月刊短波2025年9月号
編集 赤林隆仁 時間 JST
◎ブラジルRádio Educacão Rural de Coari
オーストラリアのRob
Wagner氏によると、ブラジルAmazonas州CoariにあるRádio Educacão Rural de
Coariが5035kHzで聞こえている。19:12頃早朝のお祈りが放送されている。IDは「Radio
Coari」とだけ出る場合が多い。オーストラリアMt.Evelynでは信号が弱いが、他のブラジル局(東部)と位置が離れているため、これらの局がf/outした後も聞こえていることがある。ブラジルのLucio
Bobrowiec氏によると、同じ時刻ブラジル国内では強く受信できるが、変調がおかしい場合がある。(NASWA Electronic Flashsheet
#1213 via WWDXC TP 1625) QTHはPraça São Sebastião, 228, Centro, Coari, Amazonas,
Brasil, E-mailは<radiocoari
@ hotmail.com>。
◎Novosibirsk-Meteo
ロシアのVOLMET局Novosibirsk Meteoの運用スケジュールは以下の通りである。ロシア語でシベリア東部の気象通報が放送される。
放送時間 毎時08-15分 38-45分
周波数 2869USB 夜間のみ
6693AM 全日
8888USB 全日
11318USB 昼間のみ
(RUS-DX #1353 via
WORIG 8/2)
◎ロシアがエチオピアでFM放送
ロシアのOrpheus TV and
Radio CenterはエチオピアのFM局Sheger
FM(102.1MHz)に音楽番組を提供する契約を2025年7月25日に締結した。Orpheusはすでに中南米及びインドネシアへの番組供給を実施しているが、今後はアフリカでの拡大を目指している。既に中央アフリカ及びチュニジアと全面的な番組提供契約を結んでいるが、更に南アフリカ、エジプト、ザンビアとの間でも条件を交渉中である。
詳細はhttps://orpheusradio.ru/news/news/100621/teleradiotsentr-orfey-i-sheger-102-1-fm-zapuskayut-sovmestnyy-muzykalnyy-proektを参照のこと。(RUS-DX
#1353 via WORIG 8/2) VOAの廃止を尻目に着々とロシアメディアのアフリカ進出が進行中です。
◎ラトビアが国営ロシア語放送を廃止
Latvian
Radioは従来第4放送「Dome
Laukumus」(DR4)を国内のロシア人社会のためにロシア語で放送していたが、この放送を2025年末に廃止し、インターネットでの情報提供だけに留めることを決定した。元記事はhttps://new.freecity.lv/obshestvo/100336/を参照のこと。(RUS-DX
#1353 via WORIG 8/2)
現在は西側の国ですが、バルト三国の中ではロシア人の比率が約1/4と最も高い国です。特にロシア国境近くにロシア人が多く住んでおり、ウクライナ戦争で悪化する一方の対露関係を反映したものと言えます。
◎BBC
Radio4長波放送の延長期日決まる
BBC
Radio4の長波放送198kHzは2026年9月26日まで実施されることが明らかになった。198kHzで行われているRadio Teleswitch
Serviceとの関係は明確でない。(BDXC Communication August 2025 via WORIG 8/2)
◎四川文藝広播・天府之声が放送終了
2025年7月下旬四川省広播電視台の文藝広播(90.0MHz)と天府之声(正式名称は「農村広播」、92.5MHz)が放送を停止した。当局は公式な発表を行っていない。天府之声は「農村広播」だが、開局以来農業に関する番組を放送しておらず、カーオーナー向の番組を行ってきたが、放送終了直前に高齢者向番組を少し行った。両局とも最近は音楽のみの番組や再放送の繰り返しが多く放送終了が近いことを予測させた。あるリスナーは「注目されないラジオ放送-放送停止も静かに」と表現した。(Cahcn的自留地7/30)
◎新疆漢語新聞綜合広播及び哈薩克語広播の中波が停波
新疆維吾爾自治区昌吉回族自治州瑪納斯(マナス)県在住のリスナーからの報告では、同地で放送されている新疆漢語新聞綜合広播の中波738kHzと哈薩克(カザフ)語広播の中波1107kHzが7月中旬より出ていない。両周波数ともに昌吉第631送信所から送信されている。(小林放送局
