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* * * 読書雑記(2002年) * * *
「まるごと宮部みゆき」朝日新聞社はこれまでの宮部ワールドの総集
編です。宮部みゆき作品の解析から創作の秘話まで満載されていて、
お買い得の一冊です。これまでに出版された宮部作品(単行本、文庫
本)すべての表紙写真と挿絵の解説が付いているのも嬉しいですね。
「生命という物語」池田清彦共著は各分野の専門家との対談の記録な
ので内容は充実していますがその分、難しい内容が多くなかなか理解
するのは大変です。それでも一読に値する内容です。
「このミステリーがすごい!」2003年版が出ました。ミステリー
関係の本年ベストが勢ぞろいです。また、このような本を見ると読み
たい本が増えて困ります。結局、今年も積読本が減っていないような
気がします。
養老孟司著「からだを読む」読了しました。消化器系の各器官につい
て判りやすい説明がされています。どこにでもありそうでこれまでに
どこでも聞いたことのない体の仕組みが解剖学者の視点も交えて素人
向けにわかり易く解説されています。何気ないような書き方がされて
いますが、本当に良く知っている者だけが出来るという素人に向けて
根気良く書き上げた良書です。全身についての続編を是非とも期待し
たいところです。
落合恵子著「絵本だいすき!」はクレヨンハウス主催者ならではの一
冊だと思われますが、相変わらずの独特の偏りがあちこちに仄見える
絵本の選択だと感じられます。買ってみたい本とこれだけは買わない
だろうとおもう絵本が半々といったところです。何冊かは既に買って
見たことがある絵本と絵本作家の作品も多かったです。
グラハム・ハンコック著「神々の指紋」はなかなかの力作です。古代
の遺跡には謎が多いですが、これまでの通説をもろもろの証拠で判り
易く論破していく様は古代の謎に迫る知的なゲームのようです。あの
エジプトのピラミッドが数学的にも建築学的にも如何に謎に満ちてい
るかが判りやすく述べられています。われら素人必見の書です。
八坂書房「カブトエビのすべて」は完全な学術書で、もう少し一般向
けの本だったら良かったのにといった感が拭えません。
「グレイヴディッガー」高野和明は前作同様の素晴らしい出来です。
今回は一気に読んでしまいました。次回作が今から楽しみです。
紋章上絵師でもある泡坂妻夫ならではの判りやすい本です。新潮選書
「家紋の話」この一冊を読むだけで家紋の歴史、家紋の種類などが手
に取るように判ります。読み終わる頃にはきっと自分の家の家紋が何
だったか気になって仕方が無いという状態になっていること請け合い
です。ご一読あれ。そういえば我が家の家紋は何だっけ?
「東電OL症候群」佐野眞一著を読んでやはり判決には疑念がつきまと
っているという印象を強く受けます。時の流れは早く、新聞にも事件
のその後の様子がのることはありませんが、この本はそのような報道
されない闇の部分を良く描き出して絶品です。
岡野玲子著「画集 陰陽師」は漫画本の陰陽師を読んでいなくても、
その素晴らしさが実感出来る本に仕上がっています。構図、背景など
細部にまで作者がこだわったというだけあって感動ものです。
土屋賢二著「棚から哲学」読了しました。哲学なのになかなか笑える
読み物です。早速、この著者の文庫本を5冊購入してしまいました。
楽しみで読んでいるというだけあって養老孟司著「ミステリー中毒」
の書評はなかなか参考になります。また読みたい本が増えてしまいま
した。
松浦誠「スズメバチを食べる」は「スズメバチはなぜ刺すか」の著者
ならではのスズメバチ食に関する比類の無い学術書です。スズメバチ
のすべてが知りたければ上記の2冊を読めば万全です。
「養老孟司・学問の挑発」内容は難しいですが何かしら得るところが
あると思います。思考の仕方、物事の見方など脳について考えはじめ
るといろいろな視点があることに気付かされます。
宮部みゆき著「あかんべえ」を読み終えました。長屋物というか妖怪
