戻る
* * * 読書雑記(2014年) * * *
2014年は順調に121冊の本を読むことができました。
来年も楽しめる本を1冊でも多く紹介出来ればと思います。
宮部みゆき「荒神」読了しました。東北小藩の山村が一夜
にして壊滅した。その謎解きと対応に立ち向かう人々の熱
いドラマです。絵巻物風になっている「荒神絵巻」を併読
すると風景や恐るべき怪物の姿などが明確になるようです。
こちらは来年早々に読みたいと思っています。
幸村誠「ヴィンランド・サガ15」読了です。理想の地、
ヴィンランド設立に向けた資金作りのために主人公たちの
船はアイスランドからはるか彼方のギリシャにイッカクの
角を売りに出掛ける運びとなりました。まだまだこの物語
は長く続きそうです。何しろギリシャは目的の地とは全く
逆の方角であり数千キロも離れています。
美しすぎる銅版画家という呼び名が定着した画家小松美羽
の初めての作品集「小松美羽−20代の軌跡」には108点
もの心震わせる作品が掲載されています。銅版画は勿論の
こと、ペイント画、墨絵、ペン画、立体作品、出雲大社へ
の奉納作品、水木しげるとの対談など盛りだくさんです。
この著者の作品「四十九日」を初めて見た時に真剣に欲し
いなあと思いましたが、このような有名な作家の作品とい
うのはどの様な場所に売っているのでしょうか。そもそも
我々一般人には絵画などはお宝鑑定団でくらいしかお目に
掛かることが無い上に、たいていはポケットマネーで買え
るような金額では無いので、そもそも絵画購入などを考え
たことはありませんが、子どもが気にいっている藤城清治
の影絵作品などは10〜60万円位で購入できるようです。
買えるような窓口があればぜひとも検討してみたいです。
でも、藤城清治の影絵なら飾る場所は選びませんが小松美
羽の作品だと飾る場所を厳選する必要がありそうです。
河治和香「秋の金魚」読了しました。この本は著者の初め
ての長編小説だそうですが、小学館文庫小説集を受賞した
作品だとのことです。天保年間、主人公留喜(るき)がま
だ幼少だった頃の親族による殺人事件を背景に、夫磐吉と
幼馴染の浜五郎らとの交わりの中で時代が動いていきます。
当時マルコと呼ばれていた金魚ランチュウも要所で効果的
に登場します。ペリー来航、勝麟太郎、長崎海軍伝習所、
咸臨丸、桜田門外の変、ガラス板写真、榎本武揚、岩倉具
視、東海道線開通など激動の時代の動きを知ることも出来
ます。また、最後の最後まで事件の真相は本当はどうだっ
たのか解釈が揺れ動くところも見所になっています。
「千年の輝き ヤマトタマムシ生育の秘密」という本があ
ることを初めて知りました。やはりジュンク堂の本棚は種
類が豊富です。著者の芦澤七郎氏は素人のタマムシ愛好家
のようですが、昆虫の世界は素人の活躍で成り立っている
世界なので貴重な一員です。私も含めて一般の人はタマム
シが何を食べているのか、幼虫の食材は何かなど知る由も
ありません。この著者の素晴らしい所は、ファーブルがや
ったように自分で集められなければ、お金を出してでもま
ず必要な数のタマムシを集めていることを初めとして種々
工夫して成虫になるまでの期間の短縮、タマムシの吸盤に
ついての思索と対応など、まさに企業で取り入れているの
と同様のPDCAをしっかり回しながら計画、実行、確認、対
策などを行っていることです。少し残念なのは記述がいか
にも素人っぽく、内容が整理されていないことや、必要の
無い自画自賛の身内による推薦文などが掲載されている点
です。いずれにしてもタマムシを育ててみようというよう
な昆虫好きには貴重な一冊です。
竹内久美子の週刊文春のシリーズ物最終巻「遺伝子が解く!
その愛は、損か、得か」を読了しました。動物の行動のあ
れこれを判り易く楽しく解説してくれる読み物です。読者
の質問に答えると言う形式で300ページ弱の文庫本の中
に50本以上のノウハウが詰まっています。これまで出版
された同シリーズ全編をあわせると物凄い動物通になれそ
うです。
米原万理の本は沢山読んでいますが読み残している本が何
冊かあります。「終生ヒトのオスは飼わず」もそんな一冊
です。この本は著者が愛した家族である犬ネコと著者との
ふれあいのあれこれを記した本です。残念ながら犬にも猫
にも興味が無いのでこれまで読んでいませんでしたが意外
と楽しく読むことが出来ました。著者の愛し方は半端では
ありません。そんな所が読んでいて楽しさを共感出来る所
のようです。著者の生い立ちなども随所に書かれています。
スティーブン・ジェイ・グールドの「ダ・ヴィンチの二枚貝(下)」
も読了しました。じっくり読む価値のある科学読み物です。
下巻も章タイトルの一部を掲載することで内容の一端を掴
んで戴ければ幸いです。『重ならない教導権』『ボイルの
法則とダーウィンの細事』『ありふれた真実の異なる見方』
『火星人騒動』『根っこ頭の勝利』『ほんとうのナマケモ
ノとハゲタカを知るには』『コーカス競争のドードー』
西部邁/黒鉄ヒロシの対談「もはや、これまで経綸酔狂問
答」を読み終えました。博学2人によるさまざまな分野に
おける対談は一読の価値があります。難をいえば博学過ぎ
るゆえにこちらが話題についていけない点が多々あること
です。本の中身を適切に紹介するのは難しいので以下には
章サブタイトルのいくつかを載せておきます。これで内容
のいくらかを推測していただければ幸いです。
「洞窟の壁に描かれた「一本の線」」「記号自体には意味
がない」「音符と数学」「気遣いの効用」「グローバル人
材の虚妄」「国家の目的を失った日本」「内と外と境界線」
「記憶をすり替える人々」「恥とは何か」「狂気と伝統」
「飢餓感と宗教」「iPS細胞とガン細胞」「新技術とパ
ラノイア」「接続詞をなくした日本人」「言語と欲望」
土屋賢二のお笑いエッセイは随分と読んで来ましたが少し
質が落ちて来たような気がします。もしくは笑いの質が判
りにくい作風に変質してきているのかも知れません。もう
一回原点に返って心から全編笑えるエッセイ作りを目指し
て欲しいものです。
壇蜜「蜜の味」読了です。なかなか面白かったですがもう
少し壇蜜のイメージを尊重して脚色しても良いように思え
ます。この本が必ずしも真実だけを伝えているとは信じて
いませんが、素の壇蜜が現れ過ぎているように思えます。
その点では壇蜜さんは想像以上に良い人過ぎるのかも知れ
ません。伝説の人物になるにはもっとイメージを強調した
方が良いかなと思います。決して空虚にならないで欲しい
と思います。
河治和香の「紋ちらしのお玉」シリーズ全3巻を読み終え
ました。3巻目のタイトルは「時雨ごこち」です。上野の
戦争が終わって時代が明治に突入した段階で物語も終わっ
ています。柳橋の売れっ子芸者が幕末の激動の時代に登場
する著名人たちといろいろな形で関わりあいながら歴史を
動かしていくさまが物語に見事に織り込まれています。
加えて江戸の風俗や柳橋芸者の所作、落首など楽しめる所
が満載です。文章もストーリにも淀みがありません。この
シリーズはお勧めです。
スティーブン・ジェイ・グールドの「ダ・ヴィンチの二枚貝(上)」
を読み終えました。こんなに判り易く論理的に主に科学的
な読み物を書く人を他に知りません。古びる事もなく上質
な文章なのに、なぜ10年以上経っても文庫本にならない
のか不思議です。遂に待ち切れずに大枚2200円も出し
てハードカバーを買ってしまいました。でもそれだけ出費
した甲斐はありました。満足です。上巻で取り上げられて
いる話題は以下のようなものです。『生きている地球の山
を化石に登らせたレオナルド』『ダーウィンのアメリカの
盟友』『すべての人種にとっての海馬』『人類は一つであ
ることの異例さ』これらの内容を説明するにはこのコラム
は短かすぎるので、気になる方はこの章タイトルで内容を
想像して書店で現物を眺めて下さい。
河治和香の小説を読み始めました。「紋ちらしのお玉」シ
リーズ1冊目「紋ちらしのお玉」と2冊目「ひとり夜風」
を読み終え、今は3冊目の「時雨ごこち」を読んでいます。
名だたる大名たちから贔屓にされる売れっ子の柳橋芸者、
