兼題 水仙 厳寒 席題 湯冷め |
東 人 厳寒や蚤の市立つ石畳 花街の路地ひたひたと湯ざめかな 水仙や足元刻む涛の音 貫 良 水仙花亡き人偲び活けてみる 湯冷めして鎮守の森のこつ然と 唐津窯くろぐろ咲けり水仙花 内 人 思惟像の鐘聞きており野水仙 残り香の消えゆく朝や黄水仙 大根の歯ごたえゆると湯ざめかな 衾 去 水仙花戀の噂の妻を抱く うたた寝の猫抱き寄せし湯冷めかな 厳寒や酒教はりしひと見舞ふ 金 魚 厳寒に素足の子らのほほそまり 湯冷めして昨日の酒を忘れさせ 喧騒と離れて咲きぬ桃水仙 |
利 孟 窓を閉め湯冷め叱るか母の声 明り探る水仙の香のみ吾を待つ 厳寒に心鎮みて刃振る 電 柱 朝風呂の空に水仙花ひらく 厳寒にももしきはかず年もすぎ ふつかよいまだ残りたる湯ざめかな 玄 髪 雪解けの水辺に群れる水仙花 どてら着て足を早める湯ざめかな 厳寒の土踏む足に霜柱 |