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2026年4月16日 〜 19日
春のファンタ、終了しました。全18本のうち、合格点かそれ以上の点がつくのが3分の1ぐらい。あとはまあまあかもうちょっとという感じです。
このファンタ、作品紹介の準備中に家族に重病人が発生し、じっくり趣味に集中する時間がない中書きました。
ファンタがオファーしたトレイラーはなぜかうちのPCでは見えず、一般に流布しているトレイラーを見つけて、それについて映画を見た後にコメントしました。
珍しい事ですが、追加が出ました。しかも普段あまり見られない国の作品もあります。
春のファンタの日程が発表になりました。
春のファンタの参加作品が決まりました。
様々な政治の変化があり、ハリウッドはこれまでのスターを今まで通り使うわけに行かない事情が出て来ました。そのせいかどうかは分かりませんが、今年のファンタに参加する14本で過去に名前を聞いたスターが出る作品は非常にわずかです。代わりに若手、これまで無名に近かった人たちにチャンスが巡って来ています。今回が長編デビューという人も少なくありません。
ここしばらく韓国映画が好調でしたが、今回は日本から2本出ます。9月のファンタ以外で2本というのは珍しいです。
他はアラブ首長国連邦から1本、ハンガリー、ポーランドから1本、豪州から3本、スペインから1本、カナダから1本、アメリカ単独で2本、5か国合作が1本です。英米は他の国と協力している作品もあります。
新人監督の作品や、普段あまり来ない国からの作品が多いので、知っている俳優というのはあまり見かけません。
原作: Chris Marrs Piliero
ストーリー: AIを使って世に出る偽動画は命に関わる。
監督: ファンタ初登場、音楽ビデオが多い
トレイラー: 主人公のデュークがアフリカ系の友人に自分がAIを使ってどんなフェイク・ビデオを作れるかを説明。その手段を使ってデュークは映画の前半何人かの人を混乱に陥れたため、死人も出ている。彼にとっては単に腹いせと、欲求不満の解消。
後記: 今後も IT 関係でこの種の映画は作られると思う。
歴史物ということだが、史実が文献としてどのぐらい残っているのか。
脚本: 監督と脚本家2人は英語圏の人のような名前。
ストーリー: 7世紀にササン朝ペルシャの暴君的な皇帝が、アラビア系の王女を側室に出せと言い出す。要求を断わった王女と父親の王は砂漠で取り敢えず路頭に迷う。そこへ本職は盗賊の男が出て来て、2人をサポート。王女も戦士として成長。
(ちょうどあちらで揉めている時にこんな作品を出すのか、火に油を注いでしまわないかと心配。)
監督: ファンタ初登場
トレイラー: 欧米人が想像する中東の歴史をサウジアラビアにロケに行って撮影している。広々した砂漠。人が住もうにも水がほとんどなく、テント生活。なかなか大変そうな様子が良く伝わる。実生活がどうだったのかは自分で歴史を勉強してみないと本当のところはつかめない。
イランの帝国は川の近くに大きな町が作られているという形で表現されている。水が近くにあるだけでこれほど違うのか・・・、違うんです。
もう1つ実際の歴史を勉強していない私から見ると、アメリカのカウボーイ映画のようにたくさん馬に乗っている人が出て来るのが不思議。当時のアラビアとペルシャにこんなにたくさん馬がいたのか・・・と誰かに聞いてみたい。が、とにかく撮影にかなり大きなお金を投じているのは分かった。
1番ご都合主義に見えたのは使われている言葉が英語だったこと。まあ、しょうがないか。映画を見るのが英語圏の人たちや英語が分かる人たちの国だから。
後記: お金は全部サウジアラビアから出ていて、制作スタッフは英語系、欧米系の名前の人が多い作品。扱ったテーマはちょうど今話題の国2つが大昔戦ったとされている戦争。時代は恐らく中東イスラム化(622年)の前。作品で話題になっている戦いは610年頃と推測されているが、この時代の歴史の記録が不十分で、戦争の規模も諸説ある。
ここでは暴君のササン朝の皇帝が周辺国のアラビアから「年頃の女を側室によこせ」と言われて、あるアラビア王とその娘が反抗し、2人を盗賊が援助したという筋になっていて、面白おかしい活劇になっている。話は鵜呑みにする前にちらっと歴史書などに目をやった方が良さそうだ。
