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* * * 読書雑記(2010年) * * *
2010年は敬遠していた厚目の本をなるべく読むように
した為にいつもの年より少ない111冊の本を読むに留ま
りました。2011年も積んだままになっている多くの本
の山を発掘して貴重な本を見つけ出したいと思います。
橋本治/杉浦日向子他による「大人の学校卒業編」読了し
ました。思考論理学、江戸学、宗教学、死生学、社会学の
それぞれの分野の大家による判り易い講義です。図を有効
に活用した素人にも判る専門内容の講義は傾聴に値します。
池田清彦著「メスの流儀・オスの流儀」読了しました。こ
の本は読売新聞に連載されたネタに書き下ろしを加えて編
集した本だそうです。一話3ページ程のネタを約70篇も
集めた面白生物学です。このようなネタは竹内久美子が本
を何冊か出していますが、そこにも無かったような新ネタ
も沢山入っています。不思議な性の話満載です。
「写真版東京大空襲の記録」を読み終えました。編著者は
早乙女勝元氏です。帯には戦後60年に読む本とあります。
確かに現代人も読んでみる価値のある一冊だと感じました。
豊富な写真と具体的な記述はアメリカが公開した公文書を
素材の一つとしていることの成果です。なまなましい写真
が溢れていますが一気に読み終えてしまいました。勝てば
官軍とはよく言ったもので、東京大空襲はどうみても一般
市民を無差別に攻撃して10万人も殺した殺戮以外の何物
でもありません。この本によると先の大戦での国内での一
般戦災死亡者数は約60万人、大雑把に分けるとこの内の
半分が広島・長崎での犠牲者、残る30万人を3等分して
(1)東京空襲の犠牲者(2)沖縄県民の犠牲者(3)そ
れ以外の都市での死者という内訳だそうです。東京空襲の
犠牲者も3月10日の一夜の犠牲者が10万の内の8万人
を数えるそうです。写真を見るだけでも為になる一冊です。
奇人・変人で知られる宮武外骨の奇書の一つである「猥褻
風俗辞典」を読み終えました。よくもこれだけ全国各地か
ら異名を集めたものだと思います。今となってはこれらの
全体が貴重な一級風俗史として残ることになりました。良
い仕事をしています。
和田克司著「風呂で読む子規」を風呂で読み終えました。
とはいっても何日も掛っています。じっくり読んでいると
ついつい長湯になってのぼせそうになって大変です。この
著書は子規の年譜のようになっていて純粋に子規の作品を
読むつもりでいた私には少し不満です。
安藤啓治著「だから「へぼ」はやめられない!」を読了し
ました。『へぼ』とはクロスズメバチのことで岐阜、愛知
、山梨、長野、静岡などの各県では食用、飼育、捕獲など
が盛んに行われています。私は小学生の時にうっかり巣の
ある木に触れたために死にそうな目にあったことがあり、
スズメバチに関しては特に思い入れがあります。この本は
そんなへぼを飼育している第一人者によるいろいろな知見
満載の興味深い一冊となっています。蜂の生態の章では、
マラルディーのピラミッド、ベルクマンの経験則、アレン
の法則、クローガーの法則などの学術的な話も織り込まれ
るなどなかなか内容の詰まった一冊です。スズメバチ研究
者のプロフィールや巨大な巣の作り方、各地のへぼ名人の
紹介など本の後半も大いに楽しめます。
角川文庫「源氏物語・上巻」はもう何か月も前から読んで
いますがいまだに読み終えません。この本は鯉釣りの最中
だけ読んでいるので先ずは釣りに行かないと読書が進みま
せん。仕掛けを投入して魚信を待つまでの間が読書時間で
すが何しろ上巻だけで600ページの余もあるので1回の
釣りで頑張っても100ページも進みません。12/11
にも釣りに出掛けましたがやっと400ページを超えた所
です。読み終えるのは来年になりそうです。上中下巻とあ
るので長い読書になりそうです。日本の古典は大変です。
青木淳一著「自然の中の宝探し」を楽しく読むことが出来
ました。著者は神奈川県立生命の星・地球博物館長を経て
2006年時点では横浜国大名誉教授だそうです。ダニの
権威のようです。このような著者による自然に関する小文
をまとめた本なので読み応え十分です。とは言っても虫な
どに興味のない人にとっては本当の雑文扱いかなと思いま
す。珍虫、デパートの屋上のダニ、日本のゴキブリ61種
などというタイトルを見ただけで本を閉じてしまう人もい
るかも知れませんがいろいろな知見が詰まった本です。
リチャード・シュヴァイド著「うなぎのふしぎ」読了しま
した。タイトルからうなぎの不思議な生態を中心に書いた
本かと思っていたら案に相違して、主に欧米を中心とした
うなぎの食文化が描かれた本です。この本を読んで一番不
思議だと思ったのはアメリカではナマズは食べるがうなぎ
はほとんど食べないということです。その食べない国の人
が書いた本という所がまた面白いです。少し残念なのはこ
の本が書かれたのが2000年くらいで、翻訳が2005
年ということで素材が既に10年ほども古くなっている事
です。それでも鰻文化史として読む分には問題ありません。
宮部みゆき選「謎002」読了で今年100冊目の本を読
み終えたことになります。今年は厚めの本を多く読んでい
るのでいつもに比べて読了した本が少ないです。この本は
1971年、1981年、1991年からのミステリーの
選集です。全部で7編、生島・森村・小松・佐野・都筑・
原・夏樹という名字だけですぐに判るような名手による力
作が並んでいます。インパクトが特に強い訳ではありませ
んが、よく出来た短編揃いです。
森銑三/柴田宵曲共著「書物」読了です。共に書物研究の
大家による本だけに古い本にも関わらず今でも読むべき内
容を十分に含んでいます。「書物に対する心持」「良書と
は何ぞや」「書評」「写本」「即売会」「図書館」「辞書
・参考書」「蔵書家」「広告文」「愛書家」などさまざま
な切り口から真面目に「書物」について語っています。う
なずける箇所の多い本です。
出久根達郎「新懐旧国語辞典」は滅び去ろうとしている言
葉に関する蘊蓄や、ふと気になった言葉の語源など言葉の
達人による為になることば辞典です。みいちゃんはあちゃ
ん、天寿、スカ、沢庵のしっぽ、牛の角文字などなど読ん
で納得の語源などが満載しています。
池田清彦/養老孟司「ほんとうの環境問題」は池田清彦の
「環境問題のウソ」と同じような内容の本です。地球温暖
化はCO2の所為だとさんざん喧伝されていますが、実は
それは根拠が薄いという話から始まって環境問題は何が問
題なのかを科学者の目で判り易く提言してくれています。
この本を読むと本当に日本の行く末は大丈夫かと心配にな
ります。諸大国のように明確な政治理念や戦略をもって臨
まないと日本は割を食うだけで世界からは何も評価されず
に無駄に税金を浪費するだけで世界的に見たら何も温暖化
防止には役立たないということをもっとマスコミなども勉
強していく必要があると思います。今のマスコミは地球温
暖化防止のためにはCO2の削減が必須と口を揃えて言っ
ていますが、この本の様な提言にもっと真摯に耳を傾けて
本来のマスコミの意義を発揮して欲しいものです。併せて
政府や官僚ももっとちゃんとした仕事をして欲しいもので
す。本当に環境問題に関心のある人には必須の書です。
小笠原京の珍しい歴史長編です。「爛漫の時代」は異端の
天才絵師岩佐又兵衛が主役となる絢爛豪華な絵巻です。何
が良いというとやはり衣裳や絵画についての描写の繊細さ
やきらびやかさが何とも言えませんが、この長編では主人
公の数奇な運命とストーリー展開が太い糸となって全篇を