7/20-26)
瑪納斯県は烏魯木斉の西約150kmにあります。昌吉第631送信所は烏魯木斉市の西に接しており、漢語新聞綜合広播の中波738kHz(100kW)とFM89.5MHz、哈薩克語広播の1107kHz(100kW)とFM98.2MHzを送出しています。
◎甘粛省にデジタル駆動型中波AM送信機導入
甘粛省広電局の発表によると、同省の第827送信所に、甘粛省としては初のデジタル駆動型200kW中波AM放送送信機が導入され正式に放送を開始した。(小林放送局
7/20-26) 第827送信所は蘭州市の南東約100kの定西市龍西県巩昌鎮李家沟門村張家洼社75号にあります。周波数は684kHzの新聞綜合広播と思われます。
◎遼寧省2中波局が停止中
遼寧広播電視台の遼寧農村広播(972kHz)とCNR2経済之声(1215kHz)の何れも中波放送が7月中旬より停止している。原因は不明である。これらの中波は瀋陽市にある第33送信所から送出されている。 (小林放送局 7/13-19) 972kHzは10kW、1215kHzは200kW。
◎雲南省の放送削減計画順調に達成
雲南省雲南省広電局はTVチャンネルとラジオ放送の削減を着実に推進している。その結果TVチャンネルは全省で168→158、ラジオ放送は127→75と順調に削減された。特に県級の放送局は49の削減を達成した。現在更に計19のTVチャンネル、ラジオ放送の削減手続き中である、近日中に2チャンネル、2放送が廃止されることになっている。同省の地級放送機関は原則として放送とテレビの各1つの番組のみを保持することとなる。(小林放送局
7/27-8/2) まるで会社の人員リストラ計画のようですね。
◎德宏交通旅游広播が放送終了
中国雲南省徳宏傣(タイ)族景頗(チンポー)族自治州德宏広播電視台の交通旅游広播(91.0MHz)が2025年8月20日07:20で放送を終了した。放送停止は上部団体の德宏州融媒体中心より2025年7月31日の公告されていた。国家広播電視総局の命令によるもので、TV放送の文化旅游チャンネルも停止された。機能の一部は綜合広播(104.3MHz)に統合される。(Cahcn的自留地
8/20) 雲南省の最西部、ミャンマーとの国境地域にあります。
◎中国AMデジタル放送にDRM規格を採用
中国国家広播電視総局(NRTA)は2025年8月1日、中国国内の短波・中波放送のデジタル方式にDRM規格の採用を行うと発表した。ラジオ放送の近代化と受信品質の向上を図ることを目的としている。原記事はhttps://onair.ru/main/enews/view_msg/NMID__92590/を参照のこと。(RUS-DX
#1354 via WORIG 8/9)
国家広播電視総局の発表はhttps://www.nrta.gov.cn/art/2025/8/1/art_3715_71222.htmlとその中の添付文章「中短波数字声音広播技術規範」を参照して下さい。
◎宝安交通広播が放送終了
中国広東省の深圳市宝安区融媒体中心は、同団体の放送する宝安交通広播(別名「宝安905」、90.5MHz)の放送を2025年8月22日01:00に終了した。放送終了は8月18日に同団体より公告された。以降人員は「湾句之声」(104.3MHz)に統合される。「湾区之声」は元の深圳人民広播電台青工(青年労働者)広播であり、歴史的には深圳人民広播電視台の放送だが、今回廃止された交通広播は広東省広播電視台には登録されていたが、国家広播電視総局の承認は受けていなかった。(Cahcn的自留地
8/22)
◎錦州綜合広播が改名
2025年8月18日、中国遼寧省の錦州広播電視台の「綜合広播」(AM 666kHz
FM92.7MHz)は名称を「新聞広播」に変更した。なお公式発表ではAM666kHzの周波数がFMより前に記載されている。最近の中国局はAM周波数を無視する傾向が強く、FM/AM両周波数を使用している場合でもFM周波数しか記載しないことが多いためこのことは特筆される。(Cahcn的自留地
8/21)錦州市は県級の年で面積10111平方kmと広く、FM1波ではカバーできません。https;//www.asiawaves.netによれば、666kHzの送信は錦州の第318送信所より2kWで行われています。綜合広播時代の放送時間は06:25-00:00でした。
◎青海経済広播と生活広播が統合
中国青海省西寧の青海経済広播(FM107.5MHz