お玉が主役の連作短編時代小説です。「紋ちらしのお玉」
いう二つ名を持つお玉と勝麟太郎、井伊大老、桂小五郎な
ど錚々たる時代の寵児たちが織りなす歴史が堪能出来ます。
今までこの著者自体を知らず一冊も読んでいませんでした。
他のシリーズ物でも何冊も著作を出していますが残念な事
には既に品切れで入手出来ないものもあります。気になる
方はネットで調べて早めに購入されることをお勧めします。
文春文庫「壇蜜日記」読了です。およそこのような芸能人
の日記や手記の類はゴーストライターの作が多いので、こ
の本もなんとも判じられませんが、本人作と信じて興味を
持って読んでいました。芸能界を外側から眺めているだけ
の我々のようなお気楽組には当然、芸能界の内輪の確執な
どは測り知れませんが、これほどまでに有名になった壇蜜
さんでさえも、自分は何者でもないと断じている所が健気
です。随所に壇蜜ならではの、らしい言葉が散りばめられ
ていて個人的には結構読みがいがありましたが、壇蜜ファ
ンとしてはもっと自信を持ってたくさん画面に露出してく
れることを期待したいと思います。もちろん文字通り露出
の多い危ない格好であればそれも良いし、普通の服や和服
であっても構いません。多くのファンはおそらくもっと生
の話を聞きたいのではないかと思います。
大川隆法著「ザ・ヒーリングパワー」を友人から借り受け
読んでみました。確かに信じている者ほど病気が治るとい
うのは一面正しいと思います。まさに「病は気から」です。
信じていればすべて治癒するかといったらそうでもなく、
ちゃんと現代医療についても否定していない所は好感が持
てます。但し、各種の病気の原因を前世に求める所は流石
に共感出来ませんでした。私も具合が悪くなった時には信
仰の力にすがることがあるやも知れませんが、幸いにも当
面は必要なさそうです。
長い休みが取れたので永らく放置したままだった本棚の整
理を行いました。既読の奥本大三郎著「虫のゐどころ」を
既読リストに加えました。
本棚整理に併せてちゃんと読んでいなかった笠間しろうの
以下の3冊の本を読み直しました。「マジカルパワー鞠子
の冒険」「悦虐の縄」「昭和禁夢譚」の3冊です。成人向
けの劇画とコミックです。やはりこの著者の描く女性は何
度見ても極めてエロっぽいです。
今年も年間の読書量が100冊に達しました。通勤時間が
長いために読書量が増えていますが遅読の方なので相変わ
らず未読の本が多く残っています。今年も残り2ヶ月なの
で為になる本を一冊でも多く読みたいと思います。年間の
ベスト10も見直して順位を入れ替えました。
米澤穂信編集「世界堂書店」は書店の特設コーナーで紹介
されていた本です。著者は学園&ミステリー物の「氷菓」、
「ふたりの距離の概算」など素晴らしい小説を既に発行し
ている作家ですが、この本を見る限りでは本の目利きとし
ても高い能力を発揮しています。この本には15編ほどの
不思議な小説が納められていますが、いろいろな種類の一
風変わった小説揃いです。すべてが良いとは思えませんが、
少なくとも何篇かは読んで良かったと思える味わいの小説
です。どちらかというと凝り過ぎている作りの小説が多い
のでもしも篇者の米澤穂信を知らない方はまずは判り易い
著者の上記の各本を先ずは読んでみることをお勧めします。
講談社学術文庫「徒然草抜書」は小松英雄の力作です。今
まで何気なく聞いていた「つれづれなるまま」の解釈一つ
にも正しい解釈の方法が必要だということがこの本を読む
と良く判ります。あまりにも有名な『徒然草』などは今更
解釈に独自の解釈など入る余地が無さそうに思えますが、
この本を読むとその常識があっさりと覆されること間違い
ありません。多少は学術的なので難しさはありますが難解
と言うほどではありません。極めて良い本です。たまには
このような良質の本を読んでみるのも大切です。
禁断の「イナンナ下弦の巻」もずっと前に買った本ですが
そのままお蔵入りさせていた本です。当然、「上弦の巻」は
とうの昔に読み終えています。なぜに「イナンナ下弦の巻」
が禁断なのかはこの本には巻末に袋とじの小冊子が付いて
いるからに他なりません。既に新本は入手できませんが古
本価格を見てみると、袋とじが開封済みの古本の最安値は
僅か274円+送料340円ですが、袋とじ未開封の未使
用品だと8000円以上の値が付いています。当然、私の
所持している本も小冊子未開封です。読むべきかそのまま
お蔵入りさせておくか悩む所です。さて皆さんだったらど
うしますか。あまり中古価格を上げないで欲しいものです。
みうらじゅんの「LOVE」をずっと前に読みましたが、
「PEACE」の方はずっと眠ったままとなっていました。
やっと日の目をみました。我々の年代では結構楽しめます
が、おそらく少し下の年代だともう面白みは半減もしくは
全滅してしまうのではないかと思えるほどその時代の面白
さを追求した一冊です。また、あまり色々な俗事に興味が
湧かないタイプの人にも判りにくい一冊のような気がしま
す。「VOW」や「タモリ倶楽部」という言葉をはじめて
聞いたというような人はこの本向きではありません。
出久根達郎「随筆 最後の恋文」読了しました。25編程
の随筆に加えて著者の若い頃の日記が載っています。巻末
には三月書房がこれまでに出した小型愛蔵本シリーズの一
覧がのっています。73冊ほどあるようですが在庫がある
のは僅か17冊だけのようです。戸板康二の随筆などは一
度眺めてみたいところですが古本でしか入手できないよう
です。
川端康成「伊豆の踊子」をあらためてちゃんと読んでみま
した。このような超有名な文学作品は何度も映像化され、
学生時代にも一部を読んだりするので、つい読んだつもり
になってしまいますが、通読した人は意外と少ないのでは
ないかと思います。大人になってから解説まで読んでみる
とはじめてどういう小説だったのかが判ります。有名文庫
の大人読みをおすすめします。
幸福の科学出版の「南京大虐殺と従軍慰安婦は本当か?」
は大きな活字で僅か140ページほどの小冊子なのですぐ
に読み終えてしまいました。ちゃんとした歴史書をいくら
か読んだことのある人には判っている事ですが、テレビの
報道だけを見て信じている人には読む価値があるかも知れ
ません。もっとも霊言という形を取って語っているので、
言い足りていない部分や、若干の怪しさは免れません。
出久根達郎「随筆 最後の恋文」を読み始めました。この
本自体はつい最近、ジュンク堂の特設コーナーで買ったも
のですが、実は同じ本を昔、有隣堂のバーゲンブックコー
ナーでゾッキ本として購入したことがあります。そちらに
はBマークがついていますがそれ以外は見比べても製箱、
帯含めて全く変わりません。新品2,376円、B本899円です。
最近は本も電子版が盛んになって来て選択肢が増えました
がもっと様々な販売形態があっても良いように思えます。
今でも絶版、品切れなどで入手出来ない本が多いですが、
電子版を含めてすべての出版物を何らかの形で見られる制
度をぜひ構築して欲しいと思います。国立国会図書館には
すべての出版物が揃っているそうですが、遠すぎます。
土屋健著「石炭紀・ペルム紀の生物」は古生物ミステリー
シリーズの第四巻目です。この本も期待を裏切ることなく
この時代特有な動植物を豊富な化石写真や復元図を使って
判り易く解説しています。大陸移動や気候条件などの話も
併せて説明がされておりとてもためになる読み物となって
います。古生代末のペルム紀の解説では当時大繁栄した腕
足動物が取り上げられています。この腕足動物の「究極の
無気力戦略」に関連した本として著者があげていた椎野勇
太の『凹凸形の殻に隠された謎』も気になって購入してし
まいました。
コンタサル著「悪魔の涎・追い求める男」読了です。短編
10篇が納められています。様々な不条理な世界が描かれ
ていて文学の幅を広げるのに貢献があったのではないかと
想像されます。現実と非現実が交錯するような不思議な映
像を味わうことが出来ます。但し、必ずしも結論がはっき
り示されているわけではないので、起承転結を期待してい
