Time Signal Station MSF (U.K.)

 英国のNational Physical Laboratory(NPL)が運営する伝統的な長波標準電波時報局がMSFである。現在はイングランド北西に位置するCumbria州のAnthorn送信所より60kHz(15kW CW)で24時間送信されている。Anthorn送 信所の設備はBabcock International社の所有でNPLの委託を受けて運用している。セシウム原子時計(セシウム133の固有共鳴周波数を利用した時計)に基づく標準時刻を正確な60kHzの周波数で英国だけでなく欧州西部全域に提供している。この標準電波は「MSF Signal」と言われているが、かつては送信所がRugbyにあったため、「Rugby Clock」とも呼ばれていた。日本のJJY長波標準電波と同様に電波時計の信号源として使用されている。日本のJJYとは異なったフォームで信号が送ら れているが、カシオの「マルチバンド6」電波時計等電波の届くところに持ってゆけば自動的に受信対応する時計もある。

 英国における電波時報局の歴史は古く、1927年にRoyal ObservatoryによりGBRのコールサインでRugby送信所から15.8kHzで開始された(当時はCWのみ、後にFSKも追加された)。 GBRは1986年まで信号を発信していた。現在のコールサインMSFは1950年に短波2.5/5/10MHzでRugby送信所より開始された標準時報(AM電波で音声付、当時は1日のある決まった時刻のみに送信、1953年より24時間放送)で使用された。1966年よりは現在の60kHzの長波でも開始された。短波での放送は1988年に廃止され長波60kHzのみになった。前述のように「Rugby Clock」の名称で親しまれたが、2007年にはRugby送信所の使用を停止して現在のAnthorn送信所(主として軍事通信用のVLF/LF送信所)からの送信となり現在に至っている。なおMSFのコールサインについては「Modulated Standard Frequencies」または「Master Standard Frequency」の略で、しかもMは英国のプリフックスも兼ねているとの非公式見解もある。

 MSFの送信開始時は、秒針号と音声アナウンスだけであったが、1974年より簡単なビット情報が付加されるようになり、1998年よりは更に多くの ビット情報が付加されるように改善された。CWモードにすると単純な秒針号にしか聞こえないが、00秒目は100ms後に500ms搬送波が出て分の最初 を知らせ、その後の部分は100ms後に100msづつのデータビット、その後700msの搬送波が出る。ビット部分に年・月・日・曜日・時・分・秒・夏 時間情報・誤差情報等が載っている。最終的な時刻は英国標準時間(冬:UTC 夏:UTC+1時間)で表示できるようになっている。詳しくは https://www.npl.co.uk/getattachment/2afd4c3b-fc8d-486c-b2b9-fc9a5a66394c/msf-time-date-code-2019.pdfを参照のこと。

 日本では同一周波数に九州のJJYがあり、直接受信することは難しい。そこでリモートSDRで挑戦することにした。英国の近くや対岸の欧州で聞こえるのは当たり前なので、2022年当時アイスランド東部のGaltastadirに設置され、巨大なTアンテナを備えていたリモートKiwiSDR(現在は運用されていない)を利用し、約1600km離れた地点での受信を試みた。アイスランドはノイズフリーの地なので、比較的遠距離であるにも関わらず受信状態は極めて良好であった。受信画面の写真、受信機についていたエンコーダーで表示されたビット情報のコピー等を付けて、返信料を同封して受信報告を送ったところ約1 カ月後に当時の上級研究員(Higher Reseach Scientist) Elizabeth Laier EnglishさんからQSLカードとお礼状が届いた。
 
 受信報告の宛先:Time Signal Station MSF, National Physical Laboratory, Hampton Road, Teddington, Middlesex, TW11 0LW, U.K.
   URL:http://www.npl.co.uk/products-services/time-frequency/msf-radio-time-signal
   E-mail: time @ npl.co.uk  (或いはURLのcontactフォームから担当者のアドレスを質問する)
 TEL:+44 20 89773222 


上:QSL表面 TeddingtonにあるNPLの建物とMSFのロゴが配されている 記載されているURLは既に変更されている 大きさ 150×105mm
下:同裏面 発行者は手紙に記載のあるlizabeth Laier English氏
 


左:同封されていたお礼状
中:Anthorn送信所のVLF/LF送信鉄塔群(Wikipediaより、撮影Dougsim氏)大半は軍用
右:基準となるセシウム時計(NPLのHPより)
    

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