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* * * 読書雑記(2008年) * * *



2008年は約170冊の本を読むことが出来ました。まだまだ面白い
本はたくさん世間にころがっていそうです。2009年も引き続き興味
ある本をたくさん読んで良い本を発掘していきたいと思います。  

動物行動学を楽しく伝えてくれる竹内久美子の「ドコバラ!」は著者
の週間文春連載コラムを一冊にしたものです。ダルビッシュ、ギャル
曽根からネズミの尻尾に毛がないことや、華麗なる一族、イチョウ
の精子発見、食べられる特別天然記念物、昆虫の飛行能力など
など生物の話題が60篇余、すべてに本文と同様にとっても面白い
挿絵(イラスト)がついています。こちらはしばしば大笑いです。  

岩波文庫「ソクラテス以前以降」F・M・コーンフォード著はどこかの
書評で絶賛されていた本です。ソクラテス以前とそれ以降の思想の
違いを判り易く解説した一冊です。章立ては1.ソクラテス以前の
イオニア自然学、2.ソクラテス、3.プラトン、4.アリストテレスと
いった思想家ごとに分けられ秩序立てて説明がされています。判り
易い所とそれでもやっぱり難しいところがあります。僅か150頁程
の小冊子なのでじっくり読み返せば腑に落ちそうな雰囲気の本です。

奥本大三郎の本を続けて読んでいます。「世界にたったひとつ君の
命のこと」はたった48ページ、字も大きく風景写真も何枚か入って
いるという、どちらかというと絵本サイズといった装丁の本です。
著者の主張は命は尊いものであり、与えられた命は大切にしないと
いけないということを切々と訴えています。人生に疲れてしまった時
にページを開いてみると良いかもしれません。            

「ファーブル昆虫記の旅」は虫屋の奥本大三郎と昆虫写真家である
今森光彦共著によるファーブルゆかりの地である南仏の旅行記です。
両者とも何度もこの地を訪れているだけあって掲載されている写真
も文も南仏の香りたっぷりで旅行記の楽しさを満喫する事が出来ま
す。最高の人選によるファーブル昆虫記の旅です。因みに奥本氏
は千駄木で「ファーブル昆虫館」を開いているそうでぜひ一度、訪れ
てみたいと思っています。                        

新潮文庫「美の呪力」は表紙を見ただけで岡本太郎の芸術が爆発
している事を理解出来ます。石、仮面、火、曼荼羅、綾取りなど様々
の題材が熱く語られています。実は若き日の岡本太郎はフランス
在住当時に、かのバタイユと同じ研究会に参加するなど多大な影
響を受けていることをこの本で初めて知りました。なるほど納得です。

「帰化日本人」は帰化日本人となった呉善花/黄文雄/石平各氏
の対談です。マスコミ、教育、道徳、食事、風習、夢の各章に分れ
て日本のよい所、正すべき課題、今後の方向性などさまざまに
語っていますが、不思議な点は各氏が今の大半の日本人よりも
はるかに日本の資質に期待して熱く語っていることです。逆に言え
ば今の日本人が如何に気概を無くしてしまったかということがこ
の本で浮き彫りにされています。非常に前向きな各氏の意見に
真摯に耳を傾けて世界に貢献出来る日本にしていって欲しいと
言う思いを強くする一冊です。

呉善花の「漢字廃止で韓国に何が起きたか」は国際化とは何か、
愛国主義・国粋主義の弊害や、国語とは何かということを深く考え
させられる問題提起の一冊です。言語構造の似ている日本語と
の対比や韓国のことわざを開設している第二部についても日韓
での共通点が多く興味深く読むことが出来ました。        

桐野夏生の近刊「アンボス・ムンドス」という言葉には2つの世界
と言う意味があるそうです。TV化された名作「OUT」や「グロテス
ク」などのような激しさを秘めた刺激的な短編7つが収められて
います。いつ見ても桐野夏生作品には毒が含まれているなと感
じます。同じ直木賞受賞作家といっても宮部みゆきには決して描
けないような独特な世界ですね。あまりにも刺激が強いので宮部
作品8割に対して桐野作品は2割で十分といった所です。   

日本ペン回し協会というものがあることをこの本で初めて知りま
した。集英社から「ペンスピニング」という本が08年3月に発行
されています。ご存知、ペンを手の甲などで回すというあれです。
はじめての専門書といったところです。これを見ると技もいろ
いろあることが判ります。ノーマル、シングルアクセル、リバー
ス、シザースピン、ソニック、チャージ、ガンマン、ハーモニック
などなど技も多彩です。図解や動画HPの紹介、上達のコツ
などもあって極めたい人にとっては良い入門書となりそうです。

全国学校図書館協議会から集団読書テキスト・第二期として
宮部みゆきの「チヨ子」が出版されています。僅か30ページ程
で厚さは3mmもないペラペラの本なので本屋で見つけるのは
大変かも知れませんがそれだけに宮部みゆきファンは入手必須
の一冊です。流石にこのような本を漏れなく入手するにはインタ
ーネットでのチェックが欠かせません。ちなみに「チヨ子」は主人
公がかわいがっていたウサギのぬいぐるみの名前です。ストー
リーは主人公がバイトでピンクのウサギのぬいぐるみを着ること
から始まります。ちょっとだけ心があたたまる一冊です。     
そういえば『宮部みゆきアーリーコレクション(全6巻)』というもの
が2008年に刊行されたという話題があって一体何かと少しだけ
期待してしまいましたが、何とこれは新潮社から新装版として
刊行されている「我らが隣人の犯罪」「魔術はささやく」「レベル7」
「淋しい狩人」「パーフェクト・ブルー」「平成お徒歩日記」の6冊を
指すようです。およそ宮部作品は新装版やら普及版やら原作とし
たコミックなど沢山あってすべての種類を集めているときりがない
ので昔読み終えているこれらの本は今回は購入はパスです。 

「21世紀を森林の時代に」は養老孟司、天野礼子、山田壽夫
、立松和平の各氏による日本の森林再生についての真面目な
取り組みについての著作です。SGEC森林認証への取り組み、
林政技官が中心になって推進している「新流通・加工システム」
「新生産システム」、農林中金、全森連、林野庁が協同する森
林組合改革などなどここ数年の期間に林業が再生に向けて
真剣に変わろうとしている現状が紹介されています。     

手塚治虫漫画全集394巻目「手塚治虫エッセイ集5」をやっと
読み終えました。漫画全集は土日の余裕のある時にしか読ま
ないため読み終えるまでに一月以上も掛かってしまいました。
全集読了まであと6冊です。                    

今年は爆笑問題の本を集中的に読んでいます。「爆笑問題の
日本史原論」は幕末”薩長同盟”、飛鳥時代”大化の改新”、
安土桃山時代”信長、秀吉、家康”、鎌倉時代”鎌倉幕府”、
弥生時代”卑弥呼”、江戸時代”忠臣蔵”、昭和時代”二二六
事件”などのように主要な出来事を中心に各時代を紹介した
ものです。以下、室町時代、縄文時代、平安時代と続きます。
解説にもあるように自在なボケと突っ込みを織り交ぜて歴史
を面白くて笑いながら覚えさせてしまうという貴重な本です。

永らく入手できなかった星新一「城のなかの人」が角川文庫
の改版として入手できるようになりました。ショートショートと
はまた違った味わいがあります。新しい見方の時代小説です。
「城のなかの人」「春風のあげく」「正雪と弟子」「すずしい夏」
「はんぱもの維新」の5編が収められています。       

藤沢周平の未刊行エッセイ集「帰省」が刊行されました。地元
に密着した話題から評伝、広告原稿、コラム、機関紙への投稿
などなど藤沢文学の生い立ちが窺える貴重な資料です。   

養老孟司編著の「ひとと動物のかかわり」はペット、実験動物
などについてのタイトルどおりの人と動物との関係を真面目
に論じたものです。パネルディスカッション形式でそれぞれの
立場の人が、人にとっての動物、動物にとっての人の役割
やかかわり方について語っています。正解の無い世界です
がどのように考えて行動していったらよいのか示唆を得る
ことが出来ます。                         

爆笑問題の「爆笑問題のの今を生きる!」は流行と事件の
アーカイブ2001〜2003のサブタイトルが付いているように
その時期に話題となったあれこれについての時事コントです。
勿論、ちゃんとした解説もそれぞれについているので当時の
世相を見直すのにも役立ちます。               

「脳あるヒト心あるヒト」は東大名誉教授である養老孟司と直
木賞作家である角田光代との紙上リレーエッセイ全94篇を
纏めたものです。感性の違い、物事の見方の違いが際立っ
ているので、たった二人の意見でも世の中にはこんなにも違
った見方、考え方があるんだということに改めて気づかされま
す。エッセイの内容は「知るとは自分が変わること」「適切な
発言は難しい」「違いのわからない人たち」「言葉になる以前
のもの」「美味しい仕事」などなどです。ためになります。   

宮部みゆきの「おそろし」はサブタイトルに三島屋変調百物語
事始と付いているように、百物語のように妖しい話を繰り広げ
ながら主人公となる少女が精神的に成長していく物語です。
ハードカバーの本の開いた時の前後の扉のページの文様が
読後の感想を誘います。                      

2004〜2005年に掛けての時事問題と流行を爆笑問題が
扱った「爆笑問題のふざけんな、俺たち!!」読了です。話題
  の説明がそれぞれについているので改めて当時の世相を思
出だすことが出来て良い歴史資料となっています。      

「爆笑問題のニッポンの教養・脳を造る男」は合原一幸教授
と爆笑問題との対談です。半導体チップを使ってカオス理論
をベースにした脳の機能の一部をシュミレーションしようという
ものです。数式が随所に出てくるので難しい所もありますが、
わずか神経細胞100個分の装置を使って9匹の動物を4種
類の相性を考慮した上で9個の檻に最適に入れる実験など
はカオス理論の説明として非常に判り易く出来ています。また
振り子の先にもう一つの振り子が付いた「カオスマン」の説明
なども腑に落ちるような良い例だと思います。         

「爆笑問題のニッポンの教養・スポ根なんていらない」はご存
知NHKのTV番組で爆笑問題が各専門分野の方と対談してい
る「爆笑学問」の書籍化ですが、既にこの本が28冊目です。
今回の相手はスポーツ心理学の高妻容一教授です。最近、
各国で取り入れられているというスポーツメンタルトレーニン
グについての本格的な話です。                 