単に欧米式の戦争活劇だと思って見ていると、意外にもいい出来で、ファンタ初日の作品としてはこちらの方に軍配が上がる。久しぶりに見たベン・キングスレーはずっと座って、苦虫を噛み潰したような顔をしているだけ。しかし彼はそれでも役を果たしている。戦争のやり方はどことなく日本の映画に出て来る、江戸時代より前の侍同士の戦い方と似ていて、笑ってしまった。
原作: Attila Veres
ストーリー: ある女性が失職後拉致され、連れて来られた所で別人として生きることを強いられる。そこにいる他の人も同じように連れて来られて、家族を演じさせられている。
監督: 長編デビュー
トレイラー: 主人公のリタが誘拐されたところから始まる。彼女は従順になるまで一室に縛られて閉じ込められている。少し落ち着いたところでこの家の家族と言われる人たちに紹介される。この家の本当の娘シルヴィーの所持品や日記を見せられ、彼女は少しずつ自分をシルヴィーに似せて行く。それが他の家族に望まれていること。その点に同意していると彼女はおいしい食事が出され、部屋を与えられて幸せに暮らせる。そういう条件をパパと呼ばれている老人から強いられる。こっそりリタを思いやって話してくれる人がいたり、町に買い物に行かせてもらえたり、いくつかリタにチャンスがありそうでもある。
後記: ファンタ2日目最初に上映された作品。この作品が今回のファンタで最後まで私の中ではトップの評価。タイトルや紹介文を読んでも、ここまで練れたいい作品だとは予想できなかった。
紹介文通り、主人公リタは靴販売店が倒産するにあたって、新しいスポーツ・シューズを1足店からプレゼントされ、ポイされる。間もなく路上から拉致され、シルヴィーという別名を押し付けられ、「お前はこの家の娘だ、そのように振る舞え」と強制される。言い返しても聞いてもらえず逃げようとしてもうまく行かない。で、家人を見ると、皆からパパと呼ばれている老人、リタの兄役の男マルシ、アンナという女性、中年男、少年が家族とされていて、そこに新たにリタが加わる。パパ以外は皆どこかから連れて来られ、パパの家族になる事を強いられて、順応した人たちらしかった。実の娘シルヴィーはこの家から抜け出して、行方不明になっていた。
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ここから 「そしてついにある日、家族にされた人たちが全員パパをナイフで突き刺して殺し、自由を得たのだが・・・」 ここまで
2時間を超える上映時間だったが、そして私はここ3か月過労気味だったが、居眠りをさせないほど内容に力があった。ストーリーが支配と被支配のテーマを正面から扱っていた上に、演じる俳優の実力に説得力があった。結果、今回のファンタで私は1位という点を付けた。
カサノヴァ監督が来られなくなったら、代わりにコマサ監督が来て、観客の質問に応じてくれた。
ストーリー: 若い犯罪者をカップルがとっ捕まえて再教育を試みる。
監督: Suicide Room でファンタに参加。
トレイラー: 短いシーンが続くが、ストーリーの進み方に忠実にシーンを出している。
後記: 2011年以来の2度目のファンタ参加。ファンタ最終日3本目の上映。この日はジャンルとして合格点が取れる作品が並んだ。自分がこの作品のテーマになっている状況を経験している人には向かないし、胃痛を起こさせるが、そういうことに関係なく育った人には見ごたえのある作品に仕上がっている。
監督がゲスト出演。名前が日本風なので、「身内に日本人がいるのか」と聞いたら、「全く関係ない、妻の名前でもない」と言われ、奥さんを紹介してくれた。2人とも地味な風貌で、レッド・カーペットを着飾って歩くようなタイプではなく、職人風の印象。
コマサが使う漢字によっては「小政」となり得ることを知っていたようだった。で、「訓読みをするとコマサと読める、こういう風な字を書くのだ」と示したら、「小」が「小さい」という意味で、「政」が「政治」の意味になり得ることを知っているようだった。
さて、作品は今回のファンタでは2番目にいい出来と言えるかも知れない。
ある家族が英国内で孤立して生活し、家族関係は病的になっている。ある日マケドニア出身で不法滞在中の女性レナが週1回の通いの家政婦として雇われる。家族は父親クリスが非常に支配的で、妻キャサリン、息子ジョナサンは従順であることを強いられている。
普段やりたい放題をやり、パーティーに行くとドラッグを取り、めちゃくちゃな人生を送っているインフルエンサーの男トミーがある日ドラッグをやり過ぎ、目を覚ますとクリスの家の地下室にいて、自分に首輪がはめられ、首輪は長い鎖に繋がっていることに気づく。彼は鎖の長さの範囲でしか動けない。そこへ一家の長が現われ、彼に色々指図をする。
