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* * * 読書雑記(2013年) * * *



2013年は溜め込んでいた分厚い本を多く読んだ所為か
近年では珍しく読書数が年間100冊以下に留まりました。
来年も楽しめる本を1冊でも多く紹介出来ればと思います。

養老孟司の近著を2冊が今年の読み納めです。「バカの壁
のそのまた向こう」「日本のリアル」の2冊です。最近の
著者の関心は森林、手入れ、田んぼです。「日本のリアル」
は主としてこれらの話題についての対談です。世の中には
精力的にこれらの再生や振興に力を注いで効果を上げてい
る事例があることが良く判ります。「バカの壁のそのまた
向こう」は著書のエッセイ集です。秋のサクラ、ラオスの
連休、虫採りは続く、健康と私、浮世の義理、寒い春など
という軽いテーマでのエッセイです。環境問題を考える上
でのヒントがあちこにありそうです。         

池田清彦「ナマケモノに意義がある」読了です。蟻を観察
していると働きアリの何割かはさぼって働いていないそう
です。しかし、そのアリを取り除いてしまうと今度はまた
別のアリが働かなくなってしまうそうです。逆に一生懸命
働いているアリを排除してしまうと、今まで怠けていたア
リが働き始めるそうです。このように自然は不思議に満ち
ていますが、アリの目に近い目を持った著者の目を通して
世間の常識に対して独自の見解を述べています。結構納得
出来る部分がある一方で、やはり成功者にありがちな強引
な論理展開の所もあって、同じ虫屋の養老孟司の論理展開
などに比べるといま一つの感はあります。もうひとつ残念
なのは、この本がちょっとまとまりを欠いている点です。
これは目次にも表れていますが内容が冗長です。    

開高健「白いページ」には白いページと、続編の白い白い
ページが含まれています。いずれもエッセイ集です。初篇
から40年、著者没後24年も経っているので既に言説が
古びているところもありますが、著者独特の言葉の使い方
は一読に値するものがあります。飲食、釣り、その他あり
とあらゆる物事への深い造詣の一端を覗くことが出来ます。
6年にわたる連載、600ページを超える大著です。  

五十嵐貴久「リターン」は10年前に「リカ」によって連
れ去られた本間隆雄が遺棄された事件が発端となって新た
な事件が展開していきます。リカ事件を追っていた刑事の
行方が判らなくなったことを契機にして捜査班の女性刑事
2名がリカにも劣らぬ執拗な探索に乗り出します。前回の
「リカ」でもそうですが、今回の「リターン」も一番怖い
のはエピローグの数ページです。果たしてホラーサスペン
ス大賞を受賞した「リカ」を超えることは出来るのか注目
です。                       

原田マハ「楽園のカンヴァス」とそれに関連して新潮社の
「新潮美術文庫33ルソー」を併せて読みました。前著は
本屋さん大賞にも選ばれ、山本周五郎賞も受賞するなど既
に評価は定まっていますが、読んで良かったと思わせる一
冊です。画家ルソーの描いた幻の名作「夢をみた」を巡っ
て謎の書を手掛かりにルソー研究家2名による推理ゲーム
が展開されていきます。様々な組織の思惑や愛憎劇まで絡
んで絵の真贋がどうなるのか、絵の行方はどう決着するの
か興奮しながらページを繰ることになります。我々素人に
は画家ルソーといわれても馴染みがありませんが、きっと
あなたもこの本を途中まで読んだ段階でルソー作品が気に
なるはずです。そんな人にお勧めなのが「新潮美術文庫 
33ルソー」です。税抜き1100円程の薄い冊子ですが
ルソーのカラー作品30点以上と解説が見られます。  

丸谷才一「思考のレッスン」読了しました。この本は「本
の話」に平成10年5月号から平成11年3月号まで連載
されたものを纏めた本だそうです。聞き手の質問に答える
形で著者の思考形態を解析していこうとする意欲的な一冊
に仕上がっています。目次のレッスン1〜6を紹介すれば
内容がほぼ判ると思います。順に示すと@思考の型の形成
史、A私の考え方を励ましてくれた三人、B思考の準備、
C本を読むコツ、D考えるコツ、E書き方のコツのように
なります。著者の評論やエッセイなどを読んでいる人には
判るかと思いますが、いずれも発想が斬新です。一見奇抜
な説を披露しますが、そんなこともありかもしれないとい
う論理づけがあります。そのような発想法を解析してみよ
うとした話なので、いろいろとためになる考え方を理解す
ることが出来ます。おまけにこの本では歴史的仮名遣いを
していないので読みやすいという利点があります。   

田母上俊雄「ほんとうは危ない日本」読了しました。尖閣
諸島が何かと問題になっていますが、政府の対応をはじめ
中国の野心と狙い、日本の国家戦略としての防衛などなど
元防衛幕僚長である著者ならではの具体論を展開していま
す。国民の多くが読むに値する好著です。危機感の無い日
本に活を入れる一冊です。              

ロアルド・ダール著/開高健訳「キス、キス」読了しまし
た。解説はダールと同じ短編の名手である阿刀田高です。
全300ページ程の中に11篇の短編が収められています。
いずれも名品と言いたいところですが、阿刀田氏の評価で
は「女主人」「天国への登り道」「牧師のたのしみ」の3
篇が一押しということで私もこれには同感です。これに加
えて著者のブラック精神溢れる逸品として「誕生と破局」
を上げておきたいと思います。            

短編の名手サマセット・モーム著「アシェンデン」は英国
秘密情報部員の手記の副題にもあるように著者自身がスパ
イとして活動した体験をもとに書き下ろした自伝ともいえ
るものですが、そこは文学として脚色してあるためどこま
でが真実なのかは判りません。面白い部分もありますが、
本格スパイ物に比べると全体的には少し退屈な内容です。

宮部みゆき責任編集の「宮部みゆきの江戸怪談散歩」読了
しました。著者の怪談にまつわる名所紹介、作家北村薫と
の怪談対談、著者の怪談2編、著者が推薦する怪談2編と
いう怪談づくしの一冊です。             

最近どうも寝不足です。よくよく考えてみると寝る前に読
んでいる「楽園のカンヴァス」これが原因のようです。た
いていの本では2〜3ページも読むと寝てしまいますが、
ページを繰る手が止まりません。まだ読み終えていません
が前評判通り興味をそそる一冊です。         

ジェフリー・ディーヴァー「ポーカー・レッスン」読了で
す。著者の本は長編が多いですが、この本は短編集です。
長編の主役であるリンカーン・ライムものも入っています。
16篇の短編はいずれもどんでん返しなどの趣向を凝らし
たもので、このような短編集を読んでしまうと一流の作家
というものの格の違いを感じさせられます。我々凡人には
たとえ1篇でもこのような書き物は出来ないなあと痛感さ
せられますが、日本の推理作家のみなさんには是非ともこ
のような素晴らしい推理小説を書いて欲しいと思います。

出久根達郎「隅っこの四季」読了しました。91年頃に、
はじめて著者の「猫の縁談」や「古本綺譚」を読んだ時の
衝撃は今でも忘れられません。これは面白いと思ったもの
です。早いものでそれから既に20年以上が経ちさすがに
今では衝撃はありませんが、心安らかに読めるエッセイが
楽しめます。日常の何気ない風景や風物が見開き1枚か2
枚の掌編で味わえます。お題は三年日記、福豆、絵手紙、
瓢箪、センブリ、やぶがらし、百年前の柿、円本漱石など
などです。                     

