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* * * 読書雑記(2021年) * * *



今年もコロナで一年が過ぎ去った感があります。実際には東京
オリンピック・パラリンピックがあったり、大坂なおみさんが
全豪オープンで優勝したり、ガッキーや眞子さんのご結婚があ
ったり、藤井聡太棋士の史上最年少四冠の快挙があったり、残
念なニュースでは熱海の土石流災害や大阪雑居ビルのクリニッ
クでの放火殺人事件があったりの激動の一年でした。読書では
お気に入りの著者の著作に加えて、戦後史や環境問題など気に
なる分野の本を中心に140冊を越す本を読むことが出来まし
た。今年は都会に出た際に割安チケット店で図書カードを纏め
買いして、ネットで本を買う際にカード決済では無く図書カー
ドをポイントに変えて支払う方法を多用しました。この方がお
得です。今年も結局、多くの本を買い溜めしてしまい未読の本
がなかなか減りません。来年も多くの本を紹介したい思います。

羽生善治「決断力」を読了しました。2005年が初版の新書
ですが、2018年時点で既に49版です。将棋の永世7冠に
加えて国民栄誉賞を受賞している名人なだけにその著作内容も
示唆に富んだものとなっています。            

『どくとるマンボウ航海記』や『どくとるマンボウ昆虫記』『
楡家の人々』などの著作で知られる北杜夫の18歳から20歳
までの日記を翻刻した「憂行日記」が今年2021年10月に
出版されました。後の著作に繋がるような昆虫採集や山登りの
記録、旧制松本高校時代のバンカラ生活、父である斎藤茂吉と
の確執や崇拝、短歌や多くの詩作、読書歴など本名斎藤宗吉と
して丹念に書き綴った記録がここにあります。『どくとるマン
ボウ青春記』や『どくとるマンボウ昆虫記』との関連性は深く
昔、著者の作品を楽しんだ人には興味深い関連資料です。  

小学館「ドラえもんのまんが百人一首」を読み終えました。購
入してから20年程も放置したままだったため新刊本で購入し
たにも関わらず本の天・地・小口などを中心にあちこち黄ばん
でしまっています。一首を見開き2ページで紹介しています。
もうじき正月なので今更ですが棚から出して読み始めました。
歌番号、百人一首の歌、作者名、歌の意味、作者紹介、「ひさ
かたの」「恋すてふ」「さしも草」などの用語紹介、歌に託し
たドラえもんメンバーと歌の作者が登場する数コマの漫画が付
いています。早わかりで良い本です。百人一首の遊び方や覚え
方、必勝法、和歌のきまりなどもドラえもんの漫画と共に覚え
られます。簡にして要を得た「百人一首」入門本です。   

先日、テレビの日曜美術館で特集していた手島圭三郎の版画が
気になって「しまふくろうのみずうみ」を購入して読んでみま
した。絵本としては取り立てて言うべき点はありませんが版画
は勢いがあって良いと思いました。作者の手になる絵本は主に
北海道に棲息する動物を中心としています。北の森の動物たち
シリーズ、幻想シリーズ、カムイ・ユーカラシリーズ、大自然
のいのちの物語シリーズ、いきるよろこびシリーズすべてでも
既刊は30冊ほどの様です。テレビ放送では年に1冊ペースで
作成していると言っていました。             

2018年8月から1年間、毎日新聞に連載していた宮部みゆ
きの「黒武御神火御殿」他3話が収められた「黒武御神火御殿
・三島屋変調百物語六之続」を読了しました。著者の三島屋変
調百物語シリーズの第六弾です。これで「おそろし」「あんじ
ゅう」「泣き童子」「三鬼」「あやかし草紙」「黒武御神火御
殿」「魂手形」という現在売り出されているシリーズ全巻を読
み終えることが出来ました。通常の百物語とは異なり、一度に
一話「語って語り捨て、聞いて聞き捨て」というルールのもと
で三島屋の関係者が主人役を務める変わり百物語です。これま
での主役であった姪のおちかが嫁いだため、本巻からは三島屋
の小旦那である富次郎に変わっています。新たな展開です。 

「星新一ショートショート1001(1)」は星新一の書いた
1001篇のショートショートを全て掲載した大部の本の最初
の一冊です。箱入りで内容は年代順に3冊から成っています。
一冊の厚さは6cm程もあって1600ページ余もあります。
まるで辞書のような厚さです。この一巻目にはボッコちゃん、
ようこそ地球さん、悪魔のいる天国、ボンボンと悪夢、宇宙の
あいさつ、妖精配給会社、おせっかいな神々、ノックの音が、
エヌ氏の遊園地、きまぐれロボット、妄想銀行、盗賊会社、マ
イ国家という何と13冊分もの各短編が収められています。 
蔵書を調べてみたらこれらすべての文庫本を既に読んだことが
あることが判りましたが、内容はほとんど覚えていませんでし
た。それにしても1600ページ余もあると一冊読むだけでも
大儀です。あと2冊残っています。因みに3冊セットで金額は
税込み35200円です。Amazonで新品で買えます。一
冊だけでも読み終えるまでに3ヶ月程も掛かってしまいました。
わざわざこのセットを買っても重たくて取扱いにくいし、部数
限定でもないので値上がりも期待できないので個人的には文庫
単品での購入をおすすめします。             

ヘンリー・S.ストークス/加瀬英明「英国人記者が見た世界
に比類なき日本文化」読了です。祥伝社新書ですので読み易い
冊子となっています。日本の良さを再発見して自信をもって明
るい未来に向かって共に歩んでいきましょう。この様な本を読
む効用はそのような所にあるように思っています。     

百田尚樹「アホか。」を楽しく読み終えました。世の中にはこ
の本にある様な三面記事風の奇妙な行動や事件を起こしてしま
う人が一定数いるようです。つい最近の事件を多く掲載してい
ますのでニュースで見知っているものもあるかと思います。自
分が本のネタにならないように呉呉も気を付けたいものです。

「妻から哲学ツチヤのオールタイム・ベスト」は哲学者である
土屋賢二氏の人気お笑いシリーズ物エッセイのベスト版です。
著者のエッセンスが満載のお買い得商品です。著者の作品未読
の方にお勧めの一冊です。ちびまる子ちゃんでいえば野口さん、
名探偵コナンでいえば灰原哀ファンの方にはこのエッセイの諸
所にちりばめられている穿った見方に共感できる人も多いので
はないかと勝手に思っています。             

本屋で何気なく「理不尽な進化」という本を見掛け立ち読みし
たところ面白そうだったので購入したのが吉川浩満著「理不尽
な進化・増補新版」ちくま文庫です。索引と参考文献一覧を含
めると500ページ程もある重厚な文庫です。論旨は非常にク
リアであり読みやすい本ですがちゃんと理解して読み進めるの
は至難の業です。普通の進化論の本かと思っていたら中身は進
化論の思想史です。個人的には哲学本ではないかと思っていま
す。これまで出現した生物種の99.9%が絶滅していること
と適者生存の思想との関係に絡んで、理不尽な進化という視点
が上手く説明されています。進化論を語る上での2大巨頭であ
るグールドとドーキンスの論点についても詳細な解説がされて
います。そう言った意味で本編は高く評価出来ますが、頂けな
いのは付録の『パンとゲシュタポ』です。残念な事にこの本に
は似合わない著者の歴史認識の偏見がもろに現れてしまってい
るように私には思えます。大きな瑕疵ですね。       

鯉釣りの待ち時間に読んでいる「全訳源氏物語」全3巻の中巻
をやっと読み終えました。上巻を読み終えたのは何と10年前
です。「源氏物語」は様々な訳者によって翻訳がされている様
ですが私が読んでいるのは定評のある與謝野晶子訳、角川文庫
です。一巻が600ページ程もあるので鯉が余程釣れない日が
続いて日に100ページずつ位読めても6回も鯉釣りに出掛け
ないと読み終えません。今回中巻を読み終えたのはこの所釣り
に出掛けてもボウズが7回も続いている所為(お陰)です。本
を読む暇も無いくらい鯉に鈴を鳴らして欲しいところですが、
今年は6月1日から10月14日までは鮎釣りに専念していて
鯉釣りが出来ず12月1日に鮎釣りが再解禁されたらまた12
月の鮎釣りに初挑戦しようとしているので下巻を読み始めるの
は年を越してからになりそうです。しかし1月から3月は鯉釣
りをしていても野外は風が冷たく読書も大変です。     

岩谷テンホー「大盛!!みこすり半劇場2021」はぶんか社
の単行本雑誌です。本年11月1日発行の新刊本です。ご存じ
お色気4コマ漫画です。このシリーズ未読の方は是非手に取っ
てみて、笑って年を越しましょう。このシリーズの難点は殆ど
の書店で売っているのを見掛けた事が無いという点です。  

毎日新聞社刊「鹿島茂の書評大全(洋物篇)」を読み終えまし
た。著者が各紙誌上で発表した書評(洋物)から100篇を選
んで一冊に纏めた読書案内です。殆ど読んだ事の無い本ばかり
です。私がいかに洋物の文学を読んでいないかと言う事ですが
著者との興味のあり処も相当違うのでは無いかと思います。そ
れでもこの書評を読んでみて、興味の沸いた本もいくつかある
ので以下にそれらを上げておきます。ステファヌ・クルトワ「
共産主義黒書」、ミシェル・トゥルニエ「イデーの鏡」、クセ
ノポン「アナバシス」、プルターク「プルターク英雄伝」、イ
タロ・カルヴィーノ「なぜ古典を読むのか」。残念なのは既に
古本でしか読めなくなっている本が少なくない事です。   

朝日ビジュアルシリーズ「藤沢周平の世界1」読了しました。
「藤沢周平の世界」全30巻は2006年11月から週刊で発
行されていたものです。本棚に寝かせている内に既に15年も
経ってしまいました。創刊号は『蝉しぐれ』です。40ページ
程の大判の冊子ですが、物語のあらすじ、人物相関図、ストー
リーマップ、重要な箇所の抄録、設定の舞台となった土地の訪
問記、海坂藩のモデルとなった鶴岡の歴史、主人公である文四
郎が暮らす普請組組屋敷のイラスト、江戸時代の藩の組織図、
藤沢周平の創作現場紹介、藤沢周平年表、藤沢周平単行本装填
などファンにとっては知りたいことが満載の一冊です。   

渡部昇一「「反日」を拒絶できる日本」を読了しました。本の
タイトルが今時でないのはこの本の発行が2006年だからで
す。時事問題を扱った本の宿命です。そうは言ってもこの本が
古びていて読む価値が無いわけではありません。真っ当な論旨
はじっくり読む価値があります。章立てだけを綴っておけば内
容は容易に想像できると思いますので、以下に全5章のタイト
ルを示します。                     
第一章 皇室伝統を踏みにじることなかれ         
第二章 A級戦犯など居やしない             
第三章 憲法改正は明治憲法を土台にすべきだ       
第四章 富を憎む思想は「国」を亡ぼす          
第五章 「反日・中国」「嫌日・韓国」の弱点       
まだこれらの項目について正しく理解している人は少ないだろ
うと思われます。読んだ上で反論するのは良いですが、このよ
うな論点を初めから無視してマスコミの論調に流される事の無
いように気を付けたいものです。             

山本夏彦「世はいかさま」は昭和62年の発行なので既に34
年もの月日が過ぎ去ったことになります。寸鉄人を刺すと評さ
れるような鋭い論評は健在です。著者のコラムの素晴らしい所
は決して一方的に断罪するのでは無く、返す刀で快哉を叫んだ
我々読者をもやんわりと窘めるように切って捨て去るところに
あります。今読んでもうならされるコラムの数々は決して他人
に真似の出来ないユニークなもので読み返す価値があります。

東京堂出版「さかさコトバ回文遊び大事典」は500ページ程
の回文の事典です。『たけやぶやけた(竹藪焼けた)』の様な
回文については昔から人口に膾炙していますが、最近の回文に
ついては回文作りの専門家?がたまに本を出すだけで、体系的
な回文の分類やら説明については殆どなされて来なかった様な
気がします。私はこれまで、まさに何様/闇から神谷著『さか
さ言葉「回文」のすべて』や杉本寛著『回文ことば遊び資料館
』、阿刀田高著『頭の散歩道』『ことば遊びの楽しみ』や泡坂
妻夫著『喜劇悲奇劇』や鯨統一郎著『喜劇ひく悲奇劇』などの
回文関連の本を読んでいて、回文については興味がありますが
体系的に見たことはありませんでした。この本では回文を21
種類に分類して、それぞれの説明、作品例、作り方、参考とな
る関係書類をもれなく挙げて考証を加えています。以下に分類
項目となる目次の一部を掲載しておきます。円形回文、外来語
入り、漢字重ね、雑句、川柳、短歌、年賀状、ローマ字回文な
どなどです。興味のある方は手に取って見て下さい。    

永江朗「恥ずかしい読書」を読了しました。著者はライター兼
エディターで主に本に関する書籍を書いている様です。この本
では本に対する様々な雑文が掲載されています。全体をうまく
説明しにくいので、見出し、小見出しの一部を以下に示す事で
内容を想像して戴けたら幸いです。『一日三回、哲学書でギア
チェンジ』『本に線を引く』『写しながら読む』『地図をひっ
くり返す』『身体にいい読書はあるか』『私の書店員時代』『
本は美しくなくていい』『手紙と読書』『自分で選べばちゃん
と読む』『スクラップ考』『読書の壁は自意識の壁?』   

