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* * * 読書雑記(2015年) * * *



2015年は104冊の本を読むことができました。以下は
その感想、コメントです。来年も楽しめる本を1冊でも多く
紹介出来れば良いと思います。             

マネー・ヘッタ・チャン「ヘッテルとフエーテル」はマツコ
デラックスの番組で題名が秀逸だということで取り上げてい
た本です。題名から想像できる通り、グリム童話を換骨奪胎
して金融知識を物語仕立てで教えてくれるという貴重な本で
す。普通の童話と違う所は、お金の話が中心となっている事
と現実と同様にハッピーエンドで終わらない事です。主な登
場人物は何事にも心配性な妹ヘッテルとその兄のフエーテル、
そして智慧を授けてくれ解説をしてくれるグリーム婆さんで
す。タイトルは良く知られている「カネヘルンの笛吹き」や
「ピノキオ銀行」「ヤンデレラ」「3匹の婚ブタ」「キフの
魔法使い」などです。エコキャップ4000個で20円/個
のワクチン5人分となる100円が募金出来ているそうです
が、実はこれを送る袋と送料で約500円が掛かっているそ
うです。ユニセフなどを通じて直接寄付した方が遥かに無駄
がありませんが、実はエコキャップを売ったお金の半分近く
がNPO団体の活動費という名の収益となっていることなど
も書かれており、驚愕の事実を知らされることになります。
一読お勧めの本を年末に発掘出来たことは幸いです。   

ジェフリー・ディーヴァーの最新の文庫本「バーニング・ワ
イヤー」上下巻を読み終えました。この本もついつい真剣に
読み過ぎてしまって電車の中で読んでいると乗り過ごしそう
になります。このシリーズでは毎回新しい趣向の謎を提供し
てくれていますが今回の犯罪の手口はずばり電気です。迫真
に迫った描写は圧巻です。主人公リンカーン・ライムが科学
捜査の手法を駆使して謎を追求しながら犯人にせまる状況は
いつもながら読み応えがあります。下巻の解説にはこれまで
に出版されたリンカーン・ライムシリーズ全部(文庫9種、
ハードカバー2種)の詳しいあらすじがおまけで付いていま
す。これもファンには嬉しいサービスです。       

田丸公美子「シモネッタの男と女」を読了しました。イタリ
ア語の通訳であり、あの米原万里の親友だけあって毒舌もネ
タも豊富というエッセイには欠かせない資質を持っている著
者が書いた文章が面白くないはずはありません。米原万里へ
の追悼文とも言える回想録も一章に加えられています。この
作者は寡作な所が最大の欠点です。           

村田喜代子「八幡炎炎記」読了です。新聞の書評で称賛され
ていたのを見て読んだものですが、残念ながら良い点が見当
たりません。おまけに上巻とか書いてないのに物語に完結感
がありません。以前に読んだ「人が見たら蛙に化れ」が良か
っただけに残念です。                 

「シロクマのことだけは考えるな!」は心理学の第一人者で
ある植木理恵の2008年の著作です。毎日をポジティブに
生き抜くための心理学的なアドバイス満載の一冊です。「シ
ロクマ実験」と呼ばれる認知研究・記憶研究があるそうです。
これによると「シロクマ」のことを考えないように思うほど
シロクマが脳裏に浮かんで消えないそうです。人とは何かを
上手くやろうと思うと、逆に失敗率が高まる生き物のようで
す。このような認知学的な手法をベースに判り易く他人との
接し方や生活の智慧を教えてくれます。         

司馬遼太郎著「歴史と小説」を読了しました。幕末の志士で
ある土方歳三、坂本龍馬、高杉晋作、西郷隆盛などの生涯を
歴史上有名になった場所だけでなく生家までを含め丹念に追
って、その時代を生き生きと描きだしています。これだけの
下地があるからこそいろいろな歴史小説が現実感をもって描
けたのであろうと思います。歴史の見方を窺い知ることの出
来る貴重なエッセイ集です。              

「日本古典文学全集79黄表紙・川柳・狂歌」読了しました。
川柳の本はたくさんありますが狂歌についての解説本は余り
見掛けません。そのような方にぴったりの本がこの本です。
著名な狂歌の作者の作品について豊富な解説付きで一気に読
むことが出来ます。難点は私のように素養が無いと用語解説
を読むのに多くの時間を取られて読書が遅々として進まない
ことです。ハードカバー箱入りで600ページを超える段組
み振り仮名付きの装丁本です。小学館の新編日本古典文学全
集の79巻目です。                  

土屋賢二の最新刊「不良妻権」読了です。いつも通りの気軽
に読めるユーモア・エッセイ集です。解説によれば、土屋氏
のエッセイの魅力は、厳密な論理構成に見せかけた「詭弁」
にある。しかもその論理はつねに「肩すかし」される。著者
のエッセイの特徴である「被虐的自己顕示(賢二)」という
スタイルはおそらくツチヤさんの独創的な発明ではないかと
も言っています。                   

光文社文庫「撫子が斬る」は宮部みゆきが選んだ女性作家に
よる捕物帳のアンソロジーです。宇江佐真理、北原亜以子、
小笠原京、澤田ふじ子、杉本章子、畠中恵、平岩弓枝、松井
今朝子など15名の錚々たるメンバーが選ばれています。 
750頁を越す大部の本ですがあっという間に読みえました。

沢村貞子「私の浅草」を読み終えました。奇しくも読み終え
た日のテレビ番組で歌手、女優の小泉今日子が人生に影響を
受けた本の一冊としてこの本を挙げていました。この本では
ずっと下町浅草で暮らしていた著者が、昔日の風情や風物を
短いエッセイで綴ったものです。全部で70篇余のエッセイ
が収められていますが、どれも当時の様子を良く伝えてくれ
ます。あたりみかん、銭湯、駄菓子屋騒動、どんどん焼き、
長唄のお師匠さん、母の丸髷、羽子板市の夜、蒲団づくり、
などなどタイトルを見ているだけで下町の雰囲気を味わえま
す。端麗な文章の中に温かみが感じられます。      

壇蜜の文庫オリジナル「壇蜜日記2」を読了しました。壇蜜
さんだいぶ鬱屈してますね。「壇蜜日記1」が3万部しか売
れていないことがむしろ意外ですが、ファンは大勢いると思
います。もっと素直にらしさを発揮しても良いと思われます。
どんな芸能人だって嫌いだという人はいるだろうし、下品さ
だってある程度持っていると思います。時に下品さも魅力の
一つとはなるでしょうが、敢えて偽善も偽悪も演じることは
ないと思います。存在自体でも多くの人に好感を与えている
と思います。もっと自然体の壇蜜があっても良いのではない
かというのがこの本を読んだ直後の読後感です。「壇蜜日記3」
に期待したいです。                  

姜尚中「悪の力」読了しました。100万部のベストセラー
となった「悩む力」の著者が敢えて「悪の力」を書く動機は
何なのか、どのように捉え対応しようとしているのかを知り
たくてこの本を購入しましたが、何か読後感がすっきりしま
せん。悪の実態に真面目に取り組もうとしている態度も良く
判るし、そんな簡単な対処法も無いだろうということも判り
ますが、この著者ならもっと踏み込んだ対処法を提示してく
れるのではないかという期待には応えてくれませんでした。
過去の書籍から学ぶ事も大切だと思います。しかし自分だけ
がいくら肯定的に捉える努力を惜しまなくても、悪は確実に
善を駆逐するだろうと思える現実が少なくとも私のこれまで
の人生では確実に続いています。巨大悪は裁かれる事は無く
意味の無い殺人や、世界中の紛争をみても途切れる事は戦後
70年を通して一度もありませんでした。むしろ最近では力
こそ正義が国際的にも地域的にもまかり通っているような気
がするのは私だけでしょうか。             