祥伝社黄金文庫から3年前に出た「爆笑問題のハインリッヒ
の法則」は1件の事故の背景には29件の軽災害があり、更
には事故に至らなかった300件の不具合が潜んでいるとい
う法則をうまく適用して笑いを取ろうという視聴者参加番組の
文庫化です。純粋に笑い飛ばしてストレスを発散出来れば
良いいう単純な企画なので大いに笑わせてもらいましたが
初版から5年も経つと既に当時は有名だった社会問題でも
忘れていることもあり笑いのタイミングを失うケースもありま
した。時代の流れは速いものです。              

泡坂妻夫著「揚羽蝶」読了です。近刊かと思っていたら既に
2年も経っていました。積んである本が多すぎるのがいけない
のですが一度埋もれてしまうと読みたくても見つからないこと
があります。この本もそんな一冊です。著者のもう一つの顔
であるマジックと家紋を題材にしたソフトタッチの読み物です。
後味の良い掌編です。                       

「爆笑問題のそんなことまで聞いてない」は爆笑問題が2003
年から2004年の時事問題、風俗、事件などを題材にして笑
いをうまく織り込んで大胆に題材を取り込んだ一冊です。  

阿刀田高著「青い罠」は新作短編集だと思っていたらこれまで
の秀作を集めた短編集だということで少しがっかりです。著者
の本はほとんど読んでいるので大部分は読んだ記憶があり
ます。落ちのある話なのでちょっと興ざめです。初めて読む人
にとっては誠に良い短編ばかりが集まっているのでお勧めです。

養老孟司著「小説を読みながら考えた」は以前に一度読んで
いますがそれを忘れて2冊目を買ってしまっていたのを少し
読んでみたら、著者の養老孟司氏の言い草ではありませんが
ほとんど忘れていたのでついつい最後まで読み返してしまい
ました。内容がほとんど古びていないところが流石です。推理
小説の解説が主眼のようですが、この本ではそれ以外にも
得意の社会風俗からファンタジーにまで及んでいます。   

高任和夫著「偽装報告」は過去にクレーム隠しや総会屋への
利益供与事件を起こした経歴のある有名自動車会社の車が
側壁への衝突事故を起こしたことから、この会社に過去に
煮え湯を飲まされた新聞記者、関係者、地検特捜部などと
隠蔽工作を続ける会社関係者との手に汗握る攻防戦が見事
に描かれています。読み始めると一気に読み進んでしまう
ストーリー展開です。著者の10作目の長編に当る本書は著者
の経済小説の集大成となることを期して書かれた渾身の一冊
ということです。                           

養老孟司の対談集「ニッポンを解剖する」読了です。昆虫関連
の奥本大三郎、建築家の藤森照信、元内閣総理大臣の細川
護煕、出家作家の瀬戸内寂聴などなど多くの著名人が登場
します。本当に誰と対談してもちゃんと会話が通じるという所
が凄いです。                            

グルメ文庫「食の王様」は開高健の食に関するエッセイです。
本書は食に関する氏の著作のアンソロジーなので既に読ん
だことのある掌編もありますが、それぞれに薀蓄が込められ
ているので一部の再読には十分に耐えられます。開高健の
”食”には世間で言うゲテモノも入っているので上品な食事だ
けを楽しみたい人向きではありません。            

泡坂妻夫著「織姫かえる」は著者の『宝引の辰 捕物帳』の
シリーズ物の一冊です。10篇の掌編からなる本書は本格的
な推理小説ではないライトノベルなので『銭形平次捕物控え』
などと比べると推理の深さや解決に至るまでの説明が淡白
過ぎて少し物足りない思いが残ります。しかし登場する面々
や場面の設定に工夫があるので捕物以外の面白さや人情
味も味わえてこれはこれで良い読み物となっています。   

二木真希子のほのぼのとした絵柄の絵本「はじめてのたび」
を読み終えました。風景は『14ひきのぴくにっく』のシリーズ
を思いださせるような、画面の隅々まで楽しんで自然を満喫
出来るようなほっと出来る絵本です。ストーリーにもう少し工
夫があったらもっと良かったと思います。           

爆笑問題の太田の妻である太田光代が「爆笑・夫婦問題」
と題して真剣だけどどこかおかしな夫婦像を垣間見せて
くれています。奥さんも昔は本格コメディアンを目指したタレ
ントだったことがあったとしても、それだけではないなぜか
ほのぼのとしていて、だけど真摯な愛と社長業と罵カップル
といった笑えるけどうらやましい世界がここに詰っています。
辻占に相性100%と言われて結婚を決めたという挿話が
紹介されていますが、確かに相性がいいんだろうと読んで
いて思えます。爆笑問題を支える女社長恐るべしです。 

「オーパ、オーパ アラスカ篇 カリフォルニア・カナダ篇」は
開高健の釣りと旅シリーズの一冊です。写真も豊富で雄大な
世界に飛び出していって釣りをしたい誘惑にかられる一冊です。

宮崎駿著「出発点」徳間書店は500ページを越える大部の
本です。この本は宮崎駿監督の仕事に対する姿勢、考え方
などを様様な場面で述べたものです。内容はアニメーションを
作るということ、しごとの周辺、人、本、好きなこと、企画書・
演出覚書、作品などの分類のもとで実にさまざまに語ってい
ます。途中からは2段組になって更に内容が濃くなっています。
宮崎作品をより楽しむために一読する価値のある本です。

爆笑問題著「爆笑問題の日本史原論3・世界激動篇」読み終
えました。米同時多発テロをはじめとした数々の事件を素材
にしてあえてそれを笑いに包んで見事にこの激動の世相を
あぶりだしています。それにしても暗い話題、微妙な問題を
含んだ話題が多いですが笑いでうまく題材を処理しています。

手塚治虫漫画全集393巻目「手塚治虫対談集3」をやっと
読み終えました。主に文章だけから成る別巻はなかなか読み
進むのが大変ですが、実は別巻の方がマンガよりも手塚治虫
の言いたかったことを本音で良く語っているように思えます。
特にこの対談集3の石ノ森章太郎との対談などを読んでいる
と世間で代表作と言われている鉄腕アトムからして著者の思
いとはかなりのずれがあるようです。そういった意味で別巻を
読むのは意味が深いように思えます。別巻を読んでからまた
マンガを読むを火の鳥も鉄腕アトムも違って見えるかもしれ
ません。                               

「天下御免の向こう見ず」は爆笑問題の太田光の独白です。
どこまでが実話でどこまでが創作なのか判然とはしませんが
爆笑太田の人となりがある程度推察できるようなそんな一冊
です。ともかくもなかなか変わった思考方法を持っていること
が判ります。                             

爆笑問題の「爆笑問題の日本史原論偉人編」読了しました。
笑いながら日本史の勉強が出来るなんてこのシリーズくらいの
ものです。大いに活用したいものです。この巻では豊臣秀吉、
日本武尊、平賀源内、吉田茂、松尾芭蕉、天草四郎、源義経
、空海、千利休、聖徳太子、紫式部、坂本龍馬が取り上げら
れています。それぞれの人物についての解説が要領よく纏め
られているので爆笑問題のギャグが良く判って一層楽しめます。

PHP文庫「奇譚 銭形平次」は野村胡堂の代表作である銭形
平次シリーズから怪奇物や異端物、密室物などの9作品を選ん
で編んだ珍しい作品です。平次の恋女房といえば誰でも知って
いるお静ですが、このシリーズには結婚前のお静、祝言を挙げ
るに至った事件でお静が登場します。また平次といえば毎回、
水戸黄門の印籠のように時間間際になるときっと投げ銭で事件
を解決しているような印象がありますが、結構なかなか事件を
解決出来ないで悶々とする平次も登場します。          

ぶんか社「みこすり半劇場稲妻」は笑えます。タイトルから判る
ように下ネタ満載ですが4駒漫画が500篇近くも掲載されていて
僅か420円(税込み)は本当に安いです。著者は岩谷テンホー
です。                                  

宮崎駿監督がその仕事ぶりを絶賛しているアニメーター、二木
真希子がフリーとなって描いた作品が「世界の真ん中の木」です。
徳間書店アニメージュ文庫なので手頃な値段(840円)です。
解説によれば著者は「風の谷のナウシカ」では酸の湖で傷つい
た王蟲の仔とナウシカとの出会いを痛みを分け合うかのように
描き、「天空の城ラピュタ」では、パズーとシータの屋根の上の
出会いのシーンで、手のひらのパンくずを鳩たちについばまれ
て、自然に心を開いていくシータの笑顔(放映時間僅か3秒)を
監督が呆れるほどの原画枚数をかけて仕上げたという程仕事
を熱心に行って来た人だそうです。宮崎駿著「出発点」でもその
熱心な仕事ぶりが賞賛されています。そのような著者の描きた
かった世界がこの一冊にこめられています。細部までじっくりと
味わいたい一冊です。                        

「オーパ・オーパ!!アラスカ至上篇・コスタリカ篇」は開高健の
釣りを中心にした旅物語です。カラーページ満載の小冊子が
旅の楽しさ、世界の雄大さを我々に提供してくれます。この篇で
は砂金取りからハンティングまで盛り込まれて楽しさ満載です。

小西正泰著「虫と人と本と」は500ページを越える虫の本です。
虫に関する歴史、虫の本、虫にかかわって来た人物、著作など
それこそ虫に関する博物学的な本です。著者は虫書の四天王
の一人と称されるほどの蔵書を抱えているそうで、これら四人
はそれぞれの蔵書が背の厚さで各人とも300m台を越えてい
るそうです。ちなみに四天王とは白水隆(九大名誉教授)、長谷
川仁(日本昆虫学界名誉会員)、大野正男(東洋大学教授)、
本書の著者である小西正泰(日本ホタルの会理事、ファーブル
会理事)だそうです。大野氏の蔵書は1000mを越えるそうで
すから途方もない量です。私も蔵書量をざっと見積もってみま
したが小説、漫画、推理小説、文庫本から新書、ハードカバー
、軟硬とりまぜてもせいぜいが70mといったところです。    

菊川征司著「9・11テロの超不都合な真実」はかなり衝撃的な
内容が次から次へと繰り出されて来る問題作品です。ニュース
ソースも明記されていますが話の展開と断定の仕方には結構
無理があるように思えます。工事用水爆の使用、大量の金塊
盗難、航空機のすり替え、ミサイル発射、音声変声機などなど
興味のある方は本の一読をお勧めします。           

開高健/吉行淳之介の手だれ2人による「対談・美酒について」
を面白く読むことが出来ました。酒を肴の自由気ままな語り口
はこの名手達ならではの話芸です。巻末には銘酒豆辞典も付い
ていて酒の薀蓄にも事欠きません。                