GHQに廃止された我が国最後の国史の教科書が「初等科國史
復刻版」です。著作者兼発行者はもちろん文部省です。解説は
東大名誉教授の三浦小太郎氏です。解説を読むとこの本を現在
発行することの意義がよく判りますが、戦後GHQに押しつけ
られ今だに染まったままの戦勝国による日本の歴史観とは大き
な違いがあります。この本は天皇中心史観に偏りすぎていると
いうきらいがありますが、我が国がいかにして国を纏めて来た
か、諸外国に対していかに対応して来たかがが変わります。 

阿刀田高「怪しくて妖しくて」を読み終えました。2021年
5末発行の新刊です。練達の著者による12篇の短篇はいずれ
も怪しさ(妖しさ)に満ちています。現実と非現実との境目や
生と死の間のその中間には曖昧な部分があるという著者の発想
が作品の色々な部分に反映されて、夢とも現ともつかぬ物語が
展開していきます。著者の着眼点のもう一つの特質は言葉に対
するこだわりです。「タコ焼き」と「イカ焼き」と「タイ焼き」
の違いについてはホンの少しタコが入っているのと、イカは丸
焼きにしているのと、本当の鯛とはまったく関係のないものと
いった言葉遊びについて触れ外国人が日本語を覚えるのは大変
だろうというコメントを付けています。また、鏡の中の自分の
映像は左右が逆になっているが、テレビに映った映像は現物と
同じであることを指摘し、もしも鏡に映った映像が左右逆にな
っていなかったら非常に怖いという事をテーマにさりげなく織
り込んで一篇を物しています。              

最近、ガソリンが高いと思っている皆さん、電気代が高くなっ
たと感じている皆さん、脱炭素・再生可能エネルギー推進とい
う御旗の錦に浮かれてしまている皆さん、問題を解く鍵はすべ
てこの本にあります。WILLスペシャル「日本のエネルギー
が危ない!」ワック出版です。監修は櫻井よしこ・奈良林直で
す。国政に連なる皆さんは勿論のこと、全国民必読の書です。
そうは言っても細かい活字3段組200ページの本ですので、
普通の文庫本だと400〜500ページにも相当するかも知れ
ません。最低限読むべきはP1〜P16 はじめにの「原子力
規制の独善が日本を滅ぼす」、及びP196〜P202「政策
提言 日本に原子力を取り戻せ」です。拾い読みするならあと
はP52〜P57「原子力技術を捨てたら日本は中国の属国に
なる」、P65〜P71「伊方原発運転差し止め決定・これは
「司法テロ」だ」、P88〜P95「ドイツの大失敗に学べ」
、P99〜P109「人類には原発が必要だ」以上です。  

新潮社「手塚治虫原画の秘密」は多くの原画に加えられた描き
直しについて印刷版と原画の比較や連載時と単行本化された絵
の比較などを通して解説してくれています。私も手塚治虫漫画
全集400巻を持っている程度の手塚漫画ファンですがファン
には興味深い一冊だろうと思います。           

きのこの挿絵画作家である小林路子「なにがなんでも!きのこ
が好き」はきのこにはまってしまった作者の好エッセイです。
著者の本業はきのこの画家ですが、文章も絵と同様に素晴らし
いものです。この本によってきのこが好きになった人が増えた
であろうことは確実です。山できのこを採るための格好とは何
か、きのこの同好会、正しいきのこの採り方、正統きのこ鍋、
究極のフルコース「万菌全席」のメニュー、きのこ中毒の怖い
話、きのこグッズ、松露羊羹の話まで飽きさせるということが
ありません。因みにこの作者の描いたきのこの画集、その名も
ずばりの『きのこ−小林路子画集』はAmazonの中古品で
3万8千円から150万円までの値段で売られています。もう
無茶苦茶な値段付けです。表紙のベニテングタケを見ると判り
ますが美術品のような絵画であることが実感出来ます。   

ロベルト・カスパー著「リンゴはなぜ木の上になるか」を読了
しました。1987年の刊行なので34年以上前の本という事
になります。書評で養老孟司が紹介していた本なので読んでみ
たいと思って入手したものですが、残念ながら現在は古本でし
か入手出来ない様です。本の紹介記事が過不足無く内容を伝え
ていますので、以下に転載しておきます。生物進化の話なので
日進月歩の分野ですがまだ内容は古びていません。     
                            
ビッグバン、分子誕生、そして生命の出現。バクテリアから高
等植物へ、ゾウリムシからチンパンジー、類人猿から人間へ…
生きとし生けるものの進化の壮大な旅は続く。進化の旅のロマ
ンを美しい絵と共に読み解く。              
                            
1 ノアの足跡を追って…秩序という驚異         
2 すべてはこうして始まった…生命の起源について    
3 植物はどのようにして生じたか…細菌から蘭まで    
4 動物はどのようにして生じたか…ゾウリムシからチンパン
  ジーまで                      
5 人間はどのようにして生じたか…アウストラロピテクスか
  らホモ・サピエンスまで               
6 多様さに秩序をつける…混沌から構造のあるシステムへ 
7 「種は変化し得る」…進化の発見           
8 ダーウィンとあとに続く人たち…「サル芝居」から生物学
  の基礎へ                      
9 エンドウマメとショウジョウバエ…遺伝の法則     
10 ドグマの克服―ラマルクとダーウィンの中間の進化  
11 生きることはすべて学ぶこと…知ることの驚き    
12 バラは姉妹、樹木は兄弟…長い旅路の終わりと始まり 
                            
以前にどこかで習ったかも知れませんが、ミドリムシは植物か
ら動物に変わることが出来るそうです。その具体的な方法につ
いては本書の30ページに詳細に明記されています。    

銭形平次といえば誰でも知る名岡っ引きですが、作者の野村胡
堂は一般にはそれほど知られていません。しかし野村胡堂は知
る人ぞ知る怪奇小説、幻想小説、探偵小説、SF作家など多彩
な方面での先駆者、重鎮でもあります。「奇談クラブ」は謎解
きや怪奇色満載の連作中短篇5篇を収めた代表作の一つです。
5話のタイトルは以下の通りです。「紅唐紙」「魔の笛」「湖
心亭」「女性の秘密」「鏨地獄」。野村胡堂の「銭形平次捕物
控」の書籍を読んだ事がある人は判りますが、胡堂の語り口は
当時の風情を判りやすく伝えると共に小気味よく話に引き込む
手腕に優れていて一気に読み進められます。話芸の鏡です。「
奇談クラブ」にもその良さは遺憾なく発揮されています。四百
ページという大部の本ですがぜひ手に取って見ることをお勧め
します。                        

喜国雅彦のシリーズ物の取り敢えずの完結版となる「本棚探偵
最後の挨拶」を読了しました。箱装丁の豪華本です。このシリ
ーズ名はシャーロック・ホームズのシリーズの名前を模したも
のですが、実はホームズのシリーズには5冊目の『事件簿』が
あるので、将来的にはもう一冊刊行されるかも知れません。こ
の本には古本好きな著者とその仲間が繰り広げる本好きならで
はの奇行と逸話が満載です。稀覯本を巡る話は我々素人でも興
味を持って読めること請け合いです。双葉文庫から文庫本も出
ているのでそちらもお勧めです。             

最近読んだ「ディープステート」の第4章「日本の霊性が世界
を救う」には最近の世界的なグローバリズムの風潮への危惧と
それに対して日本の独自性が注目される点について述べられて
います。その中で取り上げられているのが芥川龍之介の「神神
の微笑」です。気になってオンデマンド(ペーパーバック)で売
られている青空文庫POD(大活字版)の書籍をネットで購入
して早速読んでみました。大活字で30ページほどなのですぐ
に読み切れます。我が国が外来文化(仏教、漢字、老荘など)
を取り入れ、造り替えて我が物として来た民族性を「我々の力
と云うのは、破壊する力ではありません。造り替える力なので
す。」と喝破しています。おそらくはこの本の主人公であるオ
ルガンティノが布教に勤めたデウスの教えも今や同じ系譜に連
なっているのではないかと思われますが、「ディープステート」
が世界に仕掛けている野望も、日本のこの霊性で共存させてい
くことが出来るのではないかと先の著書では期待しているよう
な気がします。                     

ちくま文庫から今年9月10日に発行された「杉浦日向子ベス
ト・エッセイ」を興味深く読みました。没後16年、久々の新
刊です。初期単行本未収録作品が沢山収められているという事
でファンには嬉しい一冊です。著者が漫画を廃業してエッセイ
を書いたりテレビに出演していた時期を残念なことに私は認識
していなかったため、ご本人の肉声等はまったく知りません。
と言った訳で個人的には杉浦日向子マンガのファンを長年続け
ていますが、後から出たエッセイや書評などの本も入手出来た
物は読んでいるので、今回改めてそれらをも含めたトータル的
な著者の著作の流れを認識することが出来ました。個人的には
完成度の高い書評が好きです。一読の価値があります。   

谷沢永一「紙つぶて(完全版)」は旧題「紙つぶて(全)」の再
版です。旧版の方もどこかにあったはずですが我が家の本棚で
は行方不明のままです。一篇600字という限られた紙幅の中
で足かけ15年に亘り新聞紙上などに連載された455篇の書
評コラム集です。個人的には書評大好き人間ですが、書評ばか
り見ていると読みたい本が増えてしまって後が苦労します。 

「ディープステート 世界を操るのは誰か」を一気に読み終え
ました。著者は外務省、駐キューバ大使、駐ウクライナ大使、
防衛大学校教授という経歴のある馬淵睦夫氏です。トンデモ本
かと見紛う様な内容の本です。アメリカ大統領選の裏幕から東
西冷戦、ロシア革命、第二次世界大戦、朝鮮戦争、湾岸戦争、
イラク戦争、ウクライナ危機などの紛争についての隠されてい
る舞台裏を明白にしています。目に見えない統治機構である「
ディープステート」とは何物なのか、国際主義(グローバリズ
ム)とは社会主義の別名である事や、日本占領政策(ニューデ
ィーラー的社会主義)としての押しつけの日本国憲法、東京裁
判史観、公職追放施策等との関係性、民主主義という言葉は本
来両立し得ない自由と平等の両立があたかも実現可能と思わせ
るための隠れ蓑として利用されているなど見方が論じられてい
ます。また、トランプ前大統領の真の成果とホワイトハウスを
追われるだけでなく大手メディアから閉め出されるまでの顛末
の真相についてつぶさに評論しています。この本の前半部分は
我々のように世界情勢に疎い一般庶民にとっては読み解くには
難解な部分が多いですが、後半は腑に落ちる論考が多くありま
す。世界の動きに何らかのモヤモヤ感を感じている人は頑張っ
て一度この本をじっくり読んでみることをお勧めします。終章
では久しぶりに「惟神(かんながら)」という言葉を聞きまし
た。                          

「養老先生のさかさま人間学」を読み終えました。漢字一字を
お題にして一話見開き2ページで小中学生対象に書かれた文章
だそうです。とは言っても漢字にとらわれた論考では無く内容
は「健康」と「病気」、「経済施策」と「省エネ」、「言葉の
作業を知る、恐竜の生き残り、遺伝のはなし、なぜ働くのか、
など様々なテーマで語られています。内容に見合ったほのぼの
とした挿絵が各テーマ毎に付いています。登場人物は養老先生
と愛猫のまるです。                   

「わたしはネコである」「わたしはネコである殺人事件」は共
にいしいひさいち氏のいわゆる四コマ漫画です。ネコらしき物
も殺人事件らしきものも全然登場しません。主な登場人物は作
家と編集者とお手伝いさんです。微妙な笑いを誘うか誘わない
かの淡々とした連作(シリーズ物)です。相当昔に購入した物
ですがその時には既に中古品しか入手出来ない状態でした。 

土屋健「古生物食堂」読了しました。奇書の類いです。今は化
石でしか見ることの出来ない古生代から中生代、新生代までの
30種類ほどの生物の調理法から食味までを現在判明している
科学的知見をもとに忠実に提示してくれています。本書にはア
ノマロカリス、三葉虫、魚竜、首長竜から恐竜まで古生物に興
味のある方にはお馴染みの生物が多数登場します。単なる味比
べではなく、たとえばアノマロカリスでいえば食べて美味しそ
うな触手、みそ、フィンに着目し、アノマロカリスのしんじょ
う揚げの甘酢餡かけ、アノマロカリスのみそディップとフィン
の素揚げといったメニューを紹介しています。レシピについて
いえば材料であるアノマロカリスだけでなく卵白、片栗粉、マ
ヨネーズ、塩こしょう、レモン汁、サラダ油に至るまで料理本
なみにグラム数から大さじ何杯に至るまで詳細に記載されてお
り、作り方も手順を詳細に記載しています。滝沢カレンの「カ
レンの台所」とは大きな違いがあります。最近流行の昆虫食と
も一線を画します。                   

久々に阿刀田高の奇妙な味の短編集を読みました。タイトルは
「ローマへ行こう」です。単行本刊行時のタイトルは「アンブ
ラッセ(フランス語で”抱擁する”という意味)」ですがどち
らのタイトルもこの本を象徴するタイトルとはどうしても思え
ません。初期短編集である「冷蔵庫より愛をこめて」や「ナポ
レオン狂」などのような切れの良い意表を突く短編集はもう期
待すべくもありませんが、奇妙な味わいに加えて男女の有り様
を多彩に描いている本書の各短篇では著者の円熟さは感じられ
はするものの冗長さの方が勝ってしまっている様に思えます。