田中修「植物はすごい 七不思議篇」読了です。平易に書か
れていますが内容は相当充実しています。また、一つ一つの
謎解きが理に適っていて判り易いです。桜、朝顔、ゴーヤ、
トマト、トウモロコシ、イチゴ、チューリップの7つの植物
についてそれぞれ7つの不思議が語られています。実に為に
なる本です。この本は11万部を突破した『植物はすごい』
の姉妹編だそうです。次はこの本篇の方も読もうと思います。

丸山宗利「昆虫はすごい」読了です。昆虫の多様性や変わっ
た暮らしぶり、蟻の社会性や寄生の様子など本当に面白い虫
の情報が満載です。これまで数々の虫の本を見て来ましたが
まだまだ知らなかった面白い虫が山ほどいる事が判ります。
本当に虫の好きな人が判り易く書いた本からは感動が伝わっ
て来ます。虫に興味のある人には大変嬉しい一冊です。新書
なのに11万部突破だそうです。新書大賞2015で第7位
受賞とありますが、これがどれほど凄いのかは判りません。

雑誌「美術屋・百兵衛No.23小松美羽特集号」を読み終えまし
た。もちろん目的は銅版画家の小松美羽の情報を見る為です。
そうは言っても全編が美術関係の雑誌なので最後まで読みま
した。どうも各県別に毎号を編集しているようです。常設の
展示場もありますが、展示内容は季節によって変わるので、
この本では全国の旬の美術展を詳しく把握することは出来な
いようです。それほど遠くに出掛けることもないので個人的
には神奈川、東京の美術展が詳しくわかるような情報誌の方
が活用出来そうです。上記「美術屋・百兵衛No.23」のP9
には奇しくも私が入手した小松美羽の銅版画「六道輪廻」が
掲載されています。                  

「昆虫はもっとすごい」は虫の専門家である丸山宗利/養老孟司/
中瀬悠太の対談です。この本はヒットした「昆虫はすごい」
の続編です。いやぁ面白いです。加えてこれらのバリバリの
昆虫マニアにして、珍しいと言わせるほどの口絵写真も必見
です。私もかなりの数の昆虫関係の本を読んでいますがこの
3名のマニアぶりは群を抜いています。ヘクソカズラを寄生
植物とするヘクソカズラグンバイ、アリを背中に乗せて擬態
するサシガメ、奇妙な生態のネジレバネ、アリに寄生するナ
マクビノミバエ、変な形の生き物であるツノゼミ、別種のホ
タルの発光を真似て餌をおびき寄せるホタルなどなど話題が
満載です。加えて日本と欧米との昆虫の見方の違いやら昆虫
の歴史、人間との関係など話題は尽きません。      

ゲイル・ブランキ著「今すぐ50個手放しなさい! 」を読み終
えました。心理学者というよりはテレビの『ほんまでっかTV』
レギュラー出演で有名な植木理恵が監修している文庫本です。
物と心からいらないものを除いて人生をハッピーにする本で
す。たしかに楽しい思い出のものだけ残すのは有効そうです。

内橋克人「新版 匠の時代」最終巻である第6巻を読み終え
ました。以前にテレビで話題になったプロジェクトXを彷彿
とさせるような日本の技術をわくわくさせながら一気に読ま
せる著者の話術はこの最終巻にもしっかりと反映されていま
す。この巻ではミノルタの名器「αー7000」、三洋電機
や竹中工務店のヨーロッパ進出に纏わるストーリーが描かれ
ています。これらはおそらく綿密な取材に基づいた資料をベ
ースにして、それを最も効果的に再構築して描かれたものだ
と考えられますが、これだけ年月を経てもまだ感動を与える
のは並大抵の技術ではありません。内容自体よりも著者の伝
える技術に脱帽です。                 

内橋克人「新版 匠の時代 第5巻」読了です。5巻ともな
ると流石に何々開発物語ではなくなって人工補助肝臓、腎セ
ンター物語、松下電器の技術の水脈などというもう少し技術
の周辺まで取り入れた話題に変わっています。いずれにして
も日本の技術開発に関わる歴史や苦心談が良く判る内容です。

謎の美女という形容がされている祥子の初写真集です。乱歩
原作『D坂の殺人事件』DVDで一躍話題になった女優です
が最近は徳光さんの路線バスの旅のゲストで出演したりその
他の旅番組でもちょこちょこ出る様になっています。個人的
には今一押しの雰囲気を持った女優さんです。      

祥子書き下ろしという帯は例によってゴーストライター祥子
著と勝手に思っていますが「祥子 愛河 いとしきけものたち」
に掲載されている多数のスナップ写真は間違いなく祥子らし
さを遺憾なく発揮していて決して期待を裏切りません。なか
なかこの様な雰囲気を持った女優さんは現れないので、演技
をみがいて着衣でも裸でも通用するような一流女優としても
っとメディアに登場して欲しいものです。        

河治和香「どぜう屋助七」を読了しました。2012年12月
〜2013年9月初出の連載の単行本化なので比較的最近の
著作です。江戸駒形のどぜう屋の盛衰の話ですが実在のモデル
をベースにしているそうです。丹念に取材したであろうこと
は想像が付きますが、今回は従来作程の感動はありませんで
した。ドジョウ料理は食べたことはありますがあまり残念乍
ら美味しかったという実感が無かった所為かも知れません。
この本で多分、現在普通に購入出来る河治和香の本はすべて
読み終えました。寡作の作家なので次回作が楽しみです。 

養老孟司「養老先生と遊ぶ」を読了しました。養老孟司の思
想から好み、生活の一端までが良く判る作りになっています。
本の中には『13歳からのバカの壁』の袋とじ小冊子が付い
ています。しっかり残すために2冊購入済みです。    

名著の呼び声の高い西部邁「知性の構造」を読了しました。
元東大教養学部教授にして思想家、評論家である著者の思索
の書だけあってやはり殆ど理解出来ません。内容紹介のため
以下には本の裏に記載されている解説を載せておきます。 
『知識人が、ジャーナリズムによる「雰囲気の支配」の下に
すすんで屈服している現在、自らの精神の有り様と思考の<
構造>を八十五点の図を示しつつ初めて全的に開示し、真の
<知性>は如何にして獲得できるかを真摯に考察した画期的
な知性論。出版時、思想界に衝撃を与えた『知性の構造』待
望の文庫化。』                    

シルバーウイークがあって休みの日が多かったために読書は
進んでいません。そういえば最近は欲しい本がなかなか見つ
け出せずに購入する本も減っていますが、まだ寝かしている
本が山ほどあるので読む本に困る事はありません。    

内橋克人「新版 匠の時代 第4巻」を読了しました。今回
は国鉄(現JR)の新幹線開通、本州と北海道をつなぐ青函
トンネル掘削作業、巨大駅新宿の24時間、自動列車停止装
置ATS開発、更には超電導リニアモーターカーまで登場し
ます。この本が最初に刊行されたのが1982年なので既に
33年も時が経過しています。興味深い一冊です。    

