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* * * 読書雑記(2018年) * * *



2018年はちょうど100冊の本を読むことができました。
以下はその感想、コメントです。来年も楽しめる本を1冊でも
多く紹介出来れば良いと思います。            

「アメリカ人だから言えた戦後日本教育の不都合な真実」はケ
ント・ギルバート氏の著作です。未だに自虐史観に囚われた人
が多い中、氏の著作がもっとマスコミに登場して欲しいと切に
願います。                       

久々に開高健の文庫新刊が出ました。読みそびれていた「青い
月曜日」です。500ページもある大部の本です。著者の戦争
中の青春時代から結婚、同人誌時代あたりを描いた自伝的作品
群です。かなり自伝に近いものと想像されます。詩人の牧羊子
との結婚までの経緯や、同人誌主宰者の谷沢永一などの描写が
リアルに描かれています。著者が文壇登場へのきっかけとなっ
た作品群と言われています。著者の畳みかける様な用語の活用
や文体など後期主要作品の萌芽が随処に見られます。    

壇蜜さんの食レポートというとどうみても似合いそうもありま
せんが、実は調理師の資格を持っていると言われて多少驚かざ
るを得ません。「たべたいの」はそんな壇蜜さんの食に関する
エッセイです。食へのこだわりも少なそうな著者ですが食に対
する視点の独自さに掛けては逸品です。著者の手作り俳句とイ
ラスト付きです。これまで見られなかった壇蜜さんの新しい一
面が見られます。取り上げられている食品はマーガリン、酒、
牛乳、オクラ、ゼリー、スルメ、リンゴ飴など普通に見掛ける
ものでグルメ食材でも有名店ものでもありません。こんな食材
でエッセイが書けるのかというようなものばかりですが我々に
馴染みの深い食べ物だけにそんな見方もあるのかと刺激を受け
る個所もあるのではないかと思います。          

養老孟司「半分生きて、半分死んでいる」読了です。いつもの
エッセイです。社会時評と呼んでも良いかも知れません。喫煙
の話、地方消滅、環境問題、人工知能、大阪都構想、イスラム
国、EU離脱とトランプ、意識、年寄りと子どもなど話題は多
岐に渡ります。何を読みとるのかは各自次第です。     

原田マハ「ゴッホのあしあと 日本に憧れ続けた画家の生涯」
「モネのあしあと 私の印象派鑑賞術」の2冊を読み終えまし
た。ともに150ページ程度しか無いペラペラの新書です。 
狂気の人ゴッホといえば『ひまわり』、モネといえば『睡蓮』
ばかりが取り上げられますが、キュレーターという絵の専門家
から見たゴッホ、モネ作品の見方を余すところなく我々素人に
語り尽くしてくれている本です。おまけにこれらの画家を素材
にした著者の作品『たゆたえども沈まず』『ジヴェルニーの食
卓』もこの短い作品の中でしっかりと紹介しています。尤も、
著者のファンであればこれらの作品の背景や著者の創作部分を
知ることが出来るという嬉しい一冊です。読んで損の無い本で
す。テレビで毎週やっている日曜美術館やこの本の様に精緻に
描かれた本に出会える事で美術館巡りが一層味わい深いものに
なること必至です。ゴッホ作品、モネ作品を所蔵している内外
の施設なども巻末に掲載されており、至れり尽くせりです。 

ケント・ギルバート「マスコミはなぜここまで反日なのか・日
本覚醒の桎梏!」を読み終えました。著者は親日家ではありま
すが、だからと言って無条件に日本を賛美している訳ではあり
ません。外国人からみて日本の良い所は正しく良いと認めた上
でマスコミの異常さについて具体例をあげて丁寧に説明してい
る本です。戦後70年も経っています。マスコミは自国の戦争
責任は依然として言いつのりますが、諸外国の事については戦
時中の事に限らず現在世界各国で起きている侵略行為や覇権主
義、軍備拡張について目をつぶって何も批判もしなければ碌な
報道すらしません。これが何故なのか長年不思議でしたがこの
本を読んで謎が氷解しました。未だにGHQが定めたWGIP
の呪縛とそれによる派生での指導者層の固定化が日本を愛国心
から遠ざけているという指摘にはもっと耳を傾けるべきです。
残念ながら、この様な啓発の書は呪縛に染まった人の耳目には
届きにくいのだろうと思います。大抵の反論は軍国主義を煽る
書だという決め付けだと思われますが、もうそろそろ本気でこ
の風潮に対抗する論陣を張ったマスコミが現れても良い頃だと
思っています。戦後70年にも及ぶ呪縛は長すぎます。   

山本素石「山棲みまんだら」読了です。知る人ぞ知る山釣り文
学の大家である著者が山村民俗や幻想譚、そして昔話題になっ
たツチノコを語った本です。好きな人には堪らない素石の魅力
が満載の一冊です。                   

疲れて来た時にはお笑いです。「そしてだれも信じなくなった」
は自称哲学者である土屋賢二の文春連載エッセイの文庫化本で
す。シリーズ何作目か判りませんが漏れなく読破しています。
エッセイの名手だった故山本夏彦を彷彿とさせるその語り口に
は傾聴の価値があります。批判した相手から取って返す刀で自
己を含む世間というものの厭らしさを暴いてみせた山本翁とは
手法が違いますが、相手を批判する如く見せかけて己を切って
しまうような諧謔精神には見習うべきものがあります。   

私が読んだ原田マハの著作にはこれまで失敗がありませんでし
た。まだ著者の未読本は沢山あるので、文庫になっている本を
そのうち纏め買いしようかと思っています。今回は著者の本業
である美術関連の本である「いちまいの絵」を読みました。こ
の本は著者がお薦めの見るべき絵26点の紹介とその見所を纏
めたものです。ピカソの「アヴィニヨンの娘たち」から東山魁
夷の「道」まで現代絵画を含めた選択がされています。各作品
のどこが絵画の歴史において特異であって美術史を塗り替えて
いったのかが良く判ります。               

本屋さんで九螺ささら「神様の住所」という本を見つけました。
帯にはドゥマゴ文学賞受賞と書いてありますが、著者名も賞の
名前も聞いたことがありません。ページを開いてみたら短歌と
それに因んだ散文からなっている珍妙な本でした。思わず買っ
てしまいましたが、なかなか味わい深い本です。『さびしくて
一個は二個になりましたそして細胞は孤独を失う』という短歌
の後には、さびしいからで始まる散文が続きます。『彦星から
17光年先の部屋きみの住む幸福なマンション』など俵万智が
登場した時の様な衝撃の短歌オンパレードです。散文のほうも
見逃せない視点満載です。読む本が見つからない、読む本のジ
ャンルが固定されてしまっているというような人にお薦めです。

杉浦日向子の描くものはなぜだかほんわかとした面持ちがあり
ます。おそらく著者の生活も描くものも江戸にどっぷりと漬か
ってているからだと思います。江戸時代を無条件に褒める訳で
はありませんが、そんな時代だったのかと思わせる雰囲気があ
ります。杉浦日向子「江戸を愛して愛されて」読了です。  