AM1143kHz)と青海生活広播(FM90.3MHz)は、2025年9月1日に統合され、以降は「青海経済生活広播」の名称でFM90.3MHz
AM1143kHz青海経済放送(FM 107.5MHz、AM 1143kHz、いずれも西寧地区の周波数)と生活放送(FM
90.3MHz)は、9月1日に青海経済生活放送に統合され、FM 90.3MHzとAM 1143kHzで放送されることになった。(小林放送局
8/17-23)西寧市は青海省の省都で、面積は7596平方kmあり、こちらもFM1波ではカバーしきれません。https;//www.asiawaves.netによれば、1143kHzの送信は西寧にある第560送信所より10kWで行われています。経済広播の放送時間は07:55-01:00です。
◎オーストラリアX-Radio Network拡張
Facebookによると、オーストラリアでRadio 567(4970kHz)、Station X(Wee Waa,1611kHz)などの「X-Radio
Network」を運営するPeter Tate氏は、New South
Wales州Moreeにある1629kHzのAM局をネットワークに復帰させると発表したが、現在のままの放送形態で復帰させるかどうかは分らないとしている。(NZ
DX Times August 2025 via WORIG 8/2)
◎ロシア陸軍のChannel Marker
米国のWalter
Salmaniw氏によると、ロシア陸軍は16331-16332kHzでChannel
Markerを送信している。それぞれCWでアルファベットを送信して地点を明示している。受信、分析されたものは以下の通りである。
16331.7kHz 'D'
クリミアのSevastopol(ロシア占領地)
16331.8kHz 'P'
Kaliningrad
16331.9kHz 'S' Severomorsk
16332.0kHz 'C' Moscow
16332.1kHz 'A' Astrakhan
16332.2kHz 'F' Vladivostok
16332.3kHz 'K' Petropavlovsk-Kamchatsky
16332.4kHz 'M' Magadan
(WORIG 8/3)
弱いながら日本でも聞こえます。
◎Greeville送信所に更なる肩入れか?
米国のGlenn
Swiderski氏によると、Greeville短波送信所をUSAGMのKari Lake氏とOffice of Cuban
Broadcasting(Radio Marti)の代表者が訪問した。Kari
Lake氏には短波放送の専門家も同伴した模様である。また現在Continental社製の新型100kW短波送信機が搬入されている。(WORIG 8/11)
◎Greenville送信所はOCBの所有に
米国のGlenn
Hauser氏は信頼できる筋から得た情報によると、米国本土のGreenville送信所にはスタッフが呼び戻され通常運用に戻されつつある。送信所の所有はUSAGMからOCB(Office
of Cuban
Broadcasting)に移転された。USAGM幹部は今後OCBの予算を削減したり放送停止命令を出せば自動的に同送信所も縮小・閉鎖できると考えたためらしい。(WORIG
8/25)
◎VOA局長Michael Abramowitz氏解雇
英国のMike Cooper氏がThe
Deskの報道として伝えたところによると、VOAの局長で、同局の解散を違法として訴訟を起こしていたMichael
Abramowitz氏が2025年8月1日付けでUSAGMより解雇を通告され、8月31日付けで解雇れることになった。氏は一方的に局長を解任され、更に9月6日以降WashingtonからNorth
Carolina州Greenville送信所に転勤・降格を命じられたがこれを拒否したため、「上級公務員としての昇進や継続雇用の条件」に反するとしてこんも措置たおなった。Abramowitz氏はVOAの運営能力を失わせるための攻撃であり、VOAの行政業務を監督する諮問委員会の承認なく行われた違法なものであるととして解任・解雇無効の訴訟を連邦裁判所に起こした。(WORIG
8/4)
Mike Abramowitz氏 (Xより)
◎米国連邦地裁Mike Abramowitz VOA局長の解任差し止め
英国のMike Cooper氏がNew York
Times紙の報道として伝えたところによると、米国コロンビア特別区連邦地裁のRoyce C.