和田誠著「和田誠 切抜帖」読了です。著者は良く知られている
イラストレーターです。小説や週刊誌の表紙、ポスターから演劇
うや音楽まで著者の仕事や私生活のあれこれがぎっしり詰って
います。読んで見て楽しい一冊です。               

開高健「小説家のメニュー」中公文庫は僅か170ページという
薄い本です。そのためこの本は9/13(土)の釣りの間に読了
してしまいました。この日の釣りは鯉の吸い込み釣り(投げ釣り)
で餌をセットして遠投してしまうと後は1〜2時間はぼーっとして
いるしかないという釣りなので野外で蝉の声を聞きながら読書が
出来るという特典があります。この本には食に関する著者の薀蓄
が詰っていますが、内容は各章の先頭にある以下の文句に集約
されています。即ち美味・珍味・奇味・怪味・媚味・魔味・幻味・
幼味・妖味・天味です。                       

今週は爆笑問題にはまっています。爆笑問題のニッポンの教養
シリーズの25「人類の希望は美美美」、26「みんなの憲法入門」
の2冊を読み終えました。爆笑問題の対談相手は佐々木健一、
長谷部恭男の各氏です。どうも最近の太田は暴走気味のような
気がします。対談相手の専門分野を視聴者に判り易く興味を与え
てくれるように話を誘導していくのが爆笑問題の役割のように思っ
ていましたが、この2冊は特に太田光氏の思いだけが突っ走り
すぎているように感じたのは私だけでしょうか。確かに太田氏の
独特の見方や考え方は対談相手の先生に良い刺激を与えている
ことは十分窺えますが、そのせいでそれぞれの専門家の先生が
いわんとしていた専門内容がこちらに伝わって来ません。折角の
英知が吸収できないのはとても残念です。             

爆笑問題「ニッポンの犯罪12選」はさすがに題材が暗すぎて笑い
がからっとしていません。3億円強奪事件などはリアルにニュース
を聞いていた世代なのでほとんどの事件については興味を持って
読むことが出来ました。                         

爆笑問題の「偽装狂時代」は笑えます。太田のギャグはかなりの
時代範囲をカバーして笑いにしてるので、いろいろなニュースを
知っていないと心から笑えません。流石にマニアックすぎる話題
には相棒の田中が実に巧みにフォローしています。偽装をネタに
ここまで笑い飛ばすことが出来る掛け合い漫才は今時貴重です。

「手塚治虫漫画全集392・手塚治虫エッセイ集4」手塚治虫著を
やっと読み終えました。土日の暇な時間だけしか読んでいないので
やたらと時間が掛かりました。いろいろな掌編が満載ですがナスカ
の話がわりと興味を引きました。                    

「完訳ファーブル昆虫記 第6巻下」ファーブル著/奥本大三郎訳
もなかなか良いです。しかしこの本は嫌われ者の毛虫やバッタなど
が主役なのでよほど虫に興味が無いとスカラベ・サクレや蜂などの
巻に比べると一般の興味を引きそうにありません。それでもよく読む
と研究の方法や検証の仕方などには現代でも十分通じる科学者と
しての手腕が良く見て取れるし、読み物としても古今東西の書物か
らの引用などが随所にみられ本文だけでは味わえない箴言などが
欄外の説明で味わうことが出来ます。そういった意味では訳者の
功績が非常に大きいです。全巻揃うのが楽しみです。       

開高健「開口閉口」読了です。週間サンデー毎日に連載された著者
のエッセイ70篇ほどが載っています。薀蓄満載の一冊ですが渾身
の一冊と言うほどでもないような気がします。話題がごたまぜな点で
統一性が欠けたことにより一冊の本としての迫力が減ったような気
がします。                                  

米原万里著「心臓に毛が生えている理由」を読み終えました。著者
最後のエッセイ集だということです。一話が2〜4ページの短い文章
で読みやすいですが、民族紛争の話題、外交、歴史認識など重た
い話題もあって軽く読み流すことは出来ません。著者のエッセンスが
ぎっしり詰まった一冊です。                        

山口瞳著「行きつけの店」新潮文庫が一般に入手出来なくなっている
のは残念です。2000年に初版が出て2004年には5刷までされて
いるにもかかわらず現在、増刷がされていないのはどうみても出版
社の怠慢です。新潮文庫から10冊以上も本を出している直木賞の
受賞作家である山口瞳の本、それも文庫本をしぶつかせているの
はいただけません。税制も良くないですが、大出版社の義務として
文庫本の品切れはしないように頑張って欲しいものです。下で紹介
した山口正介著「山口瞳の行きつけの店」の本と併せて読むと著者
が愛した店屋がどのようなものだったかが良く判ります。グルメの本
は沢山出回っていますがこのような味のある本は少ないと思います。

山口正介著「山口瞳の行きつけの店」を読み終えました。著者は
勿論、山口瞳のご子息です。この本をきっかけにしてご本尊の山口
瞳の「行きつけの店」を購入しました。とはいっても既に有隣堂では
入手できずに、ジュンク堂に1冊だけ在庫があったのをインターネット
で注文して購入出来たという経緯があります。いつも頼みの綱は
ジュンク堂です。経営的には在庫を残さない有隣堂に分があります
が、利用者にとっては顧客本位のジュンク堂に感謝です。     

立ち読みしていて面白そうだった「決定版ユダヤ・ジョーク集」を購入
して2日で既に読み終えました。自宅での未読本在庫が500冊以上
あるにもかかわらず早く読めてしまう本はすぐ読了しています。  

「武装解除・紛争屋が見た世界」伊勢ア賢治 講談社現代新書を
読み終えました。日本は金だけ出して紛争処理には何も貢献してい
ないというのが大方の常識となっていますが、この本をみるとその
ような言葉も単なる政治的な発言の一つであることがわかります。
本当に紛争を解決するにはどのような力が必要なのか、日本はどこ
まで貢献しているのか、これから何が出来るのか、日本国憲法の
第9条をどうしていくべきかなど本音で語った説得力のある本です。
お勧めです。

「完訳ファーブル昆虫記 第6巻上」ファーブル著/奥本大三郎訳を
やっと読み終えました。夏休みが途中に入って読書も10日間ほど
ほとんど進んでいませんでした。やはり長い通勤時間が読書には必要
ですね。引き続き6巻下を読み始めました。               

柳生博と和暦倶楽部による「和暦で暮らそう」を読み終えました。和暦
についてのこだわりが感じられる一冊です。柳田國男、折口信夫など
の業績をベースに独特の見解を披露しています。この本の眼目は
先頭にある20ページほどの四季の雅名(美称、異称)のカラーページ
です。私のHPでも月の異名を大昔から載せていますが、図書館以外
の場所で月の異名を見たのはこの本がはじめてです。この本で紹介
されていた月の異名についても私のHPに追記したのは言うまでも
ありません。おかげで2割方位は用語が増えました。         

「手塚治虫漫画全集391巻目・手塚治虫漫画の奥義」読了です。
漫画の歴史について第一人者としての貴重な発言が多数あります。

開高健著「風に訊け」読了しました。著者が読者からのさまざまな
質問に答えるというコーナーです。難問、奇問、下ネタ満載ですが、
博学を生かした痛快な答えには一読の価値ありです。        

伊勢ア賢治「爆笑問題のニッポンの教養23・「平和は闘いだ」を読み
終えました。紛争解決請負人である著者の淡々とした語り口ですが
熱い思いが伝わって来ます。このような世界で世界に貢献している
日本人がいたということは驚きです。よく金だけ出して危ない所には
日本は派兵しないとコメンテーターが指摘していますが、認識の誤り
でした。このような実体も知っておくべきですね。良い本です。    

「爆笑問題のニッポンの教養24・塚本克巳「脱出したい」!のココロ」
を読み終えました。ウナギの権威の話です。ニホンウナギは未だに
産卵場所が特定されていませんが、このチームは誕生2日目という
ウナギの幼魚(レプトセファルス)をグアム島の北西200Km付近で
発見するという快挙を遂げているそうです。産卵の謎が解決すると
安い国産ウナギが安く食べられるようになるかもしれません。今年
は土曜の丑の日が2日もありますが、おおいに研究の成果に期待
したいところです。                             

「爆笑問題のニッポンの教養22・「科学的分身の術」爆笑問題/舘ワ
を読み終えました。バーチャルリアリティ関連の分野ですが技術は
どんどん進んでいるようです。                      

「爆笑問題のニッポンの教養21・「「体内時計」はいま何時?」は
爆笑問題/上田泰己の対談です。献血している最中に上記とこの
本の2冊を読み終えてしまいました。体内時計は中枢が脳、その
出店は体中にあるそうです。やはり健全な生活は大切なようです。

開高健著「水の上を歩く?」はジョーク集の対談です。対談相手は
週間プレイボーイ編集長の島地勝彦です。二人ともグルメであり、
世界を渡り歩いているだけにジョークの種類も豊富です。この手の
本は解説よりも実物を読んでみるに越したことはありません。ぜひ
手にとって眺めてみて下さい。                     

「手塚治虫漫画全集390・対談集2」を読了しました。対談相手は
松本零士、小松左京、大城のぼるなどです。マンガの草創期から
発展期に至るまでの期間の各人の熱い思いがよく現れています。

講談社学術文庫「うわさの遠近法」松山巌著は400ページを超える
大部の本ですがテーマが「うわさ」の故にすらすらと読めます。いろ
いろな噂の事例を通してウワサ発生の背景を探っています。世相
との関係で眺めていくとウワサの真相が垣間見えて来ます。この本
はサントリー学芸賞を受賞した本だそうです。この賞は『広く社会と
文化を考える独創的で優れた研究、評論活動を、著作を通じて行
った個人に対しておくられる賞』です。                 

宮部みゆき著「かまいたち」を読み終えました。講談社青い鳥文庫
なのでかわいい挿絵と総ルビ付きです。大人が読んでも楽しめる
推理時代物です。                             

新潮選書「ファーブル巡礼」津田正夫/奥本大三郎監修を読み終
えました。奥本大三郎が現在刊行中の「ファーブル昆虫記」は虫好
きの人には必見の書ですが、この本は実は自称、昆虫には門外漢
の元アルゼンチン大使という経歴を持つ津田氏が多くの現地との
手紙のやり取りや現地訪問によってファーブルの足跡中心にその
活動を追った力作です。よくもここまで調べたと思える内容ですが
ファーブルの著作の読み込みの深さに加えて、著者の語学力や
経歴が十分に生かされた成果だと思われます。奥本大三郎氏が
わざわざこの本の復刊に向けて力を注いだだけの得がたい内容を
持った一冊です。                             

