15. 誓い
我が名と剣にかけて。
この想いとこの一瞬しか約束は出来ないが。
我が名と剣に賭けて、誓おう。
俺は、カミューを誰よりも愛している。
この想いをもって、おまえの傍にある―――。
ほたほたと暖かい何かが頬に触れる。
あまりに気持ち良くてカミューは薄らと瞳を開けた。すると視界一面が白い光に包まれていて、眩しい。すぐ目を閉じると頬に触れていた暖かいそれが瞼を覆った。乾いた布の感触がする。起毛のそれは、手拭いか何かだろうか。
「起きたか?」
低い声。夢の中の声と同じだった。けれど少しばかり、いや随分夢の中のそれより優しい。嬉しくて口元が緩むのが自分で分かる。
「良いぞ、寝ていろ」
くすりと笑む声が降ってくる。そして柔らかな―――おそらくは毛布が、首まで引き上げられた。
「俺の方から副長には伝えておく。ゆっくり休め」
カミューは今しも再び夢の中へと落ち込みそうな意識で、かろうじてうなずいて見せた。こくん。
「ああ、心配ない……」
さらり。先ほどとは違う、硬い何かが額に触れて前髪をかき上げていく。指だ。それも。
「…マイクロトフ……」
囁いてカミューはまた夢の世界へと沈んでいった。
次にカミューが目覚めたのは、西側の窓から橙の陽光がレースのカーテンを燃えるような色に染め上げている頃だった。
深い眠りから覚めた時特有の、寝台と身体が一体化でもしていたかのような、寝床への沈み具合にカミューは呆然とした。一瞬、自分がどうしてこれほどまでに深く寝入っていたのかが分からずにきょとんとする。そしてぼんやりとした面持ちのまま身を起こして、途端理由に思い至った。
全身、特に腕や背中に走った激痛が寝起きの思考を明確に切り裂いた。そしてハッと見開かれた瞳が己の左手首に巻かれた真っ白な包帯に視線を定める。目覚めは或いは、痛み止めの効力が切れた故かもしれない。
今も絶えず擦れるような熱と痛みをもたらす火傷。紋章で自ら傷つけた痕である。昨夜マイクロトフが手ずから治療してくれたのを思い出した。
急場しのぎに現場で直ぐに『優しさのしずく』の札を使ってもらったが、切り傷や擦り傷はともかく、打ち身や火傷は治りきらなかった。特にこの紋章で焼いた手首は完治するのにまだまだ日数を要するようである。
そしてカミューは昨夜の出来事を思い出した。
骨折などの重い怪我が無いのは自分でも分かっていた。だから事件の秘匿性もあって医務室は忌避して私室に直行したのだが、そこへ帰るなりマイクロトフはてきぱきとカミューの青黒い痣の浮いた背中や肩や腕に湿布を貼り、手首に火傷用の塗り薬を施して、全身くまなく包帯で覆った後に有無を言わさず寝台まで強制連行して眠れと脅した。
全身が負傷による発熱で疼くような震えに満たされていてはとても眠れたものではなかったが、それならばとマイクロトフが如何にして一味の拠点に乗り込んだのかその経緯を、枕元でぽつぽつと語るうちに、いつの間にか眠り込んでいた。
「……で、どうして目覚めるのが夕方なんだ……」
痛みに顔を顰めながらも寝台から降りて、カミューは茜色に染まった雲を睨み付けた。
誰も起こしに来ないとはどういった了見だろう。尤も、一日中眠りを貪りつくした自分自身は棚に上げて、まさかこれしきの怪我で丸一日の休養を押し付けられたのかと怪訝な目つきになる。
そこまで柔じゃない、とカミューは壁にかかる衣服に手をかけた。とりあえず今からでも執務室の方へ行ってみよう。昨日の事件のその後も気になる。
ところが手早く着るつもりでも、軋む身体は如何ともし難く。しかも関節の辺りを包帯などで厳重に固定されていては、思うように袖に腕も通せないし釦も留められない。なんとか白いシャツを上の釦二つほど残して身に着けると、漸う上着を手に取る。ふと窓の外を見やればすっかり日が落ちていた。