映画の前半はトミーが必死で反抗する様子が描かれる。キャサリン、ジョナサン、レナを説得して助けてもらおうとしても相手にされない。しかし時間が経ってトミーが少しずつ家族に溶け込み始めると、クリスはトミーが首輪をはめたまま家の中を多少自由に動けるようにする。トミーに取っては本物ではなく疑似家族になるが、実はトミーは脱走することを諦めたわけではなかった。ある日レナの身内のギャングがレナを取り戻すために後をつけ始めたため、事情を聞いたクリスたちはレナを同居させる。すると3人の身内の男がクリスの家に押し込み、レナをさらって行く。
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ここから 「そのやり取りの間にトミーはこっそりレナに鎖を外すための暗証番号を聞いていたが、さらわれる直前にレナはトミーに番号を教えていた。トミーはチャンスを狙って家から脱走することに成功し、自分のアパートに戻る。そしてかつて参加していたドラッグ・パーティーに出かけるが、クリスに捕まっている間にすっかり中毒から抜けたトミーは恋人を連れて自発的にまたクリスの家に戻る。
恐らくはその後彼はこの家にとどまり、首輪と鎖は使われなくなり、恋人がドラッグから抜けるのを助けるのだろうと匂わせて終わる。」 ここまで
で、ハッピーエンドなのだろうかと疑問を抱くのが観客の私。もしかしてこれはストックホルム・シンドロームではないかと思ったり、あるいはかつてソ連という国に従わされていたポーランドが一見静かで平和な形を取りながら、支配から抜けられなかった時代を示しているのだろうかと思ったり、途中からキャサリンの幸せのために何でもするクリスと主従の立場が実は逆転しているのではないか(監督によるとそうらしい)と思ったりする羽目になる。
原作: Caleb Phillips
ストーリー: 子供が誘拐され、母親は取り戻す方法を見つけ、戻す。しかし夫はその子が本当に自分の子なのかと考え始める。
監督: ファンタ初登場、長編2作目
トレイラー: 非常に短くて、どういう作品なのかをトレイラーから推測するのは難しい。
後記: 田舎に越して来た夫婦と子供1人という設定の作品は2つ目。1つ目はあまりぱっとしなかったので、こちらもあまり期待していなかったが、見てみるとこのジャンルとしては非常にいい出来だった。
イントロ部分でブロンドの少年オルソンが紹介される。子供時代に事件に巻き込まれて生き延びており、現在は60歳を超える年齢になっている。オルソンはマリーとポールの家にかつて親と一緒に住んでいた。地元の警官は彼の子供時代の事件を知っているので、マリーとポールの家の近くにオルソンが出没してもあまり厳しく取り締まらない。
マリーとポールは田舎に引っ越してまだあまり時間が経っていない。アフリカ系のポールと白人のマリーの子供はアフリカ系の特色を示していない。ポールは以前警官をしており、現在は保険関係の仕事のため家から結構離れた町へ出向く。そして冒頭別な女性と不倫していることが示される。それでいて帰宅すると家族思いの父親を演じている。どうやら自分の中では両立しているようだ。
ポールはあまり近所付き合いをしたがらないが、マリーは近所の人を呼んでパーティーをやろうと言い出し、実行する。そのパーティーの最中に生まれて間もない赤ん坊が消える。誘拐事件として捜査が始まる。そこへオルソンが現われ、謎の助言をし、地図を渡す。マリーはオルソンの言葉を信じて言われた通りの穴を発見し、そこから地下道に入り、子供にたどり着く。
子供を連れ帰るが、それから夫婦関係はおかしくなり、争いが頻発する。 そして観客には2人目、3人目のマリーとポールが現われたようなシーンを見せられる。
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ここから 「ここから話は2013年制作、2014年夏のファンタに登場した Coherence(ランダム 存在の確率)と似た展開に変わる。あちらは UFO を見るために集まった4組のカップルの話だが、こちらは夫婦と子供3人がいくつかのパターンで現われ、しかも殺し合いになるという血の滴る展開。」 ここまで
原作: 背筋(外国の人には原作者の名前の洒落が分からないだろうなあ。)
