記憶はどこにあるの?

開頭手術を受け、脳そのものがあらわになった状態にあります。
見えるのは脳の表面であり、新皮質と呼ばれる領域です。
電気的な刺激を与えると、それに触発され、記憶が再現されます。

刺激されたニューロンネットワークはつながりにしたがって同時発火します。
同時発火することで、標的ニューロンがイメージを生成します。
一瞬でエピソード記憶や意味記憶等が表現されるわけです。

では、どうして、新皮質に「記憶」として「そこ」にあるのかということです。

たとえば、今日の体験が一生を通して残るような「記憶」だとしても、
その日に、新皮質のどこを刺激しても、その「記憶」は再現されません。
類似の記憶を想起することはあるでしょうが…。
なぜなら、その「記憶」はまだ海馬と偏桃体の管理下にあって、
脳の深部にある大脳辺縁系の周辺にとどまっているから。
相当な時間を使って、その記憶は新皮質へ移動し、固定されるわけです。
脳の深い領域から、表層の領域へニューロンクラスターが浮上するのですね。
もちろん、それらのニューロンの軸先は
脳の深い部分に延びており、シナプスはつながろうとしています。

数週間から数年をかけて、新皮質に移動した「記憶」はネットワークとして維持され続けます。
ニューロンを構成するたんぱく質等はどんどん新しいものと入れ替わっていきますが
記憶を担保するニューロンネットワークはそのまま残り続けるのです。
あなたの手の指が赤ちゃんのときの指のまま大きくなったのではなく、
骨、筋肉、神経、皮膚などの組織がすべて入れ替わっているのと同じですね。

もちろん、記憶そのものは固定されているわけでなく、
ニューロンネットワークが更新されていて、
バージョンアップの記憶の集合体が脳の表面にあるということです。
夢は記憶のアップデートの結果を新皮質へ反映させる際に生じる随伴的な現象とされています。

でも、ほんとうに「おまけ」的な現象にすぎないのでしょうか?
その部分についてはあらためてお伝えしたいと思います



夢はドーパミンによる報酬系シミュレーション

レム睡眠は、記憶の再構成をしている。

このとき、海馬に隣接する腹側被蓋野からドーパミンが皮質下構造へ供給されている。
このドーパミンの経路が何らかの影響で損傷を受けると
レム睡眠は一晩に何度もあるのに、夢という現象のみが消失する。

言い換えれば、何らかの障害があると、記憶は再構成されるが、夢はみないということ。

ニューロンネットワークの構築に支障はないので、
記憶の再構成にともなう随伴現象ではないということになりますね。

随伴じゃないのなら、夢見は独立性がある現象で、必要な機能だということ。

ドーパミンの投射を受けて発現する脳の不可欠な機能だということになるかもしれない。

記憶の再構成の状況において並列処理されるものが
夢見という現象であり、ドーパミンの支配も受けている。
夢をみることは、ドーパミン作動であるから、報酬を受け取る脳活動であり、
ランダムなイメージの連鎖ではなく、
報酬系によって組織されたイメージの連続を展開しているであって、
仮想の空間でよりよく生きるためのシミュレートをしているといえるだろう。
生き残るという「願望充足」が目的なのですね。それって、フロイト?




夢見とカウンセリング

ドーパミンは快楽をもたらします。

夢見はセックスと同じ、ドーパミン作動系ですから
よりよく生き残り、遺伝子を残すために不可欠な本能と言えますね。
ハラハラドキドキの怖い夢をみることもあるのに、快楽なの?

適度に怖い夢は、心拍数をあげ、筋肉に緊張をもたらすようなインパルスを脳内で発生させている。
睡眠時は不必要な筋肉は動かないように制御されていますが、
夢見というシミュレーションにおいては、生き残りの状況に応じて
うまく行動できるように「具体的な動きをともなう体験」をしていることになります。

ナイフで人を刺す夢も、殴りかかってくる相手をやりすごして遠くへ逃げていく夢も、
生き残りにかかわるテクニックを身につけるシミュレーション。
その瞬間の感覚や感情を体験するというリハーサルを演じているのです。

ドーパミンなどの神経修飾物質は、いわば体内で生産される「薬物」ですから、
使用方法や使用量を間違えれば、副作用が発生したり、
ときには病的症状によって危機的状況となることもあります。

PTSDによる悪夢に悩む方はたくさんいます。
繰り返しみる夢の中には、あなたを蝕んでいる「事情」が隠されている場合もあります。

夢の止まり木では、そのような方に適切なアドバイスができます。
https://www5a.biglobe.ne.jp/~yumeyume/mono.html





心拍も感じる夢

今日も生きている。

そう強く思うのは、浅き夢から目覚めた瞬間ではないでしょうか?
私の場合、薄く開けた目をふたたび閉じて、夢の余韻を楽しむことにしています。
目を閉じたときの一瞬のイメージから、少しだけ直前の夢の痕跡を辿ることができます。
こんなことを感じていたんだ、そういうやり方もありそうかもと
ドキドキとした心拍とともに思い出します。

夢はドーパミン作動ですから、快感を求めているはず。
ドキドキの心拍音も重なり合います。

ときめいているのは、いま、まさに生きているからですね。
生きることは、生き残ることの連続です。闘うことも必要ですし、逃げることも不可欠です。
夢は、そのような現実をつぶさに見つめ、
どう対処したらいいのかとアイデアを記憶としてまとめます。

脳は一瞬も休まず、機能し続け、心臓と同じように、肺と協力して、息を吐きだします。
取り入れた新しい記憶を、ニューロンネットワークに組み入れ、結果として出力する。
それが夢。

https://www5a.biglobe.ne.jp/%7Eyumeyume/miki01w.html




脳は休まない! だから心配?

昼間はたえまなく、脳内でおしゃべりをしている。

夜は、イメージが次々と浮かんで物語を作り出している。

生きることは、絶えず更新し続けること。

身体を構成する細胞は、同じDNAから創り出されている。
骨も筋肉も、神経も、血管内を動き回る様々なものたちも同じ遺伝子から創り出されている。

同じものから創り出されているのに、さまざまに分化している。
遺伝子の情報のひとつひとつの「ON/OFF」が
RNAやたんぱく質の構造や機能を決定するからだ。

脳も「おしゃべりやイメージ」のやりとりで、
脳内のさまざまな細胞の遺伝子情報を「ON/OFF」して記憶を更新している。

おしゃべりやイメージが過剰だと脳内は混乱する。
反芻はやがて暴走し、脳の機能は異常を示すようになる。

悪夢の多くが、過剰なおしゃべりとイメージのやりとりが原因だと思われる。

悪夢は、必要なのですが、繰り返されるときはご相談ください。

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