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* * * 読書雑記(2012年) * * *
2012年は116冊の本を読むことが出来ました。古典の
名作「神曲」も今頃になってはじめて読みましたが流石に素
晴らしいものでした。今年も読まず嫌いを排して少しでも興
味の持てる本を読んで紹介出来たらと思います。
河出書房新社「神曲(完全版)」ダンテ著やっと読了しまし
た。600頁を超える大著です。聖書の次に読まれていると
いう本だけあって流石に重厚な本であるという印象です。こ
の本を読む前に文庫マンガで「神曲」を読んでおくことをお
勧めします。地獄篇、煉獄篇、天国篇と三部に分かれていま
すが、ほぼ同じ分量があるそうです。地獄篇はイメージが沸
きやすく読み易いと感じました。逆に天国篇は比喩や前提が
多くて膨大な注釈がついていないと何を言いたいのか判らな
い箇所が多々あります。逆に注釈は極めて充実しています。
また、この大部の本の素晴らしい所はイメージが具体的に判
るドレによる挿絵画全135点が収録されており、この本を
購入する決めてとなりました。実は最初は文庫で読もうと思
っていて購入したあとにこの本を見つけて購入したものです。
星新一「きまぐれ星のメモ」読了しました。著者のショート
ショートは随分読んでいますが、この本を読むと著者の違っ
た一面が判ります。随分と過激な一面が窺えて楽しいです。
みうらじゅん「LOVE」読了しました。「LOVE&PEACE」2冊が
揃ってセットなので「PEACE」も近々読みたいと思います。こ
の本は1990年から2003年に掛けての著者のいろいろ
な思いや行動、思想などがテーマごとに生の言葉で表現され
たエッセイ集です。その年年の事件や話題なども掲載されて
いて自身をも振り返ることが出来て興味深いものがあります。
鮎川哲也編「硝子の家」読了しました。本格推理マガジンの
幻の名作特集号です。第二部には「推理小説作法二十則」や
「探偵小説十戒」「必読本格推理三十編」などのおまけがつ
いています。かなり昔にこの「探偵小説十戒」をどこかで見
掛けて買おうと思った時にはそれらしき本が既に見当たらず
ずっと入手出来なかった記憶があります。
土屋賢二「われ悩む、ゆえにわれあり」僅か2日で読了です。
多くの人の悩みに悩み多き著者が答えるという良く出来た人
生相談書となっています。悩みに同情したり叱咤激励するの
が普通のパターンだと思いますが、この本は発想の仕方を変
えることで問題自体を無くしてしまおうというような著者な
らではの回答が多く、普通の相談書では物足りなく思ってい
た人にはもってこいの一冊ではないかと思います。
開高健「ずばり東京」読了です。これもルポルタージュです。
東京オリンピックの時代のルポなので内容的に古い物も多い
ですが、読ませてくれる所も多々あります。解説には文体も
様様に変えた実験的手法を駆使したとありますが、長々とカ
タカナで綴った人間ドック入院記は内容の陳腐さと読み難さ
のダブルパンチで最悪でした。東京タワー展望台、佃の渡し、
上野動物園、縁日、歌声喫茶、屋台、遺失物修養所など時代
を感じさせられるタイトルが多いですがこれはこれで古い時
代の良い記録となっているように思えます。
開高健「声の狩人」読了です。1962年、著者32歳の時
のルポルタージュです。イスラエルでのアイヒマン裁判傍聴
や核実験後のソ連、パリのデモでのサルトルとの邂逅などを
いずれも現場に立ち入っての肉声を描き出しています。開高
健の才能の一つであったルポルタージュの傑作といっても良
いと思います。現地の雰囲気も著者の思いも良く伝わります。
北杜夫「さびしい姫君」も読了しました。北杜夫の本を纏め
買いしていた頃と、北杜夫の名前が忘れられかけている現代
とでは隔世の感があります。題名ではないですが寂しいもの
です。どうなることかと思ったこのシリーズですが、三部作
でやっと結論が出て大団円となったことでほっとしています。
北杜夫「さびしい王様」と「さびしい乞食」を読了しました。
「さびしい姫君」を併せて三部作です。昭和の時代に買いこ
でそのまま積んでおいた本だと思いますが、著者逝去に当り
引っ張り出して来て読んだものです。著者が童話だというよ
うに難しい事は考えずに楽しんで読めば良い本だと思います。
前書きと後書きがそれぞれ6つもあったり、何ページにもわ
たってカタカナの文章が続いたり、そうかと思えばさりげな
く難しい文学的な表現を入れたりして、油の乗っていた時期
の著者のやりたい放題の表現が織り込まれたメルヘンです。
いかにもといった終り方も、物足りなさを覚えつつも納得の
一冊です。御冥福を祈りたいと思います。昔々、どくとるマ
ンボウ航海記や怪盗ジバコを読んだ時の感動を思い出します。
土屋賢二「論より譲歩」読了です。この著者の本は1冊読ん
でおけばあとは皆同じと思っていても大差はないので一冊は
読んでみることをお勧めしますが、何冊も読まなくても良い
かも知れません。しかし、少し笑いたい時やちょっと捻った
物の考え方、話し方を学ぶのには内容が判り易いだけあって
最適かと思います。ハードカバーで買うには勿体ない気がし
ますが文庫本なら買っても良いかといった所です。そうこう
しているうちに気付いたら、これまでに読んだこの著者の本
は数えてみたらこの本が26冊目でした。
10月27日(土)〜11月9日(金)は読書週間でした。
今年も無事、年間読書量100冊を越えました。これは偏に
通勤時間が長い事に依ります。今年これまでに読んだ本は
10ヵ月で106冊、平均価格は1,048円、当然文庫本
も含んだ平均です。月当たり1万円、年間では12万円程の
出費となります。金券ショップの3%割引の図書カードや文
教堂の5%株主優待などを有効に使って少しは節約していま
すが、それでも結構な出費です。本は回転サイクルが意外に
早いので読みたい本は買っておかないとすぐに絶版、品切れ
になってしまいます。そうやって買い溜めした本が現在800
冊程あります。在庫本の冊数については流石に無駄と言われ
そうなので奥さんには内緒ですが、たとえ小遣いが無くなっ
たとしてもこのペースだとあと7年は読めます。
名作「神々は渇く」アナトール・フランスを読み終えました。
なかなかこのような名著は読んでいないので久々に気合を入
れて読みました。フランス革命の動乱時代の一小市民が主人
公です。ふとしたことから裁く側になった主人公の心理状況
が変わっていく様子が克明に描かれています。しかし人生は
一筋縄にはいかず、ある日を境に裁かれる側に転落してしま
うという歴史小説です。革命裁判所自体が変遷を辿ったこと
は歴史に見る所ですが、一市民の側から描いた所がこの作品
のキモかと思います。この本を裏付ける著書として中公文庫
の「フランス革命下の一市民の日記」の併読がお勧めです。
「神々は渇く」の文中で気になったフレーズは以下の箇所で
す。少し長いですが引用しておきます。『エピクロスはいっ
ています。神は悪を阻止しようと欲していてそうすることが
できないのか、悪を阻止することができるのにそうしようと
欲しないのか、悪を阻止することもできずそうしようとも欲
しないのか、或いは悪を阻止しようと欲しており且つそうす
ることができるのか、そのいずれかであるといっています。
神が悪を阻止しようと欲していてそうすることができないの
なら、神は無力です。悪を阻止することもできずそうしよう
とも欲しないのなら、神は無力にして邪悪です。悪を阻止し
ようとして欲しており且つそうすることができるのなら、神
父様、神はどうしてそうしないのですか?』
草思社「子規に学ぶ俳句365日」読了です。このような本
を読むと思わず自分も真似して一句ひねってみたくなります。
しかしなかなかこれはという句は出来ません。それが凡人た
る所以です。