ストーリー: (モキュメンタリー)オカルト雑誌の編集部に勤める人の間に起こる失踪事件。ジャーナリストなので調査に乗り出す。その結果あちらこちらでかつての因縁が絡んでいたり、話がややこしくなる。
監督: ファンタ初登場
トレイラー: 私が見つけたトレイラーはナレーションも日本語で分かり易かったが、外国語を母国語にしている人にどのぐらい伝わるかは不明。
コメント: 漢字を使うある国の人たちは洒落が分かる。
劇映画というジャンルで日本がこれまでの枠を破るかと期待したが、そういう作品ではなかった。ただ、この種のジャパン・ホラーとしてはきちんとお約束を果たしており、このジャンルのファンの視聴には耐えると思う。
謎: 同じタイトルで石倉悠真監督、石田ゆり子、佐藤隆太主演の全く違う筋の作品があるという記事がネットに載っている。こちらについてはストーリとロケについては詳しい説明があり、監督、制作年については全く不明。この監督名で探しても誰も出て来ない。
ストーリー: 片想い、1人の人を2人の人が好きになる、ストーカー化するなどごちゃごちゃしたところで、死人が出る。
監督: 吉本のお笑いタレント、アメリカ在住
トレイラー: 短いシーンをたくさんつなげているが、ストーリーの雰囲気や内容が上手く伝わっていない。実際に見てみると近畿地方のある場所についてより出来がいいように思うので残念。
後記: 監督が本編上映前、2、3分メッセージを送って来るが、そこでの自己紹介が下手で、損をしている。喋り方、目線から慣れていないことが分かる。本職が映画監督でなく、まだファンタのようなフェスティバルに慣れていないためと思われる。
そういうイントロと違い、本編はこのジャンルとしては立派な出来だった。初戦でいくつかの国の賞のノミネートや受賞に達している。
ストーリーは相思相愛にたどり着けなかった女性と、彼女から愛を打ち明けられたもののすでに他に恋人がいたり、彼女がタイプでなかったため正直にノーと言ったばかりに酷い目に遭う周囲の人たちを描く一見オムニバス形式に見えないオムニバス映画。
惚れる側の女性上原早苗の惚れ方が尋常ではなく、自宅には惚れた相手の増村宏をモチーフにした像がやたら並んでいる。それを見ただけでストーキングを経験したことがある人はゾ〜ゾ〜ゾ〜。そして増村が思ったように反応してくれず、ムカッと来ていた上原だが、誰かが彼女の気持ちを察してか、増村を殺してしまう。
事件に不信感を持った早苗は事情を調べ始め、ある家族にたどり着く。彼女の意をくんで増村を殺した犯人が禍禍女であったというのが結論。
今回のファンタには支配欲を愛情と取り違えることを描いた作品が多かった。自分の気持ちが1人の人に集中してしまうとこういう出来事にエスカレートし易い。私の時代には学校、近所の人たち、親類縁者などが適度に小さい子供に「そういうのはダメよ、広くみんなと仲良くしなさい」と教えてくれたが、核家族中心の社会になってから、孤独なためちょっと自分に構ってくれる人の気持ちを恋愛感情と勘違いしたり、色々行き違いが起きる社会に変わって行った。私はそういう時代をずっと見て来ている。
またその過程で間違った愛情を示される側の困難を描いた作品もあった。 「分かってんじゃん」と思う一方、「なぜここまでエスカレートさせたんだ」という気持ちにもなる。
原作: Taratoa Stappard
ストーリー: 孤児の女性が謎の手紙を手掛かりに先祖について知ろうとヨークシャーにやって来る。迎えてくれた家は歓迎してくれるが、何かが変。
監督: ファンタ初登場、長編デビュー、マオリ人
トレイラー: 主演の女性は現在実際にある王国の王子と結婚してしょっちゅう話題をまいている女性と顔立ちが似ている。
トレイラー中のシーンは本編の話の重要なポイントをうまく並べている。マオリ語の文法は欧州、ウラル・アルタイ系の言語と全く違う。それを登場人物の英国人が時々喋るという設定になっている。
後記: 人生で1人だけマオリ族の知人がいた。その人は名前を15個持っていた。私が全部暗記したら驚いていた。その人は大学を出て日本にキリスト教の宣教のために来ていた。自国でキリスト教に入信していた。穏やかな性格の人だった。マオリ族と言えば戦闘前にハカを踊る、怖い人たちらしいのだが、彼は非常に物静かだった。その人の名前は15個だったが、聞くところによると彼の知人のマオリ族の人もたくさん名前を持っているそうだ。
