Q:カメラマンとして、西本正(賀蘭山)さんが携わってらっしゃったと思うのですが、
西本さんから受けた影響はありますか?
A:西本さんは素晴らしいカメラマンだと思います。
当時の香港映画はどの作品においても、恐らく西本さんの影響を受けていると思います。
お付き合いの方は、ロケ現場では、中々、お話することはなくて、いつも撮っては下さるんですけれども、
雑談するようなことは当時はありませんでした。しかし、今でも忘れられないことがあります。
それは「ライトの当て方」なんです。「座ったままではダメだ」と。
それを私は今でも守っていて、ロケ現場に行くたびに、必ず「立ったまま」ライトを当ててもらうことにしております。
Q:(宇田川さんから) マーシャさん(娘さん)にもお聞きしましょうか。
当時はマーシャさんはお生まれになっていない訳ですが、大きくなってから、
お母様の映画をご覧になったことはあるんでしょうか?
A:(英語でスピーチ)この「大酔侠」は何回も見たんですけど、7回ぐらいは見たと思います。
この映画でいろんな映画祭に行きましたので。多分初めに見た時は、もの凄く小さかった頃で、
復元されていないバージョンで色褪せていたので、モノクロの映画だと思っていたんです。
が、今回の復元されたバージョンを見て、なんと母は青い衣装を着てたんですね。
19歳の母を見るのは信じられない気持ちでした。すごく若くて美しくて、
もうずっと前の話なのに、すごく最近の気がしました。
Q:(引き続き、会場からの質問)
今日の「大酔侠」から、だいぶ後の作品で「天下第一」と言う映画があると思うのですが、
この「大酔侠」と比べて監督の指導が違った所を教えて下さい。
また、ショウブラザース作品でお気に入りの作品を教えて下さい。
A:(英語で)You are very smart! 鋭い質問ですね!
そうですね。「天下第一」は、「大酔侠」(1966年)から、10数年も後に(1983年)に撮った作品で、
その頃、私はもう結婚して子供もおりました。やはり監督の演技指導も多少変わっておりました。
私にとって監督は、先生であり、時に父親のようでもありました。
当時のエピソードとしては、私と監督の立場が逆転しているような時期もありました。
私が監督の母親のように面倒を見ていたんです。と言うのは、映画会社がハードスケジュールを要求して来て、
監督自身も生活面の多少弱い方でしたので(会場から笑い)、荷造りや、いじめるようなことをするので、
私が前に出て、映画会社との交渉などもやりました。
ですから、仕事の面だけではなく、生活の面もケアをしておりました。
オススメの作品は、言うまでもなく、(今回、映画祭でも上映される)「香港ノクターン/香江花月夜」です。
ぜひ見ていただきたく思います。
(最後にペイペイさんからの補足)
今回何故、娘を連れて来たかと申しますと、キン・フー監督は私達にとって師匠であります。
今でも監督を思っております。
ですから、この映画の「続編」を作りたいと思ってるんです。
もちろん、今回の上映版もしっかり復元されているのですが、監督を偲んでと言う意味も含め、
私と2人の娘も続編に出演するつもりであります。
(会場から拍手)
ティーチ・イン後、下に降りたら、ペイペイさんと娘さん、宇田川さん御一行が文化村の方
に歩かれて行ったので、これから用のあるワタシ達も後方から一緒に付いて行きました。(笑)
フツーに渋谷の街を歩かれてましたよ。(当たり前ですけど)
驚いたのが、娘さん揃って背がとても高いんですね。恐らく、170センチぐらいあるんではないでしょうか?
声をかけようと思ったんですが、「親子水入らず」のところを邪魔するのも、なんなので止めておきました。
(って、やっぱりオーラが出てたからですけどね)
ペイペイさん御一行の後ろをストーカーのようにつけながら(笑)、次の映画のため、一路シアターコクーンへ。
早速、会場に入ると・・・
ヒヤァ〜!やっぱり、レスリー主演だけあって、オネエサマ方がたくさん詰めかけていらっしゃる。
いやいや、レスリー・ファンのパワーを改めて実感しましたですヨ。
「東京国際映画祭 アジアの風 君が好きだから」 渋谷シアターコクーン
PM:3:30
「君が好きだから 原題:縁イ分」 1984年 97分
スクリーンにレスリーさんが映った瞬間、会場から「カワイイぃ〜〜!若ぁ〜い!」なんて、ため息が漏れていた。
レスリーの他に、マギー(張曼玉)や、アニタ(梅艶芳)も出てるんだけど、笑っちゃうくらいみんな若いんだな。
当時売り出し中だった3人を主演に迎えた、青春ロマンス。こういった映画だから、内容は無いに等しいんだけれども、
80年代中盤は日本の「アイドル・ブーム」の影響もあってか、こんな映画、たくさん作られていたんでしょうね。
正直退屈だったですけど・・・んまぁ〜しょうがないか。(何が?)
残念だったのは、北京語吹き替え版だったということと、多少のフィルムの痛みが目立ったこと。
★☆☆☆☆
2002/10/31 (木)
「東京国際映画祭 アジアの風 マグダルの話」 渋谷ジョイシネマ
PM:4:30
「マグダルの話 原題:麦兜故事」 2001年 75分
CGアニメーションとでも言うんでしょうか、まだまだこの分野では遅れをとっている
香港映画ですが、全体的な感想としては、技術的な部分も含め、粗さはあるものの、まぁフツーに楽しめましたかね。
いろいろな意味で実験的な映画なんでしょう。要所要所に、ジャン・ラムのアートセンスを感じさせるキャラクターデザイン、
演出なんかを垣間見れました。
このキャラクターは、元々香港では絵本やカード、ぬいぐるみなど様々な商品で親しまれ、また主人公の母親は、
子供達から「理想の母親像」に選ばれるほど、人気があるんだそうです。(全然知らなかった)
声の吹き替えは、ジャン・ラム、呉君如(サンドラ・ン)、黄秋生(アンソニー・ウォン)らが担当。
★★☆☆☆
「東京国際映画祭 アジアの風 北京原人の逆襲」 渋谷ジョイシネマ
PM:7:30
「北京原人の逆襲 原題:猩猩王」 1977年 87分
オープニングタイトルから拍手が沸き起こってました。(笑)
タイトルからしてどんな映画なのか不安でしょうがありませんでしたが、
むしろ思っていたより丁寧に作られていた印象を受けました。
香港版「キングコング」とでも言うんでしょうかね。クレジットに日本人の名前がありましたから
日本の映画会社の方が協力されたんでしょう。(東宝のスタッフさんらしい)
やはりジオラマなんかは日本の技術なくしては出来なかった部分だと見ていて思いました。
幼少の頃に見ていた「特撮シリーズ」そのものなんだもん!(笑)
本来なら、主人公である「北京原人」もチープに見えてしまって興醒めするんでしょうけど、
特撮の部分がしっかりしているし、ストーリーもそれなりに出来ているので、それをあんまり
気にさせなかったのが、この映画のスゴイところですね。(笑)
上映中も、コテコテの演出に笑いが絶えませんでした。
私個人的にもとても楽しめましたね。
どっちかって言うと、これは「ファンタ」向きだと思うんだけどなぁ。
そうそう、この映画のダニー・リーって「ゴン中山」に似てませんでした?
★★★★☆
2002/11/1 (金)
「東京国際映画祭 アジアの風 ゴールデン・ロータス」 渋谷ジョイシネマ
PM:12:00
「ゴールデン・ロータス 原題:金瓶雙艶」 1974年 112分
チケット発売当日まで、上映されるなんて知らなかった当作品。(笑)
ジャッキー(成龍)が三級片に出てるって理由だけでチケットを買ってしまったんだけれども・・・
コレもデジタル処理しないバージョンだったが、画質自体は気にならずに見れた。
って、本編そのものは、ある意味、気になる所ばっかりだったけど。(笑)
いやいや、平日の昼間っから、ポルノを見せられるとは。参ったな、コリャ!
卑猥な動きのオンパレードでございまして、さすがに、こんなんばっかだと、その内に飽きて来るんでありますな。
「私利私欲に走る者の最後は・・・」みたいな教訓的なものは感じられるんだけれども、そこまで行くのに長いんだ。
だって、112分もあるんだもの。
肝心のジャッキーは梨売りの小坊主役で出ておりまして、中盤あたりに路地裏で無残にも殺されてしまうのでありました。
★☆☆☆☆
「東京国際映画祭 アジアの風 香港ノクターン」 渋谷シアターコクーン
PM:15:00