宝島社「植木理恵のすぐに使える行動心理学」を読了しまし
た。相手の心理を読み解く技術が満載です。アイ・アクセシ
ング・キュー、ロー・ボール技法、ゼイガルニク効果等など
多くの専門用語や心理学に関係する言葉が登場しますが丁寧
な解説がついていて判りやすい読み物となっています。難を
言えばもう少し突っ込んだこれは初耳だというようなノウハ
ウも織り交ぜてもらえたら良かったと思いますが、初心者向
きには過不足なく良くまとまった一冊になっていると思います。

内橋克人「新版 匠の時代 第2巻」「同 第3巻」を読み
終えました。日本の工業技術の素晴らしさが実感出来ます。
ワープロ誕生物語、ホンダの発想、小西六のカメラ、東レの
新素材エクセーヌ、三菱電機のクリーンヒーターとスチーム
オーブンが取り上げられています。技術はどんどん進みます
が開発に関わるノウハウは未来に亘って役立つと思います。
昔の技術なのに最後まで興味を逸らさない書き方は秀逸です。

奥本大三郎訳「完訳ファーブル昆虫記第9巻下」をあっと言
う間に読み終えてしまいました。このシリーズも余すところ
あと2冊ですが、次回提供は2016年5月と大分先です。
昆虫記ですが、今回のメインは蜘蛛(クモ)と蠍(サソリ)
です。昔はこれらも含めてすべて昆虫の仲間として扱ってい
たので仕方のない所ですが、昆虫に限らずこれらの生き物に
ついてもファーブルはその研究精神、研究手法など遺憾なく
本領を発揮しています。今の時代ではファーブルの様な研究
態度で研究をすることは難しいと思いますが、是非ともこの
ような視点で虫をみて新たな知見を提供してくれる人が現れ
て欲しい所です。                   

内橋克人「新版 匠の時代」は講談社文庫のシリーズです。
元々このシリーズは1983年に全12巻で刊行されたもの
を2003年に6巻に再編集して出版したものですが、そこ
から更に12年を経てやっと1巻目を読み終えたものです。
気になっていたシリーズですが読みはじめるのに30年以上
もの時が経ってしまいました。第一章はセイコークオーツの
開発の話題、第二章はシャープとカシオの電卓競争の話題で
す。今読んでみても開発者の苦労や挑戦者としての意気込み
がありありと伝わって来ます。逆に、今の時代にこの当時と
同じような素晴らしい開発者物語がどれほどあるのだろうと
ちょっと不安になります。時には過去を振り返ってみること
も重要です。ぜひともシャープの社員には読んで戴き素晴ら
しい会社を復活し興味ある新製品を世に出して欲しい所です。

米原万理の著作は殆ど読んでいますが、読んでいなかった数
少ない一冊が「ヒトのオスは飼わないの?」です。どうみて
も著者の愛犬、愛猫の話100%のエッセイです。犬猫には
あまり興味がないのでずっと放って置いたものですが著者の
没後すでに10年近くなるのでいい加減読み始めたものです。
犬好きにも猫好きにも楽しめるといううたい文句ですが残念
なから私のようにどちらにも興味が無い者には予想通り余り
面白くも無い一冊でした。それでも名エッセイストである著
者の熱い思いは伝わって来ます。興味ある人はご一読下さい。

技術評論社「ジュラ紀の生物 シリーズE」読了しました。
このシリーズもついに恐竜の時代に突入しました。カラーの
図版も多くためになるシリーズです。始祖鳥の羽の色や羽毛
の様子までが判る化石も掲載されていて興味をそそります。

幸福の科学出版「日本建国の原点」を読了しました。我が国
の二千年を超える歴史を再認識するのに役立ちそうな本です。
日本の素晴らしさを説く価値ある一冊です。驚くべきことに
この本が著者である大川隆法氏の1900冊目の出版物だそ
うです。私は信者ではありませんが、幸福の科学出版の多く
に耳を傾けるべき価値があると感じています。但し、残念な
ことは折角正しい歴史を語っていても途中で霊言などの話が
混じることできっと多くの人は全体が怪しい文章だと思って
しまうのではないかと思われる点です。         

日経ビジネス人文庫「株で勝つ!相場格言400」を読了しまし
た。頷ける古今東西の格言満載で気持ちを新たに出来ました。
実際に株に手を出している人はたまにこのような本を見て気
を引き締め直すのが良いと思います。          

武田邦彦「NHKが日本をダメにした」読了です。個人的に
はどちらかというとこの著者を推している方ですがこの本は
あまりお薦めではありません。NHKの功罪については同感
する部分もだいぶありますが、STAP細胞問題では著者の
言い分はどうみても強弁としか思えません。「捏造の科学者」
を読んだ人であれば武田氏の言い分が寝言のようにしか響く
ことはないと思います。科学者であれば「捏造の科学者」の
ように汗をかいて事実を着実に追って発言して欲しいものだ
と思います。第三章の原発事故問題でも例によって原発反対
を基本にしか発言していないのでどうみても内容が偏ってい
ます。元原発関係者だけに性質が悪いです。4〜7章につい
ては著者の他の著書でもほぼ読める内容なのでこの本は特に
すすめません。                    

技術評論社「三畳紀の生物 シリーズD」を読み終えました。
次の世代であるジュラ紀は恐竜で有名ですが、この三畳紀は
少し中途半端な時期です。両生類、爬虫類、単弓類混在の時
代です。ワニ形類や恐竜形類などの聞きなれないグループも
登場します。どこからが恐竜なのか見ていても混乱します。

呉善花「侮日論」読了しました。「韓国人」はなぜ日本人を
憎むのかというサブタイトルが付いていて、今更なんでこの
ようなサブタイトルなのかと思いましたが、これが深い意味
を持っていることが読み始めると判ります。殆どの人はそれ
は先の戦争の所為だと思っていますが、実はそうでは無いと
いうことを史実を前提にして判り易く解説してくれています。
本当にこのような著者がいることは僥倖です。この著書では
珍しく、だからどうしたら良いのかということを明確には示
していませんが、多くの人がこのような本を読んでどのよう
に韓国と付き合っていったら良いのかを真剣に考える必要が
あります。                      

乙川優三郎「麗しき花実」読了です。江戸に出て一流の女性
蒔絵師に成長する主人公「理野」をめぐる物語です。実在の
人物を絡めて恰も実存するかのような主人公が描き苦悩する
世界が身近に迫ります。思いを込めた人との再会の様子を描
く続編「渓声」が併せて収録されており読後感も爽やかです。

マイケル・S.ガザニガ「<わたし>はどこにあるのか」を
読了しました。人は自分で物を考えてから行動しているとい
う認識がありますが、脳科学的に調べると「水を飲もうと思
って手を出した」つもりが実は「水を飲もうと思う」以前に
脳は既に水を飲む方向で動き始めているそうです。そういっ
た意味で行動の主導権を握っているのは誰なのか、意識して
いない行動に対して罪は問えるのかなどの問題が出て来ます。
本書ではこのような脳科学の最新の知見を判り易く解説して
います。                       

