肝硬変になり肝臓の中へ血液がスムーズに流れなくなると、川の流れをせき止めたような状態になり、血液の逆血がおこります。行き場を失った細い血管を代用しようとします。そこへ大量の血液が流れ込むため、血管がでこぼこに膨らんで蛇行し、こぶ状になっていきます。これを「食道静脈瘤」と呼んでいます。
直腸に出来た静脈瘤は痔と呼ばれています。肝硬変の人が痔になりやすいのはこのためです。
症状
普段は自覚症状が全くありません。破裂し大量出血を起こすと出血性ショック、肝不全などを引き起こし危険な状態になります。
診断と治療
診断・治療は内視鏡でおこないます。
1. 「内視鏡的食道結紮術」
静脈瘤を小さな輪ゴムでしばり血流を止める方法
2. 「内視鏡的食道静脈瘤硬化療法」
静脈瘤の中や周辺に硬化剤を注入し固め破裂しないようにする方法
1,2は共に止血の緊急措置以外に破裂防止のために最も多く行われている方法です。
日常生活の注意
1. 定期的に検査をうける。
静脈瘤はできたとしてもすぐ破裂するものではありません。
予防的な治療を行い未然に破裂を防ぐ事が大切です。
2. 力んだり、重いものを持たない。
3. 出血したときは、かかりつけの病院へすぐに行くことが必要です。
周囲の人にも協力を得て、その場所を伝えておきましょう。
4. 潰瘍やびらん(ただれ)にも注意
胃や食道の粘膜の血流が悪くなっているため、この部分に潰瘍やびらんができやすくなっています。
そのため、出血の原因になる事も少なくありません。
定期的に内視鏡検査を受けることは、潰瘍やびらんを早期発見治療する意味でも大切 になってきます。
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