新潮社刊「一刀両断」読了です。櫻井よしこの色々な著作を読
むたびに不思議な思いをしています。同じ政治経済社会歴史を
論じているにも関わらずNHK、主要新聞、各民放で同様な観
点でこの本にあげられている様な内容を話題として聞いたこと
が無い事です。報道の自由と言う言葉を事ある度に言論側は叫
びますが、そもそも報道しない事が多すぎます。報道しない事
の不正義というやつです。最近別の著作を見ていて腑に落ちた
のですが、今のマスコミ各社が触れない事、それは70年も前
にGHQが押しつけた報道規制WGIPです。30項目に及ぶ
検閲指針として纏められたものです。具体的な禁止事項は以下
のようなものです。東京裁判への批判、アメリカへの批判、ロ
シアへの批判、中国への批判、満州での日本人取扱に対する批
判、連合国の戦前の政策に関する批判、神国日本の宣伝、戦争
犯罪人の正当化および擁護、大東亜共栄圏の言及などです。確
かに現在でもこれらに言及しているマスコミはごく少数です。
その結果、「ルーズベルトの開戦責任」などの本が海外から出
て来ても日本のマスコミは何の反応もしません。この本は正に
連合国の戦前の政策に関する批判に当ります。同様に最近の中
国の覇権主義や中国、韓国での虚偽の慰安婦報道に対するマス
コミ各社の反応の薄さなどに典型的に報道規制の呪縛が現れて
いるように思えてなりません。翻ってこの本には以下の様な内
容が記載されています。チベットの悲劇・中国の蛮行、慰安婦
40万人説、改めて見直せ東シナ海の危機、映画「鬼郷」に見
る韓国反日感情の虚構、通州事件、プーチンが北方領土を返さ
ない理由、憲法改正とTPPは国家と国民を守る最優先の課題
などです。これらの内容を鵜呑みにするのは賢くありませんが
少なくとも目を瞑って耳も傾けないことは正しくありません。
真偽を確かめるのは各人の責任ですが、マスコミ各社が垂れ流
す通説だけを鵜呑みにするのは愚の骨頂です。       

「太陽は気を失う」は時代小説の名手である乙川優三郎の現代
を題材にした作品集です。14の短編が収められていますが、
どれも自分の人生と重ねて各作品を味わう事が出来るのではな
いかと思います。久々に人生を考えさせられる小説を読んだと
いう気になりました。若い時にはきっと気付かなかった哀愁を
感じる人が多いのではないかと思います。         

中野信子の近著である「不倫」読了です。不倫のすすめでも不
倫が悪いと言った話ではなく、脳科学者からみて不倫はなぜな
くならないのか、不倫をし易い人とは、最近流行の不倫バッシ
ングはなぜ起こるのかなどを解き明かしていきます。    

小学館新書「やってはいけない老後対策」は元国税調査官であ
る大村大次郎の著作です。寿命が延びて年金も不安な現在老後
資金は3000万円必要とも言われていますが、そんな老後の
資金計画に新たな光を与えてくれる一冊です。65歳の2日前
に退職して雇用保険をもらおうとか、65歳以上の失業保険と
もいえる「高年齢求職者給付金」の紹介など一読の価値があり
ます。60歳〜65歳未満の人にお薦めです。       

紀州のドン・ファン殺害事件はテレビでまったく報道がされな
くなってしまいましたが、殺害された野崎社長と懇意だった記
者の吉田隆氏が「紀州のドン・ファン殺害「真犯人」の正体」
と題して事件が起きた時点を中心に関係者の足取りや発言、人
物について克明に記した一冊です。名探偵コナンだったらこれ
だけの状況証拠があれば真犯人を挙げられる位に状況証拠など
も記されています。何より警察の捜査状況まである程度判る所
が秀逸です。著者紹介によれば著者はFRIDAY専属記者で
大韓航空機爆破事件やみのもんた不倫現場スクープ、ボクシン
グ山根会長辞任劇などにも関わっているそうです。     

矢口高雄の漫画「マタギ」がヤマケイ文庫から出版されていま
す。何と本篇が800頁を越える大部の書です。猟師が主人公
の物語です。9つの物語から成っています。熊、狐、野生猫、
狼、などもう一方の主人公である野生の動物が織り成す物語が
十二分に堪能出来ます。                 

三浦瑠麗「あなたに伝えたい政治の話」読了です。東大卒の法
学博士という肩書に恥じない頭の良い人だなあと感じさせられ
ます。私の様な素人にも腑に落ちる様に判り易く政治の難しい
話を伝えてくれます。政治を語る人は右寄りだったり左寄りだ
ったり極端な論理を展開する人が多いような気がしますがこの
著者のスタンスはかなり公平で抑揚的な様に思われます。本の
内容は安倍政権の長期化の理由、憲法9条について、アベノミ
クス、加計問題、日本の外交の行方、野党の姿勢などさまざま
な問題に及んでいます。それらを時系列的に過去の発言も踏ま
え丁寧に解説してくれます。お薦めの一冊です。      

仕事の行き帰りに読んでいる本が途中で読み終わってしまい、
急遽本屋で矢口高雄の名作「マタギ」を購入しました。漫画本
です。                         

紀州のドン・ファンとして話題になった野崎幸助の2冊目の本
「紀州のドン・ファン野望篇」読了です。1作目は著者がどの
ように財産を築いたかが良く判る一冊でしたが、この本は著者
と風俗との関わりが良く判る一冊です。野崎氏が結婚したのは
2018年2月なんですね。5月には亡くなっているので実質
3ヶ月程しか経っていないことになります。事件の真相が早く
判ると良いと思いますが、先ずは死の真相をめぐるルポルター
ジュ本を読もうと思っています。             

泡坂妻夫が今、見直されています。初版昭和62年ですが何と
平成30年になって第二刷改版として「ヨギガンジーの妖術」
が復活しました。一見超常現象のようにみえる心霊術、読心術、
分身術、念力術、予言術、遠隔殺人などが探偵ヨギガンジーに
よって解き明かされる謎解きは現代でも十分に無理なく楽しめ
る推理物として通用します。素晴らしい事です。一人でも泡坂
妻夫のファンが増えていまだ絶版になっている数々の名作全て
を復活させて欲しいものです。              

池田清彦「ぼくは虫ばかり採っていた」読了です。本の題名か
らしててっきり著者の趣味である虫捕りの話がメインかと思い
ましたが、広い意味での生物学の話(DNA、大量絶滅、性、
iPS細胞、進化、クマムシ、脳、進化、ファーブルなどの話)
をする中で構造主義生物学について語っています。気になるの
はネオダーウィニズムの時代には考えもつかなかった進化の要
因すべてが構造主義の手柄であるかのごとく語っていることで
す。たとえば現在では真核生物が出来た際にはいくつかの原核
生物の融合があったのではないかという共生説は多くの人の賛
同を得ていると思われますが、ダーウィンの時代にはそんな考
えは当然無く、それをダーウィンが主張しなかったからと言っ
て進化論は破綻したとまで言い張るのは当らないと思います。
それよりも構造主義生物学はどこまで自説を主張しているのか
を明確に述べるべきだと思います。            

業界紙時代の藤沢周平に焦点を当てて編集された「甘味辛味 
業界紙時代の藤沢周平」は著者が食品関係の業界紙で編集者と
して働いていた時代の著者が書いたコラムや、その当時の関係
者を含めた著者の人となりを書き記した記録の書です。当然の
ことながら著者が世に出るきっかけとなったオール讀物新人賞
受賞から直木賞受賞までの状況なども詳しく描かれています。

遺言が続きますがこちらは本当に西部邁の絶筆となった「保守
の遺言」です。最後まで言論人として言うべき事をこの一冊に
込めた感があります。和語で誤解を持って伝えられている言葉
が多い事を懸念しての事かと思いますが原語の意味から慎重に
論旨を説き起こして記載している部分が多く、横文字が多い事
と話が複雑になるという点で決して読み易い提言ではありませ
ん。しかし慎重に読み砕いていけば言わんとしている事は自ず
と見えて来ます。惜しい人を亡くしました。合掌。     

養老孟司「遺言。」読了です。80歳だそうです。著者がどこ
かで述べて来たような言葉、考えの集大成です。      

泡坂妻夫のミステリ短編集「奇跡の男」は今では入手不可能な
光文社文庫の27年振りの再刊となります。目出度い事です。
風変わりな5編の短編はタイトルにある「奇跡の男」をはじめ
「狐の香典」「密会の岩」「ナチ式健脳法」「妖異蛸男」です。
ミステリのアイデアは秀逸です。             

お笑いコンビ・カラテカとして知られる矢部太郎の描く四コマ
漫画「大家さんと僕」は既に50万部も売れているそうです。
手塚治虫文化賞の短編賞も受賞したということで、そのほのぼ
のとした描画と著者と大家さんとの会話がなごみます。人生に
疲れてしまっている人は気分転換にぜひ手にしてみて下さい。