引っ張っていきます。長編に相応しい脇役もそれぞれ強烈
な個性を持って盛り上げていきます。個人的には最終章の
幕引きには今ひとつ不満ですが全篇を通じて魅力ある一冊
となっていることは確実です。本の帯の説明には『異端の
天才絵師岩佐又兵衛波瀾の生涯!織田信長によって滅ぼさ
れた摂津有岡城主荒木村重の遺児・岩佐又兵衛。その天賦
の画才によって浮世の真実を描き、乱世の世を駆け抜けた
又兵衛の魂の彷徨と軌跡を活写する歴史長編小説!!』と
あります。
高浜虚子の「俳句とはどんなものか」も続けて読みました
がこちらも切字などの説明がありますが、「俳句の作りよ
う」の方がはるかに判り易い作りです。この本には俳諧略
史などもついていますがあまり役に立つとも思えません。
たまたま本屋で見つけた高浜虚子の「俳句の作りよう」を
面白く読みました。随分昔の本かと思ったらこの角川の文
庫は平成21年7月初版です。たった130ページほどの
薄い本ですが俳句の本当の初心者にはうってつけの一冊だ
と思います。何といっても判り易くその気にさせる本です。
「埋字」「切字」などの効用、実例などが懇切丁寧に飽き
させることなく教えてくれます。納得の一冊です。
いわゆる在野の研究者である阿部良男によるヒトラーの研
究書はこの本を含めて3冊が刊行されていますがいずれも
大部の本です。この本は文庫ですが700頁もあります。
学研M文庫「ヒトラーとは何者だったのか」は厳選された
220冊のヒトラー関連文献について1文献を3ページ程
で淡々と紹介しただけの本です。しかし、この本は書評で
も取り上げられたようにヒトラーの全体像を知る為の貴重
な一冊となっています。一般にはただ一人の狂気からこの
ような歴史が作られていったようなイメージがありますが
単に220冊の文献を紹介しただけのこの本を見ているだ
けで違った歴史の姿が見えて来ます。総統を熱狂的に迎え
たドイツ国民だけではなく、周辺国でさえも自国の利益の
為にドイツのポーランド侵攻に加担もしくは見て見ぬ振り
をし、戦後においては逆にソビエトをはじめとした周辺国
や戦勝国による露骨な虐殺、抑留、略奪、暴行などの横暴
さが大量の文献により白日のもとに晒されていきます。
勝てば官軍とはよく言ったもので、これら裁かれることの
ない事件がいかに多いか改めて思いを馳せることが出来ま
した。このような地道な研究を通して歴史を正しく見つめ
ていく姿勢を世界の多くの人が共有できれば人間も進歩し
ていくのでしょうが、現状では人間は全くこの面では進歩
していないのではないかと思われます。残念なことです。
夢枕獏の「投竿翁遊々日記」を読み終えました。夢枕獏と
いえばあの『陰陽師』の作者として有名ですが、釣りの本
も何冊か書いていまう。私の地元である神奈川県県西部に
在住ということで近くの酒匂川や小田原の早川などの釣り
の話題も豊富です。この本はそのような著者の2010年
8月の最新刊です。タイトルからみて丸々釣りの本かと思
っていたら、出だしこそ日本初の釣り指南書である津軽采
女の『何羨録』ですが、続いて空海や空手の話が出てくる
といった何でもありの一冊です。後半はまた釣りの話題に
戻りますが、結局この本は夢枕獏という作家のあれやこれ
やを知りたい人にはうってつけの雑文集といった所です。
今年は分厚い本を多く読んでいるので11月に入ったとい
うのにまだ100冊も読めていません。年末までにはあと
10冊くらいは読みたいものです。
「ブラッカムの爆撃機」はロバート・ウエストールの作品
ですが、これに感銘を受けた宮崎駿が絵を付けた贅沢な本
になっています。爆撃機内の様子や心理状態をリアルに描
写していて読みごたえがあります。戦争に対しても良い悪
いという判断基準を超えた人間同士の愛憎劇がそこにあり
ます。
夢枕獏著「釣り時どき仕事」「本日釣り日和海外篇」を続
けて読みました。釣りに関するエッセイ集です。著者が関
わっている長良川河口堰や、諫早湾の干拓事業についての
批判もたびたび登場します。釣りをやっていればこれは大
いにうなずける所があります。近所の中小河川も同様の工
事が次々に行われてコンクリで護岸だけでなく川底までも
整備という名の破壊が行われているのを見るにつけ残念で
なりません。
夢枕獏の釣りの本をまとめて3冊ほど購入して読み始めま
した。「本日釣り日和日本篇」は中公文庫から2001年
に出た本ですがいまだに初版が買えるということは売れて
いないということですね。結構面白いですが中公文庫は昔
の岩波文庫のような固いイメージがあって気軽に読めるこ
のような本が出ていることに気づかない人も多いのではな
いかと思います。「笑いの止まらない十月の鮎」「柿田川
の落ち鮎」「釣れすぎに用心」などなど各章のタイトルを
見ているだけで中身を読みたくなる掌編が満載です。
滝一著「破天荒釣り師」読了しました。本屋でタイトルを
見た時にこれは海釣りの話かと思ってパスしようとしまし
たが解説を見たら何とヘラ鮒釣りの話です。神奈川県相模
湖にこんなドラマがあったとは知りませんでした。ヘラ鮒
に少しでも興味のある人には必見の一冊です。思わずヘラ
釣りをしてみたくなるほどなかなか凄い釣り師伝です。
夢枕獏著「毎日釣り日和」は神奈川県在住の釣りマニアに
とっては楽しい読み物です。著者は県内の小田原出身だけ
あって早川での鮎釣りの話題など興味深い話題のネタ満載
です。この本のというかこの著者の良い所は釣れたネタよ
りも釣れなかったネタが多い所です。名人の本を読むと釣
れた話ばかりでよだれが出そうですが、魚は必ず過去と未
来に逃げるという言葉通り、先週は釣れたのにとか去年は
良かったというのが現実です。夢枕獏は我々釣り人の本音
を代弁しているような所が良いのかと思います。釣りに行
く予定を立てていたのに結局仕事に追われて行けなかった
とか腰痛で行けなくなったなどなかなか名人の本では見掛
けない現実が赤裸々に楽しく語られています。そんなエッ
セイ集です。
池田清彦著「オスは生きてるムダなのか」読了です。素人
向けの判り易い生物学の本です。雄雌の違いが良く判る本
です。とはいっても生物のいい加減な所が雌雄の違いにつ
いてもいろいろな例外のあることを教えてくれている所が
眼目かもしれません。本当は雌雄など無くても生物は生き
ていけて、雌雄が出来たのにも必然性は無いということが
良く判る一冊です。
土田知則編「世界の長編文学」やっと読了です。あらすじ
と読みどころが「アラビアンナイト」「神曲」「白鯨」「
ファウスト」「戦争と平和」などの長編文学30編ほどに
ついて記されています。人物相関図を参考にしてあらすじ
を読むと少しは判り易いですが、それでもなかなか手ごわ
いです。掲載されていた長編の内で読んだことがあるのは
「百年の孤独」ただ一編、読もうと思って買ってある本が
僅か2編だけという状況でした。長編の壁は厚いです。
池田清彦著「他人と深く関らずに生きるには」読了です。
文庫で200ページにも満たない本で読み易い一冊です。
発想の仕方は養老孟司と同じように自由です。既成概念に
捕らわれる事の馬鹿らしさを判り易く教え諭してくれてい
ます。かなり共感できる部分があり一読をお勧めしますが
2割くらいは賛同出来ないアイデア、方法などもあります。
自分が楽に生きられるような考え方を得るための良いテキ
ストになると思われます。他人とどう付き合うか、所謂ボ
ランティアと呼ばれるものについて、不況対策、構造改革
について、個人情報保護についてなど18の分野に分けて
ユニークなアイデアを提供してくれています。
ミシェル・ド・モンテーニュ著「エセー2」を読み終えま
した。本の帯には平易かつ明晰な訳文で古典を楽しもう!