養老孟司「庭は手入れをするもんだ」読了です。前半1/3
は信頼感、親孝行、「自我」や「個性」は聞き飽きた、人
事の世界と花鳥風月の世界、リスクの計算?、脳の中の幽
霊、エネルギーから考える人、などと題したエッセイから
成ります。次には本タイトルの「庭は手入れをするもんだ」
と題して森林の保護の話がされています。本の後半部分は
著者と京大名誉教授の竹内氏、作家の天野氏との鼎談です。
話題は森は明るくなければならないと題して森林保護、活
用の話がされています。「日本に健全な森をつくり直す委
員会」なる団体で実際に森林再生、活用の活動をされてい
るようです。付録にはこの委員会の政府への第二次提言書
が掲載されています。東日本大震災を踏まえた極めてまじ
めな提言書となっています。構成メンバーにはC・W・ニ
コル氏やドナルド・キーン氏なども入っています。   

奥本大三郎「完訳ファーブル昆虫記第8巻下」惜しみ乍ら
ゆっくり味わいながら読んでいましたが読了してしまいま
した。9巻上が出るのは来年半ば以降だったと思いますが
今から待ち遠しいです。本当に良く出来たファーブル昆虫
記です。こんなに贅沢な本はありません。       

呉善花「虚言と虚飾の国・韓国」読了です。メディアやマ
スコミは時に虚報を流します。また政治家や評論家も時に
偏った意見や報道を平気でします。そのような人たちに共
通しているのは世論や風潮に迎合して大きな声で言い張る
ことです。反対に歴史を虚心に見詰め記録を丹念に見直し
て事実の裏付けを元に淡々と真実を追求し提示してくれる
一握りの学者や著作者がいます。韓国済州等生まれであり
ながら長年にわたって真実を追求し、たとえ韓国に不利と
なろうとも正しいと思う主張をし続けている著者は尊敬に
値します。この著者を信じられる根拠はこの本を見ても判
るように出典の根拠を明確にしていることです。またどう
みてもこれらの出版物を理由に家族の葬儀の時にも韓国に
入国させない韓国という国に正義があるとは思えず冷静に
みるならば、著者の言い分が正しいことをそのことが逆に
裏付けているといるといえます。歴史認識については互い
の国が証拠をすり合わせて学術的にすべきものだと思いま
すが、韓国側は政治的にしか対応しないようで誠に残念で
す。経済や学術方面、文化交流で両国間のわだかまりを抑
えようという動きもあるようですが、日本という国がもっ
と諸外国に対してどのように外交を進めるかプロジェクト
チームを作って真剣に対応策を考えていくのが重要だと 
この本を見てあらためて実感しました。        

ジャック・フィニー編「時の娘」読了しました。前にも一
度別の編集で「時の娘」を読んでいるのでこの短編に限っ
ていえば二度目です。SFの短編集ですがこれまであまり
知られていない短編や新約が多く含まれているので読んで
見る価値はあるかと思います。個人的な評価では良いもの
が半分、どうみても判りにくくて評価出来ないのが2割と
いったところです。                 

土屋賢二「哲学者にならない方法」読了です。著者が一流
の哲学者になった理由は依然不明ですが、生い立ちや学生
時代の生活の一端が垣間見える自伝風エッセイです。尤も
これまでの著者のエッセイを何冊か読んでいる人から見る
とこの本に載っていることが果たしてどこまで正しいのか
はなはだ疑問です。笑えるエッセイ集と比べるとこの本は
ほとんど笑えないので、きっと少しは真面目に書いている
のかとも思いますが、振りかもしれないので判断は留保し
ておきます。                    

星新一「できそこない博物館」は著者が作品にしなかった
もしくは作品にまで昇華出来なかったアイデアのメモを惜
しげもなく公開したものです。各アイデアとそれにまつわ
る当時の思いや、作品化出来なかった理由などさまざまな
考察付きです。普通、このようなアイデアメモはめったに
流出することがありませんのでとても貴重です。ショート
ショートに興味のある人にとっては、普通の作品集以上の
珠玉の作品集といえると思います。          

ジュール・ルナールの「博物誌」は名著の評判が高いです
がこのたびやっと通しで読んでみました。いろいろな動植
物を詩のような短い寸評で特徴を描きだした点で通常の読
み物とは一線を画しています。取り上げられている題材は
家鴨、鳩、牝牛、驢馬、蚯蚓、蝸牛、蜘蛛、蛍、葡萄畑な
どおよそ70種類ほどもあります。文庫で220ページ程
の冊子なので1種類が平均3ページ程の掌編です。中には
驢馬(ロバ)…『大人になった兎』、蛇(ヘビ)…『長す
ぎる』というたった1フレーズで終わっているものもあり
ます。有名な所では、蝶(チョウ)…『二つ折りの恋文が
花の番地を探している。』などの優れた詩的表現にも出会
えます。                      

渡部昇一「逆説の時代」をやっと今頃になって読みました。
文庫化されたのが1998年なので、この手の本であれば
普通はもうとっくに賞味期限が切れている所ですが、流石
に渡部昇一の代表作だけあって今でも十分に警鐘を鳴らし
続けて止まない本です。気概を忘れかけている日本人全員
に今一度読んで欲しい本です。最近では諸外国からの圧力
に屈して節を曲げる政治家や、妄言を鵜呑みにして自ら何
も調べずに阿諛追従する情けない日本人が増えていますが
確たる歴史の事実を丹念に調べて本質をえぐり出し的確に
述べたこれらの評論には一見の価値があります。    

養老孟司「解剖学教室へようこそ」は1999年に購入し
たまま本棚の隅に今まで寝ていた新書サイズに近いB6版
の本です。大きな字で行間も余裕をもって取られた高々 
200ページ程の薄い冊子です。タイトルもそうですが中
身もパラパラとページをめくると当然の事ながら解剖図や
骸骨、臓器の図などがたくさんあってちょっとすぐには読
みたいと思わないような作りの本です。しかし、ちゃんと
読んでいくと良く判りますが、この本は我々素人や青少年
に人体のことについて実に判り易く解説してくれている啓
蒙書だということが判ります。養老孟司の本は対談が多い
ですが、この本は著者が脂の乗り切った時代に書いた数少
ない書き下ろし本です。心と体の関係や物の見方について
まで言及している一読の価値のある内容のある本です。 

出久根達郎「西瓜チャーハン」は何気ない草草を綴った短
編集です。タイトルもその内の一つの話題です。幅広い話
題を扱っているため一言で概括することは出来ません。参
考までにタイトルの一部をあげておきます。キャラメル、
トトロの家、手提げ、卵、鯉のぼり、びっくり水、背広、
せんだご汁、ベーゴマ、力餅、追憶の「汽車」、手紙の面
白さ、歴史を作る者などなど多岐にわたっています。  