Lamberth判事は、2025年8月1日の罷免された元VOA局長Mike
Abramowitzからの解任無効訴訟において政権当局者だけによる罷免を差し止め報道機関への政治的影響力を監視する超党派の諮問機関である国際放送諮問委員会の承認(過半数の賛成)が必要だとの判断を下した。この判決はUSAGMでVOAを「左翼の砦」、「過激派」、「反トランプ」と決めつけて解体作業を行ってきたKari
Lake氏には相当の打撃となる。この判決に対して政権側はそのような規則自体が違憲で、行政機関の人事権は一元的に大統領にあるとして控訴して争う姿勢を見せている。なお国際放送諮問委員は7名の内6名がトランプ大統領によって解任されており、その後任人事には上院の賛成が必要であるため、解任がすぐ承認される見込みはない。原記事はhttps://www.nytimes.com/2025/08/28/us/politics/voice-of-america-trump-kari-lake.html。(WORIG
8/29)
◎トランプ政権VOA/USAGM関係者を更に500名以上解雇
英国のMike Cooper氏がWashington Post紙の報道として伝えたところによると、USAGMのKari
Lake暫定CEOは裁判所での敗訴、従業員からの異議申し立てにも拘わらず2025年8月29日、USAGMとVOAの関係職員532人を更に9月末で解雇すると発表した。「今後の機能向上のために必要な措置」としている。新たに解雇されるのはVOAの残留職員486名とUSAGMの関連職員46名である。その結果VOAには108名(8月現在休職者512名、勤務者86名)、USAGMには158名(8月現在休職者62名、勤務者137名)のみが残留することになる。両機関内部では幹部や従業員から激しい抗議の声が上がっており、今後法的紛争が激化する可能性がある。原記事はhttps://www.washingtonpost.com/business/2025/08/30/voice-of-america-kari-lake-layoffs/を参照のこと。(WORIG
8/30)
◎VOA廃止の悪影響を指摘するサイト開設
トランプ政権によるVOA廃止措置が世界各地でいかに悪影響を与えているかを列挙するサイト「Measuring the Loss of
VOA」を開設された。https://savevoa.com/data/measuring-the-loss-of-voa-around-the-world.html。(WORIG
8/4)
◎Kari
Lake氏に裁判所から出廷命令
英国のMike
Cooper氏が2025年8月26日付の米国National Public
Radio(NPR)の報道として伝えたところによると、VOA解体等に関する訴訟で米連邦地裁の判決を無視しているUSAGM暫定CEOのKari
Lake氏は、Royce C. Lamberth判事から2025年8月15日までに出頭してその理由を説明するように求めらた。Kari
Lake氏は出頭せず「VOAはOne America News及びNews
Maxと契約し放送する」とのみ記述した書類を提出した。またNPRに対して送付された電子メールでKari氏は裁判官には自分に命令する権限がないとした。Lamberth判事は「法廷侮辱罪に近い」として改めて9月15日までに出廷して尋問に応じるように命じた。なおKari
Lake氏はUSAGMの「暫定CEO」と称しているが、彼女を「暫定CEO」として任命した文書を提出しておらず、裁判所はその立場にも疑問を持っている。原記事はhttps://www.npr.org/2025/08/26/nx-s1-5506283/judge-order-kari-lake-sworn-deposition-voice-of-america-oath-usagmを参照のこと。(WORIG
8/26)
◎コロンビアRadio
Cadena Nacionalネットワークが終了
米国のMark
Connelly氏によると、コロンビアで短波局を含む各ラジオ局を統括し絶大な影響力を盛っていたRadio Cadena
Nacional(RCN)ネットワークが2025年7月31日にその機能を終了した。RCNネットワークは当初Bogotá、Medellín、Caliから始まりやがてAMラジオ局の全国ネットワークとなった。FM化とインターネットの進展で終焉を迎えた。(IRCA
DX Monitor 8/9 via WORIG 8/4)
◎ナイジェリアVONがDRM短波送信機再稼働計画
英国のMike
Cooper氏が、Guardian Nigeriaの報道として伝えたところによると、Voice of Nigeriaの総局長Jibrin Baba
Ndaceは、同放送局の再編と職員の再教育を行い、現在放置されているAbuja送信所の250kW・DRM短波送信機を再稼働させる計画であることを放送労組(RATTAWU)の新執行部に対して正式に表明した。原記事はhttps://guardian.ng/news/von-dg-pledges-reforms-revival-of-shortwave-broadcasting/を参照のこと。(WORIG
