理想と現実


「ひとつ聞くが、おまえの好みはどんなのだい?」

「いきなり何を聞くんだおまえは」
「実はね、前から気になってはいたんだよ」
「下らん事を」
「えぇ、そうでもないよ。重要だよ」
「なぜだ」
「そりゃ、理想に少しでも近付いた方が、より長く好いてもらえるだろう?」
「……おまえは、それで努力でもするつもりか?」
「勿論」
「馬鹿め」
「ひどいなぁ。これでも結構純情なんだからもう少しこうさぁ…」
「馬鹿だから馬鹿だと言っているんだ。純情以前の問題だ」
「んん?」
「そもそも、おまえにそんな努力など必要なかろう」
「なんだよ。それはやるだけ無駄なほど、理想と俺が程遠いって意味か?」
「…………知らん」
「知らんってなんだよ〜」
「…寝る」
「あぁっ!こら寝るんじゃない」
「……ぐー」
「なんなんだよ、いったい〜」
「ぐー!」



end



2002/09/01