阿刀田高「こころ残り」は昔一度読んでいますがすっかり
忘れて再度購入してしまったものを読み直しました。良く
出来た短編集です。                 

雷でパソコンが壊れて1カ月の余もHPの更新が出来ない
間に16冊も読書が進みました。           

池田清彦の「不思議な生き物」読了です。「トゲトゲ」と
いう変わった名前の昆虫の話題から6億年前の不思議な生
き物、最古の光合成生物シアノバクテリア、哺乳類は北に
行くほど巨大化するというベルクマンの法則、不死身な生
物と言われるクマムシ、DNA・遺伝子・染色体・ゲノム
のちょっと難しい話、細胞の分裂と再生、寿命、免疫、擬
態、進化と遺伝の話、発生プロセスなどなど易しい話と難
しい話が混在している生物雑学です。難しいところは流し
て読めば結構楽しめる読み物です。          

阿刀田高「悼む力」読了です。第一章はタイトルに沿った
亡き人々への追悼・追憶の文章です。井伏鱒二、色川武大、
中島敦、新田次郎、星新一、藤沢周平、松本清張、米原万
理、そして阿刀田高本人などなどの錚々たるメンバーです。
知っている人にしか書けない内輪話、思い出が詰まった話
ですがその作者の勘所にも触れており我々読者にも参考に
なる話も多数含まれています。第二章は生死に関連したエ
ッセイです。第三章は「読書が培う悼む力」となっていま
すが話題は一変しています。ちょっと本のタイトルに結び
付けるのは無理があります。どちらかというと言葉遊びに
類する話題を幾つか述べたに過ぎないものです。著者には
既に「ことば遊びの楽しみ」という好著があるのでここで
のエッセイは余禄みたいなものだという感じがします。 

湯川豊編「安楽椅子の釣り師」には12名の釣り好きな著
者による珠玉の短編が編まれています。山本素石、高橋治、
開高健、井伏鱒二、夢枕獏、幸田露伴など穏当な選択がな
されています。これらの名前を見ただけでおよそどのよう
な内容か推察がつくと思います。この本も釣りに行けない
雨の日の楽しみに備えておいて損のない本です。    

今ではもう忘れられはじめているかと思いますが北杜夫は
かつては多くのヒット作を生み出しました。その当時著者
の既刊となっていた文庫本はほとんどすべて購入しました
がいまだに何冊かは読んでいません。そんな本の一冊が 
「マンボウ百一夜」です。昭和の時代の発行日なので既に
25年もの時が経っています。この本は著者のエッセイを
まとめたもので旅行記があり、家族の話があり、著者自身
の話があり、その他の雑談ありと何でもありの一冊です。
やっと読み終えた本ですがありのままの北杜夫が垣間見え
て、著者を偲ぶには適切な本かと思います。      

星新一「夢魔の標的」は本の帯にある通り待望の復刊です。
出版社は一度文庫にしたら責任を持って絶対絶版にはしな
いで欲しいものです。ハードカバーは無理でも文庫本位で
あれば何とかなるのではないかと思いますが絶版、品切れ
が多すぎます。そのような理由で読めていない著者の文庫
もまだ残っています。「夜明けあと」「きまぐれ暦」「殿
さまの日」なども早く復刊してくれることを新潮社には期
待しています。                   

星新一「つぎはぎプラネット」は著者の入手困難作品、書
籍未収録作品を洗い出して一冊としたファンには嬉しい本
です。実はまだ「気まぐれスターダスト」も買ったまま読
んでいませんが、これをさらに補足した一冊だそうです。
最近の定形化された星作品とは一風変わった内容のものも
ありますが、それだけにいろいろな味が味わえる一冊です。

形の文化会編「脳がつくる形」巻頭には養老孟司の論文が
載っています。題名は「脳化する都市」です。この論文を
はじめ多数の人が脳や形にまつわる論文、エッセイを掲載
しています。「後背火焔文様考」「自然の形と人工の形の
相即性について」「黄金の音楽構想」「複素素数のパター
ン」「形と表層」「大衆性と芸能性」「補助線の文化論」
などなど結構、理解が難解な議論続出です。      

R・D・ウイングフィールド著「夜明けのフロスト」は創元
推理文庫ではなく唯一、光文社文庫です。おまけにこの本
は他の著者6名のミステリーも含んだクリスマス・アンソ
ロジーです。かなり良く選ばれた短編集です。     

出久根達郎「春本を愉しむ」読了です。題名からして外で
読むのははばかられるような本ですが、実は中身は性の古
典とも言うべき本ばかりなので、興奮するというところま
でいくのは大変です。かなり現代語に翻訳してくれていま
すがそれでも意味を解釈するのがやっとで、おまけに現代
のような性の氾濫時代にこの本をみても穏やか過ぎてどこ
で興奮したら良いのか迷うようなエロ度です。たまにはこ
のような文学臭たっぷりの春本を眺めるのも勉強になるか
も知れませんが、楽しむまではとてもいけそうにありませ
ん。因みに出版元は新潮社、新潮選書の一冊です。   

半藤一利/宮崎駿の対談本「腰ぬけ愛国談義」は2013
年8月出版の近著です。映画「風立ちぬ」の話題が沢山盛
りこまれています。宮崎が映画で戦争の場面をほとんど描
かなかった心情の一端が吐露されていますが、個人的には
物足りない思いでいっぱいです。かゆいところに手が完全
に届いていないのは映画同様、この本そのものも私からす
ると本のタイトル通り「腰ぬけ〜」そのものです。   

菊地康人「敬語再入門」は前著「敬語」の簡易版といった
位置づけの本です。しかし、構成の仕方はがらっと変わっ
ていて、この本の前半200ページ程はQ&A形式の一問
一答形式となっています。後半100ページ弱には敬語の
腕試し、敬語便利帳、敬語ミニ辞典、関連文献、索引とい
う付録が付いています。これはこれで便利な一冊となって
いますが、本当は前著「敬語」の簡便版、これだけ覚えて
おけば一通り敬語がマスター出来るというものが欲しかっ
たのですが本屋を探してもなかなか満足なものは見つかり
ません。                      

土屋賢二「紳士の言い逃れ」読了です。相変わらずのお笑
いエッセイです。本文の所々にあるイラストが本文なみに
笑えます。                     

高橋昭男「ザ・テクニカルライティング」はテクニカルラ
イティングに関する注意事項をまとめたものです。表記法
や文章作法などいろいろな項目を30のステップにわけて
判りやすく記載しています。更に気を付けるべき事柄につ
いてはルール1〜ルール118まで太字で特記しています。
1993年初版1刷ですが2013年現在まだ初版のまま
という息の長い本です。現在16刷となっています。  
学ぶべき所は多いですが、改定していないために古くなっ
ている部分が目立ちます。PL法あたりはさすがに手を加
えた方が良いと感じます。              

高任和夫「嵐の後の破れ傘」は文庫オリジナルだそうです。
平秩東作、太田南畝、山東京伝という江戸の戯作者、狂歌
師を題材とした小説です。これらの文人たちが時代をどう
生きたかが良く描かれていて、思わずこの本を読んだ後に
これらの戯作、狂歌をもう少し読みたいと思って類書を探
してみました。意外と適切なものが無く結局、小学館の 
「日本古典文学全集79黄表紙・川柳・狂歌」4,890円を購入
しました。これはルビも豊富で判り易く解説がされていま
す。早く読みたいところですが大部の本なのでまた当分 
お蔵入りしたままとなりそうです。          