さて上映された作品では主人公はマオリ族の女性で、マラマという名前。時代は1859年。なので私の知っていた人とは全然違う環境。ニュージーランドから行った先の英国では英国人でも女性が下に見られ、現代のような社会生活はずっと後になって導入されるといった状況。コールの身内が送った手紙がきっかけでマラマはたった1人、長旅の末ヨークシャーにやって来る。大きな家の主コールが彼女を歓迎し、孫のアンの家庭教師の仕事をオファーする。
一見歓迎をされているような言動のイギリス人側だが、家にはマオリ族から奪った戦利品が飾ってあり、マラマにとってはあまりいい気分ではない。この時代、植民地の被支配者側のマオリ族は英国人にいいように扱われており、マラマの親族の首がコールの家に飾られていた。不信感の頂点はコールが催したパーティー。そこで侮辱されたマラマはハカの精神で強く言い返し、戦う。
長編デビューとは思えない力強い作品。
監督自身は英国生まれだが、母方がマオリ系。近年欧米のリベラル系、活動家系の監督が植民地時代の反省をテーマにした作品を作ったりすることがあるが、やった側が謝罪と解釈する内容が、やられた側の考えとずれていることも多く、説得力が無いことがある。この作品はその点本質に近づくことにそういった作品よりは成功している。
原作: Jordan Mark Windsor
リメイクか: 2024年に Help, I'm Alien Pregnant という短編を2人で作っている。
ストーリー: 宇宙人の子を身ごもった女性。周囲には秘密が守れないかあちゃん、話を信じない医者などがいて、一体彼女はどうすればいいんだ。
監督: 長編デビュー、ファンタ初登場、これまでは短編と音楽ビデオを2人で作っていた。
トレイラー: あまり金持ちでない人が住む住宅。母娘の家庭と、母息子の家庭が知り合う。娘と息子はすぐセックスに取り組む年齢、即実行。ただ、その青年は地球の人類とは全く違う形の性器の持ち主。トレイラーはその母娘が、母息子の家を訪ねるシーン。
後記: 過去にこの種の作品を何度か見ているので、特にこの作品が抜きん出ていいとは感じなかった。ただ、監督2人がピーター・ジャクソンの後継者を目指しているのだとすると、合格。
原作: 監督本人の話、執筆にもう1人加わっている。
ストーリー: 英国人の夫とフィンランド人の妻が妻の故郷の田舎に家を構える。2人の生まれたばかりの子供の様子が変だと妻は感じる。周囲の人は大丈夫だとなだめる。妻だけが妙な予感がして、心配する。実は古い言い伝えがあって・・・。
監督: 長編2作目、これまで作った2本は両方ともファンタに参加。
トレイラー: いくつも出て来るエピソードの一部分がトレイラーになっていた。近所の人とガーデン・パーティーをやる中、妻だけが上手く馴染めていない。赤ん坊は確かにちょっと変。泣き方がヒステリック。暗い所にいたがる乳児というのは確かに変。
後記: 夫婦が田舎に越して来て生まれて来る/生まれたばかりの子供と3人でいい生活を夢見て・・・という風に始まる作品が、今年は2本あった。1つは Imposters。
全体を見ると、複数のテーマを盛り込み過ぎて、うまくこなれていなかった。同じ日に上映されたハンガリーの映画は、そこがうまくこなれていた。活動家的にフェミニズム、肉食、夫の横暴などを取り入れたつもりらしかったが、夫はそれほど無茶苦茶な DV 男ではなく、妻には言い返すチャンスがあった。妻はむしろ1人で徐々に狂って行く。
原作: Curry Barker
ストーリー: 幼馴染に恋をしている音楽店の店員。魔法の力で彼女は店員に惚れ込むが、彼女の愛情は間もなく行き過ぎた執着に変化。
監督: ファンタ初登場、長編2本目
トレイラー: ストーリーの概略を紹介する形になっている。ニッキーのエスカレートぶりはトレイラーより凄い。
後記: ニッキーに片想いをしているベア。2人は他の若者と一緒に楽器店の店員をしている。ベアはある日好きな人の気持ちを自分の方に向かせるために骨董品店で買った物の助けを借りる。すると確かにニッキーはベアに恋をしているようで、2人の関係は近くなる。しかし2人の関係は極端にエスカレートし始め、狂暴な支配欲が現われて来る。
ファンタとしては珍しくスターが出演。
リメイク: 現在86歳のマルコ・ベロッキオ監督の1965年の作品ポケットの中の握り拳/I pugni in tasca。
原案がベロッキオ監督自身の物 で、長編デビュー作、音楽がウェスタンを手掛ける前のエンニオ・モリコーネ。リメイクのため、脚本のクレジットにベロッキオの名前もある。
