@海馬の中
にある「場所ニューロン」
場所特異
的に活動するニューロンの存在
S→A地
点→B地点→C地
点→G地点へと移動した場合
各地点おいて「頻繁に発火する」ニューロンがあるということ。
「場所ニューロン」のクラスターは、すべての空間をカバーする。
脳内でGPSのように機能するニューロン群だと言えます。
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【図ア】 シー
タ波と同期する場所ニューロン
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【図ア】
「場所ニューロン」が迷路内の移動にともない
それに対応する場所ニューロンが発火します。
その発火は、海馬で発生するシータ波の各位相に乗ります。
【図イ】
各地点で対応する「場所二ユーロン」の発火頻度は
その場所に接近するのにしたがって、徐々に増加していく。
離れるにしたがって、徐々に減少していき、
場所ニューロンの対応領域を超えると発火しなくなります。
S→A→B→C→Gの移
動ごとの発火
を並べてみると、発火の位相がずれていくのが分かります。
その「ずれ」を、シー
タ波上でS〜Gを
重ね合わせをすると「圧縮」されます。
※6サイクルの迷路移動の発火が1サイクルの発火に圧縮
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【図イ】
重ねあわせによる圧縮
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A 【迷路
体験と場所ニューロン】
迷路体験
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行
動の状況
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場所ニューロンの発火順番
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海
馬の同期信号 脳波の種類
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S:ス
タート |
行動の予行→迷路を想
起 |
S→A→B→C→G |
リッ
プル波
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体験中 |
迷路を歩き、ゴールに向かう |
S→A→B→C→G
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シータ波
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G:ゴー
ル |
行動の回顧→迷路を想
起 |
G→C→B→A→S |
リッ
プル波 |
⇒想起する時はリッ
プル波、行動する時はシータ波
⇒予行と
回顧では、場所ニューロンの「発火順序」が逆になる。
B 【睡眠中の場所ニューロン】
迷路夢見
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行
動の状況
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場所ニューロンの発火順番
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海
馬の同期信号 脳波の種類
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ノ
ンレム |
迷路を歩き、ゴールに向かう |
S→A→B→C→G
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リップル波
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⇒ノンレム睡眠時は行動の予
行や回顧と同じで、「圧
縮」してリプレイしている。
迷路夢見
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行
動の状況
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場所ニューロンの発火順番
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海
馬の同期信号 脳波の種類
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レ
ム |
迷路を歩き、ゴールに向かう |
S→A→B→C→G
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シータ波
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⇒レム睡眠時は実
際の行動をそのまま、「同じ速さ」でリプレイしている。
以上、整理すると
ノンレムの夢見では迷路の予行や回顧を
行っており、記憶の処理を
している。
※
予行と回顧の順序は逆である。回顧は最終地点から出発点へと向かっている。ノンレムの夢見において
も同様である。
※処理とは、強化と消去である。強化はシータ波、消去はリップル波が担当している。
レムの夢見では、現実世界と
して迷路を体験し、記憶の再構成をしている。