R・D・ウイングフィールド「冬のフロスト(上)(下)」
読了しました。これで創元推理文庫入りしているフロスト
シリーズは完読です。それにしてもフロスト警部が管轄す
るデントン署は事件が多過ぎです。          

流石に夏休み中は読書が停滞します。普段は通勤中の電車
の中や待ち時間で読んでいる事が多いので、休みに入った
途端に読むのは寝る前だけになります。それでも1週間で
やっと宮部みゆき「泣き童子」を読み終える事が出来まし
た。この本は著者の「三島屋変調百物語」シリーズの最新
刊です。今回、聞き手おちかの元に集まって来る百物語は
6篇です。いずれも味わいのある怪談噺となっています。

西成活裕の「渋滞学」「シゴトの渋滞学2冊を並行して読
みました。著者は渋滞をはじめて学問として捉えて研究し
続けている第一人者です。高速道路では目に見えないほど
のアップダウンの長坂が渋滞の原因として上げられていま
すが、皆が車間距離を保持して運転することで渋滞は起こ
りにくくなるということを実証実験で確かめるなど学門か
ら実用への応用も含めて幅広い活動をしているようです。
蟻の渋滞や最近良く使われている鉄道での後続車の遅れを
先行車両で時間待ちすることで平準化していくような事例
などを豊富な資料とともに紹介しています。これからの適
用に期待するとともに一読お勧めの学門です。     

R・D・ウイングフィールドの「フロスト気質(上)」読了
しました。ストーリー最後の佳境に入ったあたりで下車駅
をついうっかり通り過ぎそうになりました。久々に危ない
ところでした。今回もフロスト警部のひらめきでもろもろ
の事件は解決に向かいましたがハッピーエンドとはいかず
にちょっと苦みを残しての解決です。それにしても見習う
べき所の多い人情味溢れた駄目警部です。       

青木淳一「ホソカタムシの誘惑」読了です。虫に関するエ
ッセイだろうと思って手に取ってみると、何とこの本には
ホソカタムシの科の変遷から、科の分かれてしまったカク
ホソカタムシ科を除いた日本産ホソカタムシ48種すべて
の詳細な図説解説が付いた図鑑となっていて、現在どこで
採取されているかまで分かるようになっています。前半に
は採取の仕方や採取場所、採れる木の写真までがエッセイ
風に綴られています。所謂ホソカタムシ全書です。定価の
2800円、全200頁は安いとみるべきだと思います。

R・D・ウイングフィールドのフロストシリーズにはまって
います。「フロスト気質(上)」読了です。あいかわらず
事件の頻発する警察署ですが、我らがフロスト警部が休日
返上で事件の捜査に当たっています。少年の殺人事件を始
めとして幼児に対する連続傷害事件、盗難事件と前の事件
も解決しない内に次々と事件が起こります。後半が楽しみ
です。                       

「レオナルド・ダ・ヴィンチ伝説の虚実」は竹下節子著の
力作です。表紙のモナ・リザの絵は顔の部分がぽっかり穴
が空いて欠けています。これを見ただけでも著者が意欲的
にメッセージを主張しようとしている事が判ります。この
本は、『万能の天才、魔術師、錬金術師、秘密結社の首領
……。ルネッサンス以降、様様な妄想により紡がれた伝説
の変容を西洋思想の地下水脈から検証する。』と帯に謳わ
れているように、歴史の事実を丹念に掘り起こしてこれを
検証していきます。挑戦的な史料として評価したいと思い
ます。内容紹介を兼ねて各章のタイトルを並べておきます。
序章………いかにして秘密結社のリーダーになったか
第一章………レオナルドの物語
第二章………すべてはプラトンから始まった
第三章………バロックと近代とフリーメイスン
第四章………ロマンティシズムと高踏派、エゾテリスムとオカルト
第五章………そしてダ・ヴィンチ・コード
終章………ルーヴルで考えたこと

阿刀田高「こんな話を聞いた」読了です。既刊「風の組曲」
を改題したものだそうです。この本は「こんな話を聞いた」
という書き出しで小話を振ったあとに本編を編んだ短編集
です。400ページ程の冊子に20篇近くの短編が入って
いるので1篇は20ページ程度でとても読みやすい短編集
です。実話と虚構の境目が更に無理なく思いがけない形で
描かれるという円熟の阿刀田文学の本領が遺憾なくなく発
揮されている一冊です。               

R・D・ウィングフィールド著「夜のフロスト」読了です。文
庫ですが750ページを超える大部の著です。思い込み捜
査をしては失敗し、危くこれまでかと思うとひょんな事か
ら別事件を解決に導き、最後には二転三転した末に難事件
も解決しているという、よれよれのヒーローには思わず誰
もが声援を送りたくなるのではないかと思います。今回は
警察署のメンバーの多くが流感にやられて人手が足りない
状況で連続老女切り裂き事件、納骨堂での死体発見、匿名
の手紙、猥褻ビデオの流通など事件には事欠きません。 
フロストシリーズを読み始めたら、ちょうど新しい文庫が
発売され始めました。また読む本が増えて嬉しい限りです。

池田清彦著「初歩から学ぶ生物学」角川選書を読了しまし
た。よくまとまっていて推薦出来る生物学の本です。しか
し、それでも我々素人には免疫の話などはまだ難しいです。
まあ、これが限界なのでしょうがもう少し理解が出来たら
楽しいだろうとは思います。             

創元推理文庫「クリスマスのフロスト」読了です。この本
はフロストシリーズの記念第一作目ですが、フロスト物は
すべてミステリーベスト10の一位を獲得しているという
だけあって楽しみながら一気に読んでしまいました。主人
公の警部の妙なひらめきは当るのやら当らないのやら何と
も心もとない限りですが、何故かうまいこと事件は解決に
向かっていきます。それにしても次から次へと事件の起こ
る都市です。                    

早川書房刊「ポアンカレ予想」を読み終えました。『多様
体の基本群が自明であり、かつその多様体が球面と同相で
ないことがありうるか』というのが100年前に数学者ポ
アンカレが提出した予想ですが何のことやら判りません。
数学的には『単連結な3次元閉多様体は3次元球面S3に同相
である。』というそうですがさっぱり判りません。   
3次元のポアンカレ予想を援用すると、宇宙の形は球面か
という問題に行きつくそうです。ということで数学問題は
宇宙の構造がどうなっているのかにも関係しているという
ことで、重要な問題の一つのようです。        
我々素人には問題そのものでさえ理解するのは難しそうで
すが、それでもこの本を読んで良かったと思います。  
『四色問題』『フェルマーの最終定理』など数学問題の解
決を題材にした本はなぜか皆わくわくさせる内容に溢れて
います。何人もの先駆者の挫折や解決に向かうまでの色々
な数学者の功績などが判り易くまるで推理小説のようなス
リルに満ちた語り口で読ませてくれます。加えて解決した
ペレルマンが賞金100万ドルを受け取らなかったという
点があります。なぜかは読んでいくとそれらしい雰囲気は
判ります。誰が最初に問題を解いたかという点は重要です
が、ポアンカレ予想にもまた中国人数学者のフェアーでな
い動きがあったことが13章で詳細に語られていますが嘆
かわしいことです。ポアンカレ予想が解けるまでに100
年、四色問題が200年、フェルマーの最終定理が300
年、ケプラー予想は400年で解決しています。現在でも
懸賞金の掛った数学上の未解決問題として有名なものに 
『リーマン予想』があります。こちらも解決に期待したい
ものです。                     