櫻井よしこ「言語道断」読了しました。週間新潮に連載してい
る最新コラム「日本ルネッサンス」50篇程を纏めたもので、
2018年末から2019年末までの集大成となっています。
我々国民が知らない情報や貴重な提言が満載です。多くの人に
読んで欲しい一冊です。内容は米中対立の構図、文在寅にみる
反日韓国の嘘と歪曲、暴走する中国、公正を欠く萩生田新聞報
道、問題山積のNHK終戦報道、香港弾圧、習主席国賓待遇へ
の疑問、世界基準に大きく遅れた原子力規制委員会などです。
日本を取り巻く周辺諸国の状況がこれほどまでに緊迫した時代
はかつて無かったと思いますが、与党も野党も呆れるほど脳天
気でいられるのが不思議でなりません。次期首相には十分な外
交感覚のある人材が必要とされますが、太平の世の中の権力者
ばかりが林立しているように思えます。          
追記:世界基準に大きく遅れた原子力規制委員会の実情につい
ては櫻井よしこ/奈良林直著「それでも原発が必要な理由」を
読むとよく判ります。規制委に与えられている強大な権限に比
べて、審査する能力も無いような人材しかいない現実が明確に
判ります。審査はどんどん遅れ日本のエネルギー政策の肝とな
り得る「もんじゅ」をもペテンのような手法で葬り去った規制
委は日本には不要と私は思います。            

集英社新書「性のタブーのない日本」は異能の著作家橋本治の
晩年の作です。著者の見立てによれば日本には古来、性のタブ
ーというものは無くあったのはモラルだけだったと言います。
歌舞伎や浄瑠璃、古事記から万葉集、源氏物語、葉隠までを引
き合いに出し日本文化を語ります。猥褻とは何かを、晴と褻な
どの民俗学、文化人類学などの観点も用いて広範に亘る論考を
行っています。多くの論点は説得力のあるものです。    

築地書館「アユの本」は高橋勇夫/東健作による2006年初
版の本です。私の地元を流れる酒匂川もご多分に漏れませんが
毎年のようにアユ不漁です。漁協の言い分は違うかも知れませ
んが、実際に年券を買って釣りをしている私の実感としては天
然遡上はほぼ無しの上、少しでも台風や大雨があるとずっと釣
りが出来ないだけでなく、その後ずっと不漁続きで晩秋まで待
ってもアユが育たないという最悪の状況を毎年経験しています。
この本でもアユの不漁は全国的だと言っています。放流すれば
良いという時代は昔の夢のようです。漁協による真剣なアユ保
護が求められています。漁協率先の活動に加えて関係団体など
の協力も不可欠です。琵琶湖産の鮎放流の是非、産卵状況と遡
上鮎の数量、陸封鮎の状況など幅広い調査状況がこの本には掲
載されていますが評価はこれからの様です。鮎だけでなく最近
ではウグイやオイカワなど昔は山ほどいた魚も激減しています
のでそれらも含めて釣りの対象魚としている漁協の役割は増大
しているものと思われます。               

ヘンリー・S.ストークス「英国人記者だからわかった日本が
世界から尊敬されている本当の理由」を読み終えました。日本
通の著者が世界でもユニークな文化、伝統、行動様式を持つ日
本の良さを語り尽くします。戦後一貫して戦勝国史観に捕われ
続けている日本人が多い中で、イギリス人という立場から冷静
に日本とは何かを分析しています。画一的な捉え方しか出来て
いない人ほど読んで欲しい一冊です。           

土屋賢二の著書である「無理難題が多すぎる」はなぜか「本屋
大賞・超発掘本」となって話題になっていますが、そのコラム
「ツチヤの口車」の最新作である「不要不急の男」を読み終え
ました。時代を反映してコロナについても織り込まれています
が、やはり著者のコラムは最近キレが今一つの様な気がします
。20年以上前に出されている「人間は笑う葦である」などは
中身がもっと濃かった様に思います。「人間は笑う葦である」
は文庫ですが長い間、品切れにしておくのは出版社の怠慢です。

谷沢永一「私はこうして本を書いてきた執筆論」は2006年
発売の本です。著者は2011年に亡くなっているので晩年に
書かれた執筆生活の集大成といった位置づけの本です。同人誌
の時代から書誌学の開始、「紙つぶて」連載秘話、執筆の要諦
など著者の執筆のスタイルが年代順に語られています。   

山口椿「性の迷宮」を読了しました。河出文庫版です。   
著者の描くイラストや本書に掲載されている写真などは18禁
そのものですが、それは単なる目くらましであって著者の真骨
頂はその文章にあることは明白ですが、この本もまた難解です。
倒錯の美的世界を構築する孤高の職人的芸術家である山口椿の
「やおよろず倒錯学」と、うら若き女と繰り広げる神聖冒涜的
性愛の情景を艶麗な筆致で描く散文詩ふう断章。と解説にある
様に、描く世界は深遠です。               

神保哲生/宮台真司「暴走する検察」を読み終えました。まだ
記憶に新しい少し前の大事件が不起訴になったことを新聞の小
さな記事でよく見かけます。決まって検察は不起訴の理由を明
確にしません。このような記事を見るたびにもやもやしている
人も多いのではないかと思います。なぜあんな大事件が罪にも
問われずに不起訴になってしまうのか。そんな理由が判るので
はないかと期待して本書を購入してみましたが、残念ながら期
待外れでした。本書を読む限りでは著者ら自身が暴走している
ような印象を受けます。その具体例はまえがきで既に顕著です。
『犯罪者である安倍が首相を務める内閣に〜』という様な言い
方を何の証明も、前提も無しに言うような思い込みが著者たち
にはあるようで、本編でも随所でこのような深い思い込み前提
に話が進められています。恰も著者たちは無謬の絶対者である
かの如くです。我々、国民についても低俗だと言い切っていま
す。その通りかも知れませんが、きっと著者たちは崇高な神か
何かなのだろうと思われます。以上の様な訳で内容についての
紹介は割愛します。因みに不起訴の割合は67%、起訴された
事件の有罪率は99.9%とどちらも異常ともいえる割合です。

イラスト、デザイン、細密画の画集「ビアズリー怪奇幻想名品
集増補改訂版」を読み終えました。これはもちろん原田マハの
「サロメ」に触発されて購入したものです。「サロメ」は皆さ
んご存じのオスカー・ワイルドの戯曲ですが、原田マハの書籍
での本当の主役は挿絵画家である夭折のビアズリーの方です。
本画集の帯には世紀末の鬼才とあります。当時としては確かに
唯一無二で独特な毒を含んだ作品であっただろう事は頷けます。
そんな作品集は2014年から販売されていましたが2021
年3月に従来の作品集に50点もの作品を追加したのがこの増
補改訂版です。一見の価値ありです。           

ヘンリー・S.ストークス「英国人記者が見た連合国戦勝史観
の虚妄」を読了しました。著者は東京特派員として50年にも
わたって活躍して来たジャーナリストです。三島由紀夫、白洲
次郎、岸信介、安倍晋太郎、中曽根康弘、ドナルド・キーン、
シアヌーク殿下スカルノ大統領、金日成などとも交流がある著
者の言葉には重みと真実が込められています。自虐史観の誤り
を正すべく多くの具体的な歴史の真実を示すとともに、自虐史
観に捉われ続けている多くの日本人の覚醒を促しています。我
々が事実を正しく知ることも重要ですが、政府要人についても
もっと勉強して良い日本を作る信念を示して欲しいものです。

仏文学者である鹿島茂が『毎日新聞』『東京人』の書評で取り
上げた書評の内、和物分を纏めたものが「鹿島茂の書評大全(
和物篇)」です。330ページ2段組100件の書評は読み出
があります。読みたいと思えるような本も多く紹介されていま
すが書評初掲載時期が1998年7月から2007年7月とい
う事で佐野眞一著『だれが「本」を殺すのか』などは最初に出
版されたハードカバーだけでなく、その3年後に出た文庫本で
さえも既に絶版になっています。残念なことです。自宅本棚を
見回してみた所、紹介されていた本の内12冊が既読でした。
書評集を読むとどうしても読みたい本が増えて困りものです。

サライ別冊付録「新宝島」「ジャングル大帝」は手塚治虫の初
期作品のさわりだけを一部抜粋して纏めた冊子です。後期作品
に比べると描線はまだ弱々しくみえる部分がありますがストー
リーの展開には見るべきものがあります。         

原田マハの「サロメ」を読了しました。商品解説には『19世
紀末のロンドン。美貌とスキャンダルで時代の寵児となった作
家オスカー・ワイルドと、イギリス画壇に彗星のごとく現れた
夭折の天才画家ビアズリーの愛憎を描く。美術史の驚くべき謎
に迫る長編ミステリー』とあります。過去と現代のロンドンを
舞台に展開する美術ミステリーは美術に造詣の深い作者ならで
はの実在感とテンポで我々読者を一気に物語に引きずり込みま
す。それにしてもビアズリーの早世は惜しまれます。    

養老孟司「虫は人の鏡・擬態の解剖学」読了です。なぜ虫は多
様な色と形をしているのか?虫の面白さは「擬態」にあり、擬
態を考察すると人間が判ると言う養老孟司の思想の原点です。
情報とはなにか、なぜ虫か、カモフラージュ、警戒色、目玉模
様、偶然か必然か、メタリック、気味が悪い虫、堅い虫、死ん
だふり、ダマシとモドキ、似る努力、不思議な形、蝶の斑紋、
キノコムシ、雄と雌、つがいと子育て、普通種、どこにでもい
る虫、雑木林の虫、虫とヒトなどのサブタイトルで虫と人との
関わりを考察しています。豊富な昆虫写真は昆虫写真の第一人
者である海野和男によります。              

小室直樹著「日本国憲法の問題点」を読了しました。このタイ
トルを一瞥して憲法9条の問題だと思った人は私も含め早計で
す。今では現行の日本国憲法がアメリカが日本占領政策の一環
として押し付けた100%米国製憲法であることを理解してい
る人も少しは増えて来ましたが、相変わらず「平和憲法」など
と寝言の様に崇め奉っている人も後を絶ちません。稀代の碩学
である著者によれば日本国憲法の最大の問題点は憲法十三条だ
そうです。この欠陥によって我が国では憲法の要である民主主
義と資本主義が全く機能していないと著者は指摘します。憲法
にいくらかでも関心のある人には有意義な一冊になるかと思い
ます。章立ては以下の通りです。             
第1章 失われた日本国憲法の精神            
第2章 総理大臣なき国家・日本             
第3章 「戦後教育」こそ、民主主義の敵         
第4章 憲法を殺す官僚の大罪              
第5章 日本人が知らない「戦争と平和」の常識      

「黒い報告書エロチカ」は「週刊新潮」編集部(編)の実録物
名物シリーズの一冊です。僅か264頁の薄い文庫に17編が
収められています。いかにも週刊誌の三面記事のネタとなりそ
うなゴシップ揃いです。女教師、サラリーマン、主婦、女医と
登場人物も様々で、事件の方も教え子との淫行、婚活サイト、
自殺偽装、堕胎、痴漢、露出趣味、バラバラ殺人、不倫、代理
殺人などあらゆる事件がてんこ盛りです。         

マガジンハウス刊「本人の人々」は南伸坊の作品です。顔真似
芸術に加えて本人になり切った各人僅か1ページのコラムが笑
えます。金正日、養老孟司、カルロス・ゴーン、ボブサップ、
アニータ、田中真紀子、森喜朗、叶美香など少し前に話題にな
った有名人69人が登場です。              

呉善花「韓国と北朝鮮は何を狙っているのか」読了しました。
韓国、北朝鮮、米国の間で歴代の政権はこれまでどのような対
外政策、核政策、軍事対応を取り現在に至っているのかを歴史
を丹念に追って各国の思惑を明確にしようとするものです。北
朝鮮および韓国での核開発計画、北朝鮮・中国に急接近する韓
国、裏側で進む在韓米軍撤退計画、日本を脅かす北朝鮮の核ミ
サイル、韓国でのTHAAD配備計画、韓国から中・ロまでの
ユーラシア開発計画など多くの内容が語られています。   
はたして南北連合国家、そして統一朝鮮が現実になったとき、
極東のパワーバランスはどう変わるのか?その時アメリカは?
中国はどう動くのか?また日本はどうなるか?       