とありますが、やはりこねくった文章があったり、こちら
に古典籍の素養が無いことなどにより読むのは容易ではあ
りません。それでもためになる警句やら生き方の参考とな
る物の考え方、捉え方など読みどころ満載です。この本に
は「友情について」「節度について」「孤独について」「
ことばの空しさについて」「祈りについて」「年齢につい
て」など32編を収録しています。現在「エセー4」まで
発行されていますが、まだまだ続く大長編ですがぼちぼち
読んでいこうと思います。
山本博文著「山本博文教授の江戸学講座」読了しました。
対談相手は逢坂剛と宮部みゆきです。奥女中の実態、大名
や旗本の出世競争、江戸の治安対策、武士の転勤、公務出
張、お伊勢参りなど知りたいことのあれこれが極めて明確
に判ります。江戸について沢山の本を書いている大家だけ
あって判り易く読みやすい江戸雑学の一冊です。
戸板康二著「中村雅楽探偵全集D松風の記憶」読了です。
やっとこの全5巻のシリーズ完読です。1冊が600頁以
上もあるのでとんでもない大著です。なかでもこの5巻目
には珍しく雅楽ものの長編2編が入っています。本著には
100頁ものエッセイも組み込まれており著者の探偵もの
のファンには欠かせない一冊に仕上がっています。もっと
も初心者には短編集の@〜C巻目がお勧めです。
米原万理の「旅行者の朝食」を読み終えました。本の帯に
は『ロシアのヘンテコな缶詰からトルコ蜜飴まで美味珍味
満載!著者初のグルメ・エッセイ集』とあります。確かに
他には見られない珍味探求です。特にトルコ蜜飴探索では
その追求の手は友人知人を通じて緩まることがありません。
蘊蓄満載の見逃せない一冊です。
なばたとしたか著「こびとづかん」読了しました。きもか
わいいという表現が適切なのかどうかいまいち不安ですが
今迄の常識の枠ではとらえきれない奇妙なこびとたちが沢
山登場します。絵本の中ではそれぞれのこびとたちの分類
やら特徴がきちんと紹介されています。一例をあげれば「
クサマダラオオコビト」というこびとはコビト網 植亜目
触頭科 クサマダラ属に分類されるそうで、以下の特徴を
持っているそうです。
●体長 15cm〜20cm(トウチンは含まない)
●生息地 陽当たりのいい草むら
●特徴 ・気が弱く臆病・大きくなると脱皮する
●食べ物 草食で花の蜜や花粉が大好物
この絵本ではこどもがおじいさんに教えられていろいろな
小人を探して捕まえて逃がしてあげるまでを描いています。
「こびとづかん」には公式HPまでありますが覗いてみる
と今迄に発見されたこびとにはクサマダラオオコビト、リ
トルハナガシラ、ナツノツマミ、カクレモモジリ、モクモ
ドキオオコビト、ツチノコビト、ベニキノコダケ、ワカイ
トキダケ、マツタケノフウミダケ、イヤシミドリバネ、セ
ミグルメ、イケノミズクサ、オオヒレカワコビト、ヤドダ
シカムリ、ハダカウミテング、ホトケアカバネ、バイブス
マダラ、アラシクロバネ、シノビイエコビト、ヒメイエコ
ビトなどがあるそうです。今、我が家の子どもは真剣にこ
のHPで会員登録しようかと迷っているようです。
リサ・ランドール著「ワープする宇宙」は5次元時空の謎
を論理的に解き明かそうとしている理論物理学者による素
人向けに書かれた好著です。判らない所も多いですが判っ
た気にさせてくれるところも沢山あります。数式を一切使
わずに説明をしているところと物理の基礎の基礎から例え
や図を使って懇切丁寧に教えてくれるところがミソです。
次元とは何か、巻き上げられた余剰次元、相対性理論、量
子力学、素粒子物理学、対称性の破れ、大統一理論、ひも
理論、階層性問題、宇宙の構造などを主題にした各章から
なる本編は600頁を超えます。この本で提示されている
理論についてはCERNの大型ハドロン加速器(LHC)
が本格稼働するとその理論が正しいかどうかが判る手掛か
りが得られるだろうと期待されているそうです。ここ数年
はLHCに関するニュースから目が離せません。
今週は家族の要望で2冊の本を購入しました。一冊は飛び
出す絵本「フラワー・フェアリーズ(花の妖精たち)」で
す。最近の仕掛けは何層にも細工が施されていて奥行きが
あるうえに可動部分まであるという素晴らしいものです。
このシリーズは現在3冊ありますが、光る頁があったりし
てなかなかバラエティに富んでいます。もう一冊購入した
本は「こびとづかん」です。有隣堂書店でオンライン検索
するとあの養老孟司の最新刊でさえ在庫が54冊なのにこ
の「こびとづかん」は何と137冊です。それだけ売れて
いるということのようですが絵を見ると奇妙な小人が沢山
出てきます。子どもはかわいいという表現をしていますが
我が家の評価(総評)では散々です。このキャラクターは
既にマスコットとしても売り出されているようです。
米原万理著「魔女の1ダース」読了です。普通1ダースと
いえば12を指しますが魔女の世界では1ダースは13を
指すそうです。この本はみんなが常識と思っていることで
も常識どおりではないこともあるということをいろいろな
ケースで十分な説得力とともに示してくれます。著者の博
識と経験が生かされた好著です。
「シモネッタのデカメロン」読了です。これで田丸公美子
の本は2冊目です。一流の翻訳者の書く本は米原万里とい
い本当に面白いです。知識や見聞が広い上に言葉が洗練さ
れていて思わず話に引き込まれてしまいます。人を相手の
プロの仕事を長年していることから来るのか笑わせるコツ
を十分に心得ていて堪能出来る一冊に仕上がっています。
50篇以上の掌編と各章冒頭の小話すべてが楽しいです。
戸板康二の中村雅楽探偵全集C「劇場の迷子」は670頁
もある大部の本ですがやっと読み終えました。まだDが残
っていますがひと休みです。このシリーズは老俳優である
雅楽がいろいろな問題や謎を解決していく短編シリーズ物
です。この本には28編の名品が収められていますがこの
著者ならではの歌舞伎界を題材にした珠玉の推理小説です。
新しい本棚を2つ購入して本を分散させたことにより本棚
に余裕が出来たのは良いのですが、どの本棚に何の本があ
るのかなかなか判らない事が多いので今回全部の本の棚卸
をしようという壮大な計画を立てました。
たぶん4000冊位の在庫だと思いますが、著書名、作者
名、出版社名、価格、読了日、本棚の番号などを入れよう
としています。この休みに少し整理してみましたが思った
通りなかなか進みません。あるはずの本が見つからなかっ
たり、逆にどこにも記録の無い本などたくさんあります。
すべてを整理するのは途方もなく時間が掛かりそうです。
スティーヴン・J・グールド「フラミンゴの微笑(下)」
も読み終えました。教えられることの多い本です。上下合
わせて30編ありますが外れというものがありません。
科学的な見かた、分析法を駆使して上質な科学読み物を作
り続けた著者の第四作目です。
スティーヴン・J・グールド「フラミンゴの微笑(上)」
を読み終えました。餌を取るフラミンゴのクチバシの話、
ノアの洪水を「証明」した地質学者の犯していた致命的な
過誤、大リーグで四割打者が消滅した理由などなど興味深
いテーマが古生物学者であり進化論学者である著者により
解き明かされていきます。現在からみるとなぜそんな判断
をしたのか不思議な思想も当時の社会状況や技術状況から
すると必ずしも不当では無いことなどを丁寧に説明してく
れます。科学史上の虚妄を鋭く指摘し、新たな思考の様式
と世界観を提示するエッセイシリーズ第四弾です。
田川研の著作3作目「蝶も蛾もうつくしい」は小エッセイ
ですが虫屋にとっては楽しいい一冊です。北杜夫のユーモ
アエッセイ「どくとるマンボウ昆虫記」の後継ということ
であの奥本大三郎氏が大絶賛です。確かに面白いことは認
めますが、エッセイとはいえ自分のことを『ケンさん』と
呼ぶ神経ははっきりいって最悪です。笑いにも何もなって
いません。文章は面白いのにこの『ケンさん』が出て来る
たびごとに鼻白んでしまいます。つくずく残念です。でも
話は面白いの前2作も藤沢のジュンク堂で残念ながら追加