池田清彦「生物にとって時間とは何か」読了です。「生命
の形式−同一性と時間」が原本です。著者の本の中ではも
っとも売れなかった本だそうです。タイトル通りの疑問が
解決されているとは言えませんが、最近の生物学の成果を
踏まえた考察には一見の価値があります。しかし、池田氏
の残念な所は自分の主張する構造主義生物学を売り込むの
に熱心なあまり、ネオダーウィニズムを不当に低く評価す
るような言動が多すぎることです。キリスト教原理主義の
創造論がどのような証拠が現れようと生命の歴史は高々、
6000年と主張しているように、所謂、ネオダーウィニ
ズムが頑なに、生物は自然選択でしか段階的にしか進化せ
ず、それに突然変異が加わる程度でそれ以外の要因は無い
と主張しているのであれば論外ですが、そもそもメンデル
の遺伝の法則さえも耳にしていなかったダーウィンが現在
の生物学の知見を何も知らない時代に提唱した考えに不足
があるのは当然です。著者は最近の生物学の進歩をすべて
取り入れて自説をどんどん変更、増強させていくことが出
来る立場にいます。これでは勝負になりません。更に不当
だと思われるのは、各反証例を恰も自説の補強材料のよう
に取り入れてどこまでが主張している説なのか読者には判
らないため、最近の知見すべてが著者の手柄のように見え
てしまうところにあります。後出しじゃんけん恐るべしです。

創元推理文庫「フロスト日和」は文庫本にも関わらずペー
ジ数が700ページもある大部の本です。いわゆる名探偵、
名推理とは違いますが次々と起こる難事件を独特のペース
でいつの間にか解決に導いていきます。名作と言われるの
もうなづけます。2週間ほど掛りましたが納得の読後感で
す。これを機会にフロストの文庫シリーズをすべて買いま
した。とは言ってもたかだか4冊がすべてです。    

日高敏隆「セミたちと温暖化」読了です。著者の既刊『春
の数え方』『人間はどこまで動物か』に続くエッセイ集の
第三弾です。理学博士だけあって動植物、自然への造詣が
深く、それを我々素人にも判り易く楽しんで読めるように
提供してくれています。虫は温度で、小鳥は光で季節を感
知しているというような何気ないような情報では温暖化が
進むと一定の季節感で動いている鳥と、温度に左右される
虫とで出会いが違ってくるという重大な問題が発生すると
いうような普段は気付かないような現実を認識させてくれ
ます。何気なくみていた世界が広がる事請け合いです。 

奥本大三郎「奥山准教授のトマト大学太平記」読了です。
評価がしにくい一冊です。内容の多くの部分はおそらく作
者自身の体験がベースになってなぜフランス語など勉強す
るのかといったテーマを織り込んで准教授と学生の面白い
やりとりを文学風にしたものかと思いますが、純文学でも
なく、単なるエッセイでも無いという変わった雰囲気を持
った本です。結構笑わせてくれる小ネタもちりばめられて
いるので最後まで楽しんで読むことが出来ます。    
 
小池真理子「瑠璃の海」読了です。さすがに直木賞作家だ
けあって安心して読める恋愛小説に仕上がっています。難
をいえば結論が早くから予想出来てしまって推理小説のよ
うなわくわく感が最後まで持続できないことです。また出
だしのジッポのライターも次に出て来るのはなんと400
ページあたりとあまりにも間を置き過ぎです。     

ずっと待っていた奥本大三郎訳の『完訳ファーブル昆虫記
第8巻下』が発売され始めました。3年振りくらいです。
この3年間で一番待望していた本です。昆虫記に興味のあ
る人には必見のシリーズです。おそらく世界で最高の昆虫
記です。                      

「5分で読める!ひと駅ストーリー降車編」読了しました。
落ちもさまざまで乗車編とあわせて購入したのは正解でした。

「一瞬の出会いでチャンスをつかんでいる人の顔グセの法
則」という長いタイトルの本の著者は『ホンマでっか!?
TV』のレギュラー出演者である重田みゆきです。この番
組の出演者はすばらしい経歴の人ばかりですが重田さんも
ご多分に漏れず、略歴によれば『国際線客室乗務員時代は
「グッドパフォーマンス賞」を受賞。その後、都内有名老
舗ホテルの社長室長を務め、マネジメントを行ったVIP
ラウンジの売り上げを1年足らずで100倍にした』とい
う素晴らしい経歴の持ち主です。この本では判り易い笑顔
の作り方や拍手の仕方、人との接し方を丁寧に教えてくれ
ています。今一つ積極的になりきれない人には少しだけ力
を貸してくれる本かも知れません。          

昭和46年に初版として出て名著と言われ続けているだけ
に平成7年に買った時に既に90版という物凄い本ですが
それからもう18年、時の経つのは早いものです。やっと
本棚の奥から見つけ出して読み始めたのはイザヤ・ベンダ
サン著「日本人とユダヤ人」です。ユダヤ人と日本人を対
比させるというユニークな視点から日本人論を展開した本
著はいまだに光彩を失っていません。歴史、宗教、社会が
鋭い視点から論じられています。著者が自身山本書店主を
やり玉に挙げている所もあってお愛嬌ですね。     

『このミステリーがすごい』編集部編「5分で読める!ひ
と駅ストーリー乗車編」読了です。宝島社文庫です。話題
の大賞作家49名のショートストーリーが降車編と併せて
2冊の本に圧縮されています。乗車編の最初の短編、降車
編の最初の短編を立ち読みして購入するかどうかを決めて
も間違いではありません。いろいろな形式の短編が楽しめ
ます。

呉善花/渡部昇一/八木秀次共著「日本を誣いる人々」を
読み終えました。2011年2月初版という割と新しい本
です。科学は検証が出来る事が必須ですが、こと歴史とな
ると検証もせずに感傷論に走って事実を捻じ曲げてしまう
という国益を損なってきた人たちが多数います。歴史は立
場によって見方も違い、科学ほどには正確に検証が出来な
いとはいっても、傍証によって大筋の所は検証が出来ます。
この本では論者達が各種史料を基に日本の歴史の真実を示
してくれています。歴史について口を開くすべての人に、
特に政治家の人にこの本を贈りたいです。少なくともこの
本で提示されている内容を理解した上で、それに反対する
のであれば、それ相応の史料を探し反論するのが正しい方
法だと思います。各国間の相互歴史認識を深めていくのも
そのような方法に依らなければ正しい結論には達しません
が現状は程遠いようです。この本を読んで腹が立つのは、
歴史の一部や発言の一部だけを切り取り曲解というか歪曲
までして自ら自虐史観に陥って国益を損ねている政界人や
マスコミが多過ぎるという事実です。それにしても解せな
いのは天下のNHKまでもが売国奴的な報道までして何が
嬉しいのか理解が出来ません。            