星新一著「ショート・ショートの広場2」を見終えました。
第一作よりも複雑な作りの作品が多く選ばれています。その
代わりといっては何ですがいろんな形式が楽しめてお得です。
星新一が選んだ読者投稿作品「ショート・ショートの広場1」
を読み終えました。流石に選抜作品だけあって楽しめます。
それも御当家の星新一には無いようないろいろなアイデア作
品もあって幅広い層に納得させられるインパクトを持った作
品満載です。2巻目が楽しみです。
三上章「象は鼻が長い」を読み終えました。キプリングの絵
本「ゾウのはなはなぜ長い」と似たようなタイトルですが、
この本は日本語の文法の入門書です。1960年の初版で私
が購入したのが33刷ですから息の長い本です。あまり分類
もされておらず纏まっている様にも見えませんが用例は豊富
です。日本語の特色を良く捉えていることは確かです。日本
語には主語がいらないという論理が腑に落ちる説明が出色で
す。
谷沢永一「山本七平の智恵」読了です。山本七平の著作には
素晴らしい知見が満載されていることは周知の事実ですが、
なかなか全著作に目を通す訳にはいきません。この小冊子は
そう言った意味では山本七平のエッセンスを良く纏めて紹介
している一冊でお勧めです。日本人とは何か、またどのよう
な論理で行動しているのかがよく判る一冊です。
新田次郎の新刊「つぶやき岩の秘密」読了です。今時新刊と
いうのもびっくりです。何といっても生誕100年なのです
から。本の帯によると『山岳小説の巨人が遺したたった一篇
だけの少年小説』だそうです。この「つぶやき岩の秘密」は
何と70年代から80年代にかけてNHKで放送された少年
ドラマシリーズの一つだそうです。この小説については私は
はっきりとは覚えていませんが、同シリーズでは「タイム・
トラベラー」「なぞの転校生」「夕映え作戦」などの名作が
あって、そのシリーズの中でも屈指の名作と謳われたそうで
すので期待が持てます。実際に読んでみると当時ならさぞか
し感動しただろうというわくわくする内容です。流石に今で
はこちらが歳を取り過ぎてしまって少し感動は薄いですが、
それでも良い作品だと思います。もっと昔に文庫にして欲し
かった一篇です。今年の100冊目に相応しい一冊です。
ジェフリー・ディーヴァーの文庫最新刊「追撃の森」を読了
しました。深夜の別荘での殺人事件をきっかけに追われる女
性2人と殺人犯2人の知力を尽くした戦いには当然の事乍ら
驚きの展開が、そしてまた驚きの結末が控えています。著者
のファンであれば早い内に展開の方向が見えているかも知れ
ませんがあまり考え過ぎずに楽しんで読みましょう。それが
正しいサスペンス物の読み方です。500頁を超える大部の
本ですが一気に読んでしまいました。今回も途中で夢中にな
って読み過ぎてあやうく電車を乗り過ごしそうになりました。
阿刀田高「佐保姫伝説」で紹介のあったキプリング「ゾウの
はなはなぜ長い」を読みました。80ページにも満たない幼
児向けの絵本なのですぐに読み終えてしまいました。容易に
想像がつくように象の鼻が長くなった理由が物語のテーマで
す。よく判らないのは物語の最初から最後まで出て来る子象
が何か聞いた時に毎回お尻を叩かれるというそのストーリー
展開です。最後に反対に叩き直すという展開上作り易かった
のかも知れませんが、もっと別の展開もあったのではないか
と思われます。この本で感心したのは解説です。タンザニア
の子ども達が象を描く時に鼻からではなく牙から書き始める
という件です。理由は牙の方が生活に結びついているからだ
そうです。詳しくは絵本を立ち読みでもしてみて下さい。
もうひとつ気になったのは解説の後にある神津カンナの文章
です。物の見方、子どもの教育のヒントがありそうです。
谷沢永一/豊島建吾「日本人の「言い伝え」ものしり辞典」
読了です。人生老病生死冠婚葬祭伝承生活全般に関わる言葉
の語源や用例、叡知などをコンパクトに紹介した一冊です。
確かに多くの言葉が載っていて使い方によっては役立つ面も
ありそうですが、柳田国男の説からの又引きが多く語源に拘
りすぎて実用向きからは少し内容が乖離しています。320
項目も掲載されているので日常で接する用語がかなりの率で
網羅されています。
三島由紀夫の戯曲「サド侯爵夫人・朱雀家の滅亡」読了です。
本の帯には「戦後戯曲の最大傑作」「三島由紀夫の文学・美
術・思想の頂点をなす二大戯曲を併録した初のオリジナル版
文庫」という文字が躍っています。戯曲は良く判りませんが
さすが三島由紀夫だとうならせるなかなか良く出来た戯曲だ
と思います。
草思社「虚子に学ぶ俳句365日」読了です。虚子が作った
俳句が毎日楽しめます。虚子の句を俳人6名が1句を5行程
度で紹介しています。読みどころが判ってさらには作句の手
助けとなるということで俳句を始めてみようという方にはお
勧めです。
短編作家として不動の実力を誇るO・ヘンリーの新訳です。
「1ドルの価値/賢者の贈り物他21編」は著者の多才な作
品を詰め込んだ珠玉の一冊です。当然、名作「賢者の贈り物」
「最後の一葉」も収められています。「水車のある教会」の
ようなほろりとさせられる掌編や「警官と讃美歌」のような
人生とはこんなものという落ちのあるもの、「二十年後」の
ようなしんみりさせられるものなど作風も多彩です。
開高健のルポルタージュ選集「日本人の遊び場」読了です。
とは言っても原本は1963年10月なので、本日時点で何
と既に50年ほどもの時が経過しています。遊び場の種類も
当時では先端だったとしてもいい加減色褪せて来ます。例え
ば先頭にあるボウリング場、更にはパチンコ・ホール、マン
モス・プール、ナイター釣堀、軽井沢、ナイター映画、ヘル
スセンターなど今では話題にもならないようなテーマが取り
上げられています。しかし、開高健の凄い所はこの本の解説
にもあるようにそれぞれのテーマに入る前の導入部の書き出
しの素晴らしさによります。ボウリング場の機能的な明るさ
を際立たせるために、何と床屋に流れる植木等の歌から敷衍
して日本人の侘びしさ、寂しさから説き起こすという快挙を
やってのけます。このルポルタージュの一番の読者が百戦錬
磨であるはずの業界人であるジャーナリストだったというこ
とからも、如何に素晴らしいルポだったかが判ります。
武田邦彦が良い本を出しています。日本文芸社の「「エコ」
社会が日本をダメにする」という本です。僅か1,365円
ですが地球温暖化の嘘、レジ袋追放によるエコ運動の嘘、マ
イ箸運動の嘘、代替えエネルギーとして注目されている太陽
電池にまつわる嘘、外来種排除に関する嘘、などなどおよそ
マスコミや政府や環境団体が大声を上げて推進して来た施策
にまつわる嘘を暴いて判り易く解説している本です。この様
な本が注目されない所に今の日本の問題があるように思いま
す。また、翻ってなぜ今のマスコミは平然と嘘を流し続けて
平気でいられるのかが不思議です。せめて誤報道をしたとき
くらいはちゃんと訂正報道をすべきだと思いますが蛙の面に
何とかです。これだけ言うとこの本こそが怪しいのではない
かと思う方もいるかも知れませんが、この本の著者は科学者
としては一流で、文科省の委員や原子力委員会の委員などを
やられており、この本をみるとどちらが正しいかは一目瞭然
です。発言の根拠が明示されているので検証も可能です。大
いに売れて日本がもっとまともな国になって欲しいものです。
「マンガの深読み、大人読み」はマンガ評論家の第一人者で
ある夏目房之介の99年〜03年頃の評論を一冊に纏めたも
のです。智恵の森文庫から06年に発行されています。主な
見どころは何と言っても第2部の「あしたのジョー」&「巨
人の星」徹底分析です。マンガの解説だけに止まらずに原作
者や当時の副編集長、編集者、アシスタントにまでヒヤリン
グしています。違う角度から捉えた見方を加えることで対象