※再構成によるニューロンクラスターの結合の組み換えという「変化」は強化・維持される。
レム中
は点滅する「エピソード記憶」と ※短期記憶
関連する「弱いつながり」の記憶などの ※長期記憶
複数のニューロ
ンの発火がシータ波に乗ることにより、夢が生成される。
夢のリハーサルによって、新奇体験の短期記憶は再構成され、長期記憶へと変換される。
夢見の終了で、MCH神経が「夢の記憶」そのものは消去している。
※夢見の記憶は、長期記憶に変換されたのだから、「夢の記憶」は不要ということだろう。
覚えていると「夢の記憶」の記憶ということになり、同じ「記憶」が2つ存在することになる。
夢見を覚えておくことで、2つの記憶ができるが、再び夢に見ることにより、ひとつの
「記憶」となるはずである。
このとき、もちろん「夢見」は変化し、夢のリハーサルも変化する。夢を覚えておくことは現実認識を変えることにつながる。
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絶対空間と夢
迷路を移動し、ゴールにたどり着いた「ネズミ」は
その迷路が行き止まりとなった場合、
ゴールを目指すための「手順」を
使わなくても、
「絶対空間」の認識を使うことでゴールに到達できる。
夢見においても、「絶対空間」が
ある。
移動を試みようとした瞬間に対応する「空間」が出現するのは
絶対空間によって最適な「テンプレート」が用意されているから。
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夢の生成と「空間認識」
空を飛ぶ夢、道路や交差点の夢、階段や坂道の夢
家の中を徘徊する夢、追いかけたり追われたりする夢など
場所、位置の認識や移動などに関する夢は
「絶対空間」のテンプレートを参照していることを意味する。
夢に取り込む風景や建物や物などの位置関係、道路や
建物内の通路、室内の間取、机の上の物の配置なども
「空間認識」のテンプレートをもとに再構成されている。
エピソード記憶と「場所」
エピソード記憶に「場所」の指定は欠かせない。
ある意味、場所そのものが「エピソード」である。
場所のテンプレートは、瞬間、瞬間の変化に
あっという間に「つじつま合わせ」のイメージで再現する。
次々と変化する「場所」のイメージは、
「場所ニューロン」が隣接しているということである。
夢ステージの変遷の「根拠」が感情で色付けされており、
関連付けられた「エピソード」を味わい感情記憶を強化する。
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「場所」と顔
誰であるのかについては、「顔」が「場所」
にあたる。
感
情マップ上を移動したとき、
「知っている誰か」が夢に登場してくるのは
「顔ニューロン」が「マップ」に
登録されている
から。
つまり、「顔」は感情
誰であるかは「顔」で認
識する。
誰でもないのは「夢見者自身」
なぜなら、感情マップそのものが夢見者だから。
※知らない誰か、誰か分からない人、はっきりしない誰か?
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「場所」と時間
脳
内で表現される時間の
基礎は、
夢ステージの「場所」において
空間を占める事物の変化や
関連情報の順序で
表現されている。
「場所」の変化+
情報=時間の変移
順序性の記憶の
中に、
空間の把握やエピソード記憶も含まれる。
※位置情報+事物の配置=空間認識
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「顔ニューロン」
側
頭葉(こめかみの下あたり)にあるブルーベリー大の領域数カ所が、
顔に対する反応に特化していることが分かった。
これらの領域は「顔パッチ」と呼ば
れている。
顔
パッチの各細胞の発火頻度が顔の個別の特徴に対応しており、
これらの細胞は一連のダイヤルの組み合わせの
ように、
個別の情報に応じて、微調整され、統合されて、顔の全体像を
作りだしている。
つまり、夢見においては、顔の合成もありうるということ。
「格子細胞」 Grid Cell 「場所」細胞の
30年後に発見
※
海馬の場所細胞に必要な情報を提供している脳の領域は、海馬のすぐ隣の領域、嗅
内皮質にあった。
臭内皮質の神経細胞にも特定の場所で活動するものが見つかったということ。
空間の一点のみで活動するのではなく、空間内における規則正しい格子状の点全
てで活動していた。
空間内の格子状の点は空間の座標にあたると考えることができる。
つまり、嗅内皮質の神経細胞は場所の位置情報を伝えていることを意味する。
トム・クルーズ細胞
正
面の写真でも、横顔でも、何と文字情報でも、トム・クルーズを示す情報にならすべて反応する「ニューロン」が
ある女性の脳細胞から見つかりました。アニメのキャラクターや女優さんの顔では、その細胞は発火しません。
トム・クルーズの一連の画像を見せたあと、この患者さんに口頭で「誰を見ましたか?」と質問すると、
一連の画像について思い出す中で「トム・クルーズがいました」と答えるときに、先ほどの細胞が発火したというのです。
人
間の海馬には、あらゆる語彙に関して、情報を統合するようなニューロンがあるようで
す。
もちろんひとつのニューロンではなく、「ニューロンクラスター」です。
つまり「事物ニューロン」があるかもしれないということ。
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