暉峻康隆訳注「日本永代蔵」読了しました。井原西鶴が書いた
とされる書物の多くは真贋が疑われていますが「日本永代蔵」
もそんな1冊です。そうは言っても素直に井原西鶴作と信じて
読んで何ら問題はありません。日本初ともいえる経済短編小説
として読めば新しい感覚で読むことも出来ます。挿絵付きです。
最近は起業ブームですが、「日本永代蔵」を読むと既にこの時
代にあっても自分の才覚次第で新たな商売を始めることで金持
ちになるという起業精神は十分に実現されていたことが伺えま
す。文章は一話一話が短く注釈も豊富で読み易い構成です。 

「トランプ、ウソつかない」は山正之の変幻自在シリーズ第
12弾です。2020/9の発行という近刊の文庫です。この
シリーズは歴史や世界各国の動向を偏見無しに冷静に判断する
為の教科書として有効に活用することが出来る珍しい本です。
どこに嘘や「フェイクニュース」が潜んでいるのかを明快に示
してくれます。今回の標的は表題のトランプさんを始め、当コ
ラムでは常連の朝日新聞、米国についての虚飾の歴史改ざん、
日本の新聞記者の常識、中国の国際機関要職への働き掛けなど
です。面白いほどに各国の本音が判るそんなコラムです。  

文化人類学者エドワール・ホール著、日高敏隆訳「かくれた次
元」は今から40年以上も昔に発行された本です。新型コロナ
感染対策で「社会的距離(ソーシャルディスタンス)」という
言葉が身近になりましたが、この本は空間利用の関係に逸早く
着目し研究した成果を述べたものです。人類を含めそれぞれの
動物は種ごとに異なった個体間の社会距離をもっており、個体
数が増えて適切な個体距離が保てなくなると、ストレスが生じ
繁殖行動や個体群の維持に悪影響が生じます。本書では「人間
の存在と行為は事実上すべて空間の体験と結びついている」事
を強調しており、その空間の体験とは「視覚、聴覚、筋覚、嗅
覚、そして温度といった多数の感覚的入力」を総合したもので
あると考えています。その入力のシステムが人類一様でなく、
所属する文化によって時に大きく異なるがこの「文化の次元」
は「その大部分がかくれていて目に見えない」からこそ、誤解
や摩擦が生まれ、最悪の場合には破壊や争いにつながると指摘
します。「人間における距離」を密接距離、個体距離、社会距
離、公衆距離の4つに分類し、人はそれぞれのゾーンで他者の
身体から発せられるシグナルを入力し、意識的・無意識的にそ
れに基づいて行動するとしている。この入出力のパターンに各
文化の顕著な特徴が現れているようです。国籍の違う者の接触
はその違いを浮き彫りにし、しばしば摩擦や誤解、戸惑いや疎
外を生む。都市計画においてもこの距離感の概念を取り入れる
べきであるという指摘もしており「健全な密度、健全な割合で
の相互活動、適切な量の接触、不断の民族的合一の感覚を維持
するような空間」を設計する必要があると著者は指摘します。
都市再開発で新しい集合住宅に移った人や災害により仮設住宅
に移り住む人々が生活困窮感を訴えたり孤独死を招いたりして
いるのはこれらのノウハウが反映されていない弊害の様です。

村田喜代子「偏愛ムラタ美術館発掘篇」を読了しました。著者
は個性を主張する絵画が好みのようです。本書は『一枚の繪』
の連載「続・気になる絵」を再構成して書籍化したものだそう
ですが、著者の独自の視点からの評価は”判らない”絵画を見
る時の参考になりそうです。うまいのか下手なのか、その絵の
どこが素晴らしいのか判らない様な絵画が世の中には溢れてい
ます。水越松南や松本竣介、横山操などの個性派が果たして天
才なのかどうかは判りません。著者が独特の視点を与えてくれ
ていることは確かです。                 

「週刊新潮」編集部(編)「黒い報告書クライマックス」を読
了しました。実際の事件をもとに書き下ろした読み物だそうで
すが、文庫で出版されるほど時間が経ってしまうと何の事件を
もとにしているのかさすがに判りません。元の事件が辿れるよ
うなヒントが示されていると今一段余計に興味を持って読む事
が出来そうな気がします。官能的作品全14編を集めた傑作選
です。全239ページという小冊子です。作者は常連の岩井志
麻子をはじめ桐生典子、杉山隆男、久間十義などです。   

白水社「エセー7」はモンテーニュの有名な著書である「エセ
ー」新訳の最終巻です。本書は、著者円熟の原本「第3巻」の
後半部にあたるそうです。「第1巻」・「第2巻」を刊行した
後、モンテーニュはドイツやイタリアへ1年半に及ぶ大旅行に
出かけ見聞を広げ、やがて宗教戦争が苛烈を極めた地元ボルド
ーに戻り、新旧両派の調停役としての市長職を5年にわたり務
めたそうですが、その経験の中から導き出した人間哲学が第3
巻に注ぎ込まれているとのことです。自己・人間・生死につい
ての徹底した観察と探究が、『エセー』の「真骨頂」と言われ
る第3巻においてより一層深められているのは、そうした背景
によるようです。「空しさについて」「容貌について」「経験
について」など特に引用されることの多い5編を収録し巻末に
は『エセー』7冊の全目次、および「モンテーニュ略年譜」が
付加されています。                   

宝島社文庫「「謎」「なぜ?」を科学する」を読了しました。
中々面白いです。20年程も前に売り出された本なので現在は
入手困難となっているようです。科学や常識はこの20年で目
覚ましく進歩していますので、既に常識では無くなっている話
題もありそうですが科学的な興味を掻き立ててくれる内容満載
の一冊です。話題の一部を抜粋して以下に載せておきます。 
ゴルフボールのデコボコにはわけがある          
左利き・右利きはどう決まる?              
ミツバチの巣はどうして六角形なんだろう?        
宇宙の果てはどうなっている?              
ヤマトを動かす超高速波動エンジンの謎          
空はどうして青いのか?                 
虹を真上から見たらどんな形になっているか?       

ルイス・キャロル(原作)の「不思議の国のアリス」が飛び出
す絵本として新たな装いで我々を楽しませてくれます。最近の
飛び出す絵本の技巧は精緻を極めており見事な作りとなってい
ます。前出の「恐竜時代」(ロバート・サブダ)も含めて出版
元の大日本絵画には感謝です。繊細な作りの本なので乱暴な子
に貸すのは遠慮したい所ですが、良い子には大いに見せてあげ
たい一冊です。物語のストーリーに合わせて仕掛けにも様々な
工夫があります。出版元の熱意が伝わって来る重厚な一冊です。

「骸骨考/イタリア・ポルトガル・フランスを歩く」は養老孟
司の骸骨ルポのシリーズ第二弾です。別に骸骨が怖いという訳
ではありませんが、西洋で骸骨を教会の室内装飾にしてしまう
という発想にはどうもついていけません。骸骨をどう見るかと
いう思想の問題に還元されるのかも知れませんが、おおよその
日本人はおそらくそのような教会に足を踏み入れた途端に荘厳
さは感じても違和感も感じずにはいられないような気がします。
もちろん著者の養老孟司は単に骸骨を見て回って感想を述べて
いる訳では無く、解剖学で培った分析的手法で西洋と我が国の
物の捉え方や思考的な違いを論じています。当然ながらそこが
この本の読みどころです。                

新潮文庫「黒い報告書インフェルノ」は『週刊新潮』の名物連
載物の文庫化シリーズの一冊です。愛欲と官能と金銭に絡んだ
男と女の下世話物の短編集です。本書は全292ページで17
編を収録しているので一遍が17ページ程という軽い読み物で
す。実際の事件からヒントを得て練達の執筆陣が描いた実録物
だけに官能溢れる読み物となっています。         

豊田有恒「一線を越えた韓国の「反日」」読了しました。韓国
通の著者が最近の韓国の異常な体質について解説しています。
文在寅政権は国際ルールを無視してまで日本叩きの政策を推進
しています。南北統一が文政権の夢の様ですがそれが韓国の為
になるとは到底思えません。北朝鮮への警戒感を喪失し、仮想
敵国を日本にし、ますます左傾化する韓国の実態に迫ります。
著者が言うには韓国に対しては今以上に事あるごとにはっきり
物を言う事が必要だと指摘しています。韓国の情報発信力は筋
が通っていなくても凄まじいものがあるのでそれに負けない程
に日本の言い分を韓国に対してそして世界に対してどんどん発
信すべきだと言っています。暴走を続ける中国に韓国がすりよ
るのは避けたい所ですが個人的には我が国としては当分の間、
韓国など相手にせず蚊帳の外に置いておけば良いのではないか
と思っています。韓国についての最近の唯一の救いは元徴用工
訴訟について韓国地裁が大法院の判決を覆し、日本企業への請
求を却下した事くらいです。少しは成熟してまともな国家にな
って欲しいものです。                  

田辺聖子「苦味を少々・399のアフォリズム」はタイトル通
りの名言、箴言、警句集です。これまでの膨大な著作から厳選
した名言集となっています。そうは言っても男女関係の事が殆
どで、人生とはといった苦みの効いた警句というようなものは
ありません。ラ・ロシュフコーの箴言集や「エセー」などに比
べると苦みも苦笑いもぬるく感じられます。        

ヘンリー・S.ストークス「新聞の大罪」は2020年発行の
新書です。著者は日本取材歴半世紀、知日派の英国人記者だそ
うで、既に齢80歳を越えているようです。日本の「大新聞」
である朝日や毎日、NHKをはじめとする報道機関がいわゆる
偏向報道を繰り返していることは櫻井よしこ、山正之、ケン
ト・ギルバートなどの著作を見れば明らかですが、最近は更に
エスカレートして、重大な真実から目をそらす「スピン報道」
なる言葉まで取りざたされているようです。「ファクト」を殺
す新聞の傲慢さは近年のインターネットの発達でその「正体」
が暴露されて来ていますが、未だに多くの人がそれらメディア
を信じており日本社会に大損害を与え国益を損ない続けていま
す。しかし「権力の監視」を大仰に喧伝した偏向報道はいまや
報道の自滅をも導こうとしています。「本当のことを言えない
日本の新聞」の真実を明らかにしようとする一冊です。目次は
以下の通りです。                    
第1章 「横並び」の新聞報道は、国民の敵である     
第2章 長年情報戦に負けていた日本           
第3章 昭和の大新聞の病根を暴く            
第4章 日本の大新聞はなぜ、「大誤報」に沈黙するのか  
第5章 一部の民意を総意にする偏向報道         
第6章 真実を伝えない新聞は、万死に値する       

ロバート・サブダ「恐竜時代」はいわゆる飛び出す絵本です。
随分前に購入した本ですが今回、恐竜関係の図録や解説書を見
るのに合わせて恐竜シリーズとして開封してみました。さすが
の出来栄えです。各ページの中にも更なる仕掛けを多数含んで
います。立体的な恐竜辞典のようになっています。恐竜好きの
方にはお勧めです。次に仕掛け絵本を購入するなら『不思議の
国のアリス』にしようと思っています。ネットで見た空中に舞
うトランプは一見の価値がありそうです。このような豪華仕掛
け絵本は本の天の部分が広くホコリが溜まりやすいので保管は
埃の立たないような部屋がお勧めです。因みに、本の各部の名
称は帯、カバー、見返し(遊び)、とびら、のど、背、しおり
(スピン)、天、地、小口などです。           

原田マハ「美しき愚かものたちのタブロー」読了です。本書は
2年ほど前に発行された近刊です。日本人のほとんどが本物の
西洋絵画を見たことのない時代に、日本に美術館を創りモネ、
ルノワール、ゴッホなどの西洋絵画を日本の若者に見せたい一
心で生涯を懸けてロンドンとパリで絵画を買い集めた不世出の
実業家である松方幸次郎、その意思を継ぐ美術史家の卵・田代、
戦時下のフランスで絵画コレクションを守り抜いた孤独な飛行
機乗り・日置ス三郎、そして日本の敗戦とともにフランス政府
に接収されたコレクション返還に尽力する首相・吉田茂。これ
らの人々の動きを通して“松方コレクション”が集結し国立西
洋美術館設立にまでこぎつけた軌跡を描く奇跡の物語です。 

山正之「朝日は今日も腹黒い」は週刊新潮の名物コラム集「
変見自在」シリーズの第11弾です。日販の商品解説には以下
のように紹介されています。『下山事件では古畑鑑定を鵜呑み、
全日空羽田沖墜落事故では山名説を盲信し、日露戦争を曲解す
る。「地上の楽園」キャンペーンに、美濃部都政の無策には頬
被り、自作自演の落書き珊瑚。慰安婦の捏造報道、福島作業員
脱走の虚報。嘘がばれても御用学者で固めた第三者委員会で躱
し、東大と白人に靡き、歴史を直視せず、国益毀損を励行する。
そんな大新聞への熱いエールに満ちた人気コラム集。』   
ついでに各章立てについても記しておきます。       
第1章 朝日の正しい読み方教えます(米国は「原爆で日本人
虐殺」を誇りに思っている;朝日に載る「権威」はここまでウ
ソだらけ ほか)                    
第2章 本当にズルい国を見分けるために(「8月9日」を米
国人はどう思っているか?;安倍談話に噛みつく輩の本音ほか)
第3章 朝日が書かない本当の歴史(京都に原爆が落ちなかっ
た本当の理由;今こそ真珠湾攻撃から学ぶこと ほか)   
第4章 お隣の国も相変わらずで…(日本人にあって韓国人に
絶対ないもの;裁判所が認めた「米国の権威は他国の主権を超
える」ほか)                      
第5章 とかくこの世は嘘ばかり(フジモリ娘が大統領になれ
なかったのは;聞いた話だけで記事を書くとこうなる ほか)