購入して来ました。
紋章絵師でもあり直木賞作家でもある泡坂妻夫は手品師で
もあるというマルチな才能を持っています。そんな氏の創
作マジック集「泡坂妻夫マジックの世界」を読了しました。
しかしこの本はある程度自分でもマジックが出来るような
人が見ないとなかなか判らないような本です。用語だけで
なくその手順なり手つきなりが理解仕切れないといった問
題があってたぶん易しく解説しているにも関わらずやはり
理解出来ないといった問題があります。値段も3500円
と安くないので本当に理解できる人向けですね。
ロブ・ダン著「アリの背中に乗った甲虫を探して」は興味
深い本です。未知の生物を発見していった精鋭の科学者達
の物語です。古くはリンネによる生物種の分類とネーミン
グへの挑戦から始まる全生物種の探索の物語(ATBIプロジ
ェクト)、最近注目を浴びている細胞内共生説(ミトコンド
リア、葉緑体、鞭毛、繊毛、中心小体など)4つの界から
始まった系統樹への新たな見直し、深海生物、地殻の生命
そして隕石からの生命の痕跡、生命のルーツへと話は壮大
です。かつての科学者たちが唱えた説がすんなりと学会に
受け入れられた訳ではありません。その苦難の歴史も含め
てぐんぐん引き込んでくれる好著です。いかにわれわれが
生命のルーツはもとより生命種の数でさえも全く捉えてい
ないということが良く判ります。
米原万里著「真昼の星空」読了です。広い視野と独自の見
識に支えられたエッセイはためになるとともに味わいがあ
ります。
熊田千佳慕絵・文となる「ファーブル昆虫記の虫たち5」
は繊細な昆虫の絵に短い物語を添えた絵画集です。絵本に
分類されるものかもしれません。ファーブル画が著者のラ
イフワークのようですが、本作では小学館の絵画賞を受賞
しているようです。明治生まれ98歳で先年亡くなられた
ようです。主な作品としてはこの昆虫画5巻の他に、制作
に5年の歳月をかけたという「みつばちマーヤの冒険」、
花の画集などがあるようです。
池谷伊佐夫著「神保町の蟲」読了です。どうもこのタイト
ルにある旧字の『蟲』という字に弱いです。本屋で見掛け
た途端に手に取っていました。しかし読むスピードが買う
スピードに追い付かず、購入以来5年以上も本棚の奥で眠
っていました。今回の本棚増設に伴って再発見した本の一
冊です。早速読んでみましたが神保町の最近の動向やら古
書店を開店するためのノウハウなどとても面白い内容の本
でした。昔は神田まで4年間も毎日通っていたので神保町
や秋葉原はおなじみの町ですが、最近は随分変わっている
ようです。今ではインターネットの活用で古書探索も随分
便利になったのであまり神保町まで出掛ける必要性も感じ
ていませんが余裕が出来たらまた出掛けてみたいと思いま
す。
ジェフリー・ディーヴァー著「クリスマス・プレゼント」
を読了しました。この著者にしては珍しいミステリ短編集
です。16の短編が納められていますが掛け値なしに珠玉
の名品揃いです。ライムシリーズなどの長編に馴染んでい
る読者にとっては短編は余技だろうという思い込みがある
かと思いますが、こちらも一級品です。どれも最後にどん
でん返しが待っています。お勧めです。なお、この短編集
の中にはライム物が書き下ろしで一遍組み込まれています。
宮崎駿著「折り返し点」読了です。前作の「出発点」と共
に宮崎監督を知るための必須の著作です。宮崎作品である
映画とは違った監督の姿がそこにはあります。手塚治虫も
そうですが、作品の裏には膨大な思索やら思想、思いとい
ったものの積み重ねがあります。それらの一端が知れる好
著です。
ジェフリー・ディーヴァー著「静寂の叫び(下)」を読み
終えました。人質解放交渉がこう着状態となり警察の突入
作戦も開始されますが、犯人側は一向に焦る様子もなく遂
に交渉の末に犯人が逮捕されますが事件はまだ続きます。
解放された人質の一人メラニーは安全なのか最後の最後ま
で目が離せません。この著者の素晴らしさはリンカーン・
ライムシリーズで十分認識していますが、ライム物以外で
もこんな素晴らしい作品があったことをはじめて知りまし
た。
久々に北杜夫の本を読みました。昭和の時代に買った本で
すが永らく本棚の奥に積み込まれていたものです。本棚を
増設したことで永いこと日の目を見なかった本がたくさん
発掘されました。北杜夫の未読本もまだ数冊残っています。
「ぼくのおじさん」は著者がきっと躁状態の時に書いた本
ではないかと想像しますが、幼児から子供向けの楽しい本
です。著者の楽しい本のベストはどくとるマンボウ航海記
と船乗りクプクプの冒険、怪盗ジバコだとおもいますが、
この童話集も気楽に読むには良いかと思います。
およそ10年前の自宅増築の際に書斎に設置した括りつけ
の本棚(幅304cm、高さ239cm、奥行き36cm)
も既に満杯になってしまい、このたび2つの組み立て式の
本棚を購入しました。高さはほぼ一緒で、幅が116cm
のものと幅88cmのものです。組み立てと地震対策、本
の入れ替えなどで約2週間も掛りましたがこの休みによう
やく大体の作業が完了しました。これで当分の間は置き場
所に困ることはなさそうです。
岩谷テンホー著「みこすり半劇場必殺」面白く読み終えて
しまいました。表紙の4コマ漫画だけでもう笑えるという
本もなかなかありません。もちろん大人向け漫画ですので
下ネタが嫌いな方は避けてお通り下さい。それにしても毎
回よくもこう次々とネタをひねり出してくるものです。
ジェフリー・ディーヴァー著「静寂の叫び(上)」を読み
終えました。まだ下巻を読んでいないので結論は判りませ
んが、十分にのめり込むほど素晴らしいサスペンス物です。
脱獄囚3人とFBI危機管理チームとの人質解放交渉が見もの
です。人質が聾学校の生徒と先生であることが状況を複雑
なものにしており、意志が十分に通じないことで悲劇も生
まれます。追い詰められているはずの犯人が異常に冷静で
あることにも何か裏があるのか後篇が楽しみです。
新潟江戸しぐさ研究会著「マンガ版「江戸しぐさ」入門」
を読み終えました。江戸しぐさを通して良い社会を作ろう
というマナー教本ですが、本の帯にある『お説教臭い道徳
論』そのものを体現したような本です。解説はソフトな口
調に包まれて漫画も判り易いですが、どうにも説教臭さが
見え隠れして物言いも高飛車な感じが隠し切れていません。
良い事をたくさん言っていて良い本なのに何とも残念です。
ジェフリー・ディーヴァー著「死の開幕」読了しました。
連続爆破事件で知り合いを失った映像作家であるヒロイン
が亡くなった女優のドキュメンタリーを作るために女優の
足跡を追うサスペンス物語です。自らも危険な目に会いな
がらも遂に思いもしなかった謎の真相に迫ります。著者の
他の作品と同様に最後まで目が離せない一冊です。
岩波ジュニア新書「崖っぷちに立つあなたへ」は落合恵子
の08年の著作です。いじめなどによりいのちが窮地に立
たされている若者に向けた著者のメッセージが熱く語られ
ています。元気な若者はあまりこのような本を読まないだ
ろうことが予測されるだけに少し残念な著作です。
丸岡照幸著「96%の大絶滅」を読み終えました。地球上
に起きた2つの大絶滅(K-T境界、P-T境界)の地質学的な
解析から絶滅の原因に迫ります。一方は隕石衝突、もう一
方は火山、酸性雨、海洋無酸素化などのいろいろな要因が
考えられているようですがいろいろな科学的な証拠検証が
読みどころです。難しい内容も多いですがここまで地球科
学が進んでいるということを知るのに手頃な入門書です。
ジェフリー・ディーヴァー著「石の猿(下)」読了です。
犯人は前篇を読んでいるうちに想像がつきましたが最後の
最後にまた一波乱が待ち構えています。凶悪犯は本当につ
かまるのか。最後まで目が離せません。
竹内久美子著「草食男子0.95の壁」は流行りの草食男
子に材を取って著者のこれまでの動物行動学の知見で解釈
していこうとしているものですが、今回はどうも歯切れが
悪いです。そもそも草食男子という生態は動物行動学に反
する新しいグループのようですが、だからこそ新しい知見