長い間本棚に積まれたままになっていた「上村一夫・画集・
一枚絵」を見終えました。説明はほとんどない画集です。
一枚ずつ切り離して額に飾ることも出来る仕様となってい
ます。ファンには嬉しい一冊です。とは言っても没後既に
30年近く経っているので、上村一夫の名前を聞いても少
し古い一部の人しか判らないかも知れません。『同棲時代』
という劇画の作者というと判る人は少し増えるかも知れま
せん。本書は未発表の遺稿や、「ヤングコミック」「漫画
サンデー」「漫画アクション」などで使われたイラストが
多数収められた逸品です。              

奥本大三郎「奥本昆虫記」読了です。100種の昆虫につ
いて各々2ページでの紹介ですが、この僅か200頁には
昆虫のいろんな不思議が詰まっています。昆虫好きの人に
も十分に楽しめる知見がたくさん詰まっています。勿論、
昆虫に余り詳しくない人にはびっくりな話題が満載です。

山口椿「ロベルトは今夜」読了しました。平成11年の文
庫本なので既に14年も経ってしまいました。本文挿画ま
で著者自身が描いていますが、本当に才能のある著者です。

半藤一利「昭和史1945-1989」を読み終えました。良い本で
すがお薦めしません。書いた本人だけは楽しそうですが、
読んでいて本当に大戦やその他で亡くなった方達への哀悼
の意が感じられない文章だなぁとつくづく思います。私だ
けかも知れないので良く出来た昭和史として読みたい方に
は大いにお薦めします。もう一つ気になったのは、この本
では日本人がいかにバカな事ばかりしてきたかは飽きる程
書かれていますが、提言らしきものが殆どというか全く 
見当たらない点です。冷静に読んでいて何か救いが無いと
思われるのはそんな点にあるようです。        

養老孟司「虫の虫」読了です。やはり虫好きの人の書く虫
の本は楽しいです。加えて虫にかこつけて形や色について
の思想や世間の事について蘊蓄を披露してくれます。この
ように新しい物の見方についてヒントを与えてくれる著書
はあまりありません。大いに薦めたい一冊です。    

須田桃子著「捏造の科学者」を読み終えました。文藝春秋
社刊行です。著者は毎日新聞の科学部門担当の記者だそう
です。iPS細胞にも詳しく、生命科学や生殖補助医療などの
専門家だそうで、STAP細胞騒動を追った本ドキュメントに
おいてもその手腕を遺憾なく発揮しています。何が問題な
のか、関わった人たちはどの様に行動すべきだったのかな
ど、筆者の広範な仕事上の関係者にも十分意見を聞いて尚
かつ自分の見解を判り易く提示してくれます。ついつい我々
素人はSTAP細胞はあるのか無いのかだけに目を向けがちで
すが、この本を読むと本質の追窮への著者の真摯な提言が
よく読みとれます。養老孟司も書評でこの本を薦めていま
したが一読する価値ある一冊だと思います。      

半藤一利が昭和史を2冊に纏めた内の前半「昭和史1926-1945」
を読み終えました。まとまった昭和史となっていて判り易
い一冊です。但し残念なことは筆者がおそらく日本嫌いな
のではないかと思われるような記述が散見されます。多く
の日本人が戦争と言う惨禍に巻き込まれた先の戦争につい
ても、面白がっているとしか思えない個所が沢山あります。
そう言った意味ではやはり記述が日本悪人説に偏りがちで
すが、それらの点を差し引いてみれば全般的には良く出来
た昭和史になっていると思います。後半(戦後)について
もじっくり読みたいと思います。           

幸村誠「ヴィンランド・サガ16」がやっと売り出されて
早速購入して一気に読み終えました。このような続きもの
は待っている時間が長過ぎて精神衛生上良くありません。

幸福の科学出版「智慧の法」を読了しました。知的時間を
作り出す心掛け、壁を破る力、リーダーに必要な考える力、
マネジメント、異次元発想法、リーダーを育成する組織文
化、プロとして立つために必要な智謀と努力、情報分析力
などなど身近な所から変えていくためのノウハウが紹介さ
れています。考え方は実に堅実で論理的です。宗教という
偏見で見なければこの本はお勧めの一冊です。     

「マンスフィールド短編集」は昔、何とか短編集を何冊か
買って読まずに本棚に積んだままにしていた本の中の一冊
です。今読んでもやはりあまり面白くない本です。今時の
短編はもっと起承転結がはっきりしていたり、トリックや
メッセージが明確ですが、どうもそのあたりが物足りない
感じです。本の解説では『異種の印象主義ともいうべき、
精緻で微妙な文体で、詩情豊かに人間心理を追求する。 
純粋な自我を貫いた一生を通して、いつも生の下に死の影
を見ていた著者の哀愁に満ちた短編集である。』とありま
す。                        

岩波文庫「音楽と生活」を読み終えました。だいぶ前に買
った本ですが、内容はさらに古く50年以上昔の著作です。
なぜこの本を買ったのかも既に忘れていますが、なかなか
面白い著作でした。音楽演奏には物真似以上の意味がある
のかなどを真剣に論じています。確かにピアノ演奏家など
は昔の作曲家が書いた譜面通りに演奏するだけです。独自
性があるという意見があるでしょうが、その独自性とは一
体何なのかとさらに問いを重ねます。強くと書いてある個
所を微妙に強くするのか、大いに強くするのか、間をどの
ようにするのかなど、作曲家の意図する通りなのか、演奏
する楽器も、演奏する環境も違っているはずなのに果たし
てどうなんだろうと確かに疑問の種は尽きません。一流と
いわれる人が推薦するから良いのか。良くテレビ番組など
でも1億円もするバイオリンと安いバイオリンで同じ曲を
弾いて聞き分けられるかなどのクイズが出される事があり
ますが、大抵の人には違いが判りません。       

池田清彦「世間のカラクリ」を読了しました。政治的中立
性、消費税、民主主義、温暖化問題、気候変動、寿命の話、
小保方論文の問題点、癌の本性、がん治療などさまざまな
科学的問題や政治的問題、社会問題を取り扱っています。
賛同できる話もあれば、論理が偏っていると思われる話も
多々あって全体的にはまあ良いと言ったあたりです。池田
清彦や武田邦彦などの科学者が原発や集団的自衛権などの
話に及んだ時の最大の弊害は、中国やロシアやアメリカな
どの現在に続く覇権主義に殆どふれることも無く歴史を無
視して自分の主張だけを正しいと信じて論理を展開するだ
けでその先を考えていないことです。残念ながら視点が狭
すぎます。先にあげた大川隆法「真の平和に向けて」など
ではもっと広い視点で様々な問題に解を与えています。 

橋本治「バカになったか、日本人」読了しました。著者は
根っからの原発反対論者のようですが、原発騒動を論じた
個所も含めて著者の視点については聞くべき価値のある論
点が多くあるように思えます。物事の考え方を教えてくれ
る貴重な論者です。                 

岩谷テンホー「大盛!!みこすり半劇場昇り竜」はあっと
言う間に読み終えてしまいました。本当に面白い四コマ漫
画です。500篇余の四コマ漫画が掲載されていて価格が
500円なので四コマ1篇が1円という極安価格です。極
めてコストパフォーマンスの良い四コマ漫画です。お疲れ
の際はぜひ手に取ってみて下さい。          

椎名誠「蚊學ノ書」は1998年に購入した本ですがずっ
とお蔵入りしていました。「蚊學」と銘打っているので、
もっと学術的内容が含まれているのかと思っていたら存外
雑文満載でした。もっと科学的な内容も入れてもらったら
更に充実した一冊になったのではないかと思われます。 