がより明確に浮かび上がって鮮明になっているように思えま
す。思わず「あしたのジョー」と「巨人の星」の原作マンガ
を買いたくなってしまいました。
集英社新書「百鬼夜行絵巻の謎」は最近の知見に基づいた著
者の検証、考察によって従来信じられていた百鬼夜行絵巻の
系譜を覆すという壮大な謎解きともいえるものです。多くの
絵巻に描かれている妖怪の差異を調べることでその成り立ち
を考察するという着眼点は見事なものです。器物系の妖怪(
付喪神)や鳥獣戯画との相違など興味ある内容盛り沢山です。
これもコンピュータの進歩によって各地にある百鬼夜行絵巻
の画像を短時間に一堂に集めることが出来るようになったと
いったことが大きいようです。科学技術の進歩も目覚ましい
ものがあるので今後は各絵巻の年代測定などの情報も併せた
多角的な知見を知りたいものです。カラー図版も盛り沢山で
豪勢な内容ですが、流石に新書版というサイズが絵巻の絵の
紹介にしては小さすぎて残念な所です。
山本夏彦「笑わぬでもなし」はWACから『山本夏彦とその
時代』と題して全10巻が発売される予定になっている著者
の傑作選集ともいうべきシリーズの第三巻目です。本の帯に
は以下のように本書のタイトル見出しが載っています。曰く
「有名というもの」「つかまえる人とつかまる人」「ダメの
人」「もと美人たち」「人の一生」「沈黙の春」等々です。
語り口と話題の豊富さ、見識の確かさがこの著者の身上です。
是非とも見習いたい文章の手本ともいうべきコラム集です。
池田裕恵と若木保育園の共著「5歳児、みんなで富士山に登
る」を読了しました。今年も8月末の日曜日から月曜日にか
けて恒例の卒園登山が実施されたそうです。今年はひとりも
泣く子も出ずに無事に行事は済んだようです。この本では、
この富士登山を中心に、それに至るまでの年少時からの保育
の方針やら日頃の鍛錬の様子などいろいろなことを記載して
ています。世間でも最近見直されて来ている「体を動かす」
事を教育方針としている園の取り組みが良く判る一冊です。
「なんでも鑑定団」で有名な中島誠之助の「ニセモノ師たち」
を読み終えました。これまで知りませんでしたが何冊か骨董
に関する本を出しているようです。この本の面白さは著者が
本気で贋物と対峙している姿勢です。ここでいう贋物とは我
々素人が簡単に騙されるようなニセモノでは無くて、玄人で
も騙されるようなその道のプロが気合を入れて造った贋物で
す。お決まりの著者が騙された話も載っていてかなり楽しめ
ます。まあ素人であぶく銭を持っていて儲けようなどという
人は骨董には手を出さないのが無難なようです。
PHPサイエンスワールド新書、塚本勝巳著「ウナギ大回遊
の謎」を読み終えました。新書なので945円とお得な値段
ですが、内容はウナギ回遊の謎に迫る最新の知見が詰まった
ウナギ好きな人には必見の一冊です。2012年6末初版で
す。ついに見つかった天然卵と成魚のカラー写真をはじめと
して産卵場所であるマリアナ海溝付近のスルガ海山附近捜索
の図解ポイント、ニホンウナギの日周鉛直運動や耳石解析に
よる生後日数の特定方法など興味ある話題が満載です。
名著「間取りの手帖」読了です。変な間取り満載です。我々
一般人からみてどこが面白いのかといった間取りの本ですが
文章のあるページよりも間取りだけを掲載したページの方が
圧倒的に多いというこの本は迷著かも知れません。佐藤和歌
子著、リトル・モア出版の薄い冊子です。
米原万里「言葉を育てる」は各界の著名人との対談集です。
林真理子、児玉清、養老孟司、辻本清美、糸井重里、田丸公
美子が対談相手です。対談のテーマは「歴史のなかで言葉を
育てる」「通訳ともの書きの大いなる違い」「本の数だけ違
った人生がある」「成熟社会のための処方箋」などです。こ
れらのテーマのいくつかを見るだけでおおよその内容は察し
られるのではないかと思います。対談相手も内容もバラエテ
ィに富んでいて濃い一冊に仕上がっています。
坂口尚著「石の花(中)」読了です。他民族国家ユーゴを舞
台とした紛争がこの漫画のテーマです。既にパルチザンVS
チェトニクによる内戦状態にあるユーゴに対して進軍を進め
るドイツは悪意ある対立の構図を演出して各民族を分離独立
させようと企図します。対パルチザン山岳戦は長期化し、圧
倒的な物量により本格的な掃討作戦が開始され戦闘が激化し
ていきます。大量難民は生死を掛けたネレトバ河の強行突破
による脱出を図ります。
杉浦日向子「新装版入浴の女王」読了です。読みたかった本
でしたが、内容はシリーズの他の2冊に比べると砕け過ぎて
私にとっては今一つです。それでもこのように長年絶版とな
っていた本が新装版として出ることは嬉しい限りです。
出久根達郎「古本・貸本・気になる本」を読み終えました。
この著者にこのような内容の掌編を書かせたら充実した一冊
が出来ることは確実ですが、この本の第一部と第二部は我々
素人にとっては少しマニアック過ぎる所が多くて感心は出来
ても関心は今一つ沸き切れません。その点、第三部は書評と
して良く出来ていると思います。このパートを読んで新たに
ネットで本を買ってしまいました。
村山斉「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」を楽し
く読みました。この本の良い所は宇宙の大きさやら太陽の寿
命などを明確に示してくれる所や、我々が疑問に思うような
所を判り易いたとえで解説してくれている所です。全篇を通
じて宇宙の最先端をこんなにも判り易く示してくれている本
は他にありません。また、まだ判っていないことや我々素人
には理解出来そうもないことはあっさりと飛ばしてくれてい
る所も好感が持てます。なまじ難しい説明をしてくれても残
念ながら結局判らないので、飛ばしてくれた方が良いです。
内容は「なぜ夏は暑くて冬は寒いのか」から始まって「なぜ
太陽は燃え続けていられるのか」「見えない星をどう見つけ
るのか」「ブラックホールと暗黒物質」「膨張する宇宙」「
素粒子」「宇宙の未来はどうなるのか」などです。
池田清彦「構造主義進化論入門」読了です。原本は1997
年12月に出版された「さよならダーウィニズム」です。そ
の本も読んでいますが15年も経ってタイトルも変わってし
まっているので思わず買ってしまいました。タイトル通りの
初心者向けの本なので我々素人でもだいたい内容は判ります
が著者が目の敵にして攻撃しているダーウィンの進化論でさ
えも真剣に読んでいる訳でもないので、ネオダーウィニズム
の崩壊は自明という主張や、構造主義と従来の説との違いな
どについてはっきりとは了解出来ないのは残念です。元々の
進化論が進化は徐々に進むと言ったという事を断片的に捉え
て、段階的な進化を唱えている構造主義とは大きく異なると
いう事が大きな違いのようですが、ダーウィンだって進化が
完全にアナログで徐々に進化していたと考えていたかどうか
は良く判りません。普通に考えたらデジタルでもその幅がど
の程度かという違いではないかと素人としては思いますが、
恰も鬼の首でも取ったかのようなプロローグの論調はその後
の章の出来栄えを考えた場合には残念と言わざるを得ません。
阿刀田高の「遠い迷宮」は短編ミステリ選集です。さすがに
良い短編を集めています。すべて一度は読んでいるはずです
がもうかなり忘れてしまっています。夢中になって読んでい
たら帰宅途中で読み終わってしまい乗り継ぎ駅から先で読む
本が無くなってしまいました。急遽駅前のNEWDAYSでたまたま
見つけた本が同氏の「佐保姫伝説」です。12の短編が納め
られており、いろいろな種類の短編が楽しめます。特に気に
なった「象は鼻が長い」という短編は、そのタイトルの元に
なった「象は鼻が長い」という本と参考文献の「ゾウのはな
はなぜ長い」の2冊もあとで購入してしまいました。
坂口尚著「石の花」は漫画本ですが上、中、下巻それぞれが