「男ゴコロ・女ゴコロの謎を解く!恋愛心理学」を読み終
えました。著者は『ホンマでっか!?TV』のレギュラー
出演者である植木理恵です。流石に世界トップレベルの心
理学者が解説しているだけあって理論の裏付けが確かです。
それに加えていろいろなシチュエーションにおいてどの様
に行動、発言したらベストなのかを示してくれています。
即効効果が大いに期待出来る一冊です。植木先生も是非、
この本を実践して素晴らしいパートナーを見つけて下さい。

先日読んだ「ほんとうの復興」で紹介されていた新潮文庫
の「朽ちていった命」を早速読んでみました。覚えている
人もいると思いますが、東海村で起こった臨界事故で被爆
した作業員の方の治療の記録です。NHKの「東海村臨界
事故」取材班が記録したものです。この本を読み終えた今
でも原発推進には賛成ですが、原発事故の恐ろしさや放射
線被爆事故に対する医療の実情が良く判る一冊です。事故
は1999年に起きましたが、ニュースでは核燃料をバケ
ツでかき混ぜている間に臨界に達したというありえない事
故でした。実際の作業手順がどうだったかについても図解
で示されています。このような杜撰な作業手順をいかにし
て無くせるか、もしもの時の被爆医療がどこまで完備出来
るかが非常に大切だと感じられます。         

講談社学術文庫には「敬語」と「敬語再入門」の2冊があ
ります。共に著者は菊地康人です。今回は450ページを
越える分厚い「敬語」の方を読み終えました。尊敬語、謙
譲語、丁寧語は多くの人が適切に使いたいと思いながらも
使いこなせていないのが実情だと思いますが、この本では
日本語の仕組みからこれらの用法を解きほぐし判り易く解
説しています。良い本だとは思いますが、我々素人が基本
から学ぼうとしても、そもそも動詞の連用形、補助動詞、
補語、人称、サ変動詞、五段活用、などなどもっと基本的
な文法を理解していないために説明が途中で意味不明に陥
る点が理解を大きく妨げることになります。ということで
結局は判ったようで良く理解出来ないまま最終ページを迎
えました。次は本文280ページ程の簡略化された「敬語
再入門」の方を読もうかと思います。敬語をマスターしよ
うとして本屋さんに行ってみると判りますが、大きな本屋
さんでは30冊位はこの手の本が並んでいますが、体系的
に理論を解説している本はかなり少なく、場面に応じて正
誤形式で用例を取り上げている本が殆どで、根本的な理解
には役立ちません。                 

「ほんとうの復興」は東日本大震災後、間をおかずに生物
学者の池田清彦と解剖学者の養老孟司が大地震、大津波、
原発事故について対談した内容と、それぞれの著者が日本
のエネルギー問題について述べた各掌編から成っています。
最初の養老孟司の自然に対する見方と、対談部分について
は新たな知見も多く含まれていてぜひとも一読をお勧めし
ますが、最後にある池田清彦によるエネルギー論は陳腐さ
が目立ちます。原発反対ありきで論を進めている所からし
て学者の発言とも思えませんが、加えて代替エネルギーと
して上げている石炭、石油、天然ガス、水力、地熱、風力
、メタンハイドレート、太陽光などの紹介でも目新しい事
は少なく、結局候補としては上がっても本格的な代替えエ
ネルギーとしての目途も何も立っていないという夢物語を
現実としてあたかも何とかなるように煽動を続ける朝日系
マスコミに近い発言です。代替エネルギーの目途も無いの
に原発反対を煽る人たちの心理が判りません。自動車事故
で亡くなる人が年間5000人以上もいても、原発の方が
重大だと言う理屈も判りません。たとえ故郷を追われよう
が命の方がはるかに重要だと私は思います。      
1000年後の子孫のことを冷静に考えたら安全な原子力
発電をいかに構築していくかが日本のエネルギー政策、安
全保障、外交政策、繁栄を考えた上での唯一の選択肢だと
考えます。技術は進みます。いかに困難でも技術開発を進
める先にしか本当の復興はありません。        
今でも日本海側にずらりと並んだ日本より技術力の劣る中
国の原発システムは今後爆発的に増えることはあれ減る事
は決してありません。一旦事が起こった時に日本が技術力
だけでなく原発保有もしていなければ日本はそれこそ対処
も出来なければ提言も出来ません。日本海側で巨大地震が
起こればそんな事態が起こる事も決してありえなくはあり
ません。                      

経済学者である門倉貴史の「人妻の経済学」を読了しまし
た。地下経済やBRICsをを研究してきた著者だけに着
眼点は独特で面白いです。いろいろな流行の要因の解析な
どにエコノミストとしての実力が窺われますが、多少こじ
つけっぽい理屈もあります。ともあれマーケットは巨大です。

「大盛!!みこすり半劇場DX」は岩谷テンホー著の四コマ
マンガです。いまだ書店店頭ではこのシリーズは見掛けた
ことがありません。例によってネットで注文して早速読み
ました。最近は、このような定価500円の本でも送料が
無料なので大助かりです。いつものコメントになりますが
300ページを超える大著で僅か500円で600篇を超
える4コマ漫画が見られて大笑い出来るというのは何とも
贅沢です。1篇が1円とは本当に安いです。      

かのよしのり著「狙撃の科学」の表紙はあのゴルゴ13で
す。内容はそのものずばりの狙撃技術に関する百科です。
銃の種類、弾丸の種類、銃身と機関部の構造、命中精度、
照準器の選び方と照準の合わせ方、スコープの取り付けと
零点規正の方法、平均着弾点の求め方、遠距離射撃の弾道、
横風の狙撃への影響、気温の影響、狙撃姿勢、薬きょうの
りサイズ、火薬の充填法、銃の手入れ、屋外行動の基本、
風を読む技術、実包の種類、超遠距離狙撃弾薬、弾の名称
の呼び方などなどを全9章、約100タイトルに分けて解
説しています。カラーガイドブックです。著者は自衛隊出
身の専門家だけあってとても読みやすく仕上がっています。

武田邦彦「ウソだらけ間違いだらけの環境問題」はぜひと
も環境問題に関心のある人には読んで欲しい一冊です。そ
して自分たちの取り組んでいるエコ対策がいかに間違って
いるのかを自覚して欲しいと思います。併せてマスコミが
またもや如何に無責任に嘘をばら撒いているかの実態を知
って欲しいと思います。このような本が大手出版社からは
決して出版されないのは理解していますが新講社は自社の
総力をあげてこのような本を世の中に広める為の最大限の
努力をして欲しいものです。とりあえず今年の一押しです。

開高健「開高健の文学論」読了です。100篇近くの短い
文学論が全500ページ余の文庫本の中にぎっしりと詰ま
っています。著者が世に出るきっかけとなった作品につい
て語られている掌編や各種文学作品に対する批評など切れ
味の鋭い文学論が楽しめます。            

山本夏彦「戦前まっ暗のうそ」読了です。「山本夏彦とそ
の時代」全10巻シリーズ の中の第4巻です。稀代のコ
ラムニストの本領が発揮されている表題の随筆を初め「分
かりたくない者には通じない」「はやりものすたりもの」
「正義と聞いたら気をつけよ」「衆をたのんで横車をおし
て五十年」「明治の語彙」などと題して少し古い時代の真
実を手に取るように判り易く伝えてくれます。難点を言え
ば本書後半1/3を占める「明治の語彙」が明治から大正
時代に掛けての文人や政治家のつながりと世相を描いた章
が、興味のある人には滅法嬉しいかわりに興味の無い人に
はどうでも良い内容であることです。抜粋を示せば『文事
ある者は必ず武備あり、〜。大将乃木希典は詩人である。
その詩は読むに耐えるもので、昭和の大臣大将が書いた詩
とは選を異にする。〜語彙の背後には千年の伝統がある。』
のような一文です。このようなコラムを楽しめるかどうか
がこの章の肝となります。              