大川隆法「真の平和に向けて」読了です。僅か150頁程
の小冊子といった本ですが、マスコミ報道の偏向の実態や
沖縄県知事の言動に対する評価、現状の問題の本質である
中国の状況などが判りやすくまとめてあります。不思議な
のはこんな小冊子で解説出来るような重大な話がマスコミ
からはほとんど報道がされない事です。また、安全保障関
連法案の国会の首相答弁などでは、確かに言いにくいかも
知れませんが中国の脅威に対しての防衛の為の国家戦略が
必要であることをもっときちんと説明すべきだと思います。
いい加減に言うべきことを国会でちゃんと言う政党が出て
欲しいものです。この本には地政学的に見て沖縄や九州の
防衛が必須であることや、南沙諸島や西沙諸島での中国の
侵略の実態や、シーレーンの話、AIIBの実態、更には中国
が侵略している新疆ウイグル自治区やチベット、モンゴル
の実態までが明瞭に判ります。国会での討論でなぜ野党が
このような中国の世界侵略の実態に目を向けずに反対質問
を続けていられるのか不思議です。アメリカが日本を守っ
てくれていた時代は過ぎ去りました。フィリピンなどでも
アメリカ軍が去ったと同時に中国に侵略され始めました。
いい加減に日本人も目を覚ますべきです。       
なお、私は幸福の科学の信者ではありませんが、この本は
お勧めです。難を言えば後半の質疑応答にある霊言の部分
です。これがあるために一部の真面目な人間が前半部分の
大切な内容まで胡散臭くみてしまう惧れがあります。  

古い本ですが丸谷才一「雁のたより」を本棚の奥から見つ
けたので読み始めました。50冊近くの当時の話題本や新
刊本を取り上げて評論したものですが、やはり難しいです。
この評論を読んで、共感して読んでみようかという気持ち
にはなかなかなりにくいものがあります。文芸史上におい
てその本がどのような位置づけや意味合いがあるのかを深
堀りした文学愛好家のための本です。         

勉誠出版から出ている「金子みすゞ作品鑑賞事典」を読み
終えました。もちろん東日本大地震の時にさんざんテレビ
で放送された『こだまでせうか』も入っています。金子み
すゞが残した詩は512篇あるそうですが、この本にはそ
の中の194篇が収められています。タイトル通り其々の
詩には30人ほどの選者による観賞の注釈が付いています。
2014年11月初版の比較的最近編まれた選集です。 
頁を繰ってみると読んでみたくなるような味のある書家の
手になる詩と解説が効果的に並んでいます。      

自分でもすこしだけ株をやっていますが、勉強のために高
橋書店「株の超入門書改訂版」という本を買いました。 
PER、PBR、ROEなどの指標の見方やローソク足、チャートの
読み方が詳しく解説されていて役立ちます。特に移動平行
線からトレンドを見たり、ゴールデンクロスやグランビル
の法則など覚えておいて損の無い情報が判り易く一項目が
2ページ見開きで見られるようになっています。勿論株に
投資する時の心構えやNISAの仕組み、インサイダー取引に
関する注意まで、ほぼ関係する内容を網羅していて親切な
作りとなっています。絵も多くカラ―なので見易いです。

泡坂妻夫「生者と死者」を2回読み終えました。実際に同
時期に意識して2冊購入していますが、実はこの本は仕掛
け本です。アンカットフランス装というそうですが、本の
小口が化粧截ちしないまま製本されている装幀を指すそう
です。この形式を上手く使って本自体にトリックを仕掛け
たのが「生者と死者」です。一回目はフランス装を切り開
かずに読むと40〜50枚の短編小説が読めます。その後
1ページずつ切り開くと200ページ程の長編小説が現れ
ます。もちろん最初のページは長編に組み込まれてしまい
話の内容は全く違うストーリーとなっています。こんな大
胆な仕掛けが僅か600円程度の文庫本に仕掛けられてい
るとは何と贅沢でしょう。考え付いた関係者と著者に敬意
を表したいと思います。               

三才ブックス「今日も嫌がらせ弁当」は楽しいお料理本で
す。キャラ弁もこれくらい凝ると毎日作るのは大変な苦労
だと思いますが、この本では笑えるお弁当がたくさん見ら
れてお得です。材料と作り方も付いています。ブログに付
けられたコメントも秀逸です。先ずは立ち読みしてみるこ
とをお勧めします。                 

高橋書店「ラクラクできる!株の学校」を読了しました。
CD-ROM付きです。この本の特徴は”投資”と”トレード”
の違いを明確にし、トレードの実践手法を判り易く解説し
ている点です。良い本だと思いますがこれから株を始めよ
うとしている人にはお勧め出来ません。真剣にトレードで
儲けようと言う人には良いテキストだと思いますが素人は
多分、この本にある手法を律儀にこなすのは難しいと考え
ます。一つは時間的な問題で、もう一つは信用取引をはじ
めとしたリスクの問題です。私も少しは株を運用していま
すが”投資”以上の運用は難しそうです。ただし、この本
で”トレード”の勉強をするのは大賛成です。     

阿部良男著「ヒトラー全記録」をやっと読み終えました。
何ヶ月読んでいたのか思い出せないほど長い間読んでいま
したが、さすがに小さな字で700ページを越える分厚な
本なので仕方ありません。3000冊を越える文献から丹
念に集めたヒトラー誕生から自殺までの20645日の軌
跡が余すところなく語られています。著者の感想などは一
切ありません。たとえば1937年の11月の所をみると
後半には11月20日■市民税法。11月21日■ヒトラー
アウグスブルクで演説、ドイツ国民は生存権の植民地を求
める権利がある。………。11月23日■国防軍扶助法改
正及び補充のための法律。11月24日■国防監視に関す
る命令、全国家宅地法改正のための法律。11月25日■
ヒトラー、ベルリンでハンガリー首相と外相と会談。とい
った調子です。この本を読んで気付かされた事はヒトラー
は人道上の点を除くと先見の明のある産業振興政策を次々
と実現し、公僕が私企業の経営に携わってはいけないなど
清廉な政治姿勢を貫き、自然保護政策にも力を入れている
など実に有能な為政者であり、ドイツ国民の圧倒的な支持
を得ていた理由が良く判ります。また、意外な事に当時は
同盟国であった日本に対しては心底からの侮蔑感を隠す事
なく、敵対国であるイギリスには憧憬的親近感を最後まで
抱いていたことなどが良く判ります。以前に取り上げた本
「ルーズベルトの開戦責任」では触れませんでしたが独逸
ナチスがヨーロッパでこれほどまでに被害者を拡大させた
重大な要因にルーズベルトの政策がありますが、この本を
読むと、その事実がドイツ側からも裏付けするように多数
語られています。この本の良い所は著者の思想が極力排除
されて、事実だけが語られることで読み手が歴史を自分で
判断出来ることです。                

米澤穂信「儚い羊たちの祝宴」読了しました。2015年
の「このミステリーがすごい!」第一位だそうです。緩い
テーマ「バベルの会」で繋がっている連作短編ミステリー
5編が収められています。いずれもかなり凄惨な事件です
が甘い語り口で淡々と語られる分だけ最後の種明かし部分
の怖い仕上がりになっています。           