ストーリー: アメリカの金持ち一家がスペインに別荘を持っていた。やりたい放題贅沢、我儘を通していた4人兄弟。母親は亡くなり、父親は盲目。ある日長兄がガールフレンドと一緒に暮らしたいと言い出したため、家族の絆は揺れ始める。4人は本来行けない家族関係を持っていた。
トレイラー: 特権階級の家族のメンバー、ゲストの人物の紹介が前半。後半は事件の一部分が短いシーンで紹介される。
後記: 英語を話すアメリカ人という設定。
大金持ちで、カタロニアに別荘を持っている。そこに集まって来た一家のメンバーは、盲目の父親、母親はオオカミに食われてちょうど死んだところ、長男ジャック、次男エド、長女アンナ、三男ロバートが子供たち。長男の恋人、エドの友人も来ている。盲目の父親は独裁的、兄弟姉妹は近親相姦の関係にあるため、長男が恋人を連れて来ると波が立ち始める。親の金があるため、子供たちは職業的に自立していない。エドは一家に対して批判的で、これを機に家族を破壊するつもりで計画中。
ドイツ、イタリア、スペイン、英国、米国の共同制作。そのためかテーマがぼやける。ブルジョア的な人々への批判なのか、家族関係への批判なのか、上層階級だったり金を持ち過ぎると家族関係からモラルが欠如すると言いたいのか、今一つはっきりしない。いくつかの他のテーマも含め全部批判したいのだとしたら、規模が小さく収まり過ぎている。
もしかして、この5か国で特権階級とか金持ちの定義が違うので、脚本の段階で話がまとまらなかったのか、脚本家、監督にその知識が無かったのか・・・。
個人的な感想: 過去にも大金持ちの特権階級が住んでいる家が映る作品が何本かあったのだが、もしそこで示されている家屋、(たいていある)プール、近代的だが病院の手術室か警察の死体置き場かと思えるひんやりした、片付き過ぎた台所、ステレオタイプのベッドルーム、風呂などを見ると、私が大金持ちになったらこんな家に住みたくなるだろうかと疑問に思ってしまう。広い土地が近所の人との付き合いを阻むし、恐らく自分で買い物に行ったりはしないだろうと思われるような所に建っている。これが長年働いて得た大金の使い道かと思うと、この種の話は自分がそんな贅沢ができる環境に無いことを無視して考えても、貧乏性のままいようと思う。
原作: Natalie Erika James
ストーリー: 医学生が経験するフィットネス、体重減量をめぐる騒ぎ。
監督: 長編3作目、 2020年に Relic で初登場
トレイラー: 無し。
後記: 主演のミドリ・フランシスは日系。父方が日系、母方が欧州系。舞台に出ることもある。
医学を勉強中のハナはさほど太っていないが、自分は太り過ぎと自認し、痩せようと努力し始める。以前かなり太っていて、今はすらっとしている友人に痩せ薬を紹介され、試してみる。1錠目で効果を確認。2錠目を取らないところがこの作品のミソ。彼女はカプセルの中身を分析し、自分で材料を集め、作ることに成功。その薬に依存し始めるが、ハナが大好きなフィットネスのコーチは彼女の痩せ方に疑念を抱く。
ハナが作る錠剤の材料の一部は死人の体。そのため医学部で勉強しているというのは好都合。授業の無い間にこっそり授業で使われる死体の一部を盗み出すことに成功。この辺りがホラー。
監督: 同名の人物が2人いて、2人ともこの作品に関わっている。1人は俳優で、監督としてはデビュー。もう1人は18作(音楽ビデオや短編が多い)作っていて、この作品が最新作で、その前に長編を1本撮っている。冗談好きの監督のように見えるので、1人で2人分活躍したのかも知れない。要確認。
ファンタには短編で2015年から参加、長編は2本、今回はミニ・シリーズで参加。
ゲストとしてベルリンに招かれていたが、体調不良でキャンセル。代わりにポーランド人のコマサ監督が来た。親切に話をしてくれ、奥さんまで紹介してくれたので、私としてはその方がうれしかった。
ストーリー: ペスト流行中の欧州。吸血鬼姉妹は血液不足に陥る。何百年か経ち、80年代の2人の子孫もエイズのおかげで感染危機に直面。
監督: 同名の人物が2人いて、2人ともこの作品に関わっている。1人は俳優で、監督としてはデビュー。もう1人は18作(音楽ビデオや短編が多い)作っていて、この作品が最新作で、その前に長編を1本撮っている。ファンタには短編で2015年から参加、長編は2本、今回はミニ・シリーズで参加。
本編前に短編映画3作品上映
Eat My Shit E 2015 3 Min.