3000円もする大部の本です。何かの書評で紹介されてい
た本です。5民族が住み、4つの言語、3つの宗教があり、
2つの文字が使われている連邦国家ユーゴ。ソ連への奇襲の
序曲に、ドイツ、そして枢軸国が侵攻を開始する…。坂口尚
版「戦争と平和」、不朽の超大作という謳い文句を裏切らな
い必見の書です。
和竿や釣りに少しでも興味を持ったことのある人であれば老舗
「東作」の名前をどこかで聞いた事があるのではないかと思
います。この「東作」六代目となる松本三郎が和竿の歴史、
竹という素材、竿作りのあれこれを聞き書きという形で残し
てくれました。「竹、節ありて強し」には今では貴重となっ
た竹竿作りのあれこれが詰まっています。カラーの口絵を見
ていると本当に和竿は芸術品だと思えます。なぜ良い竿が我
々一般庶民にはとても手の出ないような高価な値段がついて
いるのかについても判りやい説明が書いてあります。
「ここはボツコニアン」はゲーマー宮部みゆきの新作です。
本書は2010年8月から2011年8月まで連載されたものを第一巻
として単行本に纏めたものだそうです。原作は「小説すばる」
に連載中とのことですので今後も続々と続編が出て来ると
思われますが、どうもこのような手なりに作られた宮部作
品は今一つ出来が悪いように思えます。「ドリームバスター」
もハードカバーが第4巻まで出たと思ったらぱったり途絶
え、コミックやら新書やらが第何巻まで出るといった訳の
判らない状態となっていてハードカバー読者としては不信
感が高まったままです。宮部みゆきも焼きが回ったかと思
われるほど最近は不作です。
杉浦日向子「新装版呑々草子」読了です。長々と絶版にな
っていた本の新装版での発行は超嬉しいです。なお、我々
素人には絶版も品切れも重版未定も本が入手出来ないこと
では変わりがないので絶版と言いましたが実は単に手に入
らなかっただけかも知れません。この本は著者と編集者の
ポアール・ムース・モリヤマ、通称「ポ」が全国各地に気
の向くまま、実は深遠なる独自のテーマを持って出掛け、
レポート体験をするという紀行記の体裁ですが、解説によ
れば昔の黄表紙を彷彿とさせるような所があると言ってい
ます。たしかに文章も書けてそれに合った挿絵も描け俳句
も入っているような総合芸術化したこれだけの本が書ける
のにちっとも肩に力が入らず自然体でいられるというのは
戯作者たる著者の本領発揮かもしれません。内容としては
仮想正月と題して伊勢二見浦での日の出、大島三原山での
あんこさん姿、巣鴨とげぬき地蔵、泉岳寺、飛騨裸祭り、
高速バス「はかた号」を利用したバスツアー乗り継ぎでの
博多までの往復とんぼ返り、タイトルはトライバスロン、
鵜飼、三池炭鉱での月見、などなど馬鹿な企画を超真剣に
計画、実行する二人が妙に楽しいです。
呉善花「「見かけ」がすべての韓流」読了です。この本は
2008年8月に文春文庫として出版された「韓流幻想」
を改題、改訂したものです。本のタイトルが変わってしま
った為に「韓流幻想」は既に読んでいるのに買ってしまっ
た一冊です。実は「韓流幻想」は「日韓、愛の幻想」を文
庫化に際して改題したものなので、パクリのパクリで名前
だけ変えて売っているというこの業界ではよくある商法だ
と思っています。結局、騙された方が悪いという事です。
売る方側の言い分はおそらく、出版社も変わって判り易い
タイトルにしたというだけだということだと思いますが、
ネットで注文してしまったりすると、あとがきまでは見れ
ないので買ってしまう事がよくあります。やはり買う側か
らしたら悪い題でも、一度付けたタイトルは絶対変えない
で欲しいものです。どうしても新題を付けたければサブの
タイトルで原題を残して欲しいです。
池田清彦「生物多様性を考える」は中公選書から出されて
いるためになる読み物です。学術書ほど固くはなく一般向
けに判り易く書かれた本です。この著者の本は構造主義の
専門分野になると非常に判りにくくくどい論理をこねくり
回しますが、環境関係の本は良く纏まっていて一般常識や
マスコミが口にする嘘を明確に指摘して痛快です。さてこ
の本ですが、そもそも生物多様性とは何かから説き起こし
て世間で一部のマスコミや環境論者が大騒ぎしている議論
に警鐘を鳴らしています。判り易いのは大型動物で愛らし
い生き物は保護するといって大騒ぎする一方、昆虫などの
一般にはあまり世間受けしない生物に関してはマスコミや
環境論者は冷淡だということ一つでも態度が公平でない事
を明確にしています。共感することの多い本です。
三島由紀夫の文庫はほぼ全冊読んでいますが、この本は初
見です。平成22年に初文庫化だそうです。当時の雰囲気
がたっぷりのエンターテインメントです。今から見ると古
い時代感は否めませんが、三島特有の心理描写は真骨頂の
発揮といったところです。20歳の女子大生の恋愛によせ
る思いと行動があらぬ方向に向かって行く様は興味深く読
めます。ファンには楽しめる一冊だと思います。
ミシェル・ド・モンテーニュ著「エセー3」は宮下志朗訳
で白水社から出版されています。全7巻ですがまだ4巻ま
でしか出版されていないのがちょっと気掛かりです。内容
は箴言、格言、人生の叡知です。この著者の凄い所は古今
東西の書籍を博捜して「良心について」「書物について」
「実地に学ぶことについて」などのテーマをいろいろな面
から賛否含めてコメントを加えていることです。
鈴木孝夫「言葉のちから」読了です。一般にはあまり知ら
れていない作家ですが慶応義塾大学の名誉教授であり言語
社会学、文化意味論、外国語教育が専門だそうです。とは
いっても一般向けに書かれた読みやすくてためになる本が
沢山出版されています。この本もそのような一冊です。こ
の著者の主要なメッセージの一つは『世界に日本語教を広
めよう』というものです。日本は一貫して世界(中国、西
洋、アメリカ)などから知識の良いとこ取りをして発展し
て来ましたが国際相互理解のためには、世界でも十指に入
る大言語である日本語、日本文化を世界に広げることが大
事だという主張です。また、日本人の英語教育についても
重大な警鐘を鳴らしています。本当に英語が必要な人には
集中教育をする一方で、必要のない人には英語教育などは
必要ないというものです。日本語の未来を見据えた重要な
発言がこの本には詰まっています。多くの人、といっても
我々一般人ではなくて為政者や教育関係者の主要人物がこ
のような意見をもっと真摯に耳を傾けるべき類の本です。
岩谷テンホー「大盛!!みこすり半劇場猛烈」読了です。
ぶんか社の漫画は全国の書店にて大好評発売中と謳ってい
ますが近くの書店では見掛けたことがありません。この本
も常にネットでチェックして購入していますが、バックナ
ンバーも含めて置いてある書店が欲しいですね。
阿刀田高の傑作短編集を2冊読みました。『白い魔術師』
と『甘い闇』です。集英社文庫から出された著者の分野別
の選集です。テーマは順に「ペダンティズム」「男と女」
です。過去の多くの短編から選んでいるだけあってどれも
感心させられる出来です。著者の本をこれから読む方も既
に多くの著作を読んだ方も楽しめる一冊です。このシリー
ズ物は全5冊の様です。
杉浦日向子「新装版東京イワシ頭」を早速購入しました。
現在の流行りものを突撃レポートする著者とポアール壌の
活躍が見ものです。隅田川七福神、高級エステ、人面魚、
東京宝塚劇場、大相撲東京場所、ストリップ劇場と二人の
怪しいイワシ探索は留まるところを知りません。自然体で
何気ない風のエッセイですが解説の小泉武夫はエッセイの
見本の様な高著とべた褒めしています。
役者、山崎努の「柔らかな犀の角」読了しました。この本
を買うまで知りませんでしたが山崎努は相当な読者家でも
あり「週刊文春」に「私の読書日記」連載を6年以上も続
けているそうです。この本はその連載を纏めて一冊にした