米原万理「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」読了しました。
著者の本業である翻訳業に関係したエピソードや面白い話
題を記載した多くの本が著者の名前を有名にしていますが、
この本は著者が学生時代に出会った友人達がその後、紛争
などに巻き込まれたりして音信不通となってから探し歩く
経緯で歴史がどのように友人たちや家族に影響していった
かがリアルに語られるという著者独自の自伝的小説となっ
ています。一般の人には書き得ない歴史の証人として著者
が果たした役割に対して大宅壮一ノンフィクション賞がこ
の本に与えられています。解説者の斎藤美奈子に言わせれ
ば、この本こそが米原万理の代表作であると言い切ってい
ます。                       

宝島社の「鳥獣戯画の謎」読了です。ちょうど今、上野の
国立博物館では『鳥獣戯画』展をやっています。併せて読
むと一段と興味を引かれること請け合いです。鳥獣戯画は
修復作業の過程で新たな知見がたくさん得られているので
断簡を含めて上野に一堂に会している『鳥獣戯画』展の見
学に併せて「鳥獣戯画の謎」も手に取ってみることをお勧
めします。今回『鳥獣戯画』展は6/7(日)まで開催さ
れています。                    

河治和香の歴史を材にとった小説はほぼ読み終えてしまっ
たので、著者の実体験をもとにした「未亡人読本」なる本
を読み始めましたが、流石に手練(てだれ)の作家による
読本だけあって読みどころ満載です。私もこの2年ほどの
間に両親を亡くしましたが、親族を亡くした人には共感の
得られる話題が多いと思います。鬱になる人も多いようで
すが、そのような人にも少しは役立つヒントがあるかも知
れません。                     

武田邦彦「もうだまされない!「身近な科学」50のウソ」
読了しました。原発、エネルギー問題、地球温暖化、環境
リサイクル問題、医学と健康に関する問題など我々が政府
やマスコミに騙されているであろう問題を鋭く突いて開眼
させてくれる貴重な本の一冊です。しかし、この本の第一
章「原発と放射能問題のウソ」は、この著者流の言い方を
するとウソだらけです。著者がウラン濃縮を仕事にしてい
た第一人者だけに、あまりにも低級なウソが多過ぎてとて
も残念です。読んでみれば一目瞭然ですが、例を1つだけ
上げておきます。『今回の事故では約100京ベクレルの
放射能が飛散した。日本の人口は約1億なので、100京
を1億で割ると日本人一人当たり平均100億ベクトルの
放射線を浴びることになります。』これは科学者が言って
良い発言ではありません。子ども騙しです。      

森下典子「前世への冒険(デジデリオ)」はなかなか上質
の推理小説です。著者の能書きでは、取材で出会った前世
がみえるという女性から「あなたはルネッサンス期に活躍
したデジデリオという美貌の彫刻家である。」と言われた
ことをきかっけにして、イタリアまで出掛けてその謎を解
き明かしていくという物語です。著者の言うことを丸ごと
信じて読み進めていくと多くの驚きと共に不思議な世界を
味わうことが出来ます。ここに登場するデジデリオは西暦
1430年から1464年頃に生存した人物ですが、同時
並行的に読んでいた「モンス・デジデリオ画集 復刻版」は
これより1世紀以上後の17世紀はじめに同じくイタリア
ナポリで活躍した画家2名による共同のペンネームによる
画集です。一度見たら忘れられない、その特異な作品スタ
イルは古代ローマ、聖書、ヴェネツィアなどから霊感を得
て「この世に存在しない建築・彫像群」「迫り来る世界の
崩壊」「人間の没落」などをテーマに描かれています。 
作品35点が部分拡大を含めてオールカラ―で満喫出来る
日本で唯一となる画集だそうです。解説は谷川渥です。 

岩谷テンホー「完本みこすり半物語」の帯にはデビュー30
年の集大成!という文句が踊っています。中身も期待を裏
切らない4コマ漫画が300篇以上も詰まっています。こ
の選集はカップル編、ファミリー編、サマー編、時代劇編
などのテーマごとに分類されていますが、そのような分類
は読んでいるとすっかりどこかに飛んでしまって単純に笑
える一冊となっています。「みこすり半」シリーズは絶版
品切れになるのが早いので、下ネタ漫画で大いに笑いたい
人は速攻で購入することをお勧めします。       

養老孟司「「自分」の壁」読了です。著者の「XXの壁」の
シリーズは、その他の対談なども含めて同じような話題が
切り口を変えてたびたび登場しますが、この本は久々に新
しい話題が満載です。最近の自分探しの風潮への貴重な提
言となる第一章と第二章、他者と自分の境の問題、エネル
ギー問題を大局的に捉えた第四章、日本のシステムを語る
第五章、以下、絆や政治問題、情報など多様な話題を掘り
下げています。視点が違う見解満載の為になる一冊です。

「虫から始まる文明論」というタイトルで一体どんな話を
奥本大三郎がするのかと期待していましたが後半の第二章
は少し期待外れでした。お勧めは第一章です。簡単に内容
を纏めてしまうと、昆虫にしても他の動物や装飾にしても
地域の光の強さと強い相関があるのではないかと言う様な
言説です。例えばタイの寺院の装飾とゴホンツノカブトの
角との相似、神様の彫刻の一部とある種のカミキリムシの
形態の類似、モルフォ蝶のメタリックブルーの光彩を始め
とした南米カラー、世界最大の花ラフレシアの色彩と類似
したバティック染めの色彩など確かに指摘されると地域に
固有な色や形の類似があるような気がします。このような
観点に気付かせてくれた点がこの本の最大の効用です。 

大森貝塚を発見したモースの日本の風物詩である「日本そ
の日その日」は講談社学術文庫の一冊です。当時の日本人
の生活や心情などが外国人の目からみても驚嘆に値する程
世界的に見て特殊であった事が良く判ります。その親切さ
や勤勉さ、正直さなどが驚きの連続だったことが文章から
よく伝わって来ます。今ではかなり失われてしまった部分
もあるとは思いますが、田舎では家の鍵も掛けずにいても
大丈夫だったりする所は昔と何ら変わっていません。一度
見直してみて生活に生かしていくのも有効だと思います。

河治和香「國芳一門浮世絵草紙」シリーズ「D命毛」読了
しました。あとがきをみて主人公の気持ちが著者の気持ち
を強く反映してシリーズ中で揺れ動いていたことが読後感
として残りました。このような本を読んでしまうとまた、
歌川国芳一門の浮世絵を改めて眺めてみたい気持ちが強ま
ります。読みたいものや見たいものが増えていくのが読書
の愉しみの一つだと思っていますが、まさにこの著者の本
はそのようなきっかけを作ってくれる良著です。    

河治和香の「國芳一門浮世絵草紙」シリーズ「B鬼振袖」
「C浮世袋」を読み終えました。あっという間に読み終え
てしまっては勿体ないくらい良く出来たシリーズです。 

河治和香の「國芳一門浮世絵草紙」は全5巻のシリーズ物
です。「@侠風むすめ」「Aあだ惚れ」を読み終えました。
主人公は歌川国芳とその娘、登鯉です。一門の面々が登場
するのは勿論ですが、遠山の金さん、北斎をはじめ時代を
彩った多くの人々がさりげなく登場します。天保の改革と
いう時勢にあわせた庶民の生活の変化だけでなく、主人公
の生い立ちや恋をめぐる物語の展開には目が離せません。
加えて落首や会話にさりげなく登場する格言など読んでい
て飽きることがなく得した気分にさせてくれます。   