「手塚治虫漫画全集389・エッセイ集3」を2週間かけてやっと読了
しました。全400巻読了まであと10巻程ですが対談集やエッセイ
集ばかりなのでまだまだ時間が掛かりそうです。           

宮部みゆき「マサの留守番」読み終えました。短編が4つ収められ
ています。探偵事務所の用心犬が主人公になっていて、起こる事件
の数々が見事に解決されていきます。講談社青い鳥文庫向きの
楽しい連作短編集です。千野えながの挿絵と総ルビは大人にとっ
ても雰囲気の盛り上げと読みやすさにはおおいに寄与しています。

奥本大三郎著「パリの詐欺師たち」読了です。主題の小説の他に
もう一遍、「蛙恐怖症」が収められています。パリと台湾を舞台にし
た博物学と歴史と食にかかわる旅の小説です。著者の博識が随所
にちりばめられた妙な二人旅の様子が描かれています。小説の
トーンは夏目漱石の「坊ちゃん」やら「我輩は猫である」のような
気楽な読み物といった感じです。                  

爆笑問題「爆笑問題のニッポンの教養R・この世はすべて錯覚だ」、
「爆笑問題のニッポンの教養S・コトバから逃げられないワタクシ」
の2冊を読み終えました。通勤時間だけで夫々一日一冊です。
錯覚の話題はたいへん興味深く読むことが出来ました。いろいろ
な錯視図形を眺めるだけでも面白いと思います。ぜひ本屋で立ち
読みしてみて下さい。コトバの本では言語学の先生とコトバに拘り
を持つ太田とのバトルがなかなか深みがあって良く噛み合ってい
ます。いつも思いますがもうちょっと読みでがあると良いですね。

手塚治虫漫画全集388「手塚治虫対談集@」を読み終えました。
字ばかりなので読み終えるまでに2週間を要しました。手塚治虫
が伝えたかったことなどが直接に言葉で書いてあるだけで漫画
の形態を取っていないだけなのでそういった意味では漫画を読
んでいるのとさほど違いはありません。著者の偉大さが良く判る
一冊です。                               

小笠原恭子著「歌舞伎名作集」を読了しました。この著者の
歴史小説家としての筆名は”小笠原京”で私も何冊か既に本を
読んでいますが、本業での本を読むのはこの本が始めてです。
この本は歌舞伎の名作、名場面を判りやすく教えてくれる一冊
です。河出文庫からの出版なので購入もしやすくてお得です。
「仮名手本忠臣蔵」「菅原伝授手習鑑」「妹背山女庭訓」「勧進
帳」などの名場面がやさしく読めます。注釈が本の巻末に40
ページほど付いていますがこれは出来たら本文の見開き頁の
中に入れてもらった方が読みやすかったように思えます。  

乙川優三郎著「露の玉垣」を読み終えました。この本は今を遡
ること250〜350年ほど前の時代に越後新発田藩に実在した
溝口半左衛門家を主人公とした歴史連作短編集です。大雨や
旱魃などに見舞われてあえぐ藩での家臣の奮闘や生きざま、
その行く末が未来への希望とともに描かれています。各短編に
は著者の優しい眼差しが感じられます。              

光文社知恵の森文庫「千年紀のベスト100作品を選ぶ」は3人
の選者(丸谷才一、三浦雅士、鹿島茂)がこの1000年間で最
も素晴らしいと折り紙を付けた本、映画、絵画、建築などの分野
におけるベスト100作品を紹介したものです。候補の選び方、
選出の過程などに学識のある選者の面目躍如たるところが十分
窺えます。選ばれた100作品については1作品に2ページを費
やして各界の識者が見所や感想などを寄せています。それに
しても1位〜112位にランクインした作品の中で私が通読した
ことのある作品はわずか5〜6作品しかありませんでした。  

岩谷テンホー著「みこすり半劇場太巻」は笑える下ネタ系の四駒
漫画です。疲れている時には良い気分転換になります。紙質が
悪いとはいえ250ページでこれだけ笑えて420円は安いです。

「シマウマの縞 蝶の模様」ショーン・B・キャロルには進化理論
に関する最新の知見が満載です。遺伝子の解明が進んだこと
により、発生学と遺伝学、進化学がみごとに融合して新しい知
の時代の幕開けが訪れたという気がします。エボデボと呼ばれ
るこの学問領域の成果により、カンブリア紀以前の全ての節足
動物が既に同じ10個のホックス遺伝子を持っていたことや、
ホックス遺伝子発現領域の違いによりマウス、ガチョウの首や
ヘビの胴体などの形態の変化が起きることなど、節足動物の
デザインの多様性が付属肢の進化の賜物だということ、蝶の
羽の模様についての遺伝子的な考察まで飽きさせることがあ
りません。もちろん一般向けの本と言っても最先端の学問の
の知見がベースとなっているのでいくら易しく書いてあっても
難しい部分は多々あります。ディスタルレス遺伝子のスイッチ、
ホックスたんぱく質、ツールキット遺伝子、ホメオドメインなど
難しい用語もたくさん出て来ます。それらの部分を読み飛ばし
ても読んでみる価値のある本だと思います。蝶の羽の一個の
鱗片が一個の細胞から形成されている事を始めて知りました。

池田清彦著「科学はどこまでいくのか」読み終えました。良い所
は多々ありますが、やはりどうにも馴染めない部分もあります。
たぶん頭が良すぎるのでしょうが、素人から見ると論旨がくど
すぎる傾向があること、物事を決め付ける風が強いこと、笑い
が少ないことなどが養老孟司とは決定的に違っています。良い
点はこの文庫を読んでみてもらえると判りますが、このような
大局を捉えた科学史風の啓蒙の書が世の中には少ないです
が、そのような数少ない著書を自在に纏める力量を持っている
ことが大きいと思います。板倉聖宣の本ほどではありませんが
この本も科学の教育書といったジャンルの本のように思えます。

日垣隆著「そして殺人者は野に放たれる」は衝撃の問題作だと
思いますが、今回読み終えた本はこの著者の「常識はウソだ
らけ」という本です。タイトルどおり、世の中では常識と思われ
ている事に対して、そこに含まれるウソを暴き出します。第8話
までありますが個人的には5話〜7話がお勧めです。一話目の
「リサイクルしない知恵」、2話目の「定期健診を受けるのは止
めよう」、第3話「血液型診断のウソとホント」については著者の
思いが入りすぎていて議論が公平さを欠いているように思え
ます。第4話の「凶悪犯罪は本当に増えているのか」もあまり
説得力があるように感じられませんでした。第8話の「カウン
セラーは本当に必要か」も著者が本当にどのような方向で話
を進めたいのかよく判りませんでした。第5話「動物保護運動
のまやかし」、第6話「クジラを食べよう!」、第7話「不妊治療
に挑む」はなかなか読み応えがあるとともに政治力や思想、
心情で運動を起こしている団体、国家に対する怒りと不審が
感じられます。人類はいつになったら進歩するのでしょうか。

ハヤカワ文庫NV「キャッチ=22(下)」ジョーゼフ・ヘラー著を
やっと読み終えました。やはり私にはそれほど面白みは感じら
れませんでした。アメリカではベトナム戦争後にはこの本の評判
が一段と上って800万部を超えたそうなのでやはり名作のよう
です。訳者のあとがきを読むと、どうもこの本を楽しむためには
朝鮮戦争中に米国防長官が「GMのために有益なことは、米国
のために有益なことだ」と公言したなどという時代背景が身に
沁みていないといけないようです。ウオーターゲート事件をはじ
め、私の良く知らないITT事件、ガルフ石油などのスキャンダル
にも言及されています。また、「1984年」のような社会風刺だけ
を狙ったものではなく現代知識人の責任への問いかけとその
解決にもヒントまでこの本では含んでいるということです。残念
ながら私にはこの本を読んで楽しむだけの素養がありません。
読んでみようと思う方は最初に(下巻)のあとがきを読むことを
お勧めします。                            

「手塚治虫漫画全集387・エッセイ集2」を2週間掛けて読み終
えました。絵はほとんど無いので読むのは結構時間が掛かりま
す。この本では主にアニメーションに対する現況や危惧、動向
など著者の熱い思いを語っています。              

養老孟司「脳の中の過程」哲学書房を読むのは実は二度目で
す。章立てが神経、解剖、時間、博物、綺想、発生なので最初
から興味ない人はまず購入しないだろうと思いますが、それで
も中身は言語の話、学問の話、文学の話、技術の話、ゲーテ、
ファウスト、モンテーニュ、横井庄一の孤独、ユニコーンの角、
哲学の話、柳の枝、落語、図書館と話題は多方面にわたって
いて、それぞれを解剖の眼で独特の光を当ててあぶり出して
くれています。話の展開を楽しむのに好適な一冊です。   

谷沢永一著「嫉妬する人、される人」読了です。本書は嫉妬に
ついてあれこれ論じた本ではありません。歴史上に見られる
嫉妬の事例、嫉妬しない事例を集めた歴史回顧です。良い点
は見習い、悪い点は反面教師として活用したいものです。   
巻末には本書で取り上げていない嫉妬論などの目録がご丁寧
に纏められています。書誌学を重視している著者ならではです。

「日本オリジナルへの旅」は作者呉善花が和菓子、にぎり寿司、
空手、いけばな、着物、空手、伊万里、有田焼、木曽路、伊勢、
茶席、日本庭園など日本らしい文化や伝統を訪ね歩く旅です。
韓国人という独自な視点に立った日本伝統への率直な意見が
窺い知れ、改めて日本を見直すきっかけともなります。また、
並みの日本人を越えた日本文化伝統への造詣の深さは一驚
に値するとともに大いに勉強になること請け合いです。    

佐川和夫編「名俳句1000」は文庫本なので手軽に読めます。
芭蕉、一茶、蕪村、子規、山頭火、蛇笏、漱石、龍之介を始め
多くの俳人の名品が楽しめます。うまいなあと思わせられる句
もかなりあります。                          

爆笑問題のニッポンの教養シリーズ17巻目、18巻目を読み
終えました。いずれも通勤の電車の往復で一日一冊が読めて
しまうので税別760円は少し高めですが今の技術の最先端を
垣間見るのには最適です。17巻目は「深海に40億年前の世
界を見た!」、18巻目は「人類の明日は晴れか雨か?」です。
生物は深海で発生したという説を地球微生物学者の高井研が
熱く語れば、地球規模での気象学を研究している高藪縁博士
は地球を一周した雲が大規模なエルニーニョを終息させた事
を突き止めるなど気象学での大きな成果を伝えてくれます。