ると、起承転で終わってしまったり、時には起承で終わっ
ていたりするので注意が必要です。
呉善花著「日本人として学んでおきたい世界の宗教」を読
み終えました。講義録が元になっているためか眠くなりそ
うな記述が淡々と続いています。勉強としては確かにこの
本に書いてあるような世界の宗教早わかり程度の知識を身
に付けておくことは大切だと思いますが、いつもの著者の
書きものに比べると、思わず引き込まれるような記述が無
く本当の学習教材です。ユダヤ教、キリスト教、イスラム
教、バラモン教、ヒンドゥー教、初期仏教、部派仏教、大
乗仏教、アジア各国の仏教、日本の仏教、儒教、神道など
概略だけでなく四書五経、神仏習合、本地垂迹説、ニケー
ア公会議、エフェソス公会議、カルケドン公会議、イエズ
ス会、ピューリタン、プロテスタント教会、カトリック教
会、宗教改革などさまざまな詳細な内容を含んでいます。
まさにタイトル通りの一冊です。
20万冊もの蔵書を抱えるという立花隆の本棚を写真と共
に本人が紹介する「立花隆の書棚」は650ページもあっ
てこの秋から私の本棚の幅を5cm占有することになりま
した。黒を背景にした豊富な本棚の写真にはそれぞれ味が
あってその細かい背表紙を眺めていても飽きません。この
本棚の隅々には何者かが棲息している雰囲気さえ漂います。
立花隆は多くの著作を著しているだけに、本文ではそれぞ
れの思いでだけでなく思わず得したような気にさせてくれ
る多くの蘊蓄や名言を数多く提供してくれています。
幸田露伴の主に短篇集11篇を纏めた「ちくま日本文学023
幸田露伴」を読み終えました。収めてある掌編は以下の通
りです。「太郎坊」「貧乏」「雁坂越」「突貫紀行」「観
画談」「鵞鳥」「幻談」「雪たたき」「蒲生氏郷」「野道」
「望樹記」実は改めて読みたかったのは釣り文学の「幻談」
一遍です。なかなか味があって良いです。
本棚を2つ購入したのをきっかけに、本の入れ替えと棚卸
を8月末頃から始めましたが、あっちこっちに移し替えて
いるといつまで経っても収まりが付きません。元々本の数
か多いのと、出来れば著者別などに纏め直そうなどと色気
を出すともう駄目です。一か月経った現在、11個の本棚
の間で毎週、本が移動を繰り返しています。当面は収まり
そうもありません。
落合信彦著「ザ・スクープ」読了です。いつ購入したのか
見てみたら昭和62年の第一刷でした。25年以上も本棚
に寝ていたことになります。物語は大韓航空機撃墜事件事
件の裏舞台で繰り広げられるCIAの陰謀と日本人ジャー
ナリストとの闘いです。実は米ソの間で進められていた第
二次戦略兵器制限交渉SALTUには世界が震えあがるよ
うなとんでもない裏条項が付いていたという大スクープを
掴んだ主人公が最後に下した結論とは何か。日本版ハード
ボイルド作品の傑作です。この物語が単なるフィクション
と言い切れない所が不気味です。米ソだったらこのような
戦略を描いていても全く不思議でないほど世界は不正義に
満ちています。日本もそろそろ大国の思惑をよく勉強して
もっと戦略的に政治を動かしていかないとまた先の大戦の
ように罠にはめられかねません。
技術評論社刊「デボン紀の生物」を読了しました。シリー
ズ3冊目です。私の大好きな三葉虫である「ファコプス類」
が登場します。複眼が特徴的ですがとげとげを発達させた
種類もいます。突起を更に発達させたディクラヌルスや、
ケラトヌルス、コネプルシアその他多数の三葉虫化石の美
麗な写真が満載です。私は宝くじは買いませんが、もしも
購入した宝くじで1億円が当ったらこれらの三葉虫を一匹
100万円で100種類購入するのが夢です。
呉善花著「反日・愛国の由来」読了です。この著者の韓国・
北朝鮮情報は貴重です。現在、これらの国の国情や対日本
感を語らせたらまず右に出る者はいません。我々一般人に
も常に的確に判り易く紹介してくれます。日本政府もそろ
そろこの著者の話を真剣に聞いて長期的な国策に反映して
いく必要があると感じます。相変わらず日本は諸外国の後
手後手に回って損な役割ばかり演じさせられている感が拭
えません。
夏目漱石「門」は「三四郎」「それから」に連なる三部作
の最後の作品です。現代からみると小説の作風がまったく
違うことはもとより、このような作品については時代背景
や作者の生活などを念頭に入れた理解が必須です。今回、
三部作を読み通してみて感じたのは、やはり現代ではこの
ような小説を単品で読んでも面白みは無いという事です。
私は幸福の科学の信者ではありませんが、幸福の科学出版
の「天に誓って「南京大虐殺」はあったのか」を縁あって
読みました。いわゆる南京大虐殺伝説のきっかけを作った
本「ザ・レイプ・オブ・南京」を書いた著者アイリス・チ
ャンの霊言です。南京入場時にはいなかった三十万もの人
を殺すことは不可能です。また、南京入場時には各国の特
派員がいましたが誰も当時そのような報告をしていません。
明らかな中国の嘘だというのになぜ、アメリカをはじめ各
国は真実に目をつぶっていつまでも虚言を言いふらしてい
るのでしょうか。このような本を読んで一番納得がいくの
は、アメリカは経済的に中国に頼っている部分が大きい為
中国の発言をアメリカの議会なり国家なりが承認若しくは
黙認している傾向が背景にあるということと、三十万人と
いう数字は、かつてアメリカが日本で殺した民間人の数と
ほぼ一致している(東京大空襲で十万、広島原爆で十四万、
長崎原爆で七万)ということから自分たちの罪を逃れる為
に、日本もかつて三十万も殺した悪い国だという印象を与
えたい思惑がありそうだと容易に想像が出来るようになる
ことです。渡部昇一などの一部の学者はずっと歴史の資料
を丹念に検証して真実を主張し続けていますが、依然少数
派です。幸福の科学はこの様な本を通じて真実を訴え続け
ていますが、霊言という手法が有効かどうかは疑問です。
信者以外はまず霊言を信じるどころか怪しい宗教が怪しい
発言をしているだけと受け取りかねません。もっと直接的
に幸福実現党の方で公式に裏付けある発言はしないのでし
ょうか。出来る能力があってしないのは怠慢だと考えます。
「日本の七十二候を楽しむ−旧暦のある暮らし−」を読み
おえました。ためになる良い本です。二十四節気と七十二
候の暮らし、各季節の風物(旬の野菜、鳥、果物、魚介、
花々、行事)が辞書のように探せる点が評価できます。ま
た知らなかった料理法や食品の栄養や旬の時期など大変、
参考になります。会社でも多くの人に内容含めて紹介しま
した。カラーの図も特徴を的確にとらえていて良く描けて
おり内容理解の助けとなっています。
ロビン・ダンバー著「友達の数は何人?」を読了しました。
この著者によると、友達や上手くいく集団の人数は150
人だそうです。この数をダンバー数というそうですが、こ
の本では進化心理学的な見方から、脳の発達の起源や友人
とのつながりなどに焦点を当てて色々な論理を展開してい
ます。なかなか興味深い内容が多いですがひと括りに説明
しにくいので是非とも本屋さんで手にとって眺めてみて下
さい。必ず興味深い一節は見つかられると思います。
玄侑宗久著「禅のいろは」読了です。『色は匂へど散りぬ
るを 我が世誰ぞ常ならむ 有為の奥山今日超えて 浅き
夢見じ酔ひもせず』この、いろは47文字を解説した本は
多いと思いますが、仏教的な見方も加えて軽妙に解説した
この本は良く出来たエッセイです。
時事報道されている集団的自衛権ですが、幸福実現党の出
している「「集団的自衛権」はなぜ必要なのか」がとても
判り易くその必要性を解説しています。「集団的自衛権」
には反対している人が多いですが、その多くは無知やら誤
解が生み出しているものと思います。マスコミの報道ばか
りを鵜呑みにして自分で各種著作物を読んでいないで反対
している人にはぜひとも一読して欲しい一冊です。この本
を読んでも反対するだけの材料を持っている人は反対で構
いませんが、報道が反対ばかりを煽るので反対と言ってい
る人は読んでみた方が良いです。啓発されること確実です。
コミック「石の花(下)」坂口尚著をやっと読み終えまし
た。上・中はずっと前に読んでいますが、この巻だけ偶々