8/5)
◎ロシアSputnikがブラジルで24時間ラジオ放送
ロシアのSputnikはブラジルのRio
de Janeiroに於いて24時間のラジオ放送を開始した。FM波を使用し1350万人の聴取対象者に対してポルトガル語で放送する。放送はSputnik
Brasilにより制作され、国際編集チームによる分析、ブラジル国内外の現場からの報告、トークショーから構成される。ロシアの放送機関のブラジル進出はこれが初めてである。ブラジルはBRICS議長国を務めており、ロシアが24時間放送を行うことの象徴性は大きい。原記事はhttps://russian.rt.com/world/news/1502100-sputnik-brasil-zapustit-kruglosutochnoe-radioveschanie。(RUS-DX
#1354 via WORIG 8/9)
◎252 Arctic
Radioの進捗状況
フィンランドのMauno
Ritola氏によると、同国の252 Arctic RadioではNautel
ND2000の設置が完了し、音声帯域幅を調整して252kHzのAM電波が出せる状況となった。アンテナはビーコン用アンテナを改造したものをNX2000TUB
アンテナチューナーを介して送信機に接続する予定であるが、まだ設置が行われていらず近日中に作業が開始される。局宛てには放送開始日を問い合わせるメールが殺到しているが、まだ確定は困難な状況である。252kHzではアルジェリアの信号が強く適切とはいえないが、この周波数がフィンランドの保有する唯一の長波周波数で、別の周波数に変更するためにはITUへの申請・交渉の必要があるため簡単ではない。また現地での支援が足りず、作業は全体として遅れ気味である。(MWlist.iog
8/10 via WORIG 8/12)
◎Arctic Radio長波放送開始
英国のMike Terry氏が「Ydun's Medium Wave Info」の情報として伝えたところによると、フィンランドのArctic
Radioが2025年8月24日に252kHzで長波放送を開始した。送信出力はキャリア600Wである。受信可能範囲はアンテナから150km位までであるが、9月にアンテナが改善されればもっと拡大する模様である。フィンランドからは32年振りの長波放送復活である。こんなことは不可能だと言われていたがついに実現した。(WORIG
8/26)
◎ルーマニア長波・中波放送の時間短縮~緊縮予算措置
ドイツのAlexander
Busneag氏によると、ルーマニアSRRはお国内向放送Radio Romania
Actualitatiの長波・中波放送を2025年8月1日より04:00-12:00(現地時間22:00-06:00)の間停止する。ルーマニアでは国家財政が危機的状況になっており、それに伴う緊縮予算措置である。中波は特に夜間よく飛ぶため、その措置で実質的なカバー範囲が縮小される。しかもスポーツ中継などは途中で急に切られてしまう。ルーマニアでは2017年に受信料制度が撤廃されて放送は国家予算でおこなわれるようになった。しかし電力料金の急騰に伴い電力料金の国庫補償を行った結果国家財政がピンチに陥っている。なお電力料金の国家補償も7月1日で撤廃された。(WWDXC
TP 1626) Radio Romania
Actualitatiは現在国内各地からのFM放送が主流で、こちらは24時間放送されています。長波の153kHz(Braşov送信所、200kW)は欧州各地で夜間受信受信されていました。
◎Radio Romania International「短波なしでは聴取者が少なすぎる」
米国のGlenn Hauser氏が「SHORTWAVE
LISTENING」の報道として伝えたところによると、ルーマニアでは国家財政の赤字が深刻で、エネルギー価格に対する国庫補助も2025年7月1日で終了し、Radio
Romaniaの国内向サービスは中波の出力を昼間は半減して放送、夜間は放送を停止している。同局では2017年に受信料制度を廃止し、すべて国庫負担で賄われているが、送信所を運営するRadioomは独立経営体であるため、国内向け中波放送や海外向短波放送の送信料をRadio
Romaniaから徴収しており、2025年1月には送信価格を5.1%値上げし、更に8月には付加価値税(日本の消費税に当たる)の料率が2%引き上げられた。制度上値上げ分を聴取者に転嫁できないため、送信出力の削減に次には必然的に海外向短波放送の削減ないしは廃止が議論に上がってきている。そんな中ルーマニア国家視聴覚評議会(CNA)は送信の削減や廃止が聴取者に与える影響の調査を行っている。Radio
RomaniaのRăzvan Ioan Dincă局長はCNAに対して「海外向放送Radio Romania
International(RRI)は短波を廃止した場合にインターネット/衛星放送を残しても聴取者数は存続するに値しないほど減少する」と報告した。ただし聴取者だけの問題ではなく、Radiocom自体も送信料収入がなければ存続できず、Radiocom社がなければ国内放送も海外放送も実施できなくなるという関係にある。結局結論は議会に預けられることになる。原記事はhttps://kurzwellenradio.wordpress.com/2025/08/25/radio-romania-international-audiences-too-small-without-shortwave/を参照のこと。(WORIG