「江戸おんな絵姿十二景」は故藤沢周平没後20年記念出版だ
そうです。帯には『十二枚の浮世絵に触発されて書かれた陰翳
豊かな十二の掌編』とあります。浮世絵は春信、歌麿、芳年、
国貞、豊国など錚々たるメンバーの手になるもので嬉しい事に
カラ―での掲載です。それに加えて単にそれらの浮世絵を補助、
説明する小説ではなくその浮世絵からヒントを得て二百%のコ
ラボ効果を挙げる事に実に見事に成功している掌編を書き上げ
る力量は時代小説をものした著者ならではのものです。余り知
られていない一冊だと思います。2016年12月第一刷です。

杉浦日向子「憩う言葉」を読了しました。この本は著者のこれ
までの著作(漫画)の一こまや著者のポートレイト写真、更に
これまでの発言や著作の中の特定の言葉を切り取って著者のこ
れまでの活動を偲ぶような総集編ともいうべき1冊です。  

星新一「進化した猿たち The Best」新潮文庫読了です。
「進化した猿たち1〜3」が絶版になって久しいですがこの本
はそれらを再編集したものだそうです。平成29年末の出版で
す。内容はアメリカのヒトコマ漫画に寄せたエッセイ集です。
結婚、宇宙人、精神分析、クリスマスなど17のテーマ別に仕
分けた上で多様なアイデアのバリエーションを紹介しています。

奥本大三郎翻訳になる世界最高のファーブル昆虫記が遂に完結
です。最終巻となる「完訳ファーブル昆虫記第10巻下」をこ
の夏に合わせて楽しんで味わいました。勿論、解説や補足説明
は日本人向けに日本にいる昆虫の種類を意識して書かれたもの
ですがそれでもおそらく世界最高の出来栄えだと断言出来ます。
昔、岩波文庫でファーブル昆虫記を見たことのある方も是非と
も手に取ってみることをお勧めします。          

川口マーン惠美の『ドイツの脱原発がよくわかる本』を先日購
入し読もうと思っていたら、何と2018年6月に草思社文庫
からこの本に加筆、訂正を加えた『脱原発の罠』が発行されて
いるのが判り急遽、この最新刊を購入して読了しました。サブ
タイトルは「日本がドイツを見習ってはいけない理由」です。
未だに世論は脱原発、再生可能エネルギーへのシフトの声が根
強いですが、この本では日本が決してドイツのまねをして原発
ゼロにしてはいけない、というよりは拙速に原発ゼロには出来
ない事を判り易く述べています。一般に正しく理解されていな
い事の筆頭は、電気は貯めておけないことです。その為、風力
や太陽光発電などの再生可能エネルギーで日中200%の発電
をしたとしても大規模蓄電設備が存在しない現在、日中は半分
が無駄になり、夜間だけ急遽別の発電設備で不足分だけ発電す
る必要が生じます。例えば夜間、無風だった場合には火力発電
や原子力発電が夜間だけ100%の電気を起こさないといけま
せん。マスコミではよく皆が少しずつ我慢して節電すれば良い
というような嘘の発言をしますが、いわゆるベースロード電源
と言っているインフラ部分はそれ以上減らせない必要最低限の
給電です。先日、北海道の巨大地震で一部の発電設備は生きて
いたのに北海道全体が大停電したことが象徴していますが一般
に知られていない2点目は、刻々と変動する不安定な給電では
電圧変動や周波数変動が生じて精密機械に致命的な影響を与え
たり時には大停電を起こすと言うことです。これを防ぐために
火力、水力、原子力で1分毎というような短時間で各発電設備
での発電量を調整している訳ですが、日差しや風など刻々変動
する自然に依存する発電はそれ自体が非常に不安定で調整能力
がありません。ましてや再エネ法などで再生可能エネルギーを
高額で買い取っているなど商業的には論外です。負担が国民に
どんどん掛かるだけです。個人個人の省エネは良いですが国の
エネルギー不足は国力を落とし産業の停滞を招きます。この本
は特にマスコミに踊らされて脱原発が正しいと誤認している人
に是非とも読んで欲しい本です。             

「紀州のドンファン」こと野崎幸助氏の書いたその通称通りの
名前がタイトルになった本が講談社+α文庫から出版されてい
ます。サブタイトルは「美女4000人に30億円を貢いだ男』
です。下世話な話ですが一人当たりを計算すると75万円です。
この本を読んで想像していた著者の印象が変わりました。世間
の印象は不動産で儲けて若い娘をはべらしていたスケベ爺いが
愛人に殺されたのではないかということだろうと思いますが、
不動産業にしても、女性に対しても強引ではなく実に誠実に、
そして理性的に相手の心理も考えた上で行動しています。この
本はこれから起業しようと考えている人にとっては、本田宗一
郎や松下幸之助の自伝を読むよりも参考になるのではないかと
思います。誰もが一流企業の創業者の様な立志伝中の人物にな
れる訳ではありません。しかし野崎氏は背も低く喧嘩も弱く、
高学歴でもなく、資産家の息子でもありません。そのような著
者が何を目標に、どのように富を築いていったのか、そしてど
のようにして美女を手に入れていったのか、そのすべてがこの
1冊で判ります。『無理が通れば道理が引っ込む』と言われま
すが、野崎氏の生き方は振りかえってみれば道理で動いていた
ような印象を受けます。良い女の代名詞といってもよいと思い
ますが、かのCAさんと何とかエッチが出来ないかと言う件に
は経済観念と女性に面子を立たせるという思いやりが無理なく
盛り込まれています。早く事件が解決する事を祈ります。  

創元推理文庫に感謝です。「夜光亭の一夜」は泡坂妻夫の捕物
帳の集大成です。主役は宝引の辰です。納められている短編の
内の12篇がこれまで文春文庫から発売されている「鬼女の鱗』
『自来也小町』『凧をみる武士』『朱房の鷹』『鳥居の赤兵衛』
などで発表されたものです。一遍だけが文庫以外からの出典と
なっています。トリックによる謎解きに人情味が加わった逸品
揃いです。                       

土屋賢二「年はとるな」読了です。哲学者が全力で書くお笑い
エッセイです。面白くない訳がありません。        

今年2月に亡くなった大杉漣の著作『現場者 300の顔をも
つ男』は亡くなる前から内容が話題を呼んでおり品切れでした。
その後は古書価格が更に急騰してとても買えない値段になって
いましたが、9月6日にたまたま本屋でこの文庫本が出ている
ことが判り急いで購入しました。ラッキーです。文庫本だから
といって油断していると、ブームが去った途端に二度と買えな
くなることもあるので注意が必要です。青江舜二郎著『狩野亨
吉の生涯』という本は今でも古本で2〜3万の値段が付いてい
ますが、この本の文庫本が中公文庫から出た時も文庫が品切れ
になった途端に文庫本でさえもが途轍もない高値となりました。
今では文庫古書価格は落ち着いて1000〜3000円程度で
す。私が持っている本で古書価が高騰したままなのは小林路子
の画集『きのこ』です。古書価が定価の10倍以上です。以上
は古書の話ですが、私の欲しいDVD『カエルの王女さま』は
今や何と12〜18万円という途方も無い値段が付いています。
全国版の放映だったにも関わらず、第一話の出だしが私の住む
山北町の駅舎から始まるという極めてローカル色が濃い内容の
ため、定価の倍くらいの時Amazonで買おうかと思って迷
っている内に買いそびれたものです。どこかで再販とかして欲
しい所です。                      

岩谷テンホー「大盛!!みこすり半劇場うず潮」読了しました。
500篇以上の4コマ漫画が読めて何と500円です。僅か1
円で大笑いが出来る4コマ漫画がてんこ盛りです。こんな安い
本を買わない手はありません。舅(しゅうと)が主役になって
いる四コマ漫画にはドはまりしてしまいました。      

古典的SFの名作ロバート・A・ハインライン「夏への扉」を
読み終えました。ハヤカワ文庫SFです。文庫化されてから既
に40年近くが経とうとしていますがそれでも読むに耐えうる
秀抜なタイムトラベルものです。             