I’m Sorry, My Love E 2018 7 Min.
You’ll Never Throw Me Out E 2016 8 Min.
トレイラー: 出来が良く、是非見てみたいと思わせる。
後記: スペインや南米には時々極端な表現を使いながらおもしろく仕上げる独創的な作品があるので、期待したが、今回は居眠りしてしまった。残念。あと一歩、何かで軌道に乗れば大成功は可能な印象。
ストーリー: 数日前に父親が亡くなったのに、母親が全然驚いていないことに、実家を訪ねて来た娘はびっくり。
監督: デビュー、ファンタ初登場、普段はテレビか短編を作っている。
トレイラー: バランス良く登場人物を紹介しながら、話の展開を示している。
後記: 週末に両親を訪ねるために帰京したイザベルは母親の変な様子に気づく。自分が来ることを覚えておらず、父親と従兄弟が最近死亡し、埋葬は終わっていた。母親は特に悲しんでいるようでもない。家も荒れた感じで飼い犬は行方不明。何かしら健康問題を抱えているらしき母親を隣人で引退した医師のトゥーパンが世話していた。町の人たちも彼に世話になっていた。
2か月前、父親がまだ生きていた頃、長い間外国にいた医師は病気のスウェーデン人の妻を連れて町に戻っていた。この医師は自然と動植物について独自の考え方を持っていた。映画の中で話が進行し、それが欧米人には劇的な、悲劇やホラーとも受け取れる結果になって行く。
私見: 日本人だとこの作品のある部分までは一緒について行けるが、最後の受け取りはああいう風な劇的な話にはならないと思う。神道の影響なのかも知れない。
日本人は特にどこかに入信して、「自分は〇〇教徒だ」と自覚している人は外国と比べると少ない。ただ、「自分も自然の一部」と感じ、「死後は土に戻って行くのだ」とシンボル的に解釈している人は多いように思う。
長期に日本を空けると考え、出発までの数年間1人でリュックサックを背負って行ける限りの所を旅行してまわった。その時見た東北、九州の山、島、神社、寺、横溝正史の小説に出て来そうな田舎、地元の人が使う温泉など色々な所へ行き、見た(中には近年の地震でやられてしまった所もある)。そうするうち自分が自然の一部だという気持ちが起きていた。なのでこの作品のように「人間もいずれ土に帰る」と言われれば、「ああ、そうですか」と、別に反対意見は浮かんで来ない。
ただ、そこ(死)に至るまでの時間は楽しく、普通に、自然に生き、いつの日か老衰で死ぬか、運悪く病気や事故で死ぬか、そこは天に任せ、その前に特にあれこれやらないというのが私の個人的な生き方、考え方だ。その部分ではこの作品を見て大きな違和感を感じた。
長編のデビュー作としては結構うまくまとまっている。将来あまり思想にこだわらない作品を期待。
ストーリー: 一夫多妻の習慣のある国で、2人目の妻を迎えたために起きる家庭内のぎくしゃく・・・なのだが、これはホラー映画。
現実生活: ある国の知り合いが一夫多妻で、私の知り合いの家の母親と子供は第二夫人の家庭。第一夫人ともコミュニケーションがあり、揉めている様子は無かった。すでに亡き夫は戒律通り両方の家族を同じように扱った様子。
監督: ファンタ初登場、アラブ首長国連邦人。父親は首長国連邦人、母親はクウェート人。カリフォルニア州立大学で勉強。
トレイラー: バランス良くストーリーと人物を紹介している。
後記: 中東から今年は2作来ている。1作目は今回のファンタの初日に2本目として登場。1作目があまりぱっとしなかったので、2作目が良さそうに思えたが、お金はサウジアラビア、スタッフは英語圏中心で、いかにも欧米が作りそうな勝手な解釈の話で、現実味があまり無かった。
それに比べるとこちらは筋書きがすっきりしており、アラブ首長国連邦の現代の一般女性やティーンエージャーの女の子の日常が描かれており、町や建物が見られ、アラビア語のアクセントがサウジアラビアやエジプトとちょっと違うところも分かるという、まだ行ったことの無い国の事情まで分かり、楽しく見られた。
大金持ちというほどではないが、家族を養う収入は十分あるカリドには第1夫人アマニと高校生の娘ノールがいる。ある日カリドは家に第2夫人ザーラを連れて来る。アマニは男の子を生めず、ザーラは男の子を妊娠中。