を期待したのですがちょっと残念です。
買いだめしてあるジェフリー・ディーヴァーの著作を引き
続き読んでいます。「石の猿(上)」もずっと本棚の奥に
眠っていた一冊ですがやはりこの著者の本を眠らせておく
のは勿体ないです。中国からの密航者と秘密の消去を図ろ
うとする密入国斡旋業者、そして危険に陥っている人々を
救い犯人を追い詰めようと科学捜査を駆使するライムチー
ムの戦いが急テンポで展開していきます。例によってライ
ムチームの活躍が見ものです。
呉善花著「韓国倫理崩壊」読了です。経済状況や文化程度
などを見ている限り韓国は日本と似たような国という印象
を受けますが、この著者の本を読むと随分と違う点がある
ことを改めて感じさせられます。国民性の違いはあるにし
ても、現代韓国が陥っている倫理崩壊現象については他山
の石として日本も十分学んでいく必要があるかと思います。
現代韓国の倫理、社会、生活などが良く判る一冊です。
谷沢永一著「運を引き寄せる十の心得」読了です。人生は
実力だけでも無く、運だけでもないということが著者自身
の経験に則して判り易く述べられています。運をつかむ為
には事前の準備や日頃の努力が欠かせないという点には大
いに共感ができます。しかし、どうもこの本はいけません。
どうみても大成功者である著者が自分に味方してくれた人
は褒めて、自分に仇をなした人を貶し、おとしめているよ
うにしか取られかねません。実際はそうでも無くても人生
の成功者が成功譚を書くとこうなるという見本のようです。
著者の書評などは一級品として推奨しますが、残念ながら
この本はいまひとつです。
ジェフリー・ディーヴァー著「エンプティー・チェア」の
上下2巻を読み終えました。読み終えてもどうも本の題名
がピンと来ませんが、中身は素晴らしい出来です。最後の
最後まで気が許せません。本当にこのリンカーン・ライム
シリーズは外れがありません。複雑な事件の背景を主役の
科学捜査専門家が見事に解決していく手並みは相変わらず
鮮やかですが、今回はパートナーである警察官アメリア・
サックスとライムの頭脳対決も見ものです。
宮部みゆきが若者向けに書いた「はじめての文学」はずっ
と寝かせていた本ですがやっと読み始めあっという間に読
み終えました。「鳩笛草」「堪忍箱」「本所深川ふしぎ草
紙」などから選抜した珠玉の短編を集めたものだけあって
始めて手にする人には良い入門書になるだろうと思います。
赤木かん子編集「初恋」読了です。シリーズ物の一冊です。
泡坂妻夫の短編が載っているということで購入したもので
すが、古典の名作「リンゴの木」「筒井筒」「源氏物語」
などの抜粋などもなかなか良かったです。
養老孟子/布川英利著「解剖の時間」読了です。タイトル
は衝撃的ですが内容は『人は骨をどのように見て来たか』
というものです。これまでに絵画に残されて来た骨の絵か
ら人がどのようにそれを捕らえて来たかを解析しています。
骨に輪郭線があるのか無いのか、解剖学的な見方なのか、
死の象徴としての見方なのかなど、解剖学者と美術学者が
哲学的な見方で解剖してくれています。図象が豊富な所も
嬉しいです。河鍋暁斎の骸骨の漫画「暁斎鈍画」などには
思わず笑わせられてしまいます。
桐野夏生著「東京島」読み終えました。ハードカバーで出
た時には大冊だと思っていましたが文庫はすぐに読み終え
てしまいました。相変わらずこの著者の著作は過激ですが
最後の落とし所はソフトランディングといったところです。
かつての「OUT」のような衝撃かと期待していただけに
ちょっと肩すかしを食った感じです。谷崎潤一郎受賞作の
ようです。
大和書房「グレイテストヒッツ!困ったときのベタ辞典」
読了です。実に面白いです。例題がぴったりはまっていて
感心させられます。良い所に目を付けたシリーズだと思い
ます。疲れた時には是非進めたい一冊です。
池田清彦著「38億年生物進化の旅」読了です。最新の進
化の証拠に基づいた内容の詰まった一冊です。但しグール
ドの著作のような判り易さには少し欠けるところがありま
す。ページ数が少ないこともあってカタカナの名前が次々
に出て来ても素人はなんのことか判らずにただ読み飛ばす
ことしか出来ません。著者の主張する構造主義から見た進
化の説明も比較的判り易いと思います。
ジェフリー・ディーヴァー著「魔術師(下)」読了です。
犯人が魔術師ということでエンディングまで目が離せませ
ん。誤導が本当に効果的に使われていてどんでん返しのス
トーリーにまったく不自然さがありません。ストーリーが
終わったものと油断していると足を掬われること請け合い
です。わくわく出来る渾身の一冊です。
池田清彦のエッセイ集「ゼフィルスの卵」読了です。この
本には地元山北町の大野山のカミキリムシの話が登場しま
す。今回はじめて聞きましたが、調べてみると神奈川畜産
情報の平成21年11月号にも関連記事がありました。こ
の話題のカミキリムシは「アサカミキリ」という名前です。
著者がこのエッセイを書いたのは2001年のようですが
大野山は牧草地帯のまま変わっていないので今でもいるの
ではないかと思います。名前の示す通り「麻」が食草のよ
うですが大野山ではアザミが食草になっているそうです。
山北にはサンショウウオもいるようだしヤマネもいるとの
ことでやはり山北は都会化せずにこのまま都会に近い森林
の多い田舎のまま残しておくのが良いのかも知れません。
虫好きには楽しめる話題が詰まったエッセイ集です。
今年は買い貯めているジェフリー・ディーヴァーの本を読
み終わらせようと思っています。しかし、いざ見つけよう
とすると本棚の奥に隠れてしまってなかなか読めません。
ジェフリー・ディーヴァー著「魔術師(上)」読み終えま
した。どうしてもこの著者のライムシリーズは読むのに集
中しすぎて電車を乗り過ごしそうで危険です。気が付くと
終点の駅だったりします。もっともちょうど地元山北駅が
終点となる電車に乗っていたりするのでまだ乗り過ごして
はいません。今回のライムの敵は本の題名の通り魔術師で
す。マジックやイリュージョン、トリックなどについての
わざがいろいろと登場します。消えるインク、フィーク、
プロテウスマジック(早変わり)、ピッキング、心理的誤
導、読唇術、脱出マジック、腹話術などが効果的に使われ
ています。下巻も目が離せません。
奥本大三郎著「散歩の昆虫記」読了です。その名の通り虫
に関するエッセイ集です。虫好きにとっては十分楽しめる
一冊ですが220頁で2200円は高い買い物です。
竹内久美子著「女は男の指を見る」読了です。新潮新書の
創刊7周年記念出版の一冊のようです。この本には著者が
これまでにいろいろなハードカバーで著して来た動物行動
学の知見の数々を一冊に集大成したといった本です。集約
されているのは嬉しいですがさわりしか触れていない部分
が多くて過去の著作を見ていない人にはその背景や理論が
判りにくいのではないかと思います。それでも新刊だけあ
って新しい知見が加わっている部分もあり、旧著を見てい
る人には軽い読み物として手にとってみるのも良いかと思
います。
大和書房「新明解!困ったときのベタ辞典」読了しました。
ベタ語満載です。どのような業界や状況でかたられるのか
適切な用例を添えて説明されており懇切丁寧な辞書となっ
ています。しかしこのようなベタ語は山のようにあるので
広辞苑サイズ位まで用語を増やして索引を付けてもらえる
と本格活用が出来るかなと思います。まだ現状は変わった
本の範疇を出ませんね。続編も読み始めました。
リチャード・ドーキンス「進化の存在証明」を興味深く読
み終えました。それにしてもアメリカやイギリス、トルコ
などでの進化論否定論者の多さについては著者にとっては
この大部の本を書かせるほどに深刻な問題となっているよ
うです。おそらく平均的な日本人であれば進化論を真剣に
否定する人はそれほどいないと思われますが、かの地では
進化論が論であるならば創造論も学校で教えるべきだと真
剣に主張する教育者や聖職者が多数いるそうでおそるべき
信仰の力と言わざるを得ません。アメリカでの信頼できる