ものです。役者というだけあって主な関心はやはり人に向
かっていて、いろいろな人がどのような考えでどのような
行動を取るのかを自身の経験を踏まえて書き記しています。
そういった意味で本も択んでいるのでいろいろな著者のい
ろいろな分野の本が登場します。巻末の書名索引、人名索
引、映画・演劇・テレビタイトル索引などが交友の広さ、
視野の広さを物語っています。
杉浦日向子の本は大体読んでいますが、品切れや絶版とな
ってしまった何冊かがまだ読めていません。ネットで検索
していたら今度、講談社文庫から新装版という形で「東京
イワシ頭」「入浴の女王」「呑々草子』などが出版される
ようです。もれなく買い込みたいと思います。
「異性」はテレビで紹介されていた本です。直木賞作家の
角田光代と歌人の穂村弘の2人による異性をめぐるトーク
は一傾に値します。我々はこんなにも異性のことを誤解し
ていたのかということが良く判る書面での対談です。普通
の対談ではなくて相手が書いた内容をもう一人が見てから
今度は自分の意見を書くという変わった対談のため、内容
も良く考えられていてどのように考えているのかが良く判
るようになっています。ちょっと見には表紙なども派手で
軽い本に見えますがじっくりと読んでみるのに最適です。
内面か外面か、おごられ女と割勘女、変化と固定、好きな
らば許せるか好きだけど許せないか、などなどトークのテ
ーマもさまざまです。
村田喜代子「人が見たら蛙に化れ」文庫本の新本を入手し
ました。今や大型書店を見渡してみても在庫切れとなって
いる本ですが、ジュンク堂の各支店の在庫を見ていたら何
と全国に3箇所だけ残っている箇所があります。たまたま
我が家の子どもが大阪までライブを見に行くという話があ
ったのでこれ幸に大阪ジュンク堂にある「人が見たら蛙に
化れ」を買って来てもらいました。超ラッキーです。泊っ
た宿から電車で10分程で行ける距離だったようで幸いで
した。出久根達郎が紹介している本だけあって中身は古物
に関するお宝発見をめぐる興味を引く小説です。古九谷、
元禄人形、柿右衛門手、ハタ師、月兎文、金継ぎ、瑠璃釉、
李朝民画、などなど興味深い用語もいろいろと出て来ます。
古物商や盗掘師から見た業界の内幕を面白く描いています。
米澤穂信「ふたりの距離の概算」は古典部シリーズ最新刊
の単行本です。今回は神山高校古典部への唯一の新入部員
大日向をめぐる謎解きです。なぜ仮入部したのに退部届け
を出したのか、神山高校恒例のマラソン大会星ヶ谷杯を走
りながら主人公、折木奉太郎が推理を巡らします。ゴール
にはちょっぴり切ない結末が待っています。
山内泰延「男子高校生の日常E」が出ました。深夜テレビ
アニメは既に終わってしまいましたが漫画本で読めるのは
何よりです。一気に読了です。子どもと一緒に笑えます。
ちくま文庫「千夜一夜物語B」は大場正史訳です。やっと
3巻目読了で170夜です。全11巻は長いです。それで
も物語は単調では無くて読み甲斐はあります。
「続まんが能百番」はその名前の通り渡辺睦子のこのシリ
ーズの続編です。前作と同様に楽しめます。勿論、能を見
たことはこれまで一度もありませんが、この本のような絵
と簡単な解説をみていると、能を見たくなって来るから不
思議です。漫画自体がとても楽しく描けているのでそれだ
け見ていても楽しめます。前作と合わせると200本もの
能の概略が判るというこのシリーズは優れ物です。少しで
も興味のある方は必見の一冊です。
米澤穂信の神山高校古典部シリーズ第四弾「遠まわりする
雛」読了です。学園物のミステリーとしてお勧めです。省
エネをモットーとする主人公、折木奉太郎が古典部部長の
千反田えるの依頼で地元の「生き雛まつり」に参加するが
手違いからか道順が遠回りに変更される。このちょっとし
た行き違いが気になる千反田の疑問を折木が解き明かして
いきます。他に誰もいないピアノ教室から聞こえるピアノ
の音にまつわる怪奇譚、手造りチョコレート事件など連作
短編集はどれもひとひねりが利いていて、流石に宝島社の
『このミステリーがすごい!』の作家別得票数第一位に輝
く作家、米澤穂信の人気シリーズだけあって納得の一冊で
す。現在出ている古典部シリーズはここまでが文庫で5冊
めはまだ文庫が無いのでハードカバーを購入しました。
養老孟司/奥本大三郎/池田清彦の3人に蟲の話をさせた
ら止まりません。虫好きの大家3人の手になる昆虫採集の
本「ぼくらの昆虫採集」は今や一般受けすることは無いと
思いますが、絶対に昆虫の本として後世に残る名著となる
こと請け合いです。本格的昆虫採集の本として必要なこと
は網羅されています。少しでも興味のある方は手に取って
みることをお勧めします。
倉橋由美子の「大人のための怪奇掌篇」は昔一度読んだ事
がありますがその時は「倉橋由美子の怪奇掌篇」という名
前でした。読み返してみてやはりこの著者の掌編の素晴ら
しさを実感しました。作りも内容も様々な怪奇譚が堪能出
来ます。
米澤穂信の神山高校古典部シリーズ第三弾「クドリャフカ
の順番」読了です。このシリーズは読み始めるとなかなか
止められません。第四弾までは文庫、第五弾はハードカバー
が既に出ているそうです。
夜中にやっているアニメ「氷菓」につられて米澤穂信の原
作本を読み始めました。アニメのタイトルと同じ「氷菓」
が1作目、そして「愚者のエンドロール」が2作目です。
高校古典部に入部した折木奉太郎が数々の謎解きをしてい
くという青春ミステリです。主人公を補佐する古典部のメ
ンバーとしては親友の福部里志、物事にこだわりをみせる
千反田える、里志の友達伊原摩耶花がいます。定番の密室
ナゾを解き明かす第一話に始まり、「氷菓」という古典部
の文集のバックナンバー探索の謎解き、「氷菓」に秘めら
れた三十三年前の事件の核心に迫る謎解きなど短編連作が
興味深く読めます。「氷菓」は文庫本、TVアニメのほか
にもDVD化やコミックスなども出ています。最近はこの
ように各種メディアで同時に販売するケースが目立ちます。
NHK出版「100年の難問はなぜ解けたのか」読了です。
この本はポアンカレ予想を解いた天才数学者ペレリマンが
数学界でのノーベル賞ともいわれるフィールズ賞受賞を拒
否、1億円にものぼる賞金も受け取らないという前代未聞
の事態を追ったドキュメントですがNHKスペシャルでの
特集のため品が良い半面、衝撃性が薄らいでしまって淡々
と調査が進められていくところが少し物足りない気がしま
す。数学的な解説については我々素人にはもとより判りま
せんが、そこも極力判らせるように易しく解説されていま
す。もっとも判っている人が判らせるように纏めたもので
はないのでそこも迫力不足です。ともあれこの難問は数学
界だけでなく宇宙の構造解析に迄影響するそうなので大変
重要な成果のようです。また機会があればポアンカレ予想
について書かれたもっと専門的な本を読んでみたいと思い
ます。
キネマ旬報社の本「宮崎駿」を見ていたらアニメ「風の谷
のナウシカ」は実は原作のほんの一部しか使っておらず、
原作はもっと壮大な世界を描いたものだとあります。これ
までアニメは何度も見ていて感動していましたがスケール
が遙かに大きな世界を描いているということを知ってしま
った以上は原作を見ないわけにはいきません。そこで急遽
ネットで原作漫画全7巻を購入しました。〆て3000円
弱です。読んだ実感としてはやはり良かったというしかあ
りません。巨大産業文明滅亡後1000年、人類は僅かに
残された居住可能地点に点在している。ペジテ市のアスベ
ルと腐海から脱出したナウシカ。そのころトルメキア戦役
が勃発し、ナウシカは古い盟約によってトルメキアの第3
皇女クシャナ軍に従軍することになった。これらが1〜2
巻の粗筋です。アニメとはだいぶ違いがあります。その後
マニ族の僧正との邂逅、青き衣の伝説の予言、王蟲と共に
森に同化しようとするナウシカ、大海嘯の進行、ヒドラや