櫻井よしこ「地政学で考える日本の未来」PHP文庫は中国、
ロシア、北朝鮮、台湾、韓国などの近隣諸国とどう向き合うべ
きかという日本の覚悟が問われる現在、必須の一冊です。特に
アジアにおける中国の覇権主義が手に取るように判り易く解説
されています。僅か300頁程の文庫本ですが豊富な地勢図を
使った解説は危機が差し迫っている事を実感させてくれます。
多くの人に読まれることを期待したい一冊です。      

三浦瑠麗「日本に絶望している人のための政治入門」読了しま
した。時代性の中のリベラリズム、リアリズムという宗教、総
理の靖国参拝をどう考えるか、日本の右傾化、野党再編につい
て、維新と反エスタブリッシュメント感情、開かれた保守の外
交政策、地方創生について、非正規労働者に未来を、共和主義
者のジェンダー論、集団的自衛権論争の本質、日韓関係の未来、
日米同盟と沖縄などという章立ての約250頁ほどの新書です。
本書は巷の論説に溢れているような○×で断じることが無い分
だけ判りにくい内容の個所が多いですが、政治とはその様に割
り切れない部分が多い事を我々も良く理解する必要がありそう
です。どこかの党首のように駄目なものは駄目と言い張ったり
何でもかんでも反対と年中言っているような政治家には特に耳
を傾けて欲しい提言が沢山含まれています。        

原田マハ「モダン」読了です。キュレーターとしてのノウハウ
を生かした美術関連の短編集です。それも作品そのものが主題
ではなく美術関係の仕事に生きる人々を題材にした作品です。

「ウソばっかり!ー人間と遺伝子の本当の話」は動物行動学者
である竹内久美子の2018年7月の最新刊です。血液型によ
って罹りやすい病気、酒に強い遺伝子、どうしてウソをついて
はいけないのか、赤色の効果、父親似の娘、孫の可愛さにも順
位がある、などなど興味ある話が満載です。        

「マスコミ亡国論」は今年1月に自裁死を遂げた西部邁の憂国
の書です。著者の友人が裁判で7末に自殺幇助で有罪となった
ことを覚えておいでの方もいらっしゃるかと思います。この書
では日本人を煽り続けるマスコミ世論というバカ騒ぎを痛烈に
批判しています。とは言っても怒り心頭で怒鳴り散らしている
訳では無く、理を尽くして我々も十分に理解出来る言葉で諭し
てくれています。このような有意義な著作がもう少し話題に上
るようになったら良いのになぁとつくずく思います。一読あれ。

「藤沢周平句集」は文春文庫から2017年9月に発行された
近刊です。100句余りの俳句が初公開されています。著者の
結核入院当時の俳句入門のきっかけや「海坂」の由来など作家
となる以前の著者の周辺を知る手掛かりも満載です。    

杉浦日向子が亡くなってから12年も経ってからの新刊です。
「江戸の旅人書国漫遊」は各新聞に寄稿された書評を一冊に纏
めたものです。漫画家&江戸文化に詳しい隠居という既成概念
を覆す書評集は必見です。外国物、アート、映像論、文化史、
生物学、歴史、風俗、川柳、などなど対象範囲は多岐に渡って
います。新しい杉浦日向子の姿が見られます。       

泡坂妻夫の「迷蝶の島」が河出文庫から復刊しました。感謝で
す。本格的なミステリが楽しめる一冊です。太平洋を航海する
ヨットから転落させられた女性、絶海の孤島で不審な死を遂げ
た男性、一体犯人は誰なのか。克明な日記を辿りながらその真
相に迫る奇妙な事件の顛末は本当に真実なのか。謎は最後まで
続きます。納得出来る珠玉のミステリです。        

新潮文庫「マラマッド短編集」は昭和の時代に購入した本なの
で30年間も自宅の本棚に寝ていたことになります。新潮文庫
のXX短編集という一連の文庫を纏め買いしたものの一冊です。
ユダヤ系アメリカ人という生い立ちに影響された独特の文学感
を味わえる短編集だろうということですが、この時期の短編集
はどの作家も日本的なきっちりした結末が無いような作風のも
のが多く戸惑いもあります。特にマラマッドは結末の一言で複
雑な象徴性や謎めいた雰囲気を与えているという作りのものが
目立つということで確かに重厚性は増していますが起承転結の
結が曖昧になってしまった感は否めません。        

アイザック・アシモフ著「科学エッセイM人間への長い道のり」
を読了しました。文庫になったのは1991年なので古いです
が内容はまだ古びていません。今では知見の違いなどが部分的
にはあったとしてもこのシリーズは全巻、品切れにしないで欲
しいものです。ハヤカワ文庫さんももう少し頑張って欲しい所
です。このような科学シリーズが科学少年を増やしてくれます。

「歴史を紀行する」司馬遼太郎著は今から40年以上前に書か
れた本ですが古びていません。この本では日本の歴史に大きな
影響を与えた土地の県民性とでもいうべきものを著者自らが歩
いて訪ね、そのような県民性が育った背景を描き出していきま
す。会津、近江商人、加賀百万石、薩摩、南部気質、長洲など
歴史好きな人には格好の読み物となっています。      

池田清彦「ほどほどのすすめ」は生物学者の著者が生物学的な
知見をもとに社会時評を書くと言ったようなエッセイ集です。
賛同出来る所が2割、賛同出来ない所が3割、新しい知見でも
無いものが5割と言うのが私の評価です。この著者も原発廃棄
に10万年も掛かると危機感だけ煽って技術の進歩には一言も
触れていません。科学者として一番性質の悪い言動だと思いま
す。ある事象を一面だけ捉えて論ずる人や組織が多いですが、
自動車がこれだけ事故を起こしていても止められないのはそれ
なりに訳があります。原発には更に影響の大きな世界の権力構
造や日本の将来の繁栄にまで大きく関わっています。もっと多
面的に論じられる人が大きな声で発言して欲しいものです。 

今年の50冊目は筒井康隆「富豪刑事」です。今から12年前
の2006年にテレビドラマで放映されたので覚えている方も
多いかと思います。大富豪の孫娘である天然ボケの神戸美和子
がはまり役の主人公ですが、原作では大富豪の秘書といった役
所です。テレビドラマは深キョンのかわいらしさと天然さ爆発
で大好評でしたが、原作も負けていません。犯人を挙げるため
に富豪刑事が金にあかせた罠を仕掛けるという基本路線からし
て奇抜ですが、納められている4篇はシリーズ物でありながら
犯罪の種類もトリックの種類も小説の形式も金の使い方も千差
万別であえて統一が無いように挑戦的に作っているという点が
評価されます。テレビドラマの圧倒的な存在感のもとに原作が
霞んでしまった感は否めませんがお薦めの短編集です。   

原田マハ「異邦人」読了です。まだこの著者の作品は10冊程
しか読んでいませんが、いずれも外れがありません。本作品は
著者の得意とする美術関係を扱った作品ですが、美術館の運営、
画家の去就、コレクターの動静、および主人公となる副館長菜
穂の妊娠を期にした京都への滞在などが交差した構想の大きな
好読み物となっています。古都・京都の美術への人々の接し方
などが少し判ったような気にさせてくれる一冊です。    

丸谷才一「丸谷才一批評集1」をやっと読了しました。副題は
「日本文学史の試み」です。1冊読み終えるのに1ヶ月以上も
掛かっています。残念なことに20年前には全6巻すべて購入
済みですが今更悔やんでも仕方ありません。内容的には日本文
学史をどう捉えるかという意欲的な文学論が展開されており、
意義のある読み物ですが、何といっても素養の無い我々素人が
ついていけない部分があまりにも多過ぎて読むのに難渋する事
しきりです。第2巻以降では源氏、新古今、忠臣蔵、近代小説、
国語改革問題などが取り上げられています。        

