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tamay.gif   レトリックの夢 H      「ふむふむ」さんの夢  chibiz.gif


小さな家の前に立っている。

玄関から入ろうとするのですが、肝心の玄関の鍵がありません。
仕方がないので、家をぐるりと回って窓を見つけます。
窓はあるのですが、高いところにあるので入ることがやはりできません。

裏に回ると入り口があって、開いていました。
ところがそこはごみで一杯なのです。
でも、わたしはそこに入らなければならないようなのです。

仕方なく、ごみを片付け始めます。
ごみの中にいろいろな写真がありました。

 




夢とレトリック09 : 夢における「隠喩・メタファー」

夢においては、あるものごとを言い表すのに
それと類似はしているが
まったく別のものを表すため使われる表現を
わざわざ借りて用いる場合があります。

2つの間にある類似性に着目して
別なもののイメージを頼りに
次々と同系列の表現形式を続ける夢もあります。
ほとんどの夢がこの「隠喩」という表現技法を使っています。

あるイメージを他から導入し、それを代入する。
代入したものが成立すると、それを次々と連結し
連立方程式を解くように、夢表現に使われていくのです。
一度、そのイメージで代入が済むと
それだけで夢をつないでいくことができるようになります。

代入を了解するのは、夢を見ている人自身の認識なのです。
その夢構造全体をひとつの「隠喩」でくくっている場合
その夢要素は、きわめて重要なしくみをもっているはずです。

 

by エリカ   




ここに出てくる「家」「玄関」「窓」・・・などは
夢を見ている人のからだや心を表しています。

からだ全体を「家」として了解が得られると
「窓」は対人関係、「裏口」は夢見者の隠し事
「ごみ」は人には知られたくない思い出というように
次々と「隠喩」が成立していきますね。

何かを別のものにたとえ始めると、その「たとえ」から
次の「たとえ」へと飛び火していきます。
「たとえ」のひとつ、ひとつが対応するので
2つの世界が生まれてきます。

ここに「パラレルワールド」が出来上がるのです。

パラレルワールドとは一連のことがらの系列に
平行して存在する世界のことです。
一方が「表現されない世界」であり、他方が「表現を了解される世界」となります。

表現を了解される世界は、ここでは「夢」そのものであり
表現されない世界とは、あなたの現実認識となるわけです。
別の一連の系列で表された「夢世界」における
夢要素は、あなた自身に特有なものであることが普通ですが
単純で明快な夢においては、その一般化が許されるでしょう。

パラレルワールドは、2つとは限りませんよね。

夢の実態が構造化されているとき
それに平行する「パラレルな夢」は、やはり類似の構造をもっています。
その「パラレルな夢」に、さらにパラレルな夢が派生します。
それが、繰り返しの夢になることもありますよね。

夢における象徴が分かりにくい場合
それらの夢要素が作り出している構造性から
混沌とした現実を解読することができることもあります。
そこに発見的な楽しみがあることは前にも話しましたね。

パラレルワールドは、いくつかのフィルターを通過させると
現実の世界を映し出します。
夢の「あや」としての「隠喩」は発見的認識を引き出すのです。
あなたの気づかない現実認識の枠組みを見せてくれます。

「隠喩」という夢表現の技法は
ある意味でひずんでいる夢の世界を
的確に表現し、視覚的なイメージとして提供するのです。

どうですか、あなたの夢表現は充実していますか。
年齢に応じた精神的な部分の成長がないと
夢は単純な表現しか選べないということになります。
まとめると「隠喩」は現実と平行する夢空間を作り出す。
すなわち、一方で成立することは他方で了解される。


by ふむふむ