第1回原宿句会
平成2年2月6日 原宿オンデン

   
兼題 水仙 厳寒  
席題 湯冷め  


  東 人
厳寒や蚤の市立つ石畳
花街の路地ひたひたと湯ざめかな
水仙や足元刻む涛の音

  貫 良
水仙花亡き人偲び活けてみる
湯冷めして鎮守の森のこつ然と
唐津窯くろぐろ咲けり水仙花

  内 人
思惟像の鐘聞きており野水仙
残り香の消えゆく朝や黄水仙
大根の歯ごたえゆると湯ざめかな

  衾 去
水仙花戀の噂の妻を抱く
うたた寝の猫抱き寄せし湯冷めかな
厳寒や酒教はりしひと見舞ふ

  金 魚
厳寒に素足の子らのほほそまり
湯冷めして昨日の酒を忘れさせ
喧騒と離れて咲きぬ桃水仙


  利 孟
窓を閉め湯冷め叱るか母の声
明り探る水仙の香のみ吾を待つ
厳寒に心鎮みて刃振る

  電 柱
朝風呂の空に水仙花ひらく
厳寒にももしきはかず年もすぎ
ふつかよいまだ残りたる湯ざめかな

  玄 髪
雪解けの水辺に群れる水仙花
どてら着て足を早める湯ざめかな
厳寒の土踏む足に霜柱