「くそ…」
罵りながら上着を肩にかけてやっと出て行こうと扉に向かう。しかし寸前でその扉がノックされた。そして、おや、と思う間もなくその扉は返事も待たずに開かれて、向こうからマイクロトフが顔を覗かせた。
「おはよう」
カミューが呑気な挨拶をすると途端にマイクロトフの瞳が不穏な半眼となった。
「何をしているんだおまえは」
「目が覚めたから起きてる」
「分かった、言葉を変える。何処へ行くつもりだ」
「執務室」
「却下だ」
ずんと入ってきた男は後手に扉を閉めると、ご丁寧に鍵までかけてカミューの身体に腕を回してそのまま寝台まで押し戻した。そして寝台の縁に座らせると自分は屈み込んで手を伸ばし、折角着込んだ衣服の合わせに手をかける。
「おい」
「なんだ」
釦を外しながらぶっきらぼうに返事をする。流石手馴れているな、などとぼんやり考えながらカミューはマイクロトフのその手を掴んで止めた。苦労して止めた釦は既に半分ほど外されている。
「何のつもりだマイクロトフ」
「怪我人を寝床に押し込んでいる。邪魔をするな」
「それはわたしのことか」
「他に誰がいる。ほら、脱げ」
大した抵抗も出来ないまま衣服をどんどんと剥がれていく。着るのにあんなに大変だったのに…とがっくりしていると、服が包帯に巻かれた部分を強く擦った。
「……っ」
「すまん」
短く詫びても脱がせる手は止まらない。とうとうすっかり衣服を剥ぎ取られて包帯の目立つ姿に戻ってしまう。そこへすかさず寝台の端に押しやっていた筈の寝着を着せ掛けられた。
「強引」
「うるさい。寝ろ」
「でもマイクロトフ、お腹減ったよ」
「あとで持ってきてやる」
「随分甲斐甲斐しいな」
「嫌か」
「それが全然」
つい笑みをこぼしながら言うと、マイクロトフは「まったく…」と片手で顔を押さえ溜息を吐いた。だがその瞳が指の隙間でちらりと動いて、カミューの手首に巻かれた包帯を見た途端、揺らぐ。
「心配、させたかい」
「……俺だけじゃない」
「あー……そうだな。流石に今回は、本当に大反省だ」
もう単独私服で街に降りる許可は出ないかもしれない。今まで許可を得て出掛けていた訳ではないが、単に見逃して貰っていただけである。今後はそれも無理だろう。
「分かっているのなら確り身体を休めて一刻も早く治せ。目にするたびに心臓に悪い」
手首の包帯に視線を定めたままマイクロトフが言うのに、カミューはこくりと頷いた。と、その動きで不意に思い出した。
「あ」
上げた声にマイクロトフがどうしたと目で問い掛けてくる。それにカミューはつい苦笑を浮かべながら、やにわに沸き起こる照れに右手を振った。
「朝か昼か、一度目が覚めた記憶があるんだが…アレは夢かな」
「いや現実だ」
「あ、やっぱり」
無防備な態度をさらした覚えしかない。あれは間違いなくマイクロトフだった。しかもその目覚めの直前に見た夢の内容まで思い出してしまっては、また笑うしかない。
「どうかしたか」
「いや、夢をね。思い出して」
夢? とマイクロトフの唇が動き、その眉が怪訝に寄せらる。カミューは頷いて正面にある黒い瞳を見上げた。
「マイクロトフが青騎士団長になった当日―――誓ってくれたあの時を夢に見た」
覚えているよな? と瞳を覗き込むと、戸惑ったような視線が返ってくる。だがややもしてしっかりと頷いた。
「覚えているとも。でなければあの誓いは意味をなくす」
言いながらも居心地でも悪いのか、顎の辺りを擦っている。だが直ぐに真面目な表情になるとまっすぐにカミューの瞳を見つめてきた。そして。