譚というか宮部ワールドの真骨頂発揮といっていい力作です。怨霊を
扱っていても恐ろしいという面よりほのぼのとした人情味が良く生か
されている作品です。物語の最後ではああ良かったという安心が出来
るところが持ち味なんでしょうね。この作品もみんなが納まるところ
に納まってほっとしたところで物語が終わっています。この余韻を引
きずってまた次回作が出るとすぐ買ってしまうんでしょうね。
このところ読書は順調に進んでいますが著者が谷沢永一、泡坂妻夫、
宮部みゆきなど常連に偏り勝ちです。しばらくはなるべく新しい本を
買わずに積んである本をせっせと読んで平積み分を減らしたいと思っ
ています。
「人類、月に立つ(上)(下)」を読み終えました。もうあれから30年
も経つんですね。月日の経つのは早いものです。この本を読むと次は
月の映像の入ったDVDなどが欲しくなります。冷戦時代の賜物とは
いえあの頃はアメリカにも人類の未来にも明確な目標が見えていた事
がひしひしと感じられます。
哲学書房「DNAでたどるオサムシの系統と進化」を読了しました。
一応、学術書なので9800円という高めの値段ですが内容は充実し
ています。これまでの形態による分類に一石を投じたムシ屋の熱意が
感じられます。オサムシのカラー写真も豊富で個人的にはお勧めの一
冊です。漫画家の手塚治虫が自分の名前につけたほど愛したオサムシ
ですが、虫嫌いな人には全くもって用の無い本ですね。
加藤定彦著「風呂で読む一茶」を読んだあとに藤沢周平著「一茶」を
読むと、一茶の人となりが少しは判るような感じがします。生涯に二
万の発句を作ったと言われている一茶の貌が見えて来る2冊です。
徳間文庫「萬犬虚に吠える」は真実を見つめるための必須の書です。
国の行方を誤らせてはいけないという豊富な実例がここにあります。
河出文庫「わが秘密の生涯」600ページ余をやっと読み終えました。
読み方は自由ですが解説から読むと味わい深いのではないかと思いま
す。開高健、向井敏などが絶賛している奇書です。
読書が進まない割には、このところ新しい本を買いまくっています。
書評などで紹介されたものや店頭で気に入って買ったものがあります
。今月は本代だけで3万円以上の散財です。
アメリカにおける放射能に関する人体実験の記録が「プルトニウムフ
ァイル」です。筆致は淡々としていますが内容は重たい本です。
今年もいろいろと面白い本を発掘していますが、読んだ本の倍くらい
の本を買いまくっています。通勤時間や昼休み時間などを有効に使っ
て本を読んでいますが、読みたい本がどうしても多くて困ります。
「ドリームバスター」宮部みゆきは久々の駄作という気がします。は
じめてのSFファンタジーとは言っても感動の薄い作品です。
泡坂妻夫著「奇術探偵曾我佳城全集」は期待通りの好読物でした。
550ページ、3200円は安い買い物だと思います。気に入って泡
坂妻夫の文庫をまたたくさん買いだめしてしまいました。
久しぶりに藤沢周平ものを読んだらやはりその哀愁ただようさまが
心地いいですね。最近、買い溜めをしていなかったので藤沢周平の未
読本が自宅にぜんぜん残っていないことに気付きまたもやどっと買っ
てしまいました。こうして未読本がいつまでも減らないことになるん
ですよね。でも、「日本近代文学研叢A」のように全集もので1冊だ
け買いそびれて品切れになって買えなくなるよりよほど良いですね。
呉善花が有名になった著作「スカートの風」を読了しました。韓国
人でありながら一部の日本人よりたぶん公平な目を持った良識人とい
う得がたい人物であることを物語る好著という印象を強く感じさせま
す。続編に比べると荒削りで、内容が整理し切れていない感はぬぐえ
ませんが、一読に足るおすすめの一冊です。
2002年は137冊の本を読むことが出来ました。電車内、昼休み
、寝る前の空いている時間をうまく活用して読んだ成果です。今年も
良い本をたくさん読んで本欄で紹介していきたいと思います。
気に入った本があったら読んでみて下さい。
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