読み残してしまったものです。第二次世界大戦当時のユー
ゴスラビアを描いたという日本では異色のコミックです。
内容はナチスドイツに分割占領されたユーゴをパルチザン
が解放するまでを描いています。勿論創作の部分は多いと
思いますが一読お勧めの長編コミックです。そう言えば、
先日から読んでいる「ヴィンランド・サガ」という漫画は
現在発売されている14巻目まで読み終えました。こちら
も舞台はノルウエー、デンマーク、アイスランドという北
欧を舞台にしています。舞台は違ってもそれぞれ訴える何
かがあります。「ヴィンランド・サガ」は主人公のトルフ
ィンが奴隷の身分から解放されて、クヌート王との和平交
渉も無事終えて故郷に戻れた所まで進みました。平和な国
を作るために暴力を封印したやり方を進める主人公との対
話に触発されたクヌート王は農場の接収を中止し、その延
長で軍事力も削減することでかえってイングランド国民の
信頼を得ることにつながります。果たして平和な国家は建
設出来るのか、15巻目の出版は10月末のようで待ち遠
しい限りです。
養老孟司「考える読書」が双葉新書として今年発売された
ものを読み終えました。やはり養老孟司のエッセイは読み
やすくて気晴らしになります。社会批評も一方向で断定す
るようなことが無く安心して読めます。山本夏彦の著作に
どこか似ています。物の見方の勉強になるといった所です。
林達夫の「思想の運命」をやっと読み終えました。購入し
てから既に20年以上が経っています。良い本だとの定評
がある一冊ですが難しそうな為お蔵入りしていた本です。
やはり難しい内容もありますが、理解できる部分もあって
読んで良かったと思っています。一読お勧めです。
宮部みゆき「ペテロの葬列」をテレビ放映より一足先に読
み終えました。原作もドラマ的な作りで終わり方もなかな
か衝撃的でした。どこかに救いがあるのが著者の身上です
がこのストーリーでも希望の光を残して物語が終わります。
テレビドラマはどのような終わり方をするのか楽しみです。
「サラリーマン山崎シゲル」読了しました。お笑い芸人で
あるピース又吉の推薦本です。本屋で見つけて衝動買いし
た本です。抜群の想像力による情景描写をへたうま的な画
力で雰囲気を盛りあげています。大笑いは出来ませんが、
地味に笑えます。発想が抜群です。よくもこれだけの情景
を思い浮かべる事が出来たものだと感心しました。我が家
では子どもにもおお受けでした。
「「サラ川」傑作選すごろく」読了です。川柳は250年
もの歴史を持つ文芸だそうです。平成の世にブームを巻き
起こした第一生命に感謝です。おかげで多くの秀逸な川柳
に出会うことが出来ました。この本の出版時点で既に応募
総数が75万句に上っていたそうなので本に掲載された句
は飛びきりの逸品ということになります。サラリーマンと
謳っている所も狙いが良かったのではないかと思います。
川柳なだけにやはり10年もすると時代の差を感じさせら
れるような句もありますが、じだいを超えて楽しめる句も
それ以上にあります。まだサラ川を見たことのない方には
一度手にしてみる事をお勧めします。
大判のカラー図版「別冊緑青 11 自在置物」マリア書房を
読み終えました。自在置物とは鉄などの金属を精巧に組み
合わせて海老や昆虫、蛇などを各節が自在に動くように作
った工芸品のことです。テレビで放映していたのを見て、
気になって購入した本です。この本は自在置物の歴史やそ
の製法まで良く判る一冊となっています。自在置物の多く
は海外に流出してしまっていますが、この本では海外にあ
る多くの逸品についても探し出して紹介しています。一見
の価値のある明治の工芸品です。
稲垣栄洋著「雑草に学ぶ「ルデラル」な生き方」を読了し
ました。雑草の生存戦略の話です。変化と逆境こそが雑草
の戦略の要だということが良く判る一冊です。この本を読
むとなぜ草刈りをしたのに雑草がすぐに生えて来るのかが
良く判ります。雑草に対してこのような見方をした本を今
まで見たことがありません。考え方として参考になる一冊
だと思います。ぜひ読んでみて欲しい一冊です。
武田邦彦著「原発と、危ない日本4つの問題」読了です。
原発、食品リサイクル、ゴミ問題、ダイキシンという4つ
の問題を論じています。根拠となる数値データの提示が豊
富な点はとても良いと思いますが、この著者は頭が良すぎ
るのか、時々論理が飛躍して結論付ける点がみられるのが
難点です。原発科学者から転向して反原発の論理を盛んに
展開していますが、これほど頭脳明晰な著者が事故前まで
は原発が完全に安全だなどとは思うはずがなく、あくまで
安全には前提が付きます。そのような過去を無かった事に
して今原発は危険だと言い張るのはどうみても時流に乗っ
た発言としか思えません。残念な姿勢です。
会社の人からのお勧め本として「ヴィンランド・サガ」と
いうコミックを読み始めました。作者は幸村誠です。14
巻までの単行本が出ていたので一気に購入しました。現在
13巻まで読了です。主人公が格好良いという紹介の通り、
個性あるキャラクターで今後の展開が楽しみです。脇役も
個性が際立っていてなかなか読みごたえがあります。壮大
な物語です。
夏目漱石の「それから」を読了しました。「三四郎」に続
く三部作の2番目です。最終作は「門」です。平成6年に
購入したまま眠っていた本です。昭和23年に初版が出て
から既に66年が経過していますが、この本が百刷だそう
です。息の長い本です。漱石の本は読んだつもりになって
いる本ばかりでちゃんと一冊丸ごと読み終えた本があまり
無いような気がします。今回、読んでみてやはり時代の隔
たりを感じましたが、明治の知識人の遊民生活の一端が窺
えて興味深いものがあります。思想的な面をみても、普通
の心理小説とはだいぶ異なり、独特な独白が目立ちます。
また、小説的な起承転結においても悲劇を予感させたまま
終わるという尻切れトンボで終わっています。解説ではそ
の点を「それから先を書いてない」点においても「それか
ら」であると言っています。
奥本大三郎が取り組んでいるファーブル昆虫記完訳版の最
新巻である「完訳ファーブル昆虫記第9巻上」を読み終え
ました。待ちに待った待望の一冊です。この巻ではクモの
巣に関する観察、実験が詳しく語られます。本当にどの巻
をとっても外れというものがありません。科学的な見方を
養うにはファーブル昆虫記だけで十分です。語り口も平易
で判り易く、奥本大三郎のサービス満点の解説や翻訳には
敬服するしかありません。次の巻が今から待たれますが、
9巻下は2015年5月の刊行予定となっています。
愛知県立とべ動物園の飼育員であるみやこしさとしが描い
た「動物園のなにげない一日」は絵本風の楽しいイラスト
でいろいろな動物たちの知られざる行動を紹介しています。
思わず笑ってしまうような小話や、ちょっとびっくりさせ
られる飼育員ならではのエピソードが語られています。
シモネッタこと田丸公美子のエッセイ集「シモネッタのア
マルコルド」を読み終えました。イタリア語の通訳である
著者が40年ものキャリアで経験した数々の翻訳にまつわ
る苦労や楽しい話がてんこ盛りです。なにげない文章の中
にプロとしての確かな言葉の数々がちりばめられています。
「人の心がまるごとわかる心理学」はホンマでっか!?TV
で有名な心理学者である植木理恵の著作です。自分自身、
コミュニケーション、恋愛・結婚、家庭・子育て、職場・
仕事など様々な場所における行動を心理学的なアプローチ
で分析しています。自分を見つめ直すのに役立つかも知れ
ません。
「これでわかった!!値段のカラクリ」は2010年末に
金子哲雄によっていろいろな業界における値段のからくり
について書かれた本です。現場主義による調査をもとに、
決算報告書による原価内訳の割り出しを加えて信憑性の高
い資料を提供してくれています。牛丼の純利益は1杯当り
いくらなのか、寿司の食べ放題は果たしてお得なのか、カ
ップラーメンの原価内訳はどうなっているのか250円の
弁当が安い理由は何か、100円ショップはどうやって儲
