Maple | カ エ デ ( 楓 ) | HOME |
◇ たかがカエデ、されどカエデ | カエデに関する筆者の想いを記述 |
◇ ヴァイオリンに使われるカエデ | カエデの「杢」によるグレードの違い |
◇ つぎのテーマは思案中・・・?? |
たかがカエデ、されどカエデ・・・ ヴァイオリンの裏板、側板、ネックにはカエデの木が使われています。駒にも、白木のままでカエデを使っています。 それも、一般には本場のヨーロッパ・カエデを使い、しかもフィドラー・バック(ヴァイオリン杢)という、美しい水平の波目模様が入っています。 この模様のことを「虎目」とか「虎斑」という人もいます。 英語ではフレーム(flame)といい、これには「炎」という意味があり、寝かせて見れば炎に見えないこともありません。 カエデの種類?によっては、小さな節目に似た模様で、それがあたかも鳥の目のような形をしているトリノメ・カエデというものもあります。 これは、ドイツ産のものなどにときどき使われています。 アメリカの作家たちは、地元・北米産のビッグ・リーフ・メイプルや、カーリー・メイプルという樹種のものを使う作家もいます。 カエデを漢字で書くと「楓」、木と風とを組合わせてできています。 なんと、風雅な字でしょう ! きっとこの字を考えた古人は、紅葉した楓の葉がひらひらと風に舞う様から想像したに違いありません。 読者の皆さんは、きっとカエデの種など見たことがないかも知れませんが、カエデはその種子にも大きな特徴があります。 その形や大きさは、ちょうどアシナガバチの、1枚の羽根のような形をしているのです。 その、羽根の付け根にあたる部分に胚(種子)があり、木から離れると、 羽は風に流されヒラリヒラリと、ヘリコプターのように回転しながら遠くに飛んでいきます。 一方、クヌギやカシ、ナラやブナ類は、大小さまざまなドングリが種子です。 それをリスや鳥たちに運んでもらい、自分の木からできるだけ遠くに運んでいくよう工夫をこらした進化をしています。 もしそうではなく、親木の真下にすべての種を落とし、それが発芽して育ってしまうと 苗木たちは、親の木のために太陽の光をさえぎられ、大きく育つことができません。 また、あわよく周囲一面に子供たちが大きく育ってしまったら、こんどは、親木自身が窮屈になるばかりか、生命さえもあやうくなりかねません。 そのような理由から、あるものは甘く、おいしい果肉を準備し、しかも、種には固い殻をつけて、 鳥や獣に食べさせても消化されず、糞と一緒に、遠くに運ばせる仕掛けをつくりました。 また、タンポポやススキのように、微細な繊毛の羽根をとりつけ、パラシュートのように、風に運ばせるものもあります。 スミレやホウセンカのように、バネで種子を飛ばす方法だって存在します。 どんな植物でも、どんな動物でも、この世の生き物たちは、自分の子孫を、できるだけ広い地域に、 また、あらゆる環境のもとに分布させようと、このようにさまざまな方法を駆使して生き残ってきました。 それは、急激な環境の変化や、天変地異が起きてたとしても、 自分たちの子孫がどこかで生き残ることができる、生物に与えられた唯一の知恵なのです。 あんなに大きなカエデも、なぜか、種子の運搬手段には風を選んだのです。 そうした意味からも、カエデの漢字「楓」は、ひときわ私の心に想いをはせるものがあります。 イラストは、北米からカナダに自生するビッグ・リーフ・メイプル(オオバカエデ)です。 |
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◇ ヴァイオリンに使われるカエデ 国内のヴァイオリン資材・専門業者から入手できるドイツ系のカエデ素材には、だいたい4〜6つのグレードに分かれています。 その一例を表記します。
上の表は、通常の、中央で接ぐ2枚1組の「標準タイプ裏板」とお考え下さい。 ここに、[ flame ] という単語が使われていますが、この単語の本来の意味では「炎」や「火炎」のことを指します。
そのことからも、フレームはいわゆる「ヴァイオリン杢」を指す業界用語?であることが推測できます。 そのため、あえて私は「斑模様」と訳しましたことを注記しておきます。 材料価格として、なにも斑模様のないスッピンのカエデの価格を1とすると、それぞれのグレードは上記のようになります。 例えば、スッピンのその1を千円としても、最高のものは、約5万円もすることになります。 ということからも、まだ習作段階の筆者は Well Flamed 止まりで、それ以上のものを買った経験はありません。
こちらは、中央で接ぐ必要がない一枚板のランクで、価格比率は、あくまで前表の( 2PCS.BACK )の、いちばん安いものを基準にしています。 |
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これらは、いずれも原木から切り出されたもので、2Pcs.のものは「ミカン割り」の切り込みが入れられた状態です。 この他にも5、6割ほど高くなりますが、大まかに機械加工されて、ある程度削られた「半加工品」もありますから、 マンション工房や、体育会系ではない、力のない方、ご婦人にはいいでしょう。また、ヴィオラ用のものは、大きくなる分、2、3割、高くなります。 |