巨神兵の復活、トルメキア王の政略、腐海の出来た意味や
旧世界復活の世界戦略の解明へと物語はクライマックスに
向かって息もつかぬほどのスピードで進行していきます。
各巻の巻頭にはポスター様のカラー差し込みとともに地図
が何巻かに記載されています。ナウシカも軍隊も粘菌もが
壮大な移動を行う物語なので地図も重要なアイテムです。
キネマ旬報社によるキネ旬ムック・フィルムメーカーズE
「宮崎駿」は何と養老孟司編集責任という異色の一冊です。
宮崎駿のアニメ史に果たした役割、思想世界、現代へのメ
ッセージ、その魅力など宮崎ワールド満載のファン必見の
一冊です。初期作品未来少年コナンからルパン3世カリオ
ストロの城、風の谷のナウシカ、天空の城ラピュタ、とな
りのトトロ、魔女の宅急便、紅の豚、もののけ姫までの個
別の解説も入っています。カラーページも16頁あります。
「チーズはどこへ消えた?」は2400万部売れたそうで
すがその著者であるスペンサー・ジョンソンによる「頂き
はどこにある?」が今回のテーマです。はっきり言って
前作に比べてインパクトは無いし、伝えたいメッセージも
随分説教臭く面白みに欠けます。しかし、真面目に成功の
為のヒントとして真正面から受け止め実践すればそれなり
に役立つ教訓が多数含まれているようににも思えます。
あまり積極的にはお勧めしませんが立ち読みしてみる程度
の価値はあるかと思います。
新潮選書「要約世界文学全集1」を読み終えました。これ
までこのような著明な文学というのはほとんど読んでいま
せんでしたが、このような要約を読むと名作には名作なり
に長く読み継がれる理由があることが判ります。今後は少
しは古典名作も読んでみようと思います。
「チーズは探すな!」を読了しました。どこかで聞いたこ
とがあるようなタイトルだと思いますが、それもそのはず
です。「チーズはどこへ消えた?」「チーズはここにあっ
た!」「チーズはだれが切った」など似たような本が多数
あります。今回の本のテーマは『変化は受け入れているだ
けでは駄目であり、自ら変えようという意識の変革が大切
である』という一語に尽きるかも知れません。次に読み始
めている「頂きはどこにある?」もこの系統の本です。
またやってしまいました。高任和夫「江戸幕府最後の改革」
は「青雲の梯」を文庫化したものでしたが、新刊だと思っ
て買ってしまいました。760円は勿体無いので仕方なし
に読み始めました。企業小説を得意としている著者の新し
い分野開拓です。江戸幕府を巨大企業とみなせば同じ企業
小説と言えないこともありませんが、やはり時代小説です。
田沼意次と戯作者の大田南畝の二人が主人公です。南畝も
有名人ですが、所詮は徒歩という下級武士です。その南畝
と老中まで登りつめた田沼意次とは何の接点も無いように
思えますが流石に”歴史時代小説に大型新人”と謳われた
著者に掛るとこの組み合わせにも不自然さがありません。
司馬遼太郎「歴史と視点」を読み終えました。本の裏面に
は『時代の諸相を映し出す歴史の拍動をとらえつつ、積年
のテーマ”権力とは””日本人とは”に迫る独自な発想と
自在な思索の軌跡』とありますが、この本を読んで記憶に
一番残ったのは本の前半にある戦時の日本の脆弱な戦車を
通して日本人全体、あるいは日本の軍部の考え方を語って
いる所です。このような生の声がこの著者から聞けること
は貴重だと思います。珍しい視点での文化論です。
『風呂で読む』シリーズの一冊である「風呂で読む俳句入
門」をネットで購入しました。著者は坪内稔典です。どこ
かで聞いた名前だと思っていたら以前に読んだ「河馬めぐ
り(日本全国カバに会う)」の著者でした。とは言っても
実は「漱石俳句集」の編者をはじめ多くの俳句関係の著書
を持つ俳人です。ということで期待して風呂に入りながら
読みましたが、今一つですね。風呂で読むシリーズでは既
に「一茶」「李白」「芭蕉」「西行」「漱石の俳句」「漱
石の漢詩」「子規」などを読んでいますが、すべて真面目
にそれぞれの代表作の紹介やら解釈を載せてくれて大変に
読み応えのある本になっていて繰り返し読むのに堪えられ
ますが、「風呂で読む俳句入門」はふざけた本です。少な
くとも著者は真剣に入門書として書いているとは思います
が、完全に「河馬めぐり」あるいは「河馬の馬鹿」のノリ
で書かれた本です。著者の言わんとする俳句入門の要点が
判らない訳ではありませんが、期待していたもっと真面目
な入門書とは雲泥の差があってがっかりです。
呉善花と竹田恒泰との対談「日本人て、なんですか?」を
読了しました。ご存じ呉善花は韓国生まれの日本通ですが
竹田恒泰は明治天皇の玄孫で皇族や憲法に詳しいようです。
東日本大震災をきっかけにして日本人の国民性が改めて諸
外国から評価されていますが、そのような話を中心に日本
の良さを歴史を踏まえて語り合っている本です。対談とい
うことで呉善花の持ち味に新味が加わって興味を持って読
むことが出来ましたが、竹田恒泰が今ひとつです。呉善花
の発言の方がよほど日本人らしい所があって、単に頷いて
いるだけといった局面が目立ちます。ちょっと残念です。
宮部みゆき著「刑事の子」読了です。最近は本のタイトル
から装丁からすべてがリニューアルされて違う出版社から
復刊されることが多いので読んだのか読んでいないのかは
ネットで購入してみないと判らないことも多くなって来ま
した。この本は『東京下町殺人暮色』を改題したものです。
流石に昔の本は94年に読んだ本なのでもうすっかり内容
も忘れていて新たな気持ちで読むことが出来ました。題名
の通り刑事の子どもが友人と一緒に連続殺人事件を解いて
いくサスペンス推理物なので若手向けに題名も変更したと
いった所かも知れません。
谷沢永一著「名言の智恵・人生の智恵」をやっと読み終え
ました。購入してからもう7年以上です。著者もその間に
亡くなりました。この本には古今東西の珠玉の言葉が紹介
されていますが物凄い読書家で博識家であった著者ならで
はの一冊となっています。論語、荘子、老子、孫子は当然
のことながら東郷、勝海舟、漱石、親鸞、道元、沢庵、楠
福沢、武蔵、聖徳太子、貝原などなど様々な先人の今に役
立つ言葉が紹介されています。ちょっと内容が詰まり過ぎ
て重たいですが読み解いていけばより深く味わえそうです。
顔の半分以上が顎という、なんともユニークな風貌の仙波
阿古十郎。通称“顎十郎”。北町奉行所の窓際族でありな
がら、ついつい大江戸の町で起きる事件に首をつっこみさ
らりと解決。そのくせ手柄は人に譲ってしまう。久生十蘭
が創造したカッコいい名キャラが都筑道夫の手で甦った。
そんな解説が都筑道夫の「新顎十郎捕物帳」についていま
すが、元祖久生十蘭の「顎十郎捕物帳」を今回楽しく読む
ことが出来ました。買いだめはしておくものです。出版社
は朝日文芸文庫ですが現在品切れで入手出来ないようです。
同様に「新顎十郎捕物帳」も品切れですが古本ではいずれ
も山ほど出回っているので読むのには困らないようです。
新本は1200円で購入しましたが古本では半額程度で入
手出来ます。こんな読みごたえのある捕物帳でも今の時代
にはそぐわないのか新本が入手出来ないのは寂しいです。
アンソニー・ドーア「シェル・コレクター」は本屋で見掛
けて面白そうな予感がして購入した本です。予想に違わず
独特の雰囲気を持った作品群が納められています。盲目の
シェル・コレクターの不思議な生涯を描いた主題作をはじ
めとしてフライ・フィッシングを材にしたものなどどれも
雄大な世界を描き出しています。久しぶりに良い世界を見
せてくれた本に出会った気がします。
山口椿の比較的近著の書き下ろし「おとなの国語」を読了
しました。この著者を知る人はこのタイトルをみて少し首
を傾げるかも知れませんがそこは流石にこの博才の著作が
裏切るようなことはありません。期待通りに名作をだしに