「今も変わらず誓うぞカミュー」
「今も?」
「あぁ、毎日でも」
「それはどうも、有難う」
「俺は本気だ」
「うん」
冗談にとったとでも思ったか、本気だと憮然と繰り返すマイクロトフにカミューは笑う。
「分かっているよ……今まで、常におまえは変わらずにいてくれたのだからね」
喧嘩をしても、どれほどの誤解があろうとも、また遠く離れても、どちらかが瀕死の重傷を負っても、想いだけは変わらなかった。―――傍に、と。
剣を持つ騎士である以上、永遠は約束できない。
だがその一瞬一瞬の約束は出来る。生きてそう誓える度に。
今、愛している。
傍にいる。
誓いは常に果たされ続けてきている。
「マイクロトフ」
「なんだ」
「おまえの誓いはわたしの中で生きている。どんな時も、力になってくれる」
あの時も。
何故傍にいるのだと疑問をぶつけられた時、迷わずに浮かんだのはマイクロトフの誓いの言葉。
カミューにとっては神に誓うよりも神聖で、犯しがたい唯一絶対の言葉。誰に非難されようと誹られようと、それが揺るがない力となる。
「だからわたしも変わらず誓うよ。いつまでもこの身と心は、おまえの誓いのままに―――」
だがこの言葉にマイクロトフは瞳を曇らせる。その頬に、伸ばした掌で触れてカミューは目に苦笑を滲ませた。
「おまえの、重荷にはなりたくないのが、わたしの我侭なんだよ。きっとね」
わがまま…とマイクロトフがおうむ返しに呟く。
互いから目を離したくない、傍にいたいと願うのは共に同じだ。だが、カミューのそれは、マイクロトフが拒絶すれば叶わなくなる願いである。そう強いられたわけではない、ただこれはカミューだけの身勝手である。
マイクロトフにはそんなカミューの思惑に、いくらでも不満があるに違いない。だが言葉にして責められた事は一度もない。ただ時折そんなカミューの考え方が不安に思うともらす程度だ。
何よりマイクロトフはこんな風に誓いを返すカミューに、更なる強さでもって応えるのが常であった。
頬に当てた右手をとられて掌に唇が押し当てられる。
「カミューを重荷に思う日など、来ない。何度言えば分かるのだろうなおまえは」
「うん」
笑みをこぼして頷くとマイクロトフの一方の手が伸びて、カミューの髪をぐしゃぐしゃと掻き乱した。
「俺が望み続けるのはカミューのみ。それが俺の我侭だと言ったろうに、おまえにしてはもの覚えの悪い」
「そうだな」
答えながら、よせと身を捩って逃げるが、マイクロトフは寝台の上に膝を乗り上げると背後からカミューの頭ごと腕に抱き込んで何度も髪を乱した。
「賢いくせをして」
「マイクロトフ」
「妙なところで馬鹿だ」
「おまえにそう言われると随分と複雑な気分になるよ」
やっと髪を掻き乱す手が止まり、今度は乱れてはねたそれを整えるように優しく撫で梳きはじめる。
「俺の場合は単純馬鹿と言ってな、おまえのような奇怪な馬鹿とは種類が違う」
「……とんだ言われようだ」
それでもカミューはくすくすと笑ってマイクロトフの胸に頭をすっかり預けてしまう。こうして髪を梳かれるのは格別好きである。まるで猫のように目を細めてしまうくらいだ。
「なぁマイクロトフ」
背後にある瞳を見ようと天井を仰ぐ形で名を呼べば、髪を撫でる掌がゆっくりと動きを止める。カミューは微笑を浮かべて目を伏せた。
「知っての通りわたしはもの覚えが悪いから、忘れないように、頼むよ」
「……仕方のない奴め」
呆れたように返事をしながらマイクロトフはぎゅっとカミューの肩を腕に包んで胸にしまい込むように抱き締めた。少し、包帯の下が悲鳴を上げたが肌を覆うぬくもりの方がずっと心地良い。暫くその心地を味わっていたが、いつまで経っても背後の男は身動きしないばかりか何も言わない。