けているのか、眼鏡の原価は、スーツ量販店の2着目半額
のからくりとは、などなど聞いてみたい安値のからくりが
この一冊ですべて判ります。
丸谷才一編「私の選んだ文庫ベスト3」を読了しました。
井上ひさしが選ぶシェイクスピアの文庫3冊を出だしとし
て常盤新平が選ぶ藤沢周平、など150名以上の著名人や
作家などがいろいろな著作を熱く紹介しています。僅か3
冊しか選べないので各著者も真剣です。おまけに紹介は見
ビラきで2ページのみです。ここに各著者の思いのたけが
詰まっています。面白くないわけがありません。
長谷川英祐「科学の罠」を読了しました。近年読んだ中で
もっともたちの悪い本です。著者は進化生物学者らしいで
すが、科学的な手法や見方を使うことで科学をもっと楽し
めたり、物事が正しく把握出来るという趣旨の興味ある本
です。章見出しから一部を拾ってみると、『測定は「誤差」
から逃れられない』『科学的公平さを知る』『科学は「真偽」
しか決められない』『日本の科学者が学ぶべき「科学と倫
理」の関係』『科学の「捏造」と「矜持」』というような
実にありがたい内容を思い描かせてくれるタイトルが並ん
でいます。事実、我々素人でもかなりの内容が理解出来た
と思わせるような内容でそういった意味では貴重な一冊だ
と思います。しかし、問題はそのような本だからこそ真摯
であって欲しい所ですが、こと原発に関する発言に関して
はそのような科学的な見方をすべて無視した独断と偏見に
満ちた書き方をしているという似科学者非の常套手段に満
ちています。一例を挙げます。この著者は原発が容認され
てきた理由を以下のように言い切っています。『しかし何
と言っても容認されてきた大きな理由は、専門家である科
学者たちが、「絶対安全」と言い続けてきたからでしょう。』
この著者が何人の科学者からこの言葉を聞いたか知る由も
ありませんが、専門の原発関係の科学者が何の前提も付け
ずに絶対安全と言うことはまずありえません。言葉の断片
だけを取れば「絶対安全」という言葉が含まれる事はあっ
ても、だから絶対安全だということは科学上はあり得ませ
ん。言い切れるのは『絶対安全なものなど世の中に何もな
い』ということだけです。自動車などは死者数、負傷者数
をみれば絶対安全で無い乗り物の筆頭ですが誰もが安全と
言い張っています。少なくとも科学的な見方を我々素人に
解説しているこの本の中で、著者のこの様な言い方は絶対
に赦されません。更に悪質だと思われるのは、著者は絶対
に確信犯的に「絶対安全」発言をしていることです。この
著者がそれに気付かずに書いているのであれば免責される
余地はありますが、本の内容から推してあり得ません。と
言うことは、この著者は我々読者を頭からバカにしてどう
せ気付かないだろうと舐めて書いている可能性が非常に高
いと思われます。以上の発言が正しいかどうかは皆さんが
この本を読んでみて判断下さい。それがもっとも公平です。
宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション(下)」
も読了しました。この3部作は編者にとってのベスト短編
集だと思いますが、その期待を裏切らない佳編が揃ってい
ます。各章の頭には宮部みゆきのガイドが付いているのは
中編と一緒ですが、第九章には松本清張賞受賞者4名によ
る清張評や思い出なども付いています。上中下それぞれに
良かったですが、清張作品は短編と言っても結構長いもの
が多く、ものによっては薄い1冊の本になりそうなものな
どもあって結構読むのに疲れます。
異色作家短篇集M「虹をつかむ男」読了です。著者はジェ
イムズ・サーバーです。本の解説によれば本著は著者の粋
を集めたといっても過言ではない作品が納められていると
いうことで、確かにミステリ、SF、ファンタジー、怪談、
滑稽譚など様々に分類されそうな奇妙な味の作品が納めら
れています。25篇ほどのショートショートは面白いもの
もちょっと良さが判らないものもあって総合的には悪くは
ないですが今時の落ちがはっきりしているストーリーに比
べるると物足りなさを感じるものも多くあります。作品の
合間に豊富に掲載されたイラストも珍妙なものが多くあり
ます。
宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション(中)」
も読み終えました。この中編は第五章、第六章から成って
います。納められている短編は以下の通りです。
第五章 淋しい女たちの肖像
・遠くからの声 ・巻頭句の女 ・書道教授 ・式場の微笑
第六章 不機嫌な男たちの肖像
・共犯者 ・カルネアデスの舟板 ・空白の意匠 ・山
各章の頭には上巻と同様に篇者による作品解説がついてい
ますが、巻末には「あなたのお好きな清張作品は?」とい
う「大極宮」でのアンケート結果も載せられています。
宮部みゆき責任編集「松本清張傑作短篇コレクション(上)」
を読み終えました。宮部みゆき自身が清張ファンだという
ことで気合の入った作品選択がされているようです。実際
この短編集に納められている10作品はどれも良い作品で
した。各章の頭には宮部みゆきの解説もついていますので
そこもまた楽しめます。
出久根達郎著「ときどきメタボの食いしん坊」を読了しま
した。2001年〜2007年に日本経済新聞社に掲載さ
れたエッセイを中心に60篇近くのエッセイを纏めたもの
です。軽い日常のエッセイに満ちています。
宮部みゆき「桜ほうさら」読了です。600ページを超え
る大部の本ですが、本当にあっという間に読み終わってし
まいました。父親の汚名をそそぎたい思いを胸に秘め江戸
に出てきた主人公、笙之助は長屋住まいで周囲の暖かい人
たちに支えられながら、他人の筆跡をまねられる犯人一味
を探し続けます。お家乗っ取りに絡んだ黒幕と擁護派との
対決は主人公の命をも危うくする事態に発展し意外な幕切
れを迎えます。著者の時代物と同様、ちょっとほろ苦く、
将来に希望を持って大団円となります。読後感の爽やかな
読み物です。
阿刀田高「松本清張あらかると」読了しました。松本清張
の短編を中心に内容の一部紹介と松本清張の作家としての
作風、目の付けどころ、時代背景などについて説明が縷々
述べられています。なるほどと納得できる部分もあります
が、原作を読んでいない人にとっては理解出来ない部分が
多すぎてちょっと残念な一冊です。清張作品をだいぶ読み
込んだ後に読むときっと楽しく読める一冊だと思います。
谷沢永一「人間通になる読書術・実践編」は著者自身が読み
たいと願っていた本を自分で作ってしまったという本なの
でその目指す所が良く判る作りとなっています。第一章は
著者お勧めの本14冊の紹介です。「樅の木は残った」「
小説とは何か」「攘夷の韓国 開国の日本」「小説東京帝
国大学」「ソクラテス以前以降」などです。第二章は箴言
集のエッセンスをまとめたものです。「氷川清話」「自省
録」「紋切型辞典」「書物」「井深大語録」「二宮尊徳の
教え」「武士道」などです。第二部の第一章は読書の技術
を述べ、第二章では知性・教養とは何かを問い、第三章で
は本の購入、管理法などの智恵について述べています。
著者の本はこれまでも多数読んできたので特別に新しい知
見はありませんが、良くまとまっている一冊だと思います。
山口椿「枕の絵草子」読了しました。説明の難しい本です。
『ゴドミシュ物語』は、けったいな書物で、このように、
いとも軽妙なさし絵がついています。ギリシャ語でオリボ
スは、歓ばせてちょうだい、ぐらいの意味でしょうか、フ
ランスでなら、オリスボサション、ただしかんたんな辞書
には見当たらないので、俗語隠語のたぐいとなる。こんな
書き出しで性の文学を語られてもちっともピンと来ません。
著者は作家にしてチェリスト、画家としても超一流という
鬼才の持ち主であるだけに、このような難解な性の深淵を
綴った文学が出来るのでしょうが、読むほうは大変です。
結局は著者の描いた挿絵46点を眺めて楽しむくらいしか
簡単な楽しみは残っていません。
三島由紀夫の戯曲「黒蜥蜴」読了しました。判りやすい内
容です。秘宝「エジプトの星」を狙う美貌の女賊・黒蜥蜴
