第105回

左片麻痺で発症した48歳の男性

01.1.12

左片麻痺で発症した48歳の男性

48歳の男性が突然左の手の使いづらさ、左足の引きずり歩行を自覚しました。その後バイクで走行中転倒したため、奥さんに相談し私の外来を受診しました。
外来でCTスキャンを施行しましたところ右大脳半球皮質下(脳の表面に近いところ)に著明な脳浮腫を認めました。MRI上はやはり浮腫を認めますが、その浮腫の中心部に腫瘍を認めました。MRIの造影検査ではこの腫瘍は著明に造影されました。画像からは転移性脳腫瘍を疑う所見でした。
結局肺がんの脳転移と診断されました。脳神経症状がすでに出ているため緊急の治療の必要があり、S病院に紹介し、ガンマナイフ治療を施行しました。この時点で本人に癌の転移であることを告知しました。本人も前向きに治療を希望され、ガンマナイフ治療後、麻痺は著明に改善しています。
しかし、転移性の脳腫瘍(癌)ですので今後近い時期におそらく再発がくるでしょう。ガンマナイフでうまく治療できましたが、今後の生命予後は厳しい可能性が高いと思われます。

MRI T2強調画像

周りの白い部分が脳浮腫

中心部の灰色の部分が転移性脳腫瘍


MRI T1強調画像 造影

この画像では周りの浮腫は黒く見える

転移性脳腫瘍は造影剤で白く増強される


MRI T1 強調画像 造影

前額断

脳表に近いところに転移性脳腫瘍があり、

周りの浮腫がよくわかる

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