「マイクロトフ?」
すっと髪を揺らして振り返ろうとする。だがマイクロトフの掌がそんなカミューの目元を覆うようにしてそれを阻んだ。そして、うなじに吐息が触れる気配がした。
「生きているな…」
低い声が背筋を滑り落ちた。刹那カミューの呼吸が可笑しいほどに乱れた。何か言葉を返そうとするが唇が震えるばかりで何も言えない。ついでに強張った身体は顕著にマイクロトフに伝わってしまっただろう。
「構うな―――責めているわけでは、ない」
ただ、とマイクロトフはうなじに顔を埋めてくぐもった声で呟いた。
「実感しているだけだ。おまえは直ぐ、どこかへ消える」
だから、とマイクロトフは全身でカミューの存在を確かめるように抱きしめて匂いを拾うように息を吸い込む。
「まったく。こうして掴まえてそのもの覚えの悪い頭に言ってやらん事には、安心できん」
不服げに言い放ち、マイクロトフは突然カミューの身体を引き剥がした。え、と思う間もなく身体をひっくり返されてシーツの上に仰向けにされていた。
「何度でも、カミュー」
「……マ…」
開きかけた唇を、上から覗き込むマイクロトフの掌で塞がれる。
「聞け―――誓うから」
剣幕、と言っても良いほどの睨みを受けてカミューは思わず目で頷く。すると掌が外されて開放された唇に、そんなマイクロトフの唇が降りてきた。
「カミュー」
「…っ………」
直ぐに解かれた口付けの後、吐息が触れるほど間近で名を呼ばれ、ぞくりと肌が粟立つ。そして、焦点が合わないほどの距離で―――。
「愛している」
眩暈がした。
比喩ではなく、告げられた低音の澱みない一言で本当にくらりときてカミューは一瞬の失語に呆然とする。その様を、マイクロトフの余裕の眼差しが満足そうに見下ろした。
「覚えたか」
にやりとマイクロトフの作る笑みにしては確信犯めいたそれに、カミューの舌が漸く本来の働きを取り戻した。
「お…っまえ……!」
朱の上った自分の顔を嫌と言うほど自覚しながらカミューはマイクロトフの顔を睨み上げた。しかし、翻弄された事への沸騰した怒りは直ぐに消え、入れ替わるように決して言い表すことの出来ない感情が胸の奥から込み上げる。
思わず堪えるように歯を噛み締めたが、瞳だけは正直にゆらりと揺れた。
「マイクロトフ…」
右手と左手と、両方を上へ差し伸べてマイクロトフの首に絡めると、ゆっくり引き寄せる。逆らわず抱き締められてくれるが、圧し掛かる重みはなかった。それでも包帯越しに確かな感触を得ながらカミューは衝動に衝き動かされるまま言葉を紡ぐ。
「おまえが好きだ。とても、好きだよ。どう言えば良いか分からないくらい、愛している」
「ああ」
頭の直ぐ脇に肘をつく気配がして、前髪にマイクロトフの指が触れてさらりとかき上げられた。そして、わかっている、とささやかな声が聞こえた。
「うん、でもたまには素直に言わないとね」
目の縁に涙の粒を乗せて微笑むと、マイクロトフが少し顔を上げてそんなカミューの目元を指先で拭った。
「泣かれると複雑だがな」
泣くと言うほどでもない滲んだ程度だが、それでも立派に潤んだ瞳は日常滅多に見られないために、困惑を呼ぶらしい。カミューは短く笑ってそれを否定した。
「これは、嬉し泣きだ。喜べ」
「うむ」
カミューの命令口調に生真面目に頷いてマイクロトフはまた口付けを落とす。
「カミュー、何度も言うようだが俺の目にはおまえしか見えない。この腕もおまえ一人をこうして囲むだけで精一杯だ。だがそれは決して負担などではない……おまえが負い目を感じる理由など、ない」