8/27) RRIも存続の危機にあり、廃止される可能性も大ということです。
◎NEXUS-IRRSが聴取者に寄付を要請
英国のAlan
Holder氏によると、イタリアのNEXUS-IRRSは2025年8月27日の放送で、エネルギー価格の高騰を理由として聴取者に寄付を呼びかけた。Webページ上でも同様の寄付の呼びかけが行われている。真の理由はIRRSの送信所があるルーマニアで電力の自由化と電力料金に対する政府の補助が打ち切られたことで、送信料金が跳ね上がったことによる。多分IRRSは他の送信プロバイダーへの変更、例えばブルガリアSapceline社、アルメニアRadio
CSSC社など、を模索していることだろう。これらの国の電力料金はルーマニアと比べて安く、また両社とも新しいカストマーを募集中である。(WORIG 8/28)
◎Radio
Dabangaが閉局の危機
英国のChris
Greenway氏によると、オランダAmsterdamに拠点を置くスーダン向平和維持局Radio
Dabangaは、2025年初めにUSAIDからの資金打ち切られたのに加え、オランダ政府からの補助金の2025年末に打ち切られることになり、2026年1月には閉局の危機を迎えている。原記事はhttps://www.nhnieuws.nl/nieuws/351427/zonder-steun-voor-radio-dabanga-valt-kritische-berichtgeving-over-oorlog-in-soedan-stil。
(WORIG 8/18) オランダではトランプ政権と考えが近い自由党が2023年以来第一党となっています。
◎Santa Maria
di Galeria送信所で太陽光発電プロジェクト
ドイツのHansjoerg
Biener博士によると、イタリアのVatica
Radio Santa Maria di Galeria送信所で太陽光発電プロジェクトが稼働した。424haに及ぶローマ教皇庁の敷地を活用し、同送信所の電力供給を行うとともに、バチカン市国にも送電して同国の電力も提供し、バチカン全体で完全な自然エネルギーによるエネルギー自給化を目指している。(WORIG
8/23)
詳しくはhttps://www.vaticannews.va/en/pope/news/2024-06/pope-orders-construction-of-agrivoltaic-plant-for-the-vatican.htmlを参照して下さい。
◎「Music
Programmes on Shortwave」更新版公開
英国のAlan
Roe氏によると、同氏編集の、短波局で放送される音楽番組を紹介した「Music Programmes on
Shortwave」の2025年第4版が完成し、https://app.box.com/s/kbdxb4c5lwpju0kpoi27aiwc35br2g2aないしはhttp://tinyurl.com/shortwaveprogramsで公開されている。BBC-WS、Voice
of Turkey、CGTN Radio、Radio Romania International、RTIなどの番組が更新されている。(WORIG 8/26)
◎PopShop
Radioが高出力特別放送実施
カナダPopShop
RadioのTony
Pavick氏によると、同局は設立5周年となるのを記念して2025年9月9日(火)の12:00-13:00に英国Woofferton送信所より250kWで北米向に特別番組を放送する。特別放送はドイツChannel
292より9月10日の02:00-03:00にも3955/9670kHz(10kW)で再放送される。この特別番組および同じ週に行われる定時放送に対する受信報告には5周年記念特別QSLを発行する。(WORIG
8/26)
◎WBCQが宇宙向けにLaser Broadcast Systemで放送
米国のGlenn
Hauser氏によると、同国のWBCQは新開発のレーザー放送システム(LBS)の採用した宇宙向放送の開始を発表した。同局の7490kHzの放送番組に適用される。LBSは可視光から紫外線の領域を発光する6台の高出力レーザーから構成され、番組音声で変調された光線を宇宙空間に照射するもので、宇宙人やUFOによる受信が期待している。WBCQはこのように宇宙に向かって放送する世界唯一の放送局となる。これは放送界初の画期的試みであり、放送枠を購入したユーザーにはこの世のものとは思えない体験が提供されるとしている。(WORIG
8/25) 詳しいことは不明ですが、人工衛星間通信用のレーザー送信機を応用したものでしょうか?史上初の宇宙向放送ですが、天文観測や人工衛星・航空機への影響、FCCの認可等の問題点が指摘されています。宇宙人はどんな受信機で聴くのでしょうか?
