swallow3


「エッセイ」 
『 ホームステイのツバメ V 』 The Swallow in our Home stayers.
我が家に飛来し続けて数年、すっかり家族の一員的存在の彼ら

HOME

Back

2004年 4月 18日、我が家に再びツバメが飛来。

でも、今年のツバメはピーではない。寝るところも、止まるところも違うし、第一、身体の色艶が違う。

今年の個体は、ピーよりずっと標準的な色だし、若々しい感じがする。

多分、本当に多分なんだが、わたし達夫婦としては、このツバメは絶対にここで生まれたピーの子供か、孫だと思っている。

その後、古い、崩れかかった巣に、彼ら夫婦は一生懸命に田んぼの土、藁クズを運び<巣作りをし始めた。

ピーではなくても、やはり嬉しい。

それではと、家内に頼まれて、巣の真上にあたるテントの壁のわずかな隙間にはそっとシリコン・コーキングを詰めてやった。

雨が一滴も漏らないようにして、安心して子育てができるようにするためだ。

ドアーの出入りにしても、シャッターを開け閉めするに際しても、極力、静かにやって脅かさないようにしたり、新聞や郵便物を取り出す際にも、

外に置いた観葉植物の水やりにしてもわざと、巣の方を見ないようにしている。

◇  ツバメの話 その6. 孵化

5月30日、この日は日曜日。だから、わたしが事務所のシャッターを開けることはない。

家内が、事務所の外で飼っているウサギに餌をやりながらシャッターをひらくのだ。

そして、戻ってくると、・・・『ほらほら、見て、ツバメが孵ったヨ』といい、大切なガラス細工でも運ぶようにそっとわたしの前に出した。

その手の上には、小さな卵の抜け殻がいくつか乗っていた。

「巣の真下に落ちてたから拾ってきた・・、ツバメの卵って、こんなにゴマ塩だったんだね」と続けた。

「ほんとだ!」ツバメの姿からは想像できないような、まさに胡麻塩。 どうやら、4羽は孵ったようだ。

考えてみると、ピーのときには一度も卵を見ていなかった。

ピーたち親鳥の習性で、抜け殻をわざわざ用心のために巣から離れたところに捨てたものか、

われわれが気がつかなかっただけのものか、ともかく、今回、はじめてのご対面だったわけだ。

薄い瀬戸物でつくられたようなもろさと、美しさだ。

翌日、月曜日の夕方までに、さらにひとつが孵ったようで、また、家内が拾ってきた。

確かに、今年も我が家でツバメが巣引きをして雛は孵った。だが、この親鳥たちはピーとは違い、全く、よそよそしい。

われわれに挨拶するような飛び方も、鳴き方もしない。

夜だって、抱卵しているメスは別にして、どこで寝ているのか全く見あたらない。

そう思うと、手が届くようなところで毎晩寝ていたピーは、やはり身近な存在だったし別格だった。


◇ ツバメの越冬先   2008.1.3 NHK『ダーヴィンが来た』新春スペシャルから
その番組の中で、上越に飛来してくるツバメに足輪をつけて、その越冬地の追跡調査したことが正月の三が日に報道されたが、

それ は、私にとってはとても嬉しい内容のものであった。

飛来先は、ボルネオ島・マレーシアにある富士山のようなキナバル山の近くであるという。

日中は、山間部で餌を食べ、夜間だけは近くの都市部へ全部のツバメが集まり、電線をねぐらにしていた。

(右の写真・NHKサイトのアーカイブより)

明るい都市部は、夜行性のフクロウなどの外敵も来ないし、夜間は目が見えないツバメも

明るい都市部では逃げることもできるのだという。

しかも、数十万もいただろうか、見渡す限りの電線に鈴なりになっていた。

しかも、住民たちからは日本同様、縁起がいい鳥として大切にされているという。こいつは春から縁起のいい嬉しい話だ。
 
レポーターにはチャラチャラしたお笑い芸人ではなく、小生にとっては好感度ベスト○○ぐらいのベテラン・アナ、桜井洋子女史(左の写真)。

その上、その取材先が以前、ラン仲間たちと一緒にいったことのあるボルネオ島であり、興味をもって見ないわけはないのである。

われわれは、東京ドームのラン展で募集した「ラン・ツアー」で出かけたのだか、募集人員がなかなか集まらず、 何度か流れたあとの

催行であったため、少人数だったが、本当にラン好きなものだけが集った楽しい旅行だった。

桜井さんの、この写真と同じようなバザール(市場)にも行ったので、この番組は見ていて懐かしい風景も見られた。

キナバル山の標高は4,101mと、富士山より高く、その周辺には、固有のランがいっぱい自生しているのである。

とりわけ、パフィオペディラム属のロスチャイルドディアナムは、ランの中でも希少種であり、

マニアの誰もがあこがれる酔狂の的でもある。

その上、栽培が難しいものでもあり、花も咲かせにくい。だから栽培家にとっては、

その自生状態を見るだけでも一見に値するものである。

右の写真が、そのキナバル山。 このランは、ここだけに存在する自生種なのだ。

このあたりは亜熱帯の文字通りの「雲霧林帯」、なかなか霧が晴れず全容を見ることはできないのだが、

見晴らしのいい峠で、バスを降りて小休止。その際、雲の切れ目が広がり、われわれを歓迎するかのように頂をあらわにしたのである。

この日は、これからクンダサン村というところにある『自然保護植物園』にいき、ほぼ自生状態のランを見に行く途中のことであった。

この花が、そのパフィオペディラム属のロスチャイルドディアナム(Paphiopedilum rothchildianum)。 植物園で見ることができ、

感動してシャッターを切ったものである。この種は、大きいものだと、ツーンと左右に張った花弁が30cmにもなる。

カトレアがランの女王なら、これはまさに王様的な存在。

この花や、その自生状態が見たくてはるばるボルネオまでやってきたのだ。

丁度、今、筆者の温室では、この種の株の花芽があがってきている。

その株は、アメリカで人工交配された良個体(ラン展等での入賞歴があるもの)同志の実生苗から栽培したもの。

われわれがよった市場も活気があり、文字通り「原色の南国」であり、

果物はバナナのようなものでも非常に美味かったし、マンゴーやパパイヤなども絶品だった。

キタコナバルから、このツアーのメインであったこの植物園に行く途中、山岳鉄道の

発着駅であるビューポートというところで2時間ほどの自由時間があった。

それで、駅周辺を散策したのだが、その際、日本にいるツバメと同じと思われる種を何度が見かけた。

そのツバメを撮しながら、異国情緒あふれる町並みを撮影した記憶があったので、アルバムを丁寧に探したが、

残念ながら、それは見つからなかった。そんな体験があったから、今回のこの番組は「やはり、そうだったか」と納得した次第。

食べ物は美味かったし、マレーシア領ボルネオの人たちの人の良さもあり、本当にいい旅だった。

私の、ラン栽培専門ページはこちら→

08.1.3 追記
Back HOME Profileに戻る Page Top