岩波文庫「墓標なき草原(下)」読了です。非常に重たい内容
の本です。この本は今に続く中国によるモンゴル族に対する迫
害の実態を綴った記録ですが、この本から読み取れる教訓は多
くあります。(1)この本はモンゴルの悲劇を生き残った関係
者の証言や著者の綿密な追跡調査によって綴ったものですが、
「モンゴル」を「新疆ウイグル自治区」や「チベット」更には
「香港」に置き換えてもそのまま通用してしまう実態は隠し切
れません。まったく同じパターンが今も繰り返されています。
(2)悲劇の根本は中国漢民族の果てしない領土拡大という野
望、民族性にあるものと思われますが、それを世界の大国が自
国の利害関係に基づいて支援したり非介入(所謂黙認)したり
政治介入の為の談合(ヤルタ協定など)したりしていることに
も大きな原因があります。経済的には大国の仲間入りをしたか
に見える我が国は思想的、政治的には米国による戦後の洗脳政
策から脱出出来ていないため国際的な政争には全く役立たずの
ままです。これにはアメリカが戦後政策を転換しないことも大
きな足かせとなっています。(3)中国の領土拡大戦略は綿密
な計画に基づいて推進されており最大限の警戒が必要です。行
き当たりばったりの我が国とは対照的です。中国は甘言、奸計
、軍事力、何でもありです。およそ攻撃側と防衛側を比べた場
合その難易度や費用などは防衛側が数倍から十数倍不利と言わ
れています。民主国家群も場当たり的な防衛体制だけではなく
戦略的で組織的な攻撃態勢を早急に整備する必要があります。

谷沢永一「教養が試される341語」を読了しました。章ごと
に人生の機微に関する言葉、人生の機微を表現する言葉、男と
女をめぐる言葉、暮らしを伝える言葉などを取り上げて説明を
加えています。「人中が薬」「奇貨とする」「やんぬるかな」
「遺憾に思う」「綸言汗のごとし」「圭角がある」「虎が雨」
「解語の花」など世間普通の日常生活ではあまり目にしたこと
がなかったり聞いたことはあるけれどはっきりとした意味は知
らない言葉などが取り上げられています。どんな時に使うのか
言い回しやどのような歴史的由来に基づいていて、どんな意味
を含んでいるかが紹介されています。我々一般人が使ったりす
ると浮いてしまうような語彙が多いですが少し背伸びして勉強
したいという方には良い教養テキストになるかと思います。巻
末の索引は辞書の替わりに使う時に役立ちそうです。    

吉野裕子「ものと人間の文化史39・狐」読了です。サブタイ
トルは「陰陽五行と稲荷信仰」です。狐信仰や中国の九尾の狐
などからの影響を解き明かすために、狐の生態学の研究、各地
の伝承や文献の渉猟などを行い、中国古代哲学=陰陽五行の原
理の応用という独自の視点から、謎とされてきた稲荷信仰と狐
との密接な結びつきを解き明かそうとする意欲作です。この本
は「ものと人間の文化史」というシリーズ本の一冊ですがこの
シリーズは既に130巻以上にのぼる大シリーズです。今回は
「狐」ですがシリーズは多岐にわたっています。以下に何例か
を上げておきます。「歯」「遊戯」「柿」「松」「漆」「鱈」
「醤油」「温室」「人魚」「城」「結び」「梅干し」「藍」 

「恐竜博2019図録」は国立科学博物館で開催されていた恐
竜博の公式図録です。A4版183ページ、2200円です。
近年、恐竜の研究が進んで鳥が恐竜の末裔であることはほぼ間
違い無いと言われています。化石を見ただけでは生きていた時
の色までは通常判りませんが、それでさえも最近の研究では羽
毛の構造色を電子顕微鏡を使って類推出来るようになっている
そうです。恐竜の雄雌の識別や子育ての状況など最新の知見が
満載の図録です。ほぼ全身の骨格が見つかったむかわ竜につい
てはその発掘の経緯や全身骨格写真も含め詳細に記載されてい
ます。恐竜についての蘊蓄を語りたいなら必読の書です。  

砂原浩太朗「高瀬庄左衛門御留書」は多くの人から絶賛されて
いる時代小説の近刊です。藤沢周平を彷彿とさせる様な巧みな
筆致で生きることの喜び、悲しみ、諦め、優しさ、希望の全て
を織り込んだ物語は穏やかで、静かに、力強く描かれています。
主人公は神山藩で郡方を務める高瀬庄左衛門です。50を前に
して妻子を失い息子の嫁とともに、寂寥と悔恨の中に生きてい
た庄左衛門はふとしたきっかけで藩の政争争いの渦中に巻き込
まれそこから波乱の物語が展開していきます。共に生きた朋輩
との再会にも人生の悲哀が影を落とします。        

「週刊新潮」編集部による「黒い報告書肉体の悪魔」読了です。
実際に起きた事件を素材にエロティックに読み物化した『週刊
新潮』の連載アンソロジーです。週刊誌三面記事の総集編とい
った体の軽い読み物です。執筆陣は常連の岩井志麻子をはじめ
深笛義也、杉山隆男、睦月影郎、久間十義、勝目梓などです。

北村雄一著「三葉虫マニアックス」は1年程前に発売された比
較的新しい本です。三葉虫は約3億年にわたって栄え、そして
絶滅していった節足動物ですが、その種類は1万種もあると言
われています。この本には豊富なカラー写真とともに三葉虫綱
9目の特徴と見分け方が示されています。三葉虫マニアなら知
っておきたい三葉虫の基礎知識から日本の三葉虫の化石、化石
販売のプロに聞いた三葉虫のQ&Aなど情報満載です。とは言
っても三葉虫の分類は大変難しいそうです。分類の決め手とな
る腹側は軟組織しかないため化石には殆ど残らず専ら甲羅側の
ひだの数や形状などが決め手のようです。この本はもしかした
ら三葉虫が好きになれるきっかけを与えてくれる一冊になるか
も知れません。お勧めです。各種の三葉虫を見ていて個人的に
は長い眼柄を持つアサフス目の種類や発達した複眼を持つファ
コプス目などは欲しい化石ベスト10に入りますが博物館級の
美品は何と100万円クラスの値段です。         

岩波文庫「墓標なき草原(上)」は今に続くモンゴルの民への
歴史的な迫害の実態を綴った衝撃の書です。以下商品解説です。
他地域に先がけて文革の火蓋が切られた内モンゴルでは、かつ
て日本統治時代に教育を受けた者たちが「内モンゴル人民革命
党」一派として粛清され、階級闘争論によって漢族による草原
の開墾とモンゴル族の迫害が正当化され、略奪と殺害がエスカ
レートしていった。知られざる草原の悲劇の実態を、体験者の
証言を軸に克明にたどる。第一四回司馬遼太郎賞受賞。   
今回は全二巻の内の上巻を読み終えました。日本も絡む歴史的
な背景があるとはいえ、漢民族という民族固有の意識から生み
出される悲劇は果てしがありません。           

「福井県立恐竜博物館展示解説書」は同館発行の展示解説書で
す。A4版オールカラー、218ページ、1600円というお
買い得な一冊です。「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴
史」の三部構成で、展示に対応して詳しく解説されています。
子どもから大人まで楽しめる、恐竜博物館の魅力が凝縮された
一冊です。博物館に展示された40体以上もの恐竜の骨格をは
じめとする標本の写真や、解説のための図が豊富に載せてある
ので博物館の展示状況がよく判るとともに、恐竜や地質・古生
物学の知識を得ることが出来ます。この本をみれば日本と世界
の恐竜の化石の産地や生息年代などがよく判ります。なお、こ
の本を見ても見ていなくても「福井県立恐竜博物館」は行って
損の無い博物館です。                  

マンガ本「#神奈川に住んでるエルフ1」を読了しました。埼
玉県をディスった漫画「翔んで埼玉」の神奈川版といえば判り
易いかも知れません。横浜駅に良く訪れる人は第一話からとて
も共感出来るのではないかと思います。行くたびに駅周辺の通
路が変更になっていて戸惑われている方も多いと思いますが、
そんな主人公エルフの嘆きからこの物語は始まります。   

3度目の緊急事態宣言により4/13から始まっていた東京国
立博物館で開催中の「国宝鳥獣戯画のすべて」がコロナの影響
により臨時休館となっていましたが5/30で会期が終わりま
した。「鳥獣戯画展」は2015年に見に行っていますが今回
は甲乙丙丁の全巻が史上初めて同時公開されるということで気
にしていましたが、新型コロナは容赦なく人々の折角の楽しみ
を奪い去ってしまいます。東京開催という事で当初から出掛け
るのは難しいとは感じていましたが、こんな形で中断されると
は予想していませんでした。そういえば前回の「鳥獣戯画展」
を見て気になって購入した小学館刊行の『鳥獣人物戯画』が自
宅本棚で眠ったまま未開封だった事を思い出しました。博物館
に行けない代わりにこの度開封してみました。この大判の図版
は甲巻、乙巻が何と原寸大という優れものです。そのため当時
の金額で税込み43200円という超豪華本です。甲乙丙丁合
わせた解説書が付いて全3巻セットで箱入りです。12〜13
世紀に描かれた書物なので既に800年程も経っているので博
物館で本物を見ている分には当然シミなどは気になりませんが
複製画を間近で見ると気になって仕方がありません。原本にシ
ミがあれば複製画にも当然シミがあることになりますが綺麗な
複製画を期待してしまいます。不思議なものです。     

「週刊新潮」編集部(編)による「黒い報告書」シリーズの一
冊である「黒い報告書エクスタシー」を読み終えました。男女
の愛憎劇を描いた下世話物ですが、ドキュメンタリー風の迫真
の描写技法は見事です。一話読み切りの短編集です。    

文一総合出版「オトシブミハンドブック」はポケット版の図鑑
です。そもそも「オトシブミ」って何という人やオトシブミと
いう昆虫を見たことの無い人には縁のない図鑑ですが、この様
なマニアックな図鑑が数多く出版されていることが日本の自然
科学に対する研究者の層の厚さを如実に表しています。日本産
オトシブミとチョッキリ全種掲載です。生物多様性を口にする
人も有名な絶滅危惧種ばかりに言及するのではなくこのような
本もよく見ておく事が大切かと思います。         

作家、画家、チェリストという3つの顔を持つ奇才、山口椿の
「ドラッグストア」読了です。何と薬物にも造詣が深かった事
がこの本で判りました。レセルピン、レシナミンからトリカブ
ト、果ては猫いらずまで、ドラッグの魔力と危険を解き明かし
貧乏ゆすりや拒食症などの内奥に潜む情動を解析する。<リビ
ドー「性衝動」>と<アムビヴァレンツ「両面価値」>をキー
ワードに繰り広げる奇々怪々なクスリワールドです。現在は紙
の書籍は品切れで電子書籍しか入手が出来ない様です。この本
も挿絵なども含めて著者独特の世界を形成している一冊です。
商品解説にある目次を参考までに載せておきます。     
・降圧剤で覚醒する不思議な感覚             
・飲めば錯乱、飲まなきゃ地獄              
・精神神経を侵す劇薬の誘惑               
・異常性欲促すステロイド剤               
・だれにでもある消化器官の微かな傷           
・血のめぐりがよくなるライ麦のカビ           
・責めて知る乳房のカタルシス              

文潮出版「語源おもしろブック」は自宅の本棚整理で出てきた
本です。大昔に一度読んでいるはずですが管理表に載っていな
かったので読んでみました。昔から興味は変わっていないのだ
なあということを改めて感じました。このような雑学自体は古
びることがないのですが、時代が進むにつれて昔使われていた
言葉自体が使われる事が少なくなってしまい、その語源まで遡
って蘊蓄として覚えておく必要性もなくなっているものが多く
散見されます。歳を取るのも寂しいものがあります。    

「日本の分断」は2021年2月発行の三浦瑠璃の新刊です。
国際政治学者である著者の持ち味は明晰で物怖じしない発言、
冷静さ、公平性にありますが、この本でもその良さが生かされ
ています。政治はなぜ変わらないのか?独自の価値観調査が明
かす日本人のホンネ。「分断と言われる時代」に日本政治が取
り組むべき真の争点とは?経済政策は選挙結果と関係がない?
実は外国人に寛容?男女平等は世代を超えて支持?日本人が求
める「平等」と「競争」とは?など著者が代表を務める山猫総
合研究所の調査をベースに様々な論点で語られます。山猫総合
研究所で調査した診断ツール(アンケート)はHP上で公開さ
れており自己診断が出来ます。自分が保守なのかリベラルなの
か、経済重視なのか福祉重視なのかなど自分を冷静に評価する
ための診断結果が得られます。余裕のある方は本書を読む前に
是非お試し下さい。公称1分、5分もあれば余裕で診断結果が
出ます。その結果を踏まえた上で本書を読むとより楽しめると
思います。読後にアンケートを行うと本の内容に影響されるお
それがありますので注意が必要です。           
本書の章立ては以下の通りです。             
第1章 日本人の価値観と分断              
第2章 野党の政権交代戦略               
第3章 「分を知る」をとるか「進歩」をとるか      
第4章 人びとの本音と建前               
第5章 日本社会の価値観はどのように変わるのか     
第6章 保守と革新の分断を探る             
第7章 日本の分断                   

この所、休みの日に天候が悪くて出掛けられなかったり、見た
いテレビ番組が無かったりして平日の時間の余裕が増えて本を
読む時間が増えました。週に3〜4冊も読み終えてしまう事も
あります。新しい本棚を設置した事もあって本の整理がてら買
ったまま未読になっていた本を多く読んでいます。本が増えて
来ると昔買った本が段々と隅に追いやられてしまいつい最近買
った本ばかりが手近な場所に置かれる事になります。この循環
を繰り返すといつの間にか未読本があちこちに散在する結果と
なります。管理表上では現在、未読本が670冊くらいある事
になっているので目当ての未読本を探し出すのも大変です。 

