兼題 竹皮を脱ぐ 朝焼け 芝刈る 席題 立夏 |
東人 檣頭に風の輝ふ立夏かな 朝焼けやホテルの窓の指の文字 竹の皮脱ぐやこまかく竹誘ひ 身のどこか細りて竹の皮を脱ぐ 芝を刈る朝の雫を地に還し 千恵子 灯ともせるままに朝焼け摩天楼 開け放つ蕎麦屋の座敷初燕 帽白き父の写真や夏来たる 脱ぎ切れぬ皮腰の辺に竹伸びる 刈り終へて闇より芝の匂ひけり 正 夏に入る庭に椅子置くレストラン 朝焼のキリマンジャロに象の列 公僕は受難の時代芝を刈る 竹皮を脱ぐや少女は家を出づ 藤の雨宇治十帖の昔より 利孟 皮を脱ぎ光の生るる姫の竹 朝焼けや魚を仕分けの戻り船 Tシャツに白を増やして更衣 西瓜苗売るやその味請け合ひて 鬼ごつこするかの二台芝刈り機 |
希覯子 皮脱ぐを待ちて竿師の竹選び 沓脱ぎに童下駄あり芝を刈る 神宮は鴉の天下夏に入る 朝焼や濯ぎの手巾風に乗る 芝刈機立てたるままに小休止 翠月 夏来たる一羽に続く鳩の群 芝刈りの工夫のあとの縞模様 たけ皮を脱ぎて若さの深みどり 朝焼けや海に黄金の潮の絵図 花冷えや「ファイト」和唱のランニング 武甲 竹の皮脱ぎて若さを競ひけり サミットに余念なき島夏来たる 芝刈りの慣れぬ嫁女の白頭巾 朝焼や初航海の波高し 渋滞で時機を逃して潮干狩 白美 大股で歩きはじめし立夏かな 重版の決まりし本や今年竹 朝焼けや包丁の音とんとんと 毛並み良きコリー寝そべる芝を刈る 若葉風猫背深まる君を愛しむ |
箏円 埋蔵金守りて竹は皮を脱ぐ 夏立ちぬ硝子の扉閉ぢられて 女子大のチャペルの塔や芝を刈る 朝焼けや常より遅き鳥の声 片恋のジンクスの池ボート漕ぐ 美穂子 芝刈るや子も真似て持つ花鋏 竹皮を脱ぎ柔肌に光満つ 夏立つや絵を添へてくる旅日記 巫女二人髪梳かし合ふ立夏かな 朝焼けや天辺より湧くビルの群 和博 朝焼けに浮かぶ比叡の立姿 芍薬の辺りの緑睥睨す 竹の皮脱ぎてすつくと空を向く 芝刈りのふと手を止めて蟻睨む 公園の緑色変り夏来たる |