夜の脳が、夢見空間を生成する過程A       NEXTUP  
※各図は画像検索により、出典を確認してください。 2012  東 京大学 大学院薬学系研究科 池谷祐二准教授(当 時)の研究発表を参考 

 

 

 

 

 

 

 

夢の生成メカニズム
 ノ ンレム・レムの両方で夢を見ている。
 ノンレム
の夢生成は海馬リップル波で始まる。
 夢らしい夢であるレムの夢生成は延髄と橋P波から始まる。

@ノンレムとレム切り替えはMCH神経が関与し ている。
覚醒、 レム、(覚醒レム)時に、それぞれ活動する
種類のMCH神経が ある。

レム睡眠時に 活動するMCH神経の活動が「夢の記憶」を消去している。

※MCH神経は視床下部外側野に局在し、メラニン凝集ホルモンを産生する。
レム睡眠を誘導することに加え、食欲調整にかかわり、食欲を増進したり、エネルギー消費節約等の機能を発揮する。



2024 -10-4 ● 大阪大学 生命科学・医学系医学系研究科教授 望月秀樹 (当時)
A脳幹にある「橋:Ponsレム睡眠時にPを 発生させます。 (上図)

 P波外側膝状体を 通り、後頭葉の視覚野へ と伝わる。(下図)

 夢見の脳の情報処理は昼の「視覚情報」の処理と同じ経路を通る。

 ノンレム時はP波は単発であるが、レム時には集中し、多発する。


【P波のはたらき
ノンレムでは、P波の直後に、海馬の 神経活動が低下 →  抑制
  
レムではP波の直後に、海馬の 神経活動が向上 増強

→ ノンレム とレムとで、P波のはたらきが異なる抑制と増強 という逆の働きを している。

 夢見空間の生成

昼の脳では網膜から 情報を受け取り、外側膝状体が視覚情報の処理を行い、
視覚野と視覚連合野で「感覚空間」を生成する。


夜の脳は、 網膜からの情報はないが、脳幹の「橋」から刺激を 受けた外側膝状体が処理を行い
視覚野と視覚連合野で、「夢見空間」を生成する。

 
ノンレムの夢は短期記憶の「増強と抑制」

B短期記憶増強と抑制
ノンレムでは、海馬でリップル波発生し、覚醒時神経活動パターン「再生」する。
再生は圧縮されており、は 短時間で終了する。行動の予行は順送りで、行動の回顧は逆送りで再生される。
再生された神経活動パターンは興奮性ニューロンクラスターとして「フラグ」を 立てている。

P波が入ると、海馬リップル波減少し、
不要な短期記憶シナプス結合を解放する。


 
レムの夢は短期記憶の「再構成と長期記憶化」


Cレムでは、P波が入る と、海馬シータ波協調的に作用し、 記憶の再構成を開始する。 
 

「フラグ」の 立った興奮性ニューロン活動を一様に抑制する。
結果として、新奇な体験に関連するニューロン活動が相対的増強される。
新奇な体験の記憶
「弱いつながり」の記憶が再構成の候補として選択される。

※アストロサイトが関連する「弱いつながり」の記憶ニューロンを同期させている。

新奇な体験の短期記憶と、関連する「弱いつながり」の長期記憶をもとに、再構成する
錐体ニューロンが離れている「弱いつながり」記憶と「新奇な体験」記憶をシナプス結合する
→再構成は、内側前頭前皮質のシナリオにそって、夢として「リハーサル」される。

ネットワークに 組み込まれた「新奇な体験」の記憶
    錐体ニューロンと結合したまま、徐々に大脳皮質へ移動
し、「長期記憶」となる。


ノンレムの「短期記憶の消去」と脳のメンテナンス
D短期記憶の消去
ノンレムにおいて、昼の体験が神経活動パターンとして再 生され、一様に短期記憶
と して整理される。
再生の過程で、ノンレムの夢が生成される。リップル波により圧縮された「短い夢」である。

レムにおいては、新奇な体験に関連しない興奮性ニューロンはP波により抑制され、除外される。
除外された新奇な体験でない短期記憶
は、 興奮性が低下
次のノンレムにおいて、シナプス結合を解かれたままになり、短期記憶は消去される。


脳のメンテナンス
※脳の毛細血管が「脳内の循環物質」を調整しており、脳内環境のメンテナンスを行っている。
※脳脊髄液が脳内を圧力をともなって流れており、不要な老廃物を除去している。

4〜5回睡眠サイクルで、記憶は消去、整理され脳はリフレッシュする。

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