兼題 入学 彼岸 草餅 席題 飯蛸 |
東 人 チッキ荷の蒲団受け取り入学す ペン胼胝の凹む親指蓬餅 飯蛸や跼んで煮たすアルミ鍋 伝言を手紙で貰ふ彼岸過ぎ 希 覯 子 餌に飽きて木にとまる鳩彼岸寺 駅名と同じ学園入学す 草餅の接待ありと句座予告 飯蛸や架橋で繋ぐ中四国 千 恵 子 よもぎ餅農婦の爪の薄き泥 飯蛸の眠る鍋底妻仮寝 善き人に善き言葉あり春彼岸 列乱す子も叱られず入学式 美 子 草餅や人差指のふっくらと 網の束湖岸に掛けて彼岸西風 草餅に草の色濃し姉妹 入学の娘の真っ直ぐに長き脚 |
玄 髪 姿見の腹に気兼の蓬餅 縄のれん払えば壁に飯蛸煮 遠縁の見知らぬ人と彼岸の會 角帽や今は昔の入学式 利 孟 担ぎ屋の臙脂の足袋や蓬餅 彼岸會や経帖を繰る僧の指 飯蛸の鉢の絹莢味薄し 引き菓子の小さな箱や入学す 京 子 草餅の切り口あふれ試食皿 海光りただ三人の新入生 肌も目も照り輝やきて入学す 白 美 対岸の小舟揺らいで草だんご パステルカラーのコートを羽織る彼岸かな 入学式「はい」の声のみ響きけり 飯蛸や鉤に乗りたる大僧正 |
武 甲 飯蛸や安芸の地酒の舌鼓 背伸びして我が子目で追う入学式 草餅を搗く音の弾む鄙の里 秩父路に香の満ちて来る彼岸かな 千 尋 飯蛸の煮〆加減や古女房 遠き鐘吾が音と聞きぬ入学式 彼岸會の弱日地蔵の肩円し 白抜きに草餅の竿日の高し 健 次 陽を浴びて草餅を食ふ茣蓙の上 乳呑み子と思ひし末子入学す 山の寺山門明るき彼岸の會 卒塔婆建て煙目に滲む彼岸の會 |