三萩せんや「鎌倉やおよろず骨董堂つくも神探偵はじめました」
は仕事の帰り道で読む本が無くなってしまい駅前コンビニで購
入した本です。当りでした。気軽に読めてストーリーにも無理
が無く、探偵ものの楽しさとユーモアがあって続編があれば即
購入したいと思った一冊です。              

小室直樹/日下公人が「大東亜戦争、こうすれば勝てた」とい
うタイトルの下で日本的戦略設計の欠点を明確に描き出してい
ます。かの極東裁判では1928年から1945年という18
年間という長きにわたり侵略戦争を計画したとされる共同謀議
が主訴因にあげられていますが、この本を読む限りいかに日本
という国は戦争に学ばないかが判ります。少しはアメリカの様
な計画的戦略設計を見習うべきです。勿論、戦争をするためで
は無く招来が予測される紛争を回避するためです。その観点で
この本を読むと暗澹とした気持ちになります。北朝鮮が中国の
言いなりになって、韓国がすり寄り、米朝会談ではトランプの
切り札は切られないという未曽有の混迷の時代に、我が日本国
では相も変わらずモリカケしか頭に無く、国防政策に何もプラ
ンが無いだけでなく、特に野党などは国防の議論をする事さえ
いけないことのように何の発議もされません。亡国の危機です。
何妙法蓮華経と唱えているだけで万人が極楽に行ければ最善で
すが相手は無神論の国や一神教の国です。念仏が通じるはずは
ありません。                      

奥本大三郎の「蟲の饗宴僕はこうして虫屋になった」読了です。
残念ながらタイトルの明確な解答は文中にありませんが、病床
で見ていた図鑑が一つのきっかけになった事は確かなようです。
不思議な虫のカラー図版満載の昆虫を巡るエッセイ集です。 

井上靖訳の「舞姫」を読んだ後に解説を読み、森鴎外の原作の
「舞姫」全文を読むという三段構えの構成の「現代語訳舞姫」
はちくま文庫からの出版で200頁程という短編です。判りや
すい内容と補足の解説で良く読みこなせます。史実と併せて読
むことでより一層味わい深くなると思います。       

文春新書「サイコパス」は脳科学者である中野信子の2016
年の著作です。著者は「ホンマでっか!?TV」のレギュラー
で知られていますが、最近はあちこちの番組でコメンテーター
のような立場で出演されているのを見掛けます。私個人とし
ては、著者自身が成功しているサイコパスではないかと疑っ
ていますが、おそらく脳科学者のサイコパスは一番正体が見
破られないサイコパスに当たりそうだと言う事は判ります。
この本にはサイコパスと言うものがどのようなものなのか余
す所なく解説されています。元MENSA会員という著者だ
けあって我々素人でも興味を持って読みやすいように各章が
無駄無く書かれています。一読お勧めの書です。     

ジェフリー・ディーヴァー「青い虚空」読了です。コンピュ
ータ犯罪、特にハッカーが今回の主題です。様々な専門用語
が出て来ます。ボット、バグ、クラック、デーモン、ハック、
クルージ、フリーク、ウィザードなどなどコンピュータ関係
に多少の知識がある人にとってもあまり聞き慣れない言葉も
出て来ます。かなり楽しめますが、犯人側が容易に逃亡出来
てしまう(裏の裏をかく)ケースが多過ぎて不自然さが無く
はありません。また、随処にサーバ情報、メッセージログ等
が記載されていますが我々一般読者にとってはストーリーを
追う際の障害にしかならないような気がします。このあたり
が翻訳の限界かとも思いますが、やはりコンピュータという
のは欧米人の作った世界の産物だという思いを強くしました。

阿刀田高「楽しい古事記」をやっと読みました。著者の何々
を知っていますかのシリーズやこの本の様な古典の解説本は
いま一つ面白みが少ないため購入していてもついつい本棚に
積まれたまま放置される運命にあります。そんな本がつねに
500冊ほどはあります。どうしても今見たい本を優先して
見たり新たに購入してしまったりするので何年も放置されて
しまうこともあります。最近はそれも仕方がないと思ってい
ますが、時々気分転換で本棚の奥から引っ張り出して来て日
の目をみることもあります。この本もそんな一冊です。  

三月書房出版「短篇集 半分コ」は文庫本ほどのサイズです
が何と箱入りです。著者が贔屓の出久根達郎だったので購入
したものですが、何と定価は税抜きで2300円です。高い
です。淡々とした随筆と言った所です。著者の初期の掌編の
ようなわくわく感はありません。初期作品をもう少し見直し
た方が良いかも知れません。              

原田マハ「翼をください(上)(下)」読了です。1939
年に世界一周飛行をした三菱重工製の飛行機『ニッポン号』
を現在知る人は少ないですが、この史実に伝説の名パイロット
をフィクションとして織り込んだ物語は読みごたえ十分です。
世界一周は毎日新聞社が企画し山本五十六中将の承認を得て
改造した海軍機を使用しています。飛行後は「暁星」と命名
されたそうですが、この小説では随処に史実がうまく織り込
まれておりそう言った意味でも楽しめます。上巻では伝説の
米国の名パイロットが世界一周飛行の途中で失踪するくだり
を真剣に読み過ぎて危うく電車を乗り過ごしそうになりまし
た。寝ていないのに電車を乗り過ごしそうになったのはジェ
フリー・ディーヴァーのサスペンス物以来久々です。   

ジェフリー・ディーヴァーのノンシリーズ最新刊「限界点」
は文庫上下の2冊構成です。リンカーン・ライムシリーズや
キャサリン・ダンスシリーズが有名ですがこれらの主役が登
場しないノンシリーズは構成や着眼点が独特であり見逃せま
せん。「限界点」は警護のプロとプロの殺し屋との頭脳戦が
眼目です。頭脳戦の各局面が目まぐるしく展開していきます。
登場人物が比較的多いのでなかなか全体をすっきりと読み切
るのは難しいですがそれでも十二分に楽しめる作品です。 

岩谷テンホーの新作「とんびの島から」は著者の生まれ故郷
である長崎・五島列島の幼少期の思い出の記です。味わい深
いエピソードの数々が楽しめます。テレビ到来の出来ごとや
ウナギ釣り、モクズガニ取り等々おそらくは年配の人が自身
の思い出と共に懐かしく共感出来るのではないでしょうか。

久々に竹内久美子の本を読みました。「本当は怖い動物の子
育て」は新潮新書からの発行です。本の帯の記載で内容のあ
らましが判ると思います。曰く。パンダの育児放棄、クマの
産児調整、ラッコの暴力行為、タツノオトシゴの自己改造、
などなど多くの動物の子育て戦略から遺伝子戦略を読み解き
ます。後半はそれらと対比させる形で我々人類の先住民と現
代人の子育ての有り様を解説しています。        

三浦瑠麗/高村正彦「国家の矛盾」をやっと読了しました。
高村正彦は自民党副総裁、外務大臣、防衛大臣、法務大臣な
どとして記憶している方も多いと思いますが一方の三浦瑠麗
は知らないと言う方もいると思います。実は私もつい最近ま
で知りませんでしたが、深夜番組で歯に衣着せずに辛辣な発
言をしている論客として1回だけ見たのをきっかけに今回本
を買ってみました。対談相手が外交、安全保障に精通してい
る高村氏だったこともあってか、予想に反して三浦さんの論
理展開は明晰で方向性も明確であることに驚かされました。
国際政治学者だそうですが、安全保障というのはいかに均衡
が必要かと言う事が2人の対談により良く判ります。集団的
自衛権の行使容認、日米同盟、憲法9条、日本の安全など安
保に興味のある人にはお薦め出来る一冊です。      

久々に阿刀田高の短編集を読みました。近作の「地下水路の
夜」です。著者自身がどこかで言っていたようにアイデアは
段々と新しいネタが減って来る反面で文章のうまさがそれを
補ってあやかしの雰囲気をより微妙に表現しているのがこの
一冊です。                      