最初はアマニ、ノーラ対ザーラの派閥になってしまう。しばらくするとザーラはノーラを自分側になびかせることに成功する。妹の力も借りて必死で娘ごと自分の側をきっちり確立させようとするアマニだが、徐々に飛んでもないことに気づき始める。
ネタバレ PS ・・・ マウスの左ボタンを押しながらカーソルで上をなぞってください。
ここから 「ザーラの産む子供はカリドの子供ではなく、悪魔の子供で、誕生までザーラはカリドの家を利用していた。一種の宿借幽霊話。」 ここまで
ストーリー: 暴力親の元を逃げ出した幼い姉と弟。人里離れた大邸宅に隠れる。しかし隣人たちがスナッフ映画制作の犯罪者だと気づく。
コメント: 子供や女性が暴力や犯罪の犠牲になっているという報道は近年非常に増えた。そういうテーマで映画も次々に作られる。しかし私の目にする報道の範囲では、救出された人たちがその後どうやって暮らしているのかとか、国がどういう対策を取り始めたのかと言った、「事件後」の報道が無い。
監督: ファンタ2本目、長編5作目
トレイラー: 姉弟の仲の良さ、2人が逃げ込んだ屋敷で見つけた不気味な物、事が中心。
後記: 暴力的な父親から逃れるため弟と一緒に家出をした姉ルシアと弟アドリアン。見つけた屋敷に入り、身を隠そうとしたまでは良かったが、そこはスナッフ映画制作の現場だった。そのためその組織暴力団から逃げるのが次の目的になってしまう。
ネタバレ ・・・ マウスの左ボタンを押しながらカーソルで上をなぞってください。
ここから 「それだけでも映画1本のテーマとしては十分だが、もう一捻りあった。実はこの姉弟は吸血鬼の子孫。自分たちが人の血を吸って生きて行く道から出ようというのが家出の目的の1つだった。
皮肉なことにラストではスナッフ連中と戦う2人を助けに来るのが吸血鬼の親父さん。ところがルシアは戦いの最中にスナッフ・ティームの所にいた怪物に噛まれてしまい、自分が怪物に変身するのは時間の問題と悟る。そのため、父親と弟を外に出し、自分は建物の中にカギをかけて閉じこもり、日光を浴びて自殺する。 」 ここまで
ストーリー: 制作国はカナダとアイルランドだが、アメリカのハイスクールを舞台にした大騒ぎ・コメディー・ホラーの系統。
高校生メイソンがロッカーにアステカの笛を入れていた。考古学者が喜びそうな物。メイソンはバスケットの試合で最後に1点を入れ、チームに勝利をもたらすのだが、直後シャワーを浴びている時に変な生物に襲われ、全身火傷で黒焦げになって死ぬ。
半年後転校してきた女学生クリスが使い始めたロッカーを以前はメイソンが使っていた。またその笛の入れ物が置いてある。クラスで人気者だったメイソンのロッカーを使おうとしたことで、ティーム・メートはクリスを苛めようとする。従兄のレルが近くにいて助けようとするが、揉め事に参加したとみられる数人の生徒は教師クレイヴンから呼び出され、お説教と罰の宿題をさせられる。クレイヴンはメイソンが持っていたアステカの笛を見つけて吹いてしまったため死亡。
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ここから 「このようにその笛に関わった人が次々に死んで行く。しかしこの笛をグアテマラから持って来た老女から呪いの消し方を聞き、まだ残っているレル、クリス、エリーはそれを試そうとする。しかし学校付近をうろつきまわってドラッグを密売している青年牧師ノアに阻まれ、レルは死んでしまう。牧師もその呪い事件に巻き込まれて死亡。お互いを助けようとしていたクリスとエリーは取り敢えず助かる。」 ここまで
しかしラストで事情を知らない転校生がクリスのように笛をロッカー内で見つけ、全校生が集まっている催しの最中にその笛を吹いてしまう。
監督: 長編3本目、ファンタ2本目
後記: この種のジャンルとしてはうまくまとまっており、長編3本目には思えない出来。この種の話が好きでないと乗れないけれど。
余談:サイモン・ペッグと2人でショーン・オブ・ザ・デッドなどを作った元ウェイターのニック・フロストがクラスの教師として出演。
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