日本将棋連盟から出ている「山手線内回りのゲリラ」は将棋
8段の先崎学の何冊目かの著書です。書評に載っていたのを
見て読んでみましたが面白い本です。もともと週間文春で連載
されていたコラムの中から60篇を選んで編集したものだそう
です。内容はもちろん将棋指しの間での話題が中心ですが、
「確率的に正しいサイコロ」の話題、チェスボクシングの話題や
中島みゆきの話題などなどいろんな話題満載です。      

手塚治虫漫画全集386巻目の「手塚治虫シナリオ集」を読み
終えました。バンダーブック、鉄腕アトム、ユニコ、火の鳥など
のシナリオが楽しめます。いずれもテレビなどで放映、上映、
公演されたもので臨場感は十分に味わうことが出来ます。  

呉善花の書いた「日本語の心」は平成14年から18年にかけ
て書き下ろされたものが平成18年12月にハードカバーで初版
出版されたものなので比較的最近の書物です。この著者は
『スカートの風』出版当初より韓国と日本の文化比較などを
判りやすく伝えてくれていますが、この本ではまるで日本人の
文化研究家であるかのような熱意と誠意、愛情を持って日本
文化、日本語のことばを紹介してくれています。日本の古典
や民俗学者、柳田国男の本、更には言葉の意味を調べる上
で国語辞典などもたいていの日本人を遥かにしのぐ程良く読
んでいます。まったく感心させられるばかりです。良い本です。
日本は駄目だという論調の本は山ほどありますが、こんなに
も良いところを見つけて伝えようとする第一級の本の著者が
なぜ韓国人なのか、日本人の著者に少ないのか世の中の
皮肉を感じられずにはいられません。              

ジョーゼフ・ヘラー著「キャッチ=22(上)」ハヤカワ文庫NVを
やっと読み終えました。名作の誉れが高いですが残念ながら
個人的な評価ではどうにもつまらない本です。『特異な時間
構成と強烈なブラックユーモアで戦争の狂気と社会の不条理
をえぐり、人間の生の本質的意味を問いかける永遠の名作』
というキャッチフレーズ、さらには『軍規キャッチ=22』という
アイデアも悪くはないと思いますが、この独特の文章構成が
楽しめるか退屈に感じられるか評価は分かれるのではない
かと思います。おそらく真の本読みにとっては楽しめるので
しょうが私のような素人には文章が退屈なだけで素直に楽し
めません。『あらゆるものが二度づつ見える』という文庫の
300ページ目からの2ページにわたるやりとりなどが最たる
ものですが、畳み掛けるようなこのような用法であれば人形
劇の『Oh!マイキー』の方がよっぽど効果的に使っています。
狂気をえがいたものとして記憶にある『蝿の王』なども文章
がかなり難しかったように思えますが圧倒的な迫力には文句
無く引き込まれました。この本にはそのような引き込む力も
感じられません。また、『軍規キャッチ=22』(現実的にして
かつ目前の危険を知ったうえで自己の安全をはかるのは
合理的な精神の働きであり、よって戦闘任務を免れようと
欲する者はすべて真の狂人では無い。よって戦闘任務は
永遠に免れ得ない)という設定には戦争をめぐる不条理を
強烈に諷刺するメッセージが感じられますが、人間性の尊厳
の問題を強烈に諷刺した『1984年』に感じられるような文章
を読み進んでいくうちに感じられるぞくぞくするような恐怖は
微塵も感じられません。後半に期待したいところです。   

手塚治虫漫画全集385巻目の「手塚治虫のまんが専科」を
読み終えました。漫画家になるための初級の手引きといった
内容です。文字ばかりではなくもちろんあちこちにカットなどが
入ってとても読みやすくなっています。全ページの1/3くらいは
マンガといったところです。全400巻読了まであと15巻です。

早川書房から2007年5月に出版された「神は妄想である」は
出版後すぐに購入しましたが、ずっと読んでいませんでした。
あのあまりにも有名な生物学の大家リチャード・ドーキンスが
なんでこんな分野違いのつまらなそうな本なんて書いたんだろ
うというのが正直な感想でした。しかし、読み進めていくうちに
ドーキンスがこのような本を書かざるを得ないほどの危機感を
宗教に対して持っているということ、またドーキンスであるから
こそ、このような本が書けたということが明確に判って来ました。
スティーブン・ジェイ・グールドは「神と科学は共存できるか?」
で神と科学の棲み分けを提唱していましたが、ドーキンスは
「神は妄想である」で神の存在証明、その功罪、歴史、教育
など多分野にわたって論じ続けます。米国では無神論者という
だけで既に他の差別以上に偏見を持って世間からは見られる
ようですが、同時に進化論に対しても日本に比べると遥かに
反対の立場を取る人の比率が高いという現実の中でこのよう
な挑戦的な本を上梓したということに対して最上の敬意を表し
たいと思います。もとよりこのような本をまず買わない、読ま
ないという人は多いと思いますが、読んでもいいかなという人
にはぜひともお勧めの本です。信じている宗教をいったん脇
に置いて、この本を冷静に読んでみることで新しく得るところ
が絶対にあると思います。                    

高尾慶子著「ぼやきつぶやきイギリス・ニッポン」を読み終え
ましたが、この本はここ2〜3年内に読んだ本の中で最悪の
本です。イギリス贔屓なのは構いませんが、『あらためて戦争
責任を考える』はいただけません。文春文庫もどうしてこれほどの
偏見に満ちた文章を平気で載せる気になったのか、理解に苦し
みます。何を言っても構わない世の中ですが、ここでの文章は
どう贔屓目にみても「原爆投下容認」悪く取れば「原爆投下賛成」
発言です。日本が悪かったから原爆を投下して当然という話
が当事者の米国民から出てくることはままありますが、既に5冊
以上もの文庫本を出版している大作家からの発言とあっては
唖然とするばかりです。更にはもしもその当時日本が原爆を持
っていたら当然使用していたなど、一般市民を狙った無差別
大規模殺戮という実際にあったことには目をつぶり、無かった
ことを勝手に決め付ける言い分はとてもまともな発言とは
思えません。また同様の偏った言い分は戦争捕虜の人権
を守らなかったことだけをあげつらって、事後法という国際法
を踏みにじった東京裁判を容認する発言にも現れています。
この章以外ではなかなか面白いエッセイもあるだけに、非常に
残念です。もしもこのような本だけを見てまともに信じてしまう
無垢な読者がいたとしたら悲しいことです。          

辻惟雄がこのところ大流行です。気づいたら新書が4冊も刊行
されています。誰もが傍流だと思っていた”奇想”に着眼点を
置いた著者の美の追求は「奇想の図譜」にも十分に表されて
います。そういった意味でなかなか意味深い本です。毒舌で知
られた「狐」の書評でもこの類書が取り上げられていて読もうと
思っていた著者でしたが爆笑問題の本で取り上げられたのを
機会にやっと読むことが出来ました。書評はいくら読んでも
やはり書評に過ぎません。先ずは本物を見てみるみることですね。

手塚治虫漫画全集384巻目は「手塚治虫小説集」です。小説
なので文字のほかにはカットが10個ほど入っただけです。
内容は漫画のあらすじです。含まれるタイトルは「蟻人境」
「ハッピーモルモット」「傍のあいつ」「あの世の終り」「妖蕈譚」
の5編です。「蟻人境」は主人公の少年と「蟻人」との友情と
冒険の物語です。他は掌編ばかりですが著者の社会に対
するいろいろなメッセージが含まれていて読みでがあります。

今年の初め頃に本欄で福井栄一氏の『大山鳴動してネズミ
100匹』(技報堂出版)を紹介しましたが、なんとこの著者から
メールを戴いてしまいました。私の取るに足らないHPを忙し
い著者が良く探し当てることが出来たなあと感心すること頻り
ですが、個人的な感想をそのまま載せているHPなだけにどう
みても冷や汗モノです。私にとって読書は楽しいことがまず
第一で、加えて新しい知見を与えてくれると、より一層嬉しい
なと思っています。
そういった考えに基づいて、本欄では以下のように書きました。
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『第一話からしてタイトルは「子文字を十二書いて何と読む?」と
なっていて有名な文句を例題に上げていますが、その答えは
どこにもありません。以下略。』
(全文はこちらです。)
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出来れば親切に読み方も書いておいてくれたら我々素人にと
ってはここで一つ新しい知恵を得られたかもしれません。
気になっても調べる術を持たない人もたくさんいるのではない
かと個人的には思っています。そこで本HPでは出典と読み方
をあえて本の紹介(悪口勝ちですが)に付記しました。
以上、私の考え方をあえて掲載したのは、本欄での取り上げ
方が悪いのでしょうが、忙しい著者がわざわざメールを送って
下さったのはどうみても相当怒っているんだろうと思われること
に対しての精一杯の言い訳です。
私の言い訳を載せただけでは、話が一方的なので以下には
著者のご指摘について全文を掲載しておきます。今回取り上
げた点に対しての考え方は相当違うようですが、この著者の
既刊10冊+近刊1冊のタイトルには引かれるタイトルが多く
あります。また中身を見て面白そうなものがあったら読んで
みたいと思います。
----------------------------------------------------
(以下、著者のメールからの転載です。)
貴所のウェブにて、
拙著をお採り上げ頂き、
誠に有難うございます。

書籍に何をどこまで求めるかは、
色々な考えがあって一概には言えませんが、
少なくとも当方では、執筆にあたって、
「雛鳥が大口を開けて
ピヨピヨ啼くと、
親鳥が消化によいエサだけを
口の中に突っ込む」方式は、
採用していません。

したがって、
出題の答が書いていないからといって、
すぐに腹を立ててその本を投げ出すという
種類の読者にとりましては、
当該書籍の著者は、きっと
「人情の機微に通じていない」輩に
思われることでしょう。

著者としましては、
肩をすくめて、
受け流すほかありません。

上方文化評論家  福井栄一 拝
http://www7a.biglobe.ne.jp/~getsuei99

@通算11冊目の著書『飛んで火に入ることわざばなし』
(日本教育研究センター・税込1260円)は、
5月20日(火)ごろに刊行されます!