阿刀田高「日本語の冒険」読了しました。いろはかるたや
クロスワードなどによる言葉遊びに蘊蓄が感じられます。
しかし、全体的には軽い読み物風のものが多くて、特に天
使の辞典などは二番煎じの感を免れません。この著者によ
る言葉遊びには既著『ことば遊びの楽しみ』という良著も
あります。軽妙なエッセイと言われればそれまでですが、
ちょっと残念でした。                

開高健「二重壁・なまけもの」を読了しました。開高健の
初期作品集です。題記の短編の他に巨人と玩具、ずばり東
京の諸作品を含みます。巻末には年譜と著書目録も付いて
います。味わい深い初期作品がそろっています。    

池田清彦「アホの極み」読了です。示唆に富む数々の見方
を具体的な数字とともに提供してくれます。原発利権の話
に始まり環境問題、巨大権力構造、世間の常識、思考法、
虫の話などなど多方面にわたるエッセイ群です。もろ手を
上げて賛成できる点と譲れない点とさまざまですが参考に
なることは確実です。新聞やテレビの言っていることを鵜
呑みにして信じている人には特にお勧めの一冊です。  

土屋賢二「不要家族」読了です。哲学者にして諧謔を含ん
だ軽妙なエッセイの名手による最新書き下ろしエッセイです。

山口椿著「ナージャとミエーレ」読了しました。この著者
の手に掛ると、単なるエロティシズムでは済まずに哲学的
な香りさえもが漂った妖しい世界が時に展開されます。本
当に異才と呼ぶに相応しい著者の本はまだ多数読み残して
います。本格作家の顔の他に、国際コンクールで銀賞を受
けるほどの一流画家、チェリストとしての顔を持つ著者で
すが、著者の画家としての刊行本が少ないのが残念です。

土屋賢二「あたらしい哲学入門(なぜ人間は八本足か?)」
を読み終えました。副題が無ければ絶対にほとんどの人は
手に取る事の無い本かと思います。哲学とは何かという事
はいまだによく判りませんが、哲学では何を問題にしてい
るのか、それをどうやって解いていくのかという一端がこ
の本によっていくらかは知る事が出来ます。元々がお茶の
水女子大での講義に手を入れて作成した本ということで我
々素人にも考え方がわかるような題材と説明になっていま
す。著者が得意としている諧謔的なお笑い文章ではなく、
多少の笑いで哲学の考え方を伝えようとしている真面目な
本です。                      

買って30年も積んでおくと流石に本も黄ばんで来ます。
本棚の整理によって、昔よく読んでいた石川達三の未読本
「独りきりの世界」が出て来ました。カバー裏には、人間
の愛と孤独を「性」を直視して描き、女性の生き方を追求
した問題作という紹介文がありますが、内容が今読んでも
読むに堪える内容だというところが流石です。     

ジェフリー・ディーヴァー著「死の教訓(下)」を読み終
えました。この著者の代表作である「ボーン・コレクター」
をはじめとするリンカーン・ライムシリーズに比べると初
期の作品とはいえ、別人の作品のようです。後半のどんで
ん返しについてもこの作品では無理があり過ぎです。超人
的な犯人でなければありえないようなシチュエイションで
誰も犯人の顔も見ていなければ車も誰にも気付かれずに逃
走を図っています。超人的な犯人に比べて警察官はアホ揃
いで、主人公だけが時おり、こちらも驚異的なひらめきを
みせて犯人に迫ります。期待していただけにちょっと残念
です。                       

宇佐見義之著「カンブリア爆発の謎」読了です。近年中国
の澄江から出土する化石によってカンブリア紀の研究が進
んで来ています。本書はこれらの知見に基づいてカンブリ
ア爆発説の検証をした本です。見たことも無いいろいろな
生物も紹介されています。進化の謎にせまる一冊です。 

ジェフリー・ディーヴァー著「死の教訓(上)」を読み終
えました。この本はずっと昔に買って以来、自宅の本棚の
奥で行方不明になっていた本です。大整理してやっと見つ
けました。この著者の本にしては場面が映画の駒のように
どんどん切り替わるので、ストーリーがかなり掴みにくい
内容となっています。後半での展開が楽しみです。   

岩波文庫「元治夢物語」を読了しました。近代の幕開けを
告げる嘉永六年のペリー来航から、著者自身が体験した元
治元年の禁門の変までを豊富な史料と自身の見聞によって
圧倒的な現実感をもって時代を描き出しています。まるで
見て来たようなお話が全編を貫いています。いったいどれ
だけの事件現場に居合わせたのかと思えるほどその場の状
況や人の名前までが克明に記録されています。なかなか素
晴らしい記録文ですが、惜しむらくは読み下し文になって
いる上に振り仮名もついているのですが、それでもまだ読
み通すのは大変な苦労が必要だということです。加えて補
注が全ページにあってこちらも併せて読むのが大変です。

幸福の科学出版「未来の法」を知り合いが貸してくれたの
で読んでみました。宗教の部分についてはコメントするだ
けの知見を持っていませんので、読み流しましたが他の章
を読んでみるとこの著者の教えが既に日本には失われてし
まった道徳的な内容が多数含まれていることが判ります。
まるで国に変わって道徳教育をしているかのようです。 
それにしても、著者である大川隆法氏の著作数は物凄い数
にのぼります。宗教部分は全てさっぴいたとしても中国対
策や原発政策などでは素直に耳を傾けるべき意見多数です。

早川書房「三葉虫の謎」読了しました。何と3億年という
長い時代を生き抜いた三葉虫ですがその実態となると殆ど
知る人はいません。この本での注目点は三葉虫の目です。
我々が三葉虫をどう見るかではなく三葉虫が世界をどう見
ていたのか、その一端を知る事が出来ます。勿論、三葉虫
を調べる事でカンブリア紀の大爆発、断続平衡説、ホック
ス遺伝子をめぐる進化論議論、大陸移動など様々な地球の
歴史や問題も見えて来ます。外国の専門の研究者の特徴だ
と思いますがこの本も単なる三葉虫の学術書ではなく物語
として語られているので、我々素人でも興味を持って読む
事が出来ます。何と三葉虫は5千〜1万種もいたそうです。
以前に横浜で開催されていたミネラルショーで三葉虫クラ
ブという専門店で1個100万円もする素晴らしい三葉虫
の化石を見たことがありますが、そのような珍しい三葉虫
の化石の写真もこの本には多数掲載されていますので興味
のある人にはたまらない一冊かも知れません。     

なかむらるみ絵・文「おじさん図鑑」はおじさんの生態図
鑑です。普通のスーツのおじさん、制服のおじさん、お疲
れのおじさん、たそがれるおじさん、ちょいワルおじさん
などいろいろな分類でおじさんの生態を描き出しています。
ちょっと面白い捉え方の本です。           