したエロチカの秀作となっています。帯には安吾、漱石、
荷風、サルトル…退廃的で甘美な超訳15編とあるように
原作の雰囲気だけは生かした上で特有な世界を構築してい
ます。言葉の使い方、作り方のまさに芸術的です。この著
者のファンであれば多分絶賛の著作だろうと思います。
山下景子「暦を楽しむ美人のことば」読了です。この著者
の本は以前に「美人の日本語」を読みましたが、今回の本
はその姉妹編のような本です。季節を時期ごとに分けた二
十四節気と七十二候が気候の語源となっているようですが
この本ではこれらの時節の解説とさまざまな季節の言葉を
紹介してくれています。とても参考にもなり季節がこれま
でよりも何倍も楽しめそうな気がします。春一番、名残雪
、桜狩り、風薫る、初鰹、初蝉などの言葉に関する蘊蓄が
惜しげも無くこの200ページ程の本に詰まっています。
ずっと前に買った阿刀田高「チェーホフを楽しむために」
をやっと読了しました。この著者のミステリ色のある短編
についてはほぼ100%読んでいますが、「XXXを知っ
ていますか」「XXXを楽しむために」の類の本は買った
ままであまり読んでいません。歴史、地理、名著などに余
り関心がないためこの手の本ははっきり言ってあまり楽し
くありません。そうは言ってもこの本1冊でチェーホフが
少し判った気がするのでなかなか要点が纏まった良い著作
だとは思います。個人的には文豪チェーホフしか意識して
いませんでしたが実はチェーホフは戯曲に関する顔の方が
重要視されているようで、この本でも後半半分は戯曲に関
しての解説となっています。判り易い入門書です。
土屋賢二「猫とロボットとモーツァルト」はずっと前から
この著者の未読本の一冊として気になっていましたが入手
することが出来ないでいましたが、ジュンク堂でたまたま
見つけて購入したものです。著者の有名なお笑いエッセイ
とは違ってこの本は著者の本業である哲学者としての評論
をまとめた一冊です。とはいっても我々一般読者にも何と
か少しは判りそうな内容のものを纏めたもののようです。
しかし、哲学的な思考に馴れていない私にとっては決して
読みやすい本ではありませんでした。哲学の基本テーマの
一端が判る本です。存在の問題、時間とは何か、知覚とは
何か、誰もいない森の中で木が倒れたら音が出るか、どう
して赤色だと分かるのかなどのテーマそのものがおかしい
のではないかと思われるような事が哲学の基本的な問題に
なっているようです。何が問題なのか、どのように考えた
らよいのかなどの手引を示してくれていますが、それでも
当然論旨は難しく、読むのも楽ではありません。普段触れ
ることのない哲学が少しだけ判った気になれば良いのかと
思っています。
夏目房之介「漱石の孫」は漱石の孫が本格的に漱石の孫と
しての評論を纏めた本として記念すべき一冊です。漱石論
の一端だけでなく、房之介として取り組んできた漫画論を
漱石の文学論と対比させながら紹介しているくだりは一読
値すべきだと思います。純文学ではなしえなかった世界へ
の日本文化の発信として漫画が担ってきた役割を早期から
理解して著したこの本は著者ならではの著作です。
出久根達郎「大江戸ぐらり」は安政大地震を題材に地震に
遭遇した人々の喜怒哀楽を描いた物語です。またこの地震
の見聞録という形での物語です。あとがきを含めた全篇が
良く出来た読み物となっています。このような手法は初期
の短編集からみられる著者の話藝のうまさです。
宮部みゆき「おまえさん(下)」も読み終えました。生薬
屋に関係する3件の殺害事件のきっかけとなった二十年前
の事件を調べることで事件の真相、犯人に迫っていく同心
とその仲間たちの活躍により事件の意外な犯人が浮かび上
がります。大詰めでは緊迫した展開が待っています。章の
タイトルが「おまえさん」から下巻では「残り柿」「転び
神」「磯の鮑」「犬おどし」などと変化していきますが、
最終章までが一連の事件です。
哲学者である土屋賢二の近著「幸・不幸の分かれ道」を読
み終えました。いつものお笑いだけでなく真面目に不幸を
減らすための物の見方、考え方を説いています。珍しい事
です。著者の主張の主眼は「人生は無意味だ」「能力を伸
ばせ」「歴史に学べ」「目的を持て」などの良く言われる
言葉を鵜呑みにせずに冷静に考えれば人生そんなに捨てた
ものではないという結論も出て来るという有難い教えです。
茶化して書いてはいますが真面目な提言だと思います。い
ろいろな事で悩んでいる人は一度手に取ってみることをお
勧めします。
山内泰延「男子高校生の日常CD」も読了です。笑えます。
我が家では大受けで本だけでは飽き足らずDVDも早晩購
入する予定です。笑えるギャグを求めている人にお勧め!
宮部みゆきの近著「おまえさん(上)」文庫本の方ですが
読了しました。それにしても単行本と文庫本の同時発売と
いうのは驚きです。いかに宮部みゆきの本が売れるかとい
うことですね。私もどちらを買おうか、どちらも買おうか
悩みましたがこんなに有名になってしまったら単行本でも
古本になる頃には価値が上がることはなく、結局捨てられ
るだけだと気が付きました。単行本の方が字が大きいので
老眼になった時に読み直すには単行本の方が有利かも知れ
ませんが、そんな先に読み直すかどうかも怪しいものです。
本筋は薬屋の主人殺害の謎を本所深川の同心である平四郎
が仲間や若くして謎解きの才能を遺憾なく発揮する甥御ら
と事件を解決していくという『ぼんくら』「日暮らし』に
続く謎解き捕物シリーズの最新刊です。後篇が楽しみです。
池田清彦「そこは自分で考えてくれ」は予想以上に納得出
来た一冊です。テレビの『ほんまでっか』で最近は頓に有
名になった著者は本業の構造主義進化論を語る際には時に
結構難解な議論となってうんざりしますが、この本は我々
素人にも判り易く主張が良く理解出来ます。現在の主流と
思われるルールに異を唱えている主張も多いので人によっ
ては受け付けない人もいるかと思いますが、個人的には多
くの主張が同意できる内容です。法的規制と少数派の権利、
人口問題、食料問題、エネルギー問題、暴走する正義、国
家は何のためにあるのかなど多くの問題提起がされていま
す。著者の素晴らしい所はちゃんと科学的なデータを示し
て独自の見解を判り易く示している所です。多くの人に読
んで欲しい本です。
山内泰延著の漫画「男子高校生の日常」@〜B読了です。
なんでこんな本を読んでいるかというと深夜にやっていた
同名のアニメで大笑いしていた我が家の子どもに@〜Dの
5冊も買わされただけで読みもしないのは勿体ないので読
んでいるものです。子ども達にはバカ受けです。今時の高
校生の生態が実にリアルに捉えられているそうですが残念
ながら私はそこまでは笑えません。ジェネレーションギャ
ップは大きいです。因みにアニメの方が楽しいです。録画
して見てみることをお勧めします。
田川研「虫屋のみる夢」読了です。虫屋の本音がいろいろ
聞けて虫屋でなくても楽しい一冊です。この著者の良い所
は北杜夫のようにユーモアがあるところですがこの本でも
その長所が遺憾なく発揮されています。今回は主に蛾や蝶
の話題が主なのでこれらを気持ち悪いと思う人は見ない方
が良い本です。
故山本夏彦が主宰していた室内編集部が長い歳月をかけて
編んだ「住まいと暮らしの質問室」はやはり良い本です。
609回、50年余り続いた長寿記事1200篇の中から
厳選した235本にまた7年の歳月を掛けて加筆訂正した
問答集が面白くないはずがありません。プロは100行で
説明しろと言われればその中で過不足なく出来るのがプロ
であると確か山本夏彦がどこかで言っていたと思いますが
この本がまさにそれを体現しています。短い回答のなかに
我々素人にさえも十分に判るように意を尽くして説明され
ています。質問内容の主な章タイトルは工事・構造、職人
と道具、内装、建具、塗装、材料、木材、設備、キッチン