A既刊10冊の拙著は、全国の書店やウェブ上で、
絶賛発売中です!
『おもしろ日本古典ばなし』(子どもの未来社)
『大山鳴動してネズミ100匹』(技報堂出版)
『にんげん百物語』(技報堂出版)
『イノシシは転ばない』(技報堂出版)
『子ども喜ぶことわざのおはなし』(PHP研究所)
『上方学』(PHP文庫)
『鬼・雷神・陰陽師』(PHP新書)
『大阪人の「うまいこと言う」技術』(PHP新書)
『小野小町は舞う』(東方出版)
『ぼく いちびり〜上方写真帖』(プラネットバルン)

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岡野玲子の文庫「消え去りしもの」読み終えました。著者の
代表作である「陰陽師」を予感させるやはり凄い本です。読め
て幸いですが、やはり文庫ではもったいない本です。大判の
本でじっくりと楽しみたいシーンが盛りだくさんです。     

「カレル・チャペックの警告」青土社刊を読み終えました。判り
にくい本です。直接、政治や体制を批判している本であれば
それはそれで判り易いですが、全200頁ほどの薄い本の中
の約30の掌編が全篇これ、いろいろな危惧を多角的に深く
掘り下げて論じたといった内容で満たされています。本の帯
に曰く。『誰かが溺れているときに、誰かが水に飛び込んで
彼を救うべきであるという理性的意見だけでは足りない。歴史
は誰かが何かをなすべきであると提案する人よりも、むしろ
何かをしている人を必要とする。』このような警句が延々と
続いているので読むのもなかなか大変ですが、たぶんこの本
にあるような言葉にジャーナリストであるチャペックの本領が
発揮されているのであろうと思います。そういった意味では
チャペックを単に面白さだけで読むのではない真面目な読者
は是非とも読むべき本なんだろうと思います。         

爆笑問題のニッポンの教養シリーズ15巻目は精神医学博士
斎藤環氏の「ひきこもりでセカイが開く時」です。この対談では
爆笑の太田とと斎藤環氏が妙に波長が合って話が弾んでいま
す。ひきこもりに対する態度として単純に否定も肯定もせずに
可能な限り「選択の自由」を確保していくという考え方は大いに
共感できるポイントでした。この著者のベースにはフロイトの流
れをくむラカンの理論があるそうで、難解な点があちこちに顔
を出しますがそのようなポイントで爆笑太田が食らいついてい
くところがすごいです。全般的に話についていけない箇所が多
かったですが、この著者の「戦闘美少女の精神分析」という本
は一度読んでみたいと思いました。ちくま文庫だそうです。  

新潮新書から出ている阿川弘之著「大人の見識」は少し話題
の本になっているようです。大御所が書いた話題作ということ
で期待して読んでみましたが、既に他で聞いたことのある話題
も多く、また話の中心が海軍礼賛、英国礼賛、皇室礼賛といえ
なくもない論調になってしまっていて、またこの手の本によくあり
ますが、回顧談なのにあちこちに押し付けがましい口調が顔を
出すと言った所がどうにもなじめません。良い話もたくさんある
ので一応お勧めの本ですが、この本にも登場する山本夏彦氏
のけっして片方に偏ることの無い柔軟な見方、話題の切り方、
話法には比べるべくもありません。                

爆笑問題のニッポンの教養シリーズ16巻目は17年セミを扱
った数理生態学教授、吉村仁氏の「生き残りの条件≠強さ」
です。この吉村氏の著作である「素数ゼミの謎」は2005年に
既に読んでいるので今回の対談集はそれをなぞるような形と
なりました。中でも説得力があるのが17年ゼミと13年ゼミが
最終的に生き残っていくというコンピュータシュミレーションの
結果のグラフにあります。(P55)立ち読みしてでも一見の
価値があるように思えます。この本では触れていませんでし
たが、捕食者に対する適応などの生物学的な話についても
もう少し突っ込んで話を広げていただけたら良かったように
思えます。                              

スティーブン・J・グールドの科学エッセイ「パンダの親指(上)」
読了です。パンダはなぜ手に6本の指を持っているのか、ミッ
キーマウスはなぜかわいらしく見えるのかなどの謎を科学的に
解明してみせる著者の手腕はこの本でも定評どおり遺憾なく
発揮されています。この上巻にはこのような話題が16話掲載
されています。下巻は4/27釣りの魚信待ちの間に読了です。

手塚治虫漫画全集383巻目はエッセイ集です。手塚氏の漫画
家としてのスタートから虫プロダクションの盛衰までの間の著者
の本音を窺い知れる一冊です。漫画全集とは言っても流石に
エッセイなので一冊読み終えるのは時間が掛かります。   

「B型 自分の説明書」は、やっぱりB型はこんな血液型!と
思わず納得してしまう人も多いのではないかと思えるB型の
特徴満載?の本です。チェックリスト形式で飽きっぽいと思わ
れるB型の人にも読み通せるような手軽に読める一冊です。
もちろんB型以外の人にもお勧めの一冊です。        

「爆笑問題のニッポンの教養B宇宙人はどこにいるのか?」
は爆笑問題と惑星科学化教授の井田茂との対談です。この本
では、生命誕生の可能性のある地球型惑星がどのくらいの数
宇宙にあるのかを論じています。10%という魅力的な数字が
提示されていますが、人類ほどの高度な生物との遭遇の可能
性はほとんどゼロだという悲観的な数字も示されています。
本当に宇宙人と呼べるほどの生物はいるのかいないのか更に
研究を進めて欲しいところです。                  

スティーブン・ジェイ・グールド「神と科学は共存できるか?」を
読了しました。タイトルからして古生物学者であるこの著者には
似合いません。加えて今読んでいるリチャード・ドーキンスの「神
は妄想である」というタイトルの本がこの著者から出されるとは
一体何事かと思います。キリスト教の影響の少ない日本では考
えられないことですが、アメリカでは神と科学の確執は時を越え
て現代に至るまで大きな問題として横たわっています。この問題
に対する一つの回答として共存の道を模索しているのがグールド
だとするなら、タイトルからも判るようにほぼ無神論の立場でこの
問題を論じたのがドーキンスの上記の著作です。進化論を信じる
も信じないもそんなのはいろいろな考え方があるのだから
個人の勝手だと私も暢気に考えていましたが、アメリカでの
事情はもっと深刻だということがこれらの本から判ります。
創造論、バトラー法、スコープス事件、エパーソン・アーカン
ソー裁判、ID説などなどこれらの紛争に纏わる歴史はその
深刻さを如実に示してくれます。「神と科学は共存できるか?」
は論じ方が相当回りくどいので読み解くのも結構大変です。
問題の論旨を理解するにはこの本のP238からP323にある
85ページほどの解説部分を読むのが最適です。グールドや
ドーキンスほどの大科学者がこれほどの時間と労力を掛けて
神と科学について書かざるを得なかった本というのは必見で
す。どちらかというとドーキンスの考え方に共感できる私個人
としての感想は、神は本当に人類を幸せにしてくれているの
だろうかということです。日本にも八百万の神様がいますが、
一神教を信じる人たちからみれば、これらはもちろん議論の
埒外なのだろうと思います。アメリカ人は神をどのように捉え
ているのか、何が科学にとって問題なのか知りたい方には
これらの2冊の本は貴重です。                  

「爆笑問題のニッポンの教養H ロボットに人間を感じるとき」
読了です。爆笑問題と知能ロボット学教授の石黒浩の対談です。
アンドロイドのリプリーR1、リプリーQ2は本当にリアルです。
一見の価値はあります。どうも行き着く先は哲学のようです。

「爆笑問題のニッポンの教養G 人間は失敗作である」を読み
終えました。本当に一日一冊のペースで読めてしまう薄さの本で
す。爆笑問題の対談相手は解剖学の遠藤秀紀教授です。この
回は出だしからホアンホアンの骨格標本が出て話は盛り上がり
ますが、パンダの7本指やオオアリクイのアゴの骨のつくりでも
興味を引き、果てはマタンゴやメトロン星人などなど話は異常な
盛り上がりを見せます。ツチブタのつめや象の腎臓などの話は
非常にためになります。人間の直立歩行、頭の重さなど確かに
人間の進化は失敗といえるかもしれません。最終章の動物園
博物館擁護論はもっともな話だと思いますが、もっと為政者が
このような話に耳を傾けてくれたら良いと思います。      

「爆笑問題のニッポンの教養 生命のかたちお見せします」を
読了しました。対談相手はノーベル賞にもっとも近いと言われる
発生生物学の浅島誠、東大副学長です。受精卵からどのように
して体の各器官が生まれるのかを解明する学問の大家だそうで
これまでに22の器官を作り出してきた実績があるとのことです。
この分野では最近ES細胞が話題になりましたが日本はこれら
の分野では最先端を走っているようです。             

「爆笑問題のニッポンの教養 ヒトはなぜ死ぬのか?」は生化学
の第一人者である田沼靖一がゲストです。性が出来たのと合わ
せて死が誕生したという所に人知を超えた天の配剤を感じます。
内容には非常に興味を感じましたが、この本で気になったのは
あまりにも校正が雑で誤字、誤植が多いことです。(第一刷)  

「爆笑問題のニッポンの教養 哲学ということ」は爆笑問題と哲学
の大家である野矢茂樹との対話です。珍しく爆笑の太田が熱く
なりすぎて言っている意味がわかんない所が多すぎて駄目駄目
です。対話を盛り上げるのは良いですが、今回は独りよがりが
過ぎて対話になっていません。そういった意味でこの回はお勧
めではありません。もうちょっと哲学とは何かを読者に判らせて
くれるように誘導してもらいたかったですね。           

手塚治虫漫画全集382巻目は「とんから谷物語」です。主題の
ほかに10篇が含まれています。全400巻のうち未読の18巻は
エッセイや対談集などの著作が主でサブタイトルには別巻1から
別巻18と付いています。                        

「爆笑問題のニッポンの教養 教授が造ったスーパーカー」一日で
読了です。爆笑問題と環境工学の教授である清水浩との対談で
す。電池自動車といえばスピードは出ない、充電に時間が掛る、
高額であるというのが常識となっています。しかしこの教授の造っ
た自動車は少なくともその内の2つは解決しています。カッコ良い
スーパーカー並みの加速を出せる電池自動車が誕生しています。
早くリチウム電池の大量生産、大量消費社会を作って欲しいもの
です。日本がこの分野で今、世界を制覇すれば将来の自動車
産業は夢のある業界となること請け合いです。現状のガソリン
自動車にいつまでも拘っていると中国や韓国などに遅れを取る
ことになりかねません。                        

「爆笑問題のニッポンの教養 タイムマシンは宇宙の扉を開く」と
「爆笑問題のニッポンの教養 現代の秘境は人間の”こころ”だ」の
2冊読了です。前者は爆笑問題の田中が内容についていけてい
ない分だけボケ突っ込みが効いていません。個人的には好きな
分野なので面白く読むことが出来ました。後者は新しい芸術を開拓
していく話ですが消化不良に終っているように思います。問題意識
があることは判りますが我々素人にそのポイントを伝えきれてい
ません。縄文時代の東京の地図が一番わかり易かった点です。