薮光生「和菓子WAGASHI」はその名の通り和菓子の
豊富な写真と、和菓子の歴史や製法など幅広く伝えてくれ
る好著です。美味しさだけでなく季節感を感じさせてくれ
る和菓子満載です。                 

「追想五断章」はミステリーの好手である米澤穂信による
一風変わった物語です。結末の一行を隠した5つのストー
リーを古本屋見習いが追いかける物語ですが、最後まで目
が離せません。読んで良かったと思える一冊です。   

女優杏さんの「杏のふむふむ」読了です。最近や女優業だ
けでなくCMでも大活躍している杏さんですが、この本を
読むと今の活躍の原動力になっている日々の活動の一端が
判ります。それにしても著者の自筆という数々の挿絵が良
く描けていてびっくりです。             

出久根達郎「名言がいっぱい」読了です。この本に触発さ
れてまた気になる本が何冊か増えてしまいました。今更で
すが大震災の時に有名になった「こだまでせうか」の作者
金子みすゞの『金子みすゞ作品鑑賞事典』、美智子皇后の
『橋をかける』、そして沢村貞子の『私の浅草』です。こ
れらはすぐに購入しましたが、他にも大森貝塚を発見した
モースの著書など気になる本は多数あります。そう言った
意味で「名言がいっぱい」は良い本の紹介本として秀逸と
いえると思います。私が感化され易いだけかも知れません。

ナポレオン・ヒル「思考は現実化する(下)」も読み終え
ました。たしかにこの本を良く読んで実践出来れば成功す
る人も多数出ることは納得できます。但し、この本を読ん
で実践してもおそらく多くの人は失敗します。それでもめ
げずに続けた人の何人かは、この本でも紹介しているよう
に成功すると思われます。しかし、やはりどこまで実践し
ても成功しない人が多数いるはずです。いわゆるこの本で
紹介している事例はサクセスストーリーの類で基本的には
最終的に成功した事例しか紹介していません。それを理解
した上で実践を続けられる人はやはり少ないでしょう。良
い本ですが、この本によって一番成功した人はほかならぬ
著者自身です。                   

岩波文庫「北原白秋詩集(上)(下)」を読了しました。
こんなにも多彩な詩を作っていたことに驚かされました。
およそ我々は、代表作の二三篇を口ずさむと、それで全て
を判った積りであとは見ようとしませんが、やはり作品を
多数見てみると北原白秋という一詩人がいかに多様な世界
を包含し表現していたかが少しだけ余分に判ります。  

「ルーズベルトの開戦責任」は第二次世界大戦を引き起こ
した大統領を告白する、今後の世界の歴史を書きかえる上
で重要な意味を持つ一冊です。アメリカは長い間、真珠湾
への奇襲攻撃を卑怯な行為だと非難して来ましたが、一番
卑怯だったのはアメリカ大統領だったということを明白に
しました。非難されるべきは最後通牒であるハルノートを
議会に隠し通し、なおかつ暗号解読により真珠湾への攻撃
も事前に知っていて何もせずに放置したアメリカ大統領に
あります。日本の軍部の開戦責任、ひいては日本人を卑怯
呼ばわりするのであれば、責めを負うべきはアメリカ大統
領、ひいてはアメリカ人の方です。アメリカの戦後処理に
より間違った歴史認識を植えこまれたおめでたい日本人は
もとより、日本を降伏させたのは正義だと信じて疑わない
おめでたいアメリカ人もよく本書を読んでみるべきです。
その上で、何が正しい言い分なのか歴史の検証が必要です。

思い立って岩波文庫「北原白秋歌集」という本を読みまし
た。本書には白秋の短歌8031首の内、厳選された約2
割に当る1643首が掲載されています。作成された年代
によって時代の雰囲気が色濃く表れていますが、言葉の使
い方についてはどれをとっても繊細さと多彩な表現がみら
れます。                      

今週は少し読書が停滞しています。この休みには所用の合
間に自宅の本棚の整理を少し進めることが出来ました。読
み終えた本は出来るだけ仕分けして、本棚に番号を付けて
所在を明確にするようにしていますが、未だ所在不明の本
が100冊程あります。一度、不明になってしまうと探す
のは困難ですね。確か以前はこの辺にあったのに、貸して
しまったままなのか、どこかに紛れているのか、さっぱり
判りません。                    

私の知る限り「ルーズベルトの開戦責任」はアメリカの国
の中枢にいた人からの初めての開戦に関する重大な証言で
す。著者はハミルトン・フィッシュです。まだ読み終えて
いませんがアメリカ国民はもとより日本人もドイツ人も読
むべき必読書です。ハルノートが日本に戦争を決断させた
最後の引き金であった事は以前から知っていましたがこれ
ほどまでに裏でアメリカ大統領が関与していたとは驚きで
す。また、ドイツの西進についてもこんな真実が隠されて
いたとは真実驚かされると同時に為政者の野望がこれほど
までに事態を悪化させられることに恐怖さえ感じました。

ロバート・サブダ作「クリスマスの12日」はいわゆる飛
び出す絵本です。イギリスでは12日間クリスマスを祝う
風習があるそうですが、この「クリスマスの12日」は昔
から親しまれているマザーグースの積み重ね数え歌を基調
に12日間の風物を立体的に表現しています。割と高価な
本ですが繊細な作りの飛び出す絵本なので納得の一冊です。

内田樹「私家版・ユダヤ文化論」は養老孟司が薦めていた
本ですが気になって購入しました。第6回小林秀雄賞を受
賞しているそうです。一般にはあまり馴染みのない賞です
が、日本語表現豊かな著書(評論・エッセイ)に毎年贈ら
れる賞だそうです。本書はユダヤ人とは何者かの一端が判
るかもしれない学究的な書です。というのは著者も言って
いるようにユダヤ人とは何かという定義が難しいというか
実質、出来ないのではないかと思われるためです。それで
もある程度判ったように思わせてくれる一冊です。新書版
なので読みやすいです。巷では『ユダヤ人が世界を支配し
ている』『なぜ、ユダヤ人は迫害されるのか』などの常套
句が都市伝説のように囁かれます。また、ノーベル賞受賞
者にはユダヤ人が多いという噂も耳にします。実際にノー
ベル賞の受賞者にユダヤ人が多いのかもこの本には記され
ています。ユダヤ人は世界人口の0.2%いるそうですが  
1901年から2005年までのノーベル医学生理学賞、
物理学賞、化学賞の受賞者はそれぞれ26%(48/182名)、25%
(44/178名)、18%(26/147名)にも上るそうです。極めて異
常な比率です。このような付随情報も含めて、ユダヤ人に
ついてこれまで考えもしなかった知見が得られることは確
実です。難しいですがお勧めの一冊です。       

竹内久美子「騙し合いの法則」読了しました。動物の行動
や子孫を残すための戦略をヒントにして人間社会の行動を
解き明かそうとする挑戦的な啓発書です。(1)平等社会
は本当に幸せなのか(2)マナーを守るのは他人への思い
やりなのか(3)バカ正直とは(4)安定な社会作りの為
には(5)人はなぜ他人を欺くのか(6)結婚は無意味か
(7)モテる男とモテない男の幸せは均等(8)後継者の
指導の意味とは(9)人生を成功に導くには折れない心が
大切(10)平和を実現するにはパワーバランスが大切 
など聞いて損はないノウハウが得られます。      