白水社「エセー6」読了です。ご存じミシェル・ド・モンテー
ニュの有名な著作です。原本の「第三巻」に当たるようです。
性愛、結婚・恋愛について赤裸々に語った「ウェルギリウスの
詩句について」や「役立つことと正しいことについて」「後悔
について」「気持ちを転じることについて」「話し合いの方法
について」など8編が収録されています。         

いつ買った本かも判らない程寝かせてしまっていた本ですが再
度「こども将棋入門」を手に取ってみました。永世十段の中原
名人による将棋の入門書です。将棋は子どもの頃にやった切り
ずっとやっていませんが、駒の動かし方のルールも忘れて来て
やばいと思ってこの本を購入したような気がします。そういう
人には持って来いの入門書です。懇切丁寧に教えてくれます。
将棋発祥の簡単な歴史、駒の名前と動き、ルール、駒を上手に
使う『手筋』、玉の囲い方と種類、実戦に挑戦という章立てで
遺漏がありません。みなさん駒の動かし方はちゃんと覚えてい
ますか。金、銀が動ける場所、成銀、と金が動ける場所などを
すぐに言えますか。桂、香、龍、馬、全、圭、杏などどれが何
の裏なのか正しく子どもに教えられますか。不安のある方には
このような入門書がお勧めです。読んでみてそう言えば購入し
た時に一応読んで各章末にある詰将棋をやったのを思い出しま
した。                         

週刊新潮の超辛口コラム「変見自在シリーズ」新潮文庫第10
弾は「習近平と朝日、どちらが本当の反日か」です。山正之
の解説はまさに「簡にして要を得る」コラムとなっています。
僅か数ページの短いコラムの中に言いたい事、過去の歴史背景
、民俗対立意識などが明示されているだけでなく、マスコミの
報道姿勢を的確に指摘するという芯の通ったコラムとなってい
ます。情報満載の各編にはまったく当たり外れがありません。
どの一文でも読んでみる価値はあります。2004年から20
05年頃の出来事を捉えた時事コラムですが少しも古びる事無
く逆に実はそういう事だったという驚きの実情が判ります。 

かなり昔に読んだはずの本ですがその後、自宅本棚に見当たら
ず行方不明になっている本が何と50冊以上あります。阿刀田
高「ことば雑学ブック」もそんな一冊です。最近やっと資料の
合間から見つけて読み直してみました。古今東西の言葉遊びネ
タを集めた本です。日本語の奥深さ、同音異義語の多様さなど
を改めて意識させられる一冊です。日本文化の誇れる一面だろ
うと勝手に思っています。好きなジャンルの雑学です。   

山正之の「歪曲報道・巨大メディアの「騙しの手口」」読了
です。変見自在シリーズの総集編の様な構成になっているので
これまで山正之の著作に触れたことの無い人には入門編とし
て好適です。世界は邪悪に満ちています。また国内もその手先
の様なメディアが跳梁跋扈しています。しかし国内の多くの新
聞、テレビなどの巨大メディアはそのような報道は決してして
くれません。真に正しい情報はどれなのか自ら考える為のきっ
かけを与えてくれる一冊です。多くの人に読まれるべき本です。
商品解説がその内容をあからさまに語っています。『日本人を
貶めるためなら、事実の歪曲どころか歴史の捏造さえ厭わない。
それが巨大メディアの正体だ。殺人鬼を野に放ち更なる犠牲者
を出した朝日新聞と共同通信。カルト教団に取材テープを見せ
無辜の命を奪ったTBS。ついに白日の下に晒された、吉田清
二による「従軍慰安婦狩り」証言のウソ……。ニュースには、
必ず偽物がまじっている。反日ジャーナリズムの欺瞞を暴く、
驚愕の書。』                      

宮部みゆきの三島屋変調百物語シリーズ第七巻「魂手形・三島
屋変調百物語七之続」読了しました。実は第六巻の「黒武御神
火御殿」は未購入・未読のままです。このシリーズはいわゆる
百物語の様な市井にある不可思議な話を口入れ屋を介して紹介
してもらい袋物屋である三島屋の主人公が聞き語りするという
趣向のものです。この本には火焔太鼓、一途の念、魂手形の3
話が収められています。                 

産経新聞社刊「産経新聞と朝日新聞」は産経新聞元論説委員長
の吉田信行氏が戦後マスコミ界の裏面史を綴ったものです。言
わば公式の場での朝日新聞との対決の書です。珍しい形です。
戦後70年も経って未だにマッカーサーの残したWGIPに縛
られた偏向報道を繰り返す朝日やNHKを尻目に「極左も極右
も排す」真の自由主義姿勢を貫く日本で唯一ともいえる新聞社
である産経新聞からの挑戦状です。内容はそんなに過激ではな
く物足りませんがじっくり読んでみる価値のある一冊です。 
同じ批評でももう少し直接的な事例や過激さを求めるのならば
櫻井よしこや山正之、ケント・ギルバートの著作が参考にな
ります。                        

寡作な作家である原ォのハードボイルド推理小説の最新作「そ
れまでの明日」を読了しました。時間を掛けて作っているから
緻密な作品に仕上がっているのかどうかは判りませんが、人物
造形、物語の背景描写、ストーリーなどがすんなりとに把握が
出来て非常に読み易い上質なサスペンスが心から楽しめます。
もっと沢山の作品を提供して欲しい所です。特に今回の作品で
は依頼者の訪問から間を置かずに物語が急展開してストーリー
に一気に引き込まれていきます。無理のない展開は絶妙です。
後半では思いもかけない展開によって真実が徐々に明らかとな
っていきます。日本では珍しいハードボイルド調の小説です。

週刊新潮の超辛口コラム「変見自在シリーズ」新潮文庫第9弾
は「ロシアとアメリカ、どちらが本当の悪か」です。しかしこ
の本は既読のハードカバー「プーチンよ、悪は米国に学べ」の
焼き直しでした。養老孟司の本でもよくありますが文庫本にす
る時にタイトルを変えるのは止めて欲しいものです。ネットで
購入する機会が増えた最近ではそこまで説明を読み切れません。
今回は買ってしまった事だし仕方なしにもう一回文庫で読み直
しをしました。この本は我々が読み流してしまっている世界情
勢の裏側をきっちりと解説してくれるとても為になって判り易
いニュースソースです。                 

大判の昆虫写真集「ゼフィルスの森」を先日読み終えたばかり
ですがもう一冊、買った後に平積みで寝かせたままだった福音
館書店「世界昆虫記」今森光彦著をやっと発掘して来て読み終
えました。長い間放置していた所為もあって残念なことに白い
紙のあちこちに細かい黄ばみが出ています。古本としての価値
は9割減といった所です。黄ばみの原因は紙の質(リグニン)
にもよる様ですが、酸化、紫外線、湿気、ほこりなども大敵な
ようです。さて、この本の内容ですが著者が世界各地を巡って
写した昆虫写真そのものです。種の多様性という言葉が写真と
はいえ圧倒的な色彩、形態、生態として実感出来ます。冗長な
説明はまったくありませんので図鑑感覚で眺められます。持ち
重りする大部の写真集です。購入時の定価は4900円です。
なお、この本は説明の主な漢字にふりがなが振ってあります。
と言うことは子どもがターゲットであると言うことですが贅沢
な子ども向け図鑑です。掲載されている昆虫は選りすぐりの豪
華種ばかりで綺麗な生態写真満載でマニア垂涎の写真集です。

世間では5月連休ですが個人的には仕事柄、あまり連休になっ
ていません。それでも他の月より休みが多いので天気の悪い休
日には本棚の整理などを行っています。既に蔵書(といえる程
のものではありませんが)が5000冊を越え本棚が10個以
上あるので行方不明になるものがどうしても1%くらいは発生
します。売り切れを心配して買ったきり溜め込んでいる本が1
割ほど、間違えて重複して買ってしまった本が20〜30冊位
あります。読んだ端からどんどん忘れていくので大いなる無駄
かも知れませんが読みたい本はまだまだ無くなりません。因果
なことです。未読本には分厚な全集やら図鑑や辞書も含まれま
す。平均して年間で100冊程度しか読めませんので新刊本を
買わなくても未読本だけでまだ10年は読み続ける事が出来る
勘定です。このご時世だとAmazonなどのネットでヒット
しないような本が稀覯本の可能性のある本かも知れませんが単
に古いだけで誰も欲しがらないという本が多く自宅本棚からは
お宝となりそうな本はなかなか発掘出来ません。      

「ゼフィルスの森」は大判の写真集です。多くの蝶の愛好家に
好まれているゼフィルスはミドリシジミ族の小型の蝶ですが、
この蝶の生態写真、全25種の地域分布、棲息環境、進化系統
から越冬卵の写真までがこの本には詳しく掲載されています。
なかなか平地で見掛けることの無い蝶なので私などはまだ一頭
も捕まえた事はありませんがこの本が貴重な一冊であることは
確かです。                       

西丸震哉「滅びの大予言」読了です。購入してから既に20年
以上が経ってしまいその間に著者も亡くなってしまいました。
個人的には著者の面白いポンチ絵の文庫シリーズが気に入って
いましたがそれも遠い昔となりました。この本は結構真剣に人
類滅亡のストーリーについて語っています。農薬、ダイオキシ
ン、遺伝子、地震、紛争、地球寒冷化、環境ホルモンなどなど
あらゆる問題に対して科学的な知見をもとに論じています。現
時点で既に当たっていないと思われるストーリーもありますが
科学的でない地球温暖化などがまことしやかに信奉されている
現代だからこそ一傾する価値があるように思えます。    

ジェフリー・ディーヴァーの文庫最新作「オクトーバー・リス
ト」を読み終えました。36章から始まるという挑戦的な構成
の推理小説です。この事件はどのように決着するのだろうとい
う大きな謎を残したまま、事件は章ごとに時間を遡っていきま
す。俯瞰でぼんやりした景色を見ていたものが段々に明確にな
っていき最後の2章まで来てやっとどんでん返しともいうべき
全貌の構成がクリアになります。なかなか壮大な仕掛けです。
新しいサスペンスとして楽しめる一冊です。        

このコーナーでは度々紹介していますが岩谷テンホーの四コマ
漫画「大盛!!みこすり半劇場」はちょっと下ネタで笑わせて
くれる優れ物です。最新作は「大盛!!みこすり半劇場反撃」
です。早めに買わないと品切れとなって手に入らなくなります
のでくれぐれもご注意下さい。大いに笑って新型コロナに対す
る免疫力を上げましょう。                

「週刊新潮」編集部による「黒い報告書」シリーズの嚆矢とな
る一冊が、その名の通り新潮文庫「黒い報告書」です。文庫の
初出は2008年です。事件や犯罪をテーマとしたどちらかと
いうと煽情的な読み物の多い掌編集ですがこの当時の執筆者が
凄いです。城山三郎、新田次郎、岩井志麻子、高山文彦、内田
春菊、重松清、中村うさぎ、ビートたけし、水上勉など一流ど
ころが揃っています。「週刊新潮」連載時の往時の熱狂の程が
伺えます。                       

小松睦子/ことば探偵団「知ってるようで知らないものの数え
方」読了です。皆さんは蝶々を一頭と数えていますか。たとえ
判っていてもなかなか蝶々が一頭、蝶々が二頭とは言いにくい
ですが、この本ではそんな数詞についての言葉遊びをポンチ絵
とともに紹介している本です。蝶々、贈り物、山、本棚、櫛、
浴槽、羊羹、暖簾、箪笥、襖、ピラミッド、額、仏像など多岐
に亘るものについての知らない数え方を教えてくれます。併せ
て数にまつわる豆知識として億、兆の上の大きな数の単位や小
さな単位、十干十二支、二十四節気なども掲載されています。

週刊新潮の名物コラム集「変見自在」シリーズの第8弾となる
「マッカーサーは慰安婦がお好き」を読了しました。2013
年8月に刊行されたものです。外国信仰による弊害、被害を多
くの具体的な事例に則して提示してくれています。中国、ロシ
ア、北朝鮮ばかりでなく米国の酷さについても明示されており
目から鱗の話題も満載です。このシリーズは面白いです。  

サンリオのカラー文庫「ユニコ」は手塚治虫の作品です。過去
に読んだ本ですが管理されていなかった本だったので行方不明
になっていたものです。久々にほっこり出来ました。    