調査によれば『人類は神がここ1万年程の内に一気に創造
したと信じる人』が44%、『人類は何百万年の間に原始
的な生物から発展してきたが、その過程は神によって導か
れた』が36%、『神は関係なしに何百万年の間に原始的
な生物から発展してきた』が14%だそうです。これが何
と2008年の調査で過去数年の調査も同様の比率だとい
います。一読する価値のある一冊です。
出久根達郎著「行蔵は我にあり」は100人の著者好みの
作家、著名人などの生きざまやエピソードを取り上げた云
わば偉人伝です。一人に割り当てられたページは僅か2頁
ですが内容はぎっしりと詰まっています。また著者の編集
方針として前後の人が何らかの関係で繋がるような編集と
していることも特色です。因みに「行蔵は我にあり」とは
勝海舟の言葉だそうですが、この解説はこの本の扉にある
解説が判り易いので以下に引用しておきます。
『行蔵は我にあり』………「行蔵は我に存す、毀誉は他人
の主張」 元幕臣が新政府で名利を得るとは、と福沢諭吉
に非難された勝海舟が答えた言葉。行蔵とは出処進退の意
である。世の称賛も悪口も我関せず、自らの信ずる道を歩
んだ、二十世紀の102人、生きる意味を教える、と中学
生をさとした會津八一。政党は腐敗せず人民は安楽せず、
と皮肉った山崎今朝弥。思うことが言える世の中なら何も
言う事がない、と言った正木ひろし。痛快極まる彼らの生
涯と寸言。
手塚治虫漫画全集「手塚治虫講演集」をやっと読み終えま
した。これで全400巻読破です。さすがに講演集なので
字ばかりで絵がありません。しかし手塚治虫の著作という
ことではやはり活字の資料も欠かせません。どのような思
いで漫画を描いていたのかが良く判ります。本書の巻末に
は全400巻の収録作品リスト(作品名、収録署名、掲載
年月など)も載っていて重宝します。
今、手塚治虫の作品はこの全400巻をリニューアルして
全200巻に纏めた文庫全集を発行し始めています。これ
には全400巻刊行後に発行された「ピノキオ」や「バン
ビ」などが新たに加わり、また、「ブラック・ジャック」
「三つ目がとおる」「ミッドナイト」などで全集に収録出
来ていない部分も載るなど完全版の全集のようです。また
全200巻(第1期から第4期に分けて発行)を購入する
と全4期で20枚の複製原画が手に入ったり幻の貸本時代
の未発表作品「ロマンス島」(限定本)が特典としてもら
えたりします。マニアにとっては結構そそられる企画です
が1冊が800〜1000円程度するので全200巻で約
18万円程度は必要になるいうことでまだ二の足を踏んで
います。
信濃毎日新聞社発行「蜂になった男」の主人公はハチに魅
せられて世界最長という4.1mの長さのキイロスズメバ
チの巣を作った富永朝和です。これを作るために29匹の
女王蜂の巣を合体させたそうですがこの本ではいかにして
縄張り意識を持つハチを集合させて巨大な巣作りを成功さ
せたのか、同様に通常は古巣を使わないハチに2年越しの
世界最大となる直径2.25mの巨大ハチの巣を作らせる
ように仕向けた方法などチャレンジャー精神旺盛な著者の
挑戦の数々が良く判る一冊です。これらの巨大ハチの巣の
実物展示や蜂の生態などが判るハチ博物館が長野県伊那郡
中川村にあるそうです。機会があったらぜひ見てみたいと
思います。私自身はこれまでにさまざまなハチに刺された
経験がありハチには馴染みがあるのでとても楽しく読むこ
とが出来ました。
4月23日(金)はサン・ジョルディの日です。本と花を
交換しあう風習のようですが、残念ながら「ハロウィーン」
以上に日本では馴染んでいませんね。それにしてもどのよ
うな本を送ったら良いのかさっぱり判りません。ジャンル
の好き嫌いがあるし、好きな分野の本だったら既に買って
しまっているかもしれないのでやはり相手に聞いて贈るの
でしょうか。逆に聞かれても困ります。
普通に買える安い本を買ってもらってもそれほど嬉しくな
いし、とてもポケットマネーでは買えないような高い本が
欲しいとも言いにくいです。因みにこれまで自分の小遣い
で購入したもっとも高い本は『鳥獣人物戯画』4万2千円
です。次が『日本産カミキリムシ』3万4千円ですが流石
に昆虫図鑑1冊でこの値段は趣味が過ぎますね。シリーズ
物だと『大漢和辞典(全12巻+2巻)』『手塚治虫漫画全
集(全400巻)』『和漢三才図会(全18巻)』などをこれ
まで購入していますが実のところはもっと読む時間が欲し
いです。私のもっとも影響を受けた本は向井敏の『本のな
かの本』です。いまは絶版となって古本でしか入手出来な
くなっているようですが当時はハードカバーでも1500
円、文庫本なら600円程で購入できました。単なる書評
集ですが結局この本で紹介された本の大半に当たる110
冊以上を購入する羽目に陥りました。おおよそは読了しま
したが本当に良い本が多数紹介されています。図書館など
での一読をお勧めします。なお後で調べてみたら『本のな
かの本』の古本は50円〜100円で買えます。
出久根達郎著「乙女シジミの味」読了しました。「乙女シ
ジミ」とは可憐な名前ですが「御留」は藩主が捕獲を禁じ
た宍道湖のシジミから転化した名前ということです。この
本は古本屋であり直木賞作家でもある著者の掌編129編
を集めたエッセイ集です。軽妙な読み物の中にもさまざま
な蘊蓄が鏤められています。気軽に読むのに最適です。
文春新書「ハル・ノートを書いた男」は法学博士である須
藤眞志の著作です。日本が開戦に踏み切るきっかけとなった
と言われる悪名高きハル・ノートはどのようにして出来た
のか、その陰にソ連の暗躍があったのか、日米両国の本当
の思惑はどこにあったのか、それらを新資料をもとにかな
りの線まで解明を進めています。それでもまだなぜ一夜に
して日本にとって最も重要な満州の取り扱いが文面から消
えてしまったのかなど謎は残っています。秘蔵されている
資料が発掘されてすべてが解明されることを期待したいも
のです。私のように歴史に弱い者でも良く判る好著です。
ジェフリー・ディーヴァー「獣たちの庭園」は珍しく現実
にあったベルリンオリンピックを舞台にしたフィクション
です。単なる歴史サスペンスとしても、もしくは実在の歴
史への強烈な警鐘メッセージとしても興味深く読むことが
出来ました。1984年ほどではないにしてもドイツ政府
高官暗殺というフィクションを題材にして歴史の悲惨さを
うまく伝えていると思います。『ヴァルタム研究』と呼称
される軍事研究は現実のものかと思えるほど舞台にマッチ
しています。
誠文堂新光出版「隕石の見かた、調べかたがわかる本」は
この分野の第一人者である藤井旭の新刊です。昨年、同じ
著者の「流星・隕石」を読んでいますがそのほかにも隕石
関係の本としてリチャード・ノートンの「隕石コレクター」
や国立極地研究所監修「南極大図鑑」、島正子の「隕石」
なども読んで興味津々の分野ですが、欲しかった本が出た
といった感じです。この本はカラー図版が満載です。日本
の主な隕石(気仙隕石、つくば隕石。田上隕石、白萩隕石、
在所隕石、直方隕石など)について見開き2ページで詳し
く紹介しているだけでなく、隕石の分類、出来方、特徴や
世界のクレーターや天体衝突について要領よく纏められて
いて入門書としては豪華でコンパクトな出来です。誰でも
間違いなく隕石に興味が湧く一冊になると思います。因み
に日本ではまだ50件ほどしか隕石が見つかっていません。
我が神奈川県ではまだ落下隕石も発見隕石もありません。
『神奈川で隕石を見つける』会でも作りたいものです。
個人的興味といった意味では今年のベスト10の上位に
ランクインさせたい一冊ですが、ちょっと趣味に走りすぎ
るのでベストからは外しておきますが、おすすめ本です。
斎藤美奈子著「たまには、時事ネタ」読了です。この本は
「婦人公論」に2001年から2006年に連載された
人気コラムを纏めて一冊にしたものだそうです。世の中の
時事ネタを一刀両断するその手腕は素晴らしいものがあり
ます。とっても共感出来るものがある一方、私の感覚から