三浦瑠麗/高村正彦「国家の矛盾」をまだ熟読中です。大型
連休に突入すると他にやる事が多くて本を読んでいる時間が
取れません。寝る前には「丸谷才一批評集1」を読んでいま
すが、これがまた実に眠気を誘う格好の読み物のため多くて
一日2〜3頁しか進みません。困ったものですがお陰で毎日
熟睡が出来ます。                   

山口瞳「冬の公園」読了です。この本には昭和40年当時一
世を風靡した連載コラム「男性自身」から精選された55編
のコラムが掲載されています。今読むと時代の証言といった
感がしますが、たとえば冬の公園、焚き火、サマータイム、
社宅のこと、タバコ専売、金魚、麦わら帽子、戦中派、社内
旅行、スモカのCM、白河夜船、芸妓などなどタイトルを見
ただけで当時の匂いが感じられます。          

小松貴「絶滅危惧の地味な虫たち 失われる自然を求めて」
は、ちくま新書の2018年の新刊です。養老孟司は書評で
取り上げていましたが評価の分かれる本です。そもそも虫の
嫌いな人は見向きもしませんが、一般的な虫好きな人、例え
ばカブトムシ、クワガタムシ、美麗なチョウなどに興味を示
す人であってさえ、この本で紹介されているような絶滅危惧
の虫に興味を示す人は極めて少ないだろうと思います。この
本には昆虫保護に纏わる種々の提言や悲哀までもが溢れてい
ます。真の虫好きの人必見の好著です。         
因みにこの本に出てくる絶滅危惧の地味な虫に登場するのは
以下のような虫たちです。ウミホソチビゴミムシ、キベリマ
メゲンゴロウ、ヤマアリヤドリ、ケンランアリスアブ、トゲ
ナベブタムシ、ミヤマアメイロケアリ、チュウジョウムシ。
その他多数ありますが写真が付いているのが嬉しいです。 

養老孟司「バカのものさし」は扶桑社文庫から出た最新刊で
す。しかし、内容は既刊の『バカなおとなにならない脳』を
大幅改定して改題、文庫化したものです。ネットで購入する
とそこまでは判らないのでついつい購入してしまいますが何
か釈然としない所はあります。この本は子どもの素朴な質問
に養老孟司が一問一答形式で答えたものです。バカは治るの
か、なぜ夢をみるのか、好きな人の前で緊張してしまうが、
心はどこにあるのか、本当の自分て何、戦争を考えない脳に
はなれないのか、ゲームがやめられない、死体は怖くないの
かなどなど切実な疑問に先生が真摯に答えています。   

「壇蜜日記 4 噂は噂」は文春文庫書き下ろしです。本人談
によると壇蜜日記もこれで打ちきりなのかも知れません。闇
が深まったような気がして少し不安です。アンチ壇蜜も多数
いるのかも知れませんが、壇蜜さんによって癒されている人
も多数いると思いますのでもう少し自然体でも良いと思うの
は私だけでしょうか。自虐的な文体も一部マニアからは称賛
されるかも知れないですが、そこでも無理しているように思
えます。個人的には自然体で壇蜜日記を応援しています。 

石川英輔「江戸時代はエコ時代」はエネルギーの観点から江
戸時代を見直した新しい価値観の本です。確かに化石燃料な
どが無い時代に太陽エネルギーだけで100万都市を長期間
維持出来ていた江戸と言う時代はエコかも知れません。その
ような観点から書かれたちょっとためになる本です。   

「エロスの館」は画家としての山口椿が描いたエロス画200
点と作家としての山口椿の手になる独特の芸術感覚や思想を
惜しげも無く200頁程の文庫に詰め込んだ奇書です。所謂
素描と言われるデッサンも多数収録されていますが確かな技
術はすべての絵に溢れています。贅沢な一冊です。    
素晴らしい画集だと思いますが古書価格はびっくりするほど
安価です。定価640円ですが古書では半額で買えます。 

2017年末に出た泡坂妻夫「夢裡庵先生捕物帳(下)」も
一気に読了です。江戸の風物と人情がじっくりと味わえる一
冊です。この下巻も上巻と同様に11篇の連作短編となって
いて謎解きの主役が次々と入れ替わっていきます。面白い趣
向の捕物帳です。                   

小林路子「きのこの絵本」はずっと前に買ったまま本棚に埋
もれていたものを発掘してきたものです。この著者の一押し
は「きのこ」という画集ですがいまや絶版となってしまって
いるようです。この絵本は「きのこ」の姉妹編のようなもの
です。「きのこ」は本格的画集ですが、この絵本も侮れませ
ん。絵本というよりキノコの図鑑といった風です。春夏秋冬
のキノコの生態がよく判る一冊です。表紙はベニテングダケ
の実生図ですが、キノコの仙人と呼ばれる著者の描くこの毒
キノコは実に美味しそうに見えます。          
因みに、画集の方の『きのこ』の2018年4月時点の古書
価はアマゾンで43000円もの値段が付けられています。
昔、新本の『きのこ』がジュンク堂で残5冊ほどになってい
た時にも多くの本屋では既に購入困難となっていましたが、
その時に買い占めておけば今や大儲けでしたね。残念。  

藤岡信勝「「自虐史観」の病理」を読み終えました。このよ
うな本を読むと頭に来る事が多いので、実は購入してからず
っと読んでいませんでした。もちろん頭に来るのはこの作者
に対してではありません。所謂、自虐史観に染まりきった人
達やそれを生業にして生きているような人達に対してです。
およそ市販されている本や新聞、雑誌その他各種メディアに
公開されている資料を公平慎重に眺めていれば誰が真実を語
り、誰が騙りであるかは自ずから判りそうなものですが戦後
教育が浸透し過ぎているせいか日本人の特質なのか疑うとい
うことなくマスコミやNHKやら教育界などの言論を無条件
に信じ過ぎているように思えます。たとえ後でマスコミが訂
正記事を出したにしても、見出し一面で騒いだ事などは忘れ
たかのように訂正記事は第何面か判らないような所に死亡記
事程度の大きさでひっそりとしか公表しません。不公正極ま
りありません。個人的にはそれがマスコミの本性だと思って
諦めていますが、教科書問題や東京裁判、南京大虐殺、慰安
婦問題など永らく国益を損なっている問題の多くをマスコミ
が煽っている感が否めません。個人的にはまずアメリカの大
罪をアメリカに謝らせる所から戦後の日本が始まると思って
いますが先は遠そうです。アジアの多くの国は植民地支配か
ら脱却して独立出来ましたが、残念ながら日本だけが未だに
黒船時代と同様、不平等条約に縛られ、なお且つ占領軍から
の精神的洗脳から脱却出来ないと言う独立の精神からかけ離
れた状態のままです。それにしても判らないのは自虐史観を
振りかざす人達は何が面白くて日本および日本人を貶めよう
とするのでしょうか。戦後も70年も経ったら大衆もそろそ
ろ目覚めても良いように思いますが、春宵一刻値千金戦後の
平和繁栄では春眠暁を覚えずなのかも知れません。眠れ眠れ。

「夢裡庵先生捕物帳(上)」は泡坂妻夫の新刊です。徳間文
庫さんには感謝です。内容は「びいどろの筆」「からくり富」
「飛双」の三冊を上下巻に再編成し改題したものだそうです
が、この3冊にしてからが15〜20年程前から入手困難と
なっている本ですので、この新刊は極めて貴重です。泡坂ワ
ールド未見の方も是非手に取って読んで欲しい捕物帳です。

良く考えてみると最近通勤帰りに本屋に寄る事が少ない事に
気が付きました。何か面倒くさいというのが本音です。余程
時間があればあまり行かない哲学コーナーやら話題本コーナー
や雑誌コーナーなど色々回って興味のわく本が無いか探す事
もありますが、30分程度だと結局、文学の男性・女性新作
ハードカバーを漁り、新書や文庫の棚の中からお気に入りの
作家の本を探して新作が出ていれば購入するといったパター
ンとなります。しかし余程大きな本屋で無い限り大抵の本屋
ではお気に入りの作家の本であっても出版社別、本のサイズ
別に50音順に並んでいるので短い時間では好きな作家の本
でもすぐに見つかる事はありません。ネット検索だと第一の
検索キーワードは作家名であることが圧倒的に多いと思いま
す。最近は紙の本が売れないと言われますが、探しにくいの
も一つの要因だと思われます。少なくとも文学に関しては本
のサイズは無視して全てが作家名順に本が並んでいると便利
だと思います。どこかの本屋で試行してみてもらえませんか。

