ガンマナイフ治療「頭を切開せずに脳血管障害や脳腫瘍を治療する方法」
ガンマナイフは1968年にカロリンスカ大学脳神経外科のレクセル教授によって開発されました。具体的には放射線の201の細かいビームを虫めがねの焦点のように病巣部にのみ照射する治療法です。どのような放射線が適しているか研究の結果、γ(ガンマ)線が適していると判明、コバルト60をエネルギー源としたガンマナイフが誕生しました。
どのような病気にこのガンマナイフによる治療法が適しているかというと、最も高い効果を上げているのが「聴神経腫瘍」「髄膜腫」「下垂体腫瘍」など3.5cm以下の良性腫瘍や他の臓器のガンが脳に転移した「転移性脳腫瘍」などの悪性腫瘍です。また、血管障害でクモ膜下出血の原因にもなる「脳動静脈奇形」にも高い効果があります。
ガンマナイフ本体には201個のコバルト60の線源が半球状に配置されており、患者の頭部に装着されたコリメータヘルメットの201個の穴を通して、コバルト60から発生するガンマ線が病巣部に集中照射されます。照射時に貫通する頭皮、骨、脳、血管、神経への影響は少なく、照射を受けた病巣のみが徐々に凝固・壊死します。
更に、照射の誤差は±0.3mmと高精度であるため、重要な組織が密集している頭蓋内でも正常な組織にほとんど影響を与えずに治療することができます。そのため、病巣が脳の深い位置にあって全摘出が難しい場合や、既に開頭手術を行って、まだ病巣が残っている場合にも適しています。
しかしながら、病気の種類や状態、また病巣の大きさや位置などによって、ガンマナイフによる治療が適している場合と、開頭手術の方が適している場合とがありますので、総合的な判断が大切です。