トイレ、家具、家電・照明、維持管理、外装などです。
米原万里「マイナス50℃の世界」はハードカバーの時に
買おうかと思って止めた本ですが文庫になったのを期に買
って読みました。僅か120ページほどの薄い冊子の様な
本の上に写真が多いので1日で読了です。世界で一番寒い
地域といわれるヤクート自治共和国でのマイナス50度の
生活の一端を描いたドキュメントです。初めて知りました
がこの温度になると車は滑り止めのチェーンなどが不要と
なるそうです。不思議に思えますが摩擦熱で滑る所が寒過
ぎてすぐに凍ってしまうという状態だそうです。同じよう
にスケートも春になって暖かくなって来ないと出来ないそ
うです。恐るべき寒さです。
杉浦日向子「杉浦日向子の江戸塾笑いと遊びの巻」を読み
終えました。まったく惜しい人は早く逝ってしまいます。
まるで江戸の人のように江戸のことを知っている人でした。
今回は対談相手も錚々たるメンバーです。奥本大三郎、田
中優子、小泉武夫、田辺聖子、和麻人、石川英輔などなど
です。江戸の暮らし、笑いと川柳、遊び、食などが良く判
る一冊です。
竹内久美子「同性愛の謎」読了です。普通考えたら同性愛
であれば子どもが出来ずに、同性愛が遺伝的な影響であれ
ば自然と淘汰されていくはずなのに同性愛者は一定の割合
で存在し続けるのはなぜなのか。動物行動学の第一人者が
その謎に迫る一冊です。いろいろな統計データや多くの学
者による最近の研究で明らかとなって来た考え方が紹介さ
れています。しかし、今回のこの著書は何だかまとまりが
無く、本論に持っていくまでがだらだらしていて読ませる
力がありません。著者の今迄の本に比べ評価は今一つです。
日垣隆「ラクをしないと成果は出ない」はだいぶ以前に購
入しましたが、結局読む前に文庫が出てしまいました。仕
方なしにこのたび文庫を買って読みました。ビジネスだけ
でなく生活していく上でも貴重なヒントが盛り沢山です。
いろいろな分野の著書を著すだけでなく有料メルマガでも
顧客を引きつけるという多才な作家です。
東京大学名誉教授でもある佐藤勝彦著「ますます眠れなく
なる宇宙のはなし」読了です。実はこの本の前作はまだ見
ていません。この本には人類の究極の謎である「地球以外
の宇宙には生命はいるのか」という謎にせまる考察、ヒン
トが盛り沢山です。地球生命の起源、火星の地下に生命は
生存しているのか、第二の地球になる可能性のある星の条
件とはどんなものか、地球外生命との交信についてなど具
体的な項目について判り易く考察されています。はやぶさ
ブームに乗って宇宙が脚光を浴びている昨今、時宜を得た
良い読み物となっています。
山口椿「長安淫舞楼」読了です。この著者にエロスを語ら
せたら右に出るものはいません。官能小説の雄大さ、奇抜
さでも群を抜いていますが、隠語の用語の使い方の多様さ
は天才的です。そのような意味では大変勉強になる一冊で
す。
祥伝社新書「手塚治虫「戦争漫画」傑作選」を読み終えま
した。「紙の砦」「ゼフィルス」「女郎蜘蛛」など7編が
載せられています。手塚治虫の社会へのメッセージ色が色
濃く現れている戦争漫画集成です。手塚漫画をあまり見て
いない人にはお勧めです。
開高健の「人とこの世界」読了です。解説の佐野眞一によ
ればこの本は開高健のノンフィクションの最高傑作だそう
です。広津和郎、きだみのる、大岡昇平、武田泰淳、金子
光晴、今西錦司、井伏鱒二などとの対話と随想などが組み
合わさった内容の濃い本です。各作者の作品論や人物描写
などについても著者ならではの観点から縦横に論じられて
います。
広田千悦子「おうちで楽しむにほんの行事」を読み終えま
した。七草、豆まき、菖蒲湯、端午の節句、潮干狩り、七
夕、打ち上げ花火、スイカ割り、お月見、紅葉狩り、焼き
芋、柚子湯、年越し、除夜の鐘など年間行事や風物詩がの
ほほんとしたタッチの絵と解説で紹介されています。古い
人なら常識的な話ばかりですが、伝統が失われつつある昨
今では年間行事を簡単に知る貴重な一冊となります。料理
や行事の手順の絵が他の書籍ではなかなか見掛けない有益
なポイントです。
あのお札でお馴染みの新渡戸稲造の「修養」読了です。全
500ページ超の本は分厚いです。その名の通り精神修養
の心掛けを色々な局面で説いた本です。平易な言葉で書か
れているので非常に判りやすいです。現在でも真摯に耳を
傾けるべき教訓がたくさん含まれています。まんべんなく
纏まっていて良く出来た本です。
今や呉善花は日本人を超えた『良き日本を理解している』
貴重な言論人として存在しています。今回読み終えた本は
「日本復興の鍵 受け身力」ですが、多くの人がこの本を
読んで「日本の底力」「美しい精神力」などの日本の良さ
を再認識する必要があります。この本では歴史や民俗学や
景観、生活様式、美意識、宗教、皇室などいろいろな角度
から日本という国柄を描き出しています。我々日本人はな
かなかこのような視点で自国を見直すということがありま
せん。この本で言われている内容がすべて的を射ているか
どうかは判りませんが多くの示唆を与えてくれることは確
かです。先ずは読んで次には考え、今の日本の停滞感を少
しでも払拭するような活動に一人でも多くの人が当たって
いくようになることが期待されるところです。
池田清彦著「さよならダーヴィニズム」読了です。日本で
は進化論を信じている人が大多数ですが、米国ではキリス
ト教の教えと矛盾しているということで信じていない人が
結構多いそうです。一般に我々が信じているのはダーヴィ
ンが唱えた説の派生したものですが、この説では説明しき
れない生物や現象がいろいろと現存しています。それらを
説明出来るとした説の一つに構造主義進化論と呼ばれるも
のがあります。「ほんまでっかTV」で最近頓に有名とな
っている池田先生がこの説の推進者です。構造主義進化論
の本格的な議論はこの本では現れて来ません。一般向けに
書かれた本なので比較的判りやすいですが、それでも結構
理屈っぽいところがあって著者の構造主義進化論に関する
本はやはり判りにくさが抜け切れません。私の様にある程
度生物学に関する一般書を読んでいる人間でも判りにくい
くらいなので、門外漢にとってはダーヴィンの説との違い
がもっと判らないのではないかと思います。素人にも瞬時
に理解出来るような説明に期待したい所です。
岩谷テンホー著「みこすり半劇場踊り食い」読了です。お
色気4コマ漫画です。新年早々から大いに笑わせて戴きま
した。下らないといえば大いに下らない漫画ですが気分転
換にはおおいに役立つこと請け合いです。500話ほども
まとめて読めて僅か420円ですがすぐに品切れになるの
で楽しみたい方は早めに購入する必要があります。古本で
もなかなか入手できないのが難点です。
ジェフリー・ディーヴァーの「スリーピング・ドール」が
文庫本で上下2冊で出ました。文教堂の株主優待5%割引
を使って購入しようと思って待つこと一ヶ月、やっと書店
の店頭に並びました。有隣堂やジュンク堂などでは発売と
同時に平積みされているのにあまりにも遅すぎます。どう
みてもこのあたりが文教堂の売り上げの伸びない理由です
ね。待てなくて他の書店で買った本を思い返してみると、
今更ながらその多さに驚きます。ところでこの「スリーピ
ング・ドール」ですが、ライムシリーズ物ではじめてとな
る心理捜査官が主役となって登場するミステリーです。二
転三転するスピード感あふれる展開で800ページを超え
る大作なのにあっという間に読み終えてしまいました。他
人を心をコントロールする天才である脱走犯ぺルの奇妙な
行動とこれを読み解いていく心理捜査官との攻防が見もの
です。次の著作の文庫子化が早くも待ち遠しい現状です。
気に入った本があったら読んでみて下さい。
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