アンドリュー・パーカー著「眼の誕生・カンブリア紀大進化の
謎を解く」は生物の進化に興味のある人には楽しく読むことが
出来る一冊だろうと思います。5億4千万年前〜5億3千万年
前のカンブリア紀にはほぼすべての動物門が一斉に出現してお
りカンブリア大爆発と呼ばれていますが、大進化の理由は判っ
ていません。この本の著者によれば5億4300万年前、生命
最初の「眼」の出現がすべてを変えたと言います。眼を持った
生物よる淘汰圧の高まりをあげた「光スイッチ説」を提唱して
います。この時期、生物の歴史上はじめて眼を持った生物(三
葉虫)が生まれ、積極的に他者を捕食することによって眼を持
っていない生物に対して有利となった。眼と硬組織を獲得した
生物がその捕食に対抗できるようになったという説です。その
ために化石記録は短期間で爆発的に多様化したように見えると
いうことで、著者はカンブリア爆発を「多くの門が同時期に一
斉に硬組織を獲得した現象」と推定しています。因みに正しい
像を認識できる眼の進化には40万世代、50万年もあれば十
分だそうです。これは地質学的時間尺度からみれば瞬時です。
本書の難点はハードカバーで分厚く冗長なことです。我々一般
人向けには余分な説明を省いた新書版位で十分な内容です。 
何年か前にミネラルショーに行った際に三葉虫専門業者が出品
していた極美の三葉虫の化石を見たことがありますが、三葉虫
はトンボのような複眼をしています。100万円程でした。 

山正之「偉人リンカーンは奴隷好き」 読了しました。変幻
自在シリーズの第5弾です。2008年から2009年に掛け
て「週間新潮」に掲載された巻末コラムをまとめたものです。
発掲載から10年以上経っていても少しも内容が古びていませ
ん。多くの方にお勧めしたいシリーズです。        

山正之「サンデルよ、「正義」を教えよう」及び「日本よ、
カダフィ大佐に学べ」読了です。変見自在シリーズの第6弾と
第7弾です。日本の主な新聞、放送業界、教育で教える歴史全
てがこの本で解説している内容と大きな乖離があります。この
本がトンデモ本であってくれればまだ救いはありますが現実は
所謂世間にまかり通っている常識の方に問題がありそうです。
この著者の発言は櫻井よしこの著作やケント・ギルバートなど
の著作などとも内容に齟齬はありません。戦後70年も経って
いるのに世界の邪悪さも日本の柔弱さもまったく変わっていま
せん。世界では自国に都合の良いように大嘘の歴史を教えてい
る国が多いですが、逆に日本はマスコミを中心として自虐史観
に染まった嘘の歴史を拡散し続けています。日本はもっと正論
をはっきり言えるように正しい歴史教育をしていくことが必要
です。このシリーズはそんな端緒となる近現代歴史感を教えて
くれます。                       

土屋賢二「人間は笑う葦である」が長い間自宅で行方不明にな
っていましたが15年振り位にやっと見つかりました。早速読
んでみましたがやはり近作よりもこのような初期作品の方が笑
いも濃縮されているような気がします。未見の方にはお勧めの
一冊です。                       

山正之「ジョージ・ブッシュが日本を救った」は週刊新潮に
連載中の辛口コラムの第三弾です。今回も商品解説を載せてお
きます。『日本の悪い奴らは誰か。無能な議員たちが国益を毀
損したかと思えば、役人は涜職と役得に日夜邁進し、大朝日新
聞は売国的偏向記事を垂れ流す。過去の歴史を歪め、大陸・半
島に便宜をはかる権力亡者どもに、国家国民の安寧は維持でき
るのか?貪官汚吏と羽織ゴロが隠しておきたい不都合な真実を
暴き、常にこの国の正しい価値を伝える章タイトルは以下の通
りです。』                       
第1章 朝日よ、ウソもほどほどに            
第2章 外交に信頼という文字はない           
第3章 支那には飴より鞭がいい             
第4章 下僕の意味を忘れた役人たち           
第5章 国を売る悪趣味                 

山正之の時事評論「変見自在」シリーズ第4弾となる「オバ
マ大統領は黒人か」を読み終えました。このシリーズを読んだ
事の無い方には是非一度手に取ってみて戴きたいシリーズです。
今まで朝日新聞を愛読していた人も見方が変わるかもしれませ
ん。短いコラムの集まりですのでどこを開いてみてもその言わ
んとすることはすぐに判ります。多くの啓示を含んだ話題ばか
りです。章立ては以下の通りです。『巷にはびこるウソ』『歴
史はこうしてねじ曲げられる』『世界に憚る劣悪国家』『白人
はそんなにエラいのか』『善意は何も救わない』      

誰もが何度かは目にしているであろう「鳥獣人物戯画」の中の
人物を除いた鳥獣戯画についての論考が「鳥獣戯画のヒミツ」
です。登場するウサギ、サル、ヒキガエルにはどのような意味
があるのか、泳いだり、祈ったり、相撲を取ったりしている事
に意味はあるのかなど我々が普段考えていないような視点で考
えるのが学者なのでしょうね。次に見るときの予備知識として
知っておくと少し余計に絵が楽しめるかも知れません。難とし
ては全体的に字が多くて飽きてしまう可能性がある事です。 
歴史的な視点から実相に迫ります。            

「スーチー女史は善人か」は山正之の時事評論「変見自在」
シリーズ第2弾です。商品解説は以下の通りです。『世界は偽
善に満ちている。欧米列強は我こそ“正義”という面をしなが
ら私欲のために世界を操り、中国は持ち前の狡賢さでアジア諸
国を丸め込む。国民を再教育するために“誠実”な報道をする
“一流紙”朝日新聞と、公然と詐欺を働き国家を貶める陋劣な
役人ども−日本の行く末はどうなってしまうのか。週刊新潮を
巻末から開かせる超辛口コラム文庫化第二弾。世界の見方が変
ります。』                       

星新一「きまぐれ学問所」読了です。およそニュースなるもの
は旬を扱うものなので少し経ったら誰もが忘れてしまい、剰え
報道した側も言いっぱなしで、不都合があっても何の責任も取
らず、評価もしないのが常です。星新一のユニークな所はそん
な昔の出来事やら番付などを何故そんなブームになったのかな
ど皆が気付かない視点で俎上に載せていることです。雑談集と
いったらそれまでですが、そこには学問の姿勢が感じられます。

「プーチンよ、悪は米国に学べ」は山正之の時事評論「変見
自在」シリーズ第9弾です。文庫では「ロシアとアメリカ、ど
ちらが本当の悪か」に改題されているようですが、気付かずに
両方を含めシリーズ本をまとめ買いしてしまいました。学校や
ニュースでは学べない歴史の真実を明らかにする『週刊新潮』
連載の超辛口名物コラム傑作選です。一話ずつが短いのでとて
も読み易い作りとなっています。話題はクリミア併合、マレー
シア航空機撃墜、ハワイ強奪の米国、ベトナム人大殺戮、朝日
放送の報道姿勢など多岐にわたります。特に本のタイトルにな
っているコラムはアメリカという国がどのような国なのかを判
り易く示してくれています。現在、日本でのアメリカの評価は
好意的なものが多いと思いますが、アメリカの二面性について
も十分に心しておく必要があります。その負の遺産の最大のも
のが我が国では日本国憲法や自衛隊、教育、世界に物申す事の
出来ない抑圧された精神性などに如実に残されています。  

山正之の時事評論「変見自在」の第一弾「サダム・フセイン
は偉かった」を読了しました。普段のニュースもこのくらい要
を得て簡だと皆、真剣にニュースを見るようになるだろうと思
います。そのようなTVチャンネルが1つ位欲しいです。この
時事評論シリーズは既に新潮文庫として10冊以上出されてい
ますのでお手軽に本屋で見ることが出来ます。先ずは是非立ち
読みしてみましょう。目から鱗の話題が目白押しです。   
中には少し前の話題なのに既に覚えていない話題などもあって
如何に世界は目まぐるしく変転しているのかと思わずにはいら
れません。その様な話題についてはもう少し詳しく書いておい
てくれたら良かったのにと思いますが、それはこちらが時事評
論なのに見るのが遅過ぎたためで仕方がない所でもあります。
本の紹介には以下の様にあります。『イラクを救った英雄サダ
ム・フセインをわざわざ倒し、再びアラブを混沌とさせたバカ
なアメリカ、ありもしない事件をでっちあげ、堂々と反日を推
進する朝日新聞、日本から多大な恩恵を受けておきながら、そ
れを何倍もの仇にして返す下劣な中国。世にはびこるまやかし
の「正義」とそれを持ち上げる無能なジャーナリズムを一刀両
断する「週刊新潮」の大人気辛口コラム待望の文庫化』   

スズメバチハンターの高嶋ちさ子は大好きでテレビではよく見
ていますが、そんな高島さんの本が出たということで早速購入
しました。小学館「ダーリンの進化論わが家の仁義ある戦い」
がその本です。どんな環境に育ったらテレビで見られるような
特異な性格、言動の名バイオリニストが生まれるのかと常々、
不思議に感じていましたが、この本を読んで納得です。女系の
祖母、母からの遺伝そのものでしたね。著者の言うように本の
タイトルが一番嵌っていて面白いのかも知れませんが中身も気
軽に読むのにはうってつけの読み物です。面白さはテレビ出演
時の高嶋ちさ子>本のタイトル>本の中身の順です。ちなみに
滝沢カレンの「カレンの台所」についていえば面白さはテレビ
出演時の料理のナレーション時の滝沢カレン>本の中身>本の
タイトルの順です。すべてが秀逸という事は無いようです。 

呉善花「「反日韓国」の自壊が始まった」は改めて韓国人と日
本人の違いを判り易く再認識させてくれます。韓国や中国と付
き合おうと思う人は読んで損は無い本です。話し合えば判ると
いうのは妄想です。国民性の違いをよく認識したうえで正しく
対応する必要があります。28年前の河野洋平に聞かせてあげ
たい内容が満載の一冊です。何の根拠もない河野談話のせいで
今日までどれだけ日本の利益が損なわれているか想像だに出来
ません。勉強は大切です。                

「ニッポンチ!国芳一門明治浮世絵草紙」は河治和香の最新作
です。国芳の娘2人と弟子たちの物語です。各章は次女の芳女
の語り口で主に回想される形を取っています。どこまでが史実
でどこからが創作なのか判らない様な見てきたような往事が綴
られています。各章の挿絵とともに国芳ファンには楽しめる一
冊に仕上がっています。弟子や孫弟子たちが明治の世をどのよ
うに過ごしていったのか、浮世絵ばかりで無く新聞の挿絵から
ポンチ絵、皮絵、千社札まで国芳一門が携わって来た生業から
生活の様子まで手に取るように描かれています。国芳、芳虎、
芳藤、月岡芳年、芳延、芳春、芳幾、芳宗をはじめ川鍋暁斎、
三遊亭円朝、大隈重信、松浦武四郎、仮名垣魯文などの人間模
様も生き生きと描かれています。             

山正之「コロナが教えてくれた大悪党」は2021年1月発
売の新刊本です。タイトルにつられてつい買ってしまいました。
「週刊新潮」連載中の超辛口コラムのシリーズ第15弾です。
このような本で初めて知る真実が多いことに驚きます。新型コ
ロナの国内感染第一号は報道を見る限りてっきり日本人だと思
っていましたが在日中国人が日本での治療目的に解熱剤を使っ
て検疫をすり抜け日本にコロナを持ち込んだのが真実だそうで
す。本人もですが虚偽の報道をする朝日も言語道断です。中国
経由で私腹を肥やす米国の新大統領バイデンさんの所業も明白
にしてくれています。正しい歴史、政治の見方・考え方とは何
かが問われています。このような本も読みネット情報も見なが
ら見識を深めていく必要がありそうです。この本を読んでしま
うとシリーズ第1弾から14弾までが気になってしまいます。

岩波文庫「斎藤茂吉歌集」には茂吉の全作歌17907首の中
から1688首が収められています。生命観の躍動する初期作
品の赤光から人生の味わい深さをたたえる後期作品まで40年
に亘る作歌生活の時代区分毎に精選した作品が味わえます。 

矢口高雄「ニッポン博物誌」は文庫本の漫画です。それも枕ほ
どもある大部の本です。700ページ余もあります。美しい日
本の自然を描くだけでなく大自然のなかで懸命に戦い生き抜く
動植物の厳しくも美しい生活が描かれています。一話完結20
篇の物語から構成されています。             

谷沢永一「司馬遼太郎の贈りもの」を読了しました。「司馬遼
太郎の贈りものU」「司馬遼太郎の贈りものV」は20年以上
前に読んでいますがこの本だけ読みそびれていたものです。著
者は司馬遼太郎を大いに贔屓にしており大絶賛しており、本書
からはその熱意が伝わって来ます。確かに司馬遼太郎が描く主
人公は皆生き生きとして前向きな人生を送っていますが、この
本を読んで改めて司馬遼太郎の人物描写は後世が判るはずも無
いような性格や心根までもが登場人物である他人の口を借りて
恰も見て来た様な描写をしていることに気付かされます。そこ
に違和感を感じさせない所が司馬遼太郎のテクニックなのかな
と思います。またそれを余す所なく伝えているのが本書です。

別所直哉著「ビジネスパーソンのための法律を変える教科書」
を読み終えました。我々は法律は守るものだと認識でいますが
問題解決のために法律を変えていくというアプローチがあると
いうことをこの著者は教えてくれます。著者はヤフー執行役員
です。円滑なビジネスを進めるために障害となっている時代遅
れな法律や不合理な法律を変えるために必要な基礎知識講座、
検索エンジンを作ると著作権侵害になってしまうという不具合、
インターネットで情報を伝えると選挙違反になってしまうとい
う不具合、海外から配信される電子書籍は消費税が課税されず
に競争が不公平になってしまう不具合など法律が社会の変化に
追いついていない様なケースが世の中には沢山あります。この
本ではそれらの不具合に如何に対応してビジネスを進めたかの
事例があげられています。著作権法改正に取り組んだり、消費
税法改正に取り組んだり、行政ガイドライン修正に取り組んだ
り、時には業界の自主基準で対応することで問題を回避するな
ど色々な場面での対処法が学べます。NPOなどの団体を作っ
たり、日本の国内だけで法律を変えても対応し切れない問題が
ある場合にはさまざまな国際会議に参加するなどの選択肢もあ
るようです。起業などを考えている人などに役立つ一冊です。