「爆笑問題のニッポンの教養 人間は考える腸である」はシリーズ
14巻目です。字が大きいのと行間が空いていて読みやすいので
電車の往復の時間で一日で一冊読めてしまいます。シリーズ既刊
の10冊ほどは購入済みなので順に読んでいきます。この作も腸管
にある細菌の数は体細胞の数より多いということに驚かれされます。
体細胞60兆個、腸内細菌100兆個で重さが1キロくらいあるそう
です。                                    

画家小林路子の大型カラー図版「きのこ」は定価3,059円ですが、
Amazonの古本ではなんと11,000円以上の金額が付いています。
普通の書店で注文すると品切れと言われて手に入れることは出来
ませんが、3/31時点でジュンク堂書店にはまだ在庫が13冊も
あります。欲しい方は早めにオンラインで注文して入手することを
お勧めします。一時期は古本もどこにも無く、私もさんざん探し回
ってこの書店の在庫を見つけて早々に購入しましたがキノコ仙人
と言われるほどキノコ好きな画家の描いたこだわりの一冊です。
綺麗な筆致の上品な挿絵風のキノコは一見の価値があります。

フランス文学者でありエッセイストでもある鹿島茂の「SとM」はこの
分野に対する著者独特の文明論です。著者には「セーラー服とエッ
フェル塔」という著作があり既に独特の見解を提示していますがこの
本ではそれらをも含めてより広い文明論を展開しています。このよ
うな捉え方をすると中には怒り出す人もいるかもしれませんが、
進化論と同様、一つの試論だととらえれば新しい啓蒙が開かれる
かも知れません。                              

「異形のモノに美は宿る」は爆笑問題のニッポンの教養の13巻目
です。カラー図版も入った異形の美術についての対談です。かなり
興味深く読むことが出来ました。対談者の辻惟雄の「奇想の系譜」
「奇想の図譜」も読んでみたいという人もこの本によって増えると
思います。                                  

養老孟司「養老訓」読了です。内容は章のタイトルを見るとだいたい
判ります。「不機嫌なじいさんにならない」「感覚的に生きる」「夫婦は
向かい合わないほうがいい」「面白がって生きる」「一本足で立たない」
「こんな年寄りにはならないように」「年金を考えない」「決まりごとに
束縛されない」「人生は点線である」判りやすい内容なので偏見に固ま
っていなければ素直に読み通すことが出来る一冊です。       

商社やリコール隠し、倒産などのテーマで社会派小説を得意としてい
る高任和夫が奥ノ霧島という架空の島を主題とした夢物語である「エ
ンデの島」を書き上げました。ミヒャエル・エンデのこの言葉をまさに
具現化した、理想の島では地域通貨、善意のボランティアに支えられ
た議会や病院高齢者にも優しい医療と介護の仕組みがあり、食料の
安全性に気をつかい、内地の大規模資本の進出を制限しと良い事
づくめの理想郷です。作者が構想と調査に5年を掛けたという渾身の
一冊です。                                   

中村雅楽探偵全集A「グリーン車の子供」読了です。劇評家、歌舞伎・
演劇評論家である戸板康二の探偵短編集です。主題の日本推理作家
協会賞受賞作を含む18篇が収められています。この2巻目の短編集
では犯罪とも言えないようなささやかな謎解きが登場します。ますます
中村雅楽が本領を発揮する一冊です。                  

手塚治虫漫画全集380巻目「ワンサくん」読了です。主題のほか「らび
ちゃん」「とべとべるんちゃん」「ぽっかち」「海のトリトン(たのしい幼稚園
版)」が収められています。全400巻読了まであと残り20巻です。   

爆笑問題の07年の新刊「日と米」は寝しなに読むと疲れた一日が少し
は癒されます。深刻な問題でも爆笑問題の手に掛かるとはじから笑い
飛ばされてしまいます。歴史の勉強にもなってお得です。         

戸板康二の探偵小説全五巻が創元推理文庫から発行されていますが、
第一巻目の「團十郎切腹事件 中村雅楽探偵全集@」 をやっと読み終
えました。全18篇の短編約600頁に加えて解題や解説、作品ノートなど
が60頁ほども付いた豪華版の文庫です。歌舞伎・演劇の評論家の手に
なる推理小説なだけに事件の主な舞台は歌舞伎の裏舞台が多く、我々
素人には判らないいろいろな常識が謎を解く鍵になったりしていますが
舞台設備やネタの解説なども詳しく描かれているので、その点での心配
はあまりありません。老歌舞伎俳優・中村雅楽と竹野記者がホームズ
ばりの名解決をしていく物語はまだまだ続きます。2巻目以降が楽しみ
です。                                       

誉田龍一著「消えずの行灯」は双葉社が主催している第28回小説推理
新人賞を受賞した作品を含む本所深川七不思議を軸にした捕物帖です。
先日読んだ長辻象平の「闇の釣人」にしても、宮部みゆきの「本所深川
ふしぎ草紙」にしてもそうですが、本所深川七不思議を題材にしたものは
皆良い作品ばかりです。七不思議の謎解きに加え「消えずの行灯」には
黒舟来航、佐久間象山、榎本武揚、大村益次郎、吉田松陰、前島密、
千葉周作、歌川広重、土方歳三、三遊亭圓朝などが巧みにストーリー
の脇役として登場するといううれしい作りとなっています。         

手塚治虫漫画全集377巻目は「魔神ガロンB」です。「魔神ガロンA」が
267巻目なのでストーリーもあらかた忘れています。魔神ガロンとピック
の運命が危険にさらされる状況が次々に発生します。冒険譚として息を
つかせぬほどのスピード感を持ってストーリーが進展していきます。以降
の巻も待ちきれずに次の日に「魔神ガロンCD」読み終えました。    

青土社刊「カレル・チャペック短編集」は人生のさまざまな局面を短編に仕上げ
ています。笑えるコラムや辛辣なコラムでは既に定評がありますが、短編
はこれまで見掛けたことがありませんでした。味わい深いものもあります
がその良さがよく判らないものもあります。                  

星新一著「ほしのはじまり」はSF界では良く知られた新井素子が厳選した
ショートショートが傾向の異なったタイプごとに編集されて多数収まっていま
す。各章の終わりには新井素子や星新一のエッセイまで入っているという
豪華な作りの本です。さらに一番後ろには新井素子と最相葉月の対談まで
入っています。星新一ファンには欠かせない一冊に仕上がっています。  

ジョージ秋山といえば「浮浪雲」「銭ゲバ」「デロリンマン」などの漫画の作者
として良く知られています。これらの人間の善悪やモラルを問う問題作や、
最近では「マンガ中国入門」や「聖書」など国際問題や社会問題を作品の
モチーフにしたものなどが活動範囲になっているようです。そんな著者の
「はぐれ指南 ほろ酔いで長生き」はマンガではなくて人生訓です。それも
あまり堅苦しくならないような構成の一冊となっています。達筆で書かれた
大小様々な人生訓の脇に一行から最大でも1ページの短い回想譚とでも
言うような雑文が添えられています。本を手にとってパラパラとページを
めくってみるとその味わいが判ります。気に入った人生訓を少し上げてお
きます。『花無心にして蝶を招き、蝶無心にして花を訪ねる』『うらをみせ
おもてをみせて散る紅葉』『しわがあれどもあの梅干は艶をわすれぬ粋な
やつ』こんなうれしい言葉がてんこ盛りです。そういえば私の母などもよく
このような処世訓を教えてくれたものですが、私自身は子どもには伝えて
いないなあと少し反省しています。『寝るより楽はなかりけり 浮世の馬鹿
は起きて働く』子どもの時に聞いたこんな言葉がこの本で蘇ります。   

岡野玲子の漫画「ディアーヌ・ド・ロゼの陰謀」読了です。「陰陽師」に繋が
る画法のエッセンスも「ファンシーダンス」に繋がるお笑いのエッセンスも
すでにここに込められています。少しストーリーのテンポが速過ぎて時代
背景などの説明が少ない点が惜しまれますが復刊は大歓迎です。    

爆笑問題の「爆笑問題のニッポンの教養 人間は動物である。ただし……」
はご存知NHKテレビでの社会心理学者の山岸俊男との対談を文書化した
ものこれがこのシリーズ4巻目ですが既に全14巻が出版されています。
社会心理学というのがどのようなものなのかいまひとつピンと来ませんが
見張りあう社会・日本、安心と信頼は違う、人間社会とペットの幸せなどの
話はそれなりに理解できます。囚人のジレンマなどのテーマは有名なので
社会心理学の実験にも使えることは感覚的に理解できます。著者本人が
あとがきで言っていたように今現在取り掛かっているテーマについて話を
避けたために余計歯切れが悪くなっているように思えます。        

ジェフリー・ディーヴァーの「ウオッチメイカー」が凄いという話を聞いて、
同じ作者の作品で養老孟司が絶賛していた本があったことを思い出しま
した。文春文庫の「ボーン・コレクター(上)(下)」がその本です。両方とも
購入しましたが先ずは文庫から読み始めました。とりあえず上巻を読了
しましたがさすがにすばらしい作品です。帰りがけにたまたま別冊宝島の
「このミステリーがすごい!」を見たら「ボーン・コレクター(上)(下)」は
この20年間のベストミステリーの海外部門第三位となっていました。むべ
なるかなといった感じです。現代の安楽探偵物といったスタイルですが
ストーリーのテンポの良さと主役たちの抱える葛藤、科学捜査専門家の
手腕のそれぞれが絡み合って一気に物語を読ませてくれます。お勧め
です。                                       

読書が進んでいるのはマンガばかりです。手塚治虫漫画全集の372巻
〜376巻の「アドルフに告ぐ@〜D」読了です。昭和61年に出た文藝春秋
刊のものを読んでから既に20年以上が経過しています。タイトルを見て
も判るように重たいテーマを含んだ内容の本です。             

「おかしな先祖」星新一著が改版で発行されました。これまで入手出来
なくなっていた一冊です。この本もそうですが星新一の本は初版から20
年以上経っても古びないのでこのような文庫は絶版にしないで欲しいも
のです。内容はいまさら説明する必要はないいつものショート・ショート
です。                                      

阿刀田高の「花あらし」には12の短編が収められています。奇妙な味
というのか不思議な世界というのか仕掛けや符合が味付けされた分類
に困るようなストーリーが渾然とした短編集です。著者の芸が発揮され
た好篇だと思いますが個人的にはもっとブラックな味付けや奇妙な味
の濃いものがより楽しめます。今回のは軽妙な味で少し物足りない様
な気がします。                                 