ちくま文庫の「千夜一夜物語C」読了しました。バートン版
です。読んでいるとそれなりに面白いのですが、それにして
も細かい文字で600頁を越える文庫で注釈ももっと細かい
文字で沢山あって結構疲れます。実はこのシリーズは全11
巻でやっと完結します。この第四巻でやっと294夜です。
1000夜まではまだまだ先が長いです。一度は読んでおき
たい超有名な長編ですが、今の様に年に1冊ずつ位のペース
で読んでいると全巻読み終えるのは7年後です。     

このコーナーではお馴染の岩谷テンホー最新刊「大盛!!み
こすり半劇場絶頂」読了です。最近は電子書籍が増えている
ので紙の本の4コマ漫画(雑誌風)の増刷など考えられない
かも知れませんが、このマンガのように古びないマンガに限
っていえば絶対ハマる読者は一定層いると思いますので是非
ぶんか社は古い本の第二版も考えて欲しい所です。また政府
は本の在庫に関しては税制を緩めて流通量を増やして欲しい
所です。くだらない本と言う人は放っておいて、大笑い出来
る人の為にこれからも頑張ってネタを考えて欲しいです。 

中野信子の本を続けて読みました。小学館新書の「ヒトは「
いじめ」をやめられない」読了です。脳科学者、医者として
いじめが無くならない要因について生化学も踏まえて解説し
ています。本の裏表紙には、●いじめは、種を残すために脳
に組み込まれた機能●男のいじめは過激化する●女のいじめ
は巧妙化する●真面目な組織はいじめが起こりやすいなどと
あります。最近取り上げられる事の多くなったいじめという
社会現象に興味のある方は是非とも一読して、だからどうし
たら良いのか考える一助として下さい。         

中野信子もホンマでっか!?TVの常連ですが、この著者に
よる新書「シャーデンフロイデ」を読了しました。聞き慣れ
ないタイトルですが、他人を引きずり下ろした時に生まれる
快感のことを指すそうです。これが今、問題となっているネ
ット上の誹謗中傷や個人攻撃なども引き起こしているかも知
れないそうです。脳科学者、認知科学の第一人者である著者
が丹念に解説しています。東大博士課程卒業、元MENSA
会員という優秀な頭脳の著者は脳科学に関する多数の本を出
していますが、この著者の本を読んでいるとこの著者の著作
の一冊である「サイコパス」こそが著者に似合いの形容詞の
ように思えてしまうのは私だけでしょうか。       

ホンマでっか!?TVレギュラーで有名な臨床心理士の植木
理恵著「ココロをつかんで離さない植木理恵の心理テク」は
宝島別冊のブックレットです。意中の恋人に好かれる恋愛テ
クニック、オフィスで好かれる心理テクニックの極意を心理
学の事例と共に図解付きで易しく教えてくれるノウハウ本で
す。読んで損は無い一冊だと思います。表紙にはテクニック
の要約が載っていますが、その一例を示せば『3回繰り返し
て話せば相手は必ずその気になる』『打ち解けたい人とは 
50センチの距離を保つべし』『多数派意見を使えばウソで
も人は同意する』などとあります。気になる方はぜひ本文を
覗いてみて下さい。                  

三島由紀夫「対談集 源泉の感情」読了です。対談集という
のはこの著者の文庫本にしては珍しいです。三島由紀夫の著
作は作者が全て綿密に計画して作り上げた世界なので、一糸
乱れる事はありませんが、この対談集では年上の対談相手に
対してこの著者にしてえらく手こずっている様子が見えます。
そんな所がこの本の見所かと思います。         

サマセット・モーム著「世界の十大小説(下)」をやっと読み
終えました。『ボヴァリー夫人』『モウビー・ディック』 
『嵐が丘』『カラマーゾフの兄弟』『戦争と平和』の5編を
この下巻では解説しています。普通の解説書であれば内容の
要約や見所などが記される所ですが、モームはその著者の生
い立ちから生き様を得られる限りの資料を基に収集しそれが
作品にどの様に影響を与えたか、作品そのものが生まれ出た
必然性などまで類推して作家論を組み立てています。他に類
をみない解説書に仕上がっています。一作家当り細かい字で
70頁弱も掛けた分厚な文庫本であるにも関わらず、取り上
げられた『嵐が丘』などの作品そのものには殆ど言及があり
ません。これらの作品はあまりにも有名なので一冊も読んだ
事の無い私などにとっても馴染みのある作品なのであえて内
容に言及する必要も無いのかも知れません。作品は大作が多
いので、モームの作品紹介で読みたいと言う気になっても、
まだ読み始めるには高いハードルがあります。大作を読む前
にはマンガ『戦争と平和』などの文庫本を読んでからにした
いと思います。                    

評論、古典、エッセイなど多方面で著名な橋本治の小説を久
々に読んでみました。「愛の矢車草」はちょっと変わった愛
の短編小説集です。著者の習作時代の作品です。鬼才橋本治
の描く愛の形を堪能できる一冊です。          

原田マハ「さいはての彼女」読了です。表題他3篇から成る
短編集です。昔1200ccの単車ハーレーダヴィッドソン
をみて格好いいと素直に思いましたが、この短編集では何と
このバイクのカスタムビルダーを行うという格好良い女性が
主人公の元気をもらえる物語と続編ともいえる1編がありま
す。他の2編もちょっとしたきっかけで人生は何度でも立ち
直らせることが出来るというメッセージを与えてくれます。

私は迂闊にも『楽園のカンヴァス』が出るまで原田マハとい
う作家を知りませんでした。初の文学賞受賞が2005年ら
しいので無理もありませんが、この作家の作品は青春物にし
ても芸術関係にしても外れというものがありません。今回読
んだ「まぐだら屋のマリア」も感動のもらえる本の1冊です。
さいはての地に佇む料理屋「まぐだら屋」には何故か訳あり
人が次々と辿りつきます。そんな人たちの間に芽生える友情
や優しさは連鎖していきますが、各人が心に抱える葛藤は簡
単には癒えません。まぐだら屋の女将マリア、料理人の紫紋
はどうなるのか感動のラストまで息継ぎも出来ぬほどに一気
に読ませます。付記しておくと『まぐだらのマリア』は悔悛
した罪深い女として宗教画としても描かれています。   

「米原万里ベストエッセイU」を読了しました。米原万里の
既刊文庫本はほぼ全て読んでいるので、ベスト本である本書
に収録されているエッセイはほぼ全て読んでいるはずですが
かなりの部分は忘れてしまっています。そのおかげで新鮮な
感覚で読むことが出来ました。解説にあるように著者の米原
さんはロシア語の同時通訳者という専門的な職業人としての
キャリアを十分に積み、見識を磨いた結果がそのエッセイに
すべて現れています。一読の価値ある一冊です。     

「遊戯神通伊藤若冲」は寡作の作家である河路和香の最新刊
です。若冲はここ近年一躍脚光を浴びる様になった画家であ
り、河路和香がこの画家をテーマに新作を出したということ
でセンセーショナルな内容を期待していましたが、しみじみ
とした若冲を取り巻く世界が描かれていてちょっと意外でし
た。若冲を巡る世界を江戸と明治の2つの時代を往復する事
で描きだそうとした著者の思惑がどこまで実現しているかは
一読して戴くしか無いようです。            

角川文庫「米原万里ベストエッセイT」はその名の通り著者
の各種エッセイ集の集大成2冊の内の1冊です。ロシア語の
通訳として活躍した時代の蘊蓄をユーモアと毒舌で味付けし
て読者をうならせる技は他の人には決して追従出来ない練り
上げられた文体の極上品です。200頁足らずの冊子ですが
25篇もの珠玉のエッセイが詰まったお買い得な文庫です。