そしてマイクロトフはその精悍な面差しに穏やかな笑みを浮かべた。常より甘い笑顔など持ち合わせていないのではと疑えるほどに仏頂面が板についた男だが、こんな笑みも時折見せるのだ。それは、心から相手を好ましいと、愛しいと思った時―――。
「俺は、おまえがいてくれるからこそ、こうして今ここにいるのだからな」
今ここに。
かくも様々な試練を乗り越え、幾多の死地を切り抜けて、ここに今存在している。その所以はひとえにカミューがいたからこそ。精神的に救われた事もあったろう。だが実際にその強さで、剣の一閃や英知に救われた事もあったのだ。
そしてカミューもまたそうしてマイクロトフがいたからこそ、ここに今あるのも事実。もう互いが失くしては在り得ないほどに絡まりあった過去の因縁。しかしそこには確かな想う心が介在している。
「カミューが大切だ。だがカミューと共に歩く俺自身も、大切に思う」
「マイクロトフ」
「だからなカミュー。おまえはもっと自信を持ってくれ。あれくらいの言葉で、泣くな」
ひく、と喉が震えた。
泣くなと―――それでも込み上げてくる衝動がまた瞳を揺らす。
「カミュー」
黒い瞳がまた困惑に彩られる。しかしカミューは琥珀の瞳を潤いに鈍く光らせながらも、ふっと笑みを溢した。
「いつになく、饒舌だなマイクロトフ」
たとえようもないほどの喜びに身をひたしながら、カミューは常の軽口を殊更強調して揶揄かう。するとマイクロトフも笑いながらそんなカミューの額にまた口付けを落としながら応えた。
「仕方がない。舌を動かして紛らわせねば、素直すぎるカミューは俺には刺激が強すぎる」
と言うことは手を出す気は一切ないらしい。
尤も包帯だらけの相手にその気になるようでは、常に他を尊重せよとの騎士道精神もどこか彼方へと行ってしまうと言うものだ。しかしそれでは少々物足りないと思うのが今のカミューであった。
「刺激、結構じゃないか。おまえも素直になれば良い」
「カミュー……」
あからさまにがっくりとするマイクロトフの肩をぽんとカミューは叩く。
「気遣っているのなら無用だぞ? あぁ、わたしが上に乗れば負担も少ないと思うんだが」
「カミュー」
どうだ? と首を傾げるとマイクロトフは嘆息して顎を持ち上げた。
「おまえは怪我人だ」
「だから、癒してくれよ」
「………………………………………………」
あっさり答えるとマイクロトフは面食らったような表情になり、ついで目を閉じて口を真一文字に引き結び、どう返事をすれば良いのやらと長い間黙り込んだ。
しかし結局、長い沈黙に耐え切れずカミューはつい吹き出した。
「悩みすぎだ、馬鹿」
身体を震わせて笑うカミューに、マイクロトフは弱りきった調子で唸る。
「カミュー〜〜〜」
「くっくっく。まったくおまえときたら本当に……わたしが良いと言っているんだから、気にする事はないのに」
笑うたびに背中や間接が痛むがカミューはたまらずにマイクロトフの肩を掴んで起き上がった。
「と言うわけだ、包帯が少々邪魔だがなぁに、解けた方が好都合。後でまた手当てしなおしてくれるのを期待しているよマイクロトフ」
そう一息に言ってふんわりと、それはもう蕩けるような笑みを浮かべてカミューはマイクロトフの肩に額を預けた。
暫し背後を彷徨っていたマイクロトフの手が、そんなカミューの背に回されたか否かは―――当人たちのみの知るところである。
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本には入りきらなかったおまけコピー本の内容です。
ほぼそのままアップ。
2008/06/01
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