ナポレオン・ヒル著「思考は現実化する(上)」読了です。
1937年の刊行以来、世界で1億部突破の歴史的名著と
いう文言が本の帯に踊っています。500名を超える成功
者の協力を得て著者が20年間考えて体系化した自己啓発
書だそうです。この本の効果的な学習の仕方や賛同の言葉
などのまえがきが何と120ページ以上あります。手法は
具体的で効果のありそうなノウハウはおそらく多くの人に
与えてくれると思いますが、やはり成功者のノウハウとい
った感は免れません。1億部も売れているとのことですが
成功者の数は実質500名しか出てきせん。1億人が成功
しているならすべての人に有効と言えますが、結局は一部
の人しか成功しないのであれば、他の成功物語と何ら変わ
るところはありません。勿論、この本に啓発されて成功す
る人もいるだろうし、失敗する人もいるだろうし、この本
を見なくても成功する人は多数いるだろうし、失敗する人
もいるだろうと思います。要はこの本がいかに波長が合っ
て実践出来るだけの能力、体力、気力、根性、忍耐力など
の素養を備えているかです。             

本を年間100冊ほども読んでいると、購入に際してもや
はり出来れば安く購入したいという気持ちはあります。し
かし実際には欲しい本が近くの本屋に無かったり、ネット
ですぐに購入しないと無くなりそうだったりして思うよう
な手段で購入出来ないこともよくあります。本の種類であ
ればネット検索かジュンク堂がダントツです。近くの本屋
というとTSUTAYAです。Tポイントが付きますが、
残念ながら買いたい本があまり置いてありません。ジュン
ク堂と文教堂ではhontoカードが使えてポイントが溜まり
ます。有隣堂も本の種類が多くて便利ですがポイントが何
も付きません。置いてある本は少ないですが現在、一番有
利なのは株主優待7%引きが使えてhontoカードのポイント
も付いて、LUSCAのポイントも付くという平塚駅にあ
る文教堂が一番です。                

「身体巡礼「ドイツ・オーストリア・チェコ編」」という
長いタイトルですが、著者は解剖学者の養老孟司です。こ
の本は著者の専門分野である死体の文化史とでもいうよう
な欧州における大聖堂、皇帝廟、聖母教会、ユダヤ人墓地、
医学史博物館などを巡る旅です。骸骨を装飾に使った聖堂
などをはじめとする、彼我の文化の違いについて死体の専
門家である著者が浮き彫りにしていきます。      

「鍼師おしゃあ」は「笹色の虹・幕末おんな鍼師恋がたり」
を文庫化したものだということはネット購入した後で現物
をみて判りました。文庫版の方には、文庫版のためのあと
がきが付いていて、解説も付いているのでこちらの方がお
得です。おまけに千円ほども安く買えます。文庫版の帯に
は女優杏さんのコメントも付いているので杏さんも著者の
ファンであることが推測されます。江戸っ子風のさっぱり
した気風が主人公のおしゃあと似ているようにも思えます。
舞台は幕末から明治時代、女鍼師の恋の行方と時代の寵児
たちとの交流を描いた物語です。史実をかなり織り込んで
いる一方で、主人公をうまく時代に組みこんで、生き生き
と描いています。この著者の小説は実に心休まります。 

デイビッド・アチソン著「数学はインドのロープ魔術を解
く」はハヤカワ文庫NFの数理を楽しむシリーズの一冊で
す。最初の「1089は魔法の数」から興味を引きます。
御存じピタゴラスの定理、トポロジーあたりの入門部分は
実に良く出来ています。微分法の章はやさしく書いていま
すがやはり数学の好きでない人はここで脱落かといった所
です。それでもめげずに先に進むと、最短の道路網の話題
ではまた興味深い事実を提供してくれます。その後にある
「マルファッティの問題」も興味深い問題です。後半のπ
やeやiの話題は数学好きの人にはおなじみというか常識
の範囲かも知れませんが、数学は苦手という大多数の人に
とってはやはり理解出来ない説明に留まっています。この
あたりの話が数学嫌いの人にも判るように書かれた入門書
が欲しい所です。おそらくこの著者は判ると思って書いた
のでしょうが残念ながら成功しているようには見えません。

ジェフリー・ディーヴァー作の「007白紙委任状(上・下)」
を読み終えました。007の原作者はイアン・フレミング
ですが、その後何人かが007シリーズを書いているそう
です。たの著者による007シリーズは読んだことがあり
ませんが、少なくともジェフリー・ディーヴァーの今回の
作品は原作に匹敵するようなスリルとサスペンス、そして
大胆な構想、どんでん返しなどに満ちたすばらしい作品と
なっています。加えて最新の情報機器や世界情勢まで組み
込んだストーリーは著者ならではです。映像化しても絶対
に楽しい映画になること請け合いです。今回はボンドの生
い立ちを巡る謎解きまでおまけに加えられておりサービス
精神満載です。                   

盛口満著「教えてゲッチョ先生!昆虫の?が!になる本」
を読み終えました。虫についてのいろいろな情報が詰まっ
た一冊です。私の知らない種類の昆虫もたくさん出て来て
改めて昆虫の世界の奥深さを実感しました。しかし見開き
2ページで1話完結のつくりなので普通に知っている情報
だけで終わってしまって、これで終わっちゃうのという章
がいくつもありました。もう少し掘り下げてくれると楽し
めそうな昆虫もいるのに、ページ数の制限の所為なのか少
し物足りない感が残ります。たとえば蛾と蝶の違いについ
ても夜行性か昼行性かでも分けられず、触角の太さでも分
けられず、毛の有無でも分けられないくらいは少し興味の
ある人なら誰でも知っています。知りたいのは、ならば最
終的に分類する時の決め手は何なのかといった所です。 
また、毒毛虫で有名なイラガの繭の中にいる前蛹が釣り餌
になるというのは良いですが、具体的にタナゴ釣りに使わ
れ、通称”タマムシ”と呼ばれていること位まで踏み込ん
で欲しい所です。

ネットで購入した宮部みゆき「お文の影」を読み終えまし
た。新作かと思っていたら既刊「ばんば憑き」を改題した
ものでした。既にかなり内容を忘れていた部分もあったの
で十分に堪能出来ました。内容は6点の江戸妖怪怪異譚で
す。いろいろなパターンの妖怪譚がみられます。    

宮部みゆき原作の「荒神」をベースにこうの史代が文章と
それに見合った絵を散りばめた「荒神絵巻」は原作と並行
して読まれることをお勧めしたい一冊です。文章も原作に
見合った上質な出来だし、各ページを飾る2〜3枚/頁の
贅沢な挿絵がまた良く出来ています。「荒神」だけ読んで
いては判りにくかった土地のレイアウトや風景、怪物の様
子などについても、とても判りやすくなります。    

米原万理「オリガ・モリソヴナの反語法」は意外な本でし
た。フィクションなのかノンフィクションなのか判然とし
ない長編推理小説といったところです。この作者にしては
珍しい一冊です。しかし本書はそれだけにとどまらずソ連
当時の過酷な時代を描いて説得力があります。おそらく日
本人が描いた最も良く出来たスターリン時代の歴史小説と
なっていると思われます。その意味で読んでみて損の無い
一冊です。                     

気に入った本があったら読んでみて下さい。

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