ジェフリー・ディーヴァー著「ゴースト・スナイパー」上下
を読了しました。この著者のシリーズ物の完成度は常に高水
準を維持していて外れがありません。主役であるリンカーン・
ライムが車椅子使用のいわゆる安楽椅子探偵物なので、高度
な遺留品操作が主体となりますが今回の犯罪は本拠地米国か
ら遠く離れた国での狙撃事件だけになすすべのない調査かと
思われましたが、困難を克服しながら次第に本命へと迫って
いく緊張感は刻々と増していきます。法と国家の治安をかけ
た情報戦、頭脳戦が繰り広げられるので集中して頁を繰って
いると上下巻は一気に読了します。           

「銭形平次捕物控」最後の(14)(15)一気に読了です。
本当に何度読んでも飽きそうにない物語が詰まっています。
機会があれば一読をお勧めします。           

野村胡堂「銭形平次捕物控(13)」嶋中文庫版読了です。
この文庫には嬉しい事に常用漢字表全文字を載せた栞(しお
り)が付いています。嶋中書店も洒落た栞を考えたものです。
うるさくも無くちょっと興味を引く所が気にいっている所で
す。これで未読2巻となりました。           

山崎正和「「厭書家」の本棚」をやっと読み終えました。1篇
が平均4ページにも満たない書評集で280ページ位しかな
い普通のハードカバーにしては随分と手こずりました。気に
なった書評は10篇位はあったので気にいっていない訳では
ないですがともかくも難しい本です。試しに書評のタイトル
を並べてみると、「両義的思考法の有効性『知覚の現象学』」
「語る相手を失った哲学の疲弊『思考のエシックス』」「逆
説をちりばめた強靭な思索『人生と言う作品』」等々です。
紫綬褒章受賞、日本芸術院会員、文化功労者であもる著者の
20年間の書評の集大成ということなので見てみる価値はあ
るかと思いますが、難しいということを前提に見て下さい。

野村胡堂「銭形平次捕物控(12)」嶋中文庫版読了です。
この巻では「狐の嫁入」を含む10篇が収録されています。
そう言えば最近では「狐の嫁入」という言葉を聞く事もあり
ません、言葉が廃れてしまうとこの様な物語も普通に楽しめ
無くなる事が懸念されます。いずれは注釈に「狐の嫁入」と
は何かというような事が書かれた本が出版されるのかも知れ
ません。                       

今回の話題は幸福の科学出版の月刊誌『ザ・リバティ』2月
号に掲載された記事2点からです。私は信者ではありません
が啓発されることの多いこの雑誌を購読しています。中国の
『覇権政策』である一帯一路についてもこの雑誌では早くか
ら紹介しています。多くのマスコミは今でもこれを中国の 
『経済圏構想』などと呼んであたかも何も害毒が無いかのよ
うに紹介していますが実はこの一環で、地下資源が豊富な 
新疆ウイグル自治区やチベットなどが既に自治権を奪われ人
権を侵害されています。                
また、同様にフィリピンなどが領有権を主張している南シナ
海や東シナ海などに勝手に人工島を作って軍事施設を作って
いるのもこの一帯一路構想の一環です。何故多くのマスコミ
が『単なる経済圏構想』などと呼んで中国にすり寄る報道を
するのかは不明ですが、日本をはじめ多くの自由主義圏に欺
瞞を撒き散らす害毒にしかなりません。         
さて、紹介したい記事は以下の2点です。        

(1)キッシンジャーの呪縛              
著名な国際政治学者であり元米国国務長官のキッシンジャー
は@米中は太平洋を分け合うべきだ。A日本の軍国主義を封
じるために日米同盟はある。という意見の持ち主であり最近
では「中国が北朝鮮に核開発を断念させれば、将来的に在韓
米軍を撤退させる」と中国側に提案したと報道されています。
その中国は他国の国境を認めず「中国が支配する領域は自国
の国力に応じて伸び縮みする」というスタンスの国であり、
この「米中共同体」路線にトランプ大統領が乗った場合には
フィリピンからの在韓米軍撤退後に南シナ海に中国が進出し
たのと同様に朝鮮半島に中国が入ることを意味します。更に
沖縄県が米軍を沖縄から追い出せば同様の事態が招来される
事が懸念されます。                  
自由や民主主義を認めないイスラム圏や、一党が世界支配を
目論む中国に対して、自由主義圏の旗頭であるリベラリズム
の国アメリカが国際政治学の役割を全うするためには、先ず
は米国自体が植民地主義と先の大戦で日本を罪悪視する歴史
観を見直すことが必要です。歴史にもしもはありませんが、
もしも一党独裁体制の共産主義の危険性をルーズベルト大統
領が熟知していれば日米戦争も無く、今の中国の覇権主義も
拡大させずにすんだ可能性が高いと思われます。     

(2)高校の教科書から坂本龍馬が消える?       
今の歴史では覚えるべき人名や歴史用語が多いですが、少し
前のニュースで2020年度のセンター試験では覚えるべき
用語を減らし、思考力を問う問題を増やすという研究会から
の提言がありました。確かに覚えるべき用語が多くそれ自体
はもっともらしいですが、さてお立合い。        
以下に消しても良いと名前の挙がった用語と、逆に研究会が
教えるべきとする用語を並べてみます。         

消す用語………坂本龍馬、吉田松陰、上杉謙信、武田信玄、
       聖徳太子                
教えるべき用語………全体主義、ファシズム、軍国主義、 
       皇国史観、日中15年戦争、南京大虐殺、 
       創氏改名、従軍慰安婦、戦争犯罪、教科書 
       問題、統制経済             

皆様どうお感じになりましたでしょうか。教えるべきとした
用語にはいわゆる「自虐史観」とされる用語が満載でしかも
無かったとされている南京大虐殺や従軍慰安婦まで取り上げ
ています。                      
日本に「和」の精神を広め国家主義の元祖とされる聖徳太子
を廃し、「軍神」とされる上杉謙信や武田信玄を廃し、「明治
維新の精神的支柱」として称賛されてきた吉田松陰を廃し、
「幕末の志士」である坂本龍馬までも排除して自虐史観を教
えようと提言した「高大連携歴史教育研究会」は自虐的歴史
観の強い「日本学術会議」と深い関係があります。戦前から
歴史学会はマルクス主義の歴史館に牛耳られていましたが、
GHQ統治中の1949年に出来た日本学術会議はその呪縛
から逃れられずに今に至っています。共産主義者しか使わな
い政治色の強い用語である「日中15年戦争」というような
用語が、教えるべき用語として取り上げられていることから
もいかにこの研究会が政治的に偏っているかが判ります。 
日露戦争という日本の国家威信をかけた黎明期に精神的支柱
として活躍した乃木希典や東郷平八郎、「武士の鏡」と言わ
れる楠木正成やGHQが禁止用語にしたという「大東亜戦争」
や「八紘一宇」なども復活させて先の大戦の意義を考えるき
っかけにしたらどうかという提言は編集部のものです。  
日本が近隣諸国からのちょっとした言いがかりにさえも何も
反論できないのは、今の日本人の多くが平和の享受と引き換
えにGHQに押しつけられた米国に都合の良い歴史観に洗脳
されているからに他なりません。いい加減に目を覚ますべき
です。自国の文化や誇りを感じる教科書があることが世界の
常識です。                      

野村胡堂「銭形平次捕物控(11)」嶋中文庫版読了です。
そういえば最近はテレビでも捕物帳はやりませんね。時代に
伴って流行すたりがあることが良く判ります。銭形平次など
という捕物帳を夕方のゴールデンタイムにやっていたなどと
今の人に言っても通じそうもありません。1時間のドラマに
はちょうど良い長さの推理物がこの11巻にも10篇きっち
り入っています。言葉のやり取りが楽しめる捕物帳です。 

気に入った本があったら読んでみて下さい。

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