すると残念ながらどう見ても偏向してしるとしか思えない
ような切り方も多々目につきます。単に波長が合わない
だけかもしれませんが、違和感がぬぐえないのは山本夏彦
のコラムなどでは両断するにも自分を含めて冷静にみてい
る視点がありますが、どうもこの時事ネタ本を見ていると
自分が一番正しいという事を露ほども疑うことなく自分の
反対意見を独断で斬っているように見えてしまう所です。
落合恵子の本も共感できる所が50%、まったく共感出来
ない部分が50%で私の中では評価が分かれますが、この
本もそんな感じです。期待の割にはちょっと残念な本です。
小笠原京のうれしい最新刊「策謀の重奏」楽しく読みまし
た。蘭方姫医者書き留め帳シリーズの第二弾です。前の
旗本絵師描留め帳シリーズに続くこのシリーズも主役が
変わっただけで江戸の町に起こるミステリーを前長崎奉行
の娘であり蘭方医である主人公が解決していく本格的な
時代小説です。寡作の作家の次の作品が今から待ち遠しい
というのが読後の偽らざる感想です。
阿刀田高著「続ものがたり風土記」読了です。もう何年も
前に購入した本ですが、ずっと積んだままになっていまし
た。著者の短編ミステリーは読みやすいですがどうもこの
紀行・風土記・神話シリーズについては今ひとつ興味が薄
いためついつい後回しになってしまいます。現に「ものが
たり風土記」はまだ読んでいません。読めばそれなりに
蘊蓄満載で興味深い内容もたくさんあるのが判りますが
なかなか進みません。
奥本大三郎訳「完訳ファーブル昆虫記G上」を読み終えま
した。次回のG下発行の12月が待ち遠しいです。残りが
5冊となりましたが無事完結させて欲しい筆頭のシリーズ
です。日本はファーブル生誕の地、南フランスよりも遙か
に昆虫好きの国民のようですが、それにしてもこの本は豪
華です。これまでに発行された他社のファーブル昆虫記を
読んだことのある人ならばこの本の良さが群を抜いている
ことが一目瞭然ですが、説明は懇切丁寧、挿絵や巻頭写真
の充実、補足の解説の充実などなどこれ以上は無いほどの
贅を尽くした作りと内容です。完成の暁には奥本大三郎は
単なる翻訳者としてではない絶大な評価が与えられるもの
と思われます。それほどの偉業だと思います。一方、著者
のファーブル自身はこの本によって一定の評価を得ていま
すが、単なる娯楽読物の著者という位置づけの評価ではな
く、科学的な観点からその研究方法や着眼点のすばらしさ
をもっと評価して良いように思えます。奥本大三郎の描く
ファーブル昆虫記ではこの点でも良く読者に伝えてくれて
いると思います。
中津文彦著「塙保己一推理帖」は江戸を舞台にした盲目の
大学者塙保己一が主人公の推理小説です。中には「観音参
りの女」「五月雨の香り」「亥の子の誘拐」の3編が納め
られています。塙保己一は実在の人物で古文書などを編纂
して、有名な『群書類従』666冊をまとめた人物ですが
この著作ではそれに加えて所謂安楽椅子探偵の役割を持た
た娯楽読物です。実に良くできた時代推理小説となってい
ます。
土屋賢二「哲学塾」副題は「もしもソクラテスに口説かれ
たら」読了です。この本は著者が大学の哲学ゼミで学生と
ソクラテスのテキストを使って講義した内容を本にしたも
のです。愛しているのは身体なのか心なのか、現代にも
通じるテーマをめぐって哲学的なやりとりが交わされてい
ます。哲学は本質を語ろうとするとどんどん掘り下げられ
ていきますが、この対話でははしょっている所がある分だ
けかえって判りにくい部分もありますが、学生との対話な
ので概ね理解しやすい内容となっています。哲学的な議論
の一端が垣間見える一冊となっています。
池田清彦著「環境問題のウソ」はちくまプリマー新書での
刊行です。たぶんこのシリーズ共通の作りだと思いますが
この本の良いところは今時珍しくルビが振ってあることで
す。全部の漢字にルビが振ってある訳ではなくルビを振る
ルールは良く判りませんがまあよしとしましょう。さて、
内容ですが、著者独特の科学書らしくない言い回しについ
ては留保することにして、ルビ付きの本(=子ども向けの
本)らしくなく一般大衆(大人)がこぞって読む価値の
ある環境関連(地球温暖化、ダイオキシン、外来種、自然
保護)についての警告の書であると思います。加えて言え
ば環境問題を利権などの関係で利用している人や団体や
これを煽るマスコミなどに対する警告の書でもあります。
と、こういうことを言うと歴史問題と同じように真面目
な人ほど、『環境対策に金をかけるのに何が問題なのか』
とか『貴重な蝶を採るマニアが悪い』と言って拒絶の
姿勢に回りそうですがいい加減にみんな目を覚まして
素直に著者の発言に耳を傾けても良い時代に来ているの
ではないかと考えます。
「人生気のせい人のせい」は土屋賢二と三浦勇夫の対談
です。それにしても似た者同士の毒舌の対談は笑うしか
ありません。どちらも一歩も引かない言葉の応酬は話術
の勉強になります。因みに土屋賢二は哲学者、三浦勇夫
は精神科医です。
「古本綺譚大増補」は25年前に出た「古本綺譚」に160
ページもの大幅な増補が加わった新刊です。出久根達郎の
初期の作品である本書をその昔に初めて見た時はかなり
衝撃的でしたがいま読み返してみてもなかなか楽しい読み
物です。今回の増補版では葦原将軍が扉写真写真に載って
いるのも興味深いです。
高任和夫著「青雲の梯」は老中田沼意次と狂歌師大田南畝の
2人が主人公のちょっと変わった歴史時代小説です。普通
の小説だと主人公は脇役と密接な関連があるものですが、
この小説では二人の接点がほとんどありません。出自は
ともに下級武士という共通項はありますが、幕閣の最高位
にまでのぼりつめた意次と、国学にも堪能で蜀山人、四方
赤良などの筆名も持つ南畝、さらにエレキテルで有名な
平賀源内も登場して物語が進行していきます。組織と個人
の問題を著者がはじめての時代小説に織り込んだ一冊です。
大久保純一著「カラー版浮世絵」は岩波新書なので気軽に
読めてそれでいて内容が充実しています。私が読むくらい
なので勿論素人向けの入門書です。浮世絵を楽しむための
基礎知識を教えてくれる良い本です。知りたかった値段や
浮世絵の大きさなどのどうでも良い雑学から、浮世絵の
ジャンル(美人画、役者絵、名所絵、花鳥図、戯画、武者絵)
や世相諷刺、見立て絵や当時の販売実体や検閲のしくみ、
彫り、摺りなどの技法(空摺り、きめ出し、布目摺)、ぼかし
の技法などなど様様な基礎知識が身につくとともにもちろん
諸作品を通じて浮世絵が味わえます。70点を越えるカラー
作品は圧巻です。加えて巻末には浮世絵の見られる美術館
や参考文献などが掲載されていて浮世絵にはまる材料が
満載されています。
ヘレン・カルディコットの「狂気の核武装大国アメリカ」は集英
社の新書です。決して面白い本でもなく文学的に素晴らしい
とも思えませんが、この本の凄い所は事実を冷静にそれも
息つく暇も無いほど矢継ぎ早にデータとして次々に提供して
くることにあります。アメリカの核武装に関する実態を知る為
には必読の書です。軍産複合体と政権、マンハッタン計画、
国家ミサイル防衛システム、宇宙戦争計画、コソボ核戦争、
ロッキード・マーチン、ボーイング、レイセオンなどの国防契約
大手受注業者と政治家、献金実態など驚くべき事実がこの
僅か240ページの小冊子に詰っています。
手塚治虫漫画全集399巻目「手塚治虫のマンガの描き方」
をやっと読み終えました。この本は素人の為の漫画講座
という位置づけなので漫画を描くコツが良く判ります。ちょっ
とした所で漫画が役に立つこともあるかもしれません。漫画
を描く為の道具から、顔の描き方、特徴のつかみ方、アイデ
アの選定、ストーリー、構図、動きの表現、背景、四駒漫画
などなど必要なことが漏れなく解説されています。先生を
目指すような方には十分に役立つものと思われます。
開高健/谷沢永一/山野博史著「われらの獲物は一滴の
光り」は開高健著作集から漏れた未収録のエッセイが多数
含まれますのでファンにとっては必見かもしれません。先に