◎RFAのミャンマー報道が全米Murrow賞を2部門で受賞
英国のMike Cooper氏がRadio Free
Asia(RFA)のwebサイトの報道として伝えたところによると、RFAは軍事クーデター後のミャンマーで若者が直面する苦悩を記録した報道(2024年11月制作「ミャンマーのZ世代、国の未来のために戦う」)により、全米Edward
R.
Murrow賞を2部門で受賞した。RFAの制作チームは実際にミャンマーに入り、現地の人に話を聞いて事実に基づいて報道した点が評価された。2023年の調査によるとミャンマーでは510万人以上の成人がオンラインまたは短波放送を通じてRFAにアクセスしていた。2021年の軍事クーデター以降、RFAはミャンマー国内で持続的に活動している唯一の国際メディアであった。表彰式は2025年10月13日にNew
Yorkで行われるが、この報道が評価された背景には、USAGMによる違法な助成金打切りでニュース収集活動の大部分を停止せざるを得なかったRFA状況が影響を与えている。原記事はhttps://www.rfa.org/english/about/releases/2025/08/21/rfa-wins-two-national-murrow-awards-for-myanmar-coverage/を参照のこと。(WORIG
8/26) Edward R. Murrow賞は米国のジャーナリストで旧USIA長官もつとめたEdward R.
Murrow(1908-1965)を記念してRadio Television Digital News Association (RTDNA)とOverseas
Press Club of America (OPC)が優れた報道作品」に授与している賞。なおGreenville短波送信所にも氏を記念して「Edward R.
Murrow Transmitting
Station」の別名が付与されています。ただしトランプ政権下で復活された送信所にその名称が受け継がれているかは不明です。
◎アフガニスタンKandaharに新たな民間ラジオ局開局
アフガニスタン独立ジャーナリスト連合(AIJU:Afghan Independent
Journalists
Union)は2025年8月26日のfacebook上での声明で、同国南部のKandaharで「Tsiragh」(灯火)という民間放送局は90.9MHzで開局し、市内だけでなく周辺の辺境地区もカバーするようになったと報じた。1日18時間の番組を放送し、週約20本ぼ番組を制作すつという。この局の開局でKandaharのラジオ放送局数は14となち、内12局が民間局である。同国を支配するタリバンは国内のラジオ局を停止・閉鎖し、従業員を逮捕拘束している。(BBC
Monitoring 8/26 via WORIG 8/29)
2021年の「Kandaharの戦い」でタリバンに制圧されましたが、同地ではその後も不安定な情勢が続いています。
◎台湾・復興広播電台が「2025年国際短波聴友活動」
英国のAlan
Holder氏によると、台湾の復興広播電台は「2025年国際短波聴友活動」を2025年9月1日~10月31日に実施する。この期間に同局の受信報告を送付したリスナーには特別QSLカードが発行され、抽選で賞品も当たる(抽選は11月10日)。
この期間に同局の短波放送を受信し、定型受信報告とともにmp3形式で15-20秒、同局と確認できる部分(IDなど)を録音したファイルを添付する。送付先は<FHBSTP
@ fhbs.com.tw>。定型受信報告フォームはhttps://fhbs.com.tw/2025國際短波聽友活動日文よりダウンロードできる。(WORIG
8/29) 国内向はAM 594kHz、FM
107.8MHzですが、16:00-18:00及び19:00-22:00に9410/15375kHz(10kW)がリストされています。
◎ITUのHFBC Schduele 8月版発行
ITU(国際通信連合)では毎月世界各地の短波送信所からの送信スケジュールを発行している。現在2025年8月号が発行され、参照することができる。https://www.itu.int/itu-r/eterrestrial/ebroadcasting/ehfbc#/schedules。(RUS-DX
#1357 via WORIF 8/30)
◎FM-DXingにも有効なYouLoop ~柴田俊雄氏が実証
中波・短波用に威力を発揮するYouLoopアンテナはVHF
