第147回

突然部屋がわからなくなった81才女性

01.6.23

突然部屋がわからなくなった81才女性

81才の女性Fさんは、ある日突然自分の部屋がわからなくなりました。かかりつけの内科の医院を受診しましたが様子がおかしいため私の病院に紹介されました。
CTスキャン上右後頭葉に脳梗塞と思われる低吸収域を認めました。MRI上もやはり同じ部位にT2画像にて高信号域を認めました。心電図上心房細動という不整脈でしたので心房細動からの塞栓症と判断しました。
この方はヘパリンという抗凝固剤とラジカットで治療中ですが経過良好です。
後頭葉は視覚の中枢ですのでこの方は左半盲(視野の左半分が見えない)があるはずですが自覚症状は少ない様です。心房細動という不整脈は脳塞栓症をたいへん起しやすい恐ろしい不整脈です。塞栓症の予防にはワ−ファリンという薬を内服して心臓内に血栓が出来ないようにしなければなりません。この患者さんは現在ワ−ファリンの適正量を検討中です。適正量が確認できたら退院にします。麻痺がなかったのでリハビリ病院でリハビリをする必要はなさそうです。

CTスキャン

右後頭葉に低吸収域(黒い部分)を認める

脳梗塞(塞栓症)を疑う


MRI T2強調画像

右後頭葉に高信号域を認める

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