夜の脳が、夢見空間を生成する過程C       NEXTUP  
※各図は画像検索により、出典を確認してください。 2012  東 京大学 大学院薬学系研究科 池谷祐二准教授(当 時)の研究発表を参考

 

 

 

 

 

 

 


特定の興奮したニューロンのみが選ばれるメカニズム




PVイ ンターニューロン → 海馬への入力を制限する
※ 記憶痕跡
記憶するときに活動したニューロンを、人工的に刺激し
活性化させると強制的に記憶が思い出される。

脳は、この記憶痕跡を自然にリプレイするが、
脳波における「鋭波」よって出現すると考えられている。

※鋭波  5-30Hz
ノンレム睡眠時や静止覚醒時に海馬でよく観察される脳波。
鋭波には、約200Hzのリップル波が重なる。

※LTP
長期にわたり、ニューロン間の信号が伝達しやすくなる現象。
ニューロン間の接合部位(シナプス)が示 す可塑性の一種であり、
記憶の素過程と考えられている。長期増強と呼ぶ。




@入力を制御するPVは脳回路全体に入ってくる興奮性シグナルを網羅的に受け取り、興奮性レベルを検知する。

Aそのレベルに応じた発火活動を行うことで、近傍にあるニューロンに一様に抑制シ グナルを送る。

B興奮性ニューロンが発するシグナルと、PVの一様な抑制性シグナルの組み合わせにより、
記憶の再構成にかかわった一部のニューロンのみが活動でき、リプレイされる仕組みである。

⇒夜の脳においては、リプレイが夢見となる。

記憶痕跡は、INDEXで あり、夢見の際に、繰り返し参照されることになる。


シナプスの結合と神経伝達物質の放出のメカニズム


電気信号がそのまま伝わるわけではない。シナプスが調整役。




夢見
の際、「新奇記憶」と 関連する「弱いつながり」の記憶は、
シナプスの結合位置を変えるとともに大量の神経伝達物質の供給を受け、
より上位のシナプスと「強力な結びつき」をする過程で、記憶がリプレイさ れる。


リプレイをすることで、記憶が再構成される。随伴現象が夢である。
神経ネットワークが再構成されたということ。
※再構成されるのは「弱いつながり」の記憶である。「新規記憶」は「強化」される。



以上から夢の生成の過程を整理すると

@新奇な体験による「気がかり」な記憶を見つける。

AP波の共鳴により、@に関連する「弱いつながり」の記憶を選び出す。

B@とAのニューロンクラスターのシナプスの結合を「変換・強化」する。

CBの「記憶の再構成」の随伴現象として「夢が生成」される。

DMCH神経が夢見の記憶を「消去」している。



でんでん     NEXTUP       

※大脳皮質では,離れた領域間を連絡する興奮性の錐体ニューロンと, 領域局所のニューロン活動を調整する
抑制性ニューロンが,シナプスを介して神経ネットワークを構成する。