鯨統一郎著「ABCDEFG殺人事件」を楽しく読み終えました。
この著者の本も外れが無いです。この推理物はハンデを持
った少女探偵が決してめげることなく前向きに難事件を次
々に解決していくという短編連作読み物となっています。

河出文庫「むかしの汽車旅」読了です。出久根達郎編とい
う珍しい一冊です。タイトルから推察されるように書き手
は森鴎外、夏目漱石、正岡子規、泉鏡花、島崎藤村などな
ど錚々たるメンバーから成ります。この本の売りは、珍し
い短編を集めていることで、殊に「熱海線私語」は丹那ト
ンネル開通の1934年秋から物語が始まっており容易に
知る事の出来ない当時「熱海線」と呼ばれていた沿線の駅
として小田原駅が登場します。熱海線が国府津駅から延長
して真鶴まで達し、小田原は町を挙げて山車を繰り出し、
連日の祝賀に酔ったことなどこの掌編でしか知られぬので
はないかと思われます。この本を薦める理由のその2は、
この本には泉鏡花の「左の窓」に私の地元山北町が登場し
ていることです。丹那トンネルが出来るまでは御殿場線は
昔の東海道本線なので良くこのような古い汽車旅には山北
が登場します。第3のお勧めはこれもあまり全篇を見る事
は意外と少ない「鉄道唱歌」66番までの歌詞が掲載され
ていることです。言うまでも無くこの13番にも山北駅が
登場します。

2005年に出版されて一時期話題作となった「国家の品
格」をやっと今頃になって読み始めました。日本人として
の気概を取り戻すための良い一冊となることは確実です。
日本を愛する著者の渾身の一冊です。僅か200ページ弱
の本ですが、「論理」だけでは世界が破綻する、自由と平
等は欧米が作り上げたフィクションである、「武士道精神」
の復活。などなど耳を傾けるべき箴言が盛り沢山です。 

熊谷守一「虫時雨」は何を見て買ったのかもう覚えていま
せんが、この本は文化勲章を辞退した画家の素描・水墨画
集です。流石に素描も味がありますが、所々にあるコメン
トにも味わい深いものが随所にみえます。       

浅羽通明著「アナーキズム」を読了しました。アナーキズ
ムといえば過激なイメージの大杉栄などの昔の所謂アナー
キストと呼ばれる一部の人を思い浮かべますが、どうもそ
うばかりではないようです。この本では「アナーキズム」
の歴史を判り易く解説しています。この著者によればアナ
ーキズムとは組織に縛られることなく個人の自由を絶対視
する思想だそうです。そう言った意味では現代では社会に
迎合せずに自由を謳歌するという風潮が蔓延しており正に
この「アナーキズム」の思想を具現しているのが現代では
ないかとさえ思えて来ます。山本夏彦や養老孟司までがこ
のタイトルの本に登場するとは思いませんでした。さらに
は「ゴーマニズム宣言」や「キャプテン・ハーロック」、
「銀河鉄道999」までが登場する思索の広い著作です。

岸本佐知子著「なんらかの事情」を読了しました。この著
者の本はこれで3冊目ですがやはりこの著者の考えること
は変です。@家電品がしゃべるのを、やけに落ち着いた感
じの成人女性ばかりというのが気になる。A次に生まれ変
わったら「無生物を専門に撃つスナイパー」になりたい。
B最近気が付くと「イカとっくり」について考えている自
分がいる。C車はアクアラインに入った。カーナビは尚も
「海です」「海です」「海です」と言い続けた。などなど
笑える話や不思議な感覚に啓蒙される話満載です。   

桐野夏生「IN」読了です。伊集院静は解説で桐野ワール
ドを絶賛していますが、「OUT」の衝撃に比べて楽しめ
ない作品です。玄人好みの構想だとは思いますが一般読者
からみると判りにくく純粋に楽しめる作品ではありません。
また、伊集院静は小説の一節を取り上げて、その一節を読
んだ時、本作品がまぎれもなく上質の作品だと確信したそ
うですが、個人的にはつまらない一言だという感覚しか抱
けませんでした。各作品世界が取り上げている土地への執
着とセンスの良さを上質と捉える伊集院静の作家感覚とも
随分大きな懸隔があります。これほど解説者の捉え方と私
個人の感覚がずれていることもめったにありません。とい
うことで個人的評価では桐野作品の中でも最下位に近いラ
ンクですが、見る人にとっては素晴らしい作品なのかも知
れません。                     

夏目房之介「マンガに人生を学んで何が悪い」は著者のマ
ンガ論の一冊です。マンガから何を学ぶのかは各人でさま
ざまだと思いますが、これだけアニメや漫画が大人向けに
なった今では当然検討されて良いテーマだと思います。著
者は早くからこのようなマンガ論を展開して来ただけに耳
を傾けてみる価値はあります。この本で紹介されている本
には「ブラックジャックによろしく」「風と木の詩」「半
神」「ちょびっツ」「自虐の詩」「あたしンち」など興味
深い本が多数あります。青春とは何か、運命とは何か、人
生とは何かなどの疑問の解決にに役立つ様な本がきっと見
つかると思います。                 

今回の選挙で当選した牧島かれんがアメリカの政治過程を
学習した成果をまとめた著作です。「政治は「歌」になる」
というタイトルは政治家となった現在ではどうみても不適
当ですが、内容は極めて学術的な色彩を帯びています。レ
トリカル・リーダーが誕生するには、リーダーと国民を結
ぶメディア、リーダーシップを支えるスタッフやシステム、
そして何よりも政治家の言葉を受け止め、政治のプロセス
に参加する国民が必要であることなどがこれまでのアメリ
カの歴代大統領を引用して解説がされています。判り易い
内容となっています。                

外山滋比古「日本語の論理」読了です。日本語は非論理的だ
とよく言われますが、著者は色々な観点でこの俗説について
の論考と反論をしています。一考の価値のある論説もありま
すが、全体的に概論が多いのと重複した内容が多い、更には
今となっては知見に新鮮さが無いというコラムも多数あって
あまり有意義な本では無くなった感がぬぐえません。   

ジェフリー・ディーヴァー「ソウル・コレクター(上)」が
12年の読み納めとなりました。ということで13年最初の
読了は「ソウル・コレクター(下)」となりました。年末、
年始の読み物としてはなかなか良い選択でした。この著者の
推理物で唯一困るのは真剣に読み過ぎていて電車を乗り過ご
しそうになること位です。この本は著者の文庫最新作です。
所謂安楽椅子探偵物ですが今回は主人公リンカーン・ライム
の従兄弟が完全な証拠のもとに殺人犯として逮捕されるとい
うことから事件が始まります。この犯罪の恐ろしさは個人情
報が何物かによって盗み出され、犯人を仕立て上げるのに利
用されるという点にあります。下巻にはここまでやるかとい
う程の詳細な個人情報リストが挙げられています。もしかし
たら既にこのような情報が国家権力などに蓄積されているの
ではないかというリアル感がぬぐえません。そういった意味
ではこの本は将来起こりえる個人情報利用の犯罪について警
鐘を与える書です。興味深いテーマです。一読して損は無い
本です。                       

気に入った本があったら読んでみて下さい。

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