38年ぶりの再会! 井上梅次監督と一緒に。
「香港ノクターン 原題:香江花月夜」 1966年 123分
まず、デジタル処理されてないにも関わらず、非常に画面がキレイでした。
ちゃんと保管してあるんですねぇ。松竹の「踊りたい夜」(1963)を監督自身がリメイクしたそうですが、
ミュージカル映画とでも言うんでしょうか。この手の映画はちょいと苦手なワタシでありますが、
当時の香港の風景や世相を垣間見れた感じがして、とても興味深く見終えることが出きました。
しっかし、チェン・ペイペイが可愛いって言ったらありゃしない!(当時19歳)
「北京原人〜」と同様、日本人スタッフが携わっているだけあってか、細部にわたって丁寧に作られている印象を受けました。
★★★☆☆
「東京国際ファンタスティック映画祭 2002 シークレット上映&クロージングセレモニー」 渋谷パンテオン
PM:7:30
これでファンタが最後というのは、本当に残念でならない。
今回のクロージングは、「シークレット上映」で、一切関係者にも明かされてなかったらしい。
時間になると、何の紹介も無く、スクリーンの幕が開き、そのまま上映になった。
場内もお客さんも、シーーーンとした状態で、何が始まるのか?とじっとスクリーンを見つめている・・・
「アレックス」
????
なんだこれは?聞いたこともないタイトルだぞ。
配給さんも知らないところだし・・・
始まり方が、いきなりエンディング・ロールからだ!
何やら、フランス語で話しているみたい。
暗がりでなんやかんや言っているうちに・・・寝てしまった。(笑)
目を覚ますと、男性が女性をボコボコに殴っている。
一体物語はどうなってるんだろうか?
(ちゃんと起きてろよ)
それからちゃんと起きて、見てはいたんだけど、
カップルが喧嘩したり、イチャイチャしたり、なんだか良くわからない。
ヤ、ヤバイさっぱりだ。
アレッ?男性の大事なところが丸見えだぞ!
ボカシを入れなくて良いのかぁ〜!!
周りの皆さん見ると・・・やっぱり結構寝てるみたい。(笑)
90分を過ぎて、静かにエンディングを迎える。
拍手は起ったものの、お客さんも戸惑い気味。
明るくなって、舞台に司会のお二人が(これまた静かに)登場。
この映画について、いろいろ説明して下さる。
なんでも、カンヌ映画祭では途中退場者も出て、物議をかもし出した映画なんだとか。
原題の「IRREVERSIBLE」は、取り返しのつかない、回復不能と言う意味らしく、
何が起るかわからないこのご時世、いろいろなメッセージが込められているんだそうな。
でも、そんなこと言ったって、わかんないものは、わかんないよー。
こんな映画、ファンタでやるかねぇ〜しかし。
連日連夜、くっだらない映画(失礼)をやっておいて、
最後の最後でこんな訳のわかんない映画をやるなっつーの!!
あ〜・・・なんだかなぁ〜・・・
これがフィナーレを飾る映画とは。
ただ、話題性で組まれただけじゃないの?
もうちょっと考えてくれよ!
「アレックス 原題: IRREVERSIBLE」 2002年カンヌ映画祭正式参加作品 98分 コムストック配給
評価: ☆☆☆☆☆
気を取り直して、クロージングセレモニーへ。
もっと感動的なフィナーレになるかと思ったけど、例年と変わらない。
出演者と関係者が壇上にあがって、1人ずつコメントをするって言うのも、なんだかありきたり。
一通り、形式的なセレモニーを終えると、今までお世話になった渋谷パンテオンさんに
お礼の花束贈呈。