と名探偵・明智小五郎との対決物語ですが、三島由紀夫の
脚本では二人の間に芽生えていく淡い愛情を主なモチーフ
に据えています。舞台で主役「黒蜥蜴」を演じ、大好評を
博した三輪明宏との対談や外題など関係する資料もこの一
冊に織り込んでいます。
ミシェル・ド・モンテーニュ「エセー4」読了しました。
「エセー」の中で最長、最大の章、難解をもって知られる
「レーモン・スボンの弁護」を収録しています。どこまで
が引用でどこからが著者の発言なのか判りにくい書き方を
しています。更には結局、著者が過去の意見に賛成してい
るのか、反対しているのか、どのあたりに真意があるのか
良く判らないところがあります。
短編小説の名手である阿刀田高が短編小説執筆の技を始め
短編小説に絡む話題を纏めた一冊が「短編小説より愛をこ
めて」です。第二章では著者が一分野を開拓した「知って
いますかシリーズ」からギリシャ神話の話題を紹介してい
ます。巻末には著者の愛した短編小説20というタイトル
で名編が紹介されています。
夏目漱石著「草枕」をはじめてちゃんと読み切りました。
『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通
せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』このような出
だしで始まる草枕は青年画家がとある温泉場で才気溢れる
女性、那美と出会うところから始まりますが、ストーリー
らしい明確な筋を持たず、結論をわざと外したような挑戦
的な技巧で小説を描いています。加えて絢爛豊富な語彙と
多彩な故事来歴を踏まえた文章を駆使し、絵画的な感覚美
の世界を描くという決して平易でない170ページそこそ
この小説です。
岩谷テンホー「みこすり半劇場∞%」読了しました。頭が
疲れている時のビタミン剤です。下ネタ四コマ漫画ですが
思いっきり笑えます。こんな発想があったのかと言うよう
な秀逸なネタもあって、この作者の発想の豊かさに思わず
拍手です。
講談社文庫スペシャル・ブレンド・ミステリーと題したミ
ステリーのアンソロジー第一弾「謎001」東野圭吾選を
読み終えました。その後、毎年このシリーズは毎年刊行さ
れ続けているので2014年5月現在「謎008」まで出
されています。「謎002」宮部みゆき選だけは以前に読
んで感動した覚えがありますが今回の選集も良く出来てい
ます。流石に3年分の「ザ・ベスト・ミステリー」短編集
の中からさらに選ばれた珠玉の名品8篇だけあって読み応
え十分です。松本清張、筒井康隆、赤川次郎、日下圭介、
宮部みゆきなど錚々たるメンバーの作品が収められていま
す。003〜008もいずれ手に取ってみたいと思います。
池田清彦著「「本末転倒」には騙されるな」読了です。原
発、エネルギー問題、放射能、医療、環境問題、教育、報
道、補助金制度などなどいろいろな分野について「ウソ」
の構造を判り易く説明しています。傾聴すべき点は多いで
すが、やはりこの著者にしても公平ということはなくて、
自分の反対する原発などへの反論の際には「ウソ」の構造
をうまく使って詭弁を弄しています。良く使われている手
は、問題点だけを強調して、利点をあえて言わない、若し
くは恰も脱原発が簡単に出来るかのごとき説明をするとい
うがごとき手法です。そういった意味ではたちの悪い題名
です。読むことはお勧めしますが、鵜呑みにすることなく
自分で良く判断して読む必要があります。
泡坂妻夫の最後の著書となる「泡坂妻夫引退公演・第二幕」
を読了しました。珍しい戯曲やマジックを話題にした小説
その他の掌編はどれもが味わい深いものです。本書の巻末
には著者の全作品リストが掲載されています。
ハヤカワ文庫「変種第二号」はフィリップ・K・ディック
の短編集です。タイトルの掌編は以前に宮部みゆきの編集
になる本で読んだことがありますが、この本に掲載されて
いる多くの掌編が独特の発想で出来ていて思わず読ませら
れてしまいます。素晴らしい掌編ぞろいです。
佐藤勝彦著「眠れなくなる宇宙のはなし」読了しました。
望遠鏡が登場するまでの天文学の歴史が本の半分以上を占
めるため、私はここまでで相当飽きてしまいました。天文
が好きな人でも天文の歴史にはそれほど興味が無いと私は
思っていますがどうでしょうか。後半は最新の宇宙論につ
いても説明されているので興味は湧きますが、今度は暗黒
物質やブレーン宇宙論、超ひも理論、無境界仮説など少し
説明不足の最新理論が立て続けに出てくるのでそこでつま
づいた人がたくさんいそうです。もう少しこのあたりを補
足して欲しかったと思います。
呉善花/井沢元彦著「困った隣人韓国の急所」読了です。
韓国そして我が国の歴史を良く知っている著者ならではの
的確な指摘が随所に見られる一冊です。特に井沢氏の以下
のような発言に対しての呉善花氏の発言が印象的でした。
「日本はたとえ相手のためを思ってやったことでも相手が
後で不愉快な思いをするようなことがあったとしたら謝罪
しなければいけない」ような発言に対して「そのような私
が悪かったような発言は禁物です。」というようなもので
す。我々はついつい日本的な考えで、謝罪すれば相手も判
ってくれるという文化で成り立っていますが、韓国は永年
経ったとしても、謝罪するということは非があったと認め
ることだと言います。そこが我々に一番欠けている視点か
も知れません。多くの人に一度は読んで欲しい一冊です。
2009年に亡くなった泡坂妻夫最後の豪華本です。2冊
組箱入り装丁の本です。単行本未収録の小説と戯曲が収録
されているそうです。第一巻目は第一幕「絡繰」というタ
イトルで纏められていますが、中身は17編の短編集です。
雲見番の亜智一郎が解く7つの謎、紋章上絵師としての経
験を生かした7編の珠玉の掌編などから成っています。読
んで得した気分にさせてくれる一冊です。
カレル・チャペックの「山椒魚戦争」を岩波文庫版で読み
ました。以前にも別の版で読んだことがありますが、もう
ほとんど忘れているので新版を読んだ感覚です。SFの古
典と看做されていますが、例によって著者チャペックの文
明に対する批判や警告メッセージが強く打ち出されている
評論です。訳者あとがきには以下のように記載されていま
す。『人間がみずから創り出した科学・技術によって滅び
る、というよりも、やはり、人間のなかから生まれた全体
主義的な思想・哲学・体制を阻害され、滅亡する危機に立
っている、ということの方をより強調したかったのではな
いか』因みにストーリーは、赤道直下で見つかった山椒魚
に似た生物が、従順で人間の生活の役にも立つことから世
界各国に徐々に広がり、やがて人間との間に紛争が生るが
その時にはすでに人類はそれに対抗するすべも持たず陸地
も次々と山椒魚のために水没させられていくといったもの
です。今年のベスト10には当然入れたい所ですが余りに
も評価が確立された古典なのでベスト10からは外します。
読んだことのない方にはお勧めの一冊です。
トーマス・トウェイツ「ゼロからトースターを作ってみた」
を読み終えました。200ページ弱のコンパクトな本です。
カラー写真も満載でトースター作りの経過がよく判ります。
著者は卒業制作の一環として原材料からのトースター制作
にチャレンジしています。その過程のすべてがこの一冊に
詰まっています。結果からいえば確かにトースターらしき
物体が出来上がり発熱したがパンが焼ける前に発熱体が焼
き切れたという状態です。成功といえなくもないですが、
著者の基本構想から言えばずるをしている個所が多すぎる
ように思えます。書評ではアイデアの素晴らしさや制作過
程に加えて哲学的な思索を高く評価しているようですが、
単にずるを正当化するためのこじつけの言い訳のように聞
こえます。例え卒業制作に間に合わずに1年延びようが、
もっと頑張って当初の計画に沿って作って欲しかったと思
います。言い訳をしだしたら何だって成功します。因みに
このアイデア、制作過程はネットでも配信され相当な賛同
を得られたそうで、この本に関しても一読してみる価値は
あると思っています。