刊行された「一言半句の戦場」と併せて読むと良いかもし
れません。この調子だとまだこれからも未収録を補完する
ような新刊書が出そうな雰囲気です。
ラビ・M・トケイヤー著「ユダヤ・ジョーク集」読了です。この
手のジョーク集を読むのはこれで3冊目です。面白いのも
面白くないのもありますが概ね笑えます。ある程度歴史や
文化に絡んだものがあるので爆笑とまではいきませんが
それらも含めて愉しむことは出来ます。
杉浦日向子著「杉浦日向子の江戸塾・特別篇」読了です。
9人の客人との粋な対談です。章立てをみるとおおよその
内容は想像できると思えるので以下にその一端を列挙し
ておきます。「軽く一杯、が粋な飲み方」「どんぶり物をかき
込んで」「蒲焼は革命的な料理法」「絵師はお江戸の人気
商売」などなど江戸を舞台にしたご隠居さまの講釈と客人
の薀蓄とがすぐそこにあるお江戸を彷彿とさせてくれます。
ジェフリー・ディーヴァー著「ブラッディ・リバー・ブルース」を
読み終えました。映画のロケーション・スカウトであるペラム
を主人公にしたサスペンス物のシリーズです。第一作同様
に事件に巻き込まれた主人公が、今回は犯人はもとより、
重要証人として警察やFBIにも追われ、更には犯罪組織
や事件関係者も様様に関わって来るというなかなか楽しめ
るストーリーとなっています。
五百旗頭真著「歴史としての現代日本」は千倉書房からの
出版です。主に毎日新聞の書評で取り上げられた評論が
纏められた一冊です。章立ては「歴史の中の日本」「20世紀
を生きる人々」「変わりゆく戦後日本」「アメリカという例外国
家」「不実の故郷アジアを求めて」「世界認識のフロンティア」
の6章からなっています。この本を読むと近代歴史がどのよ
うな仕組みで描かれて来たのかの一端を窺い知る事が出来
ます。この分野については苦手な私でもこの書評集が素晴ら
しい出来であることと取り上げられている本が一読に値する
ことがよく判ります。この書評を読んで既に2冊取り上げられ
ていた本を購入してしまいました。お勧めの書評集です。
爆笑問題の「爆笑問題が読む龍馬からの手紙」読了です。
このところ坂本龍馬が人気ですが、この本では龍馬が出した
139通の現存する手紙の中から9通を選んでそれをネタに
して龍馬のひととなりを爆笑的に解析しています。それにし
ても龍馬は筆まめだったということが良く判ります。活動家
で新し物好きな龍馬像が判ります。
太田光著「トリックスターから、空へ」読了です。本の裏には
このような宣伝文句があります。『私は何物なのか−。自分の
居場所を探し続ける爆笑問題・太田光が真摯に綴ったはる
かな思い出や日々の出来事。』太田光のさまざまな独白が
ここに詰っています。
土屋賢二著「教授の異常な弁解」を読み終えました。気分を
変える為には絶好の一冊です。読み流してしまえばそれまで
ですが、この著者のレトリックの仕組みをうまく応用して人生
に生かせたら良いと思います。
出久根達郎「かわうその祭り」読了です。旧満州を舞台の幻
の映画フィルムをめぐり古本屋関係者が奮闘、謎解きに挑む
活劇譚です。著者ならではの紙くずをめぐる逸話の数々も楽
しく読めますが、映画の謎を複雑に入り組んだものにした分
だけまとまりの無い小説になってしまった感は否めません。
映画的手法というか台本挿入についても賛否両論があるかと
思います。著者の初期作品は純粋に文句なしにのめり込め
ましたがここまで凝ってくると娯楽読み物としてはいまひとつ
といったところです。
ジェフリー・ディーヴァー「コフィン・ダンサー(下)」も読み終え
ました。殺人犯コフィン・ダンサーとライムとの知的対決が見
ものです。裏の裏をかく両者の対決は最後に意外な犯人像
と過去のしがらみを明らかにします。最後の最後まで気を許
すことが出来ません。このシリーズは外れが無さそうです。
ジェフリー・ディーヴァー著「コフィン・ダンサー(上)」を読み
終えました。警察の行動を読みきって罠を仕掛ける凶悪犯
と科学捜査専門家リンカーン・ライムとの対決は残り時間と
ともに緊迫感がだんだんに増していきます。電車の中で読ん
でいると乗り過ごしそうになるほどのめり込んでしまう箇所が
随所にあります。科学捜査のノウハウも満載です。
落合恵子著「絵本屋の日曜日」読了しました。子どもの本の
専門店「クレヨンハウス」を開いている著者なだけに紹介され
ている100冊あまりの絵本はどれも楽しそうな本ですが絵本
ばかりは自分で見てみないと良いかどうか判断は難しいです。
興味のある方はこの本を参考に実際に本屋で紹介されてい
る絵本を手にとって見てみるのが良いと思います。
ジェフリー・ディーヴァー「12番目のカード(下)」も読了です。
命を狙われる高校生は無事なのか、140年前の謎は解ける
のか最後まではらはらさせられます。一気に読み終えてしまう
一冊です。
本当に養老孟司は対談が多いです。「虫のフリ見て我がフリ
直せ」は養老孟司/河野和男の対談です。この本は虫好きな
人には嬉しい一冊です。種や属は存在するのか、生態系の
話、進化の話、遺伝子と細胞の話など二人の考え方が判る
だけでなく進化論や生態系について世界の動向まで伺い知る
ことが出来ます。一層嬉しいのは各コラムでこの分野の常識
を易しく解説してくれていることです。個体発生と系統発生など
は具体的なクワガタムシの即して説明してくれていて判り易い
し、ホックス遺伝子、ネオダーウィニズム、工業暗化、平行進
化などなど基本の所をちゃんと説明してくれているところが
われわれ素人にとっては嬉しいです。対談を理解するのに
有効なこのようなコラムがたくさんあることがこの本の良い点
です。お勧めです。河野和男の「カブトムシと進化論」もとても
面白かったですがやはり昆虫や育種といった具体的なモノを見
て言っている発言には説得力があります。
池田清彦/養老孟司の2人による環境問題を論じた2冊目の
本が「正義で地球は救えない」新潮社刊です。生物学者と解剖
学者という組み合わせですがともに昆虫好きという間柄でも
あり息の合った対談は判り易くためになります。環境問題の
本質、エネルギー問題、地球温暖化などのキーワードが従来
とは違った目で眺められるようになります。そのような教育
効果は特にこれまで両著者の著作を読んだことの無かった
読者に特に大きく有効だと思います。多くの方に読まれて
このような冷静な判断が出来る共通認識(常識)が広がること
を期待したい一冊です。それにしても著者の池田清彦の本
は概ねくどくて判りにくい本が多いですがこの環境問題を
論じた本だけはなぜか非常に判りやすいです。
この冬は日本海側で4年ぶりと言われる大雪が続いています
が”地球温暖化”という言葉がこの時期だけはさっぱり聞かれ
なくなるにつけて温暖化に疑問を持つのは私だけでは無いと
思います。もしかしたら私が知らないだけかも知れませんが
”温暖化”は夏の季語で、実は冬は関係が無いのかも知れま
せんが、景気を後退させてまで声高に訴えるCO2削減キャン
ペーンや、生物多様性保護などの運動には疑問が残ります。
この本ではそのような疑問をかなりすっきりさせてくれます。
ジェフリー・ディーヴァー「12番目のカード(上)」読み終えました。
リンカーン・ライムシリーズの一冊です。2006年度のミステリー
部門6位に入った作品のようです。犯人は最初から明かされて
いますが動機については過去の出来事が重大な影響がありそ
うだというだけで謎に包まれています。後半が楽しみです。
ライムものは読んでいると真剣になりすぎて電車を乗り過ごし
そうで私にとっては危ないシリーズです。
丸谷才一「ゴシップ的日本語論」読了しました。この本は著者
が講演や対談、座談会などで発言した内容を中心に纏めた
ものでありこの著者にしては珍しい構成の本です。内容は主に
日本語論ですが思想書や歌舞伎などの対談もあります。一体
に日本語を憂いた有用な視点に溢れた書となっています。
気に入った本があったら読んでみて下さい。
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