ファンタが無くなるって言うのは、そもそも、この会場のパンテオンが入っている、
「東急文化会館」が、来年6月に取り壊しになってしまうと言う理由から。
ならば・・・・
取り壊しになる前に、ファンタをやってしまえ!と言うことで、
企画を募集をするとのこと。

もう1回ファンタがあるって言うのは、本当に嬉しいことだけど、
今回みたいなスケジュールは絶対やめてくれよ!!

さらば!ファンタ!(って、もう1回あんの?)

スタッフの方々、本当にお疲れさまでした!
2002/11/2 (土)
「東京国際映画祭 特別招待作品 / トランスポーター 」 オーチャードホール

上映前の舞台挨拶での1コマ
製作・脚本を担当したリュック・ベッソン、スーチー、監督のルイ・レテリエ(左から)
「トランスポーター」 2002年 93分 アスミック・エース配給
先に見ていた友人から「面白いよ」と聞かされていたので、どんなもんかと期待しておりましたが、
見終わって振り返って考えてみたら、中身はカラッポでした。(笑)
序盤はなかなかテンポ良く、アクションシーンもヘンなカット割りをせず、長回しで見せて
くれたので「いいぞォ〜!!」と思っていたんですよ。でも、ストーリーに何のヒネリもなくて、
ちょっと単純でしたかねぇ〜。エンタメ映画としては楽しく見れるとは思うんですけど、
あんまり印象に残らない映画だったなぁ。
アクションシーンに関しては、アクション監督が元奎(コリー・ユン)だけあって、アイディア
を生かしたアクションがたくさん見れるんですけど、(密室、狭い場所での)立ちまわりの
部分が多く、やけにカット割りが細かくて、ちょっとわかりづらかったですね。
前半は中々、良かったんだけどなぁ〜・・・私的には、エキサイトするはずのカーチェイス
の部分も新鮮味がなかったように感じましたけど、ご覧になった皆さんはどうでしたか?
そうそう、「ワンチャイ3」のアイディアをそっくりいただいちゃってるアクションシーンがありますよん。
(宴に招待され、硫酸(?)を飲まされそうになり、その後、床を油で濡らされて、そこで立ちまわりをするシーン)
★★☆☆☆
- 完 -