朝倉書店「バージェス頁岩化石図譜」を読み終えました。
図鑑の類なので全ページ読むより気になる生物を辞書のよ
うな使い方で引くという人の方が多いかも知れませんが、
この時代の生物はいずれも現存しないので図鑑のように検
索するタイミングもほとんどありません。結局全ページを
興味深く読んでしまいましたが、この時代の多様性を理解
するためには写真や復元図だけを見ていても見えて来ない
部分が多いので詳細な解釈を含んだ説明が重要です。そう
言った意味で良い本です。最近の知見を多く取り入れた上
にその生物が当時どの程度の比率で生息していたのかや、
海底にいたのか水中を泳いでいたのか、捕食者だったのか
など生態を含めて各生物の様相が手に取るように判ります。
個人的には二重丸でお勧めの本ですが、一般の人の興味か
ら考えてベスト10からは外しました。
北杜夫「輝ける碧き空の下で第二部(上)(下)」も読了しま
した。第二部では未開の地アマゾンへの入植から話は始ま
ります。ここでも想像以上の苦労が続きますがついに新た
な栽培品種であるジュートの栽培に成功し移民たちの生活
もやっと安定していきます。そんな矢先、突然の第二次世
界大戦の勃発に伴って国交も断絶し、移民たちの生活も再
び混乱していきます。私も良く知りませんでしたが、ブラ
ジルでは特に「勝ち組」「負け組」という人々の対立が生
じそれによる混乱も大きかったことが描かれています。
当初、三部作の予定だった本シリーズが二部構成で完結し
た理由についても巻末に記載されています。大作完結です。
北杜夫「輝ける碧き空の下で第一部(下)」も読了しました。
ブラジルへの移民開始から7年。まだ開拓の苦労は続いて
います。多くの犠牲者を出したマラリアや、農作物を食い
尽くすバッタの群れ、そして冷害。さまざまな困難が降り
かかって来ますが、移民者達は苦難に耐え、新たに新聞の
発行も始まります。そんな移民たちの生活を多角的に捉え
て飽きさせないブラジル長編に仕上がっています。
普後一「人が学ぶ昆虫の知恵」読了です。易しい説明で昆
虫の不思議についてテーマごとに解説してくれる好著です。
このような説明をしてくれれば学校での理科の時間がもっ
とずっと面白くなるというお手本のような一冊です。
北杜夫といえば「船乗りクプクプの冒険」「怪盗ジバコ」
などの笑えるものが好きですが昭和の時代に購入して読ん
でいなかった「輝ける碧き空の下で第一部(上)」をやっと
読み出しました。四半世紀も眠らしておいた勘定ですね。
著者もとうに亡くなってしまった今頃になって褒めても仕
方が無いですが、ブラジル移民の生活を描いたこの大作は
なかなか素晴らしいです。時代の雰囲気が良く判ります。
ブラジルでの言葉も含めてコーヒー園の初期状態や四季の
想像を絶する自然との闘いなどが迫真に迫って来ます。ま
だ2巻目を読み始めた所ですが全4冊が楽しみです。
「恋する「小倉百人一首」」は有名な百人一首を楽しく愉
快に学ぼうという著者阿刀田高氏の力作です。語り口は穏
やかで平易ですが、百首の解説をこれだけ我々素人に判る
ように噛み砕いて納得させてくれるのは筆者の力量ならで
はです。一枚札の”むすめふさほせ”の説明、六歌仙の説
明、枕詞の解説、古典落語の「千早振る」など百人一首に
まつわる雑談、掛け言葉の解説、歌のやり取りに見る当時
の男女の恋愛の機微にいたるまで過不足無く僅か文庫三百
ページに百首を漏れなく盛り込んでいます。普通の解説書
だと小難しい解説に陥るところですが、この本は実に判り
易く楽しんで忘れかけていた百人一首を思い出させてくれ
ます。
奥本大三郎「マルセイユの海鞘」読了しました。「海鞘」
は読めませんでした。『ほや』と読むそうです。本の帯に
は『フランス人もホヤを食べる?、「シウマイ弁当」を礼
賛刷る理由とは……、自宅を昆虫館に建て替えて、高層マ
ンションに移り住んだファーブル昆虫記の先生が、文明と
自然、虫の世界からB級グルメまで、自在に綴った随想集』
とあります。楽しみながら気楽に読めるエッセイ集です。
武田邦彦「「正しい」とは何か?」を読了しました。この
著者は「ほんまでっかTV」にもレギュラー出演している
原子力工学の専門家であり科学的な思考に優れた教授です
が、この本で述べている「正しい」の解釈も著者の考える
「正しさ」なので著者の言うことを丸ごと信じてしまって
はいけません。この著者の本はこれまでにも何冊か読んで
いますが、だいたい8割くらいは納得できる内容でしたが
この本は個人的には半々ですね。「正しさ」の説明のため
に取り上げられている例で肝心の前提が抜けていたり都合
の良いように解釈していたりして我田引水に陥っている個
所が散見されます。たとえば、著者の専門分野でも積極的
に嘘とまではいきませんが読者に100%誤解を与える誘
導をしています。@原発にはウランしか燃やせない。Aウ
ランは僅かな国しか産出しない。Bそれに引き換え石油な
どの化石燃料は世界中から取れる。Cだからセキュリティ
の観点から言っても原発など不要で化石燃料で十分だとい
っています。この論理の嘘はD原発にはプルトニウム増殖
と再利用という画期的な方法があり、技術力を持った日本
が真剣に技術研究を進めればかなりの放射性物質の輸入が
抑えられ国産とまではいかなくても輸入が大幅に抑えられ
る。E石油はあちこちで産出したとしても日本の主な輸入
国を考えた場合には海賊の出没するホルムズ海峡が閉鎖さ
れるだけで日本の息の根は止まります。こんな簡単なこと
も言わずに@〜Cの理論だけを展開するのは技術者として
も時事評論家としても学生への講義としても「正しい」と
は何かという本の例題としても適切とは思えません。私の
解説DEも解説が十分とは言えませんが少なくとも@〜C
よりはまともです。当然皆さんはこの発言だけを信じるの
ではなくいろいろな人の信用するに足る本を読んで判断す
るようにしましょう。
アリスン・ブレナン著の推理小説3部作の第三作目となる
「ザ・キル」を読み終えました。FBI捜査官仲間の女性
3名がそれぞれの物語の主役となった3部作です。今回の
主役はFBI研究所の研究員ですが、自分が遭遇した事件
の犯人と目され34年も投獄されていた犯人が冤罪として
釈放されるところから物語が始まります。新たな殺人をき
っかけにFBI研究所の研究員が真犯人追求に究極の手段
で乗り出します。新たに始まる恋と共に物語が急展開をみ
せる所は圧巻です。前作と同様、犯人が超人のように神出
鬼没の所は御都合主義で出来過ぎているように思えます。
技術評論社の群馬県立自然史博物館監修のシリーズ物の第
二弾「オルドビス紀・シルル紀の生物」を読み終えました。
古い時代から順に新しい時代へとシリーズとして発行して
くれるものと思われますが、全何巻なのかどのような時代
区分で割り振るのかまったく判りません。少なくとも次の
一冊をどうするかくらいは明確にして欲しいものです。少
なくとも今回発行されている2冊は非常に良く出来た科学
読み物となっており今後に大いに期待しています。
この本では前代では平べったかった三葉虫が立体的でつの
のある三葉虫に変化していく様子や各種のウミサソリやウ
ミユリなどの進化が手に取るように判るカラー図版の豊富
な贅沢な作りの本となっています。
アリスン・ブレナン著の推理小説3部作の第二作目となる
「ザ・ハント」を読了しました。これは第一作に比べて無
理なストーリー展開が減った分、期待を持って読み進める
ことが出来ました。主人公と元恋人との葛藤などもどのよ
うに進展していくのか、犯人探しと並行してストーリーを
盛りあげるのに役立っていると思います。しかし、犯人が
すぐに判ってしまうことや、その後の展開にしてもいま一
つひねりが少ないのが少し不満です。3作目に期待です。
アリスン・ブレナン著「ザ・プレイ」読了です。アメリカ
では100万部を超える程の人気となった推理小説3部作
の第一作目です。元FBI捜査官で、ある捜査をきっかけ
に人気作家へと転身した女性が主人公です。事件はこの作
家の作品に出てくるストーリーをそっくり真似た猟奇的な
殺人が続けて発生します。この女性の過去に何があったの