今、全米で話題になっている「ワープする宇宙」の著者リサ・ランドール
博士と日本人宇宙飛行士である若田さんとの対談「異次元は存在する」
を興味深く読みました。博士が提唱するような5次元世界は存在するの
か、それがCERNの加速器実験で証明されるのか、重力が他の力に比
べて弱いことは5次元と関係しているのか、興味は尽きません。薄い本
なので要点しか載せられていませんが、われわれ素人には十分です。
興味を持った人にはこの手の本では珍しくベストセラーとなっている「ワ
ープする宇宙」が本屋で平積みされて待っています。           

土屋賢二が2005年〜2006年に「週刊文春」に掲載していたエッセイ
を纏めた新刊本「妻と罰」を読み終えました。このような軽いエッセイは
寝る前に読むのが最適です。ともかくも笑いたい人にはおすすめです。

長年、絶版となっていた岡野玲子の「ディアーヌ・ド・ロゼの陰謀」「消え
去りしもの」の2冊がメディアファクトリーから文庫となって復活しました。
名作「陰陽師」の著者の原点がすでにここにあります。まだ読んでいません
が岡野玲子の漫画の繊細な描法を楽しむのに文庫は勿体無いです。
次は大判サイズでぜひとも再刊して欲しいものです。          

レイ・ブラッドベリの「火星年代記」は30年以上も前に書かれたSF初期
の有名な作品です。その昔、この著者の作品はいくつか読んだはずですが、
さすがに覚えていません。この作品の主題は一言で言ってしまえば単なる火
星探検記ですが、ストーリーには人間心理の機微を織り込み、文明批評の視
点も加えた叙情的な作品に仕上がっていて今でも十分に堪能出来ます。  

2008年2初時点でお気に入りの著者の作品をどのくらい読んでいるか
をランキングにした結果です。養老孟司、宮部みゆきが躍進です。     



医者の不養生とはまさに手塚治虫のためにあるような言葉です。医学博士で
ありながら漫画に没頭するあまり我々はもっと読めるはずだった多くの漫画
を残念ながら読むことが出来ないように思います。「ネオ・ファウスト」も
そのような本の一冊です。第二部の第二巻に入ったところで未完に終ってい
ます。1989年に朝日新聞社から出版された本では無かった手書きコンテ
7ページが手塚治虫全集の369巻目には付いています。約20年ぶりの再
読ということになりますが内容は今でも十分読むに耐えられる深いものがあ
ることが著者本人のあとがきからもうかがえます。           

(5/2の関連記事に戻る。)
子年ということで技報堂出版の「大山鳴動してネズミ100匹」福井栄一著
をタイトルにつられて購入しました。ネズミに因んだ話題100選です。 
文学や歴史、映画などに登場したネズミがたくさん出てきます。さまざまな
文献を博捜していることはよく窺えますが、本の最初の方は説明不足と思わ
れる箇所が気になります。第一話からしてタイトルは「子文字を十二書いて
何と読む?」となっていて有名な文句を例題に上げていますが、その答えは
どこにもありません。ここで本を投げ出す人もいるかもしれません。著者は
肩書きによれば上方文化評論家だそうですが、残念ながら人間の機微には通
じていないようです。問題と回答の概略は『片仮名のね文字を十二書かせて
、給ひて「読め」と仰せられければ、「猫の子の子猫、獅子の子の子獅子」
と読みたりけれ〜』という宇治拾遺物語の一節によります。       

爆笑問題の「爆笑問題のニッポンの教養」シリーズの中の2巻を読み終えま
した。サブタイトルは『生物が生物である理由』と『万物は渋滞する』です。
この2巻は爆笑問題の二人が分子生物学の専門家、渋滞学の専門家と対談し
たものをそれぞれ書籍化したものです。元ネタはNHK総合TVで放送中の
同名の番組です。内容は専門的な部分も含んでいますが非常に判りやすくて
笑いも交えて良い本に仕上がっています。渋滞の待ち時間が計算出来る式な
どの目からうろこの耳学問もあって得した気になります。渋滞はアリ、魚、
お金、会議などなどいたるところにあり渋滞学の適用範囲はとても広そうで
す。生物と無生物の間というテーマも深いです。養老孟司がよく言っている
ように人類は月に人を送ることは出来てもハエ一匹作り出すことは出来てい
ません。生命って何だろうと思います。この本では万物の流転をテーマにし
て地球環境問題を論じているところを興味深く読むことが出来ました。ごみ
は埋め立ててしまうと原子の流れがそこで停滞してしまって循環しないので
程度によっては燃やして二酸化炭素にして植物経由で還元した方が良いとい
いった主旨でした。この本にも新しい知見が満載です。番組は既に30回近
くも放送されているようですが既刊のシリーズは2月現在12冊です。  

教育関係の本など滅多に見ることはありませんが板倉聖宣の「私の発想法」
は一見の価値があります。物の見方、考え方が実にわかり易く書いてありま
す。教育の本といえば眠くなるものと相場が決まっていますがこの本は例外
です。取り上げている例題も定量的に判断し易く馴染みのあるものを選んで
いるので飽きるということがありません。               

竹内久美子の生物学にまつわるエピソード、質問集である「アタマはスロー
な方がいい!?」にはいつもながらの著者の怪しげな魅力ある大胆な仮説が
満載です。似たもの同士の夫婦の謎、植物はなぜ緑色なのかなどの質問回答
が50件以上も詰まった面白読み物です。               

1/27の日曜日の午後は子ども体験センターの当番の間に手塚治虫の漫画
本を2冊読み終えました。全400冊の全集の中の366巻目、367巻目は
ブラックジャックです。これで読んでいない残りは30冊ほどです。2/16の
土曜日にも370巻目、371巻目のブラックジャック最終巻読了です。   

出久根達郎「隅っこの「昭和」」には懐かしいモノがたくさん出てきます。
ちゃぶ台、カバヤ文庫、紙カブト、蚊帳、ペナント、DDT、盥、足袋など
昭和の時代を飾ったモノが語りかけてくれる古い人には嬉しい一冊です。 

以前に「現代思想の遭難者たち」という漫画を読んでいますが今回、それの
後続で「現代思想の遭難者たち 増補版」というのを読み終えました。著者
は、いしいひさいちです。以前の本と見比べていないので何が増補されたの
かさっぱり判りません。2回目の通読となってもやはり半分も理解できませ
ん。そもそもの哲学の思想が理解出来ないのと、その思想をパロディ化して
いるはずの漫画(諧謔化)が読みこなせないというダブルパンチです。それ
でも面白く読めるものもちらほらあります。超難読漫画(四駒)です。  

「バカの壁」が新書でフィーバーしてから、以前は大衆にはほとんど見向き
もされなかった新書が今はブームですね。中公新書からは「ぼちぼち結論」
が養老孟司の新刊として発行され、どうもこれが著者の中公連載時評の完結
篇となるようです。山本夏彦にしても養老孟司にしても時評を続けていると
どうしても内容は同じようなものになってくる傾向があります。著者はそれ
を嫌って時評を打ち切ったようですが、読者にしてみれば同調出来る時評な
ら何回繰り返してくれても切り口が違うのにつられてついつい読んでしまう
ので続けて欲しいというのが本音ではないでしょうか。それでも虫取りに専
念したい著者の気持ちも判らないではありません。時間を確保するのも大切
です。養老孟司も本を出しすぎているきらいがあるので、ここは少し仕事を
絞ってもらってまた新たな展開に期待するといったところでしょうか。  

反骨と諷刺・諧謔を旨とした奇人、宮武外骨は罰金・発禁などの筆禍29回
に及ぶ経歴の持ち主です。この外骨による「刑罰・賭博奇談」は河出書房か
ら出版されている文庫の一冊ですが単なる資料の寄せ集めでは無く古今のさ
まざまな文献を渉猟した上に著者の博識が加わって為になる読み物となって
います。また時代を経ることで今では貴重な歴史資料ともなっています。内
容はタイトル通りさまざまな刑罰の紹介と賭博(博打、富籤、宝引、歌留多
など)についての紹介です。まさに著者の本領が発揮されている一冊ですが
この変わったものの収集癖は現代で言えば荒俣宏みたいなものですね。  

出久根達郎「萩のしずく」は本の帯によれば『歌人・中島歌子が主催する「
萩の舎」につどった才媛たち。のちの樋口一葉もその一人。一葉の友情と恋
愛を活写し、文壇デビューまでの知られざる姿を描く快作。』とあります。
語り口もやわらかく、ミステリ的な要素や恋愛要素も含んで楽しく読めまし
た。少し残念なのはどうもストーリーの時間的な展開についていけない点で
す。これから一葉が活躍するのかと思って読み進むと、既に一葉女史は亡く
なっていて終章となってしまいます。後味がどうも消化不良気味です。  

佐藤和歌子「間取りの手帳remix」は間取りの図面ばかりを集めたちょっと
変わった本です。解説の南伸坊によればうまいところに目を付けたという所
ですが、一歩間違えると際物扱いとなるところですね。本当にこんな間取り
があるのかというようなどう見ても変な作りがあります。見て住まいを想像
すると結構楽しいのもあります。増補版なので対談集も付いてお徳です。 

小池真理子「肉体のファンタジア」は体の各パーツ(骨、指、歯、唇、爪、
背中、目、毛など)に纏わる18の掌編です。手だれの作者によるエッセイ
なので心に触れる話がたくさんあります。               

「爆笑問題の日本原論」は以前に買いそびれて読めていなかった爆笑問題の
時事問題などを扱ったお笑いネタの本の新装版です。執筆当時の村山首相、
細川首相、地下鉄サリン事件、阪神大震災、O−157、もんじゅ事故、ア
トランタオリンピック、フランス核実験などを題材にしていますが今読んで
も十分に笑える程内容が洗練されています。さすが爆笑問題の原点といわれ
ベストセラーになっただけあります。                 

桐野夏生「I'm sorry,mama.」には主人公の邪悪さが余すところ無く描かれて
います。この著者独特の世界を構築し切っており読む者に衝撃を与えるとい
う点では快作と言えると思います。現代ではさらに衝撃的な事実が横行して
いることを考えれば、フィクションではこれくらい描かなければ現実に太刀
打ちできないのかもしれませんが、どうにも救いようの無い主人公、その影
響によって人生を台無しにされていく周りの人たちを見ていると、ここまで
描かざるを得なければ表現したいものが表現出来ないのか、このような世界
を描くのが根っからの性分であるのかどうにも著者の感性についていけない
ところがあります。「OUT」あたりはまだ良く出来たありそうなフィクシ
ョンでぐいぐい引き込まれていきましたが残念ながらこの本はパスです。 

気に入った本があったら読んでみて下さい。

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