「幻影城」というタイトルが付く本は色々ありますが今回読ん
でいる本は双葉文庫発行、江戸川乱歩が書いた推理小説の系譜
、歴史、推理小説の範疇、和洋推理小説ベスト作品など往時の
評論が詰まった一冊です。個人的には苦になりませんが漢字な
どは旧字体も使われるような時代の評論です。文庫でぎっしり
500ページ以上もありますので読み出もあります。推理小説
には奇妙な味の小説やハードボイルドも含むのか、本格推理小
説は既に終焉を迎えようとしているのかなど推理小説の評価が
定まっていなかった当時の状況なども窺い知ることが出来て興
味深いです。                      

櫻井よしこ「「民意」の嘘」を読了しました。このような正論
を聞くたびに公平な報道をしない報道機関に憤りを覚えると共
に一体、言論の自由とは何だろうと思わずにはいられません。
私には日本を貶める不公正な報道をせずにはいられない人々の
情念が理解出来ません。本書はインターネット動画番組サイト
『言論テレビ』の番組を舞台に櫻井よしこと花田紀凱がゲスト
を迎えて展開した討論を加筆再構成して纏めたものです。メデ
ィアによって作られた「民意」に踊らされることなく、報道さ
れなかったニュースをネットを通じて自身で発掘して判断して
行く姿勢が大切です。そこにこそ重要な真実が眠っているよう
です。本書では日本のメディアは国際情勢の変化を正しく伝え
ているか、野党による大衆煽動、「東大憲法学者」の変節、安
全保障、憲法、自衛隊、中国問題などについて戦後日本の歪み
を紐解きその実態を明白にしています。          

ジェフリー・ディーヴァー著「スティール・キス(下)」読了
です。今回は探偵リンカーン・ライムに加えて車椅子に乗った
見習い捜査官が登場、活躍します。今回のストーリーでは名探
偵コナンの映画にもありましたがIoT機器乗っ取りによる犯
罪が盛り込まれています。今後実社会でもIoT機器の誤動作
や故意のアクセスなどによるテロ行為などが問題となる時が来
ると予想されますが、便利なようで怖い世の中になりました。
この物語ではそれに加えて更にメーカによる費用便益分析、不
法死亡訴訟などの問題が犯行動機に絡んで来ます。どんでん返
しが随所に仕掛けられていて最後まで目が離せません。   

「栗林慧全仕事」は昆虫写真家の栗林慧による蟻の目写真の集
大成です。蟻の目線での昆虫写真は実際に試してみると判りま
すが、単なるマクロレンズでは撮れません。動きの素早さと被
写界深度の問題があって通常の機器では全く対応出来ません。
栗林慧はファイバースコープや動画撮影機材のノウハウを独自
に学び撮影機材を自身の手で作り上げてこの写真集に掲載され
ている数々の素晴らしい作品を撮影しています。2001年に
出版されたものを読んでいますが、既に改訂新版が2016年
末に発行されていますので気になった方は改定版をどうぞ。 

「神秘の昆虫ビワハゴロモ図鑑」は新刊本です。知らない人は
ビワハゴロモとはどんな昆虫なのか想像もつかないと思います
が、昆虫に興味のある人なら不思議な頭部を持ったユカタンビ
ワハゴロモがすぐに脳裏に浮かぶはずです。この図鑑には世界
各地のビワハゴロモが図版中心に載せられており興味のある人
には非常に楽しく眺めることが出来ると思います。その形態の
多様さ、奇怪さには舌を巻くしかありません。ビワハゴロモは
カメムシ、セミ、ツマグロヨコバイなどに近い仲間ですが残念
ながら日本には生息していません。名前は知らなくともアオバ
ハゴロモなどは日本でも庭木などどこにでも普通にいる昆虫な
ので見たことがある人は多いのではないかと思います。ユカタ
ンビワハゴロモはその奇怪な頭部で有名ですが、生息地のユカ
タン半島といえば知る人ぞ知る6500万年前に直径10Km
の隕石衝突により、世界中の恐竜が絶滅したその中心地です。
ユカタンビワハゴロモがどのようにして生き残ったのかは判り
ませんが太古の姿を今に伝えてくれています。       

ジェフリー・ディーヴァー著「スティール・キス(上)」読了
です。四肢麻痺の探偵リンカーン・ライム・シリーズの第12
弾だそうです。殺人犯を追跡中の刑事アメリアの目前で、ショ
ッピングセンターのエスカレーターが誤作動を起こし通行人を
巻き込んだ。救助活動もむなしく男は死亡、あげくに捜査中の
犯人を取り逃がしてしまう。アメリアは単身で捜査を続ける中
リンカーン・ライムはエスカレーター事故の遺族からの民事訴
訟のために調査を依頼される。なぜエスカレーターは不具合を
起こしたのか、名探偵ライムと刑事アメリアは日常の道具を凶
器に変える殺人者を捕らえることが出来るのか。最後まで目が
離せません。                      

田久保忠衛「憲法改正、最後のチャンスを逃すな!」を読了し
ました。第二次安倍内閣が潰えた現在、最後のチャンスも逸し
た感はありますが、この本の内容については真摯に耳を傾ける
必要があります。憲法制定から現在に至るまでの我が国憲法に
関する紆余曲折が良く判る一冊になっています。中でも吉田ド
クトリンの裏話とも言える内容についてはこれまで名前しか知
らなかった私にとって、政治の実態と現実の流れがよく判って
非常な驚きとともに知的興味を覚える事が出来ました。多くの
憂国の人にお勧めしたい一冊です。戦後70年世界情勢は大幅
に変わっていますが唯一、我が国の憲法だけはアメリカの呪い
の呪縛に罹って硬直したまま何も変わりません。      

誰が書評で紹介していた本か忘れましたが「ミミズの博物誌」
を読了しました。かのダーウィンがミミズの研究をしていた事
はよく知られていますが、その研究も踏まえたミミズ学とでも
いうべき書籍の誕生です。ミミズは人類の歴史と文化を支え、
世界の遺跡を守り、アメリカ大陸を耕した、とまで称揚されて
います。全9章からなるこの本は、土作り手としてのミミズ、
園芸家、農家などにとってのミミズ、堆肥作り、歴史の中のミ
ミズ、環境の中のミミズ、ミミズの行動と習性、ミミズの養殖
業などから成っています。地味ですが大切なミミズの事が良く
判る一冊です。但し残念乍ら内容が少し古いように思えます。

村田喜代子「偏愛ムラタ美術館」読了しました。著者独自の偏
愛感に基づいて選ばれたアートにはどこか人を魅了するような
迫力ある絵が多いです。私が名前も知らなかったような画家も
多くいます。タイトルにポップを付けると以下の様な感じにな
ります。ゴッホによる浮世絵、奇怪なボタニカルアート、東勝
吉のナイーブアート、富岡鉄斎の富士図、川鍋暁斎の地獄極楽
めぐり図、素朴画のアンドレ・ボーシャン、受胎告知のバリエ
ーション、昭和新山の三松ダイヤグラム、ルドンの大目玉、小
林古径の清姫、火だるま槐多、大道あやの薬草、コタンの静物
画、山本作兵衛の炭坑画、桜井浜江の抽象画、ブールデルの愛
の交歓百態。ともかくもバラエティに富んでいます。    

福田直子「デジタル・ポピュリズム」を読了しました。内容は
「現代はメディアによって世論が操作される時代である」事を
警告した書と思われます。しかし纏め方の所為なのか著者が敢
えて真意を隠して結論を明確に示していない箇所が多い為か、
本当に意図した所が捉え切れません。危険性の警告は判ります
が、だから著者はどう思っていてどうするのが良いのかが明確
に示されていないように思えます。個人的な解釈ではトランプ
さんが最初の選挙活動では上手くメディアを活用して勝利した
が、2回目の選挙ではバイデン側のメディア操作にしてやられ
た格好かと思っています。ニュースソースをどこから得るか、
更には我々自身が本当に公平無私な立場で情報を解釈出来るか
によって信じられるニュースとなるかフェイクニュースとなる
かが別れるように思えます。今や社会はネットでの「いいね!」
のビッグデータの解析が意図して捏造され、誘導され、社会が
分断されるまでに至っているようです。日本も早くネットでの
世論形成への取り組みの研究やそれらを使った諸外国からのプ
ロパガンダに対応できるようにサイバー戦略組織を成熟させる
必要があります。この著書は一見公平性を保っているように見
えますが、著者の性向として反トランプ志向、反原発、反自民
党、国防強化反対などが強く伺え公平性が疑われますが、それ
にも増して不審な事は既成メディアである新聞媒体や公共放送
を絶対善と捉えていることです。いくつかの本を読めばすぐに
判る事ですが、大朝日新聞は40年もの間、信頼できない虚偽
のニュースソースを元に我が国の国際的な信頼を貶めた国賊的
な存在です。NHKの偏向報道の数々も明白です。そのような
団体の関連サイトが運営するファクトチェックサイト(例えば
朝日新聞デジタルのファクトチェック)等を称えるような言論
はこの著者が信頼に足るものとは思えない事を明示しています。

百田尚樹「大放言」は著者の本領発揮といった渾身の一冊です。
著者の”放言”にはほぼ賛同出来ます。刑法の改正については
他の人が言ったことを聞いたことの無いような真っ当な提言だ
と思います。最近の若者に対する見解も我々世代から見れば真
っ当だし、マスコミの言論弾圧や曲解報道については著者同様
怒り心頭の読者が多いと思います。報道の不公平さは極まって
います。報道の行き過ぎた自主規制も問題です。本当に不自由
な世の中になったと思います。これらすべての根源はGHQの
洗脳政策であるWGIPにあると個人的には思っていますが、
今後の日本の為に誰か真剣にこの呪縛を解く活動をする有力者
が現れないものかと切望します。             

「ギフト」はポプラ文庫から新刊で出た原田マハのエッセイで
す。謳い文句は「慌ただしい日常の中に潜む小さな幸せを描き
出す、心温まる20の物語」とのことです。「この風がやんだ
ら」「コスモス畑を横切って」「そのひとひらを」「花、ひと
つぶ」などタイトルをみても判るように軽妙なエッセイなので
読み易いと思います。この文庫ではハードカバーで出版された
ものに、母と娘の切ない絆を描いた短編「ながれぼし」を併録
しています。随所にある挿絵が温かい雰囲気を醸しています。

「人工知能の核心」は将棋の羽生善治さんとNHKスペシャル
取材班が共同して取材した内容を本にしたものです。この本は
人工知能の機能や概要を説明する本でもなく、人工知能の囲碁
プログラム「アルファ碁」が世界ランクの棋士を破った話をす
るための本でもありません。人工知能隆盛の時代になった時に
人はどのように人工知能と向き合い、逆にそこから得られるも
のもあるのではないかと提言しています。羽生さんは、「アル
ファ碁」の勝因を、「人工知能が、人間と同じ“引き算”の思
考を始めた」と指摘します。人に寄り添う人工知能(感情、倫
理、創造性、接待=忖度)、「フレーム問題」、「モンテカル
ロ法」、「水平線効果」、「シンギュラリティ」、「ムーアの
法則」など人工知能だけでなく関連技術についても造詣が深い
ことが見て取れるとともに未来社会の可能性への言及なども秀
逸です。100億の人間と100億のロボットが共存する社会
など興味深い内容が満載です。羽生さんは侮れません。   

牧逸馬「世界怪奇実話」は実話物としてなかなか読ませる物語
です。とは言ってもどこまでが実話でどこまでが都市伝説なの
か、どこが作者の創作なのかの境は不分明です。「女肉を料理
する男」「チャアリイは何処にいる」「ウンベルト夫人の財産」
「浴槽の花嫁」など全十話が収録されています。結婚するや否
や花嫁を連続殺害する“浴槽の花嫁”のような猟奇殺人。パリ
社交界に二十年にわたり女王として君臨した驚倒的大詐欺師。
世紀の大遭難タイタニック号を描く海難事故もの。軍事スパイ
ものに進化論裁判ものと、著者自らが外遊して犯罪怪奇事件を
渉猟し綿密に描写した世界怪奇実録小説集全三十三話から精選
した十編だそうです。                  

正月休みに昨年読んだ本の片付けをし始めましたが格納する本
棚がどこも満杯で片付けが終わりませんでした。我が家には既
に本棚が10個ほどありますが、仕方が無いのでネットで新た
に2つ注文しました。幅118cm×高さ(181+49)c
mのものと同じ高さで幅が90cmのものです。お届けは何と
3ヶ月後だそうです。                  

歌人の寒川猫持氏の随筆『猫持先生随筆帖(オンデマンド)』
を読了しました。猫持ファンにとっては色々な事が知れて興味
深い本かも知れませんが公平な目で見ると、はっきり言って売
れそうに無い本です。先ずは歌集の方から入るのが良いかと思
います。                        

気に入った本があったら読んでみて下さい。

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