か、それが事件とどのように結び付いているのか、核心に
近づくとともに身辺に危険が迫っていくその筆致は息をも
つがせない程の迫力があります。残念なことは厳重な警備
にも関わらず犯人が超人的な能力としか思えないほど易々
と事件を起こしては雲隠れしてしまうという、現実にはあ
りえない展開です。そのあたりが新人作家としての限界な
のか実際にアメリカでは警察やFBIはこの程度の能力し
か無いのかは判りませんが、少なくともリンカーンライム
率いる捜査チームはそんなにボンクラでは無いし、DVD
で見たボーンスもはるかに素晴らしい捜査をします。
技術評論社「エディアカラ紀・カンブリア紀の生物」は群
馬県立自然史博物館監修のシリーズ物の第一弾です。最新
の知見を盛り込んだ古代生物の生態が素晴らしいイラスト
と化石写真で紹介されています。全ページにわたって多様
な生態がカラー図版で楽しめる本はそう多くはないので、
ぜひとも多くの人に見てもらいたい一冊です。興味本位の
図鑑などでは著名な生物だけを取り上げて大げさに紹介す
るのが常ですが、この本は科学に興味のある人を満足させ
られるように目の進化や付属肢の構造などから生態を推測
するなど納得の出来る説明となっています。良い本です。
棋士であり株も手広く手掛けていることで有名な桐谷広人
氏の「桐谷さんの株主優待ライフ」を読了しました。これ
で桐谷さんの株関連の本は3冊目です。やはり人柄が良い
せいか本も楽しく読むことが出来ます。株をやる時の心得
の他に桐谷さんの私生活がかなり判る本に仕上がっていま
す。早くNISAで桐谷さんおすすめの株を買いたい所で
すが本当にお役所仕事は遅いです。申し込んでだいぶ経ち
ますが手続き中の状態から一向に先に進みません。
呉善花「なぜ世界の人々は「日本の心」に惹かれるのか」
読了です。良い本です。著者が大の親日家であり既に日本
に帰化していることも承知の上ですが、それでもここまで
の本を書けるとは驚きです。まるで柳田國男ででもあるか
のような民俗学的な内容の日本論です。日本人の美意識、
大和心、生け花、世阿弥の花、武士道の美学、もののあわ
れ、俳句、茶の湯、十五夜祭りの起源、二十三夜待とアズ
キ信仰、お遍路さんをもてなす信仰、祇園祭と御霊信仰、
新嘗祭と大師講、宇佐八幡宮の放生会などなど見出しタイ
トルをみただけでもその内容は窺い知ることが出来ます。
但し、惜しむらくは、既に現在の日本人の大半が、著者ほ
ど日本人らしくなくなっていて、この本に書かれた内容が
特に若者には別の世界の出来事のように感じられてしまう
のではないかという点です。その主な原因は戦後の教育に
あると思われますが、いまだに教育委員会には是正しよう
という動きがまったく無いのが残念です。呉善花のこれま
での数々の著作が少しでも日本人自身の自信回復ならびに
日韓、日中間の対応に役立てば良いと思いますがこちらも
なかなか我が国の政治家は謙虚に耳を傾けようとしていな
いように思えます。残念なことです。
阿刀田高の近著「闇彦」読了です。自伝的なあやかしの物
語です。幼い記憶の奥底に残るお婆あの言葉、温泉宿で語
られるまれびとの物語、ギリシャの血をひく美貌の女優な
どさまざまな話が全体の雰囲気を形作っていますが漱石の
「夢十夜」のように結論の無い一見とりとめのない物語と
なっています。著者が得意としている奇妙な味の短編とは
一線を画した新たな語り口の妙な物語です。
プロ棋士元7段というよりは今では株主優待生活で広く知
られるようになった桐谷広人さんの本を2冊読みました。
「桐谷さんが教えるはじめての株主優待」「桐谷さんの株
主優待生活」の2冊です。桐谷さんを知ったのはテレビ番
組「月曜から夜ふかし」ですが、株主優待だけで生活をし
自転車を乗り回して優待券を使いまくるその生活スタイル
とキャラクターの面白さは抜群です。これらの本でもその
面白さは健在ですが、加えて素人株主に株の心得を判り易
く教えてくれるこれらの本は貴重です。安く買うこと、損
切りはしないこと、暴落はチャンス、優待は必要なものだ
けをなどの格言は至言です。株とは何かから始って最近の
NISAに至るまで説明は判り易く、興味を持って読めます。
桐谷さんお勧めの銘柄や株主優待なども参考になります。
ジェフリー・ディーヴァー「ロードサイド・クロス(上・下)」
読了です。やはりこの著者の描く推理物はどんでん返しの
まさかが多くつい集中して一気に読んでしまいます。今回
の主役はキネシクスの専門家キャサリン・ダンスです。観
察対象となる人物のしぐさや言葉遣い、声の抑揚などを元
に嘘を言っていないかなどを分析して犯罪捜査に役立てる
という技術がインターネットでも通用するのか、今回はネ
ットが犯罪の舞台となった「ソウル・コレクター」を思い
起こさせる内容ですが、ダンスの家族までもが犯罪に巻き
込まれるという重層的な作りとなっていていろいろな面で
楽しめるエンターテイメントとなっています。文庫本2冊
800ページ弱が本当に短く感じられるダンス物の2作目
です。
「20世紀を震撼させた100冊」はその名の通り20世
紀を代表する100冊をそれぞれの専門分野の人が1冊を
2ページで解説しているものです。著者の紹介とその著者
の他の本の紹介も付いています。結構読みごたえのある本
です。「種の起源」「悪の華」「沈黙の春」「火の鳥」な
どの良く知られた本も挙げられていますが、「一般言語学
講義」「国家と革命」「西洋の没落」「中世の秋」「論理
哲学論考」「永続革命論」「大衆の反逆」「知覚の現象学」
などほとんど聞いたこともないような本も沢山紹介されて
います。単に私が読んでいないというだけの話ですが思想
や認知学、構造主義、全体主義、哲学などの分野に関わる
内容のものが多く、僅か2ページの解説なのに理解出来な
い解説が多数あります。大衆を動かしたといった意味では
おそらく大きな影響を与えた100冊だろうと思います。
久々に竹内久美子の本を読みました。「指からわかる男の
能力と病」は2013年6月発売で、発売後すぐに購入し
ましたが読んでいない内に忘れてしまって年末にもう一度
買い直してしまいました。読み終えてから二度買いに気付
きました。ちょっと勿体なかったです。さてこの本の内容
ですが、右手の「人差し指の長さ」割る「薬指の長さ」の
値が、音楽の才能、力士のランク、スポーツ能力、年収、
自閉症やダウン症にまで関係しているのではないかという
おそるべき内容です。信憑性の高い各種の公表データを元
に解説しているので一傾の価値はあります。
「復興の精神」は養老孟司他何名かによる東日本大地震に
寄せる復興への応援メッセージです。これからの日本はど
うあるべきか、どのような心構えをすれば良いのかなどな
ど各人各様の向き合い方で言葉を紡いでいます。養老孟司
の発言が一番中庸をいっていて判り易かったという印象で
す。総じて宗教関係者の発言は何が言いたいのか判りにく
い発言が多いように感じました。
高任和夫「貨幣の鬼」は最近この分野で頭角を現わし始め
た著者の文庫第二作です。従来、どちらかというと悪者と
して取り上げられることの多い将軍綱吉と悪貨改鋳を推進
した中心人物の勘定奉行荻原重秀を先見の明がある良い者
として描き、反対にどちらかといえば良く描かれることの
多い儒者新井白石を愚者として描いた意欲作です。危機的
な幕府財政を立て直すのに用いた施策は果たして賢作だっ
たのか、その答えを本書は良く描き出しています。
養老孟司の近著2冊が2013年の読み納めでした。「バ
カの壁のそのまた向こう」「日本のリアル」の2冊です。
最近の著者の関心は森林、手入れ、田んぼです。「日本の
リアル」は主としてこれらの話題についての対談です。世
の中には精力的にこれらの再生や振興に力を注いで効果を
上げている事例があることが良く判ります。「バカの壁の
そのまた向こう」は著書のエッセイ集です。秋のサクラ、
ラオスの連休、虫採りは続く、健康と私、浮世の義理、寒
い春などという軽いテーマでのエッセイです。環境問題を
考える上でのヒントがあちこにありそうです。
気に入った本があったら読んでみて下さい。
戻る