DXingにも有効である。以前ダブルサイズ化したYouLoopアンテナによる米国中波局の受信状況を報告した東京都世田谷区の柴田俊雄氏は、同じアンテナを使用してEスポ出現時のFMバンドDXingにも挑戦している。その結果東京で北海道14,、東北5、近畿1、中国9、四国2、九州20、奄美4、沖縄5局のコミュニティFM局60局を世田谷で受信することに成功した。またNHKの隠岐FM補完局(79.4MHz、100W)の受信にも成功した。YouLoopをFM
DXingに使用するには、アンテナの形状を1辺1mの菱形に調整する。その結果横幅は1.4mになり、VHF帯の半波長ダイポールアンテナの動作もするためである。指向性は、中波・短波帯とは異なり面に垂直の方向となるそうである。(赤林)柴田氏とは「ハムフェア2025」でお会いして話を伺いました。米国中波局については「月刊短波」2024年5月号「米国東部中波局を東京で受信」を参照して下さい。なお中波用に使用する場合は、ケーブル長を2倍にすることで大幅に改善できるそうです。正規品の場合、1mのSMAケーブル2本と、受信機接続用の2mケーブル1本が付いているので、SMAのj-jコネクタで1mケーブル2本を2mのケーブルとすれば、2本の2mケーブルで1周4mのアンテナとなります。受信機接続用のケーブルも別途購入します。なお中波・短波では面に沿った方向に指向性があります。家で眠っているYouLoopをまず屋外に出して使ってみましょう。
2025年5月31日夕刻の状況(79.4MHzのNHK隠岐補完局受信中) ローカル局の合間に多数のDX局(赤・黄色の矢印)が出現している (受信機はAIRSPY)
◎エストニアでDAB+放送開始
英国のMike Terry氏が、Estonian
Radio(ERR)の情報として伝えたところでは、エストニアでは2025年9月1日よりDAB+ラジオ放送が開始される。当初はERRの4放送を含む23のラジオチャンネルが提供される。運用が開始される地区はTallinn、Tartu、Pärnu、Koeru、Valgjärveであるが10月にはHaapsalu、Kohtla-Nõmme、Orissaare、Pehka等の地方に拡大される。なおDAB+の試験放送は2022年12月から開始されており、9月1日は0~6時の間試験放送を停止して本放送に移行する。(ロシアからの侵攻等の)危機的状況でより多くの人々に情報を提供するため従来のFMネットワークは平行運用を継続する。原情報はhttps://news.err.ee/1609784466/estonia-s-first-dab-digital-radio-transmitters-on-air-from-septemberを参照のこと。(WORIG
8/31)
◎AM民放6局が完全FM化へ~AM局運用休止第二期特例適用期間
2025年9月1日~2026年10月31日は総務省の定める「AM局運用休止第二期特例措置運用期間」に入り、この期間にAM局の運用を休止して支障がなければ2026年秋以降FM化することが認められる。この期間に特例措置を申請しているのは22AM民放局(詳細はhttps://www.soumu.go.jp/main_content/001028011.pdf及び各局のHP参照)で、内6局は本局も含めてすべてのAM運用を停止し、完全FM化を宣言している。完全FM化を宣言している局は以下の通り。日付は本局からのAM放送休止日。
青森放送 JOGR 1233kHz 5kW +5AM中継局 2026/2/1より → 91.7MHz
1kW + 3FM中継局
栃木放送 JOXF 1530kHz 5kW +2AM中継局 2025/12/1より → 94.1MHz
1kW + 3FM中継局
山梨放送 JOJF 765kHz 5kW +1AM中継局 2026/3/1より → 90.9MHz
1kW + 4FM中継局
福井放送 JOPR 864kHz 5kW +2AM中継局 2026/3/16より → 94.6MHz
1kW +5FM中継局
四国放送 JOJR 1269kHz 1kW
+2AM中継局 2026/1/16より減力、2026/3/23より休止 → 93.0MHz 1kW +3FM中継局
南海放送 JOAF 1116kHz 5kW
+5AM中継局 2025/12/1より減力、2026/2/10より休止 → 91.7MHz 1kW +11FM中継局
他の16局はAM中継局の一部または全部の休止を行うが、AM放送自体はFM放送と並行して維持する。
これとは別に北海道放送(HBCラジオ)では苫小牧送信所(JOTN
801kHz100W)を2025/12/1より独自に廃止する。(赤林)
出典略称
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